スタートアップW杯が開幕! 150社の中から日本代表に選ばれた企業は?

スタートアップW杯が開幕! 150社の中から日本代表に選ばれた企業は?

2018.10.18

スタートアップW杯の日本予選が開催された

150社以上の応募の中から選ばれたファイナリスト10社が集結

各社プレゼンによって日本代表の1社が決定する

日本にシリコンバレーのような街はまだない。それでも、最新テクノロジーを駆使したサービスや、思いもよらない斬新なアイデアで、会社を立ち上げる人がいる。

多種多様なスタートアップが生まれる中で、最もすばらしいイノベーションを起こす企業はどこだろう――。

企業規模だけでは勝負できない時代になったことで、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家に加えて、競争力を手に入れたい大企業も、そんなことを考えているのではないだろうか。

「魅力的なスタートアップはどこか」という問いに、1つの答えを提示してくれるのが、2017年から開催されている「スタートアップワールドカップ」だ。この大会は、世界40カ国以上のスタートアップから最も優れた1社を決めるという、Fenox Venture Capital主催のグローバルビジネスコンテスト。2018年10月5日に、2019年にサンフランシスコで行われる世界大会の日本予選が行われた。

予選では、応募のあった150社以上のスタートアップのうち、書類選考を通過した10社の精鋭たちがステージ上でプレゼンテーションを実施。事業化の経緯やビジネスプラン、プレゼンテーションの出来などに加え、SNSによる一般ユーザーからの投稿によって点数を導き出し、最も高かった1社が世界大会への切符を手にする。今回は、世界大会に進む日本代表を決めるだけでなく、スポンサーのサントリー、セガサミーホールディングスからそれぞれの企業賞も贈られた。

まずは、日本予選のファイナルに進出した10社を簡単に紹介しよう。以下、セリフは各社プレゼンテーターのものである。

ツールや言語の壁を超えたコミュニケーションを実現する「Kotozna Chat」

トップバッターを務めたのは、Kotoznaだ。同社が提供している「Kotozna Chat」は、QRコードを読み取ることで多言語のコミュニケーションを促進するチャット翻訳サービス。LINEとWeChatなど、異なるSNSのやり取りでもリアルタイムの翻訳が可能だ。

プレゼンテーションでは「国際コミュニケーションで最も大きな問題は言葉の壁。また、近年メッセージングのプラットフォームが存在しますが、個々のシステムが孤立していることも問題です」とグローバルなコミュニケーションにおける課題を提示し、自社のサービスを紹介した。

独自の技術で古着から質の高いポリエステルを生み出す

続いて登場したのは日本環境設計(JEPLAN)。古着からポリエステルを生成する技術でサービスを提供している。一般的な熱によって溶かすリサイクル方法とは異なり、ポリエステルを分子レベルまで分解してから不純物を取り除くことで、質の高いポリエステル繊維を生み出すことができるという。

「私たちが日々着ている洋服は、ポリエステルからできています。そのため、服を捨てることは、石油の廃棄と同義。エネルギーになるはずのものが、何万トンというゴミになっているのです。繊維業界の市場は大きいのですが、リサイクル技術は発達していません。そこで我々は、衣服から衣服を生み出す技術を開発しました」と、ビジネスの意義をプレゼンテーションで述べた。

ブライダルSNSのリファラル集客で、粗利重視から品質重視の挙式へ

結婚情報ソーシャルニュースアプリを提供するオリジナルライフ。国民生活センターには、「見積りから100万円以上も高い結婚式費用がかかった」「挙式プランの条件が人によって大きく異なる」といった結婚式に関するクレームが年間で1600件以上届くといわれており、同社はそのトラブルを回避できるよう、挙式の準備状況に合わせてパーソナライズ化された情報が届くサービスを開始した。

発表の中では「我々は、先輩花嫁が後輩花嫁に結婚式場を紹介する“リファラル集客”のプラットフォームを提供しています。従来、広告で顧客獲得を行っていた式場は高い粗利を求めていましたが、リファラルで集客するようになれば、多くの推薦を得るために良い結婚式を実現するようになるでしょう」と、同社のビジネスによってもたらされる効果をアピールした。

農業フランチャイズ「LEAP」を進めるアグリベンチャー

seakは農業プラットフォーム「LEAP」を運営しているスタートアップだ。同プラットフォームでは、農地の開拓から施設の構築、栽培技術の提供、販路の確保、資金の斡旋までをパッケージで提供。フランチャイズモデルで、契約者(フランチャイジー)はパッケージに対する原価と15%の手数料を支払う仕組みだ。

プレゼンテーションでは「LEAPでは土を袋に入れて苗を植える『袋栽培』という独自の栽培体系を用いており、従来の2.4倍の収穫が可能です。また、我々の持っている調達プロセスで、一般的な見積りと比べて約45%のコストカットにも成功しました。すでに収益性は確認できており、高島屋などのデパートも私たちの野菜を取り扱ってくださっています」と、袋栽培のサンプルを提示しながら、効果や実績などを説明した。

ディズニーのコラボとエンタメ性で学ぶ体験を高める

中高生向けの教育プログラムを開発・運営しているLife is Techは、ウォルト・ディズニー・ジャパンと協力して「テクノロジア魔法学校」というプログラミング学習教材を開発。用意された100時間以上のカリキュラムについて、4カ国語で学習することができる。

プレゼンテーションでは「コーディングのエデュケーションに関してはさまざまな問題があります。収入レベルの差や地域の差を埋めるためにはオンラインの教育が不可欠ですが、現状は効果があまり高くありません。そこで、テクノロジア魔法学校では、スクウェア・エニックスの元CTOに開発ディレクターを担当してもらいました。エンターテインメントは学ぶという体験を高めるうえで非常に重要です」と、教材の学習率を高める工夫を紹介した。

スペースエージェントが提供する“投資の成功体験”

続いて登場したのが、民泊運営物件ポータルサイト「民泊物件.com」や、不動産投資アプリ「収益物件.com」を運営しているスペースエージェントだ。

「日本では現在820万件の空き家があります。その原因は、人口減少と利益重視の不動産業界の体質、そしてアセットマネジメントの教育が日本で行われていないことにあるのではないでしょうか」と空き家が多く存在する理由を分析し、「私たちは物件情報を提供するだけでなく、スコアリングシステムを提供することで不動産投資の成功体験を提供できます」と、自社の強みを語った。

海外から優秀な人材を集めるAI-OCRベンチャー

識字認証AIサービスによって日本からムダな業務を排除しようと試みるCinnamonは、AI-OCRソリューション「Flax Scanner」を提供している。請求書のように、取引先ごとでレイアウトの異なる非定型帳票でも、学習によって自動で読み取ることができるサービスだ。

「我々の強みは人的資源。すでに経験豊富なAIのプロフェッショナルであるメンバーが集まっているだけでなく、ベトナムや台湾といった海外からも優秀な人材を積極的に採用しています」と、会社のストロングポイントを述べるとともに、「日本には紙の資料が多く残っていることもあり、ポテンシャルは非常に大きいと感じています」と、ビジネスの可能性を示した。

これからは空気を選ぶ時代。エアロシールドで無菌の空間を

エネフォレストは、紫外線殺菌装置「エアロシールド」を提供している。同製品はティッシュボックスほどの大きさの装置で、紫外線によって空気中のウイルスを殺菌することが可能だ。クライアントは人が集まる場所すべてが対象。デパートや鉄道インフラ、学校やオフィスなども含まれる。

プレゼンテーションでは「風邪とは200種類以上のウイルスなどの総称。そう考えれば、みなさんも何らかの形で感染症にかかったことがあるのではないでしょうか。感染症は同じ空間を共有しただけで、空気感染を引き起こしてしまう可能性があります。それを防ぐために我々は『エアロシールド』を開発しました。これからは空気を選ぶ時代になるでしょう」と開発の背景や製品の効果を述べた。

ソニーとZMPのジョイントベンチャーがドローン事業に参入

ドローン(UAV)を使った空撮測量を実施するAerosenseは、ソニーとZMPのジョイントベンチャー。ソニーのセンシングロボティクス技術と、ZMPの自動運転技術を活用して、企業向けのソリューションを提供している。ドローンの飛行からデータ処理まですべて自動で行うので、オペレーションは簡単。システムソリューションとして提供することもできるという。

プレゼンテーションでは「例えば、除染土壌のカバーシート点検などは手間がかかるだけでなく、健康の被害を受ける可能性がありますが、ドローンを使うことでそのリスクを回避することができます。また、もともと6週間かかっていた90haの測量を、わずか1週間で完了するという効率化にも成功しました」と事例を交えながら、メリットを訴求した。

セキュリティでコネクテッドカーを守る「Trillium Secure」

最後はTrillium Secureの発表だ。コネクテッドカーやIoT接続機器をハッキングから守るセキュリティサービスを提供している。

プレゼンテーションでは「古い車はすべてハッキングされる可能性があります。しかし、新しいからといって安全だとは思わないでください。多層的なセキュリティプラットフォームを実現することが大事です。Trilliumは車両や航空機などの運輸システムをセキュアにすると同時に、サイバー攻撃からネットワークを守ります」と、自動車の安全性の大事さを強調した。

世界大会への切符を手にしたスタートアップは?

10社のプレゼンは非常に緊張感ある中で行われた。世界大会であるため、もちろん発表はすべて英語。プレゼンテーションも質疑応答も時間にはシビアで、話し中だろうが質問中だろうが、時間になったら強制終了という印象だった。

審査員を務めたメンバー。写真左の左側から順に、Plug and Play Japan Managing Partnerのフィリップ 誠慈 ヴィンセント氏、We Work Japan CEO クリス ヒル氏、内閣府 科学技術・イノベーション担当の石井芳明氏、アステリア 代表取締役社長/CEOの平野洋一郎氏、日本マイクロソフト 業務執行役員 マイクロソフトテクノロジーセンター センター長 サイバークライムセンター 日本サテライト責任者の澤円氏、ZUU 代表取締役の冨田和成氏、ボードウォーク・キャピタル 代表取締役社長の那珂通雅氏、デロイトトーマツベンチャーサポート 事業統括本部長の斎藤祐馬氏

そんな雰囲気の中、いよいよ受賞者発表の瞬間が訪れた。

まずはサントリー賞だ。受賞企業には、サントリーと事業提携のための面談機会が提供されるという。

みごとサントリーのハートをつかんだのは、Kotozna。サントリーとチャットサービスの連携と言われてもピンとこないが、サポートセンターや問い合わせの窓口を多言語化するといった連携があるかもしれない。広報にバーチャルYouTuberを起用したり、ブロガー向け工場見学を実施したりと、何かと新しいことにチャレンジするサントリー。おもしろい化学反応が起きることに期待したい。

次に発表されたのが、セガサミーグループ賞。特別投資賞金5000万円を勝ち取ったのは、Life is Techだ。セガサミーグループといえば、エンタメの企業。スタートアップへの投資は、将来のエンタメの種を見つけるために行っているという。プログラミング学習教材の開発ディレクターにゲームメーカー出身者を採用するなど、Life is Techの「学習×エンタメ」という考え方に共感したのだろうか。

ちなみに、大崎にできたセガサミーの新しいオフィスでは、コワーキングスペースを設けるなど、イノベーションの創出にも力を入れている。2018年10月16日には、今回スタートアップワールドカップを開催しているFenox VCと約22億円のファンドを締結した。世界規模でのイノベーションが活発になりそうだ。

そして、スタートアップ日本代表の発表である。

150社以上の中から、みごと日本一の座に輝いたのは、古着からポリエステルを生成する日本環境設計(JEPLAN)だ。2019年5月にサンフランシスコで開催される決勝大会への切符を手にした。

並みいる強豪を抑え、日本代表のスタートアップとなった日本環境設計。だが、もちろんこれで終わりではない。決勝大会では世界40以上の国と地域の精鋭スタートアップたちが待ち構えている。まさに、「彼らの本当の戦いはこれから」だろう。

「eBASEBALL」の初代覇者が決定! 定番プロリーグとして定着なるか

「eBASEBALL」の初代覇者が決定! 定番プロリーグとして定着なるか

2019.01.17

「eBASEBALL」で初代王者を決めるe日本シリーズが開催された

頂点を争ったのは、埼玉西武ライオンズと横浜DeNAベイスターズ

はたして“もう1つのプロ野球”で頂点に輝いたのは?

1月12日、東京ビッグサイトTFT HALL 500にて、「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ2018」のe日本シリーズが開催された。頂点を争ったのは、埼玉西武ライオンズと横浜DeNAベイスターズ。はたして初代王者に輝いたのは、どちらのチームか。

3カ月間の戦いの末、頂点を争う切符を勝ち取った2チーム

「eBASEBALL」とは、野球ゲーム『実況パワフルプロ野球 2018(パワプロ)』を使用した、日本野球機構(NPB)とコナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)が共同で開催するプロリーグだ。

2018年7月より行われたオンライン予選、西日本、東日本選考会を経て、9月末に実際のプロ野球球団による「eドラフト会議」を実施。ドラフトで指名された選手は、プロゲーマーとして各球団に所属する形になった。

11月からは実際のプロ野球のペナントレースのように、セ・リーグ、パ・リーグに分かれて「eペナントレース」がスタート。そして12月に行われた、eペナントレース上位チームによる「eリーグ代表決定戦」によって、パ・リーグの埼玉西武ライオンズと、セ・リーグの横浜DeNAベイスターズが、e日本シリーズへの切符を手にした。

パ・リーグ代表の埼玉西武ライオンズは、eペナントレースを13勝2敗の圧倒的な強さで勝ち抜き、eリーグ代表決定戦でも危なげなく、代表権を獲得。対するセ・リーグ代表の横浜DeNAベイスターズは、キャプテンであるじゃむ~選手のデータを活かした戦術と強力打線、そして巧みな投球術でeリーグ代表権をもぎ取った。

埼玉西武ライオンズのなたでここ選手(写真左)、BOW川選手(写真中)、ミリオン選手(写真右)
横浜DeNAベイスターズのヒデナガトモ選手(写真左)、じゃむ~選手(写真中)、AO選手(写真右)
会場は超満員。立ち見席も出るほどの人気ぶりで、まさに日本一を決定するのに相応しい舞台となった

一発勝負の決勝戦! 最後に笑うのは……?

e日本シリーズでは、各チーム3名による3イニング交代制の試合を1戦だけ行う。そこで勝利したチームがeBASEBALL パワプロ・プロリーグの初代チャンピオンになるわけだ。

『パワプロ』でお馴染みの選手の調子発表

選手の調子を見ると、埼玉西武ライオンズは、主力に不調の選手がおらず実力を存分に発揮できそうなラインアップ。横浜DeNAベイスターズは主砲筒香の好調が嬉しいものの、桑原、ソトの不調が厳しい。どちらかというと調子具合は埼玉西武ライオンズが優位に見られた。

さぁ、いよいよプレイボール。まず1人目、埼玉西武ライオンズはミリオン選手、横浜DeNAベイスターズはヒデナガトモ選手がコントローラーを握る。奇しくも、ペナントレースで最多奪三振のタイトルを獲得した2人の対戦となった。

そのため、激しい投手戦が繰り広げられたが、3回裏に均衡が破られる。豪打を誇る埼玉西武ライオンズとしては珍しいスクイズで1点を先制すると、そこから怒濤の連打で計5点をもぎ取り、序盤にして埼玉西武ライオンズが大量リードを得た。

スクイズ、スチールと小技も冴え、一気に5点を奪うミリオン選手
センターフライの捕球ミスやスクイズの打者をアウトにできなかったなど、ミスが出てしまったヒデナガトモ選手

2人目は埼玉西武ライオンズがBOW川選手、横浜DeNAベイスターズがじゃむ~選手と、キャプテン対決。じゃむ~選手が2点を返すも、BOW川選手が1点を追加し、スコア「西武 6-2 DeNA」で最終プレイヤーにバトンが渡された。

埼玉西武ライオンズのキャプテンを務めるBOW川選手
横浜DeNAベイスターズの軍師ことじゃむ~選手

最後は、ペナントレースで急成長した埼玉西武ライオンズのなたでここ選手と、横浜DeNAベイスターズ無敗のエースAO選手の対戦となった。

最優秀防御率のタイトルを獲得し、eペナントレースでの失点はわずか3点と脅威の安定感を持つAO選手は、e日本シリーズでもその実力を発揮。打撃3冠を獲得したなたでここ選手をみごとに完封した。しかしながら、3イニングでは1点を返すのがやっとで、最終スコアは「6対3」。埼玉西武ライオンズが優勝し、e日本シリーズを制した。

今回の大会で急成長したなたでここ選手
横浜DeNAベイスターズのエースとしてチームを牽引したAO選手
ペナントレースから実況を担当した清水久嗣アナはe日本シリーズの実況も担当
解説を務めた元ヤクルトスワローズ監督の真中満氏
同じく解説を務めた元中日ドラゴンズ監督の谷繁元信氏
ゲーム解説を務めるぶんた氏
パワプロ・プロリーグ初代チャンピオンの埼玉西武ライオンズ

埼玉西武ライオンズも横浜DeNAベイスターズも、打撃、特に本塁打に期待できる選手が揃っており、その打撃力で勝ち進んでいたなかで、e日本シリーズではホームランが「ゼロ」という、頂上決戦に相応しい緊迫感のある試合だったといえよう。

e日本シリーズでは博多激獅会も応援に駆けつけ、プロ野球さながらの応援が飛び交った

試合終了後は、優勝の表彰とともに、各個人タイトルの表彰も行われたので、その様子も紹介しよう。パ・リーグでは、首位打者、本塁打王、打点王、最優秀防御率の4冠を埼玉西武ライオンズのなたでここ選手が獲得。最多奪三振は埼玉西武ライオンズのミリオン選手が獲得した。

また、セ・リーグでは、首位打者と本塁打王の2冠を広島東洋カープのカイ選手、打点王と最優秀防御率の2冠を横浜DeNAベイスターズのAO選手、最多奪三振を横浜DeNAベイスターズのヒデナガトモ選手が獲得。そして、MVPには、4冠獲得のなたでここ選手が選出された。

パ・リーグの最多奪三振を獲得したミリオン選手
セ・リーグの首位打者と本塁打王を獲得したカイ選手
セ・リーグの打点王と最優秀防御率の2冠を獲得したAO選手
セ・リーグの最多奪三振を獲得したヒデナガトモ選手
パ・リーグの首位打者、打点王、本塁打王、最優秀防御率の4冠、そしてMVPを獲得したなたでここ選手
e日本シリーズでは12球団のマスコットがそろい踏み。スポンサーであるSMBCのキャラクター「ミドすけ」も登場した

eBASEBALLは試合を重ねるごとに盛り上がりを見せ、決勝の舞台でもあるe日本シリーズでは立ち見が出るほど多くのファンが駆けつけた。プロ野球ファンにとって、オフシーズン時期の楽しみの1つとして、eBASEBALLが定着しそうな気配も感じる。

最後にNPB(日本プロ野球機構)コミッショナーの斎藤惇氏による締めの挨拶にて、「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ 2019」の開催も発表された。来シーズン、さらなる飛躍と盛り上がりに期待したい。

SUVでは満足できない人へ…「パサート」試乗で再考したクロスオーバーワゴンという選択肢

SUVでは満足できない人へ…「パサート」試乗で再考したクロスオーバーワゴンという選択肢

2019.01.17

フォルクスワーゲンの「パサート オールトラック」に試乗

これは意外? クルマ好きも納得のスポーティーなクルマ

ステーションワゴンとSUVの“いいとこ取り”

昨今のSUVブームはとどまることを知らない。コンパクトからラグジュアリーまで多様性もみられ、さらに「RAV4」の日本復活など、いくつかの新型車投入のニュースも届いている。しかし、SUVが必ずしも全てのユーザーにとってベストな選択肢とはいえないはずだ。

日常の使い勝手などを考慮すると、セダンとSUVの架け橋である「クロスオーバーワゴン」こそ、真の“いいとこ取り”なのではないかと思うところもある。今回は、フォルクスワーゲンから登場した「パサート オールトラック」に試乗し、この車種の魅力について再考してみた。

フォルクスワーゲンのクロスオーバーワゴン「パサート オールトラック」に試乗した

スバルが普及させたクロスオーバーワゴンという車種

フォルクスワーゲンがミッドサイズモデル「パサート」に新グレード「パサート オールトラック」を追加した。このモデルは、パサートのステーションワゴン「パサート ヴァリアント」をベースとし、SUVのエッセンスを取り入れた「クロスオーバーワゴン」と呼ばれるジャンルのクルマだ。つまり、ステーションワゴンとSUVの中間的な存在である。特徴としては4WD、専用サスペンションで高めた最低地上高、SUVを彷彿させるラギッドなスタイルなどが挙げられる。これらにより、ステーションワゴンよりも走破性が高まっている。

「パサート オールトラック」は最低地上高の高さやSUVを髣髴させるスタイルなどを特徴とする。価格はグレード別に「Passat Alltrack TDI 4MOTION」が509万9,000円から、「Passat Alltrack TDI 4MOTION Advance」が569万9,000円からだ

少しだけクロスオーバーワゴンの歴史を振り返りたい。意外かもしれないが、こういったクルマを普及させたのは日本メーカーなのだ。

SUVのニーズが高まっていた1990年代の北米で、SUVを持たないスバルは大苦戦していた。その打開策として、2代目「レガシィ」をベースとするクロスオーバーモデル「アウトバック」(日本名:レガシィ グランドワゴン)を開発。これが大ヒットとなり、北米市場での巻き返しに成功する。

スバルが2代目レガシィをベースに開発した「アウトバック」。意外にも、歴代モデルの中にはセダン仕様が用意されていたこともある。日本では「レガシィ グランドワゴン」の名で登場。その後、「レガシィ ランカスター」と名称を変更した。先々代モデルからは日本でも輸出名を取り入れ、現在同様の「レガシィ アウトバック」となった

アウトバックがヒットした背景には、ステーションワゴンの高性能化が進み、実用車というイメージが変化して、アクティブなカーライフやスポーティな走りが楽しめる多用途なクルマとして認知されだしたことがあった。セダン譲りの使い勝手と走行性能、そこにラフロードにも対応できる走破性を組み合わせた欲張りな存在として人気を集めたのだ。事実、アウトバックの後にはボルボ「XC70」(後のV70 クロスカントリー)や「アウディ オールロード」といったクロスオーバーワゴンの名車が続々と誕生している。

今やクロスオーバーワゴンは、ステーションワゴンの定番となった。そのパサート版が「パサート オールトラック」だ。

パサート版クロスオーバーワゴンはどんなクルマなのか。試乗で確かめた

「パサート オールトラック」は日本でも使いやすい?

ラギッドなイメージを高めたエクステリアは、パサート本来の上品なデザインの中に、アグレッシブさを感じさせる。主な変更点としては、アンダーガード付きの前後バンパー、ホイールアーチのブラックモール、シルバー仕上げのサイドシルモールなどが挙げられる。サスペンションは標準車+30mmアップとし、最低地上高は160mmを確保した。

ボディサイズは全長4,780mm、全幅1,855mm、全高1,535mm。コンパクトとはいえないが、日本の道路や駐車場には適応しやすいサイズといえる。最大のポイントは、ルーフレールを装備しながらも薄型とすることで、全高を1,550mm以下としているところ。これなら、多くの立体駐車場に入れられるはずだ。

「パサート オールトラック」は日本でも使いやすいサイズ感だ

基本的にインテリアはパサートと共通だが、グレーのパネル加飾を取り入れるなど、スポーティーな装いにしてある。装備は上級モデルらしく充実していて、全車速追従機能付きのACCや車線内中央維持支援機能「レーンアシスト」、渋滞時追従支援機能「トラフィックアシスト」などの先進安全運転支援機能をはじめとし、スマートキー機能の「キーレスアクセス」やSSDナビ付きインフォテインメントシステム「ディスカバープロ」、シート&ステアリングヒーター、パワーテールゲートなど快適装備も満載だ。

車内は広々としており、前後席共に快適なスペースが確保してある。ラゲッジスペースは標準で639Lと大容量。後席を折りたためば最大1,769Lまで拡大可能だ。

インテリアはスポーティーな装い。機能はパサート ヴァリアントの上級グレードに近いもので、充実している
後席は3分割の可倒式。折りたためば最大で1,769Lまで積める

これがベストパサート? スポーティーな乗り味を体感

次にメカニズムを見ていく。エンジンは「AdBlue」(アドブルー、尿素SCRシステムの触媒として用いる尿素水のこと)を使用したクリーンディーゼルの2.0TDIエンジンを搭載。最高出力は190ps/3,500~4,000rpmで、最大トルクは400Nm/1,900~3,300rpmを発揮する。トランスミッションにはDCTタイプの6速DSGを組み合わせる。

最大のポイントは、現行型パサートで初めて4WDを採用していること。さらに、アクセルやパワステ制御などを変更できる走行モードには「オフロードモード」が追加となっている。オフロードモードでは、急な下り坂で車速を一定に保つブレーキ制御「ヒルディセントアシスト」などが作動する。

クリーンディーゼルの2.0TDIエンジンを搭載する「パサート オールトラック」

試乗したのはパサート オールトラックの最上級グレードである「アドバンス」だ。一言でいえば、かなりスポーティーなキャラクターに仕立てられている。低回転で最大トルクを発揮するディーゼルエンジンの魅力が存分に味わえて、峠道の上り坂も力強く駆け上っていく。元気さはパサートTDIを上回っている印象だ。出力は同等だが、アクセルなどのセッティングが異なるのだろう。

そこに前後のトルク配分が可変となる4WDの「4MOTION」と電子制御ディファレンシャルロック「XDS」が加わることで、コーナリングもグイグイ曲がっていく。それでいて乗り心地も良いのだ。ラフロードに適応すべく、足回りのしなやかさを重視していることが良好な乗り心地につながっているのだろう。

「パサート オールトラック」の上級グレード「アドバンス」で御殿場周辺の峠道を走った

同じパサートのスポーティグレード「2.0Rライン」は、もっとハードなセッティングで乗り心地もやや硬めとなる。一方で、パサート オールトラックのアドバンスはバランス重視のセッティングなのだが、クルマ好きをも納得させるスポーティーさを持ち合わせている。これがベストパサートだとさえ思ったほどだ。

ただ、アドバンスはオールトラックの標準車が装着する225/55R17タイヤに対し、245/45R18タイヤにサイズアップしている。さらにはXDSやアダクティブシャシーコントロール「DCC」なども追加となっているので、標準車のオールトラックと異なる部分があることは加味しなければならない。

ただ、オールトラックがスポーティなワゴンに仕立ててあることは間違いない。ファミリーカーだけどドライブを楽しみたいというユーザーには、パサートの中で最もオススメできるクルマだ。

ファミリーカーでも走りを楽しみたいという人には「パサート オールトラック」をオススメしたい。確かに509万円からという価格は安くないが、「パサート ヴァリアント TDI」のエントリーモデルのナビ付きが約470万円であることを考慮すれば、納得のプライスといえよう

走りの良さを持ち合わせたSUVも増えてはいるが…

ステーションワゴンがブームとなったきっかけは、実用性の高さに加え、ワンボックスカーやSUVなどでは得られない走りの良さを獲得できたところにあった。しかし、走りの良さを身につけた昨今のSUVは、そのニーズを奪い、ステーションワゴンの領域を食ってしまったといえる。あれほど盛況であった日本のステーションワゴンも激減し、今やスバルの一強となっている。

ただ、輸入車を見ると、ステーションワゴンの顔ぶれはなかなか充実しており、一定の販売台数を確保している。その中には、いくつかのクロスオーバーワゴンが存在する。

クロスオーバーワゴンはステーションワゴンに価値が加わったクルマなので、ベース車と比べれば、やはり値段は少々高くなる。それでも、中身に見どころはあるし、コスパで考えても納得できるものが多いと思う。日常での使い勝手を重視したい人、ワイルドさやスポーティーさを強調するSUVに子供っぽさを感じてしまう人などは、改めてクロスオーバーワゴンに注目してみてはいかがだろうか。