『ストV』から考える、オンラインでは味わえないゲーセンコミュニティの魅力

『ストV』から考える、オンラインでは味わえないゲーセンコミュニティの魅力

2018.10.12

アーケード版『ストリートファイターV』のロケテが実施された

ピーク時には1時間以上の待ちが発生するほど人気

ゲームセンターならではのコミュニケーションも見られた

10月5~7日の3日間、アーケード版『ストリートファイターV』のロケーションテスト(ロケテ)が行われた。開催場所は「タイトーステーション 新宿南口ゲームワールド店」「プラサカプコン吉祥寺店」「名古屋レジャーランドささしま店」「ラウンドワン福岡天神店」「セガ難波アビオン店」の5カ所。今回は「タイトーステーション 新宿南口ゲームワールド店」に取材をお願いした。

タイトーステーション 新宿南口ゲームワールド店でのロケテの様子

1時間以上の待ちが出た新宿のロケテ

「タイトーステーション 新宿南口ゲームワールド店」は、対戦格闘ゲームの強豪プレイヤーが集まる店で知られており、ロケテ当日も賑わいをみせていた。

ロケテでは、アーケード版『ストリートファイターV』の対戦台が2台用意され、常時4人が遊べるようになっていた。2日目の午後に訪れたのだが、1日目は営業時間中にプレイヤーが途切れることはなく、ピーク時の夕方には、1時間以上の待ちが出るほどの人気っぷりだった。開発担当のタイトー 沢岻裕司氏によると、対戦格闘ゲームのロケテは何度も行っているが、今回はかなりの盛況ぶりだという。

ロケテ参加者の中には、これまでゲームセンターには来たことないが、家庭用の『ストリートファイターV』を遊んでいたので来てみたという人も大勢いた。アーケード初体験の人もゲームセンターの魅力を存分に味わい、楽しんでいったようだ。また、お金を払ってプレイするというシステムがわからず、いきなりゲームを始めようとしてできなかったため、店員に確認していた利用者もいた。

ロケテに参加するために階段に並ぶプレイヤー。平均で30分くらいの待ち時間がかかった
オープン前から並んでいる人たちもおり、店舗前には待機列ができた

今回ロケテで使われた筐体は、「VEWLIX ◆(ビュウリックス ダイヤ)」をベースにカスタマイズされたものを使用。視野角が広く、応答速度も高いフルHDのAHVAパネルを搭載した。さらに、アーケード版『ストリートファイターV』の最大の特徴は「USB Standard-A」の端子を搭載していること。PlayStation 4(PS4)などのコントローラー(いわゆるパッドコントローラー)を持ち込んでプレイすることも可能だ。

これまでPS4版とPC版でのみリリースしていた『ストリートファイターV』から対戦格闘ゲームを始めた人は、PS4のパッドで操作していることも多い。また、ゲームセンターがほとんどなくなった海外でも同様にパッド勢が多いので、アケコンに慣れていない人でも普段の操作で遊べるのはありがたい配慮だ。

ちなみに、店舗では新たに筐体を購入しなくても、近年発売されたビュウリックス筐体があれば、『ストリートファイターV』のアーケード版を導入できるという。

ロケテで使われたビュウリックス ダイヤ BLACK。ゲームセンターではギャラリーが出ることもあり、ナナメからでもしっかり見られるように視野角の広さも重要
初搭載となるUSB端子。PS4のパッドだけでなく、慣れ親しんだアケコンも持ち込んで使える
PS4のデュアルショック4を接続して使用。当初はロケテではUSB接続は非対応とのことだったが、使えるようになっていた

備え付けのアーケードコントローラーは、ボタンが8つ用意されている。これもコンシューマ用のアケコンを使っている人への配慮。同時押しボタンなどを設定している人は、ゲームセンターでも同じように使える。

今回は右上のボタンにパンチ3つ同時押し、右下のボタンにキック3つ同時押しが設定されていたが、本稼働時には自由に設定したり、ボタンをオフにしたりできるとのこと。ただ、毎回設定を行うのは、時間がかかりすぎてしまうので、NESiCAを利用するのがいいだろう。NESiCAと連携したモバイルサイトなどで、あらかじめ7つ目と8つ目のボタンをどのボタンの組み合わせにするか登録しておくことで、すぐに自分の設定したボタンが使えるようになる方向で検討しているそうだ。

当然、NESiCAや電子マネーに対応予定だが、今回はオフラインでの接続だったため、これらの機能は使えなくなっていた。

今回のロケテで使われていたビュウリックス ダイヤ BLACKのコンパネ。ボタンが8個あり、ボタンとレバーの間隔も従来のものに比べてほんの少しだが広めになっている
今回NESiCAと電子マネーは使用できなくなっていた

ゲームは基本的に、現バージョンをそのまま使用しているので、ほとんど変わらない。タイトル画面が専用のものに変わっていることと、対戦モードとトレーニングモードの2種類しかないことが、コンシューマ版との違いだ。DLCキャラクターを購入することなく、全キャラクターが使用できるのもアーケード版ならでは。今回のロケテスト版では5連勝でゲームオーバーとなる仕組みだが、本稼働時の連勝制限は店舗によって異なる。

実際にプレイした感覚では、当然だが、PS4版、PC版との違いは感じられなかった。筐体と一体化したコントローラーの安定感はさすがで、コマンド入力が格段にしやすく感じた。

アーケード版『ストリートファイターV』のインストラクションカード。対人戦は5連勝までと書いてあるが、正式リリース時には変更される可能性もある
必殺技のコマンド表。これを見るとアーケード版であることをしみじみと感じる
コマンド表その2。コンシューマ版と違い、すべてのキャラクターを自由に使用できることもアーケード版をプレイする理由のひとつ。PS4版やPC版でDLCを購入する前に、まずアーケード版で試すことができる

ゲーセンにはコミュニティを育む土壌がある

プレイするために並んでいるときはもちろんのこと、プレイし終わっても、しばらくその場にとどまり、プレイを観ている客がほとんどだった。人のプレイを観てうまい人に教えてもらったり、同じ趣味を持つ人との接点になったりと、コミュニティづくりにひと役買っていることを確認できた。

ゲームセンターが廃れていくのが世の流れである中、今回のロケテでは次世代に良いアピールができたのではないだろうか。ともすれば、オンラインで済んでしまうことを、わざわざゲームセンターに足を運んでまでする意味が「ゲームをすること」だけではないとしたら、それを気づかせてくれるきっかけとしてアーケード版『ストリートファイターV』があるのかもしれない。

オンラインでは対戦のみに特化しすぎてしまうのが実情だ。しかし、ゲームセンターであれば、集まったプレイヤー同士でコミュニケーションをとり、自分の弱点や強敵の対策などをアドバイスしあえるようにもなるだろう。そこまでガチでプレイしていない人も、同じゲームが好きな仲間と会える場所として機能していくことで、オンラインにはない楽しみを享受することができるハズだ。

また、ゲームセンター単位での店舗大会など、これまで以上にゲーム大会ができるという可能性にも期待したい。なんにせよ、2019年の本格始動が待ち遠しいところだ。

<今回ロケテ取材をしたお店>
タイトーステーション
新宿南口ゲームワールド店

住所:東京都新宿区新宿3-35-8
営業時間:10:00~翌1:00

 

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NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

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○カレー沢薫の時流漂流
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最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu