新型「デリカ」は“顔”が変わった! 三菱自動車が直面した究極の二択

新型「デリカ」は“顔”が変わった! 三菱自動車が直面した究極の二択

2018.11.22

新型「デリカ」の第一印象は「顔変わっちゃってる。」

アウトドア派ミニバンというキャラクターにも変化?

トレンドと独自性のどちらを取るか、三菱自動車の選択

三菱自動車工業は新型「デリカ D:5」の予約受付を開始した。先進安全装備の採用や内装の質感向上など、現行型から変わった部分はいろいろとあるようだが、まず、何といっても目を引く変更点は、その“顔”だ。顔がだいぶ変わっている。

新型の「デリカ D:5」(左)と「デリカ D:5 URBAN GEAR(アーバンギア)」。発売は2018年度中の予定だ。価格は税込みで約385万円~約425万円

フロントマスクが大きく変わった新型「デリカ D:5」

いかつくてギラギラした顔のミニバンが増える中で、無骨ともいいたいような独自の佇まいを守り続けてきた三菱自動車の「デリカ」。今回の新型で最も目を引く変化は、その佇まい、とりわけ顔が変わっていることだ。

現行型に比べると銀色の部分が増え、“目”が細くなった印象の新しいフロントマスクは、ミニバン市場のトレンドに合わせ、意図的に造形したに違いない。よく「オラオラ系」という言葉でミニバンのフロントマスクを表現したりするが、そちらの方向に寄せてきた感じだ。もっとも、私には“目”に見えた部分(横に並んだヘッドライト)が実は“眉毛”であり、その下のヘッドライト(縦に並んだもの)が本当の“目”であると考えれば、その顔は「カワイイ系」に見えてこなくもない。

ちなみに、現行型「デリカ D:5」のフロントマスクはこんな感じだ

三菱自動車が開催した新型「デリカ D:5」の事前説明会では、商品企画の責任者を務めた商品戦略本部の大谷洋二氏が商品概要についてプレゼンした。同氏によると、デリカ D:5は「“アウトドア”というユニークなポジションを確立した一方で、アウトドア色が強すぎたため、ユーザーを限定していた側面もある」そう。顔を変えたのは、端的にいえば間口を広げるためだったのだろう。

新型では「フォーマル」で「都会的」な方向へと立ち位置を変えた「デリカ D:5」

日本のミニバン市場は年間40万台規模で堅調に推移しているそうだが、その中で、デリカ D:5が押さえているシェアは3%程度だという。独自のデザインに加え、ほかのミニバンとは一線を画す悪路走破性も兼ね備えたデリカには、おそらく根づよいファンが存在するはず。しかし、ミニバン市場のボリュームゾーンでは、そこまで販売台数を稼げていなかったようだ。

顔以外の変更点としては、静粛性能向上、内装の質感向上、先進安全装備の採用などが挙げられる。三菱自動車では現行型に寄せられたユーザーの声に対応し、強みを伸ばすことと弱点を克服することの両方に配慮して商品企画を進めたという

50周年の「デリカ」に三菱自動車の決断

デリカ D:5の外見で特徴的な部分は顔以外にもある。横から見たときの形だ。悪路走破性を強みとするデリカ D:5では、アプローチアングル(クルマ先端の最下部と前輪の設地面が作る角度のこと)と地上最低高(車体の床下と路面の隙間)が大きく取ってある。砂利道や雪道、でこぼこ道などを走りやすくする工夫なのだが、こういった工夫が見た目の特徴にもなっているのだ。特に横から見た場合、デリカ D:5の横顔は“鼻”が突き出たようなシルエットになっていて、床と地面の間には、いわゆる普通のミニバンよりも大きな空間ができる。

こちらは現行型「デリカ D:5」

新型デリカ D:5を見ると、アプローチアングルは現行型の24度から21度へと小さくなり、地上最低高は現行型の210mmから185mmへと低くなっている。つまり、“アウトドア派”であることを象徴する部分に手を入れたわけだ。その点からも、このクルマが、“アウトドア派”という個性を少し犠牲にしてでも間口を広げようとしていることが分かる。

ただし、この点について大谷氏は、アプローチアングルは「競合のミニバンは15度前後なので、有利な数字」であり、最低地上高は「SUV並みを維持していて、競合に比べれば圧倒的な走破性」を実現できていると独自性を強調していた。

こちらが新型「デリカ D:5」。“鼻”が上下に伸びた感じだ

デリカの姿を変えようと考えた時、三菱自動車には「トレンドに配慮する」か「独自性をさらに強調する」かという2つの方向性があったはずだ。今回、同社は前者を選んだといえる。この決断により、デリカの往年のファンからは否定的な意見が出るかもしれないが、ミニバンが欲しいと考える人の選択肢に、デリカ D:5が登場する機会は増えるのではないだろうか。いずれにせよ、今年で50周年を迎える「デリカ」だけに、どんな方向性であれ、外見に変更を加えるのには勇気が必要だっただろう。その勇気が台数で報われるかは気になるところだ。

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2019.06.17

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放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu