KDDIが楽天と提携、ドコモ「2~4割値下げ」への追従を否定

KDDIが楽天と提携、ドコモ「2~4割値下げ」への追従を否定

2018.11.02

値下げ論争で注目集まる、KDDIが第2四半期決算の説明会

KDDIと楽天がローミングや物流、決済などで提携へ

ドコモ「2~4割値下げ」には安易に追従しない考え

11月1日、KDDIは2018年度第2四半期決算についての記者会見を開き、その中で、楽天とローミングや物流、決済などで提携することを発表した。2019年10月に携帯電話事業に参入する楽天は、auのネットワークを利用して当初から全国展開する。

KDDIと楽天が「事業協争」を発表、両社の強みを相互利用へ

10月31日のドコモの携帯料金値下げ発表を受け、携帯各社の株価は大きく下落する中での決算会見となったが、KDDIはすでに値下げと還元してきたことを理由に追従値下げは明確に否定。自らを「民間企業」と強調し、持続的な成長に向けた取り組みをアピールした。

楽天提携、ローミングや決済・物流で「協争」関係に

KDDIの第2四半期の連結業績は前年同期比で増収増益となった。au契約者1人あたり通信料収入(au通信ARPA)が前年同期の5970円から5870円に下がるなど本業の通信料収入は減少したが、非通信事業の付加価値ARPAやビジネスセグメントの増益でカバーする結果となった。

説明会におけるサプライズとなったのが楽天との提携発表だ。KDDIと楽天がお互いのアセットを相互に利用する形で経済圏の拡充を狙うもので、KDDI 代表取締役社長の高橋誠氏は両社の関係を「協調」と「競争」を組み合わせた「協争」という言葉で表した。

楽天との提携を発表したKDDI 代表取締役社長の高橋誠氏

携帯電話事業に参入する楽天にとって、目下の課題が基地局の全国展開だ。だがKDDIとのローミング協定により、東京23区、大阪市などの混雑エリア以外ではauの基地局を利用する形で、2019年10月のサービス開始と同時に全国でLTE通信を提供できるという。

一方、楽天はKDDIに決済や物流基盤を提供する。これによりKDDIは、準備を進めていたQRコード決済を「au PAY」の名称で2019年4月に提供開始する。このau PAYでは楽天ペイのシステムを利用し、対応店舗にも相乗りする形でサービス開始と同時に全国120万カ所に展開する見通しだ。

QRコード決済「au PAY」を2019年4月に開始。楽天Payのシステムを利用

このように2019年には、KDDIはQR決済、楽天は携帯電話事業にそれぞれ新規参入する。そこでお互いに相手方の基盤を利用すれば、サービス開始直後から全国展開できるというわけだ。

楽天との提携に踏み切った経緯について高橋氏は、「我々が断っても、どこかと組んでいたはずだ」と語る。ドコモやソフトバンクに比べればKDDIと楽天は相性が良く、現状考え得る選択肢の中ではベストな組み合わせと評価する声は多い。

KDDIは「値下げ済み」、下落した株価は「お買い得」

次に、携帯キャリアにとって避けて通れないのが携帯料金の値下げ議論だ。10月31日にドコモが「2~4割程度の値下げ」を発表したことについて高橋氏は「正直に言って驚いた」と語る。その一方で、安易な追従値下げはしないとの姿勢を貫いた。

その背景として、ドコモが導入を検討している端末代金と通信料金を分けた「分離プラン」は、KDDIは2017年夏から提供しており、1年後に通信料金の平均請求額は約3割下がったという。これによる減収額は3000億円規模に達しているとして、「ここから(ドコモのような)4000億円の還元というのは絶対にない」と明確に否定した。

分離プランの導入で平均請求額は約3割低下したという

一方でKDDIの株価は11月1日に年初来安値を更新するなど、ドコモの発表を受けた収益悪化懸念から大きく下落した。この点については高橋氏は「業績は好調で、これからドコモが取り組む分離モデルの導入や端末インセンティブの抑制といった『宿題』は終えている」と違いをアピール。株価の下落は市場の勘違いであるとして、「ちょうどお買い得ではないか」と笑いを誘った。

ドコモにつられて下がったKDDI株は「お買い得」と反論

KDDIが目指すのは「非通信」事業の拡大だ。通信ARPAが下がっていく中、auかんたん決済やau WALLETなど金融サービスの手数料収入、auスマートパスプレミアムなど「付加価値ARPA」でカバーすることで、両者を合算した「総合ARPA」を伸ばしていく。その方向性自体はドコモと大きく変わらないといえる。

通信ARPAの減少を付加価値ARPAで補う

ドコモの値下げ追従は否定したが、楽天については「出方を見てから対応する」(高橋氏)と慎重だ。ローミングでは協調する一方、全国のauショップで楽天の商品を扱う予定はなく、競争の部分も残している。楽天側は実店舗展開も課題となっており、auショップを利用できなければ苦しい展開が予想される。協調と競争をどこで線引きするのか、両社の駆け引きに注目したい。

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

2018.11.16

シャープが新スマホ「AQUOS R2 compact」を発表

大画面化の波に逆らい、「片手ポケット族」が増加傾向に

iPhone不在の「小型スマホ」市場を狙う

11月15日、シャープがAndroidスマートフォンの新製品「AQUOS R2 compact」を発表した。名前に「compact」と付いている通り、最近のスマホ市場では選択肢が減っている小型モデルであることが特徴だ。

小型スマホの需要を取り込む「AQUOS R2 compact」

コンパクトな見た目とは裏腹に、中身にはハイエンドである「AQUOS R」シリーズのスペックを詰め込んでいる。世界的にスマホの大画面化がトレンドとなっている中で、あえて時代に逆行するシャープの狙いはどこにあるのだろうか。

スマホを片手で持ち、ポケットに入れて使う人が増加

世界のスマホ市場では、6.5インチの「iPhone XS Max」に代表される大画面モデルが人気を博している。だが、日本では通勤電車などの利用シーンにおいて、片手で使う人が多いといわれている。シャープによれば、スマホを片手で持つ人は64% 、服のポケットに入れて持ち運ぶ人は49% に達しており、その割合は上昇傾向にあるという。

片手で持ち、ポケットに入れて持ち歩く「片手ポケット族」が多いという

その背景として、シャープはスマホの「インフラ化」を指摘する。SNSやコンテンツを楽しむだけでなく、サービスの利用やモバイル決済にスマホは欠かせない存在になっており、日常生活でスマホを取り出す場面が増えている。

AQUOS R2 compactは、日本人の手のサイズを念頭に置いた「横幅64mm」のボディに、できるだけ高性能な部品を詰め込んだハイエンドコンパクト機になっている。プロセッサは最新のSnapdragon 845、メモリは4GBを搭載しているが、これは大画面モデルのAQUOS R2と同等だ。

ポケットに入れやすいサイズに高性能を詰め込んだ

スマホ本体を小型化する一方、画面は前モデルの「AQUOS R compact」より大型化した。このためにシャープは画面の上下に切り欠き(ノッチ)を持つIGZOディスプレイを開発。インカメラと指紋センサを搭載しつつ、表示領域を上下に広げてきた。

前モデル(左)と比べて新モデル(右)は表示領域が広がった

「iPhone不在」の小型スマホ市場を直撃

シャープによれば、小型スマホを求める人は全体の3割程度という。スマホ市場では残りの7割に向けた大画面モデルが幅を利かせており、最新のiPhoneでは6.5インチのXS Maxに加え、一般向けモデルの「iPhone XR」も6.1インチとなっている。

一方、小型モデルとして根強い人気のあった「iPhone SE」は、後継モデルが出ないまま販売が終了。中古市場では価格が上昇する騒ぎもあった。

日本で最大シェアを誇るiPhoneだが、小型スマホ市場では存在感が薄れつつある。ソニーモバイルはXperiaシリーズのコンパクト機を投入しているが、2018年夏モデルの「Xperia XZ2 Compact」と比較して、シャープ機は画面の大きさ、薄さ、軽さの面で圧倒している。

中国メーカーとして日本でも勢いを伸ばすファーウェイ、OPPOも世界市場において大画面化競争を繰り広げており、小型モデルに積極的な動きは見せていない。この点もシャープにとって有利に働いている状況だ。

また、AQUOS R2 compactは顔認証と指紋認証の両方に対応しているのも特徴。これは、iPhoneにもXperiaにもない機能だ。スマホをポケットから取り出し、顔の前に持ち上げるだけでロックを解除できる顔認証だが、卓上に置いている場合は使いにくい。だが指紋センサがあれば、指を置くだけで済む。

顔認証に加えて指紋認証にも対応

スマホの端末メーカーの多くはグローバル市場に目を向け、大画面化のトレンドを追いがちだ。だが、シャープは国内の需要をしっかりとらえた上で、日本のユーザーに刺さる製品作りを続けている。

依然としてiPhone人気が続いている中で、限られた市場であっても「不在」のチャンスをタイムリーに活かし、ユーザーを奪還する。国内に目配りできるシャープならではの戦い方に注目したい。

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第23回

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

2018.11.16

海外メーカーの台頭で日本にも大画面化の波が到来

大画面化と使いやすさの両立、各社の工夫の歴史

縦長スマホにとって代わるのは「折り畳み」スマホか

スマートフォンのディスプレイは年々大型化が進んでおり、かつては「大きすぎる」と言われた5インチディスプレイが、今や小さい部類に入ってしまうほどだ。一方で使いやすさを維持しながらディスプレイの大画面化を実現するため、メーカー各社はさまざまな工夫を重ねている。スマートフォンのディスプレイサイズはなぜ大きくなり、今後はどのように変化していくのだろうか。

海外メーカーの台頭で日本でも大画面化に拍車

スマートフォンにとってディスプレイは、単に情報を表示するだけでなく、タッチして操作するインタフェースも兼ねている非常に重要な存在だ。そのスマートフォンのディスプレイが、ここ10年ほどで最も大きく変化した要素が「サイズ」である。

どれくらい大きくなったのかというのは、新旧のスマートフォンのディスプレイサイズを比べてみれば一目瞭然だ。日本で最初に発売されたiPhoneである「iPhone 3G」のディスプレイサイズは3.5インチだった。一方、「iPhone X」や「iPhone XS」、「iPhone XR」といった最近のiPhoneのディスプレイサイズは6インチ級があたりまえ。1.7倍に以上に拡大しているのだ。

今やスマートフォンのディスプレイサイズは5インチ以上が一般的で、6インチも珍しくなくなった。画像の「iPhone X」のディスプレイサイズは5.85インチだ

さらに「iPhone XS Max」は6.5インチもあるし、他の大手メーカーでもサムスン電子の「Galaxy S9+」やファーウェイの「HUAWEI P20 Pro」のように、6インチを超えるディスプレイを採用した機種は増えている。なぜ、これほどまでにディスプレイサイズが大きくなったのかというと、それは大画面が欲しいというユーザーが多いため。スマートフォンの性能向上によって動画やコミック、ゲームなどのコンテンツを楽しむ人が増えていることから、ユーザーのニーズに応えるかたちで、大画面が求められるようになったといえよう。

だが日本国内の事情に目を向けてみると、公共交通機関での通勤・通学が多いのに加え、片手で文字入力ができる「フリック入力」が広く普及したこともあり、片手でスマートフォンを操作する傾向が強く、実は大画面に対するニーズはそこまで大きい訳ではない。実際日本では、4インチディスプレイの「iPhone SE」が人気を保っていたし、シャープの「AQUOS R Compact」やソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia XZ2 Compact」などのように、4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトなスマートフォンも投入されている。

2018年の夏モデルとして販売されている「Xperia XZ2 Compact」は4.9インチと、最近では珍しくなった4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトモデルだ

にもかかわらず、日本でも大画面のスマートフォンが増えているのはなぜか。まずは国内のスマートフォンメーカーが減少したことで、市場に海外メーカー製のスマートフォンが増えているためだ。海外では移動手段の違いに加え、文字入力システムの違いからスマートフォンを両手で持って操作する機会も多く、片手操作に対するこだわりが弱いのだ。

新興国などでも、ディスプレイサイズが大きいほど人気が出る傾向が目立ち、大画面に対するニーズが強いのである。海外製スマートフォンが日本市場に入り込みやすくなったことが、日本国内においてもスマートフォンの大画面化を進めたといえる。

縦長スマホの元祖はアップルだった?

とはいえ、スマートフォンが大画面化するに従って、本体の横幅がひろがり、さすがに海外のユーザーからも「持ちづらい」という声が増えてきたようだ。そこで近年急速に増えているのが、従来の16:9比率ではなく、18:9や19:9といった縦長比率のディスプレイの採用である。

持ちづらさに影響する横幅をこれ以上広げることなく、ディスプレイを縦に伸ばすことで大画面化しようとしたのだ。この流れをけん引したのは韓国メーカーで、2017年にはLGエレクトロニクスが「LG G6」(日本未発売)、サムスン電子が「Galaxy S8/S8+」といったように、縦長比率のディスプレイを採用した機種を積極的に投入した。

2017年発売の「Galaxy S8」「Galaxy S8+」は、18.9:9と縦長比率の有機ELディスプレイ「インフィニティディスプレイ」を採用したことで大きな話題となった

この韓国の両メーカーとも、グループ内にディスプレイデバイスを開発する企業を持っている。それゆえ縦長比率のディスプレイが生み出されたのには、実は大画面化だけが目的ではない。自社のスマートフォンに新しいディスプレイをいち早く搭載し、トレンドを作り上げることで、グループ企業のディスプレイデバイス販売拡大につなげる狙いもあったといえる。

だが、縦長ディスプレイで大画面化するというアイデアを真っ先に実践したのは、実はアップルである。アップルはかつてディスプレイの大画面化に消極的で、2011年発売の「iPhone 4s」までは3.5インチのサイズにこだわっていた。だが大画面化を求めるユーザーの声を受け、2012年発売の「iPhone 5」でディスプレイサイズを4インチに拡大した際に、ディスプレイの横幅はそのままに、縦に長くするという手法をとったのである。ある意味、アップルは5年前に現在のトレンドを先取りしていた、といえるかもしれない。

スマートフォンのディスプレイを縦に伸ばして大画面化するというアイデアをいち早く実践したのは、アップルの「iPhone 5」だった

しかしながら、ディスプレイを縦に伸ばして画面サイズを大きくする工夫にも、いずれ物理的な限界が来ることは目に見えている。そこで、さらなる大画面化の追求で、いま注目されているのが折り畳み式ディスプレイだ。このアイデア自体は、NTTドコモが2013年の「MEDIAS W」(NECカシオ モバイルコミュニケーションズ製)、2018年の「M」(ZTE製)で既に実現しているものだが、いずれも2枚のディスプレイを用いていたため、どうしても画面の折り目に継ぎ目が発生してしまう弱みを抱えている。

折り畳みスマートフォンとして注目されたNTTドコモの「M」は、2枚のディスプレイを用いるスタイルであるため折り畳み部分に継ぎ目が発生してしまう

だが有機ELを用いれば、ディスプレイを折り曲げられる“真の”折り畳みスマートフォンが開発できると言われており、大手スマートフォンメーカーがその開発を進めているとの観測報道も幾度となくなされている。

これは折り畳みできるという意味の「フォルダブル」スマホなどと呼ばれ、先ごろはサムスン電子が、来年発表するというフォルダブルスマホ「Galaxy F」のプロトタイプを開発者向けに見せはじめたりしている。2019年は各社から製品が登場するのではないか? との声もあるようだが、いま確実に言えることは、真の折り畳みスマートフォンがいつ、どのメーカーが、どのような形で投入するのかが、大いに注目されているということだけである。