日本のEC市場を変える? アマゾン「YouTuber」起用でライブコマース参入

日本のEC市場を変える? アマゾン「YouTuber」起用でライブコマース参入

2018.11.22

アマゾンが年末セール「サイバーマンデー」を実施すると発表

今年の目玉は特大おせちと“急がない便”?

「YouTuber」「試着サービス」で新規ユーザー獲得狙う

アマゾンジャパンは12月7日18時~11日午前1時59分まで、年末セール「サイバーマンデー」を開催すると発表した。これは毎年の恒例行事となっており、7月の「プライムデー」に匹敵する大規模なセールだ。

今年は新たに「試着サービスやライブコマース」に取り組むとのこと。さらなるEC事業の拡大に向け、特に新規ユーザーの掘り起こしを強化したいという狙いがあるようだ。

アマゾンが毎年恒例の年末セール「サイバーマンデー」を開催

今年の目玉は特大おせちと「急がない」便?

米国におけるサイバーマンデーとは、感謝祭(11月の第4木曜日)の次の月曜日から始まるオンラインのセールを意味する。日本ではあまり馴染みがないものの、感謝祭翌日の金曜日「ブラックフライデー」とともに、現地では1年で最大の商戦期として定着している。アマゾンジャパンは12月のセールにこの名称を使ってきた。

2018年のサイバーマンデーも数十万点の商品を用意しており、カスタマーレビューが4つ星以上の商品が豊富に用意される「特選タイムセール」を始め、「数量限定タイムセール」や、限定商品も複数用意する。

限定商品の例としては、「ル・クルーゼの鍋と料理教室」「レゴのロボットとプログラミング体験」のように、今年の時流もあってか商品と体験をセットにしたものが目立つ。また、お正月に向けた目玉商品として、約30人前で税込39万円の「林裕人監修 スーパー超特大おせち」をはじめ、大小さまざまなサイズのおせち販売にも力を入れる。

30人前で39万円の超特大おせち

大幅な値引きや限定商品でセールを盛り上げる一方、懸念されるのが配送だ。人手不足が社会問題化する中で、アマゾンのセールは年末年始の混雑に拍車をかける形になる。

これに対してアマゾンは今年、無料でお急ぎ便を利用できるプライム会員が、あえて「通常配送」を選んだ際、引き換えにAmazonポイントを還元するポイントバック施策の導入を決めた。「急がない」メリットを選択肢として加えることで、出荷を平準化する狙いだ。

プライム会員が「通常配送」を選ぶことで30ポイントをバックする

「YouTuber」「試着サービス」で新規ユーザー獲得へ

日本でも年々、セールの規模を拡大させているアマゾンだが、国内のEC市場は約16.5兆円規模で、物販分野のEC化率は約5.8%にとどまっている(経済産業省調べ、2017年)。中国では今年11月11日の「独身の日」に、アリババがたった1日で約3兆4000億円を売り上げたと話題となったが、日本市場はEC化率が低い分、まだまだ成長余地はあるとみられる。

そもそもネットで買い物をする習慣がないなど、アマゾンを使ったことがない人は意外と多い。新規ユーザーの取り込みが成長の鍵となってくるのだ。

そこで同社は、サイバーマンデーをきっかけに、アマゾンでの買い物に慣れ親しんでもらうことを狙う。コンビニやATM払いにも対応する決済の便利さや、不慣れな人向けに買い物の方法を説明するコンテンツを用意して強くアピールする方針だ。

また、ファッションに特化した新サービスとして、10月からは「プライム・ワードローブ」も始まっている。これは、好みの服やシューズを取り寄せて自宅で試着できるサービスで、一定の条件下で7日以内なら返品できることが特徴だ。返品せず、手元に残すことを決めた時点で初めて代金が請求される仕組みで、気軽に試着できる。

服やシューズを試着できる「プライム・ワードローブ」

ネット通販でありがちなのが、実際に試着しないと色合いや質感、サイズが分からないという問題だ。プライム・ワードローブなら、欲しいシューズがあれば3つのサイズを一度に取り寄せ、合わなかった2つを返送するといった使い方ができる。

海外を中心に盛り上がりを見せる「ライブコマース」にもアマゾンジャパンとして初めて取り組む。動画のライブ配信とECを組み合わせた販売手法で、動画クリエイターと組んでアマゾンの商品を紹介する。発表会場には「MasuoTV」(チャンネル登録者数約109万人)で知られるYouTuberのマスオさんが登壇し、動画撮影を実演した。

超特大おせちの紹介動画を撮影するYouTuberのマスオさん

動画はアマゾンの公式YouTubeやTwitterアカウントだけでなく、動画クリエイターのアカウントでも閲覧できるようにする。影響力のあるインフルエンサーに独自の視点や語り口で紹介してもらうことで、視聴者をアマゾンに呼び込むのが狙いだ。まずはサイバーマンデーのセール商品に対象を絞って展開するが、反響次第ではECのあり方を大きく変える可能性も秘めている。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

ご愛顧いただいた読者の皆様、また関係者の皆様に、編集部一同、誠に感謝いたします。

なお、NewsInsightに掲載中の記事につきましては、引き続きマイナビニュース(https://news.mynavi.jp)へと掲載場所を移管いたします。

掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

○安東弘樹のクルマ向上委員会!
https://news.mynavi.jp/series/andy

○森口将之のカーデザイン解体新書
https://news.mynavi.jp/series/cardesign

○清水和夫の自動運転ソシオロジー
https://news.mynavi.jp/series/autonomous_car

○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
https://news.mynavi.jp/series/game_heisei

○岡安学の「eスポーツ観戦記」
https://news.mynavi.jp/series/e-Sports_review

○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
https://news.mynavi.jp/series/shiwakenin

○「食べる」をつくる科学と心理
https://news.mynavi.jp/series/food_science

○阿久津良和のITビジネス超前線
https://news.mynavi.jp/series/itbiz

○山下洋一のfilm@11
https://news.mynavi.jp/series/filmat11

○モノのデザイン
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○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
https://news.mynavi.jp/series/mobile_business

○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu