「アップル超え」のファーウェイがMate 20に仕掛けた”種”

「アップル超え」のファーウェイがMate 20に仕掛けた”種”

2018.10.24

ファーウェイがスマホ新製品「Mate 20」シリーズを発表

AIやワイヤレス充電などで他社との差別化へ

独自規格のメモリ「NM Card」で、利益の確保を狙う

ファーウェイがスマホ新製品「Mate 20」シリーズを発表した。ロンドンで開かれた発表会では、同社の研究開発の集大成といえる新機能が続々と披露された。一部のモデルは日本での発売も期待される。

2018年第2四半期、アップルを抜き、世界のスマホ市場シェアで2位に浮上(IDC調べ)したファーウェイ。同社はスマホ商戦を勝ち抜くため、最新モデルにどのような仕掛けを入れてきたのか。

ロンドンで「Mate 20」シリーズを披露した、コンシューマー部門のリチャード・ユーCEO

「AI」「充電」で他社の1歩先へ

ついにアップルを抜いたファーウェイであるが、年末商戦が含まれる第4四半期では依然としてアップルが強い。とはいえファーウェイは昨年より早い時点で1億台の出荷を達成するなど、サムスン・アップルを追い上げる勢いは増している。

高価格帯から低価格帯まで、スマホの新製品発表ペースも衰えていない。最上位モデルは年に2回、カメラを中心としたPシリーズと、最新プロセッサーのMateシリーズを出しており、今回のロンドンでは「Mate 20」シリーズ4機種を発表した。

最新機能満載の「Mate 20 Pro」

独自のプロセッサー「Kirin 980」では、同社が得意とする人工知能(AI)分野の演算能力を強化。新たに搭載した動画の特定の色を着色する機能や、食べ物の写真からカロリーを計算する機能でAIを活用しているという。

しかし、今回の発表でファーウェイは、これまでのように「AI」を連呼しなくなったように感じた。多くのスマホメーカーがAIの活用をうたい始めた中で、独自プロセッサーを持つファーウェイは”それらの一歩先を行く”と言いたいのかもしれない。現に同社は、AI (Artificial Intelligence)を上回る「AI(A HIGHER INTELLIGENCE)」というキャッチフレーズを披露した。

「WELCOME TO A HIGHER INTELLIGENCE」というキャッチフレーズを強調

最近、中国メーカー各社のスマホは高機能との評価が定着してきたが、ファーウェイのMate 20 Proはその典型だ。画面内に埋め込まれた指紋センサーや、3Dに対応した顔認証、他のデバイスをワイヤレス充電できる給電機能などは、多くのAndroid端末メーカーより半年から1年先を行く機能といえる。

iPhone XSをワイヤレス充電できる機能を発表。会場を大いに沸かせた

台数シェアUPに加え、高価格帯へのシフトも

スマホ世界シェアで2位を狙うファーウェイだが、出荷台数を大きく左右するのはMate 20シリーズのようなハイエンド機種ではない。たとえば日本国内のSIMフリー市場で、最も売れているのは3万円前後の「P20 lite」や、5万円前後の「nova 3」だ。

だが、ファーウェイは台数を追うだけでなく、利幅の大きい高価格帯へのシフトを同時に狙っている。それを象徴するのが、ポルシェデザインとのコラボモデル「Mate 20 RS」だ。最上位モデルの価格は2095ユーロと、iPhone XS Maxを400ユーロも上回る。

最上位は2000ユーロ超のラグジュアリーモデル「Mate 20 RS」

一方、iPhone対抗の主力機で日本での発売も期待されるMate 20 Proは、欧州価格が1049ユーロとなっている。高価格帯の中でも、iPhone XSに対して100ユーロ、XS Maxに対して200ユーロ安く、戦略的な価格設定がうかがえる。

独自規格のメモリ「NM Card」で利益拡大へ

その中でも、ファーウェイが独自の利益を確保する秘策として繰り出してきたのが新規格のメモリーカード「NM Card(Nano Memory Card)」だ。これまでmicroSDが世界的に普及している中で、サイズを小型化。SIMカードと同じ形状にすることでスロットを共有できるのが特徴だ。

microSDよりも小さい新規格のメモリーカード「NM Card」を採用

実売価格は同容量のmicroSDよりも割高になるとみられ、メモリーカードの買い直しが必要な消費者からは反発がありそうだ。特に新興国では、スマホを買い換えてもmicroSDを使い回せる経済性が支持されており、普及は容易ではない。

だが、アップルはこうした独自規格を得意としており、巨額の利益の源泉となってきた。現段階での対応機種はMate 20シリーズに限られるが、今後は他のモデルにも拡大する可能性が高い。ファーウェイの新たなチャレンジとして注目したい。

給食「完食指導」は適者生存の虐待か? 子どもへの悪影響に賛否

カレー沢薫の時流漂流 第44回

給食「完食指導」は適者生存の虐待か? 子どもへの悪影響に賛否

2019.05.27

漫画家・コラムニスト カレー沢薫さんの社会派連載!

第44回は、子供のトラウマ「完食指導」問題について

給食の完食指導が問題になっている。

「お残しは許しまへんで!」

アニメ『忍たま乱太郎』に出てくる食堂のおばちゃんの有名な決めセリフである。

彼女はそのセリフの通り、それを破る者には烈火の如く怒り、時には一週間食事抜き、掃除をさせる等の罰も辞さないという、「食事を残す者を地獄の業火で焼く人物」として描かれている。

あくまでフィクションであるし、何せ彼女が飯を与えているのは忍者の卵である、今後おそらく山田風太郎の世界で活躍しなければいけない面々だ。適切に調理された食堂の飯が食えないようではやっていけるはずがない。

しかし、忍たま乱太郎の世界ではあれが適切としても、将来、忍にならない子ども相手にそれをやるのは問題なのではという声が挙がっている。

令和になっても残ってしまったトラウマ給食

石でも甘辛くしてもらえれば食える、という偏食のない人間には無縁な話だろうが、そうでない者には「給食のトラウマ」の一つや二つあるのではないだろうか。

一番多いのは「完食するまで帰れま10」だ。これが表題にもなっている「完食指導」である。食べきるまで昼休みに入らせなかったり、居残りをさせたりというものだが、中には「食べ物を無理やり口に詰め込まれて嘔吐」というストロングスタイルの指導を受けた者もいる。

ここまでなら、まだ個の問題だが「みんなが食べきるまで全員昼休みに入らせない」という、齢10にもいかない内から連座制の厳しさを叩きこむ学校もあるようだ。

これらは全て、トラウマとして残る。私でさえ、保育園の時、とりあえず口には入れたが長考したのち「やはり無理」と吐いたほうれん草の白和えのポップなビジュアルを未だ覚えているぐらいなので、無理やり口に入れられた人が忘れるわけがない。

漫画家の清野とおる先生も保育園の時、カワイイ女の子が無理やり嫌いなものを食べさせられ嘔吐したのがトラウマになっていると書いていたので、当事者でなくても同胞が目の前で嘔吐するというのは恐怖なのである。

その結果、傷を負い、登校拒否になったり体調不良を起こしたりする児童がおり、またこの経験から大人になっても「人と食事をするのが怖い」と感じる人もいるという。

そういった強制的完食指導に意味があるかというと、私はないと思う。なぜなら、未だにほうれん草の白和えが嫌いだし、義実家での食卓で姑が「今日の推し」と言わない限りは食わない気がするからだ。無理やり食わされても、大人なのでさすがに嘔吐はしないと思うが、代わりに耳あたりから出てくると思う。

このようにアレルギーでなくても「生理的に無理」な食べ物は存在する。生理的に無理な人の指が口の中に入ってくるところを想像して欲しい。「無理」としか言いようがないだろう。そのレベルでダメなものを飲みこませることが、人間にとってプラスになるとは思えない。

しかし、そこを慮りすぎて「好きな物しか食べない人間」になるのも問題である。「大して好きじゃない物」や「苦手な物」程度なら「感情を無にして食える」練習をしておいた方が、社会に出た時や義実家などでトラブルが起こりづらいのも確かである。

食育に力を入れている小学校では、生徒個人に合わせて最初から食べる量を増減させたり、または無理やり食べさせるのではなく、生徒自身が「今日俺ニンジン食っちゃうよ?」という気になるような給食環境づくりに取り組んだりしているという。

食事は「楽しい」ことが一番

昭和のトラウマランチタイムをサバイヴしてきた人間からすると、これらのやり方は「スイート」に感じられるかもしれない。

しかし、上記の食育に力を入れている学校の校長曰く「食事が楽しくなくなるのが一番ダメ」だそうだ。確かに、食事以外に楽しいことが一つもない、という人間は私含め大勢いるし、今の子どもの65%ぐらいはそういう大人になるはずである。(当社調べ)

そんな65%の唯一の楽しみを子どものころから奪うというのは、虐待と言っても過言ではないし、何のために生まれて来たのかさえわからなくなってしまう。

ちなみに私には90歳になる祖母がいるのだが、そのババア殿は一時期、シュークリームのクリームとジュースしか飲まないという、妖精みたいな生活を送っていたが、普通に生きている。何故なら、そのジュースが妖精になった老人用に作られたメチャクチャ栄養があるジュースだからである。このように、昔だと食事=適切な栄養を取る行為であったが、最近では食事からじゃなくても栄養はとれるようになってしまった。

ならば、食事をただの生命維持活動ではなく、「楽しみ」として重視していくのも自然の流れなのかもしれない。

もちろん、作ってくれた人への感謝など、倫理的なことを言えばやはり、偏食なく、出された物は何でも食えた方が良い。

よって、偏食が多い人も「これだけ嫌いなものがあるから出すな」「嫌いなものを食べさせようとするのはハラスメント」と己の権利を主張するだけでは、協調性がないと取られてしまう。

自分で作る、1人で食う、食事会でも自分が幹事をやって店を選ぶ、など嫌いな物を食べず、なおかつ周りにも不快感を与えない方法を考えていくべきだろう。この方法で、私は1年中300日ペペロソチーノだけを食い続けたが、特にトラブルはなかった。

と言いたいが夫に「くさい」と言われたので、自分の食を楽しみつつ、周りに迷惑をかけないのは、なかなか大変ことなのである。

関連記事
渦中のファーウェイ、スマホ新製品も発売延期が相次ぐ

渦中のファーウェイ、スマホ新製品も発売延期が相次ぐ

2019.05.24

米国政府がファーウェイを輸出規制リストに追加した

ファーウェイ製品の発売延期を決定する事業者が続出

輸出規制は世界経済の混乱を招く事態に……

米国政府がファーウェイを輸出規制リストに追加したことで、米中の貿易摩擦が加速している。5月21日には国内向けにスマホ新製品の発表会を開催したものの、発売を延期する事業者が相次ぐ事態となっている。

ファーウェイはスマホ新製品を発表したが、販路の多くで発売延期に

スマホ世界シェア2位に躍り出るなど、破竹の勢いで成長してきたファーウェイだが、果たして打開策はあるのだろうか。

世界シェアは再び2位に、国内でも攻勢に

ファーウェイはスマホ世界シェアでアップルと2位争いを繰り広げている。年末商戦シーズンにはアップルが2位に返り咲いたものの、2019年第1四半期にはファーウェイが前年比50%増となる5900万台を出荷したことで、再び2位に戻る形になった。

新製品発表会に登壇したファーウェイ デバイス 日本・韓国リージョン プレジデントの呉波氏

スマホ市場が伸び悩む中で、なぜファーウェイは劇的な成長を遂げたのだろうか。2018年後半から米中貿易摩擦が報じられる中、買い控える動きもある一方で、世界的な露出の増加によって、製品を手に取ってみる人が増えたことが背景にあるとファーウェイは見ている。

国内でも順調に伸びてきた。依然としてiPhoneはシェアの半数近くを占めるものの、直近1年間で最も売れたAndroidスマホはファーウェイの「P20 lite」だという(BCN調べ)。コスパの良さが高く評価されているのが特徴だ。

2019年夏モデルでは、NTTドコモがフラグシップ「P30 Pro」を、KDDIは「P30 lite PREMIUM」の取り扱いを発表。MVNOやオープン市場には「P30」と「P30 lite」を投入するなど、あらゆるセグメントに向けて最新ラインアップを一挙投入する予定だった。

ベストセラーの後継モデルとして期待される「HUAWEI P30 lite」

だが、こうしたファーウェイの快進撃に待ったをかけたのが、米商務省が発表した輸出規制リストへの追加だ。

複数の企業が取引を停止、国内で発売延期も相次ぐ

米商務省が5月15日にファーウェイを輸出規制リストに追加したことで、米国の製品やサービスをファーウェイに対して輸出することが同日より規制された。米国製の半導体やソフトウェアなどを利用できないのは大きな痛手だ。

その後、重要なサービスにファーウェイ製品を用いる企業向けに90日の猶予期間が設けられたものの、これからどうなるかは不透明な状況だ。グーグルやクアルコムなど米国企業をはじめ、米国技術に大きく依存している英Armもファーウェイとの取引を停止すると報じられている。

国内では早いものでは5月24日からP30シリーズのスマホが販売される予定だったが、大手キャリアやMVNO、量販店などが相次いで発売延期や予約停止を発表。既存のファーウェイ製品については販売が続いている状況だ。

NTTドコモが今夏発売予定の「HUAWEI P30 Pro」は予約受付を停止
KDDIの「HUAWEI P30 lite PREMIUM」の発売を延期した

ファーウェイは米国に頼らず必要な部品を調達する構えも見せているが、ファーウェイ包囲網は世界的に広がりつつある。OSであるAndroidはオープンソース版を自由に利用できるものの、グーグルのサービスがなければ海外展開は困難だ。

独自のKirinプロセッサーを有しているとはいえ、Armのライセンスがなければ開発継続は不可能とみられる。スマホ以外にも基地局などの通信インフラでファーウェイのシェアは高く、輸出規制が長引けば世界的に混乱を招きそうだ。

関連記事