スタートアップW杯が開幕! 150社の中から日本代表に選ばれた企業は?

スタートアップW杯が開幕! 150社の中から日本代表に選ばれた企業は?

2018.10.18

スタートアップW杯の日本予選が開催された

150社以上の応募の中から選ばれたファイナリスト10社が集結

各社プレゼンによって日本代表の1社が決定する

日本にシリコンバレーのような街はまだない。それでも、最新テクノロジーを駆使したサービスや、思いもよらない斬新なアイデアで、会社を立ち上げる人がいる。

多種多様なスタートアップが生まれる中で、最もすばらしいイノベーションを起こす企業はどこだろう――。

企業規模だけでは勝負できない時代になったことで、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家に加えて、競争力を手に入れたい大企業も、そんなことを考えているのではないだろうか。

「魅力的なスタートアップはどこか」という問いに、1つの答えを提示してくれるのが、2017年から開催されている「スタートアップワールドカップ」だ。この大会は、世界40カ国以上のスタートアップから最も優れた1社を決めるという、Fenox Venture Capital主催のグローバルビジネスコンテスト。2018年10月5日に、2019年にサンフランシスコで行われる世界大会の日本予選が行われた。

予選では、応募のあった150社以上のスタートアップのうち、書類選考を通過した10社の精鋭たちがステージ上でプレゼンテーションを実施。事業化の経緯やビジネスプラン、プレゼンテーションの出来などに加え、SNSによる一般ユーザーからの投稿によって点数を導き出し、最も高かった1社が世界大会への切符を手にする。今回は、世界大会に進む日本代表を決めるだけでなく、スポンサーのサントリー、セガサミーホールディングスからそれぞれの企業賞も贈られた。

まずは、日本予選のファイナルに進出した10社を簡単に紹介しよう。以下、セリフは各社プレゼンテーターのものである。

ツールや言語の壁を超えたコミュニケーションを実現する「Kotozna Chat」

トップバッターを務めたのは、Kotoznaだ。同社が提供している「Kotozna Chat」は、QRコードを読み取ることで多言語のコミュニケーションを促進するチャット翻訳サービス。LINEとWeChatなど、異なるSNSのやり取りでもリアルタイムの翻訳が可能だ。

プレゼンテーションでは「国際コミュニケーションで最も大きな問題は言葉の壁。また、近年メッセージングのプラットフォームが存在しますが、個々のシステムが孤立していることも問題です」とグローバルなコミュニケーションにおける課題を提示し、自社のサービスを紹介した。

独自の技術で古着から質の高いポリエステルを生み出す

続いて登場したのは日本環境設計(JEPLAN)。古着からポリエステルを生成する技術でサービスを提供している。一般的な熱によって溶かすリサイクル方法とは異なり、ポリエステルを分子レベルまで分解してから不純物を取り除くことで、質の高いポリエステル繊維を生み出すことができるという。

「私たちが日々着ている洋服は、ポリエステルからできています。そのため、服を捨てることは、石油の廃棄と同義。エネルギーになるはずのものが、何万トンというゴミになっているのです。繊維業界の市場は大きいのですが、リサイクル技術は発達していません。そこで我々は、衣服から衣服を生み出す技術を開発しました」と、ビジネスの意義をプレゼンテーションで述べた。

ブライダルSNSのリファラル集客で、粗利重視から品質重視の挙式へ

結婚情報ソーシャルニュースアプリを提供するオリジナルライフ。国民生活センターには、「見積りから100万円以上も高い結婚式費用がかかった」「挙式プランの条件が人によって大きく異なる」といった結婚式に関するクレームが年間で1600件以上届くといわれており、同社はそのトラブルを回避できるよう、挙式の準備状況に合わせてパーソナライズ化された情報が届くサービスを開始した。

発表の中では「我々は、先輩花嫁が後輩花嫁に結婚式場を紹介する“リファラル集客”のプラットフォームを提供しています。従来、広告で顧客獲得を行っていた式場は高い粗利を求めていましたが、リファラルで集客するようになれば、多くの推薦を得るために良い結婚式を実現するようになるでしょう」と、同社のビジネスによってもたらされる効果をアピールした。

農業フランチャイズ「LEAP」を進めるアグリベンチャー

seakは農業プラットフォーム「LEAP」を運営しているスタートアップだ。同プラットフォームでは、農地の開拓から施設の構築、栽培技術の提供、販路の確保、資金の斡旋までをパッケージで提供。フランチャイズモデルで、契約者(フランチャイジー)はパッケージに対する原価と15%の手数料を支払う仕組みだ。

プレゼンテーションでは「LEAPでは土を袋に入れて苗を植える『袋栽培』という独自の栽培体系を用いており、従来の2.4倍の収穫が可能です。また、我々の持っている調達プロセスで、一般的な見積りと比べて約45%のコストカットにも成功しました。すでに収益性は確認できており、高島屋などのデパートも私たちの野菜を取り扱ってくださっています」と、袋栽培のサンプルを提示しながら、効果や実績などを説明した。

ディズニーのコラボとエンタメ性で学ぶ体験を高める

中高生向けの教育プログラムを開発・運営しているLife is Techは、ウォルト・ディズニー・ジャパンと協力して「テクノロジア魔法学校」というプログラミング学習教材を開発。用意された100時間以上のカリキュラムについて、4カ国語で学習することができる。

プレゼンテーションでは「コーディングのエデュケーションに関してはさまざまな問題があります。収入レベルの差や地域の差を埋めるためにはオンラインの教育が不可欠ですが、現状は効果があまり高くありません。そこで、テクノロジア魔法学校では、スクウェア・エニックスの元CTOに開発ディレクターを担当してもらいました。エンターテインメントは学ぶという体験を高めるうえで非常に重要です」と、教材の学習率を高める工夫を紹介した。

スペースエージェントが提供する“投資の成功体験”

続いて登場したのが、民泊運営物件ポータルサイト「民泊物件.com」や、不動産投資アプリ「収益物件.com」を運営しているスペースエージェントだ。

「日本では現在820万件の空き家があります。その原因は、人口減少と利益重視の不動産業界の体質、そしてアセットマネジメントの教育が日本で行われていないことにあるのではないでしょうか」と空き家が多く存在する理由を分析し、「私たちは物件情報を提供するだけでなく、スコアリングシステムを提供することで不動産投資の成功体験を提供できます」と、自社の強みを語った。

海外から優秀な人材を集めるAI-OCRベンチャー

識字認証AIサービスによって日本からムダな業務を排除しようと試みるCinnamonは、AI-OCRソリューション「Flax Scanner」を提供している。請求書のように、取引先ごとでレイアウトの異なる非定型帳票でも、学習によって自動で読み取ることができるサービスだ。

「我々の強みは人的資源。すでに経験豊富なAIのプロフェッショナルであるメンバーが集まっているだけでなく、ベトナムや台湾といった海外からも優秀な人材を積極的に採用しています」と、会社のストロングポイントを述べるとともに、「日本には紙の資料が多く残っていることもあり、ポテンシャルは非常に大きいと感じています」と、ビジネスの可能性を示した。

これからは空気を選ぶ時代。エアロシールドで無菌の空間を

エネフォレストは、紫外線殺菌装置「エアロシールド」を提供している。同製品はティッシュボックスほどの大きさの装置で、紫外線によって空気中のウイルスを殺菌することが可能だ。クライアントは人が集まる場所すべてが対象。デパートや鉄道インフラ、学校やオフィスなども含まれる。

プレゼンテーションでは「風邪とは200種類以上のウイルスなどの総称。そう考えれば、みなさんも何らかの形で感染症にかかったことがあるのではないでしょうか。感染症は同じ空間を共有しただけで、空気感染を引き起こしてしまう可能性があります。それを防ぐために我々は『エアロシールド』を開発しました。これからは空気を選ぶ時代になるでしょう」と開発の背景や製品の効果を述べた。

ソニーとZMPのジョイントベンチャーがドローン事業に参入

ドローン(UAV)を使った空撮測量を実施するAerosenseは、ソニーとZMPのジョイントベンチャー。ソニーのセンシングロボティクス技術と、ZMPの自動運転技術を活用して、企業向けのソリューションを提供している。ドローンの飛行からデータ処理まですべて自動で行うので、オペレーションは簡単。システムソリューションとして提供することもできるという。

プレゼンテーションでは「例えば、除染土壌のカバーシート点検などは手間がかかるだけでなく、健康の被害を受ける可能性がありますが、ドローンを使うことでそのリスクを回避することができます。また、もともと6週間かかっていた90haの測量を、わずか1週間で完了するという効率化にも成功しました」と事例を交えながら、メリットを訴求した。

セキュリティでコネクテッドカーを守る「Trillium Secure」

最後はTrillium Secureの発表だ。コネクテッドカーやIoT接続機器をハッキングから守るセキュリティサービスを提供している。

プレゼンテーションでは「古い車はすべてハッキングされる可能性があります。しかし、新しいからといって安全だとは思わないでください。多層的なセキュリティプラットフォームを実現することが大事です。Trilliumは車両や航空機などの運輸システムをセキュアにすると同時に、サイバー攻撃からネットワークを守ります」と、自動車の安全性の大事さを強調した。

世界大会への切符を手にしたスタートアップは?

10社のプレゼンは非常に緊張感ある中で行われた。世界大会であるため、もちろん発表はすべて英語。プレゼンテーションも質疑応答も時間にはシビアで、話し中だろうが質問中だろうが、時間になったら強制終了という印象だった。

審査員を務めたメンバー。写真左の左側から順に、Plug and Play Japan Managing Partnerのフィリップ 誠慈 ヴィンセント氏、We Work Japan CEO クリス ヒル氏、内閣府 科学技術・イノベーション担当の石井芳明氏、アステリア 代表取締役社長/CEOの平野洋一郎氏、日本マイクロソフト 業務執行役員 マイクロソフトテクノロジーセンター センター長 サイバークライムセンター 日本サテライト責任者の澤円氏、ZUU 代表取締役の冨田和成氏、ボードウォーク・キャピタル 代表取締役社長の那珂通雅氏、デロイトトーマツベンチャーサポート 事業統括本部長の斎藤祐馬氏

そんな雰囲気の中、いよいよ受賞者発表の瞬間が訪れた。

まずはサントリー賞だ。受賞企業には、サントリーと事業提携のための面談機会が提供されるという。

みごとサントリーのハートをつかんだのは、Kotozna。サントリーとチャットサービスの連携と言われてもピンとこないが、サポートセンターや問い合わせの窓口を多言語化するといった連携があるかもしれない。広報にバーチャルYouTuberを起用したり、ブロガー向け工場見学を実施したりと、何かと新しいことにチャレンジするサントリー。おもしろい化学反応が起きることに期待したい。

次に発表されたのが、セガサミーグループ賞。特別投資賞金5000万円を勝ち取ったのは、Life is Techだ。セガサミーグループといえば、エンタメの企業。スタートアップへの投資は、将来のエンタメの種を見つけるために行っているという。プログラミング学習教材の開発ディレクターにゲームメーカー出身者を採用するなど、Life is Techの「学習×エンタメ」という考え方に共感したのだろうか。

ちなみに、大崎にできたセガサミーの新しいオフィスでは、コワーキングスペースを設けるなど、イノベーションの創出にも力を入れている。2018年10月16日には、今回スタートアップワールドカップを開催しているFenox VCと約22億円のファンドを締結した。世界規模でのイノベーションが活発になりそうだ。

そして、スタートアップ日本代表の発表である。

150社以上の中から、みごと日本一の座に輝いたのは、古着からポリエステルを生成する日本環境設計(JEPLAN)だ。2019年5月にサンフランシスコで開催される決勝大会への切符を手にした。

並みいる強豪を抑え、日本代表のスタートアップとなった日本環境設計。だが、もちろんこれで終わりではない。決勝大会では世界40以上の国と地域の精鋭スタートアップたちが待ち構えている。まさに、「彼らの本当の戦いはこれから」だろう。

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

2018.11.16

シャープが新スマホ「AQUOS R2 compact」を発表

大画面化の波に逆らい、「片手ポケット族」が増加傾向に

iPhone不在の「小型スマホ」市場を狙う

11月15日、シャープがAndroidスマートフォンの新製品「AQUOS R2 compact」を発表した。名前に「compact」と付いている通り、最近のスマホ市場では選択肢が減っている小型モデルであることが特徴だ。

小型スマホの需要を取り込む「AQUOS R2 compact」

コンパクトな見た目とは裏腹に、中身にはハイエンドである「AQUOS R」シリーズのスペックを詰め込んでいる。世界的にスマホの大画面化がトレンドとなっている中で、あえて時代に逆行するシャープの狙いはどこにあるのだろうか。

スマホを片手で持ち、ポケットに入れて使う人が増加

世界のスマホ市場では、6.5インチの「iPhone XS Max」に代表される大画面モデルが人気を博している。だが、日本では通勤電車などの利用シーンにおいて、片手で使う人が多いといわれている。シャープによれば、スマホを片手で持つ人は64% 、服のポケットに入れて持ち運ぶ人は49% に達しており、その割合は上昇傾向にあるという。

片手で持ち、ポケットに入れて持ち歩く「片手ポケット族」が多いという

その背景として、シャープはスマホの「インフラ化」を指摘する。SNSやコンテンツを楽しむだけでなく、サービスの利用やモバイル決済にスマホは欠かせない存在になっており、日常生活でスマホを取り出す場面が増えている。

AQUOS R2 compactは、日本人の手のサイズを念頭に置いた「横幅64mm」のボディに、できるだけ高性能な部品を詰め込んだハイエンドコンパクト機になっている。プロセッサは最新のSnapdragon 845、メモリは4GBを搭載しているが、これは大画面モデルのAQUOS R2と同等だ。

ポケットに入れやすいサイズに高性能を詰め込んだ

スマホ本体を小型化する一方、画面は前モデルの「AQUOS R compact」より大型化した。このためにシャープは画面の上下に切り欠き(ノッチ)を持つIGZOディスプレイを開発。インカメラと指紋センサを搭載しつつ、表示領域を上下に広げてきた。

前モデル(左)と比べて新モデル(右)は表示領域が広がった

「iPhone不在」の小型スマホ市場を直撃

シャープによれば、小型スマホを求める人は全体の3割程度という。スマホ市場では残りの7割に向けた大画面モデルが幅を利かせており、最新のiPhoneでは6.5インチのXS Maxに加え、一般向けモデルの「iPhone XR」も6.1インチとなっている。

一方、小型モデルとして根強い人気のあった「iPhone SE」は、後継モデルが出ないまま販売が終了。中古市場では価格が上昇する騒ぎもあった。

日本で最大シェアを誇るiPhoneだが、小型スマホ市場では存在感が薄れつつある。ソニーモバイルはXperiaシリーズのコンパクト機を投入しているが、2018年夏モデルの「Xperia XZ2 Compact」と比較して、シャープ機は画面の大きさ、薄さ、軽さの面で圧倒している。

中国メーカーとして日本でも勢いを伸ばすファーウェイ、OPPOも世界市場において大画面化競争を繰り広げており、小型モデルに積極的な動きは見せていない。この点もシャープにとって有利に働いている状況だ。

また、AQUOS R2 compactは顔認証と指紋認証の両方に対応しているのも特徴。これは、iPhoneにもXperiaにもない機能だ。スマホをポケットから取り出し、顔の前に持ち上げるだけでロックを解除できる顔認証だが、卓上に置いている場合は使いにくい。だが指紋センサがあれば、指を置くだけで済む。

顔認証に加えて指紋認証にも対応

スマホの端末メーカーの多くはグローバル市場に目を向け、大画面化のトレンドを追いがちだ。だが、シャープは国内の需要をしっかりとらえた上で、日本のユーザーに刺さる製品作りを続けている。

依然としてiPhone人気が続いている中で、限られた市場であっても「不在」のチャンスをタイムリーに活かし、ユーザーを奪還する。国内に目配りできるシャープならではの戦い方に注目したい。

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第23回

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

2018.11.16

海外メーカーの台頭で日本にも大画面化の波が到来

大画面化と使いやすさの両立、各社の工夫の歴史

縦長スマホにとって代わるのは「折り畳み」スマホか

スマートフォンのディスプレイは年々大型化が進んでおり、かつては「大きすぎる」と言われた5インチディスプレイが、今や小さい部類に入ってしまうほどだ。一方で使いやすさを維持しながらディスプレイの大画面化を実現するため、メーカー各社はさまざまな工夫を重ねている。スマートフォンのディスプレイサイズはなぜ大きくなり、今後はどのように変化していくのだろうか。

海外メーカーの台頭で日本でも大画面化に拍車

スマートフォンにとってディスプレイは、単に情報を表示するだけでなく、タッチして操作するインタフェースも兼ねている非常に重要な存在だ。そのスマートフォンのディスプレイが、ここ10年ほどで最も大きく変化した要素が「サイズ」である。

どれくらい大きくなったのかというのは、新旧のスマートフォンのディスプレイサイズを比べてみれば一目瞭然だ。日本で最初に発売されたiPhoneである「iPhone 3G」のディスプレイサイズは3.5インチだった。一方、「iPhone X」や「iPhone XS」、「iPhone XR」といった最近のiPhoneのディスプレイサイズは6インチ級があたりまえ。1.7倍に以上に拡大しているのだ。

今やスマートフォンのディスプレイサイズは5インチ以上が一般的で、6インチも珍しくなくなった。画像の「iPhone X」のディスプレイサイズは5.85インチだ

さらに「iPhone XS Max」は6.5インチもあるし、他の大手メーカーでもサムスン電子の「Galaxy S9+」やファーウェイの「HUAWEI P20 Pro」のように、6インチを超えるディスプレイを採用した機種は増えている。なぜ、これほどまでにディスプレイサイズが大きくなったのかというと、それは大画面が欲しいというユーザーが多いため。スマートフォンの性能向上によって動画やコミック、ゲームなどのコンテンツを楽しむ人が増えていることから、ユーザーのニーズに応えるかたちで、大画面が求められるようになったといえよう。

だが日本国内の事情に目を向けてみると、公共交通機関での通勤・通学が多いのに加え、片手で文字入力ができる「フリック入力」が広く普及したこともあり、片手でスマートフォンを操作する傾向が強く、実は大画面に対するニーズはそこまで大きい訳ではない。実際日本では、4インチディスプレイの「iPhone SE」が人気を保っていたし、シャープの「AQUOS R Compact」やソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia XZ2 Compact」などのように、4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトなスマートフォンも投入されている。

2018年の夏モデルとして販売されている「Xperia XZ2 Compact」は4.9インチと、最近では珍しくなった4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトモデルだ

にもかかわらず、日本でも大画面のスマートフォンが増えているのはなぜか。まずは国内のスマートフォンメーカーが減少したことで、市場に海外メーカー製のスマートフォンが増えているためだ。海外では移動手段の違いに加え、文字入力システムの違いからスマートフォンを両手で持って操作する機会も多く、片手操作に対するこだわりが弱いのだ。

新興国などでも、ディスプレイサイズが大きいほど人気が出る傾向が目立ち、大画面に対するニーズが強いのである。海外製スマートフォンが日本市場に入り込みやすくなったことが、日本国内においてもスマートフォンの大画面化を進めたといえる。

縦長スマホの元祖はアップルだった?

とはいえ、スマートフォンが大画面化するに従って、本体の横幅がひろがり、さすがに海外のユーザーからも「持ちづらい」という声が増えてきたようだ。そこで近年急速に増えているのが、従来の16:9比率ではなく、18:9や19:9といった縦長比率のディスプレイの採用である。

持ちづらさに影響する横幅をこれ以上広げることなく、ディスプレイを縦に伸ばすことで大画面化しようとしたのだ。この流れをけん引したのは韓国メーカーで、2017年にはLGエレクトロニクスが「LG G6」(日本未発売)、サムスン電子が「Galaxy S8/S8+」といったように、縦長比率のディスプレイを採用した機種を積極的に投入した。

2017年発売の「Galaxy S8」「Galaxy S8+」は、18.9:9と縦長比率の有機ELディスプレイ「インフィニティディスプレイ」を採用したことで大きな話題となった

この韓国の両メーカーとも、グループ内にディスプレイデバイスを開発する企業を持っている。それゆえ縦長比率のディスプレイが生み出されたのには、実は大画面化だけが目的ではない。自社のスマートフォンに新しいディスプレイをいち早く搭載し、トレンドを作り上げることで、グループ企業のディスプレイデバイス販売拡大につなげる狙いもあったといえる。

だが、縦長ディスプレイで大画面化するというアイデアを真っ先に実践したのは、実はアップルである。アップルはかつてディスプレイの大画面化に消極的で、2011年発売の「iPhone 4s」までは3.5インチのサイズにこだわっていた。だが大画面化を求めるユーザーの声を受け、2012年発売の「iPhone 5」でディスプレイサイズを4インチに拡大した際に、ディスプレイの横幅はそのままに、縦に長くするという手法をとったのである。ある意味、アップルは5年前に現在のトレンドを先取りしていた、といえるかもしれない。

スマートフォンのディスプレイを縦に伸ばして大画面化するというアイデアをいち早く実践したのは、アップルの「iPhone 5」だった

しかしながら、ディスプレイを縦に伸ばして画面サイズを大きくする工夫にも、いずれ物理的な限界が来ることは目に見えている。そこで、さらなる大画面化の追求で、いま注目されているのが折り畳み式ディスプレイだ。このアイデア自体は、NTTドコモが2013年の「MEDIAS W」(NECカシオ モバイルコミュニケーションズ製)、2018年の「M」(ZTE製)で既に実現しているものだが、いずれも2枚のディスプレイを用いていたため、どうしても画面の折り目に継ぎ目が発生してしまう弱みを抱えている。

折り畳みスマートフォンとして注目されたNTTドコモの「M」は、2枚のディスプレイを用いるスタイルであるため折り畳み部分に継ぎ目が発生してしまう

だが有機ELを用いれば、ディスプレイを折り曲げられる“真の”折り畳みスマートフォンが開発できると言われており、大手スマートフォンメーカーがその開発を進めているとの観測報道も幾度となくなされている。

これは折り畳みできるという意味の「フォルダブル」スマホなどと呼ばれ、先ごろはサムスン電子が、来年発表するというフォルダブルスマホ「Galaxy F」のプロトタイプを開発者向けに見せはじめたりしている。2019年は各社から製品が登場するのではないか? との声もあるようだが、いま確実に言えることは、真の折り畳みスマートフォンがいつ、どのメーカーが、どのような形で投入するのかが、大いに注目されているということだけである。