業績が振るわず人気も停滞の「Twitter」、一体何が起きているのか

業績が振るわず人気も停滞の「Twitter」、一体何が起きているのか

2016.06.02

140文字でコミュニケーションする人気の「Twitter」だが、ここ最近業績が振るわないなど、元気がない様子ばかりが伝わってくる。日本では依然として人気を獲得しているTwitterだが、そのアイデンティティというべき140文字の制限を撤廃するのではないかという噂が流れるほど、大きなテコ入れが求められているようだ。一世を風靡したTwitterが、なぜここまで調子を落としているのだろうか。

日本では人気だが業績も利用者数も伸び悩み

140文字という短い文章制限の中で思ったことをつぶやき、コミュニケーションできることが人気を博しているTwitter。2006年のサービス開始以降急速に人気を高め、昨年末時点では月間アクティブユーザー数(MAU)が世界3億2000万、日本でも3500万に達するなど、今なお非常に多くのユーザーを抱える人気のコミュニケーションサービスとして知られている。

災害時の利活用が注目されるほか、芸能人・著名人のツイートが話題となるなど、今なおTwitterは多くの人に利用されている。それゆえ一見すると、Twitterは順調に成長しているように見えるのだが、そのTwitterを運営する米ツイッターの業績を見ると、決して好調とはいえない状況が続いており、明るい話題を耳にすることはない。

ツイッターの売上自体は伸びており、2016年度第1四半期の売上高は前年同期比36%増の5億9450ドルに達している。だがその伸びは業績を大きく改善するほどには伸びておらず、純損益は長い間赤字が続いている。同四半期の純損失は7973万ドル(約89億円)に達しており、決して業績が芳しいとはいえない状況だ。

業績の推移。売上は伸び純損失も減少傾向にあるが芳しいとはいえない状況(Twitter公表資料をもとに作成)

そして、ツイッターにとってより深刻なのは、Twitterの月間アクティブユーザー数の伸び悩みだ。実際、同四半期のMAUは3億1000万と、こちらも3億前後で横ばい傾向が続いている。Twitterは広告を主体としたビジネスを展開しているだけに、ユーザー数の増加は単なる人気の指標を示すだけでなく、売上にも大きく影響してくるものだ。それだけに、赤字が続くTwitterの利用者数が伸び悩んでいることは、赤字が改善する可能性が低いことも示しており、ツイッターのビジネスそのものの見直しが求められていることが分かる。

月間アクティブユーザーの伸びは鈍化傾向に。米国内では横ばいの状態(出典:First quarter 2016 Presentation Slide)

だが、先にも触れた通りTwitterの利用は、日本では人気が継続しており、利用者が減少している様子も特段感じられない。Twitter利用の初期を支えたITリテラシーの高いユーザー層だけでなく、学生を主体とした若い世代もTwitterを積極的に利用しており、友達とのコミュニケーションなどに活用されているようだ。にもかかわらず、Twitterがこれほどまでに苦戦しているのには、どのような理由があるのだろうか。

スマートフォン時代の新サービスが台頭

その大きな要因となるのは、世界的なスマートフォンシフトだ。Twitterが登場した2006年当時、インターネットの利用はパソコンが主体だった。だがそれから10年が経過した現在、インターネット利用の主体はスマートフォンであり、スマートフォンへのシフトがコミュニケーションのあり方に大きな変化をもたらしたのである。

1つはコミュニケーションのあり方が、よりクローズドで細分化された形へと変化したこと。Twitterは登場当初"ミニブログ"という呼び方がなされていたように、多くの人に情報を発信するブログの延長線上にあるサービスとして展開されてきた。それゆえオープンな場で議論を好む人たちが、Twitterを積極的に利用することで、利用が広がった経緯がある。

だがスマートフォンによって、インターネットの利用がより大衆化されたことから、幅広い人たちと議論をするよりも、近くの友人と日常的なコミュニケーションをすることが重視されるようになった。そこで台頭してきたのが、日本でいえばLINE、海外であればWhatsApp MessengerやWeChatなどのメッセンジャーアプリであり、知り合いだけのクローズドな空間で、リアルタイムにコミュニケーションができることから人気を博すに至っている。

そしてもう1つは、コミュニケーション自体のあり方の変化だ。Twitterは短い文章とはいえ、テキストを主体としてコミュニケーションするスタイルをとっている。キーボードが備わったパソコンであれば文字入力に苦はないが、スマートフォンではパソコンよりも文字入力がしづらいのに加え、カメラを標準で備えていることから、写真や動画による、より手軽なコミュニケーションの利用が拡大する傾向にある。

それを象徴しているのが、写真を通じてコミュニケーションする「Instagram」の人気だ。Instagramは登場した当初、写真好きが利用するアプリとして知られていたが、Facebookなど既存のコミュニケーションサービスで、大人世代との接触を好まない若い世代が、写真を活用して気軽にコミュニケーションできるツールとして活用することで爆発的に広まった。最近では日本でも若い世代を主体に利用が広まっており、スマートフォンの利用に積極的な世代の心をつかんでいることが分かる。

クローズドなコミュニケーションのWhatsApp
写真を通じたコミュニケーションアプリのInstagram

クローズドと写真という2つのコミュニケーションを合わせる形で、海外では10秒で投稿した写真が消える「SnapChat」も、若い世代から支持を得て人気となっている。日本では熱心な利用者を獲得したことで若い世代からも支持を獲得しているが、そうした国は比較的稀なこと。多くの国では、スマートフォン時代の新しいコミュニケーションサービスに押される形で、Twitterの利用が減少傾向にあるのだ。

既存ユーザーの壁を越えて新たな施策が打ち出せるか

Twitterの利用の落ち込みという課題に対して、ツイッター側もさまざまな取り組みで利用の回復に向けた取り組みを進めている。特に、ツイッターの創設者であるジャック・ドーシー氏が2015年10月にCEOへと復帰して以降、同年8月にはダイレクトメッセージの文字数を140文字から10000文字に拡大したほか、今年2月には重要だと思われるツイートをタイムラインの上部に表示するなど、さまざまな改変がなされている。

また今年1月には、ダイレクトメッセージだけでなく、ツイートできる文字数を10000文字に拡大するという報道がなされ、それに応える形でドーシー氏が、長文の画像を用いて文字数拡張の可能性を示したこともあった。この試みは、ユーザーの反発を受けて実現には至っていないが、140文字ルールを若干緩和する方針が5月24日に発表された。今後も利用を拡大するため、さらに改変を加える可能性は十分考えられそうだ。

6秒動画サービス「Vine」など動画コミュニケーションにもTwitterは力を入れる

また、ツイッターはTwitter単体だけでなく、6秒の動画を再生できる「Vine」を2012年に、そして動画のライブ配信サービス「Periscope」を今年3月に買収するなど、利用が高まっている動画のコミュニケーション拡大も進めている。最近ではこれらのサービスと、Twitterを積極的に連携させる取り組みを進めていることから、今後ツイッターはユーザーの幅を拡大するため、文字だけでなく動画を主体としたコミュニケーションの取り組みを増やしていくとも考えられる。

少なくとも現在のTwitterのスタイルを維持しているだけでは、スマートフォン時代に登場した新しいサービスに押される形で、利用者数が頭打ちの状況が続くことは明白となっている。だが一方で、現状のTwitterを好んで利用しているコアユーザーも少なくなく、安易な改変は一層のユーザー流出へとつながる可能性もある。既存ユーザーを満足させながら、新しい取り組みを進めることは容易ではないだけに、ドーシー氏の手腕が大きく問われるところではないだろうか。

メルカリ出し抜くラクマ、売上金の「楽天キャッシュ」チャージ額が5億円を突破

メルカリ出し抜くラクマ、売上金の「楽天キャッシュ」チャージ額が5億円を突破

2019.01.22

ラクマ売上金の「楽天キャッシュ」チャージ額が累計5億円に

同様のサービスを構想しているメルカリを先行する形に

楽天は1月21日、フリマアプリ「ラクマ」において、取引で発生した売上金のうちオンライン電子マネー「楽天キャッシュ」へチャージした累計額が2018年12月末に5億円を突破したと発表した。

ラクマでの売上金を楽天キャッシュへチャージする機能は、2018年7月より提供開始されている。チャージした電子マネーは、楽天会員向けのグループ各種サービスで利用できるほか、ローソンやファミリーマートなど「楽天ペイ」対応店舗での決済でも利用可能だ。

2017年8月1日から開始されたローソンでの支払いに続いて、2018年12月4日からはファミリーマートでも楽天ペイが使用できるようになった

同じくフリマアプリを展開するメルカリは、100%子会社「メルペイ」で同様のサービスを構想している段階であり、この分野においてはラクマが1歩先行する形になった。

現状、メルカリで得た売上金をメルカリ以外で使う場合は、一度口座に振り込む必要がある。また、売上金には180日という「振込申請期間」が設定されており、その期間中に「口座に振り込む」か、メルカリ内で使える「ポイントを購入」するか、選ばなければならない。ただし振込の場合、1万円未満だと210円の手数料が発生する(2018年1月21日時点)。ラクマの売上金チャージ機能と比較すると、どうしても見劣りしてしまうだろう。

ちなみに筆者もメルカリユーザー。現状、売上金が合計1万円に満たないため、振込手数料を発生させずに現金に換えるためには、あと1540円分の売り上げが必要になる (画像はメルカリアプリより)

しかし、少し古いデータではあるが、2018年5月31日のニールセン デジタルの発表によると、スマートフォンからの利用率の高いオークション/フリマサービスは、1位がYahoo! オークションで25%、2位がメルカリで23%、3位がラクマで11%であることがわかっており、同じフリマサービスであっても、ラクマの利用率はメルカリの半分であるのが現状だ。

メルカリのダウンロード数は2018年11月14日時点で7500万、ラクマが同年10月時点で1500万と、両サービスの普及率にも差があることからも、日本におけるフリマ市場のバランスがすぐにひっくり返ることはないだろう。

だが、ラクマが売上金をさまざまなサービスに使えるという実用性で、メルカリとの新たな差別化ポイントを生み出したことは、新規ユーザーの獲得に少なからず貢献しそうだ。

ラクマ売上金のチャージ額が5億円突破したことは、ユーザーの「アプリ内の売上金を別の場所で使いたい」というニーズの強さの証明ともいえよう。こうしたユーザー視点に立った機能の追加による消費体験の向上が、フリマ市場にどのような影響をもたらすのか、キャッシュレス決済市場への参入が期待される、メルカリの動向と合わせて注目したい。

1000字の描き直しを越えて ―ナール制作の舞台裏

最初の書体感覚をもち続けることのむずかしさ

写研で書体デザインの責任者を務めていた橋本和夫さんに衝撃を与えた書体、ナール。作者の中村征宏氏が第1回石井賞創作タイプフェイスコンテスト応募時に書いた設計意図は、次の通りだ。

〈縦組みの場合にも、横組みにも字間のバランスがムリなく一つの流れを持つことを念頭におき、ボディータイプとして、従来使用されなかった丸ゴシック系のタイプフェイスを試みた。字面をいっぱいに使い、文字のエレメントを強調し、細い線で構成することによりシンプルさを求めた。字面を大きく使うことが字間の問題に関連し、字間のバランス調整のための切り貼り、字詰めの工程を少しでも短縮することができるのではないかと思う。その結果、組み上がりにおいて、集合の調和が生まれるのではないかと思う。広告制作物などにおいて、コピーやサブ・タイトルなどに適するのではないかと考える。〉(*1)

中村征宏氏の著書『文字をつくる』(美術出版社、1977年)

1970年(昭和45)5月18日にコンテスト授賞式が開催されたのち、写研からの文字盤発売に向けて、同年8月ごろから本格的な書体制作が始まった。必要な文字数は漢字が約5400字、ひらがなとカタカナで約150字、アルファベット約100字、その他(約物、記号など)約200字で、合計約5800字だ。写研の監修を受けながら、原字はすべて中村氏が描いた。監修を担当したのは橋本さんである。

約5800字の原字を描くのは、想像以上に大変な作業だ。橋本さんは語る。

「コンテストに応募するときに描いていただくのは、漢字50字とひらがなカタカナ、そして記号の一部だけです。それを1枚のパネルに構成するので、文字構成としては、まとめやすい。ところが、文字盤化する際には約5800字を1文字1文字描くことになり、完成するまでの年月は2年はかかります。外部デザイナーの方と書体をつくるようになって、われわれが一番苦労したのは、“今月と来月では、仕上がってくる書体の雰囲気が変わってしまうことがある”ということでした」

「文字を増やす際に字種リストを渡すのですが、『何の文字をつくるか』を見るためのリストのはずが、長い間ながめているうちに、つくっている文字がリストの文字に似てきて、当初のデザインと雰囲気が異なってきてしまった。ナールは既成概念をくつがえす、突き抜けたデザインの丸ゴシック体だったはずなのに、描き進むうちに最初のデザイン思想から離れ、持ち味が失われるということが起きたのです」

原字を描き進めるうち、コンテストのオリジナルデザインから、いつのまにか特徴が変わってしまっていたのだ。そのままでは、まるで違う書体になってしまう。結局、途中で1000字分を描き直すことになった。

中村氏もこのことを振り返り、著書に〈人の感覚は徐々に変化するものには気づきにくいものですから、いつも最初の見本と照らし合わせながら書き進めることが大切です。このようなことは、太さだけのことではなく字形とか感覚面でも同じようなことがいえます。感覚もときがたつことによってどんどん変化するものですが、とくに最初の感覚は大切にしていきたいものです〉と書いている。(*2)

悩ましい文字

「もうひとつ、ナールを監修したなかで、ひどく悩んだことがありました。ナールは、字面いっぱいに真四角に描かれた書体です。たとえばひらがなの『り』は通常は縦長、『へ』は横長の形をしていますが、これらの文字すら、できる限り正方形に近づけて描かれている。ぼくが悩んだのは、『々』という漢字でした」

ナールでは、縦長の「り」、横長の「へ」も正方形にかなり近い

「時々」「常々」「佐々木」など、同じ漢字を繰り返すことを表すときに用いられる「々」の字だ。

「常識的にいえば、この字は他の漢字よりも小さく描きます。では、通常は縦長、横長など固有の形をもつひらがなですら正方形に近づけているナールでは、どういう大きさにすればよいのか? 最初は『々』も他の漢字と同じ大きさで、真四角にするのがよいと思ったのですが、いざつくってみると、やはり少しは他の漢字より小さくしなければ『々』に見えないとわかりました」

「他の書体をつくるときにも『々』をどういう大きさにするか、いつも考えるのですが、ナールのときにはとりわけ悩んだものでした」

また、こうした試行錯誤を経て、「文字を図形化する際も、かなと漢字の使い方に意味のあることをあらためて認識しました」という。

新聞雑誌、広告から、道路標識まで

途中で1000字の描き直しなどがあったものの、コンテストから2年後の1972年(昭和47)、ナールは写研写植機用の文字盤として発売された。書体名は、「中村」の “ナ” と、丸みを表す言葉である「ラウンド」の頭文字 “R” をとって「ナール」とつけられた。(*3)さらに、ナールと組み合わせて使うことを想定した中太の「ナールD」の文字盤も1973年(昭和48)に発売された。

ナールD(上)とナール(下)

中村氏はコンテスト応募当時、ナールを本文書体と考えていたが、いざ発売されてみると、広告や雑誌、新聞などの見出しなどに使うディスプレイ書体として大人気となった。ポスターや広告のキャッチフレーズ、テレビの字幕、道路標識などに幅広く使われ、一世を風靡した。

「タイポスによってデザイナーのつくる書体が注目され、少女たちが丸文字を書くようになっていく流れのなかで登場したナールは、『時代に乗った』ともいえますが、むしろ『時代をつくった』書体といえるでしょう。写植の文字はナールの登場によって、それまで職人が手描きしていたレタリング文字の分野に浸透していった。“新書体ブーム”の幕開けでした。そうして写植の機械は、単に文字を印字するだけでなく、多彩なディスプレイ書体によって雑誌や広告にファッション性を生み出す手段のひとつとして、とらえられるようになっていったのです」

(つづく)

(注)
*1:中村征宏『文字をつくる』(美術出版社、1977年)P.80
*2:同書 P.21
*3:『文字に生きる〈写研五〇年の歩み〉』(写研、1975年)P.127

話し手 プロフィール

橋本和夫(はしもと・かずお)
書体設計士。イワタ顧問。1935年2月、大阪生まれ。1954年6月、活字製造販売会社・モトヤに入社。太佐源三氏のもと、ベントン彫刻機用の原字制作にたずさわる。1959年5月、写真植字機の大手メーカー・写研に入社。創業者・石井茂吉氏監修のもと、石井宋朝体の原字を制作。1963年に石井氏が亡くなった後は同社文字部のチーフとして、1990年代まで写研で制作発売されたほとんどすべての書体の監修にあたる。1995年8月、写研を退職。フリーランス期間を経て、1998年頃よりフォントメーカー・イワタにおいてデジタルフォントの書体監修・デザインにたずさわるようになり、同社顧問に。現在に至る。

著者 プロフィール

雪 朱里(ゆき・あかり)
ライター、編集者。1971年生まれ。写植からDTPへの移行期に印刷会社に在籍後、ビジネス系専門誌の編集長を経て、2000年よりフリーランス。文字、デザイン、印刷、手仕事などの分野で取材執筆活動をおこなう。著書に『描き文字のデザイン』『もじ部 書体デザイナーに聞くデザインの背景・フォント選びと使い方のコツ』(グラフィック社)、『文字をつくる 9人の書体デザイナー』(誠文堂新光社)、『活字地金彫刻師 清水金之助』(清水金之助の本をつくる会)、編集担当書籍に『ぼくのつくった書体の話 活字と写植、そして小塚書体のデザイン』(小塚昌彦著、グラフィック社)ほか多数。『デザインのひきだし』誌(グラフィック社)レギュラー編集者もつとめる。

■本連載は隔週掲載です。

これまでの記事一覧ページはこちら