モナバーで発見した「人と人をつなぐ」仮想通貨のポテンシャル

モナバーで発見した「人と人をつなぐ」仮想通貨のポテンシャル

2018.11.26

モナコインをコンセプトに営業を開始したBAR「モナバー」

手続きの煩雑さが仮想通貨決済普及の足かせに?

投げ銭を通じて生まれる仮想通貨のコミュニケーションとは

仕事終わりのサラリーマンが家路を急ぐ20時過ぎ。JR高円寺駅を南に下り、パル商店街を歩いていると、不思議な看板が目に入ってくる。

MONA BAR TOKYO ――。

看板には、穏やかなほほえみを浮かべる白い猫のようなキャラクター「モナ―」が描かれており、そこそこの存在感を放ちながら商店街の一角に佇んでいる。

BARと書かれているということは、お酒が飲める「BAR」なのだろう。隣で飲んでいる人から「あなたのココロのスキマ、お埋めしますドーン!!!!」なんて言われそうな“場末感”を醸し出しているが、同時に「なんだか気になる」不思議な魅力があった。

はたして、店内はいったいどうなっているのだろうか。ちょっとしり込みしてしまう雰囲気ではあったが、覚悟を決めて入店してみることにした。筆者には、やると言ったらやる「スゴ味」があったのだ。

MONA BAR TOKYO(モナバー)の外観。商店街を歩いていると、某掲示板でおなじみのキャラクター「モナー」が現れる
店内へと続く階段

仮想通貨を広めるべく、ホットサンド屋からモナバーへ

いざ、店内に足を踏み入れると、入り口の怪しさからは想像できないほど、オシャレで清潔感のある内装が目の前に広がる。ところどころにモナーの顔が見え隠れするが、店内に置かれたウッド調のテーブルやイス、観葉植物を見る限り、まるで隠れ家的なカフェといった感じだ。

モナバーの店内

「もともと、MUSTANG TOKYOという、ホットサンドのお店を5年くらいやっていました。昼は今でもホットサンド屋さんですが、2018年の7月28日から、夜だけ仮想通貨のモナコインをコンセプトにしたモナバーに切り替えて営業しています」

モナバーの代表を務めるモナ子さん(仮名)は、店舗の形態をそう説明する。なるほど、ホットサンド。それならばオシャレさにも納得だ。そして、モナバーは、某掲示板の「モナー」そのものではなく、仮想通貨の「モナコイン」をコンセプトにしたBARらしい。

モナバー 代表のモナ子(仮名)さん。既存のお客さんを困惑させないよう、まるっきり仮想通貨のお店にするのではなく、夜の時間帯だけ店舗形態を変えたが、久しぶりに来店したお客さんからは「変な組織にのっとられたのかと思った」と言われたという。しかも今回、取材はOKだったが、顔出しと本名の公開はNGだった。もしかして、ほんとうは怪しい組織の一員なのかもしれない……

しかし、ホットサンドとモナコイン、両者はコンセプトも客層も大きく異なるうえに、共通項もないように思える。夜だけとはいえ、なぜモナバーをスタートさせたのだろうか。

「2017年の夏ごろから個人的な趣味で仮想通貨を触っていたのですが、これが非常に興味深くて。ちょうどホットサンドのお店が5年経過したこともあり、なにか新しいコンセプトがほしいと考えていたので、モナコインをテーマにしたお店をオープンさせることにしたのです」

新しい風を吹き込ませるべく、夜間の店舗形態を一新したモナバーだが、おそらく一番メジャーな仮想通貨はビットコインのはず。なぜ、モナコインをチョイスしたのだろう。

「モナコインは、仮想通貨のなかでも、投げ銭などのコミュニケーションが特に活発に行われている通貨です。その投げ銭のおもしろさを少しでも伝えられたらと思って、モナコインを選びました」

モナコイン保有者の間では、SNSなどで仮想通貨をチップ代わりに渡す「投げ銭」の文化が定着しているらしい。そこでモナ子さんは、仮想通貨に触れたことのない人にも、投げ銭の魅力を伝えたいと考えたわけだ。ちなみに投げ銭は、SNSのなかでも特にTwitterでの利用が多いという。アカウントを持っていれば、誰でも簡単にモナコインのやり取りができるのだとか。

すると、おもむろにスマホでTwitterを起動したモナ子さん。「試しにやってみましょう」と、操作を始める。

「モナバーをオープンする前は、ほとんどモナコインを持っていなかったのですが、今は結構持ってるんです。取引所で買ったのではなく、ほとんどみんなからもらったコインなんですよ。ちょっと送ってみますね」

“みんなからもらった”というモナコイン。クラウドファンディングのようなことをしたのだろうか。

「いえ、違います。例えば、『新しいメニューです』とつぶやくと、『いいね』を押す感覚で、みんなが投げ銭してくれるんです」

モナ子さんはあっけらかんと話す。みんな、そんな簡単に自分のお金を渡せるのだろうか。「いいね」はお金がかからないからバンバン押せるが、その要領でお金を渡すという感覚は、貧乏な筆者からすると、イマイチ理解できない。

「えっと、Twitterのアカウントは……、やすかマギカさん? あれですか、まどマギから取ってるんですかね?」

え、……ええ。その通りです。すみません。僕と契約してNewsInsightを読んでよ!

なんてやり取りをしていると、筆者のTwitterに<@MONABAR_TOKYOさんから@yasuka_magicaさんにお届け物です! つ[3.9mona]>という通知が届く。ものの10秒足らずで、モナ子さんはやすかマギカに3.9MONAを送り終えていたのだ。

3.9MONAが届いた

簡単にモナコインを渡す様子を目の当たりにして、非常に感心したやすかマギカだが、これだと取材に来てモナコインを受け取って帰るという、図々しい奴に思われてしまうではないか。どうすれば返せるのだろう。

「いえいえ、全然大丈夫なので、持っておいてください。今のレートだと3.9MONAで500円くらいですが、去年暴騰した時は1MONA2000円近くまでいったんです。なので、これだけで1万円くらいの価値になるかもしれません」

「自分のお金を渡す感覚がわからない」と考えていた自分が恥ずかしくなるくらい簡単に、モナ子さんは言った。まるで握手をするような気軽さで仮想通貨を渡す。これが投げ銭の文化なのだ。

ちなみに、今回いただいた3.9MONAには「ありがとう(サンキュー)」の意味が込められているという。ほかにも、0.114で「いいよ」など、語呂合わせで送ることが多いそうだ。受け取ったモナコインは、モナコインちゃんbotというアカウント(@tipmona)を使うことで、ほかの人に送ったり、取引所の口座があれば日本円にしたりすることもできる。残高を問い合わせることも可能だ。

3.9MONA受け取った後、残高を確認したら、ほんとうにやすかマギカは3.9MONA保有していた

投げ銭で仮想通貨の輪を広げることが、利用シーン拡大につながる?

投げ銭を目の前で見せてくれたモナ子さん。しかし、その文化を理解してもらうことは簡単はないと、身をもって感じている。

「モナバーに来てくれた友人にも、たまに3.9MONAを渡すのですが、みんな全然意味をわかってなくて。そのまま放置している人も多いと思います。夏は3.9MONAで1000円くらいの価値があったので、ビール1杯くらい飲めたんですけど」

「モナビール」というオリジナルのビール

仮想通貨の投機的イメージから、モナコインの活用を躊躇してしまう人が多いのかもしれない。どうすれば、そのイメージを払しょくできるのだろう。

「使える飲食店が増えていけば、手に入れたモナコインをクーポンのようにいろいろな場所で使えるんですけどね。仮想通貨決済を開始しても、途中でやめてしまうお店は少なくないので、なかなか普及は難しいでしょう。飲食店の決済では、国際送金のような仮想通貨ならではのアドバンテージを発揮しづらいですし」

モナ子さんが見せてくれたように、投げ銭はオンラインですぐに実行することができる。それは世界中どこにいても変わらない。銀行で国際送金する場合の手数料や手間を考えれば、仮想通貨に期待できるポテンシャルは大きいだろう。

しかし、飲食店決済の場合、国際送金のような利用者メリットはあまりない。さらに、現状仮想通貨はいわば外貨のような存在であるため、「仮想通貨専用の店舗向け決済サービス」などを導入していない限り、売上で手に入れた仮想通貨は自分で日本円に変える必要があるのだ。

「モナバーでは、『もにゃ』や『coinomi』と呼ばれるモバイルウォレットで仮想通貨の支払いをお願いしており、モナコインとビットコインのほかに、ネムとビットゼニーでの支払いが可能です。ただし、仮想通貨でお支払いいただいた場合、店側は取引所で売上を円に変えなければなりません。手数料もかかりますし、レートも上下しますし、そのうえ、なかには海外の取引所でしか交換できない仮想通貨もありますし、正直めっちゃ面倒ですね(笑)」

手数料や価格の変動によって、売上の半分ほどしか手元に残らないということも少なくない。モナ子さんは下がっている通貨がある場合、日本円にせず、そのまま寝かせているという。

「ただ、モナコインはちょっと特殊で、保有者が愛着を持っている通貨なんです。もっとモナコインを広めたいとか、みんなで使いたいとか、知らない人に興味を持ってほしいとか、そういうことを考える人が多い気がしますね。モナバーとしても、『モナコインが好きでたまらない』という狭い層に対して、少しでも利用シーンを提供できればと考えていたので、それ自体はある程度実現できています。次はもっと投げ銭の文化を広げていきたいですね」

実際モナバーでは、地方在住のモナコイナー(モナコイン愛好者をこう呼ぶらしい)が、休日にわざわざ足を延ばして来店するケースも多いそうだ。

店内には、遠方から訪れたモナコイナーが楽しめるような、遊び心を感じるアイテムも(クリックしてアップ画像表示)

そう考えると、モナコインのように、通貨に対する愛着があれば、活発な交流や利用シーンが生まれるような気がする。仮想通貨ファンが投げ銭などでユーザーの輪を広げていくうちに、モナバーのような場所が生まれる――。それが繰り返されていくことで、少しずつ利用者と利用場所は増えていくはずだ。ファンが増えれば、国際送金のようなアドバンテージがなくても、仮想通貨の決済は普及していくのではないだろうか。

「仕事の依頼」や「遠隔地からのおごり」も!? 仮想通貨が生むコミュニケーション

投げ銭を広げていきたいというモナ子さんだが、来店した友人にモナコインを渡す以外では、どのようなやり取りがあるのだろうか。

「いくつかあるのですが、例えば『オダイロイド1号(@odairoid_001)』というTwitterのアカウント。誰かがお題と報酬を提示し、お題に答えたユーザーのなかで、リツイートといいねの総数が多かった上位5人に報酬が配られるというものです」

提供されるお題は、「新しいサービスの名前を考えてください」というアイデア募集や、「大金持ちにやってほしいことは何?」といったアンケートなのか大喜利なのかわからないものまで幅広い。

「このオダイロイドも、現状、狭いコミュニティのなかの人しか知らないので、もっといろいろな人に知ってもらいたいと考えているところです。自分で買う場合、仮想通貨はリスクを避けられませんが、1円も出さずにちょこちょこ仮想通貨を集められたら楽しいですよね」

オダイロイド1号のTwitterページ

また、仮想通貨を保有している人は、「オダイロイドポータル」から、お題の投稿も可能。答える側だけでなく、募集する側としても参加できるのだ。

「モナバーでは、仮想通貨のウォレットを疑似体験できる『モナチップ』という、ブラウザ上で動くポイントシステムを採用しているんですが、このプログラム部分をお店のオープン前に作る必要がありました。最初はクラウドソーシングサービスで制作を依頼したのですが、納期と金額の条件が合わなかったので、イチかバチかTwitter上で『近々オープンするモナバーで、こういうのやりたいんだけど、200MONAで誰かプログラムを作ってくれませんか?』と募集してみたんです。すると、6~7人が立候補してくれて。しかも、クラウドソーシングでは2カ月かかると言われたのですが、1週間でお願いすることができました」

ドリンクを注文するともらえるモナチップ。自分のTwitterアカウントと同期したウォレットに貯めておくことができる。集めたチップは、モナバーオリジナルの缶バッジやマグカップなどと交換可能だ

立候補してくれた人のなかには、即日作れると言ってくれた人や、なんと高校生もいたという。

Twitter上でプログラマーを探すなんて、ひと昔前までは現実的でなかったかもしれないが、今は仮想通貨の活用による仕事の依頼も不可能ではない時代なのだ。特に今回のようなケースでは、下手な企業に依頼するよりも低コストかつスピーディに対応してくれる気がする。少なくとも、素人を寄せ集めた「名ばかり情報システム部」が社内にある場合、Twitterの超高校級プログラマーのほうが頼りになるのではないだろうか。

モナチップで交換できるグッズ

そのほか、投げ銭によって生まれたコミュニケーションとして、モナバーでは、こんなことも。

「お店に来た人が<いまモナバーにいます>とTwitterで投稿すると、それに気づいたモナコイナーの人が、<あの子たちにおごってあげて>とモナコインを送ってくれることがあるんです。来店していたほかのお客さんの分まで払ってくれて、『今日はおごりだー』って感じで。もちろん滅多にあることではありませんが、そういうつながりが生まれることも、モナコインの魅力だと思います」

お店に飾っているイラスト。これらも、モナ子さんがTwitterのオダイロイドで描いてほしいと募集したものだという。期限が1週間だったにも関わらず、10件以上のイラストが届いた

2017年末のバブルがあったこともあり、投機的なイメージが先行しがちな仮想通貨。だが、今回モナ子さんの話を聞いて、モナコインの魅力は、投げ銭から生まれるコミュニケーションではないかと感じた。

世界中からアイデアや技術的な協力を得ることができるだけでなく、今後さらに、投げ銭の文化が普及すれば、おもしろい動画や芸術的なイラストの投稿によって、仮想通貨の収入を得られるようになる可能性もあるだろう。

投げ銭によって生まれる、そんな「人と人のつながり」こそが、仮想通貨の持つ真の価値なのかもしれない。

MONA BAR TOKYO

【住所】東京都杉並区高円寺南3-58-29 2F
【営業時間】
月/火
20:00~24:00 (L/O 23:30)
金/土/日/祝
19:00~24:00 (L/O 23:30)
【定休日】
水/木
【TEL】03-5307-7055
【仮想通貨決済】
モナコイン/ネム/ビットコイン/ビットゼニー
【クレジット】
VISA/Master/JCB/American Express/Diners Club/Discover
※喫煙不可 (電子加熱式タバコ可)

注文の多いクルママニアは何を選んだのか…安東弘樹、クルマを買う!

安東弘樹のクルマ向上委員会! 第13回

注文の多いクルママニアは何を選んだのか…安東弘樹、クルマを買う!

2019.02.20

クルマ向上委員会「輸入車一気乗り編」のプロローグ

安東さんがジャガー「F-PACE」から乗り換えるクルマは?

“駐車場問題”で心が折れた…重視したのはクルマの横幅

年に一度、神奈川県・大磯を舞台に開催される日本自動車輸入組合(JAIA)の試乗会。たくさんの輸入車を一度に楽しめる同イベントを、安東弘樹さんに取材してもらった。

※文と写真はNewsInsight編集部の藤田が担当しました

夜には「バラいろダンディ」(TOKYO MXで放送中、安東さんは火曜レギュラー)の生放送が控える2月5日、朝から夕方までの間に安東さんが乗ったクルマの台数は、アストンマーティン「DB11」やテスラ「モデルX」などを含む計8台。最初のクルマはジャガーのステーションワゴン「XF スポーツブレイク」だ。

ファルコンウィング(ドア)を広げたテスラ「モデルX」を背にポーズをとる安東さん。編集部からは「ヒーロー風に」と注文させてもらった

早速、「XF スポーツブレイク」の話に入りたいところなのだが、実は試乗の開始直後、安東さんからあるクルマの購入を決めたという話を聞いたので、まずはプロローグとして、そちらから取り掛かりたい。というのも弊紙では、安東さんがクルマ選びに悩む様子を以前から追っていた経緯があるので、その結果をご本人から直接聞いた以上、本連載にてお伝えしておきたいと思ったからだ。

大前提として、安東さんは現在、ポルシェ「911 カレラ 4S」とジャガーのSUV「F-PACE」を所有しているのだが、TBSを退職してフリーとなって以降、クルマ(F-PACE)で仕事現場(特に東京都内)に通勤する機会が増えると、深刻な“駐車場問題”に直面することとなった。つまり、横幅が1,935mm、高さが1,665mmと大柄なF-PACEだと、基本的には立体駐車場に入れられないなど、クルマをとめておく場所を探すのに苦労が多いのだ。

購入検討リストに入っては消えていったクルマは、マツダ「アテンザ」やミニ「クラブマン」など枚挙に暇がない。そんな安東さんのクルマ選びが、ついに結論に達したと小耳に挟んだので、「XF スポーツブレイク」に乗り込んですぐ、そのあたりの話を聞いてみた。

クルマ選びが決着!

編集部(以下、編):次のクルマ、決まったそうですね?

安東さん(以下、安):そうなんです、メルセデスの「オールテレイン」にしました。最終的に「ヴェラール」と悩んでたんですけど、やっぱり駐車場に入らないんで……。実はメルセデスって、以外に幅は、そんなにないんですよ。(全幅が)ヴェラールは1,930mmなんですけど、オールテレインは1,860mmしかありません。ちなみに、「Sクラス」でさえ1,910mmです。

「オールテレイン」とは、メルセデス・ベンツの「E220d 4MATIC オールテレイン」(画像)というクルマのこと。Eクラスのステーションワゴンをベースとするクロスオーバー車で、2.0L直列4気筒のディーゼルエンジンを搭載する。最高出力は194ps、最大トルクは400Nm。サイズは全長4,950mm、全幅1,860mm、全高1,495mmだ。公式サイトで見ると、車両本体価格は893万円となっている
「ヴェラール」(画像)はSUV専門メーカーであるレンジローバーから2017年に新登場したクルマ。弊紙ではモータージャーナリストの御堀直嗣さんに試乗して頂いたことがあるので、こちらの記事をご覧いただきたい

:実は年末に遅刻したんですよ。しかも2件。所属している事務所で打ち合わせや雑誌の取材などを行う事が多いのですが、その立体駐車場にF-PACEが入らないので、いつもは近場のコインパーキングを利用して打ち合わせなどをするのですが、その日は近くの駐車場が全く空いてなくて。どうにもならなくて、1キロ以上も離れたところにとめて、そこから歩いて事務所に向かったら遅刻してしまいました。それが1件目。

もう1件は共演者のライブ。場所が代官山だったのですが、空きが有っても立体駐車場では「サイズが大きすぎる」と断られるところばかりで……。1カ所、「空」と表示されている平置きの駐車場を見つけたんですけど、そこは1台ごとにバーで区切られている所で、よく見ると「横幅1,900mm以上はご遠慮ください」って書いてありました。結局、かなり離れた、しかも超高額な駐車場にとめた挙句、開演時間に少し遅れてしまいました。

:“横幅問題”が身にしみたわけですね。

:ええ、クルマを3台所有できるなら、1台は横幅を気にせず選んでもいいんですが、家を改装して(3台目のクルマをとめておく)駐車場を作れないことも分かりましたから……()。

※編集部注:安東さんは自宅の庭を改装して3台目のクルマのために駐車場を作るつもりだったが、建築法上の理由で断念した。このあたりの事情は以前、本連載でお伝えした通り。

:F-PACEを買い換えるということですか。

:F-PACEって、とってもいいクルマで、(駐車場問題以外には)何の不満もなかったんですけどね。オールテレインが5月に納車なので、それまで、計2年8カ月で手放すことになりますね。もっとも、走行距離は計算上、5月には9万キロ前後になるので、買い換え時ではあるかもしれません。

安東さんがとても気に入っていると話すジャガー「F-PACE」

:納車待ちでウキウキしてますか?

:そうですね。ただ、あまりにもF-PACEが気に入ってるんで、少し複雑ですけど。それと、人に自分の所有車を言うときに「メルセデス・ベンツです」というのが、若干その……。何に乗っているんですかと聞かれて、「メルセデス・ベンツです」と答えると伝わりきらないというか、「Eクラスのオールテレインです!」まで、全て言いたい、というか()。

※編集部注:「メルセデス・ベンツ」だから買ったのではなく、こだわって選んだクルマが「メルセデス・ベンツ」だったということを伝えたいけど、クルマにあまり興味がない人には伝わらない、というニュアンス。

安:テレビ局やスタジオなどの現場にクルマで行く時は、事前にマネージャーが先方に車種を聞かれるわけです。マネージャーはクルマもナンバーも把握しているので、それを先方に伝えるんですけど、車種を聞かれた時に5月からは「安東は“ベンツ”です」って答えることになるのですが、「あー、フリーになったからねー」みたいな感想をもたれるのかなと思うと……。

実は、実際の購入金額はF-PACEよりもオールテレインの方が低いんです。少し複雑で、F-PACEの方が「何円から」というカタログの表記ではオールテレインよりかなり安価なのですが、オプションや諸経費を含めると、実は、F-PACEはかなり価格が上がってしまったので、最終金額は逆転するのです。これはオールテレインにほとんどの装備が標準で付いていることが大きいです。

※編集部注:クルマの値段を見る場合、ほとんどオプションが付いていない状態での価格表記なのか、“コミコミ”での価格表記なのかには注意する必要がある。例えば、サンルーフやシートベンチレーションのような「あったら嬉しい装備」のみならず、カーナビなどの「ぜひとも付いていて欲しい装備」すら付いていない“素”の状態で、かなり安く見える値段を提示している場合もあるからだ。

:オールテレインとポルシェ、しばらくはこの2台体制ですか?

:ですね。ドイツ車2台、しかもベンツとポルシェっていうと、人によっては反感を買うかもしれませんけど(笑)。「ポルシェ 911 カレラ4Sの右ハンドルのマニュアルトランスミッション(MT)です!」とか、いちいち全部説明したいくらいですよ! 2台とも、結構マニアックだと思うんですけどね。

ただ、クルマに詳しくない方には、「ベンツとポルシェ」としか言いようがないので、「フリーになると違うな」などと思われるんでしょうね(笑)。かといって、その都度、「メルセデスですけど、社員時代に乗っていたクルマより安いんです」とか言うのも変だし。難しいですね。

「オールテレイン」の気になる点は?

:オールテレインの少し気になるところは、最低地上高(地面からクルマの最も低い部分までの距離)が140mmで、それって“普通”なんですよね(※)。「E 220 d」のステーションワゴンは115mmともともと低いので、それでも25mm上がってはいるんですけど。

※編集部注:もっと高くてもいいのに、という意味。クロスオーバーSUVだと200mm前後のことが多いので、確かに高くはない。

:オールテレインはエアサス(エアサスペンション)で車高が上げられるんですけど、それでも20mmしか上げられなくて。(車高上昇時の)160mmって、これでも下手したら“普通のクルマ”なんですよ。さらに、車高は時速35キロを超えると、(自動的に)下がっちゃうんですよね。

メルセデスとしては、本当に速度が出せないような道でしか、車高を上げさせたくないと考えている、ということなんでしょうね。メルセデスは他のメーカーより、そういった部分でマージンをとるので。この手のクルマは200mm位の最低地上高にしているメーカーが多いのですが(スバルやボルボなど)、メルセデスとしては、そこまで上げた時の安定性を担保できない、ということなのかもしれません。

:クルマづくりの話で、メルセデス・ベンツは乗り手をあんまり信用していなくて、逆にBMWは乗り手に委ねる、というような言葉を聞いたことがあります。

:よく言われてますよね。

:車高についても、メルセデスが考えている以上に、乗り手に上げたり下げたりして欲しくないから、クルマ側である程度は制御する、ということなんでしょうか?

:そこが残念といえば残念ですね。

ジャガー「XF スポーツブレイク」で箱根ターンパイクを疾走する安東さん

かなり吟味して購入を決めたのだから、おそらく、オールテレインが届くのを楽しみにしているのだろうとは思うのだが、「ちょっと気になる点」として最低地上高に言及するところなどは、クルママニアの安東さんらしい観点という気がした。MT車のシフト操作を喜びと語る安東さんだけに、自分で運転するクルマに関することは全て、自分で考え、自分で決めて、(最低地上高の調整も含め)自分で操作したいのだろう。

さて、クルマ選びの顛末をお伝えすることできたので、編集部としてもひと安心だ。次回からはいよいよ、JAIA試乗会の模様をレポートしたい。最初に乗るクルマは(すでに乗ってはいるが)、ジャガーのステーションワゴン「XF スポーツブレイク」だ。ジャガーのSUV「F-PACE」を気に入って乗っている安東さんだけに、この2台の比較も気になる。

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「選択」と「働く」をテーマに、ビジネスの一線で働く2人に対談してもらった。

2人は、かつて共にP&G(プロクター・アンド・ギャンブル)でPR戦略に携わっていた同僚であり、共に子を持つ「ママ」でもある。1人はフェイスブック ジャパンの執行役員である下村祐貴子さん、もう1人は株式会社デリィスを起業し、「ブランド価値プロデューサー」として、企業の課題解決に取り組む杉浦莉起さん。

フェイスブック ジャパン 執行役員 広報統括 下村祐貴子(左)、デリィス 代表取締役社長 ブランド価値プロデューサー 杉浦莉起(右)

杉浦さんの近著『いつでも「最良」を選べる人になる』では、全体を通して「選択」が大きなテーマになっている。グローバル化にダイバーシティ(働き方の多様性)、女性活躍、働き方改革……。私たちは今、働き方、さらには生き方を自由に選択したいと求めている。ワークライフバランスという言葉では足りない、「ワークとライフのカスタマイズ」が必要だ。

かつて共に働き、今ではそれぞれの道をつくった2人は、これまでにどういった「選択」をし、そして現代の「働く」ということをどう捉えているのだろう。そこには、我々の人生を豊かにする働き方のヒントがあるかもしれない。

Facebookが求める、社員の生き方・働き方って?

杉浦莉起(以下、杉浦):
久しぶり……、ていっても、よく近所の公園で会うけどね(笑)。

杉浦莉起:上智大学卒後後、LVMH(モエヘネシー・ルイヴィトン)グループにて宣伝広報に従事。その後P&Gジャパンに転じ、SK-Ⅱ、パンパース、ブラウンジレットなどのブランドコミュニケーション戦略/PRに携わる。その後ブランド価値プロデューサーとして独立し、現職

下村裕貴子(以下、下村):
仕事で向き合うのは久しぶりですね(笑)。今日はよろしくお願いします。

下村裕貴子;神戸大学発達科学部卒業後、P&G入社。「パンテーン」などの広報・渉外を担当、日本市場におけるヘアケアブランドのPRに従事。2010年、家族とともにシンガポールに転勤、ヘアケア部門やプレステージ香水などのアジア地域広報、「SKⅡ」のグローバル広報としてPR戦略をリード。帰国後、2016年12月より現職

杉浦:
今、Facebookではどんなことをされているの?

下村:
コーポレートや自社製品の広報。あとはFacebook、Instagramを広告プラットフォームとしてマーケターに認知してもらうための広報。それと広報とは別に、社内外にダーバーシティの推進をするチームの活動もしています。

杉浦:
ダイバーシティ推進って、具体的にはどういうことを?

下村:
「無意識のバイアス(偏見)」という言葉がありますよね。人はさまざまな属性に対して、無意識のうちに人に偏りを持って見たり接したりしてしまいます。そんなそんな考え方を無くすためのトレーニングを行っています。

Facebook社員は年に1度、そのトレーニングを受ける必要があります。私は、その内容をしっかりかみ砕いて、わかりやすくするとか、社員全員がトレーニングを受けるよう、促したりしています。

あとは、育休取得を検討している女性社員、男性社員に対して「休暇を取ってもいいんだ、休むとこんなことがあるんだ」って思えるようにベネフィットを伝える活動です。実際に育休や産休を取った人に自身の体験談を話してもらったり。「無意識のバイアス」への取り組みは社外に向けても研修プログラムを提供しています。

杉浦:
なるほどね。それでは、Facebookについて教えてください。そういう取り組みは社員の働きやすい環境のためだと思うのですが、そもそもFacebookという会社は、社員にどういう働き方、生き方をして欲しい、と考えているのでしょう?

下村:
Facebookでは「コミュニティづくりを応援し、人と人がより身近になる世界を実現する」というミッションを掲げています。そして、その世界を実現するために、いくつかの「コアバリュー」というものを設定してます。

コアバリューは5つあるんですが、特に私が「いいね! 」と思っているのは、「Move Fast(早く動くこと)」「Be Bold(大胆に行動すること)」「Build Social Value(社会的価値を生み出すこと)」の3つ。こういったバリューを達成するような働き方をしてほしい、というのが会社の想いです。そして、そのためにオフィス環境や福利厚生が整えられている、というイメージです。

男性役員の育休取得は仕事に役立つ?

杉浦:
Facebookの育児休暇は、男女ともに有給扱いで4か月も取得できると聞きましたが、それもコアバリューを達成するためかしら?

下村:
ですね。似たような制度を取り入れている企業もあるかと思いますが、Facebookは男性の育児休暇の取得率が高いのが特徴です。「子育ては母親のものだけではない」という考え方はもちろん、男性が実際に子育てを経験することで、それが組織作りにも活きてくる、という考えです。

育児休暇を取得した人がマネージャーになったときには、考え方が変わることでしょう。例えば、女性の部下や同僚ができたときに、やっぱり実際に自分が経験しているのとそうでないのとでは、接し方が全然違うと思うんです。

あと、上司が休暇を取ることで部下がそこに続きやすくなります。一昨年には男性の役員が育児休暇を取得したんですが、その後、休暇取得率が一気に増えました。特にそのチームは、男性の育児休暇の取得が続いたこともありました。

でもそのチームは、それぞれが育児の大変さを知って、自分が周りにサポートしてもらったという考えも持ったから、お互いにサポートし合ったんです。「前に助けてもらったから、次は自分の番だ!」って。

杉浦:
そういう制度って、確かに用意している企業は多いけど、なかなか上手く活用できないところも多いですよね。上が取らないから続かない。それは、その男性役員の方に「あなたが休暇を取れば、みんなが取りやすくなるから」って働きかけをされたの?

下村:
少し(笑)。テクノロジー企業って、ただでさえ休みが少ないイメージじゃないですか。でも今、優秀な若い人に来てもらうには、働きやすい環境を整える必要があると感じています。だから、その方が休暇を取ったあとに、「男性の役員ですらとってるんだから、全然心配しなくていいんだよ」というコミュニケーションを取るようにしました。

とても良かったのが、その方が自身の体験談をもとに、「育児休暇を取ったことで、自分にとって良かったこと、奥さんにとって良かったこと、会社にとって良かったこと」を社内に共有してくれたんです。

育児って、体験してみないとわからないことが多いじゃないですか。それこそ、オムツを変えるだけでも。彼も、「まさか男の俺がオムツを変える事態になるとは」と言っていました。でも、その経験があるから、子どもを持つ部下のマネジメントにつながるし、チーム内のサポート体制の強化にもつながったんです。

Facebookで働く上での「いいね!」ポイントは

杉浦:
ほかにも、Facebookならではの取り組みや制度で、これは「いいね!」というものはあります?

下村:
少しテーマから逸れ気味ですけど、やはりテクノロジーの会社なので、テクノロジーで業務をサポートする下地があるのがいいですね。

例えば、Facebookが提供している「Workplace」がそうで、当社でもグローバルを通して使っています。これ、簡単にいえば、”ビジネス向けのFaceBook“なんですが、この上でいろんな仕事を進めています。基本的にUIはFaceBookと同じで、使い勝手も変わりません。ここでいろんなグループを作り、コミュニケーションを取っています。

Workplace

Workplaceのいいところは、「みんなが知らない情報はない」という状況を作り出せること。メールを送る際に「誰をCCに入れるのか、Toにするのか」とかを決める手間が省けたり、Workplace上で情報を流すことで、誰でも簡単に情報の発信・受信ができるというメリットがあります。

そこから情報を得た人が、すぐに発信者にチャットして、そこからビデオ会議を始める……みたいな感じで、非常に短時間で仕事を進められる。これがリモートワークの促進にもつながっていて。このあたりはFacebookで働く上で、いいところだと思います。

コアタイムすら曖昧? 自由すぎる社風はなぜ成り立つ

杉浦:
そういえば、Facebookは「業務の開始・終了時刻のほとんどを社員自身に任せている」って本当? 自由すぎて心配になる(笑)。

下村:
そんなこともないんですよね。なんででしょう……。一応、コアタイムは設定しているんですが、特に誰も気にせず、自由な時間で働いていますね。いつ会社に行っても、いつ帰っても、誰も何も言いません(笑)。

実際に私も、先日、息子がインフルエンザにかかっちゃって。2日間会社を休んでたんですが、家で働いていたので、まったく問題なく。極端な話、子どもが寝たあと、夜から働く、とかでも問題ないんですよ。ほかにも、「PTAの集まりがあるから早めに帰ります」とか、チーム内で事前に共有しておけば特に問題になってないですね。

杉浦:
本当に自由ね。日本企業や、日本人が多いような外資企業からも良く聞きますが、未だに「残業する方が偉い」って思ている人も多いですよね。だから、自由な働き方といっても、ほかの企業が真似しようと思ったら、企業側も従業員側もどの程度まで自由に、と疑問に感じそう。

下村:
査定が厳しい、というのは影響しているでしょうね。Facebookでは1年に2回の人事評価制度があって、そこで周りの同僚や上司、部下などから360度評価を貰う必要があるんです。上下関係にとらわれずにあらゆる角度から評価されるため、もし仕事がうまく回っていないようだったら、的確なフィードバックが来るんです。「ここはもっとこうした方がいいね」とか。さっき言ったコアバリューの面で、「ここが欠けてるよね」とか。

だから結論としては、「仕事さえちゃんとできていれば、働き方は個人の自由」というのがFacebookの働き方です。

杉浦:
査定がしっかりしているから、自由な働き方が成り立ってるのね。でも、実際に仕事をしていても、会社以外の場所で仕事の頻度が高いと、罪悪感のようなものも生まれそうですが。

下村:
私も少々の罪悪感を覚えつつ、でもコアな部分をしっかりやっていれば、周りも納得しているのかな、と思ってますね。

杉浦:
しっかりと、会社が「あなたは何をする人で、こういう責任がある」というところを明確にしているから、そうした自由な働き方が成り立っていくのかもしれないね。

アフター5はビールも飲める? 先進的なオフィスの秘密

杉浦:
「自由な働き方」と言えば、このオフィス(フェイスブック ジャパン)はオープンスペースが多かったり、飲み物も自由に飲めたり…… この空間は、何か考えがあって設計されてるの?

下村:
オフィスには「Open & Innovative」というテーマがあって、特にオープンスペースが広いのが特徴です。動線も工夫されていて、ディスカッションや会話が、いろんなところで起こるようにしています。

いつもの同じ人ではなくて、たまたま横に座った人との会話がキッカケで、新しいアイデアが生まれるんです。私も、1週間に2日くらい、あえて場所を変えて仕事をしてます。そこで、「最近こんなことをしているんだけど」なんて話をすると、「あ、じゃあ一緒にこれしようよ」ってなることがよくあります。

オフィスに用意されたオープンスペースの一部

杉浦:
意識的に場所を変えて仕事するって面白い考え方ね。

下村:
私の場合は「これだけ素敵なオフィスだから、楽しまなきゃな」と考えているので(笑)。もちろん、ずっと同じ場所で仕事をする「この場所が好きだから」派の人もいますよ。ほかにも、小さなキッチンもあって、軽食が用意されたり。ビールもあって、夕方には飲みながら仕事している人を見たこともあります(笑)。

マイクロキッチン

杉浦:
え!! 大丈夫? 生産性とか心配だわ(笑)。

下村:
自分に厳しい人が多いから、特に何も問題があると感じたことはないですね。飲みすぎて仕事ができない、という人も見たことありませんし。一応17時からはアルコールOKという決まりだから、さすがに昼から飲む、とかいうことはないんですが、夕方になると、プシュっとお酒を開ける音が聞こえてきます。

杉浦:
本当に自由ね……。会社の雰囲気が秩序を保ってるのかな。そもそも、自由な環境の中でも活躍できる人を上手く採用しているから、大丈夫なのかしら。

下村:
両方あると思いますね。採用の際にも、平均4~5人はFacebook社員と面談する必要があって、コアバリューに沿った行動をできる人、自律して仕事できる人、というのは見極めています。

杉浦:
でも、「自律する」って難しいですよね。自由すぎるってことは、自分でいろんなことを「選択」して行動する必要があるわけで。みんながそこを上手く「選択」できているのは何故でしょう?

下村:
コアバリューに共感しているから、そして、ミッションに呼応して入社している人が多いから、というのはあると思います。

「24時間オンライン」の中、自分の時間はどう作る?

下村:
悪いことも言わせてもらうと、メッセンジャーとか、テクノロジーで24時間すべてが仕事につながってしまうから、それが結構辛いこともあります。時差があるため日本が夜中でも、日中に仕事をしている海外の社員から連絡がきて、起きちゃうこともある。

そこから早急に対応しなきゃってこともあります。テクノロジー企業で良かったという反面、悪い面はあります。休む時間は自分でしっかりと作らないと、すごく体力を消耗するんですよね。

杉浦:
なるほどね。自身が「ママ」でもあるから、上手く時間を使わないと、バランスも保てなくなりますよね。そのためにも、働く上で「こういうところは大事にしている」という、優先順位付けやマイルールみたいなものってあるの?

下村:
パーソナルな部分で言うと、私はできるだけ家族と一緒にいたいから、「平日は早く帰る」「休日は家族を優先する」といったルールを決めています。だから、土日は本当にオフにさせてもらう代わりに、平日の朝は早く起きて、5時ころから仕事をするようにしていますね。

そうすると健康的というのと、あとは本社がサンフランシスコなので、ちょうど日本が朝のタイミングで本社の人と一緒に仕事を進められる。こっちが朝5時の時、向こうが昼12時なので、起きて3時間くらいは家で働いて、そこから出社しています。その代わり帰るのは早めにして、18時には帰ってますね。

杉浦:
時差の問題もあるから、終わらせるべき仕事はそこで終わらせていると。そうやって工夫して、ワークライフバランスを保っているのね。

下村:
ほかには、仕事で関わる人たちに、「私はこれからこういう働き方をしたい、こんなことをしたい」ということを共有しています。例えば「午後18時に帰宅する」となったら、チームが意識的にミーティングなどの対面での作業が必要になる仕事を、早めの時間に設定してくれるようになりました。

仕事でも、「来週はこれが第一優先だから、ほかの仕事よりもこれを優先してね」みたいなのを言うようにしていて。

杉浦:
素晴らしい。そうすると、周りもやるべきことに集中できるから、生産性も上がりそう。

「強み=好きなこと」 迷ったら、好きなことを選ぶ!

杉浦:
Facebookで働きはじめて、いろんな悩みや葛藤があったと思いますが、その中でマイルールを決めて働き方を上手く舵切っているのが素晴らしい!と思いました。最後に、教えてください。自分の経験や、同僚の働き方を見て、なにかほかの人が真似できるような「選択上手になるコツ」はありますか?

下村:
Facebookは、個人の強みを「得意なこと」ではなく、「好きなこと」だと捉えています。得意な仕事ばかりせず、自分が本当に好きな仕事をするように推奨してます。だから、選択上手になるコツは、「自分の直感と好きなことに従った行動をすること」ではないでしょうか。

杉浦:
強みは得意なことではなくて、好きなこと……。実は私もそう思っていて、この本(注:前述の『いつでも「最良」を選べる人になる』)でも似たようなことを書いています。本当ですよ(笑)。

「強み=自分の得意なこと」と捉えている人は多いけど、それを仕事で続けていると、いつのまにか消耗して、疲れてしまう。でも、「好き」って一番エネルギーになるから、たとえ失敗しても、また挑戦できるからね。

迷ったら「直感」と「好きなこと」を考えて行動すればいい――、最後にいいことを聞けてよかった。今日はありがとうございました。

「迷ったら、直感と好きなことに従って、選択する」
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