グーグルスマホのブランドが「Nexus」から「Pixel」に変わった理由

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第26回

グーグルスマホのブランドが「Nexus」から「Pixel」に変わった理由

2018.11.26

話題の新グーグルスマホ「Pixel 3」が日本上陸

グーグルのスマホはそもそも「Nexus」じゃないの?

ブランド変更の背景に実は大きな戦略転換

グーグルが日本で新しいスマートフォン「Pixel 3」シリーズを発売し、話題となっている。グーグルはかつて「Nexus」というブランドで日本でもスマートフォンを提供していたが、なぜNexusからPixelへとブランドを変えるに至ったのだろうか。

米国に続き日本でも発売されたPixelシリーズ

2018年11月1日、グーグルは自社開発の新しいスマートフォン「Pixel 3」「Pixel 3 XL」を、日本で発売した。Pixel 3/3 XLはそれぞれ5.5インチ、6.2インチの有機ELディスプレイを搭載したスマートフォンで、最新のAndroid OSである「Android 9 Pie」を搭載するほか、AI(人工知能)やAR(拡張現実)など、グーグルの最新技術をふんだんに活用してカメラ機能を強化していることが、大きな特徴となっている。

グーグルの「Pixel 3」。カメラを中心として、グーグルの技術を積極的に取り入れた高機能ぶりが特徴だ

実はPixel 3/3 XLは、その名前が示す通り、グーグルのPixelシリーズ・スマートフォンの第3世代に当たる。米国などでは2016年に初代「Pixel」、2017年に「Pixel 2」を発売しているのだが、日本では発売されなかった。そのため特に最新のAndroidを使いたい人達などを中心に、Pixelシリーズの日本発売を切望する声が多く上がっていた。

だがグーグルは、それまで国内で沈黙し続けていたのが嘘のように、Pixel 3/3 XLの発表前後には積極的なプロモーションを展開した。今後は日本でも、積極的にPixelシリーズを販売していこうという姿勢がうかがえる。

しかしグーグルのスマートフォンといえば、かつて日本でも「Nexus」シリーズが販売されていたことを、覚えている人も多いのではないだろうか。グーグルはPixelシリーズのスマートフォンを投入する以前、Nexusブランドでさまざまなメーカーと協力しながら、独自のスマートフォン開発を推し進めていたのである。

グーグルのスマートフォンといえば、かつては「Nexus」ブランドであった。日本でもいくつかNexusブランドのスマートフォンが販売され、注目を集めた時期がある

コストパフォーマンスの良さで人気となった「Nexus 5」や、イオンリテールが販売して「格安スマホ」の礎を作り上げた「Nexus 4」など、日本でも大きな注目を集めた端末がいくつか登場している。

だがグーグルは、2015年の「Nexus 5X」「Nexus 6P」でNexusシリーズを終了させており、2016年からはブランドをPixelに切り替えている。なぜ、グーグルはスマートフォンのブランドを変える必要があったのだろうか。

グーグルのハード戦略転換がブランドにも

その理由はスマートフォン、ひいてはグーグルのハードウェア戦略の大きな変化にある。インターネットサービスを主体としているグーグルは、元々ハードウェアを直接手掛ける企業ではなく、スマートフォンに関してもOSとなるAndroidと、その上で動作するアプリやサービスに注力していた。

それゆえNexusシリーズは、主としてアプリ開発者に向け、Androidの最新OSが利用できる標準モデルとして販売するという意味合いが強かった。実際Nexusシリーズで最も重視されたのは純粋なAndroidが動作することであり、それ以外の余分な機能は基本的に省かれていたことから、一般利用者向けとしては機能面で物足りなさがあった。

だがグーグルは、その後インターネット上だけでなく、実生活のリアルな場面でも利用できるサービスの提供に力を入れるようになってきた。実際、グーグルは近年、話しかけるだけでさまざまな情報を引き出せる音声アシスタントの「Googleアシスタント」や、スマートフォンを用い店頭でも使える決済サービスの「Google Pay」など、インターネット上で完結するのではなく、実生活での利用を想定したサービスに力を入れている。

しかしながらリアルに向けたサービスを提供するには、それを利用するためのハードも一体で作り上げていく必要がある。そこでグーグルは、2014年に、サーモスタットで知られるベンチャー企業のNestを買収したことを皮切りに、自社サービスが利用できるハードウェアにも力を入れようと戦略転換を図っているのだ。

グーグルの戦略転換を象徴しているものとして、日本では2017年に発売されたスマートスピーカーの「Google Home」が挙げられるが、実は初代Pixelが世の中に登場したのは、Google Homeと全く同じ2016年なのである。日本上陸のタイミングがずれたことでピンと来ないかもしれないが、グーグルは2016年から、自社でハードとソフトを一体にして提供するという戦略に大きく舵を切っていたのだ。

グーグルのハードウェア戦略の転換を示した「Google Home」。日本では2017年に発売されているが、米国などではPixelと同時期に発売されている

さらにグーグルは2018年、スマートフォンメーカーである台湾HTCのスマートフォン事業の一部を買収した。こうした動きからも、グーグルがハードウェア、ひいてはPixelに一層力を入れようとしていることは見て取れる。はたしてグーグルの思惑通り、スマートフォン市場で存在感を高められるかどうか、今後が大いに注目されるところだ。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

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最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu