eスポーツとマネー、課題に向き合うプロチームと大会運営者の想い

eスポーツとマネー、課題に向き合うプロチームと大会運営者の想い

2018.10.04

eスポーツのマネタイズは大会運営者にとっても悩みのタネ

きっかけを提供するコンテンツでファン拡大を目指す

今後必要なのは、スター選手の存在とeスポーツを身近に遊べる環境

eスポーツへの注目が高まりつつある現在。腕の立つプロゲーマーだけでなく、大会を運営するイベント会社や動画を配信する映像会社、スポンサーとしてサポートする企業など、さまざまなプレイヤーがeスポーツに参入し始めている。

東京ゲームショウ2018(TGS2018)では、「プレイヤーとゲーム会社、eスポーツ大会の幸せな関係とは?」というテーマのセッションが開催され、CyberZ 取締役の青村陽介氏、DetonatioN Gaming CEO / Sun-Gence代表取締役の梅崎伸幸氏、ウェルプレイド 代表取締役/CEOの谷田優也氏、RIZeST 代表取締役の古澤明仁氏、よしもとスポーツエンタテインメント 代表取締役社長の星久幸氏の5人が、それぞれの考えを述べた。

モデレーターを務めたのは、日経トレンディネット/日経クロストレンド 記者の平野亜矢氏。本稿では同セッションの様子を紹介する。

行政を巻き込めるかがカギ? 課題の多いマネタイズ面

日経トレンディネット/日経クロストレンド 記者の平野亜矢氏

平野氏「日本のeスポーツは、まさに勃興期。今後ますます、盛り上がっていくことが予想されますが、日本ではどのようなカタチになっていくと思いますか? ファンが大会に足を運んで盛り上がる海外のようになるのか、はたまた日本独自のカタチがあるのか。お考えをお聞かせください。ではまず青村さん、いかがでしょうか」

青村氏「私は『RAGE』というeスポーツイベントを実施しているのですが、海外を参考にすることは少なくありません。ただし、必ずしも海外のカタチをそのまま日本で再現する必要はないでしょう。PCゲームの多い海外と、モバイルやコンソールが主流の日本ではプレイや視聴の文化も違いますからね。海外は熱量が高くてうらやましく思うことはありますが」

CyberZ 取締役の青村陽介氏

平野氏「大会運営やスポンサー企業のプロモーションなど、eスポーツを総合的にプロデュースされてるRIZeSTの古澤さんはいかがですか?」

古澤氏「ネットでeスポーツのイベントを検索すると、海外の華やかなシーンが出てくることが多いかもしれませんが、青村さんのおっしゃる通り、日本には独自に築いてきた文化や生活様式があります。受け入れられるものなども違うでしょう。日本人の好むエンターテインメントのカタチがあるはずです」

RIZeST 代表取締役の古澤明仁氏

平野氏「最近はeスポーツがメディアに取りあげられる機会も増えたと感じています。プロチーム『DetonatioN Gaming』を運営されている梅崎さんにお聞きしたいのですが、注目されるようになったからこそ感じる課題やハードルなどについて教えてください」

梅崎氏「日本では現在約45のプロチームがあります。そのなかでちゃんと食べていけるのはわずか3~5チーム程度。その点は正直海外とは比較になりません。私も四苦八苦しているところですが、マネタイズの仕組みをどうやって作るかが大きな問題です」

DetonatioN Gaming CEO / Sun-Gence代表取締役の梅崎伸幸氏

 平野氏「マネタイズしていくうえで、クリアしなければならない問題は何だと思いますか? スマートフォンタイトルを中心に、イベント企画や番組制作を実施されているウェルプレイドの谷田さん、いかがでしょう」

谷田氏「やはりIPの存在でしょう。メーカーさんの立場では、ゲームを1本でも多く売ることが大事です。自社の持ち物としてやっていきたい気持ちもあると思いますが、協力していかなければならない部分もあるはず。その折り合いをどうつけていくか、悩んでいると思います。例えば、アニメの製作委員会ではないですが、タイトルをみんなで盛り上げていき、収益を分配できるような方法を模索していく必要があるでしょう。また、タイトルの継続率を高めることも大事です。スマホゲームは特に顕著で、リリース初日に1000万ダウンロードされたタイトルでも、翌日誰も遊んでいなかったら意味がありませんからね」

ウェルプレイド 代表取締役/CEOの谷田優也氏

古澤氏「谷田さんがおっしゃる通り、ゲームを継続するための動機付けは各イベント会社、ゲーム会社、チーム、プレイヤーが一緒に作っていかなければならないでしょう。もう1つ必要だと考えているのが、『eスポーツ+α』ですね。たとえば、『eスポーツ×地方創生』や『eスポーツ×雇用創出』といったモチベーションづくり。お隣の韓国では、行政や公的な機関を巻き込んで毎年何十億円という予算が付いています。それを使って毎日気軽にeスポーツに触れられるインフラ作りをしているわけです。日本もそこをブレイクスルーできれば、大きなチャンスが生まれるのではないでしょうか」

選手の魅力を伝えることで、eスポーツに触れるきっかけを提供したい

平野氏「野球やサッカーは、身近なスポーツとして誰でも気軽に触れられるものです。その点はeスポーツと異なる点かもしれません。よしもとスポーツエンタテインメントでは、リアルスポーツも多く手がけられていますが、星さんから見て、両者の違いはどこにあると思いますか」

星氏「スポーツ興行はプレイヤーがいて、支える人たちがいて、観る人がいることで成立します。日本のeスポーツシーンを見ると、まだ観る人が育っていないという印象ですね。ファンが育たないと、クローズドな状況のままで外にいる人たちをうまく取り込めません。eスポーツはどういうものかというだけでなく、選手のストーリーなど裏側を伝えて、『ゲームはやったことないがeスポーツはおもしろそうだから見てみよう』という層を増やしていくことが大事だと思います」

よしもとスポーツエンタテインメント 代表取締役社長の星久幸氏

平野氏「ファンの拡大は皆さん共通で感じている課題かもしれませんね。青村さんはいかがでしょう」

青村氏「小さい頃、『TVチャンピオン』という番組が好きでした。あれって、大食いのプレイヤーでなくても見てしまいますよね。『TVチャンピオンだから観る』わけであって、必ずしもその競技自体に興味があるから観るわけではないわけです。我々の手がけている『RAGE』もそういう存在になれればいいなと思っています。とはいえ、ベースには『そのゲームだから観たい』もあるはずなので、タイトルをないがしろにしてはいけません。それ+αの要素で、興味を持ってもらえるようにしたいですね」

谷田氏「『TVチャンピオン』の喩え、いいっすね。今でいうと『アメトーーク!』がまさにそれで、知らないことを知るきっかけになると思います。やはり、行き着く先は人。eスポーツで何をしているかよりも、どんなプレイヤーがどんな想いでゲームをやっているのかを伝えたい。結局、好きなものが同じとか、地元が一緒とか、そういうレベルでも、eスポーツを観るきっかけになると思うんですんよね」

当事者が考える“これからのeスポーツ”

平野氏「これからeスポーツの発展に向けて、注力していくことなどがありましたら教えてください」

青村氏「やりたいことはスター選手を生み出すことに尽きますね。それがeスポーツ普及のきっかけになると思っています。いま議論しているのは、敗者にインタビューをするか否か。勝者を描くのは普通のことですが、敗者にももちろんドラマがあります。私が名付け親ではありませんが、そもそも『RAGE』とは強い怒りなどの感情を表すもの。敗者にもスポットを当てていきたいと思います」

梅崎氏「私も負けた選手は映してほしいと思います。我々のチームは、リーグ・オブ・レジェンド(LoL)で“絶対王者”と呼ばれており、リーグを1位通過しながらも、結局プレイオフで負けてしまうという状態が続いていました。去年のイベントでは負けてしまった後、ファンにあいさつする際に、選手が泣き崩れてしまうシーンがありましたが、そのようなところも、ファンに応援したいと思ってもらえるポイントになると考えています。将来的には、選手たちをどう育てていくのか、技術の継承に関する取り組みをしていきたいですね」

谷田氏「eスポーツを近くに感じられる空間を、どうやって作れるかを考えているところです。その取り組みの1つとして、先日イオンエンターテイメントさんと業務提携を発表させていただきました。全国のイオンシネマでポップコーンを食べながら、気軽にeスポーツのコンテンツを楽しめるように話を進めています。また、バーチャルYouTuberのキズナアイとの連携も予定しており、もっとカジュアルにeスポーツを楽しめるきっかけを作れればいいなと考えています」

古澤氏「やらなければならないことはたくさんあります。まずは継続することが本当に重要。そしてeスポーツを経済的なものにする取り組みとして、スポンサーのモノやサービスが売れる仕組みづくりを開発して、提供していきたいと考えています」

星氏「ちょうど、渋谷にある『ヨシモト∞ホール』でeスポーツのイベントを行えるように、設備を改修しているところです。そこでいろいろなことを実験的にやっていきたいですね。今ここに並んでいる5人は競合でもあるのですが、まだ競い合う土壌ができていないと思っているので、まずは競い合うための土壌づくりを進めたいと思います」

「どんなプレイヤーがどんな想いでゲームをやっているのかを伝えたい」と語った谷田氏だが、今回のセッションを通じて、「どんな想いで、プロチームや大会運営者たちがeスポーツを盛り上げようとしているか」が伝わったのではないだろか。まだまだ課題は残るが、高い熱量がより多くの人の心を動かしていくはずだ。

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

2018.11.16

シャープが新スマホ「AQUOS R2 compact」を発表

大画面化の波に逆らい、「片手ポケット族」が増加傾向に

iPhone不在の「小型スマホ」市場を狙う

11月15日、シャープがAndroidスマートフォンの新製品「AQUOS R2 compact」を発表した。名前に「compact」と付いている通り、最近のスマホ市場では選択肢が減っている小型モデルであることが特徴だ。

小型スマホの需要を取り込む「AQUOS R2 compact」

コンパクトな見た目とは裏腹に、中身にはハイエンドである「AQUOS R」シリーズのスペックを詰め込んでいる。世界的にスマホの大画面化がトレンドとなっている中で、あえて時代に逆行するシャープの狙いはどこにあるのだろうか。

スマホを片手で持ち、ポケットに入れて使う人が増加

世界のスマホ市場では、6.5インチの「iPhone XS Max」に代表される大画面モデルが人気を博している。だが、日本では通勤電車などの利用シーンにおいて、片手で使う人が多いといわれている。シャープによれば、スマホを片手で持つ人は64% 、服のポケットに入れて持ち運ぶ人は49% に達しており、その割合は上昇傾向にあるという。

片手で持ち、ポケットに入れて持ち歩く「片手ポケット族」が多いという

その背景として、シャープはスマホの「インフラ化」を指摘する。SNSやコンテンツを楽しむだけでなく、サービスの利用やモバイル決済にスマホは欠かせない存在になっており、日常生活でスマホを取り出す場面が増えている。

AQUOS R2 compactは、日本人の手のサイズを念頭に置いた「横幅64mm」のボディに、できるだけ高性能な部品を詰め込んだハイエンドコンパクト機になっている。プロセッサは最新のSnapdragon 845、メモリは4GBを搭載しているが、これは大画面モデルのAQUOS R2と同等だ。

ポケットに入れやすいサイズに高性能を詰め込んだ

スマホ本体を小型化する一方、画面は前モデルの「AQUOS R compact」より大型化した。このためにシャープは画面の上下に切り欠き(ノッチ)を持つIGZOディスプレイを開発。インカメラと指紋センサを搭載しつつ、表示領域を上下に広げてきた。

前モデル(左)と比べて新モデル(右)は表示領域が広がった

「iPhone不在」の小型スマホ市場を直撃

シャープによれば、小型スマホを求める人は全体の3割程度という。スマホ市場では残りの7割に向けた大画面モデルが幅を利かせており、最新のiPhoneでは6.5インチのXS Maxに加え、一般向けモデルの「iPhone XR」も6.1インチとなっている。

一方、小型モデルとして根強い人気のあった「iPhone SE」は、後継モデルが出ないまま販売が終了。中古市場では価格が上昇する騒ぎもあった。

日本で最大シェアを誇るiPhoneだが、小型スマホ市場では存在感が薄れつつある。ソニーモバイルはXperiaシリーズのコンパクト機を投入しているが、2018年夏モデルの「Xperia XZ2 Compact」と比較して、シャープ機は画面の大きさ、薄さ、軽さの面で圧倒している。

中国メーカーとして日本でも勢いを伸ばすファーウェイ、OPPOも世界市場において大画面化競争を繰り広げており、小型モデルに積極的な動きは見せていない。この点もシャープにとって有利に働いている状況だ。

また、AQUOS R2 compactは顔認証と指紋認証の両方に対応しているのも特徴。これは、iPhoneにもXperiaにもない機能だ。スマホをポケットから取り出し、顔の前に持ち上げるだけでロックを解除できる顔認証だが、卓上に置いている場合は使いにくい。だが指紋センサがあれば、指を置くだけで済む。

顔認証に加えて指紋認証にも対応

スマホの端末メーカーの多くはグローバル市場に目を向け、大画面化のトレンドを追いがちだ。だが、シャープは国内の需要をしっかりとらえた上で、日本のユーザーに刺さる製品作りを続けている。

依然としてiPhone人気が続いている中で、限られた市場であっても「不在」のチャンスをタイムリーに活かし、ユーザーを奪還する。国内に目配りできるシャープならではの戦い方に注目したい。

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第23回

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

2018.11.16

海外メーカーの台頭で日本にも大画面化の波が到来

大画面化と使いやすさの両立、各社の工夫の歴史

縦長スマホにとって代わるのは「折り畳み」スマホか

スマートフォンのディスプレイは年々大型化が進んでおり、かつては「大きすぎる」と言われた5インチディスプレイが、今や小さい部類に入ってしまうほどだ。一方で使いやすさを維持しながらディスプレイの大画面化を実現するため、メーカー各社はさまざまな工夫を重ねている。スマートフォンのディスプレイサイズはなぜ大きくなり、今後はどのように変化していくのだろうか。

海外メーカーの台頭で日本でも大画面化に拍車

スマートフォンにとってディスプレイは、単に情報を表示するだけでなく、タッチして操作するインタフェースも兼ねている非常に重要な存在だ。そのスマートフォンのディスプレイが、ここ10年ほどで最も大きく変化した要素が「サイズ」である。

どれくらい大きくなったのかというのは、新旧のスマートフォンのディスプレイサイズを比べてみれば一目瞭然だ。日本で最初に発売されたiPhoneである「iPhone 3G」のディスプレイサイズは3.5インチだった。一方、「iPhone X」や「iPhone XS」、「iPhone XR」といった最近のiPhoneのディスプレイサイズは6インチ級があたりまえ。1.7倍に以上に拡大しているのだ。

今やスマートフォンのディスプレイサイズは5インチ以上が一般的で、6インチも珍しくなくなった。画像の「iPhone X」のディスプレイサイズは5.85インチだ

さらに「iPhone XS Max」は6.5インチもあるし、他の大手メーカーでもサムスン電子の「Galaxy S9+」やファーウェイの「HUAWEI P20 Pro」のように、6インチを超えるディスプレイを採用した機種は増えている。なぜ、これほどまでにディスプレイサイズが大きくなったのかというと、それは大画面が欲しいというユーザーが多いため。スマートフォンの性能向上によって動画やコミック、ゲームなどのコンテンツを楽しむ人が増えていることから、ユーザーのニーズに応えるかたちで、大画面が求められるようになったといえよう。

だが日本国内の事情に目を向けてみると、公共交通機関での通勤・通学が多いのに加え、片手で文字入力ができる「フリック入力」が広く普及したこともあり、片手でスマートフォンを操作する傾向が強く、実は大画面に対するニーズはそこまで大きい訳ではない。実際日本では、4インチディスプレイの「iPhone SE」が人気を保っていたし、シャープの「AQUOS R Compact」やソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia XZ2 Compact」などのように、4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトなスマートフォンも投入されている。

2018年の夏モデルとして販売されている「Xperia XZ2 Compact」は4.9インチと、最近では珍しくなった4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトモデルだ

にもかかわらず、日本でも大画面のスマートフォンが増えているのはなぜか。まずは国内のスマートフォンメーカーが減少したことで、市場に海外メーカー製のスマートフォンが増えているためだ。海外では移動手段の違いに加え、文字入力システムの違いからスマートフォンを両手で持って操作する機会も多く、片手操作に対するこだわりが弱いのだ。

新興国などでも、ディスプレイサイズが大きいほど人気が出る傾向が目立ち、大画面に対するニーズが強いのである。海外製スマートフォンが日本市場に入り込みやすくなったことが、日本国内においてもスマートフォンの大画面化を進めたといえる。

縦長スマホの元祖はアップルだった?

とはいえ、スマートフォンが大画面化するに従って、本体の横幅がひろがり、さすがに海外のユーザーからも「持ちづらい」という声が増えてきたようだ。そこで近年急速に増えているのが、従来の16:9比率ではなく、18:9や19:9といった縦長比率のディスプレイの採用である。

持ちづらさに影響する横幅をこれ以上広げることなく、ディスプレイを縦に伸ばすことで大画面化しようとしたのだ。この流れをけん引したのは韓国メーカーで、2017年にはLGエレクトロニクスが「LG G6」(日本未発売)、サムスン電子が「Galaxy S8/S8+」といったように、縦長比率のディスプレイを採用した機種を積極的に投入した。

2017年発売の「Galaxy S8」「Galaxy S8+」は、18.9:9と縦長比率の有機ELディスプレイ「インフィニティディスプレイ」を採用したことで大きな話題となった

この韓国の両メーカーとも、グループ内にディスプレイデバイスを開発する企業を持っている。それゆえ縦長比率のディスプレイが生み出されたのには、実は大画面化だけが目的ではない。自社のスマートフォンに新しいディスプレイをいち早く搭載し、トレンドを作り上げることで、グループ企業のディスプレイデバイス販売拡大につなげる狙いもあったといえる。

だが、縦長ディスプレイで大画面化するというアイデアを真っ先に実践したのは、実はアップルである。アップルはかつてディスプレイの大画面化に消極的で、2011年発売の「iPhone 4s」までは3.5インチのサイズにこだわっていた。だが大画面化を求めるユーザーの声を受け、2012年発売の「iPhone 5」でディスプレイサイズを4インチに拡大した際に、ディスプレイの横幅はそのままに、縦に長くするという手法をとったのである。ある意味、アップルは5年前に現在のトレンドを先取りしていた、といえるかもしれない。

スマートフォンのディスプレイを縦に伸ばして大画面化するというアイデアをいち早く実践したのは、アップルの「iPhone 5」だった

しかしながら、ディスプレイを縦に伸ばして画面サイズを大きくする工夫にも、いずれ物理的な限界が来ることは目に見えている。そこで、さらなる大画面化の追求で、いま注目されているのが折り畳み式ディスプレイだ。このアイデア自体は、NTTドコモが2013年の「MEDIAS W」(NECカシオ モバイルコミュニケーションズ製)、2018年の「M」(ZTE製)で既に実現しているものだが、いずれも2枚のディスプレイを用いていたため、どうしても画面の折り目に継ぎ目が発生してしまう弱みを抱えている。

折り畳みスマートフォンとして注目されたNTTドコモの「M」は、2枚のディスプレイを用いるスタイルであるため折り畳み部分に継ぎ目が発生してしまう

だが有機ELを用いれば、ディスプレイを折り曲げられる“真の”折り畳みスマートフォンが開発できると言われており、大手スマートフォンメーカーがその開発を進めているとの観測報道も幾度となくなされている。

これは折り畳みできるという意味の「フォルダブル」スマホなどと呼ばれ、先ごろはサムスン電子が、来年発表するというフォルダブルスマホ「Galaxy F」のプロトタイプを開発者向けに見せはじめたりしている。2019年は各社から製品が登場するのではないか? との声もあるようだが、いま確実に言えることは、真の折り畳みスマートフォンがいつ、どのメーカーが、どのような形で投入するのかが、大いに注目されているということだけである。