新たな顧客と出会うきっかけに? マツダ「CX-8」にガソリンエンジン登場

新たな顧客と出会うきっかけに? マツダ「CX-8」にガソリンエンジン登場

2018.10.25

マツダが3列シートSUV「CX-8」の商品改良を実施

目玉はガソリンエンジンの導入、2.5Lターボは余裕の走り

ディーゼルのみではリーチできなかった新規顧客を開拓へ

マツダの3列シートSUV「CX-8」にガソリンエンジンが追加となる。これまではディーゼルエンジンのみだったCX-8だが、新たに獲得する2種類のエンジンは、新規顧客にリーチするための強力な武器になるかもしれない。

マツダが「CX-8」の商品改良を実施。これまでディーゼルエンジンのみだったラインアップに2種類のガソリンエンジンが加わる

1年で受注は3万台超、顧客の要望に応え改良を実施

CX-8は最大7人が乗車可能な3列シートのSUV。多人数乗車のニーズを持つ消費者に対し、箱型ミニバンとは全く違った商品性のクルマを提案することで、マツダは「ミニバンに代わる新たな市場」の創出を狙った。2017年9月14日の予約開始から1年間で受注台数が3万台を超えたというから、売れ行きは好調なようだ。

今回の商品改良を前に、マツダは改良版CX-8の試乗会を兼ねた事前説明会を開催。CX-8の開発主査を務めるマツダ商品本部の松岡英樹氏は、販売動向について「思った以上にたくさんの人から反響があった」と振り返った上で、このクルマの発売が同社のSUV「CX-5」のシェアを奪わなかった点も強調した。乗れる人数は違うものの、大きめのSUVという意味では少し商品性が重なるCX-8とCX-5。主査の説明によれば、この2車種のすみ分けはうまくいっているようだ。

月間3,000台ほどの「CX-5」の販売台数は、「CX-8」発売後も減っていない。「CX-5」では取り込めていなかった客層に、「CX-8」でリーチできているということだろう

松岡主査によれば、CX-8には「ミニバンしか選択肢がなかったが、こういうクルマを待っていた」「ファミリーで使うクルマだが、かっこよくて質感も高い」といった評価が寄せられている一方で、「2列目のベンチシートを皮シートにできないか」「輸入車の3列シートから乗り換えを検討しているが、ガソリンターボエンジンの設定はないのか」「普段使いをメインに考えているが、ディーゼルは少し不安」といった声も聞こえてきたという。2列目の皮シートは2018年6月に導入済みだが、今回の商品改良では、エンジンの多様化を望む市場の声に対応した。

「CX-8」のエンジンを拡充して欲しいという声は多かったようだ。ちなみに、新たに採用となったガソリンエンジンだが、海外向けにはすでに展開していたものだ

CX-8が新たに導入するのは、2.5L直噴ガソリンターボエンジン「SKYACTIV-G 2.5T」とターボなし(自然吸気)の「SKYACTIV-G 2.5」という2つのエンジン。既存の2.2Lクリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 2.2」と合わせて、選択肢は3種類となった。

3列シートSUVとガソリンエンジンの相性は?

3列シートのCX-8は比較的に大きくて重いクルマだから、トルク(エンジンの駆動力)が強いディーゼルエンジンとの相性が良かった。では、ガソリンエンジンの場合はどうなのか。実際にクローズドコースで試乗してみた感じからいうと、自然吸気の方は時速100キロを超える加速の時にエンジンから「頑張っている感」みたいなものを感じたが、ターボエンジンには余裕があった。

ガソリンエンジンが追加となったおかげで、「CX-8」の価格レンジは下方に広がった。具体的にいうと、発売当初は税込み319万6,800円~419万400円だった価格幅が、今回の改良で同289万4,400円~446万400円へと拡大したのだ。ただし、ディーゼルエンジン車の方は改良を経て値上げとなっている

「頑張っている感」とは何かを頑張って説明すると、アクセルペダルを強めに踏んだ時に、クルマが少し遅れて加速してくるような、エンジンが踏ん張って全力を出そうとしているような、そんな感じだ。ただ、試乗の順番として自然吸気が先、ターボが後だったので、その違いを強く感じてしまった部分もあると思う。最初から自然吸気だけに乗っていれば、特に問題はないのかもしれない。そのあたりを含め、松岡主査は次のように語る。

「CX-8には、トルクフルな走りと燃費を両立するため、まずはディーゼルエンジンを投入しました。追加となったガソリンターボエンジンは、大排気量の自然吸気エンジンのように、低~中速からトルクフルでリニアな(アクセルを踏んだ量と加速感が比例しているように感じられる)特性を持ち、パワフルで伸びやかなパフォーマンスフィールを提供します。こちらのエンジンは、走り志向のお客様にも検討してもらえるのではないでしょうか」

また、ノンターボについては「アクセル操作に正確に反応するリニアな走りで、街乗りが中心のお客様にはベストバイになるのでは」と同氏。近距離走行がメインで、ガソリンエンジンを探していた顧客をカバーできると考えているそうで、「CX-8のコンセプトには共感したものの、価格などを理由に購入をあきらめていた方にも、ご検討いただけるのでは」と続けた。

今回の商品改良で変わったのはエンジンのラインアップだけではない。例えばエアコンパネルデザインやスイッチ類のデザインを一新したり、最上級グレード「L Package」の前席にシートベンチレーション機能を導入するなど、質感向上にもマツダは気を配った。先日の「CX-5」改良で初登場した同社独自の車両制御技術「GVCプラス」は、今回の商品改良で「CX-8」にも導入となっている。この技術についてはエンジニアに詳しく聞いてきたので、こちらの記事をご覧いただきたい

乗り方に応じて選択できるエンジンの幅が広がったCX-8。「多人数乗車のニーズはあるものの、箱型ミニバンに乗るのはちょっと……」と考えつつも、ディーゼルエンジンのみの設定であることを理由に、CX-8を購入検討リストから除外していたという人には、注目すべきクルマに進化したのではないだろうか。今回の改良は、CX-8が新しい顧客と出会うきっかけになりそうだ。

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2019.06.17

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放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu