「おいしさ」を感じるしくみ ~匂い、味、呼吸のマリアージュ~ 前編

「食べる」をつくる科学と心理 第1回

「おいしさ」を感じるしくみ ~匂い、味、呼吸のマリアージュ~ 前編

2019.03.01

「食」をテーマに立命館大・和田教授が新連載

「味」を感じる人間のからだのメカニズム

食べ物の味、実は「匂い」が決めていた?

おいしいものを、おいしいと思う。日々感じている「味」、実は舌だけに頼る感覚ではないそうです。実験心理学から「食」をひもとく立命館大・和田教授が、自身のグルメ体験を糸口に、「味わいのキモ」を考えます。

研究者という仕事柄、私は全国、ときには海外の都市で開催される学会や会議にしばしば参加する。東北大学がある仙台にはここ十数年、年に二~三回は訪ねている。学会にはだいたい懇親会がつきものだが、仙台のような美食の宝庫では、可能であれば一人か、二人くらいで抜け出して小さな店で食事するのも楽しみだ。

まずはガゼウニ!

今年の七月もそのチャンスがやってきた。三陸の初夏といえばなんといってもウニ。友人と横丁の寿司屋に向かった。コンパクトな寿司屋のカウンターでまずはガゼウニ。殻からスプーンですくってほおばると上品な甘味とうま味。えぐ味がない。スゥーと磯の香りが漂う。舌で潰すと爆発的に香りの強度が増し、ぶわっと鮮烈な香りが口内に広がり、甘味とうま味も強烈になる。その後も素晴らしいネタの数々を供され、東北の豊かな海の幸を味わえた。 

最高に幸せだったが、この日はホヤが出なかった。まあ明日食べればいいかと、〆のお酒を一杯いただきに近所の居酒屋さんにうかがう。

そしてホヤの酒蒸し!

こちらは女将さんをカウンターでぐるっと囲む、風情のある知る人ぞ知る仙台の老舗。お酒を頼むとつまみが一品ついてくるおもしろいスタイルで、何が出てくるかはお店任せになる。ここで心を読まれたかのようにホヤ。丸ごと酒蒸しして、ぱかっと二つに割ったものが配膳された。これはうれしかったが、生のホヤしか食べたことがなかったので、酒蒸しだとあの独特の風味がとんでしまうのでは、と不安がよぎる。食べる前にくんくんと嗅いでみると、あまり香りが感じられない。疑念を強めながらも厚い皮をはいで一口かみしめてみると鮮烈なホヤの香りと味が噴き出してきた! 水っぽくない分、うま味も凝縮されており、ホヤ特有の舌を刺すえぐ味が抑えられている。これはすばらしい体験をさせてもらった。

さて、このコラムは科学的なおいしさを探求するのがミッションだ。このままうまいものを食べた自慢で終わるわけにはいかない。今回はウニやホヤのように美味とされる食材の「味わいのキモ」がどこにあるのか、考えていきたい。

匂いが食べ物の風味を決める

舌の味覚神経が伝達する狭義での味覚は、「基本味」といわれる甘味、塩味、酸味、苦味、うま味。この中に「ウニ味」、「ホヤ味」は含まれない。

つまり、味覚だけではウニやホヤのような食品が持つ魅力を最大限味わうことはできない。日本の出汁(だし)を形成している鰹節や昆布には確かにうま味物質(イノシン酸・グルタミン酸)が豊かだが、中華のスープでも洋食のスープストックでも同様のうまみ物質は含んでいる。

お味噌汁やお吸い物を飲む前に器を口元まで近づけて深く息を吸うとプーン鰹節の香りが立って幸せな気持ちになる―― といった和食の出汁ならではの特徴は、むしろ匂いで感じるといっていいだろう。このような味覚と嗅覚、さらには他の感覚との組み合わせで感じられる食品の特徴を「風味」という。

嗅覚は、揮発性の化学物質である匂い分子から外界の情報を得る感覚である。日常的に人が感じる匂いは、多数の匂い分子に対する反応として生じる。鼻腔の嗅粘膜にある嗅細胞の嗅覚受容体が、類似した分子構造の匂い分子に反応する。ヒトにはおよそ400種類の嗅覚受容体が存在するので、上記の味覚に比べてバリエーションが格段に豊富なのだ。そこに、多様な食品の特徴を形作る理由があるのかもしれない。

つまり、ウニやホヤの風味を特徴づけているのも匂いである。咀嚼することによって、目の前にある時に鼻孔から嗅ぐ匂いとは異なる香気成分、あるいはより強い香気成分が口腔内で生じることを「フレーバーリリース」という。これが食品の特徴を顕在化する。

風邪を引いて鼻が詰まっているときの食事が、とても味気なく感じたことはないだろうか? これは鼻がつまってのどの奥からこみあげてくる匂いが感じられなくなってしまったためだ。

匂いは鼻腔の受容体の作用で感じるものだが、日常的な食経験では、味との連合の強さから味覚と混同され、味覚と一緒になって口腔内に生じた“あじ”のように感じられているのである。(後編に続く)

総務省施策が追い風に? 携帯分離の「歴史的チャンス」狙うファーウェイ

総務省施策が追い風に? 携帯分離の「歴史的チャンス」狙うファーウェイ

2019.03.20

モバイル業界を変える「携帯値下げ議論」が過熱

ファーウェイは日本を取り巻く環境を「歴史的チャンス」と発言

コスパ高いミッドレンジ端末でシェア拡大を目指す

20日、NTTドコモが特定の端末の購入を条件に通信料金を割り引く「docomo with」、購入する端末に応じて通信料金を割り引く「月々サポート」を終了する方針を固めたという報道が話題となっている。

国内のモバイル業界では携帯電話料金見直しが進んでおり、3月5日には総務省が中心に進めてきた端末代金と通信料金の分離が閣議決定された。NTTドコモは分離プランを軸とした新料金プランを4月に発表する見込みだ。

日本のモバイル市場を大きく変えるこの動きを「歴史的チャンス」と見ているのがファーウェイだ。2018年末から米中対立が加速する中、ファーウェイが打ち出すメッセージも語気を強めている。果たして日本市場でシェアを拡大できるのだろうか。

逆風吹けども、依然として業績は好調

今年に入り、ファーウェイの周辺が騒がしい。3月7日には、ファーウェイは米国政府を相手取って訴訟を起こした

さらにその内容をFacebookでライブ配信するなど、米国以外の世界市場に向けたメッセージにもしており、そのメッセージをまとめたウェブサイト「Huawei Facts」は、わざわざ日本語版も用意している。

2018年末から続く米中対立を巡る報道は、ファーウェイの業績にどのような影響を与えたのか。MWC19でインタビューに応じたファーウェイ・ジャパンの呉波氏は、「一部の消費者は影響を受けたが、2019年に入ってから売上は大幅に伸びている」と語った。

ファーウェイ デバイス 日本・韓国リージョン プレジデントの呉波(ゴ・ハ)氏

話題の「折りたたみスマホ」でもファーウェイは先行する。

ファーウェイに先立って折り畳みスマホを発表したサムスンだが、こちらはMWCではガラスケース内での「展示」のみにとどまったのに対し、ファーウェイは「Mate X」の実機を用いて報道関係者に折り曲げを試させるなど、製品化で一歩先を行っていることをアピールした。

ファーウェイの折りたたみスマホ「Mate X」。報道陣には手に取って折り曲げてみる機会も用意された

Mate Xは次世代移動通信の「5G」にも対応しており、日本では5Gサービスの開始を待って投入時期を見極める方針だという。

ちなみに3月26日に発表予定のフラグシップ機「HUAWEI P30」シリーズは、例年通りのタイミングで日本市場に投入するようだ。SIMフリーでの発売だけでなく、ドコモが採用した「HUAWEI P20 Pro」のように大手キャリアによる採用があるかどうかも注目したい。

分離プランを「歴史的チャンス」と捉えるワケ

一方、2019年の国内モバイル市場で話題となっているのが携帯料金における「分離プラン」の導入だ。KDDIとソフトバンクはすでに導入済みだが、NTTドコモは4月に発表する新料金プランから本格導入するとみられている。

分離プランの特徴は、NTTドコモの「月々サポート」のように回線契約と紐付けた端末の割引が禁止される点だ。端末の割引自体が禁止されるわけではないというものの、大幅な割引は難しくなる。その結果、10万円を超えるようなハイエンド機ではなく、3〜4万円で一括購入しやすいミッドレンジ機の需要が高まるとの見方が有力だ。

この動きをファーウェイはどう見ているのか。

呉氏は「非常に重要視している。スマホが登場したときや、SIMフリー市場が始まったときのインパクトに引けを取らない、歴史的な瞬間になる」と興奮気味に語る。

日本のSIMフリー市場でベストセラーとなった「HUAWEI P20 lite」を始め、ファーウェイのミッドレンジ機のラインアップは厚い。モデルによってはフラグシップと同じCPUでミッドハイの価格を実現するなど、コスパの高さも特徴だ。大手キャリア向けにさまざまな提案ができる体制といえる。

フラグシップと同じ「Kirin 980」搭載でミッドハイ価格の「HONOR View 20」

また、5G対応も順調だ。

モバイルWi-Fiルーターに強みを持つファーウェイは、MWC19でも5G対応ルーターを多く出展していた。日本ではまだ周波数の割り当てが終わっていないものの、国内大手キャリアは2019年内にもプレサービスを始める動きがある。5Gスマホが普及するまでの間、5Gルーターの需要は高まる可能性がある。

5G対応のモバイルWi-Fiルーターも出展していた

ミッドレンジ市場の拡大を狙って、今年はシャープやサムスン以外にも、ソニーモバイルの参入も予想されている。

この価格帯が激戦区になることは間違いないが、ファーウェイはその中で高コスパの製品ラインアップや、国内での地道な販促活動やブランドメッセージの打ち出しによって対抗していく構えだ。

ヨドバシカメラ梅田店での販促イベントの様子
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2019.03.20

Googleが新しいゲームプラットフォームを発表

配信方式でゲーム機不要、「ゲーム機」の時代の終焉?

2019年内にローンチ、性能はプレステやXbox以上か

3月19日、米国で開催中のゲーム開発者会議「GDC 2019」の会場で、Googleがクラウドベースのゲーミングプラットフォーム「STADIA」を発表した。特定のゲーム機に縛られず、ネットに接続したスマホやパソコン、テレビを通してストリーミング(配信)形式でゲームをプレイできる。

この事業を担当するバイスプレジデントとして、STADIAを発表するフィル・ハリソン(Phil Harrison)氏。そもそも彼からして、元はソニーのプレイステーション立ち上げの主要メンバーで、その後Microsoftに移りXboxを担当したという経歴の持ち主

かねてより、MicrosoftのXbox事業のトップマネージャーを引き抜いた、ソニーでPlayStationのハード開発にかかわったエンジニアが転職したといった噂が頻繁に流れており、「Googleがゲーム市場に本格参入する」という憶測は強まっていた。実際に2018年には、Googleは「Project Stream」と呼ばれるストリーミング形式のゲーム基盤の計画を発表し、米国内でベータテスターを募って技術テストを行っていた。

STADIAは、Project Streamの延長線上にあるサービスと見られる。ユーザーは特定のゲーム機を持っている必要がなく、従来のゲーム機の役割をするのはGoogleの設置するデータセンターだ。簡単に言えばクラウドサービスのように、実際にゲームタイトルが動作しているのはデータセンター側で、ユーザーはインターネットを介してゲームを遠隔でプレイする。

STADIAのデータセンターから配信されたゲームをパソコンでプレイしている様子
パソコンで遊んでいたのと同じゲームを、タブレットやテレビでも同じように遊ぶことができる

このプラットフォームの特徴によって、例えばYouTubeで新作ゲームのトレーラー動画を見ていて気に入ったときには、そのページ内の「プレイする」ボタンを押すだけで、インストールすら不要で、動画を再生するかのようにそのゲームをプレイできるようになる。

そして、STADIAのデータセンターが持つゲーム機としてスペックは、サービス開始時のものとして、GPUの演算性能は10.7テラFlopsに達するといい、これはPlayStation 4 Proの4.2テラFlopsや、Xbox One Xの6.0テラFlopsを大きく上回る。映像品質も4K/60fpsのストリーミングに対応し、将来は8K/120fps対応も予定しているという。

STADIA用の「STADIAコントローラー」も販売する。SNSアップ用のボタンや、Googleアシスタントボタンが備わっている

Googleは2019年中にSTADIAをローンチする予定で、まずは米国、カナダ、欧州でサービスを開始すると説明している。発表を受けた翌20日の東京株式市場では、任天堂とソニーの株価が揃って大きく下落した。投資家たちが、GoogleのSTADIAによって、Nintendo SwitchやPlayStationのビジネスが脅かされると考えたからだ。

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