何か1つが欠けている? 安東弘樹、「MINI」でクルマ選びの悩みを訴える

安東弘樹のクルマ向上委員会! 第9回

何か1つが欠けている? 安東弘樹、「MINI」でクルマ選びの悩みを訴える

2018.12.11

条件が多い安東さんのクルマ選び

日本に入る輸入車の仕様が「好みと違う」のはなぜ?

ミニが日本で好調な理由とは

「MINI」(ミニ)の上質感はどこから来るのか。その源泉を探るべく、ビー・エム・ダブリュー株式会社を訪れた安東弘樹さん。ミニの商品ラインアップについて話をするうちに、安東さんは自身のクルマ選びにまつわるクルママニアならではの悩みを語り始める。

ビー・エム・ダブリューで「MINI」について取材する安東さん(取材風景の撮影:安藤康之)

ジョンクーパーワークスにはマニュアルを!

安東さん(以下、安):今度はミニの商品ラインアップについてうかがいたいんですけど、個人的には、まず、「ジョンクーパーワークス」(JCW:John Cooper Works、ミニのハイパフォーマンスモデル)には全部、マニュアル(トランスミッション、MT)を入れて欲しいんですよ。あと、ディーゼルエンジンに四駆を組み合わせて欲しいという思いが強くて。「クロスオーバー」(というミニの車種)には(ディーゼル×四駆の組み合わせが)あるんですけど、なぜか「クラブマン」では、ガソリンと四駆が組み合わせてあって、ディーゼルはFF(前輪駆動)だけになってますよね。

ミニ「クロスオーバー」(画像提供:BMW Group)

:クラブマンのJCWにMTがないのはマニア的に少し寂しいですし、ネットでも、そういう意見の方はいるみたいですよ。これって、どういう判断なんでしょうか。JCWでMTにしたくないという意見はまだ分かるんですけど、四駆については、明らかにディーゼルエンジンとの方が親和性がありますし、需要もありそうに思えるんですけど。

ビー・エム・ダブリューの丹羽智彦さん(以下、丹):現行モデルに関しては、それ(ディーゼル×四駆)がまだなされてないんですが、将来的にどうするかはご指摘の通りで、親和性も理解しています。ディーゼルエンジンについては、マーケットの認知が全体的によくなってきていて、そういう意味でニーズがあるのは理解しているんですけど、現行世代では、そこまで舵を切れなかったのかなと。

ビー・エム・ダブリューの前田雅彦さん(以下、前):クラブマンのディーゼルに関していうと、四駆と組み合わせたものは確かにないんですけど、安東さんのおっしゃるところはまさしくそのとおりで、それを含め、クラブマンの後に売り出したモデル、例えば最近モデルチェンジしたクロスオーバーでは、ディーゼルエンジンと四駆の組み合わせをラインアップしたんですよ。

:最初から入ってましたもんね。それは嬉しかったんですけど。

:それで、JCWのMTなんですけど、今の世代の前の商品では全部、JCWにMTを用意してました。「3ドア」も「クーペ」も「ロードスター」も。ですが、ラインアップを見直す中で、あまり(販売台数が)出ないモデルに関しては、ちょっと減らしているというのが現実です。

ミニ「ロードスター」(画像提供:BMW Group)

:あとは、3ドアはキビキビ走るお客様も多いのでMTを残しているんですけど、クラブマンは3ドアに比べ、もうひとつ上の上質なモデルにあえてしているという理由もあります。今、ミニが全体的にプレミアムブランドとして底上げしていて、特にクラブマンとクロスオーバーは、もっとプレミアムに振っていく中で、(これらの車種では)ゆったりとJCWを楽しんでいただければ、ということでAT(オートマチックトランスミッション)だけにしているんです。

:確かに、そうなってくると、クラブマンとクロスオーバーだと、奥さんと旦那さんが両方、運転するケースが増えるかもしれませんしね。

:確かに現行世代のクラブマンは、前世代よりもサイズアップしていますし、客層的にも、今までは若干“2台目のクルマ”という感じだったのを、今世代は、「ファミリーに1台ということであれば、このクルマもどうぞ」という感じにしているので。

:まあ、それはすごく理解できますね。

:ただ、クラブマンとクロスオーバーのJCWには、「スポーツAT」(※)が……

※編集部注:「スポーツAT」では、ハンドルにシフトパドルという装置が付いていて、ドライバーは自身でシフトポジション(1速とか2速とか)を選んで走行できる

:それは選べますね。そこは一番大事なポイントだったんで、ディーラーで確認してあります(笑)

:それでご勘弁というか(笑)、スポーツ走行をお楽しみ頂ければと思うんですけど。

ビー・エム・ダブリュー広報部製品広報マネージャーの前田雅彦さん

ディーゼルエンジンには四駆を!

:四駆の組み合わせも不思議で、逆に、ガソリンエンジンの四駆って、需要があるのかなと思うんですよね。ディーゼルエンジンと組み合わせた方が、台数としても出る気がするんですけど。どちらのエンジンにも四駆がないというのであれば分かるんですけど、なぜガソリンだけなんでしょう。

:クラブマンの場合、今のクルマは2世代目なんですけど、これの誕生時はミニ自体にディーゼルがなくて、ガソリンのみだったんです。その時、BMWではディーゼルを入れてたんですけど、ディーゼルというのがどんな感じか、うちの中でもビジネス的に見極めていたところだったんで。

:先代(初代クラブマン)にもありましたっけ? ガソリンの四駆。

:先代の時は、四駆自体がなかったので。

:つまり、今の世代(2代目=現行型クラブマン)が生まれたときに、前例はないけど、一番高いモデルに、四駆を入れてみようということになったわけですね。

:今後のラインアップの見直しであったり、マイナーチェンジであったり、モデルチェンジのタイミングでは、(ディーゼル×四駆の組み合わせが)入る可能性は十分にありますよね。

ミニ「クラブマン」のディーゼルエンジン車にもそのうち、四輪駆動が設定されるかもしれない

全てのクルマに何か1つが欠けている

:不思議なんですけど、自分が買おうと思うクルマに、何か1つが必ず欠けてるんですよね。見事に、全メーカーの全てのクルマに何か1つが欠けてて。

例えばボルボだったら、シートベンチレーションが付くクルマにはシフトパドルが付かない。メルセデス・ベンツの「オールテレイン」(「E220d 4マチック オールテレイン」のこと。Eクラスのステーションワゴンをベースにしたクロスオーバー車)も欲しいなと思ったんですけど、これは前席と後席で別々にエアコンの温度を調節することができなくて。

うちの奥さんが極端な寒がりで、私が極端な暑がりなので、前後を別々にできるのは必須なんです。今のジャガー(安東さんが乗っているのは「F-PACE」というSUV)は4ゾーン(前後左右、4つのエリアで温度調節できる)でできるんで、快適にやってるんですけど。

:左右だけじゃなくて、前後も必須?

:ええ、前後も。Eクラスほどのクルマで、それができないのが不思議なんですけどね。もうひとつ、これは必須ではないんですけど、ステアリングホイールヒーターも付いてなくて、「え、Eクラスなのに!」って。もう、自分を困らせるために仕様を決めてるんじゃないかって思うくらいで。だから、全部そろっているのがジャガーランドローバー系だけなんですよね。ジャガーは一番下の「XE」から、全部選べるんですよ。4ゾーンも、シートヒーターも、ベンチレーションも、ステアリングヒーターも。

:うち(BMW)の「5シリーズ」でも4ゾーンが選べるんじゃないかな? プチ自慢なんですけど、BMWはエアコンの温度設定が0.5度刻みでできますよ。

:ただ、5シリーズを選べないのはなぜかというと……

:何か足りなかったのかな?

:BMWって、SUV以外では四駆とディーゼルの組み合わせが選べないんですよ。

前&丹:うーん……ないですね。

※編集部注:例えば、BMWのSUV「X5」にはディーゼルエンジンと四輪駆動(BMWでは「xDrive」という)の組み合わせがあるが、セダンとワゴンが選べる「5シリーズ」にはその組み合わせがない。安東さんは都内への通勤にも使えるサイズ感のクルマを探しているので、現在乗っているジャガー「F-PACE」と寸法がほとんど変わらないBMW「X5」は、この場合、選択肢に入らないようだ

スペック暗記王の安東さんが本領発揮!

:なぜ、ここまで俺を困らせる! というか。で、本国(BMWでいえばドイツ)には、全部あるんですよね、私の欲しい設定が。オールテレイン(メルセデス・ベンツ)の4ゾーンも、本国にはあって、選べる。なんでこんなに、日本に住んでいると、自分の選べるクルマが一挙に減るんだろうと思っていて。

:そんな安東さんのために(笑)、うち、入れたんですよ、「7シリーズ」にディーゼルの四駆を。

:あ、「740」(クリーンディーゼルエンジンを搭載する「740d xDrive」「740Ld xDrive」というクルマ)ですよね。でも、セダンなんですよね……

前&丹:ハッハッハ(笑)。

BMW「740」(画像提供:BMW Group)

:後ろのハッチバックは必須なんですよね。全部、何かが欠けてるんですけど、そろうのが今、ジャガーランドローバー系だけなんですよ。

で、今度、ジャガーランドローバーで困ることは、でかいんです、全部。幅が2m級なんですよ。「ヴェラール」(レンジローバー)は1,930mm、私のF-PACEは1,935mmなんで、ここの(ビー・エム・ダブリューが入居するビルの)駐車場に入んないですから。オールテレインは1,860mmで、5シリーズは1,870mmだから……

:(スペックがすらすら飛び出す様子を見ながら)すごいですね……

:台本等はなかなか頭に入りにくくて、「あ、VTR振り忘れた!」ってこととかあるんですけど、クルマのことはどんどん入ってくるんですよね(笑)。仕事にいきないかなーと思うんですけど。

で、クルマの仕様なんですけど、全てが“かすって”いて、私の好みのがないという、すごい状況になってて。

:マックスで95点みたいな。

:全部が95点なんですよね。「740d xDrive」もワゴンだったら買うし、クラブマンのディーゼルも四駆だったら買うし、オールテレインも4ゾーン、せめて3ゾーン(前席の左右と後席で別々に温度調節できる)であれば、とか。ここまで細かく見る人もいないんでしょうけど(笑)。オールテレインを見つけたときは、「よし、やっとか!」と思ったんですけど、よく見てみると、「まじか!」ってなって。

:(丹羽さんに確認する感じで)「3シリーズ」(BMW)のグランツーリスモだったら、ディーゼルの四駆じゃなかったけ?

BMW「3シリーズ グランツーリスモ」(画像提供:BMW Group)

:そうです。でも、4ゾーンができないし、ベンチレーションが付いてないんですよ。だから、どんなクルマも「コレだけがない」というんで買えなかったりするんです。

シートベンチレーションって、真冬でも使うんですよ。シートヒーターと両方を使うくらい。背中が“灼熱地獄”になるので、もし「アルカンターラ」(スエード調の高級なシート素材を作る会社)のシートに乗っちゃったら、暑くて途中で降りちゃうかもしれないってくらいで。運転してると発熱するのかな。

だから、これだけうるさい客もいないと思うんですけど、本当に今、八方ふさがりで、どうしようもないという状況で。ほかのクルマに付いているのであれば付けられない装備ではないと思いますし、本国では現に付いてたりするんですけどね。

運転していると発熱する? というクルママニアの安東さん

海外のサイトを見ると「うわ、全部ある…」

:なかなか、全てをかなえるっていうのが今、難しくて。各メーカーが、より効率のいい販売になってしまっているので、どこかしら、妥協点が発生しちゃうんですよね。

:だから、イギリスのサイト等を見てると、「うわ、全部ある……」みたいになっちゃって。でも、そんな細かいところまではお客さんも見ないと思いますし、効率というか、利潤のこともあるし、理解はできるんですけど。日本に入れる仕様を決めるのは、どういうプロセスなんですか?

:やっぱり、過去の実績がメインですね。トレンドも少しずつ変わりますので、それは反映しますけど、基本的な機能というか、例えばシートヒーターなんかは装着率で見たりできますし、それらを考慮して、仕様を変えたりはしてます。

:逆にいうと不思議なのは、欧州はそれでも(いろんな仕様をそろえても)、採算が合うってことですよね?

:結局、リードタイムなんですよね。日本のお客様も、国産車だと工場が日本にあるので、欲しいクルマをそのままもらえるという利点があって、リードタイムも1カ月くらいがマックスかなと思うので、「それだったら待てるよね」となるんですけど、輸入車の弱点って、ベストなクルマを作ろうとすると、まず、それをドイツ側に発注して、それが船で来るので、「数カ月も待てない」というお客様もいらっしゃいます。そういう兼ね合いがありますね。

:仕様をある程度はしぼっておかないと、ますますリードタイムが長くなるっていうことですか……。例えば、私は1年でも待てるんですけど、そういうお客さんって、あまり相手にされてないっていうと語弊がありますけど、少ないんですかね? 私は13カ月待つといわれても「そうですか」となるし、実際に待ったこともあるんですけど。ただ、「私が死んだらどうなるの?」とは聞いておきますけどね、その可能性はあるので。

暴漢に襲われた場合を考えて体を鍛えていることからも分かるように、安東さんは、いつでも最悪のケースを想定している

:例えば、今乗っているポルシェなんか、13カ月待ったんですけどね。特別な、右ハンドルのMTを選んだので、そういう意味でも、待つのは苦じゃないというか。いろいろな仕様が入れられないのは、やっぱり採算の問題ですか?

:それもありますし、あとは例えば、何かの装備が入れられないというのは、重量の問題も絡むと思いますね。

:重量?

:ええ、例えば4ゾーンって、やっぱり重いんですよね。ダクト口を通してやるので。四駆だと、やっぱりボディ自体が重くなりますし。

:そうか。上級グレードであれば、そういう重量を前提として考えてあるから、重い装備も入れられると。

:そこまで重要視しないかもしれませんけど、減税を考えると、重量もやっぱり影響しますよね。

:なるほど、そこは心中、察するに余りあるというか、本当にご苦労されているということが伝わってくるんですけど……

:すみません、ご希望に添えてなくて……

:いえいえいえいえ!

日本市場でミニが好調な理由

:で、ミニがマイナーチェンジして、数字的にはどんな感じなんですか?

:輸入車市場が最近、ちょっと厳しかったんですけど、なんとか、ミニとしては、市場の影響を受けずに成長できました。

:8月だけは数字が対前年でマイナスだったんですけど、それ以外は全部プラスでした。

:何が、お客さんに受け入れられていると思います?

:商品力が高まっていることもありますが、新しいセグメントに入っていったことで、今まで、ミニを選択していなかった方にも入ってきていただけていると思います。

:あ、新規の方も。はいはい。

マイナーチェンジした「ハッチバック・モデル」の「コンバーチブル」

:当然、クロスオーバーみたいなクルマは、大きなクルマとして競合もそれなりに厳しいんですけど、逆に今まで、どうしても「コンパクトすぎちゃう」ということで視界に入らなかったお客様もいらっしゃったと思うんですね。そこは多少、候補に入れていただいたり、お買い上げいただいたりしているところはあります。

まあ、プロ&コン(賛否がある)で、「“らしさ”が失われる」とおっしゃるお客様がいらっしゃるのも理解しているんですけど、ラインアップを増やして、新しいところを攻めていったことで、初めて購入をご検討いただいたお客様もいますので。

:そうですね、最初から「ミニは小さい」ということに縛られていない、新しいお客さんも多いということですね。

:マインドが全く違うお客様ですね。ハッチバック系のモデルというか、「3ドア」とか「5ドア」は、逆にいうと、こういったクルマが同一セグメントにあまりないので、「やっぱりミニだよね」といってお買い上げいただく方が多いんですけど、一方で、ちょっと大きなクルマになると、競合もありますよね。

:ノスタルジーで乗る方って、やっぱり減ってるんですか?

:じゃないかなと思います。

ブランド名からも「ミニは小さい」というイメージが強いが、「クラブマン」(画像)や「クロスオーバー」といった車種であれば、ファミリーカーとしても十分、運用可能だ(画像提供:BMW Group)

ミニに限らず、全ての輸入車で、自らの望む全ての条件を満たすクルマとは滅多に出会えないという安東さん。メルセデス・ベンツやレンジローバーなど、ミニ以外にもいろいろなクルマを比較検討してみてはいるが、なかなか決め手がないようだ。

さて、話題は「日本でミニが好調な理由」に移った。その要因は、丹羽さんが話すように巧みな商品戦略にもよるのだろうが、おそらく、それだけではないはず。ミニのクルマを欲しがる人は、ミニのブランドイメージにも好感を持っているものと思われるからだ。次回はミニのブランド戦略について、安東さんが迫る。

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いつかは買いたい? 安東弘樹、アストンマーティン「DB11」に乗る!

安東弘樹のクルマ向上委員会! 第17回

いつかは買いたい? 安東弘樹、アストンマーティン「DB11」に乗る!

2019.03.20

アストンマーティンのV8エンジン搭載車「DB11」に試乗

懐古趣味とは無縁、「DB」のデザインは現代の方がカッコいい

車中で「なぜ運転は楽しいか」を自問自答

日本自動車輸入組合(JAIA)の試乗会を訪れている安東弘樹さん。次に乗るのはアストンマーティンの「DB11」だ。憧れる人も多いであろう歴史ある英国製スポーツカーに、安東さんは何を思うのか。

※文と写真はNewsInsight編集部の藤田が担当しました

安東さんと「DB11」

エンジン信者ではなくとも感じる音のよさ

DB11はアストンマーティンのグランドツアラーで、安東さんが乗ったのは4リッターV型8気筒DOHCツインターボエンジン搭載モデル。最大出力は503hp、最大トルクは675Nmで、停止状態から時速100キロへの加速はわずか4秒という速いクルマだ。トランスミッションは8速オートマチック(AT)。オプションを含まないメーカー希望小売価格は2,278万1,177円となっている。

試乗した「DB11」のボディサイズは全長4,705mm、全幅2,060mm、全高1,290mm。車両重量は1,705キロだ

編集部(以下、編):なぜDB11に乗ってみたいと思ったんですか?

安東さん(以下、安):新しいアストンマーティンに乗っておかないと、という気持ちがありました。他のブランドのように試乗会というものが開催されないので、なかなか機会がありませんし。

先ほど、テスラの「モデルX」に乗りましたけど、その後にDB11に乗ると、電気自動車(EV)とは違う加速を味わうことができますね。どちらが好ましいというのはないですけど。

:EVとは違って、エンジン音に迫力がありますね!

:確かに、いい音だとは思います。ただ、エンジン音の信者ではないので、そんなにうるさくなくってもいいというタイプです。大きさより質、という感じでしょうか。

:クルマのキャラクターに合った音がしてほしい?

:そうですね。

室内の作りは、ドイツ車と比べると違いを感じます。ドイツ車だと、例えば革張りのダッシュボードなどは“パンッ!”て張っている感じですけど、こちらは、良くも悪くも作りが緩いというか、革の表面にうねりのようなものが見てとれますね。

:生命感を表現している、とかですかね?

:どうなんでしょうねー。

:乗り心地はいかがですか?

:ダイレクト感が伝わってくるような作りになっているのは分かります。ただ、ダイレクト感を作り手の側で、どのくらい味付けするのがいいのか……クルマって、難しいですね! メーカーが味付けの部分で競い合うのはいいことだと思います。

:2,278万円という価格については?

:……なぜか今、一瞬、安いって思いました(笑)。

多分、これが理由だと思います。先日、ポルシェジャパンのサイトでコンフイギュレーターを使って、最新のポルシェ「911 カレラ 4S」に、必要だと思うオプションを選んでトータルの価格を見積もったら、2,000万円を軽く超えました……。

DB11もオプションを加えたら、金額は跳ね上がるとは思いますが、ポルシェは3Lターボで最大出力450ps、最大トルク530Nmだったのに対して、DB11は4Lターボで503ps、675Nmだったので、それらを比較して、そう思えたのかもしれません。

「DB11」の価格を聞いて、一瞬だけ「安い」と思ったという安東さん

昔のクルマと今のクルマ、カッコいいのはどっち?

:アストンマーティンといえば、ボンドカー(映画「007」シリーズに登場するジェームズ・ボンドが乗るクルマ)のイメージはありますか?

:ありますねー! 一時はBMWになったりしてましたけど、アストンマーティンを復活させましたもんね。最近は、物語にとって必然性がないのに、ボンドカーを無理やり出している感じがあったんですけど、新しい作品ではアストンマーティンが大活躍してました。まあ、本来は目立ってはいけないスパイが乗るクルマではないですけどね(笑)

:「007 ゴールドフィンガー」に登場した初代ボンドカー「DB5」もカッコよかったですもんね!

:「ゴールドフィンガー」も見たんですけど、私に懐古趣味がないので、今のDB11の方がカッコいいと思います。DB5って、今のクルマに比べると、少し“ずんぐりむっくり”しているというか。

:純粋に、カッコよさで比べた場合、現行モデルの方に軍配が上がると?

:そうですね。ただ、日本車は残念ながら昔のクルマ、特に60年代~70年代の方が圧倒的にカッコいいですけどね。

純粋にカッコよさで比べた場合、初代ボンドカー「DB5」よりも試乗中の「DB11」に軍配が上がるというのが安東さんの感想

:アストンマーティンのイメージは?

:好きでした。歴代のクルマには、必ずマニュアルトランスミッション(MT)の設定があったので、乗りこなせたら格好いいだろうなとは思ってました。

:いつかはアストンマーティンを買いたいと思いますか?

:以前は思ってました。でも今は、乗って満足してしまったというか、「これが欲しい!」という感じではないです。スポーツカーの場合、どうしても、MT車にしか食指が動かないんです。DB11って確か、本国にもMTの設定はないですもんね。

:そうすると、現在の愛車であるポルシェ「911 カレラ 4S」を乗り換えるとしたら、どんな選択肢がありますか?

:“992型”の「911 カレラ 4S」()で、右ハンドルのMTって感じですかねー。

【編集部注】次に発売となる新しい「911 カレラ 4S」。つまり、同じクルマの新型をリピート購入したいということ。

:他のメーカーに候補はないですか?

「メガーヌ R.S.」(ルノー)のMTなんかいいですね!

もし、DB11がMTだったとしても、うまくスポーツ走行をする自信はないんですけど、日常でスポーツカーを楽しむという意味では、MTしか選択肢に入らないんです。

なぜステアリングを切っているだけで楽しいのか

:(箱根ターンパイクを走行しつつ)加速って、どうしても慣れてしまいますね。

:結局のところ、速いか遅いかということですしね。

:だとすると、もうテスラなどの電気自動車にはかなわないですもんね。そうすると、操作を楽しむとか、気持ちはそっちにシフトするわけで。

DB11は、トルコン8速ATもよくできていて、十分にいいクルマなんですけど、なんでしょう、どうしてかは分からないんですけど、ひょっとすると、そのうち飽きがくるかもしれないと思ってしまうんです。MTの運転だけは飽きないですからね(笑)

それにしても、こうやって右に左にステアリングを切っているだけなのに、「何が楽しいのかなー?」って、たまに思うこともあるんですけど、なぜだか楽しいんですよね。クルマに興味のない人には、「何が楽しいの? 危ないだけでしょ?」と思われるかもしれないんですけど。

クルマの運転って、興味のない人からすれば、場合によっては悪意がなくても法律的に罰せられるし、命の危険すらあるのに、何が楽しいのか理解できないでしょうね。ただ、なんなんでしょう、とにかく楽しいんですよねー! こういうワインディングロードを走らなくても、普通に、高速道路で制限速度内で走っていても、車窓の景色が変わっていく様子とか、大きな物体を自分で操る感覚が、たまらないです。

ステアリングを右に左に切っているだけで楽しいという安東さん

DB11に乗りながら、なぜクルマの運転は楽しいのかと自問自答を始めた安東さん。助手席から見ていると、その問答自体がすでに、楽しげに見えた。次に乗るクルマは、ポルシェを買い替える場合の選択肢として名前の挙がった「メガーヌ R.S.」だ。

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アウディが新型「A6」を発売、大攻勢の2019年は注目モデルが続々

アウディが新型「A6」を発売、大攻勢の2019年は注目モデルが続々

2019.03.20

8世代目に突入したアッパーミドルセダン「A6」

「アウディ クワトロ」のDNAを受け継ぐエクステリア

最新テクノロジーよりも大切なユーザー目線

アウディ ジャパンは新型「A6セダン」およびワゴンタイプの新型「A6アバント」を3月20日より発売する。車両本体価格は「A6セダン」が920万円~1,006万円、「A6アバント」が955万円~1,041万円。フルモデルチェンジを経たアウディ伝統のアッパーミドルセダン(おおよそ全長4,800mm以上のクラスの高級セダンで、いわゆるEセグメント)は、同社3シリーズ目となる電動車として登場した。

新型「A6」の発表会に登壇したアウディ ジャパン代表取締役社長のフィリップ・ノアック氏。A6は2019年3月20日から全国のアウディ正規ディーラーで販売する

アウディにとって3作目となる電動車

「A6」は1968年にデビューしたアウディのアッパーミドル(中大型クラス)セダンの流れをくむモデル。今作は初代モデル「アウディ100」から数えて8世代目にあたる。「アウディ100」と「A6」の両シリーズを合わせた累計販売台数は820万台。新型のグレードは、「A6セダン」「A6アバント」ともに「55 TFSI quarto S line」と「55 TFSI quarto debut package」の2種類だ。

「A6セダン」は「55 TFSI quarto S line」が1,006万円、「55 TFSI quarto debut package」が920万円
画像3:「A6アバント」は「55 TFSI quarto S line」が1,041万円、「55 TFSI quarto debut package」が955万円

アウディは「A8」「A7」に続き、新型「A6」に電動化技術を組み込んだ。同社は2019年に6車種のプラグインハイブリッド車(PHV)を導入し、2020年末までに合計12車種の電動パワートレイン車をラインアップする電動化戦略を掲げているが、A6の電化はその一環だ。

A6のパワーユニットは、いずれも3.0リッターV6ターボエンジンにマイルドハイブリッドテクノロジー(MHEV)を組み合わせる。この3.0リッターTFSIユニットは、最高出力340ps/5,200-6,400rpm、最大トルク500Nm/1,370-4,500rpmを発揮する。「A6セダン」が停止状態から時速100キロまでの加速に要する時間は5.1秒(欧州仕様参考値)だ。

「アウディ クワトロ」の遺伝子を受け継ぐエクステリア

発表会でノアック社長が「アウディ車にとって重要なメッセージ」と語ったのがデザインだ。2018年にフルモデルチェンジして登場した「A8」「A7」と同じく、新型「A6」も新たなアウディのデザイン言語を体現しており、「ピンと張った面、キリッと尖ったエッジ、目を引くラインなどが特徴」(ノアック社長)だという。

「A6セダン」のフロントマスク
ボディサイズは全長4,950mm、全幅1,885mm、全高1450mm、ホイールベース2,925mm。長いボンネット、ロングホイールベースなど、造形美が光るプロポーションとなっている

従来モデルよりワイドかつ低く配されたシングルフレームグリルに、フラットなヘッドライト。フロントマスクではエアスポイラーを備えた大型のサイドエアインテークも目を引く。サイドビューは先代モデルと比べて引き締まった印象。力強く張り出したホイールアーチ上の輪郭、長く伸びたルーフラインなど、「アウディ クワトロ」のDNAを受け継いでいることを確認できるポイントは随所で発見できる。

この新たなデザイン言語を読み解くのであれば、バランスのとれたエクステリアプロポーションでエレガンスさを、フロントマスクの造形でスポーティーさを演出している、といったところだろうか。

アウディが考えるユーザー中心の開発とは

「A6を日本市場に導入できることをとても嬉しく思うとともに、誇りに思います」と述べたノアック社長は、日本におけるアウディの戦略にも言及した。

アウディ ジャパンの戦略を語るノアック社長

最初に言及したのが商品攻勢だ。今回の新型「A6」に加えて、新型「RS4アバント」、アウディ ジャパン初のクリーンディーゼルエンジン搭載車となった新型「Q5 40 TDI クワトロ」を発表するなど、積極的な姿勢が目立つアウディ。2019年は今後も、ほぼ毎月、新モデルを投入する予定だという。アウディ初の電気自動車(EV)「e-tron」や新たなセグメントへの参入となる「Q8」など、注目度の高い車種も発表の時を待っている。

そして、ノアック氏が強調したのが、ユーザーを中心に据える「カスタマー・セントリシティ」という考え方だ。

「A6セダン」のコックピット。ドライバー正面とセンターコンソール上部、さらにセンターコンソール下部の3カ所に大型ディスプレイが設置してある

この言葉、ノアック社長は単なる顧客満足度の向上という意味では使っていない。その真意として同氏は、「アウディブランドは新しい技術を駆使し、新たな価値あるものを作り出していきます。ただ、アウディにとってテクノロジーは重要ですが、それ以上に大事なのは、お客様の視点です」と説明した。

どれだけ優れた技術であっても、ユーザーに必要とされなければ、それは不要な技術といえる。新型「A6」は最新のテクノロジーを搭載するが、快適性の向上やドライバーサポートアシスタントシステムの充実、安全性の高さなどは、いずれもユーザーに望まれる技術である。新型車が登場すると新たな機能に注目が集まりがちだが、重要なのは、その機能がユーザーの求めるものであるかどうかだ。

最後にノアック氏は、「今年は本当にエキサイティングな年になると思います。この1年をぜひ、アウディとともにお楽しみください」と語り、記者発表を締めくくった。

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