ドコモが2〜4割程度の値下げを明言、減益覚悟も利益回復に自信

ドコモが2〜4割程度の値下げを明言、減益覚悟も利益回復に自信

2018.11.01

ドコモが料金プランを「2~4割程度」値下げする方針を発表

値下げの背景に、料金プランへの不満の声

KDDI、ソフトバンクの料金施策にも期待が集まる

10月31日、NTTドコモは2018年度第2四半期決算説明会において、料金プランを「2〜4割程度」値下げする方針を発表した。新たな料金プランは、2019年第1四半期に発表・提供開始する。

決算説明会で「2〜4割程度の値下げ」を発表したNTTドコモ代表取締役社長の吉澤和弘氏

この値下げに伴う契約者への還元額は、1年あたり最大4000億円規模になるという。値下げによる一時的な減益は避けられないものの、5年後の2023年には現在の水準まで利益を回復できると自信を見せるドコモ。ではどうやって実現するのか、カギとなるのは「非通信」サービスの拡大だ。

「2〜4割程度の値下げ」 背景に料金プランへの不満の声

携帯キャリアは儲けすぎとの批判が強まる中、2018年8月の菅義偉官房長官による「携帯料金は4割程度の値下げ余地がある」発言を契機に、値下げへの期待が高まっていた。

その中でドコモは、他キャリアに先んじて値下げへの取り組みを発表。2019年第1四半期に料金プランを大胆に見直し、「2〜4割程度」値下げすることで最大4000億円規模の還元するという計画を明らかにした。

「大胆な料金プランの見直し」を発表

具体的には、端末代金と回線料金を分けた「分離プラン」を軸に検討しているという。ドコモが政府の圧力に屈したという見方もできるが、吉澤氏はあくまで自主的に決めたものとしている。同社の調査で、約5割の客が「料金プランがわかりにくい」と回答していたことが、プランの見直し理由の1つだ。

値下げにより4000億円を還元することで減益は避けられないが、2021年度には営業収益5兆円、2023年度の営業利益は現在の水準である9900億円に回復する見通しだという。ドコモがその根拠に挙げたのが、スマートライフや法人ビジネスなど通信以外のビジネスの拡大だ。

スマートライフ領域や法人ビジネスの拡大で減益を補う見通し

ドコモが拡大を狙う「非通信」サービスとは

NTTドコモの事業は、大きく分けて携帯やスマホの「通信事業」と、それ以外の「スマートライフ領域事業」に分かれている。スマートライフ領域とは、「あんしん系サポート」や「コンテンツ・コマース」、「金融・決済」、「法人ソリューション」などが占める。

例えば、「dカード」や「d払い」など金融・決済サービスの取扱高は、前年上期から22%増の1兆8300億円に、dカード契約数は同6%増の1941万件と順調に伸びている。dポイントの利用は1年で1.5倍、dポイントが使える店舗は2.1倍に増えるなど、さらなる成長が見込める領域だ。

ただし、ドコモの軸足はあくまで通信事業にある。2018年度上期の営業利益6105億円のうち、通信事業は5245億円で約86%を占める。一方のスマートライフ領域は約14%の860億円に過ぎない。値下げによる減益をカバーするには、スマートライフ領域の大幅なてこ入れが必要となる。

そこでドコモの中期経営戦略では、「会員基盤」からの収益拡大を目指すという。たとえばドコモの回線契約がなくとも、無料のIDである「dアカウント」に登録すれば、dポイントを貯めたりdマガジンを購読したりできる。

こうした会員を2021年度に7800万人、将来的には1億人にまで拡大する。パートナー企業も2021年度に5000社に増やすことで、両者をドコモの5GやAI、dポイントなどで結びつける「+d」構想を拡大。そこから収益につなげようという戦略だ。

ドコモの会員基盤とパートナー企業を結びつける

次世代ネットワーク「5G」についても、2019年から2023年度の累計で1兆円を投資することを発表。2019年のラグビーワールドカップで先行して5G体験を提供し、2020年春の商用サービスを目指すとした。

5Gインフラ構築に5年間で1兆円を投資

このようにドコモは「2〜4割値下げ」を打ち出しつつも、減益を5年程度でカバーできる見通しを出してきた。その中で、2019年第1四半期という提供タイミングについては、下半期の「新規事業者の参入」も意識したという。携帯電話事業事業に参入する楽天を牽制する構えだ。

携帯料金値下げの議論で政府からも期待される楽天だが、ドコモが先んじて「4割値下げ」を実現すれば、KDDIとソフトバンクも何らかの形で追従せざるを得なくなり、楽天参入のインパクトは弱まることになる。年明けから来春にかけて、各キャリアがどのような料金施策を打ち出してくるか、目が離せない展開になりそうだ。

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

2019.03.22

ネットの学校「N高」の卒業式に潜入

開校時に入学したN高1期生が卒業した

世間の注目を浴び続けた生徒は、何を想う?

3月、角川ドワンゴ学園「N高等学校」の卒業式が東京・お台場にて開催された。

「ネットの高校」として、3年前に設立したN高。この日、2016年の開校時に入学した第1期生と、途中転入・編入した生徒をあわせ、計1593名が卒業した。3年前、『VR入学式』で世間を賑わせたこの学校を巣立つ卒業生たちは、N高での日々をどう捉え、今後はどのようなキャリアを描いていくのだろうか。

卒業式は2019年3月20日、お台場にて行われた

卒業式を彩る最新テクノロジー

N高は、ドワンゴとKADOKAWAの経営統合で誕生したカドカワが設立母体となり、2016年4月に開校された通信制高校だ。同校は開校後、2年次編入なども受け入れてきたため、これまでも卒業生を排出してきてはいたが、「1年生~3年生をN高で過ごした生徒」が卒業するのは、初めてのことだ。

卒業式には多くの報道陣も参加した。生徒にとって、「卒業式に記者がいる」「自分たちが卒業する様子がテレビやWebで取り上げられる」というのは不思議な感覚だろう。とはいえ、もう「VR入学式」に「ニコニコ超会議」へのブース出展(N高ではそれを「文化祭」と表現)などの経験を経て、メディアへの露出には慣れてしまっているのかもしれない。

そして、今回の卒業式も例によって独特だった。

卒業式は任意参加で、会場には袴や制服に身を包んだ生徒が集まる一方、その様子をライブ配信することで、会場に来られない生徒生徒も参加できる仕組みになっていた。会場のスクリーン上にはニコニコ生放送さながら、リアルタイムでコメントが表示されており、こうした演出は「N高らしい」といった印象を受けた。

卒業式の様子。オンライン参加者のコメントがスクリーンを流れる

中でも印象深かったのは、当日来られなかった生徒を代表して、米シリコンバレーに留学中の佐々木雅斗さんが「ロボット」に自分の顔を映して卒業証書を受け取ったシーンだ。

使用したのは、ANAが“未来の移動手段”として開発する、視覚・聴覚・触覚などを備えた、ユーザーの分身となるロボット「ANA AVATAR」。同校ではこのロボットを試験的に授業にも導入しているそうで、こういった最新のテクノロジーを使うあたりもN高らしい。

遠隔操作ロボット「ANA AVATAR(Beam Pro)」を用いて卒業証書を受け取った佐々木さん

と、テクノロジーにばかり目が行きがちではあるが、そもそも「高校生がシリコンバレーに留学している」という事実も驚くべき点だ。高校に通いながらも、シリコンバレーでビジネスを学ぶ――、というキャリアを選べるのは、学校という場所の制約を受けない、ネットの高校のメリットと言えるだろう。

卒業式にはほかにも「異色のキャリア」を持つ生徒たちが集まり、特に活躍した卒業生に対する特別表彰も行われた。

表彰を受けたのは、東京から鹿児島県に移住し、農業や水産業を手伝い地域活性化に貢献する白鳥優季さん、第18回アジア競技大会ジャカルタ・パレンバン「ウイニングイレブン 2018」eスポーツ 金メダリストの相原翼さん、N高のプログラムを最大限に活用し、スタンフォード大学やオックスフォード大学のサマープログラムに参加した冨樫真凜さんなど。その活躍の幅は広い。

さまざまな分野で活躍したN高生に対しては、特別表彰が行われ、記念品としてクリスタルトロフィーが贈呈された

メディア露出が多いがゆえに高まる期待値

N高を卒業した個性豊かな面々は、今後は大学進学、就職とさまざまなキャリアを歩む。

日本初で唯一N高にのみ実在するという「起業部」に所属し、かつ起業第一号として「Easy Go」という会社を創業している、鈴木颯人さんと山田陽大さんから「N高で過ごした時間」についてコメントをもらった。

「元々は地元の進学校に通っていたのですが、『自分が好きなことをしたい』『起業したい』という想いがあり、N高に入学しました。年齢や場所に縛られず、多くの人とコミュニケーションを取れ、充実した3年を過ごせました」(鈴木さん)

「以前通っていた学校が自分と合わず、ネットで見つけたN高で『ここだったら新しいことができるかも』と入学を決意しました。今振り返ってみて、やはり『この学校に来てよかった』と思います」(山田さん)

Easy Go代表取締役の鈴木颯人さん(左)と取締役の山田陽大さん(右)

2人に限らず、卒業生のコメントを聞いていくと「この場所で挑戦してみたい」という想いの元、N高を選んでいる生徒が多い印象だ。

普通の高校とは違い、メディアに露出する機会の多いN高での生活は、良くも悪くも、世間からの注目を浴びる。まだ高校生の彼らにとっては、その視線が時に辛く感じることもあっただろう。ただ、その一方で鈴木さんは「初めて会う方とお話しする際、『N高出身です』と言うだけで、会話が広がることがよくあります」とその知名度を好意的に捉えている。

若くして、覚悟を持ってN高という環境に飛び込んだ生徒たちは、周囲の視線を浴びつつ、たくましく成長してきたことだろう。「N高出身」というキャリアは、彼らにとって1つの大きな武器になりそうだ。

カドカワは新たに2019年4月から、「N中等部」も開校する予定だ。「ネットの学校」という、世間の注目が集まる新しいコンセプトの学校だからこそ、在校生・卒業生の動向は、今後もしばらくは注目され続けそうだ。

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スマホは「望遠」でデジカメに追い打ち? OPPOの10倍ズーム技術が面白い

スマホは「望遠」でデジカメに追い打ち? OPPOの10倍ズーム技術が面白い

2019.03.22

中国スマホメーカーのOPPOが独自のカメラ技術を説明

開発競争が続くスマホカメラ、トレンドは「望遠」へ

高倍率ズームスマホの登場で、デジカメの優位性に危機?

中国のスマホメーカーとしてシェアを急拡大するOPPOが独自に新開発したカメラ技術、「10倍ハイブリッドズーム」が面白い。実際に2019年の新機種からスマホへの搭載を進め、日本市場へも製品を投入するという。

OPPOが「10倍ハイブリッドズーム」技術を紹介

メーカー間の開発競争が続くスマホカメラだが、「望遠」が次のトレンドになりつつある。デジタルカメラに匹敵する10倍もの高倍率ズームを、OPPOはどのように実現したのだろうか。

1年で7機種を投入、気付いた「日本市場の難しさ」

OPPOは世界のスマホ市場で熾烈な4位争いを繰り広げている。サムスン、アップル、ファーウェイのトップ3社に続く集団の中で、2018年は中国Xiaomiに僅差で迫る5位になった(IDC調べ)。

OPPOは2018年、日本市場で7機種のスマホを発売した。OPPO日本法人の鄧宇辰社長は、これまでに国内販売チャネルを12に拡大し、あわせて認定修理店を全国に展開したことを挙げ、「日本のSIMフリー市場でいち早く成長するブランドになった」と振り返る。

オッポジャパン 代表取締役社長の鄧宇辰氏
2018年の1年間にスマホを7機種投入

2019年は国内展開をさらに加速する。日本の消費者に向けたコミットメントとして、件の「10倍ハイブリッドズーム」機能を備えたスマホや、FeliCa・防水対応のスマホ、新たに立ち上げたブランド「Reno」シリーズの市場投入を約束する。

また、話題の「5Gスマホ」の市場投入も急ぐ。日本では5Gの周波数がまだキャリアに割り当てられていないものの、ドコモ、KDDI、ソフトバンクを含む世界の事業者と標準化に向けて連携しており、準備を整えていることを強調する。

MWC19のQualcommブースではOPPOが5Gスマホを実演

一方で鄧社長は、日本市場の難しさについて、「1年の経験を通して、日本市場は他の国と違うことに気付いた。消費の習慣や求めるレベルも高い。グローバルのやり方を日本に持ってきても通用しない」とも述べている。日本市場における品質やサービスの要求水準の高さは、多くのメーカーが直面してきた課題だが、OPPOも同じ壁にぶつかったといえそうだ。

スマホカメラ、次のトレンドは「望遠」に

そのOPPOが市場攻略にあたり、特に注力をしはじめたのが「カメラ」だ。その中でも、業界では次の進化ポイントとして「望遠」技術に注目が集まっている。

そもそもスマホはデジカメと違い本体が薄いため、搭載できるレンズに物理的な制約がある。このレンズの制約から、スマホのカメラはどうしても焦点距離の狭さが弱点になってしまっていた。そこで最近はスマホに複数のカメラを内蔵し、それぞれで広角や望遠を使い分けることで、この弱点を克服しようと進化している。

OPPOの「10倍ハイブリッドズーム」技術は、この弱点に対し異なるアプローチで挑む。プリズムを使って光を屈曲させるペリスコープ(屈曲光学)構造をカメラモジュールに採用することで、レンズを従来の垂直方向ではなく水平に配置できるようにした。これにより、薄型のスマホであっても、光学レンズでは従来不可能だった高倍率ズームが搭載できる。

光を曲げるペリスコープ構造を採用

ただ、35mm換算での焦点距離は16~160mmの10倍となっており、一般的なコンデジの感覚では5倍ズーム程度の性能だ。8.1倍以上はデジタル処理を組み合わせた「ハイブリッドズーム」としているなど、いくつか注意点はある。とは言え、これまでにない望遠レンズをスマホで扱えるのは面白い。

10倍ハイブリッドズームによる画角の違い

OPPOは既に報道陣に向けて、この10倍ハイブリッドズーム技術を搭載するスマホの開発デモ機を公開している。2019年の第2四半期には製品化する計画で、日本市場へも2019年中に投入する見込みだ。

10倍ハイブリッドズームのデモ機。5Gにも対応できるという

特にカジュアルなカメラ需要の受け皿としてスマホに押されがちなデジタルカメラだが、高倍率ズームはスマホには無い、デジカメに残された得意分野のひとつだった。だが望遠もスマホで十分撮れるとなれば、いよいよその優位性も危うくなる。今回のズーム技術は、デジカメ市場をもう一段縮小させてしまう可能性を秘めているのだ。

最大のライバルであるファーウェイも「HUAWEI P30」シリーズで望遠カメラを搭載するとみられており、今後は各メーカーが高倍率ズームで競い合うことは間違いなさそうだ。

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