【綜合警備保障】警備を軸にファシリティマネジメントと介護事業を強化するALSOKの今後は

【綜合警備保障】警備を軸にファシリティマネジメントと介護事業を強化するALSOKの今後は

2016.07.30

【綜合警備保障】警備を軸にファシリティマネジメントと介護事業を強化するALSOKの今後は

 綜合警備保障<2331>は社名のとおり、総合警備会社である。テレビCMもよく目にするが、そこでは「ALSOK」(アルソック)というコーポレートブランドを連呼しているので、ALSOKと言った方が名が通っているかもしれない。ちなみに2003年に制定された新コーポレートブランドALSOKは「ALways Security OK」の略である。

 そのALSOKは連結売上高3818億円、経常利益306億円、従業員3万人以上を擁する巨大企業である。

 中期経営計画では18年3月期に売上高5000億円、経常利益400億円に引き上げ、さらにその先には売上高1兆円を目指すとしている。目標達成のためには内部成長だけに頼るのではなく、M&Aも駆使することだろう。

 最初のM&Aは関係会社の完全子会社化である。もともと同社は地域進出をする際にパートナー企業と合弁会社を設立して参入することが多かった。合弁は両社の関係がうまくいっている間はよいのだが、いったん関係が悪化すると収拾がつかなくなってしまうリスクもはらんでいる。特に折半出資で50:50となると利害が対立してデッドロック状態になることもあり得る。東証1部に上場する前の段階でこれら18社を完全子会社として、コントロールしやすい環境をつくったと言える。

■業績推移

 売上高はリーマンショックから東日本大震災発生までの09年3月期から11年3月期にかけて伸び悩んでいたが、それを除けば一貫して伸びている。特に11年3月期以降は伸びが加速、これはこの時期に日本ファシリオ(売上高170億円)、日産クリエイティブサービスのセキュリティー事業(推定売上高100億円)、日本ビルメンテナンス(売上高96億円)と年商100億円規模の企業を立て続けに買収したことが大きい。さらに16年4月には介護事業のウィズネット(売上高176億円)を買収しているため、17年3月期の売上高は4000億円を射程圏内に入れている。18年3月期の売上高5000億円はさらに数件のM&Aがあれば達成できそうだ。

■綜合警備保障の行った主なM&A

年月 概要
1965.7 設立
1982.12 ビルメンテナンスの自動制御及び遠隔監視システム分野で菱電サービス(現三菱電機ビルテクノサービス)と業務提携
2000.4 綜警電気産業他3社を株式交換により完全子会社化
2001.4 北海道綜合警備保障、東北綜合警備保障、東京綜合警備保障、大阪綜合警備他10社を株式交換により完全子会社化
2002.5 ホーチキと業務提携
2002.10 東京証券取引所市場第一部に上場
2003.7 新コーポレートブランド「ALSOK」を制定
2004.5 防犯・防災事業関連分野、共同で開発する新規技術分野、有線・無線の通信を利用する情報サービス分野でホーチキと業務提携
2004.8 福島綜合警備保障(売上高60億円)の株式の50%を合弁相手の日本化成から18億円で買収
2007.8 タイに子会社を設立
2008.8 37%を出資するアーバンセキュリティ(売上高14億円)が少数株主らから自社株買いを実行したことにより、出資比率が51.4%となり、子会社化
2009.8 フロックスから金融機関向けシステム運用管理のアプリス(売上高3億円)を1億5000万円で買収
2009.11 ベトナムに子会社を設立
2010.11 中国(上海)に子会社を設立
2010.12 管工事、電気工事業の日本ファシリオ(売上高170億円)の株式の88.82%をAPロジスティックスから63億円で買収
2011.9 インドに駐在員事務所を設立
2012.2 マレーシアに子会社を設立
2012.5 シンガポールに駐在員事務所を設立
2012.9 韓国に駐在員事務所を設立
2012.10 介護事業を行うALSOKケアを設立
2012.11 ホーチキの株式の11.71%を14億円で取得、出資比率が15.01%で第1位株主となり、持分法適用会社化
2013.3 インドネシアに子会社を設立するとともに現地警備会社と業務提携
2013.4 タイにアジア8カ国を統括する子会社を設立。インドに子会社を設立
2013.7 日産クリエイティブサービス(売上高100億円程度)のセキュリティー事業とビルメンテナンス事業を100%子会社のALSOK双栄が吸収分割により買収
2014.4 各種施設の綜合管理業務等の日本ビル・メンテナンス(売上高96億円)を買収(77.1%)
2014.9 訪問介護を行うあんていけあを買収
2014.10 訪問介護や施設介護サービスを行うHCM(売上高39億円)をJ-Starと経営者らから買収
2015.1 アズビルから緊急通報関連事業及び介護事業を行うアズビルあんしんケアサポート(現・ALSOKあんしんケアサポート、売上高43億円)を買収
2016.2 総合防災企業の日本ドライケミカル(売上高300億円)と資本業務提携、既存株主からの買い取りと第三者割当増資引き受けにより15.32%を保有する第1位株主となる
2016.4 介護事業のウィズネット(売上高176億円)を買収(69.54%)

 中期経営計画では警備業を軸としてファシリティマネジメントと介護事業を強化する絵が描かれている。

 しかし、15年3月時点で介護事業の売上高、営業利益(全社調整前)ともに全体の2%に満たない状況である。同社の介護事業への参入は12年にALSOKケアを設立したことに始まり、その後16年3月までにあんていけあ、HCM、アズビルあんしんケアサポートと3社を立て続けに買収しているが、成長ペースは緩やかである。買収時の売上高が開示されているあんしんケアとHCMの売上高を合計しても82億円と、事業の柱と呼ぶにはまだ心もとない。16年4月に買収したウィズネットを合計しても258億円。これでも15年3月期の売上高の7%程度である。更なる大型買収が必要かもしれない。

■事業別売上高

■事業別営業利益

 一方、海外展開も課題である。ALSOKは07年にタイに進出したのを皮切りに、ベトナム、中国、インド、マレーシア、シンガポール、韓国、インドネシアと8カ国に進出済みである(駐在員事務所を含む)。しかし、海外売上高は10%未満と出遅れている。現地企業との戦略的提携や買収もさらに進めていく可能性があるだろう。

 今後、M&Aを進めていく上で必要となる“軍資金”については、同社の自己資本比率がここ最近50%程度で安定している状況から判断するとある程度の大型案件であっても対応は可能とみられる。また、ALSOKは02年に上場して以降、エクイティファイナンスを1度も行っていない。こういった背景から見ても大型案件への対応能力は十分にある。

 さらにセコムがセキュリティーを軸にしながら、不動産、地理情報、保険から医療に至るまで広範囲なM&Aを行っているのに対して、ALSOKのM&Aの対象はかなり絞り込まれている印象があるが、経営資源の分散を防ぐにはこれぐらい絞り込むのはいいことなのかもしれない。

 ただ、盤石に見えるALSOKだが、気がかりな点もある。15年3月期にのれんが期首の7億円から111億円(16年3月期末でも101億円)と急増している点だ。原因は日本ビルメンテナンス、HCM、アズビルあんしんケアサポートと大型買収が相次いだことである。急増したとはいえそれでも総資産に占める割合は3%程度であるため、危険ラインにあるとは言えないが、今後買収した企業の経営が想定どおりに進展しない場合には思わぬ減損損失の計上を余儀なくされる可能性もある。今後は買収した会社のマネジメント能力が問われることになる。

この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

まとめ:M&A Online編集部

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

2018.11.16

シャープが新スマホ「AQUOS R2 compact」を発表

大画面化の波に逆らい、「片手ポケット族」が増加傾向に

iPhone不在の「小型スマホ」市場を狙う

11月15日、シャープがAndroidスマートフォンの新製品「AQUOS R2 compact」を発表した。名前に「compact」と付いている通り、最近のスマホ市場では選択肢が減っている小型モデルであることが特徴だ。

小型スマホの需要を取り込む「AQUOS R2 compact」

コンパクトな見た目とは裏腹に、中身にはハイエンドである「AQUOS R」シリーズのスペックを詰め込んでいる。世界的にスマホの大画面化がトレンドとなっている中で、あえて時代に逆行するシャープの狙いはどこにあるのだろうか。

スマホを片手で持ち、ポケットに入れて使う人が増加

世界のスマホ市場では、6.5インチの「iPhone XS Max」に代表される大画面モデルが人気を博している。だが、日本では通勤電車などの利用シーンにおいて、片手で使う人が多いといわれている。シャープによれば、スマホを片手で持つ人は64% 、服のポケットに入れて持ち運ぶ人は49% に達しており、その割合は上昇傾向にあるという。

片手で持ち、ポケットに入れて持ち歩く「片手ポケット族」が多いという

その背景として、シャープはスマホの「インフラ化」を指摘する。SNSやコンテンツを楽しむだけでなく、サービスの利用やモバイル決済にスマホは欠かせない存在になっており、日常生活でスマホを取り出す場面が増えている。

AQUOS R2 compactは、日本人の手のサイズを念頭に置いた「横幅64mm」のボディに、できるだけ高性能な部品を詰め込んだハイエンドコンパクト機になっている。プロセッサは最新のSnapdragon 845、メモリは4GBを搭載しているが、これは大画面モデルのAQUOS R2と同等だ。

ポケットに入れやすいサイズに高性能を詰め込んだ

スマホ本体を小型化する一方、画面は前モデルの「AQUOS R compact」より大型化した。このためにシャープは画面の上下に切り欠き(ノッチ)を持つIGZOディスプレイを開発。インカメラと指紋センサを搭載しつつ、表示領域を上下に広げてきた。

前モデル(左)と比べて新モデル(右)は表示領域が広がった

「iPhone不在」の小型スマホ市場を直撃

シャープによれば、小型スマホを求める人は全体の3割程度という。スマホ市場では残りの7割に向けた大画面モデルが幅を利かせており、最新のiPhoneでは6.5インチのXS Maxに加え、一般向けモデルの「iPhone XR」も6.1インチとなっている。

一方、小型モデルとして根強い人気のあった「iPhone SE」は、後継モデルが出ないまま販売が終了。中古市場では価格が上昇する騒ぎもあった。

日本で最大シェアを誇るiPhoneだが、小型スマホ市場では存在感が薄れつつある。ソニーモバイルはXperiaシリーズのコンパクト機を投入しているが、2018年夏モデルの「Xperia XZ2 Compact」と比較して、シャープ機は画面の大きさ、薄さ、軽さの面で圧倒している。

中国メーカーとして日本でも勢いを伸ばすファーウェイ、OPPOも世界市場において大画面化競争を繰り広げており、小型モデルに積極的な動きは見せていない。この点もシャープにとって有利に働いている状況だ。

また、AQUOS R2 compactは顔認証と指紋認証の両方に対応しているのも特徴。これは、iPhoneにもXperiaにもない機能だ。スマホをポケットから取り出し、顔の前に持ち上げるだけでロックを解除できる顔認証だが、卓上に置いている場合は使いにくい。だが指紋センサがあれば、指を置くだけで済む。

顔認証に加えて指紋認証にも対応

スマホの端末メーカーの多くはグローバル市場に目を向け、大画面化のトレンドを追いがちだ。だが、シャープは国内の需要をしっかりとらえた上で、日本のユーザーに刺さる製品作りを続けている。

依然としてiPhone人気が続いている中で、限られた市場であっても「不在」のチャンスをタイムリーに活かし、ユーザーを奪還する。国内に目配りできるシャープならではの戦い方に注目したい。

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第23回

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

2018.11.16

海外メーカーの台頭で日本にも大画面化の波が到来

大画面化と使いやすさの両立、各社の工夫の歴史

縦長スマホにとって代わるのは「折り畳み」スマホか

スマートフォンのディスプレイは年々大型化が進んでおり、かつては「大きすぎる」と言われた5インチディスプレイが、今や小さい部類に入ってしまうほどだ。一方で使いやすさを維持しながらディスプレイの大画面化を実現するため、メーカー各社はさまざまな工夫を重ねている。スマートフォンのディスプレイサイズはなぜ大きくなり、今後はどのように変化していくのだろうか。

海外メーカーの台頭で日本でも大画面化に拍車

スマートフォンにとってディスプレイは、単に情報を表示するだけでなく、タッチして操作するインタフェースも兼ねている非常に重要な存在だ。そのスマートフォンのディスプレイが、ここ10年ほどで最も大きく変化した要素が「サイズ」である。

どれくらい大きくなったのかというのは、新旧のスマートフォンのディスプレイサイズを比べてみれば一目瞭然だ。日本で最初に発売されたiPhoneである「iPhone 3G」のディスプレイサイズは3.5インチだった。一方、「iPhone X」や「iPhone XS」、「iPhone XR」といった最近のiPhoneのディスプレイサイズは6インチ級があたりまえ。1.7倍に以上に拡大しているのだ。

今やスマートフォンのディスプレイサイズは5インチ以上が一般的で、6インチも珍しくなくなった。画像の「iPhone X」のディスプレイサイズは5.85インチだ

さらに「iPhone XS Max」は6.5インチもあるし、他の大手メーカーでもサムスン電子の「Galaxy S9+」やファーウェイの「HUAWEI P20 Pro」のように、6インチを超えるディスプレイを採用した機種は増えている。なぜ、これほどまでにディスプレイサイズが大きくなったのかというと、それは大画面が欲しいというユーザーが多いため。スマートフォンの性能向上によって動画やコミック、ゲームなどのコンテンツを楽しむ人が増えていることから、ユーザーのニーズに応えるかたちで、大画面が求められるようになったといえよう。

だが日本国内の事情に目を向けてみると、公共交通機関での通勤・通学が多いのに加え、片手で文字入力ができる「フリック入力」が広く普及したこともあり、片手でスマートフォンを操作する傾向が強く、実は大画面に対するニーズはそこまで大きい訳ではない。実際日本では、4インチディスプレイの「iPhone SE」が人気を保っていたし、シャープの「AQUOS R Compact」やソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia XZ2 Compact」などのように、4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトなスマートフォンも投入されている。

2018年の夏モデルとして販売されている「Xperia XZ2 Compact」は4.9インチと、最近では珍しくなった4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトモデルだ

にもかかわらず、日本でも大画面のスマートフォンが増えているのはなぜか。まずは国内のスマートフォンメーカーが減少したことで、市場に海外メーカー製のスマートフォンが増えているためだ。海外では移動手段の違いに加え、文字入力システムの違いからスマートフォンを両手で持って操作する機会も多く、片手操作に対するこだわりが弱いのだ。

新興国などでも、ディスプレイサイズが大きいほど人気が出る傾向が目立ち、大画面に対するニーズが強いのである。海外製スマートフォンが日本市場に入り込みやすくなったことが、日本国内においてもスマートフォンの大画面化を進めたといえる。

縦長スマホの元祖はアップルだった?

とはいえ、スマートフォンが大画面化するに従って、本体の横幅がひろがり、さすがに海外のユーザーからも「持ちづらい」という声が増えてきたようだ。そこで近年急速に増えているのが、従来の16:9比率ではなく、18:9や19:9といった縦長比率のディスプレイの採用である。

持ちづらさに影響する横幅をこれ以上広げることなく、ディスプレイを縦に伸ばすことで大画面化しようとしたのだ。この流れをけん引したのは韓国メーカーで、2017年にはLGエレクトロニクスが「LG G6」(日本未発売)、サムスン電子が「Galaxy S8/S8+」といったように、縦長比率のディスプレイを採用した機種を積極的に投入した。

2017年発売の「Galaxy S8」「Galaxy S8+」は、18.9:9と縦長比率の有機ELディスプレイ「インフィニティディスプレイ」を採用したことで大きな話題となった

この韓国の両メーカーとも、グループ内にディスプレイデバイスを開発する企業を持っている。それゆえ縦長比率のディスプレイが生み出されたのには、実は大画面化だけが目的ではない。自社のスマートフォンに新しいディスプレイをいち早く搭載し、トレンドを作り上げることで、グループ企業のディスプレイデバイス販売拡大につなげる狙いもあったといえる。

だが、縦長ディスプレイで大画面化するというアイデアを真っ先に実践したのは、実はアップルである。アップルはかつてディスプレイの大画面化に消極的で、2011年発売の「iPhone 4s」までは3.5インチのサイズにこだわっていた。だが大画面化を求めるユーザーの声を受け、2012年発売の「iPhone 5」でディスプレイサイズを4インチに拡大した際に、ディスプレイの横幅はそのままに、縦に長くするという手法をとったのである。ある意味、アップルは5年前に現在のトレンドを先取りしていた、といえるかもしれない。

スマートフォンのディスプレイを縦に伸ばして大画面化するというアイデアをいち早く実践したのは、アップルの「iPhone 5」だった

しかしながら、ディスプレイを縦に伸ばして画面サイズを大きくする工夫にも、いずれ物理的な限界が来ることは目に見えている。そこで、さらなる大画面化の追求で、いま注目されているのが折り畳み式ディスプレイだ。このアイデア自体は、NTTドコモが2013年の「MEDIAS W」(NECカシオ モバイルコミュニケーションズ製)、2018年の「M」(ZTE製)で既に実現しているものだが、いずれも2枚のディスプレイを用いていたため、どうしても画面の折り目に継ぎ目が発生してしまう弱みを抱えている。

折り畳みスマートフォンとして注目されたNTTドコモの「M」は、2枚のディスプレイを用いるスタイルであるため折り畳み部分に継ぎ目が発生してしまう

だが有機ELを用いれば、ディスプレイを折り曲げられる“真の”折り畳みスマートフォンが開発できると言われており、大手スマートフォンメーカーがその開発を進めているとの観測報道も幾度となくなされている。

これは折り畳みできるという意味の「フォルダブル」スマホなどと呼ばれ、先ごろはサムスン電子が、来年発表するというフォルダブルスマホ「Galaxy F」のプロトタイプを開発者向けに見せはじめたりしている。2019年は各社から製品が登場するのではないか? との声もあるようだが、いま確実に言えることは、真の折り畳みスマートフォンがいつ、どのメーカーが、どのような形で投入するのかが、大いに注目されているということだけである。