ホンダが新型「インサイト」を2018年中に発売、ハイブリッドの正統派に商機あり?

ホンダが新型「インサイト」を2018年中に発売、ハイブリッドの正統派に商機あり?

2018.11.01

ホンダが「環境車でも妥協せず」に作った3代目「インサイト」

価格は「アコード」と「シビック」の中間

ハイブリッドセダン市場で潜在需要を開拓できるか

ホンダは新型ハイブリッドセダン「インサイト」について一部の情報を先行公開した。発売は2018年中、価格は「アコード」と「シビック」の中間というのが主な内容だが、事前説明会で見聞きした新型インサイトの印象は、トヨタ自動車の「プリウス」に対する新たな選択肢になり得るのでは、というものだった。

ホンダの新型「インサイト」

環境車だからといって、妥協したくなかったホンダ

インサイトは今回の新型で3代目。ハイブリッド専用車として1999年に誕生した初代モデルは当時、燃費で世界一を達成したクルマだ。2代目は「ハイブリッド・フォー・エブリワン」を掲げて2009年に登場したが、2014年に販売終了となっていた。

「インサイト」は今回で3代目だ

新型「インサイト」の開発責任者を務めた本田技術研究所 四輪R&Dセンターの堀川克己氏によると、3代目では「ハイブリッド車が定着し、環境車のバリエーションが増えた今だからこそ、『環境車だから』と我慢、妥協をせずに済むよう、クルマの本質的な価値を備えたものを提供したい」と考えたとのことだ。

新型「インサイト」の開発責任者を務めた本田技術研究所の堀川氏

例えば走りの面では、初代と2代目はエンジンが主体で、それをモーターがアシストするシステムを採用していたが、3代目では電気自動車(EV)のように走ることも可能なホンダ独自の2モーターストロングハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-MMD」を搭載した。これにより、環境車だからと妥協せず、力強い加速とシームレスな走りを実現できたという。

ホンダは「2030年に四輪車グローバル販売台数の3分の2を電動化する」という目標を掲げているが、このi-MMDは「電動化に向けて大きく前進していくホンダが採用するシステム」であり、「これからは幅を広げ、より多くのクルマに搭載される可能性を持っている」と堀川氏は説明する。

1.5Lのエンジンにi-MMDを組み合わせるパワートレイン。走行モードは3つあり、「EVドライブモード」を選べばバッテリーとモーターのみでEVのように走れる

デザインは正統派、パッケージングに工夫あり

デザインのキーワードは「エレガント」と「ダイナミック」。後部へ向けてなだらかに下降する屋根のラインにはクーペの要素も垣間見えるが、まず、オーソドックスなセダンのスタイリングだといえる。

ごくオーソドックスな正統派といった印象の新型「インサイト」(画像はアクセサリー装着車)

新型インサイトでは、ハイブリッド用のバッテリーを床下に置くことで、ボンネットを必要以上に伸ばすことなく、短いオーバーハング(クルマを横から見たとき、タイヤよりも外側に出ている部分)を実現している。従来のハイブリッドセダンであれば、IPU(インテリジェントパワーユニット、バッテリーと制御装置が一体になったパーツ)という部品がトランクの一部を占拠してしまっていたところだが、こちらは小型化してリアシートの下部に移動させることで、トランクの使い勝手を向上させた。この辺りからも、環境車だからといってデザインや使い勝手で妥協したくないというホンダの考えが見てとれる。

ハイブリッドで増える大きな部品をどこに置くかには、工夫があるようだ

ハイブリッドセダン市場の状況は?

新型インサイトが挑むハイブリッドセダンの市場といえば、トヨタのプリウスが圧倒的な強さを誇っているフィールドだ。でも、プリウスの奇抜なデザインには好き好きがありそうなので、オーソドックスなカタチをしたハイブリッドセダンが欲しいという需要が眠っていてもおかしくない。もちろん、環境車を選ぶ人であれば燃費と価格も重視するだろうから、インサイトがいくらで、1リッターあたりどのくらい走るのかというポイントは、販売台数を大きく左右するだろう。

「アコード」には385万円と410万円の2つのグレードがあり、「シビック」のセダンは265万320円なので、その中間に位置するという新型「インサイト」は330万円くらいになるのだろうか

ただ、ひとつ気になるのは、ここ最近のプリウスの販売に、一時期のような勢いが見られないことだ。日本自動車販売協会連合会のデータを見ると、プリウスの販売台数は2017年度が14万9,083台で前年比66.2%、2018年度上期が5万4,388台で同69.1%となっている。もし、プリウスが主役のハイブリッドセダン市場で需要が落ち込んでいるのであれば、新型インサイトは減りつつある需要をプリウスと奪い合うことになる。

インサイトはプリウスと正面から競合するのか、あるいはハイブリッドセダン市場の潜在需要を掘り起こすクルマとなるのか。それを考えるためにも、インサイトの登場により、プリウスの台数がどう推移するかには注目すべきだろう。

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2019.06.17

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カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu