過去最高に大きくて高い「iPhone XS Max」、いったい誰が買う?

過去最高に大きくて高い「iPhone XS Max」、いったい誰が買う?

2018.09.27

Maxに巨大で高価な「iPhone XS Max」を買う理由とは

スクリーンは大型化も、本体サイズは据え置きって本当?

性能は高く、買い替えサイクル長期化を踏まえれば妥当な価格か

2018年の新型iPhoneが9月21日に発売された。中でも注目は歴代シリーズ最大となる6.5インチのディスプレイを持つ「iPhone XS Max」だ。

最上位モデルの512GB版は価格も税込で17万円を超えており、高級ノートPCに匹敵する。いったい誰が買うのだろうか。

大画面で見やすく、カメラも進化

6.5インチのスマホと聞くと巨大なボディを想像するが、実際の本体寸法は「iPhone 8 Plus」などといった従来のPlusシリーズとあまり変わっていない。これはディスプレイの占める面積が大きいからで、実は、手に持った感じは従来機と大差ないのだ。

実はPlusシリーズとほぼ同じ大きさの「iPhone XS Max」

大画面のメリットとして、多くの情報を表示できるだけでなく、アプリが対応していれば文字サイズを大きくできる。最近、スマホの文字が見にくいと感じていた人にとって、XS Maxを試してみる価値はありそうだ。

実はPlusシリーズとほぼ同じ大きさの「iPhone XS Max」

スマホが生活の中心になっている人も増えている。たとえば動画の視聴では、リビングに大きなテレビがあっても、ひとりで見るためにスマホを使う人も多い。XS Maxの有機ELディスプレイは黒がしっかり黒く映り、動画をよく見る人に向いている。

カメラの性能が向上したこともポイントだ。アップルが発表イベントにインスタグラマーやユーチューバーを招待したように、(InstagramやYouTubeなどのSNSで活躍する)インフルエンサーはマスメディアを超える影響力を持ちつつある。彼らのようにSNSで情報を発信したい人にとって、重くかさばる一眼レフではなく、肌身離さず持ち歩けるスマホのカメラ性能はますます重要となるだろう。

iPhone XS/XS Maxでは「スマートHDR」で夜景の画質が向上した

iPhone XS世代の「スマートHDR」は4枚の写真を瞬時に1枚に合成することで、前モデルのiPhone Xから夜景写真が確実に良くなった。スマホのカメラはセンサーサイズやレンズに物理的な限界があると思われていたが、画像処理用のプロセッサーや人工知能技術が飛躍的に向上したことで、まだまだ進化の余地があるといえる。

ゲームにも最適、長く使える1台としても

また、iPhone XS世代は「A12 Bionic」プロセッサにより基本性能も大きく向上した。この効果をすぐに感じられるのがゲームだ。スマホの性能向上に伴い、最近はPCで人気のFPS/TPSゲームが移植されており、「PUBGモバイル」や「フォートナイト」、「荒野行動」はApp Storeのランキングでも上位をキープしている。

iPhone XS Maxは「PUBGモバイル」などの3Dゲームにも最適だ

いずれのゲームもCPUやGPU、バッテリーを酷使することで、プレイ中の本体は熱くなりがち。そこでAndroidのスマホメーカー各社は、冷却性能を強化した「ゲーミングスマホ」を相次いで発表している。

これに対してiPhoneは、もともと多くのゲームはiOSに最適化されていた点から、有利な立場にあった。特にiPhone XS世代ではA12 Bionicの処理能力に余裕が感じられ、本体の発熱も控えめであるため、大画面のXS Maxなら「ゲームに勝てる」というのは、分かりやすい訴求ポイントといえるだろう。

新型iPhoneを「買わなくてもいい」というメッセージも

一方でアップルは、新型iPhoneを「買わなくてもいい」というメッセージを発している。iOS 12では既存iPhoneが高速化され、最も古いものでは2013年発売の「iPhone 5s」の動作も軽くなった。ここまで古いスマホのサポートを継続するのは業界でも異例の措置といえる。

背景には、スマホ自体が成熟化してきたことによる買い換えサイクルの長期化というトレンドがある。たしかに1~2年で買い換えることを考えれば、iPhone XS/XS Maxの価格は高すぎるが、3~4年という長いスパンで考えればスマホの選び方は変わってくるはずだ。

国内キャリアでは、KDDIとソフトバンクが端末購入補助の代わりに4年の分割払いプランを提供している。「縛りが強すぎる」との批判もあったが、新型iPhoneのタイミングで同プランに再加入する条件を外し、制限が緩和された。これらのプランを使って2年で端末を交換するオプションは保有しつつ、良いスマホを買って長く使うトレンドは本格化しそうだ。

「音声」巡り覇権争うアマゾンとグーグル、立ち止まるアップル

「音声」巡り覇権争うアマゾンとグーグル、立ち止まるアップル

2019.01.21

CESで存在感を放つアマゾンとグーグル、各社の最新動向は?

レノボはGoogleアシスタント、Alexaに対応した新製品を発表

アップルは各社にプライバシー問題を警告、独自路線を貫くか

米ラスベガスで開催された世界最大級の家電見本市「CES 2019」で、別格の存在感を放っていたのがアマゾンやグーグルだ。2018年はグーグルがCESに初めて本格出展したことで話題となったが、2019年も大がかりなブースを設置して来場者の注目を浴びた。

ラスベガスのCES会場前に設置されたグーグルのブース

アマゾンやグーグルは音声アシスタントで競争しており、家電製品への組み込みを進めている。2019年のCESではどうだったのか、両社の最新動向をレポートする。

グーグル対アマゾンの音声争いが加速

グーグルは今年もCES会場に「Googleアシスタント」を目玉にした大型ブースを設置。巨大な壁面広告やモノレールのラッピング広告で存在を示し、家電メーカーのブースには白い帽子のスタッフを派遣するなど、CESを乗っ取る勢いだった。

「Googleアシスタント」に対応した家電製品が並ぶグーグルブース

一方、Alexaで先行するアマゾンも展示エリアを拡大。業界やメーカーの枠を越えた「Alexa対応製品」を一挙展示することで、エコシステムの強大さを示した。家庭向けのスマートホーム用途だけでなく、オフィスで使う事例も示すなど、応用範囲を広げている。

アマゾンは「Amazon Alexa」対応製品をブースに集めた

具体的な対応製品として、音声で操作できるスマートスピーカーやスマート電球はもちろんだが、これまでにないジャンルの製品も増えている。たとえばレノボは「目覚まし時計」と「タブレット」の2機種を発表した。

レノボの目覚まし時計「Smart Clock」(左)とタブレット「Smart Tab」(右)

Googleアシスタントに対応した「Smart Clock」は、目覚まし時計の置き換えを狙った製品だ。音声だけでなく画面のタッチ操作にも対応しており、カレンダーの予定や寝覚めのいい音楽、室内の照明と連動した目覚まし機能を提供する。

一方、Amazon Alexaに対応した「Smart Tab」は、一般的なAndroidタブレットとして使えるほか、ドックに置くと音声とタッチで操作するスマートディスプレイに早変わりする。自宅でも外出先でも1台2役で使えるお得さが特徴だ。

アップルが投げかける「プライバシー」問題

CESに両社が注力する背景には、音声アシスタント市場におけるシェア争いがある。「Amazon Echo」や「Google Home」といったスマートスピーカーの売上ではグーグルがアマゾンを猛追しており、2018年第1四半期には逆転劇を果たした(英Canalys調べ)。しかし第3四半期にはアマゾンが再び首位に立つなど、接戦が続いている。

その勢力はスマートスピーカーを越えて、家電全体に広がりつつある。家電の操作といえばスイッチやリモコン、タッチ操作が一般的だが、音声に対応する製品は増えている。これまで独自の音声アシスタント「Bixby」を展開してきたサムスンも2019年にはグーグルとアマゾンとの連携を発表した。

サムスンはスマートTVでグーグル、アマゾンと連携

このまま音声が普及していけば、世界中の人々がインターネットのサービスやコンテンツにアクセスする手段になる可能性がある。音声アシスタントのシェア争いは、スマホOSのシェア争いと同じくらい重要というわけだ。

ただ、音声操作はプライバシーに関する懸念もある。音声操作を受け付けるには、マイクが常時オンになっている必要があるからだ。マイクをオフにする機能はあるとはいえ、家庭内のプライベートな会話を常にマイクに拾われるのは心地よいものではない。

この問題に一石を投じたのがアップルだ。CES会場からよく見えるホテルの壁に意見広告を掲載。ラスベガスの有名なコピーをもじって「iPhoneで起きることはiPhoneの中にとどまる」と訴え、サードパーティと広く連携するアマゾンやグーグルを牽制した。

アップルはCESでプライバシー重視をアピール。元々の言葉は、「What happens in Vegas stays in Vegas.(ラスベガスで起きたことはラスベガスに残る)」というもの

アップルも独自の「Siri」をiPhoneに搭載し、スマートスピーカー「HomePod」も販売している。だがサードパーティとは積極的に連携していないため、音声のシェア争いでは不利な立場に追い込まれている。アップルがこのまま「プライバシー重視」路線を貫くかどうかも、音声アシスタント市場の行方を左右しそうだ。

一度は姿を消したワイヤレス充電が再びメジャーになった理由

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第30回

一度は姿を消したワイヤレス充電が再びメジャーになった理由

2019.01.21

いまや当たり前の「ワイヤレス充電」スマホ

開発も販売も、実は日本が世界初だった

過去にナゼ廃れたのか、今はナゼ流行っているのか

最近、ケーブルに接続する必要なく充電ができる、ワイヤレス充電に対応したスマートフォンが増えてきている。一時は姿を消していたワイヤレス充電が、ここにきて再び脚光を浴びるようになったのはなぜだろうか。

世界初のワイヤレス充電対応スマホは日本製

スマートフォンを充電する際、多くの人は充電用の電源ケーブルに接続して充電していることだろう。だがここ最近、スマートフォンをケーブルに接続することなく、専用の充電台に置くだけで充電ができる「ワイヤレス充電」に対応したスマートフォンが増えているのだ。

例えばアップルのiPhoneシリーズであれば、2017年発売の「iPhone 8」シリーズ以降からワイヤレス充電に対応している。他にもグーグルの「Pixel 3」やサムスン電子の「Galaxy Note 9」、そしてファーウェイの「HUAWEI Mate20 Pro」など、海外製のハイエンドスマートフォンを中心として、ワイヤレス充電に対応したスマートフォンは着実に増えている。対応スマートフォンの広まりとともに、ワイヤレス充電をするための充電器も数が増え、家電量販店などで目にする機会も増えている。

ワイヤレス充電対応機種は急増しており、「iPhone XS」など最新のiPhoneもワイヤレス充電に対応している

充電をするためにケーブルに接続するというのは手間がかかるし、何よりケーブルは絡まりやすく取り回しが面倒なもの。それだけに、スマートフォンを置くだけで充電できるワイヤレス充電は消費者にとって非常に便利だ。したがってスマートフォンに搭載するという動きも比較的古くから進められていたのだが、現在のように広く普及するまでにはかなりの時間を要している。

実は、スマートフォン単体でワイヤレス充電ができる機種が最初に投入されたのは日本で、開発したのも日本企業である。2011年にNTTドコモから発売された、シャープ製の「AQUOS PHONE f SH-13C」がそれに当たり、Wireless Power Consortium(WCP)が策定したワイヤレス給電規格の1つ「Qi」に対応。Qi対応の充電器に置くだけで、スマートフォンを充電できる仕組みを備えていたのである。

世界初のワイヤレス充電対応スマートフォン「AQUOS PHONE f SH-13C」は、2011年にNTTドコモが提供。専用の充電器も提供していた

しかも当時、NTTドコモはQi対応のワイヤレス充電ができるスマートフォンの開発に力を入れており、「おくだけ充電」という名称まで付けて積極的なアピールを進めていた。さらにシャープだけでなく、NTTドコモと関係の深い他の国内スマートフォンメーカーともQi対応のスマートフォン開発を進め、市場に多くのワイヤレス充電対応スマートフォンが存在した時期があったのだ。

規格や充電性能の問題が解決し採用機種が増加

だが2013年を境に、NTTドコモのラインアップからワイヤレス充電対応のスマートフォンが一時期姿を消し、ワイヤレス充電は急速に存在感を失うこととなる。当時ワイヤレス充電に力を入れていたパナソニックモバイルコミュニケーションズやNECカシオモバイルコミュニケーションズなどが、iPhoneなどに押されてスマートフォン市場から撤退した影響も大きいが、より本質的な要因は2つあると考えられる。

1つは、急速充電に対する消費者のニーズが高まっていたためだ。当時はバッテリーの性能が現在より低かったため、スマートフォンを使っているとあっという間にバッテリーを消費してしまい、不満の声が多かったため、何よりも素早く充電できることが強く求められていたのだ。しかしながら当時のQiは電力の出力が弱く、充電速度が遅かったことから、消費者のニーズとマッチせず姿を消してしまったのである。

そしてもう1つの理由は、ワイヤレス給電規格が複数存在し、業界全体で、どの方式を採用するか方向性が定まっていなかったため、後続するスマートフォンがなかなか出てこなかったことだ。実際、2015年に日本でも発売されたサムスン電子の「Galaxy S6」「Galaxy S6 edge」はQi規格だけでなく、Power Matters Alliance(PMA、現在はAirFuel Alliance)が策定したワイヤレス給電規格も採用することで、ワイヤレス充電に対応させている。

2015年発売の「Galaxy S6 edge」は、当時まだ事実上の標準規格が定まっていなかったこともあり、複数のワイヤレス給電規格に対応していた

そして最近になってワイヤレス充電が再び日の目を見ることができたのは、それらの課題が解決したことが大きく影響している。急速充電に関しては、当初Qiのモバイル機器に向けた「Volume I」という規格では、送信できる電力が5W以下とされていたため充電速度が遅かったのだが、その後10W、15Wといったより大容量の送信ができる規格の策定が進んだことで、より速く充電できるようになったのである。

また規格の統一に関しては、アップルなど影響力の大きな主要スマートフォンメーカーがQiの採用に傾いたことで、Qiがスマートフォン向けの事実上標準規格となった。そのため多くのスマートフォンメーカーがQiを採用しやすくなり、急速に数が増えたといえる。

さらにもう1つ、高いデザイン性や防水性能など、スマートフォンに求められる要素が年々増えていることも、ワイヤレス充電が復活した大きな要因として挙げられるだろう。一方で、かつて必要だったPCへの接続など、スマートフォンに何らかのケーブルを接続する必要性は年々薄くなっている。将来的にはスマートフォンのワイヤレス充電対応が当たり前となり、充電用のUSB端子やLightning端子がなくなることも十分あり得るだろう。