懐かしのゲーム機がミニサイズで相次ぎ復刻! ブームの背景を探る

懐かしのゲーム機がミニサイズで相次ぎ復刻! ブームの背景を探る

2018.10.15

ミニファミコンを皮切りに、小型ゲームハードの販売が相次いでいる

各社のハードに共通する特徴は“エモさ”

単なるレトロジャンルではないスタイルの確立が若年層にも響いた

昨今、「クラシック」や「ミニ」などと称して、往年のゲームハードを小型化したゲーム機の販売が続いています。潮流の先駆けとなったのは、2016年11月10日に任天堂から発売された「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」(以下、ミニファミコン)に間違いないでしょう。この時は、生産終了までに230万台が販売され(※1)、発売当初は全世界で入手が困難となる程の人気でした。つまり、任天堂が想定していた以上に需要があったということです。

実際、「クラシック」シリーズ第2弾となった、「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」は、2017年10月5日に発売がはじまってから2018年3月31日までに全世界で累計販売数528万台(※2)を記録しています。なお、2018年6月28日よりミニファミコンの販売も再開しました。

ミニファミコン ©Nintendo
ミニ スーパーファミコン ©Nintendo

このような中、かつて、ゲームハード競争のライバルとしてしのぎを削っていたセガゲームスが「メガドライブ ミニ(仮)」の発売を決定。さらに、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)からは、2018年12月3日に「プレイステーション クラシック」(以下、PSクラシック)の発売が控えています。

メガドライブ ミニのイメージ ©SEGA
PSクラシック
©Sony Interactive Entertainment Inc. All rights reserved.
Design and specifications are subject to change without notice.

往年の作品を再販売するというのは今回に限ったことではありません。ソフトに限れば、ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)は「ナムコミュージアム」と称して、80年代にゲームセンターで一世を風靡したゲームタイトルを、プレイステーション向けに販売。この他に、ファミコンのタイトルを携帯型ゲーム機「ゲームボーイアドバンス」向けにリメイクした「ファミコンミニ」シリーズなども2004年にリリースされ、話題となりました。また、往年人気を博した多くのソフトが、最新プラットフォーム向けにダウンロード販売されています。では、これらの試みと、前述の展開とでは何が違うのでしょうか?

「エモさ」がゲーマーの食指を動かした

今回流行している商品群の特徴を、一言で表現すると「エモさ」につきます。とりわけ、これらのハードをかつて実際に所有していた、30代から40代の年齢層に対してです。というのも今回は、ソフトのみが提供されているのではなく、ハードの外観から、外箱パッケージデザインに至るまで、発売当時のものを再現しているのです。ゲーマーにとって、ゲーム体験は、パッケージをショップで手に取った瞬間からはじまるわけですが、これらの商品開発者はまさにその瞬間を再現したかったのでしょう。

PSクラシックのパッケージ
©Sony Interactive Entertainment Inc. All rights reserved.
Design and specifications are subject to change without notice.

さらに、内蔵されたソフトのラインアップも、細心の注意を払ってキュレーションがなされているように見受けられます。とりわけ多くの人にとって思い入れが強いであろう作品をセレクトしているのです。

ミニファミコンを例にとると、任天堂およびセカンド・パーティタイトルとしては、最初期のラインアップだった『ドンキーコング』からはじまり、社会現象となった『スーパーマリオブラザーズ』、そして後半期に話題となった『星のカービィ 夢の泉の物語』まで、サード・パーティタイトルも往年の名作と言える『パックマン』から、傑作アーケードゲームの移植タイトルである『魔界村』や『スーパー魂斗羅』、さらには、ファミコンとともに育まれたIPとも言える『ファイナルファンタジーⅢ』など、ソフトの発売時期、開発元に関わらず「エモい」作品の数々が一堂に集結しているのです。

とは言いながら、全てを当時のままに再現しているわけではありません。ソフト内蔵からはじまり、HDMI接続、手のひらサイズ化、常時セーブ機能設置など、ゲームプレイをセットアップするうえでの「煩雑さ」は完全に排除されました。その結果、プラスの想い出は拡張されながら、マイナスの想い出は除かれる――。まさにこれらのハードは、往年のゲーマーにとっての「エモい」が、そのまま物質化されたものと言えるでしょう。

SIEもその点を充分理解しており、PSクラシックのマーケティング戦略も、まさにかつてのユーザー層に「エモさ」を訴求する手法を採用しています。まずは、発売予定日。オリジナル機が初めて発売された日、すなわち、12月3日にあわせてきました。さらに、関連広告もオリジナル版発売時にお茶の間を席巻した「1・2・3」を連呼する広告に極めて近いものを展開。当時の興奮を完全再現しています。

新規ユーザーにも受け入れられる「アートスタイル」

もちろん、往年のユーザー層に「エモい」体験だけを与えることが、結果につながっているわけではありません。これら各世代で生まれた作品群のサウンドやグラフィック表現が、アートスタイルとして確立したことが、新規ユーザーを取り込むうえで重要な役割を果たしたと思われます。

ファミコン時代やスーパーファミコン時代を象徴するグラフィックは「ピクセルアート」として、サウンド表現は「チップチューン」として、そのスタイルが普及しました。一方、プレイステーション時代の3D表現は「ポリゴンアート」として整理されつつあります。

昨今、個人や小集団でゲームを開発するインディーズのムーブメントが広がっていますが、これらのムーブメントにおいて、前述のような表現を「スタイル」と捉えて、ゲーム開発を進めているチームも多く、これらのジャンルが現在のゲーマーにも受け入れやすくなる土壌を作り上げました。

その結果、若いユーザーが、クラシック型ゲームハードやソフトを「懐古モノ」としてではなく、「ある種のスタイル」として認識させるに至っています。もちろん、各ゲーム機のためにセレクトされた作品のゲームデザインも洗練されており、初めてプレイする若い人たちでもじっくりと楽しめるものばかりであるということも重要です。

親子二世代で楽しめるクラシック型ハードのこれから

上記の理由から、親世代が買ってきたものでも、家族全員で楽しめるものになっていることがわかります。最近は「戦隊ヒーロー物」などを親子二世代で楽しむという現象が話題となっていましたが、「クラシック」型ハードは、まさにゲームを親子二世代で楽しめるものにしたと言っても過言ではないでしょう。

スーパーファミコンが全世界で4910万台が販売されていたことを踏まえると、スーパーファミコンミニはその1割に当たる台数を販売したことになります。これはまさに「エモい」体験を望んだこれまでのユーザーと、温故知新を求めた新規ユーザーが購入したことで実現された結果と言えるでしょう。一方、プレイステーションは全世界での累計生産出荷台数が1億台を突破している(※3)と言われていますが、「PSクラシック」がこれまでの「クラシック」型ハードの累計販売台数の記録を更新するかどうかに注目が集まります。

<参照元>
※1 IGN.com  2017年4月の報道による
※2 任天堂  平成30年3月期 決算短信 による
※3 Sony Computer Entertainment 2004年5月19日の報道による(初代PSおよびPS oneの合計)

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2019.06.17

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2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu