値下げ議論きっかけに岐路に立つ携帯3社、ドコモを悩ますNTTグループの呪縛

値下げ議論きっかけに岐路に立つ携帯3社、ドコモを悩ますNTTグループの呪縛

2018.11.07

利益の大半をはき出しても4,000億円を値下げするドコモ

KDDIとソフトバンクは追従せず、すでに還元済みと主張

ドコモ施策はMVNO接続料にも影響、通信ビジネスは転換期

携帯3社の2018年3月期上期の決算が出そろった。各社増収増益を果たした順調な決算だが、背後には政府による「通信料4割削減」という圧力が迫っている。その中で、NTTドコモが4,000億円規模のユーザー還元と銘打って通信料削減に乗り出した。それに対する2社は、既存プランによってすでに対応している点をアピールする。改めて各社の現状を探ってみたい。

ドコモ、半期利益を吹き飛ばす4,000億円の値下げ

ドコモは10月末の決算会見で、吉澤和弘社長が「携帯料金を2~4割値下げする。総額4,000億円規模のユーザー還元となる」と表明した。料金プランの詳細は今後検討するとしており、来年第1四半期に提供を開始する。

NTTドコモ 代表取締役社長 吉澤和弘氏

この新料金プランについて吉澤社長は、菅義偉官房長官による「携帯料金4割値下げ」の要請に対する影響は否定する。ドコモでは、まず4,000億円というユーザー還元のターゲットがあり、結果として2~4割という数字になった、と話す。

つまり、結果として「4割」という数字になったが、あくまで”たまたま”と位置づけたいようだ。このタイミングになったことについても、「スマートフォン利用者の拡大で、料金が分かりにくいなどの要望が高まっていた」と説明する。こうしたニーズの高まりで新料金の検討を行っており、タイミングとして政府要請と一致したのだという。

政府要請と時期が重なったのは偶然?

もちろん、携帯各社は民間企業であり、政府が料金に口を挟む根拠は薄い。そのため、ドコモとしても自主的な対応という建前は必要だ。料金値下げに対するニーズの高まりも事実だろうし、後述するように2社が分離プランに取り組んでいるので、新たな料金プランの検討を続けていたのも間違いないだろう。

それが今のタイミング、しかも来年第1四半期提供という状況での発表になったのは、政府要請への対応と見ていい。ただ、4,000億円という値下げ規模は、上期の純利益4,071億円が全て吹き飛ぶレベルであり、かなり思い切った施策だ。

加えてドコモは、5Gネットワーク構築のため2019~23年度で1兆円の投資を計画しており、値下げとともに大幅な減益に繋がる。こうした点が投資家に嫌われた形で、ドコモの株価は急落した。2021年度には売上5兆円、23年度には営業利益9,900億円台に回復することを計画しているが、利益の大半をはき出し、復活まで数年をかけた計画は、市場の理解を得られたとは言いがたい。

ドコモの背後に見え隠れするNTTの影

ここで見え隠れするのがNTTの影響だ。ドコモの株式は、親会社のNTT持株が63%強所有している。そしてNTTの株式の約35%を保持しているのは国だ。もともと、グループとしてドコモに対するNTTの影響力は大きく、その意向を無視できないドコモにとって、大幅な減益要因となる今回の新料金プランを勝手に進めることは難しい。

ドコモの発表でNTT自体の株価も急落したが、そうしたインパクトを踏まえても、政府の意向がNTTに流れてドコモの判断に影響したことは十分考えられる。しかも政府は10%への消費税増税を控えており、有権者に対して増税インパクトを抑え、政権の得点を狙いたい状況にある。

直接的な影響力の行使というよりは、間接的な忖度に近いものもあっただろう。大幅な減益を想定しながら、ドコモは継続的な増配を計画しており、株式を所有する国への影響を最小限にしようとしているようにも見える。

KDDIとソフトバンクは分離プランで還元済みと主張

これに対するKDDIとソフトバンクの2社は、すでに分離プランを提供したことによる値下げを実施したという認識だ。分離プランは、購入した端末代金に対して通信料金の割引を実施する「月月割」などを適用しない代わりに、通信料金を従来より下げたプランだ。

KDDIの場合、昨年の段階でピタットプラン、フラットプランの2つの料金プランを提供している。11月の決算説明会で高橋誠社長は、これを含めて、これまでに3,000億円規模のユーザー還元を果たしていると説明する。

KDDI 代表取締役社長 高橋誠氏

ソフトバンクはウルトラギガモンスター+の提供によって、分離プランへの移行を図った。11月の決算説明会で孫正義社長は、大容量を前提としたウルトラギガモンスター+で「ギガバイト単価は世界で最も安い」と胸を張り、さらに付随するSNSや映像サービスなどの通信を無償化する「動画SNS放題」で総トラフィックの43%をカバーしているため、「実質的に4割値下げしている」という認識を示した。

ソフトバンクは、グループのY!mobileでも一部に残る端末代金へのサポートをなくして値下げをする方針だ。またソフトバンクでは国内通信事業の人員を4割削減し、新規事業などに配置転換することでコスト効率化を図り、さらなる値下げにも対応できるようにするという。

ソフトバンクグループ 代表取締役会長兼社長 孫正義氏

分離プランでは、端末購入にともなう通信料金の割引が発生しないため、さらに端末販売は減る見込みだが、通信キャリアにとっては、端末販売にともなうコストが減少し、利益に貢献する。ユーザーから見ると、高額なハイエンド端末が買いづらくなる代わりに、毎月のキャリアへの支払額は減少する。端末価格が安いSIMフリー端末を利用するなどすれば、ユーザーの支払う総額は従来よりも下げることはできるので、ユーザー側も支払額を減らすための工夫は必要になるだろう。

通信ビジネスの転換期? MVMO料金への値下げ波及は?

こうして各社が値下げを図ると、「格安スマホ」などと政府が推進したMVNO事業者へのインパクトも大きくなる。ドコモではMVNOに対する接続料は順次下がっており、値下げとは無関係に決まることを強調しているが、算定基準への影響は出てくるだろう。するとさらにMVNOの料金が下がることも期待できる。ただ、これに関しては未知数で、MVNOの淘汰は進むことも予想される。

携帯電話料金は、シンプルにすると個別のニーズに沿わないとしてバリエーションが求められ、複雑化するとシンプルさが求められる、といった歴史を繰り返している。スマートフォンユーザーの増加で単純明快な料金プランへのニーズが強くなるため、当面はシンプルな料金プランが求められるだろう。デフレ脱出に苦戦する日本経済の下では、値下げ圧力も強い。

ドコモの新料金プランが具体的にどうなるかはまだ決まっていないが、値下げをしながらインフラの維持、災害対策、5G構築といった必要なコストをカバーし、さらに成長が期待できる領域への投資をするだけの利益を確保する、という設計が必要となる。

5Gに対する多額の投資と新規ビジネスの拡大による収益の拡大を、主力ビジネスの利益を失った状態で進めなければならないという、難しい舵取りをドコモがどう乗り切るのか。今後も動向が注目される。

プラズマ乳酸菌で労働生産性が向上!? ヤフーとキリンが共同発表

プラズマ乳酸菌で労働生産性が向上!? ヤフーとキリンが共同発表

2018.11.16

キリンとヤフーが共同で健康経営に関する研究を実施

プラズマ乳酸菌の摂取が免疫細胞の司令塔を活性化させることを確認

免疫力アップが労働生産性の向上につながることも導き出した

キリンとヤフーは11月15日に、キリングループの研究している「Lactococcus lactis strain Plasma(プラズマ乳酸菌)」について、共同で実施した研究結果を発表した。

研究結果は、「プラズマ乳酸菌を摂取すると、労働パフォーマンスの指標が向上する」というものだ。いったいどういうことなのだろう。

プラズマ乳酸菌が活性化させるのは免疫細胞の司令塔

そもそもプラズマ乳酸菌とは何か。乳酸菌はヨーグルトなどに入っているイメージだが、プラズマとは違う物質なのだろうか。キリン社によると、プラズマ乳酸菌とは免疫細胞の司令塔を活性化する唯一の乳酸菌だという。

どうやら免疫細胞には命令系統のようなものが存在し、司令塔を活性化させることに成功すれば、司令塔の命令を受けるすべての免疫細胞が活性化されるのだという。

ただし、一般的な乳酸菌が活性化できるのは、命令系統下位の細胞のみ。そのため効果も限られる。それに対して今回研究結果を発表した、プラズマ乳酸菌は免疫細胞の司令塔である「プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)」を活性化することができるため、免疫細胞全体を活性化することができるという。

そんなプラズマ乳酸菌が労働パフォーマンスとどう関係があるのか。次は、今回の研究で行われた試験内容を見てみよう。

一般的な乳酸菌とプラズマ乳酸菌の違い

元気な体が、低労働生産性の「プレゼンティーズム」を回避

今回の試験は、ヤフー社員226名を対象として行われた。プラズマ乳酸菌1000億個含むヨーグルトを4週間摂取し、体調、気分、労働生産性に関するアンケート評価を実施。その結果、非摂取の状態と比較すると、プラズマ乳酸菌を摂取している状態のほうが、活気があり、体調も良好だと感じている人が多かった。

また、「風邪気味で頭がボーっとする」「下痢で何度もトイレに行く」といった、出勤しているが心身の健康上の問題によって十分なパフォーマンスを発揮できていない状態を「プレゼンティーズム」と呼ぶが、今回の試験によって、このプレゼンティーズムの状態が軽減され、労働生産性が向上したことを確認できたという。

つまり、プラズマ乳酸菌を毎日摂取することで、生体内の免疫が活性化し、体調がよくなり、プレゼンティーズムを改善して労働生産性が向上することがわかったのだ。

簡単に言うと、プラズマ乳酸菌を摂取して元気な状態で仕事をすれば、高いパフォーマンスを発揮できるということである。

プラズマ乳酸菌の摂取によってプレゼンティーズムが改善するという結果が得られた

キリン 代表取締役社長の磯崎功典氏は「従業員とその家族が健康であることは、社会にとってプラスの価値を生みます。健康寿命が延びることによる労働力の確保、ひいては、経済の活性化にもつながると考えました。その結果、従業員は考える時間やチャレンジする時間を持てるようになり、仕事のパフォーマンス向上や、イノベーションの実現につながっていくでしょう」と、キリンが健康経営に力を入れる理由を説明した。

キリン 代表取締役社長の磯崎功典氏

同社が乳酸菌事業に参入してから1年。すでに、初年度の売上額は、目標の1.5倍の額にあたる55億円に達しているが、さらに拡大していき、3年後には2.7倍の150億円を目指す。

たしかに筆者自身も、プレゼンティーズム状態だと感じることはしばしばある。疲労だけでなくオフィス内の騒音なども、仕事に集中できない原因の1つだと思われるが、はたして、そのようなメンタル面のプレゼンティーズムも改善されるのだろうか。実際にプラズマ乳酸菌を飲んで、試してみたいところだ。

『パワプロ』eペナントレース開幕! 元プロ野球選手の解説も

『パワプロ』eペナントレース開幕! 元プロ野球選手の解説も

2018.11.16

『パワプロ』のeペナントレースが開幕

プロアナウンサーの実況と元プロ野球選手の解説で盛り上がりを見せた

規模の大きさにプロ選手も緊張していた様子

コナミデジタルエンタテインメントとNPB(一般社団法人日本野球機構)は、11月10日に、ベルサール渋谷ガーデンにて「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ2018」の開幕戦を開催した。

eBASEBALLは、『実況パワフルプロ野球』のeスポーツイベント。プロ野球全12球団に登録された3名ずつ、計36名のプロゲーマーによって行われる。リーグ内で各チームと3戦ずつ、全15戦行い、ペナントレースを争う。

今回、先だって行われたプロテストeドラフト会議を経て、いよいよ開幕を迎えることになった。開幕戦では、セ・パ両リーグともに試合が行われたが、基本的に土曜日にセ・リーグ、日曜日にパ・リーグの試合が開催される。

試合前にはオンライン投票での勝敗予想も行われる。チーム自体の強さもさることながら、プレイする選手の実力も加味して投票される
全チームではないが、球団マスコットも会場に駆けつけた。一緒に写真撮影したり、サインをもらったりと、ファンにとっては貴重な一日となったのではないだろうか
オープニングでは、ベリーグッドマンによるテーマソングも披露された

1節に実施される試合回数は各チーム3戦。チームの選手が1人ずつ対戦する形式だ。試合は6イニング制で、延長は9回まで。3戦連続で試合をするため、ゲーム内選手のスタミナ面などが後の試合に影響する。つまり、実際のペナントレースと同様に、投手起用などを考える必要が出てくるのだ。

また、選手の調子はランダムで決定される。主力選手の好不調に合わせて戦略を変える必要もあるだろう。エラーや悪送球なども一定確立で発生するので、eスポーツとしては珍しく運要素もある。とはいえ、実際のスポーツ、今回題材としている野球においても運要素がまったくない訳ではないので、そこは逆にリアルとも言える。

試合直前に発表される選手の調子。絶好調、好調、普通、不調、絶不調の5段階あり、絶不調の場合、選手の持つ特殊能力が発動しなくなる。選手の好不調と実力を考え、オーダーを組み直す必要もあるだろう。主力選手が絶不調だったときの絶望感は相当なものだ

開幕戦は、メインスタジアムのセンタースタジアムと、レフトスタジアム、ライトスタジアムの3カ所で実施。いずれもプロのアナウンサーによる実況と元プロ野球選手の解説が行われた。3つのスタジアムでは同時に試合が進行し、他のスタジアムの途中経過なども表示されるといった、まさにプロ野球中継さながらの臨場感を味わえるようだった。会場にいれば、好きなスタジアムでの観戦ができるのも嬉しいところだ。

左からニッポン放送アナウンサーの清水久嗣氏と元中日ドラゴンズ監督の谷繁元信氏、プレイヤーゲストのまめしば氏
左からeスポーツ専門アナウンサーの平岩康佑氏と元千葉ロッテマリーンズの黒木知宏氏、プレイヤーゲストのアールグレイ氏
左から文化放送アナウンサーの槙島範彦氏とギャオス内藤氏、プレイヤーゲストのハル氏
左から清水久嗣アナウンサーと元ソフトバンクホークスの多村仁志氏、プレイヤーゲストのまめしば氏
左からフリーアナウンサーの田中大貴氏と前ヤクルトスワローズ監督の真中満氏、プレイヤーゲストのめし原氏

開幕戦で注目カードの1つとなったのが、センタースタジアムの第2戦で行われた中日ドラゴンズ対ヤクルトスワローズの一戦。ドラゴンズ愛あふれるでらナゴ!選手とeドラフト会議で4チームから指名を受けたマエピー選手の試合だ。ある程度の打撃戦となることは予想されたが、結果は7対3ででらナゴ!選手の勝利。昨年の覇者であるマエピー選手が初戦を落とすという波乱の展開となった。

3試合通しての結果としては、唯一3連勝を飾った西武ライオンズが、頭ひとつリードと言ったところ。セ・リーグは、2勝1敗2チーム、1勝1敗1分2チーム、1勝2敗2チームと混戦状態だ。なお、試合結果と順位表は公式ページからも確認できる。

昨年までも「パワプロチャンピオンシップ」として、大会は開催されていた。しかしながら、いわゆるeスポーツのような位置づけでもなく、注目度も高くなかったこともあり、今年はプロ選手によるeBASEBALLとして大きく様変わりしている。大会出場経験のある選手たちも、規模の大きさや注目度の高さに驚いているようだった。

読売ジャイアンツ所属のティーノ選手は「人前でプレイするのは昨年もやっていましたが、規模が違いますね。打撃が得意だったので、今回の試合も10点くらい取れるかなと思っていましたが、ベルガモット選手も私も3安打とまったく打てませんでした。気がつかないうちに緊張をしていたんだと思います」と、感想を述べた。

東京ヤクルトスワローズのマエピー選手も「すごく緊張しました。キャッチャーの送球が逸れまくって、4回の盗塁のうち、本来なら2回は刺せたと思いましたし、ピッチャーの悪送球やサードのエラーなど、かなり運にも見放されていました。ただ、それを差し引いたとしても、打ち負けていたので、完敗です。来週に向けて練習してきます」と語っていた。

横浜DeNAベイスターズのAO選手は「たぶん、私は数少ない3年連続出場の選手なのですが、今年はやはり独特です。この場の雰囲気に緊張しました。ただ、勝てばヒーローになれると思っていましたし、逆転ホームランを打ったときの大歓声はすごくて、大舞台での試合を楽しめました」と、いずれにしても大会の規模と注目度には緊張をしていたということがわかった。

阪神タイガースの実力者ベルガモット選手と対戦し、1対0で勝利を収めた読売ジャイアンツ所属のティーノ選手
珍しく大敗を喫した東京ヤクルトスワローズ所属のマエピー選手
少ないチャンスをものにし勝利した横浜DeNAベイスターズ所属のAO選手

そのほか、大会の見どころとしては、元プロ野球選手の解説が間近で聞けることや、球団マスコットとふれあえることが挙げられるだろう。アメリカのいわゆるボールパーク状態で、野球や『パワプロ』に興味がない人も十分に楽しめる時間となったのは間違いない。

今後の予定は、毎週土日にeペナントレースが行われ、12月16日には、クライマックスシリーズにあたる「eリーグ代表戦」が行われる。さらに来年の1月12日には「e日本シリーズ」も開催予定だ。

開幕戦のすべての試合はYouTubeのKONAMI公式チャンネルにアーカイブされているので、興味がある人は観てほしい。プロによる実況解説、試合展開の盛り上がりなど実際のプロ野球と比べても遜色ないので、プロ野球ファンも是非。