地域課題解決の秘策は企業研修? 北海道・美瑛町の挑戦

地域課題解決の秘策は企業研修? 北海道・美瑛町の挑戦

2018.11.22

地位課題解決プロジェクトをとおしての研修とは?

美瑛町が大手企業を組んで地位課題解決プロジェクト推進

社員研修を兼ねることで企業が地域活動に参加しやすくなる?

北海道・美瑛町。北海道の中心近くにあるこの町は、観光資源が豊富で道内でも屈指の人気スポットでもある。その美瑛町で、自治体が賛同企業と共同で取り組んだ「地域課題解決プロジェクト」の最終報告会が催された。

このプロジェクトは、企業の若手社員がチーム・ビルディングを行い、美瑛町が抱える課題を洗い出し、そしてその解決策を提示する。美瑛町にとっては町が抱える課題解決のヒントになるし、参加企業にとってはリーダー候補や若手の“研修”の場としての意味を持つ。ちなみに今回参加した企業は、ヤフー、パーソルホールディングス、マクロミル、ヤマトホールディングス、パナソニックなど。

なお、この取り組みの主幹企業はヤフーで、5年前から美瑛町の課題解決に協力している。ヤフーのピープル・デベロップメント統括本部 採用・育成部部長 菱沼恒毅氏は、「ヤフーがこの取り組みに参加している理由は大きく2つあります。ひとつは、こうしたプレゼンに参加することで、ダイバシティ・リーダーシップを社員に持ってもらいたいということ。そしてもうひとつが、課題解決力を磨くことです。つまり、地域振興をとおして人材育成のための“研修”とし取り組んでいます。地域振興にこだわるのは『課題解決エンジン』のミッションを掲げることで、情報技術で日本中の課題を解決し、実現したい世界を表すビジョン『UPDATE JAPAN』を実践するためです」と話す。

参加企業のマクロミルの担当者にも話をうかがった。同社は、ネットリサーチなどの手法で、多くの企業に消費者の声やデータを届け、マーケティングの意思決定をサポートする企業で、今回が2回目の参加となる。同社もやはり人材育成を重要視している。リーダー候補や若手をプロジェクトに参加させることで、同社の社員研修の一環としたい考えだという。

美瑛町の課題解決策の数々、具体化に期待

最終報告会の様子に触れよう。報告会は美瑛町町長・浜田哲氏の挨拶から始まった。まず、浜田町長は「多くの企業と連携して新しい事業に取り組めるのは非常に光栄」と切り出した。そして地域課題解決プロジェクトの今回のテーマは「国際化時代」に焦点を定めたという。もともと美瑛町は、インバウンドの来訪が多いところである。ところが今年は震度7を記録した「北海道胆振東部地震」や台風24号の影響で、外国人観光客の足が遠のいた。そのため町長は、国際化時代をテーマにした今回のプレゼンが、来客の復調のヒントになるのではないかと期待を寄せた。

最終報告会が行われ地域人材育成研修交流センター
最終報告に先立ち挨拶をする浜田哲 美瑛町長

プレゼンはA~Fチームまで、計6チームにより行われた。ちなみに各チームは参加企業による混成チームだ。筆者が気になったプレゼンの一部を抜粋してみよう。

「“丘”yelliプロジェクト」は、観光客収入は高い美瑛町だが、その観光客誘客の源泉となる農地=農家への所得連動につながっていない。その解決をどうするのかという提案。広大な農場という景観を観光推進に活用し、得た資金を農家に還元することはできないか模索する。「VRガイド付きサイクリングツアー」は、激増する外国人観光客に対し、美瑛町の対応は進んでいないことを指摘。多言語に対応するVRを活用することで、人手に頼らないガイドツアーを実現するというものだ。

VRガイド付きサイクリングツアーのプレゼンをするチーム

「BAC(Biei de Asobinagara Comunication)ジュニア」は、数多くの外国人観光客が訪れる美瑛町だが、町民に彼らとコミュニケーションをとるスキルは乏しい。語学力を磨くとともに、異文化に対する興味を喚起する体験活動を行う、いわば“教育”だ。「KUアプリの開発(CODE for BIEIの実現)」は、健康づくりを目的とした美瑛町の取り組み普及のためにアプリを導入し、利用者の健康に対する意識を改革する。つまり“健康”だ。教育と健康は、生活の根幹をなすもの。これらが充実してこそ、町の発展につながるのだと思う。

KUアプリ開発のプレゼンで、美瑛町の健康課題について問題提起

有望そうなプレゼンが多かったが、取り組み自体に課題もある。それは、こうした問題提起や解決策が提示されても、それがまだ具体的な施策として実施されていないこと。どれも、独創的で効果が期待できそうだが、今後は、具体的な施策として始動することが必要だろう。

美瑛町ならではの大自然を堪能、あの名車の姿に感動

さて、せっかく美瑛町に取材に来たのだから、豊かな自然を満喫しなくてはもったいない。地域課題解決プロジェクト開催の翌日には、仕事の合間を縫って、美瑛町の観光スポットに向かった。

まず足を向けたのは「青い池」。JR北海道美瑛駅から、バスで20~30分ほどのところにある。観光スポットとして有名なため、多くの観光客でにぎわっていた。浜田町長はインバウンドの来訪が減っているとおっしゃっていたが、そんな雰囲気はまったく感じなかった。中国人や韓国人を中心に、インバウンド客でまだまだ賑わっている様子を見かけることができた。

美瑛町でも人気の青い池。エメラルドグリーンの水と立ち枯れた木の組み合わせが美しい

「ケンとメリーの木」へも向かった。これは美瑛町の丘に立つ1本のポプラだが、なぜ観光スポットになったのだろうか。往年のクルマ好きならピンときただろう。そう「ケンとメリーのスカイライン」、いわゆる「ケンメリ」のCMの撮影現場に使われた場所だ。この木の至近にあるカフェに寄ったところ、なんとガレージにケンメリが! 小学生ぐらいの時によくみたあの名車と対面できるとは思わなかった。カフェによると、現役で走れるそうだが、保存状態を考えてガレージに入れてあるそうだ。あの名車に会いたければ、カフェをたずねてみるといい。

広々とした丘に1本立つ「ケンとメリーの木」
ケンとメリーの木の至近にあるカフェのガレージ。昔懐かしい4灯丸型テールランプが……

さて、北海道・美瑛町を巡ってみて、いちいちスケールが大きいことに驚いた。まっすぐと伸びた道、その両脇にある少しうねった広大な畑(たぶんジャガイモ畑?)、正面にみえる冠雪した十勝岳連峰、そのすべてが、札幌や函館といった場所と趣を異にしていた。

いかにも北海道という風情が感じられる広大な畑

畑のハナシが出てきたので、浜田町長が懸念していることをひとつ。浜田町長は地域課題解決プロジェクトの挨拶であることを強調していた。それは、観光客が畑に立ち入ってしまうこと。外国人観光客が増えるにしたがって、畑に立ち入る例が多くなったそうだ。もし、北海道・美瑛町を訪れることがあれば、決して畑には踏み込まないでいただきたい。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

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なお、NewsInsightに掲載中の記事につきましては、引き続きマイナビニュース(https://news.mynavi.jp)へと掲載場所を移管いたします。

掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

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○森口将之のカーデザイン解体新書
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○清水和夫の自動運転ソシオロジー
https://news.mynavi.jp/series/autonomous_car

○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
https://news.mynavi.jp/series/game_heisei

○岡安学の「eスポーツ観戦記」
https://news.mynavi.jp/series/e-Sports_review

○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
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○「食べる」をつくる科学と心理
https://news.mynavi.jp/series/food_science

○阿久津良和のITビジネス超前線
https://news.mynavi.jp/series/itbiz

○山下洋一のfilm@11
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○モノのデザイン
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○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
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○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu