「信用経済」に続く”感謝で回る経済圏”、その現状と展望

「信用経済」に続く”感謝で回る経済圏”、その現状と展望

2018.10.04

個人の”信用”にフォーカスしたサービスが普及

VALU 小川社長や評論家 森永卓郎氏らが「信用経済」を語る

信用経済の仕組みに似た「感謝経済」を回す仕組みが登場した

「信用経済」という概念が注目を集めている。

日本では、「VALU」や「タイムバンク」といった、個人の”信用”にフォーカスしたサービスが登場。中国では、個人の信用をスコア化する「芝麻信用(セサミクレジット)」の登場が社会にインパクトを与えた。

そうした状況の中で、社会に新たな評価指標を根付かせようとしている企業がある。信用ではなく、”感謝”を軸にした経済圏の創出を図るオウケイウェイヴだ。

本稿では、オウケイウェイヴ 代表取締役社長 松田元氏の話と、すかいらーくホールディングス 取締役常務執行役員CMO 和田千弘氏、VALU 代表取締役社長 小川晃平氏、経済評論家 森永卓郎氏などが登場した「感謝経済プラットフォームローンチ発表会」での様子を合わせ、オウケイウェイヴが仕掛ける新たな経済圏の正体を紐解いていく。

オウケイウェイヴ 代表取締役社長 松田元氏。早稲田大学在学中にアズ株式会社を創業。2012年にアズグループホールディングス株式会社(現アズホールディングス株式会社)設立、代表取締役就任。2016年に株式会社創藝社代表取締役に就任。2017年9月オウケイウェイヴ取締役就任、2018年7月より現職

※以下、すかいらーくホールディングスの取締役常務執行役員CMOの和田千弘氏、VALU 代表取締役社長の小川晃平氏、経済評論家の森永卓郎氏らのコメントは9月20日の感謝経済プラットフォームローンチ発表会時のもの

感謝される人が報われる社会へ

――「感謝経済プラットフォーム」とは?

オウケイウェイヴ 松田氏「感謝経済プラットフォームは、感謝される人が報われる社会を目指す、”感謝で回る経済圏”をつくるための枠組みです。9月20日より発足して、現時点では19社が参画しています」

同氏によると、”感謝で回る経済圏”の仕組みはこうだ。まず、オウケイウェイヴが発行する「OK-チップ」と呼ばれるトークンをユーザー間でやり取りしてもらう(OK-チップは主に、同社運営のQ&Aサイト「OKWAVE」でのユーザー間の感謝のやり取りとして用いられる) 。ユーザーは、集めたOK-チップを使うことで、プラットフォームへの参画企業が出す優待や特典をゲットすることができる。

つまり、ユーザーが誰かに感謝してもらうような行動をとり、お礼としてトークンをもらうことで、それを自分の資産として使用できる、という仕組み。例えば、貯めたトークンをヘッドフォンと交換したり、IT機器の修理代金の一部にあてたりできるそうだ。

オウケイウェイヴの特設サイトでは、同社の提案する「感謝経済」に賛同した企業による優待や特典が掲載されている。協力企業は徐々に増えていく予定だそう

すかいらーくが「感謝経済」に賛同するワケ

この取り組みには、ファミリーレストラン「ガスト」などを運営するすかいらーホールディングスも参画している。同社では、感謝経済の仕組みを「人事評価」に活用する考えだ。同社の取締役常務執行役員CMOの和田千弘氏は、この構想を聞いて「まさにこれだ」と思ったそう。

すかいらーくホールディングス 和田氏「『感謝されている人』が多い店舗と、売り上げが高い店舗には相関性があるというデータが出ていることから、当社では、『他の社員からどれだけ慕われ、感謝されているか、さらには人徳を持って働いているか』ということを、人事評価の指標にしています」

すかいらーくが導入するのは、オウケイウェイヴの提供する、”感謝”のやり取りを「見える化」することのできる人事評価ソリューション「OKWAVE GRATICA(グラティカ)」。これは、感謝の気持ちを伝えられるオンライン上のメッセージングサービスだ。メッセージカードを送る際に「OK-チップ」を添えることができる。

和田氏「従業員同士、さらには従業員とお客様間でOK-チップをやり取りしてもらい、その数値を人事評価を組み込むことで、従業員の育成、および売り上げの拡大につなげたいと考えています」

9月20日に行われたオウケイウェイヴによる感謝経済プラットフォームローンチ発表会の様子 (写真左から6番目がすかいらーくの和田氏)

――すかいらーくのほかにも、医療法人やマーケティング企業などもプラットフォームへの参画を発表しています。参画企業の選定基準はあるのでしょうか

松田氏「我々の理念を理解してくれるかどうか、が一番重要な選定基準です。当社では発表会以前より、感謝経済プラットフォームについての構想を発表していました。今回発表した19社はすべて、その構想に共感していただいた企業。私達から声を掛ける前に、『協力したい』と手を挙げていただいた企業も少なくありません」

”感謝”を人事評価に組み込む、優待・特典に換える、というのは、あまり聞いたことのない仕組みだ。その構想を聞き、価値観を共有できない企業は、プラットフォームへの参画に二の足を踏むことだろう。そこで、プラットフォームの土台を固めるためにも、まずはオウケイウェイヴの目指す世界観を理解してくれる企業に協力を仰いだ。

腕の立つラーメン屋が、1億円調達できる仕組み

これまで、「人からどれだけ感謝されているか」という考え方が経済に組み込まれる仕組みはなかった。新たな評価指標が受け入れられつつある背景には、VALUを代表するような「他人からの評価」を経済に組み込む仕組みをつくった新興サービスプロバイダーの貢献は大きい。

小川氏は、「信用経済」という概念が普及したのは、既存の評価軸で個人を評価することに限界があったためだと語る。

VALU 小川氏「これまで、『信用』というものは中央集権的でした。ことお金に関して考えてみると、流れの中心には中央銀行があり、そこからメガバンク、地方銀行へと移っていくイメージです。しかし、現代において信用は、大きな組織から受け渡されるものに加え、周囲の人から積み上げられるようになってきている」

VALU 代表取締役社長の小川晃平氏

小川氏「例えば、ラーメン屋の店主が銀行からお金を借りようとすると、せいぜい4,000万円~5,000万円が限界。ただその人は相当な腕があって、本来は数億円の融資を受けられるポテンシャルを持っているかもしれない。そう考えると、今の金融機関における評価軸は、必ずしも時代に合っているわけではないんです。個人のスキルが真っ当に評価される世界を実現させたい、その考えのもとに生まれたのがVALUというサービスでした」

「私はSNSでフォロワーが10万人いるんだ」「オンラインサロンに1,000人もの入会者がいるんだ」と銀行にいっても、それが大金を融資する上での判断材料になるか、というと難しいだろう。しかし、YouTuberやInstagramerなどのインフルエンサーは、多くのファンを持ち、利益を生み出しているのは確かだ。

SNSの登場などをキッカケに、ここ数年で経済のトレンドは大きく変化している。それゆえ、既存の軸のみで人を評価するということは難しくなってきている。

――小川さんが話されていた内容について、どのように捉えていますか?

松田氏「信用の築き方がここ数年で大幅に変化しているのは、私も感じていることです。この変化の一番の要因は『ブロックチェーン技術の発達』にあると捉えています。今や、人々の行動が、ブロックチェーンによって残るようになっています。そうすると、悪い行動をした人や企業は信用を失うことになる。仮想通貨やICOといった、ブロックチェーンを用いた仕組みが一般的なものになってきたことで、これまであったような”金融機関的な”評価軸だけでは足りなくなってきています」

人からどれだけ感謝されているのか、ということも、これまでの評価軸では測れないものであった。感謝経済プラットフォームの登場で、これまでは評価されなかった人にスポットライトが当てられる世界は魅力的だ。

「1% の悪人」より「99% の善人」に焦点を

森永氏も、ローンチ発表会では「感謝経済プラットフォーム」の構想には賛同の意を見せていた。

森永氏「インターネットを利用する99% はいい人。でも、1% の悪い人が目立ってしまうんです。私がメルカリで欲しいトミカを購入しようとしていたとき、説明欄に『箱のみ』と書いてあることに気づいたんです。危うく、中身が無い物を購入してしまうところでした……。ビジネスにおいて、このような1% の悪人にフォーカスすると、窮屈なサービスが生まれてしまいます。『感謝経済』の考え方が普及し、『善意が経済を動かす』世の中になっていくことに期待しています」

経済評論家 森永卓郎氏

小川氏も、感謝経済への期待を述べる。

小川氏「いつだって、誰かの課題解決が仕事の源泉。しかし、これまではお金にならなかったような小さな課題解決が評価され、それが資本化されるというのは非常に良い仕組みだと思います」

日本ならではの"粋な文化"を取り戻したい

――「感謝経済プラットフォーム」によって、今後、社会にどのような変化がもたらされるのでしょうか?

松田氏「感謝の気持ちを『見える化』することで、形骸化してしまった、日本本来の”粋な文化”を取り戻せるのではないかと考えています。『2時間食器洗いするから』といってお金のない学生がタダ飯を食べられたり、『子どもが熱を出した』といって隣人に助けてもらったり。このプラットフォームによって、感謝すること・されることの価値を再確認する人が増えれば、人と人とが、今まで以上に密接に関わり合るようになっていくのではないでしょうか」

――今後の展望について教えてください

松田氏「まずはプラットフォームを拡大させるために、参画企業を増やしていきたいと考えています。将来的には海外展開も視野に入れています。このプラットフォームが日本ならでは”粋な文化”を世界に広めていくキッカケになるようにしていきたいですね」

何がゴーンに起こったか? 日産で発覚した不正と権力集中の経緯

何がゴーンに起こったか? 日産で発覚した不正と権力集中の経緯

2018.11.20

ゴーン氏による3つの重大な不正とは

不正は「ゴーン統治の負の遺産」と西川社長

ゴーン不在でアライアンスの今後は

カルロス・ゴーン氏が日産自動車で働いた不正が発覚し、東京地検特捜部に逮捕される事態となった。企業再生の旗手ともてはやされた豪腕経営者は、自らが代表取締役会長を務める会社の資金を私的に使うなどの理由で失墜してしまった。なぜ、このような不正が起こったのか。その理由を探るため、西川広人(さいかわ・ひろと)社長が出席した日産の記者会見を振り返ってみたい。

日産の西川社長は、11月19日に記者会見を開催した。横浜の日産グローバル本社には200人を超える報道陣が詰め掛け、質疑応答は深更に及んだ

ゴーン依存から抜け出すチャンス?

西川社長の説明によると、ゴーン氏が日産で働いた不正は「開示される自らの報酬を少なく見せるため、実際より少なく有価証券報告書に記載」「目的を偽り、私的な目的で日産の投資資金を支出」「私的な目的で日産の経費を支出」の3つ。内部通報を受けて数カ月間の調査を行った結果、不正が判明したという。不正の首謀者はゴーン氏と同氏側近のグレッグ・ケリー代表取締役の2人。11月22日には取締役会を招集し、不正を働いた2人の職を解くことを提案するという。

会見で西川社長は、本件について「残念というより、それをはるかに超えて、強い憤りというか、私としては落胆が強い」との感想を述べた。不正の具体的な経緯や内容については、検察当局の捜査が進行中であるため、詳細には説明できないという。「約100億円の報酬で約50億円しか申告していないとすると、消えた50億円を日産ではどのように処理したのか」という記者からの質問に対しても、「今の段階では」回答できないとして明言を避けた。

この問題は日産の、ひいてはルノーと三菱自動車工業を含むアライアンスの今後に、どのような影響を及ぼすのか。「将来に向けては、極端に特定の個人に依存した状態から抜け出して、サステイナブルな体制を目指すべく、よい機会になると認識している」というのが西川社長の言葉だ。

検察当局の捜査が進行中で、不正の内容については多くを語れないとした西川氏だが、一刻も早く自らの言葉で状況を伝えたいという理由から、このタイミングで記者会見を開催したという

ルノーと日産のCEO兼務が権力肥大の温床に

逮捕の時点で、日産と三菱自動車では会長、ルノーでは会長兼CEOを務めていたゴーン氏には、西川社長が「極端」と表現するほど、権力が集中していた。なぜ、このような体制となったのか。「長い間に、徐々に形成されたということ。それ以上に言いようがない」とした西川社長だったが、1つの要因として「ルノーと日産のCEOを兼務した時期が長かった」点を指摘し、「このやり方は、少し無理があった」と述懐した。

業績不振の日産にルノーから乗り込んだゴーン氏は、日産を立て直し、2005年にはルノーのCEOにも就任して、両社のトップに立った。その当時を西川社長は、「当たり前に、日産を率いるゴーンさんが、ルノーのCEOをやるのはいいことじゃないかと考えて、あまり議論しなかった。どうなるかについては、日産としても、十分に分かっていなかった」と振り返る。

誰かに権力が集中したからといって、その企業で必ずしも不正が起こるとは限らないし、権力を持ちつつ、公正な企業経営を行っている人もたくさんいる。そう語った西川氏ではあったが、今回の不正については「長年にわたるゴーン統治の負の遺産」であり、「権力の集中が1つの誘引となった」と結論づけた。経営陣の1人でありながら、ゴーン氏をコントロールする役割を果たせなかった責任については、「ガバナンスで猛省すべきところはあるが、事態を沈静化して、会社を正常な状態にする必要もある。やることは山積している」とする。

権力者が去った日産は今後、どのような企業になっていくのか

内部通報によりゴーン氏が日産を去るという構図は、クーデターに見えなくもない。不正が日産ブランドに与える負の影響は計り知れないが、これを機に、有機的で透明性の高い企業統治の在り方を追求できるかどうかが、日産とアライアンスの今後を左右しそうだ。ゴーン不在の新生日産にとって、真の実力を問われる局面になる。

「食事に合う」缶チューハイをつくってしまったストロングゼロの仕掛け

「食事に合う」缶チューハイをつくってしまったストロングゼロの仕掛け

2018.11.20

サントリー「ストロングゼロ」の新商品が11月20日より発売

「食事に合う」を押し続けた広告展開の狙い

-196℃製法は居酒屋の「不味い」チューハイから誕生?

サントリーの缶チューハイ「-196℃ ストロングゼロ」という商品に、どのような印象を持っているだろうか?

飲みやすい、度数が高い、お手頃価格――。さまざまなイメージを想起することかと思うが、サントリーの打ち出すメッセージは、一貫して「食事に合う」だ。特に、「唐揚げとよく合う」という点を全面に押し出した広告を見たことがある、という人も多いのではないだろうか。

確かに、味そのものを広告で伝えるのは難しいし、度数が高いからお得に酔えるとお茶の間に出すのはなんだか気が引けるのも想像できる。とはいえ、コーンポタージュ味のガリガリ君くらいディープなイメージになりかねない「食事に合う」缶チューハイというメッセージも、かなりの勇気が要ったのではないだろうか。

なんで缶チューハイが食事に合うなんて言ってるの? サントリー商品開発センター(神奈川県・川崎市)で聞いてきた

居酒屋の「美味しくない」チューハイがキッカケに

そもそも、ストロングゼロのきちんとした商品名で記載される「-196℃」とは何だろう。これは、果実などを-196℃で瞬間凍結し、パウダー状に微粉砕したものをアルコールに浸漬してチューハイに仕上げるという、サントリー独自の「-196℃製法」を意味するもの。

ストロングゼロの開発に携わるサントリースピリッツ商品開発研究部の藤原裕之氏によると、この製法が誕生したキッカケは、居酒屋での「美味しくないチューハイ」にあったのだという。

「居酒屋で飲む“生絞りチューハイ”って、美味しいですよね。でもある日、レモンは入っているのに、全然美味しくないチューハイがあったんです。なぜ同じ組み合わせなのに、味が変わるのか。それは“自分でレモンを絞る・絞らない”の違いにあったんです」(藤原氏)

「-196℃」製法、誕生のキッカケは居酒屋にあった

つまり、美味しさの要因は「手についたレモンのフレッシュな香り」にある、というのだ。

そこで、「レモンを、丸まる1つ使ったチューハイを作りたい」というコンセプトのもと、「果実」だけではなく、「果皮」に含まれる香り・美味しさ成分まで余すことなく作る製法として、果実を瞬間冷凍し、まるごと砕いてお酒に入れる「-196℃製法」を開発した。同じようなコンセプトのチューハイは他社でも見られるが、この製法はサントリーの特許技術だ。

こちらは「-196℃製法」を再現した実験。写真は液体窒素を容器に流し込んでいるところ
ちなみに、液体窒素の中に花を入れると、すぐに凍ってしまう。軽く握っただけでパラパラと粉々に砕ける
レモンを数十秒いれると、こちらも完全に凍ってしまった。さすがに素手で砕くのは無理だそうで、本来は機械でクラッシュしてパウダー状にしているそう

市場拡大の追い風に乗り、「食中酒」として存在感増す

余談になるが、ここ最近はストロングゼロを筆頭に、「ストロング系チューハイ」がSNSで異様な広まりを見せている。昨年末には「#ストロングゼロ文学」という大喜利ネタが流行り、今年も「#わたしのストロングゼロ」なるハッシュタグが誕生し、盛り上がった。このあたりの話題に興味のある人は、こちらの記事(「ストロング系チューハイ」、なぜ人気? 愛飲者が理由を分析)も読んでみてほしい。

では、なぜここまでの人気がある商品になったのか。それは、市場全体の盛り上がりをタイミングよく追い風にできたことも大きい。

「RTD(Ready to drink:缶チューハイやカクテルなど、フタを開けてすぐにそのまま飲める飲料のこと)市場は、2007年から、10年連続で伸長しています。この傾向は2018年も継続しており、本年度は1~9月だけで、前年比111%増えています」(藤原氏)

RTD市場・アルコール度数別販売状況。ちなみにサントリーが「-196℃」シリーズを発表したのは2005年、ストロングゼロシリーズが生まれたのが、2009年だ

RTD市場の中でも、特に高アルコール(アルコール8%以上のもの)飲料が市場を牽引する存在になっていて、これらは2012年に市場シェア24%だったところ、2017年には33%にまで伸長している。

高アルコール飲料が伸びている理由は「お得に酔える」ことが求められたからと考えられるが、「経済性のみでここまでの伸びがあるとは思えない」と藤原氏は説明する。

「なぜ、高アルコール飲料を飲む人が増えているのか。我々の見解としては、それは『食』にあると考えています。2015年、2018年の『食事中にRTDを飲んでいる数』を比較すると、ここ3年で約5%伸びていることがわかりました」(藤原氏)

特に40~50代の伸びが大きく、これまで食事中にビールを飲んでいた所を、チューハイに置き換える傾向にあるようだ。スーパードライやプレミアムモルツ、一番搾りといった人気ビ―ルの度数は、5~5.5%。そこから流入した層が、「低アルコールのチューハイでは物足りないから」と、高アルコールのものを選ぶようになっているのかもしれない。

そこでサントリーは、「食事に合う」チューハイという立ち位置を明確にする戦略に動いた。味の改良だけでなく、世の中のニーズの変化にも敏感に反応した結果の、「食事に合う」だったのだ。

「食事に合う」というイメージ訴求を続けてきたサントリー

市場を牽引する「ストロングゼロ」、次の一手

サントリーが初めて「-196℃」の缶チューハイを商品化したのが2005年。それ以降、RTD市場の成長に沿って売り上げを伸ばし続けている。特に、-196℃のラインアップに高アルコールの「ストロングゼロ」を追加してからの成長が顕著だ。市場の成長に沿って、というよりはむしろ同社のイメージ戦略も相まって、「市場を牽引している」ともいえるかもしれない。

「-196℃」シリーズの販売実績。ストロングゼロが誕生したの2009年以降、急激な成長を遂げている

「食事中のお酒にチューハイが選ばれるキッカケとなったのは、『レモン』味のフレーバー。今後もレモンをRTD市場の成長のキードライバーと捉え、力をいれていきたいと考えています」(藤原氏)

既存の人気商品「ストロングゼロ ダブルレモン」に続き、ストロングゼロが次に指す一手も、やはり「レモン」だ。さらにレモンを”マシマシマシ”した、その名も「ストロングゼロ トリプルレモン」で、まだ食事中に缶チューハイを飲んでいない新規層への訴求を目指す。

「-196℃ ストロングゼロ トリプルレモン」は、11月20日より販売開始。価格は350mlが141円、500mlが191円(税抜き)
同社が押し出す「食事と合う」チューハイ。見ているだけで仕事を放棄したくなってくる