再生可能エネルギー飛躍の切り札になるか!? 日本気象協会2つの取り組み

再生可能エネルギー飛躍の切り札になるか!? 日本気象協会2つの取り組み

2016.06.06

太陽光発電や風力発電、地熱発電、バイオマス発電など、火力発電などから再生可能エネルギーによる発電への移行が進められている。この移行を加速するために2012年にFIT(固定価格買い取り制度)が導入されたが、環境アセスメントなど課題が多い地熱発電や風力発電に比べ、(稼働までの)リードタイムが小さい太陽光発電に参画企業が集中した。結果、発電バランスが崩れた格好となった。それを少しでも是正できるかもしれない取り組みが日本気象協会からリリースされた。

需要と供給のミスマッチを減らせるか

多くの業者が再生可能エネルギーによる発電で参入する太陽光発電(写真はイメージ:PIXTA)

FIT制度については問題が噴出している。FIT制度認定を受けた発電会社から電力会社が電気を買い取るのだが、その買い取り価格が高額だったため、そのしわ寄せが消費者に転嫁されるのではないかと批判が殺到したこと。発電が未稼働のままの案件が多かったり、保守・点検が不適切だったりといった問題もある。資源エネルギー庁は今年4月にFIT制度見直しの検討状況を示し、こうした問題の是正を図ると報告した。

だが、制度見直しではどうにもならないのが、太陽光発電の不安定さだ。夜間に発電できないのはもちろん、季節、天候にも左右される。

日本気象協会 事業本部 環境・エネルギー事業部 副部長 小玉亮氏

日本気象協会 事業本部 環境・エネルギー事業部 副部長 小玉亮氏は「太陽光発電は明日の発電計画が困難なばかりか、現在の発電量も不明」と太陽光発電が抱える根本的な問題を示した。

こうした問題が引き起こすのが電力の「需要と供給のミスマッチ」だ。太陽光発電の供給が落ちた際は、火力発電などで補わなくてはならない。反対に全国的に天候が安定して太陽光発電の供給量が十分な状態で、火力発電を稼働させた場合、電気を余らせてしまうことが考えられる。これは、エネルギーの無駄だ。

そこで日本気象協会が眼につけたのが衛星を活用した日照量推定システムだ。実は気象衛星「ひまわり7号」の観測データ使って日照量を推定し、配信するシステム「SOLASAT-Now」はすでにあった。これを最新の気象衛星「ひまわり8号」の観測データに置き換えた「SOLASAT-8 Now」を5月に開始。さらに2016年夏までに3時間先までの日照量推定を行う「SOLASAT-8 Nowcast」を開始予定だとアナウンスした。

ひまわり8号のイメージ(写真:気象庁)

ひまわり7号の観測データは「更新30分ごと」「1000m解像度」「観測バンド数5バンド」だったが、ひまわり8号では「更新2.5分ごと」「500m解像度」「観測バンド数16バンド」となる。利用する観測データの精度が大幅に増すので、日照量推定の精度も上がり、より正確な情報を配信できるようになるとしている。

5バンドの観測データ(左)と16バンドの観測データ(右)(ともにひまわり8号のデータ。写真:気象庁)

一方、日本気象協会が独自に開発した気象モデルを利用して日射量を予測する「SYNFOS-solar 1kmメッシュ」というサービスについてもリリースした。これまで提供していた「SYNFOS」に比べ20%程度の精度向上が見込めるという。

「SOLASAT-8 Nowcast」と「SYNFOS-solar 1kmメッシュ」のちがいは予測期間の幅だ。前者は現在もしくは3時間先までの日照量を予測するリアルタイムなものだが、後者は72時間先までの日照量を30分ごとに予測する。

前出の小玉氏は、発表会の冒頭で「現在の発電量が不明」「先の発電予測が難しい」と、太陽光発電の問題を挙げたが、その両方の解消に対処したといえる。

2016年4月に出された資源エネルギー庁の報告では、これまで再生可能エネルギーによる電力の買い取り行っていた電力小売から、配電事業者へと変更されるという。効率よくエネルギーを活用するには、PPS(特定規模電気事業者)よりも、配電事業者による買い取りのほうが向くかもしれない。日本気象協会も、そうした事業者へ「SOLASAT-8 Nowcast」と「SYNFOS-solar 1kmメッシュ」を活用してもらうことをにらんでいる。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

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最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu