ボルボの新型「V60」に試乗! 人気のSUVでは味わえないステーションワゴンの魅力とは

ボルボの新型「V60」に試乗! 人気のSUVでは味わえないステーションワゴンの魅力とは

2018.09.25

ボルボがステーションワゴン「V60」をフルモデルチェンジ

日本車では減りつつある車種だが、SUVにはない魅力がたくさんある

輸入車のステーションワゴン市場は激戦区! V60の持ち味は?

ボルボがステーションワゴンの「V60」をフルモデルチェンジした。最近は「XC60」や「XC40」といったSUVで評判のボルボだが、同社といえばワゴンというイメージも根強いので、その本丸ともいえる「V60」の新型は、やはり気になるところ。今回は新しい「V60」に試乗した感想も踏まえつつ、SUVブームの世の中で、あえてステーションワゴンを選ぶ意義についても考えてみたい。

フルモデルチェンジしたボルボの「V60」。本稿では、東京クラシックキャンプ(千葉県)を拠点に開催された試乗会で撮影した新型「V60」の画像も紹介していく

実用性に原点回帰? 新型「V60」はリアに注目

ボルボの「V60」は、今回のフルモデルチェンジで2世代目となった。2010年に誕生した初代V60は、「V70」など従来のステーションワゴンに比べると、後ろのハッチバック部分がクーペのように傾斜していて、その商品性は“スポーツワゴン”という位置づけだった。同じ傾向は2016年に登場した「V90」にも見えて、デザイナーは「もはやステーションワゴンに大きな家具などを積み込み、自分で家へ運ぶような時代ではなくなっている」との言葉で、格好よさ優先の外観であることを説明していた。

しかし新型V60は、かつてのV70のように、ハッチバック部分が前型に比べ直立し、荷室容量も初代に比べ100リッター近く増えている。この変更からは、V70の販売が終了した今、その利用者をV60で補完したいというボルボの考えがうかがえる。

また、いくら買った家具を自分で持ち帰ることが少なくなったとはいえ、子供のいる家族連れなど、多くの荷物を持ち歩く必要がある自動車ユーザーはいまだに存在する。さらには旅先での買い物などを考えると、ステーションワゴンの荷室容量に期待する消費者は一定数いるはずだ。

ハッチバック部分が初代に比べ直立した新型「V60」

国産ステーションワゴンは減少傾向、輸入車は充実

需要は根強いはずだが、国産車ではステーションワゴンの車種構成が消えていきつつあり、SUVへと移行する動きが顕著だ。国産車でステーションワゴンを残すのは、トヨタ自動車「カローラ フィールダー」、マツダ「アテンザ」、スバル「レヴォーグ」くらいだろうか。スバルが“リゾートエクスプレス”と銘打って発売し、ステーションワゴン時代を築いた「レガシィ」も、現在ではSUVのように車高の高い「アウトバック」こそ残っているが、一世風靡したツーリングワゴンはラインアップから消えてしまった。

米国でもステーションワゴン人気は下がり、SUV志向が顕著であるという。それに対し、欧州ではステーションワゴン需要が健在だ。日本市場においても、メルセデス・ベンツが「Cクラス」と「Eクラス」にワゴンを設定しているし、BMWは「3シリーズ」および「5シリーズ」、アウディは「A4」と「A6」、フォルクスワーゲンは「ゴルフ」と「パサート」、そしてプジョーは「308」という具合にステーションワゴンをラインアップしている。そして、それらは着実に売れている。

そんな中、日本車からステーションワゴンが消えて、SUVが車種を増やし続けているのはなぜだろうか。

ボディカラーは「バーチライトメタリック」だ

ステーションワゴン誕生の背景とSUV勃興の兆し

ステーションワゴンは、鉄道旅行が盛んな時代に、駅から人と荷物を一緒に運べるクルマとして誕生した。だから、「ステーション ‐ ワゴン」であるということらしい。飛行機で移動する時代となっても空港まで、あるいは空港から目的地へと、人と荷物を一緒に運ぶのに便利なクルマであった。米国では、日常的な通勤にはセダンやクーペを使い、家庭にはステーションワゴンが1台あるといった複数台所有が長く続いてきた。

そこにミニバンが登場し、続いてSUVの品ぞろえが充実してくると、ステーションワゴンからミニバンやSUVへと購買意欲が移っていった。

新型「V60」のフロントビュー。クルマの寸法は全長4,760mm、全幅1,850mm、全高1,435mm

米国では大都市であっても、クルマで少し走ると郊外の趣を持つ風景となり、主要道路の脇は未舗装路であることが多くなる。駐車場も、市街地はコンクリートで舗装されているが、郊外では未舗装のままであったりする。それほど、米国とは広大な国なのだ。

そこでは、いわゆる未開の悪路というほど凹凸の激しい路面でなくても、セダンやステーションワゴンよりも路面と車体との間隔が広く、床下を打つ心配のないSUVの人気が高まる。この事情は納得しやすい。

新型「V60」のリアビュー

4輪駆動車は「ジープ」などで戦後から存在したが、それは悪路走破を主体とした武骨なクルマであり、郊外では威力を発揮するだろうが、日常的に市街地で乗るには使い勝手がよくなかった。英国には、そうした本格的4輪駆動車として「ランドローバー」があり、より上級な車種としては「レンジローバー」がある。このレンジローバーにハリウッドで乗る人が現れ、セダンの高級車より目立つ存在となった。そこに、米国におけるSUV人気の萌芽を見ることができる。

また、ジープが「チェロキー」というやや小型で乗用車感覚を備えた4輪駆動車を発売し、これが人気を呼んだ。その様子を見て、トヨタが「ハリアー」を生み出した。こうして、SUV志向が盛んになり始めるのである。

ヘッドライトに横にした「T」字型の意匠が見えるのは、ボルボの特徴だ。北欧神話の雷神トールが持つハンマー「トールハンマー」をモチーフとしている。念のためにいっておくと、ボルボはスウェーデンの企業である

欧州のステーションワゴン人気を支える要因とは?

日米のSUV人気をよそに静観していた欧州にも変化が訪れる。メルセデス・ベンツは米国でSUV「Mクラス」を生産するようになり、あのポルシェでさえも、サーキット走行が可能なSUVという新たな価値を掲げ、「カイエン」を誕生させることとなった。こうして、世界的なSUV人気に火が点くのである。しかし欧州では、ステーションワゴンが根強い存在感を発揮し続けた。

荷室容量は先代が430L、新型が529L

欧州のステーションワゴン人気を考える前提としては、クルマの走行速度を押さえておく必要がある。欧州では全体的に、クルマが速く走るのだ。

日本は一般道で時速40キロ制限、高速道路で同100キロ制限が基本。米国は州によって違うが、フリーウェイは時速65マイル(約104キロ)制限である。それらに対し欧州では、一般公道であっても80キロ制限(市街中心部は50キロ制限)で、多くの高速道路は130キロ制限となっている。ドイツのアウトバーンには無制限区間すらある。

ポルシェやBMWのように、サーキット走行も視野に入れたSUVを作る勢力があるとはいえ、一般的に車高の高いSUVは重心が高く、セダンを基にしたステーションワゴンに比べれば操縦安定性で劣る傾向がある。となると、クルマを高速で走らせるシーンの多い欧州に、SUVよりもステーションワゴンを好む消費者がいるのは当然のことだ。また、ステーションワゴンであれば、セダンとワゴンが分有する走りの良さ、利便性などといった利点を1台で享受できるという合理性もある。

新型「V60」の価格は499万円から。スライドの右上に見えているが、2019年3月にはプラグインハイブリッド(PHV)モデルも発売予定だ

乗ると視界が高くなるSUVは、市街地で運転しやすいとの声があり、日本でも人気が高まっている。とはいえ、高速道路などで頻繁に長距離移動をする人にとっては、ステーションワゴンの方が走りはより安定し、疲れにくいだろう。また、車高の高いSUVは、乗り降りがしにくいのも事実である。そういう人々の選択肢として、輸入車のステーションワゴンが好まれている。

米国市場を優先する日本メーカーが、SUVに車種を絞り込むという状況はあるものの、消費者には今なお、ステーションワゴンに期待するところがあるのだ。

こちらは「デニムブルーメタリック」というボディカラーの新型「V60」

競合の多いステーションワゴン市場、「V60」の強みは

ボルボのV60は、そうした輸入ステーションワゴンの激戦区に、Cクラス、3シリーズ、A4の競合として挑戦する。実際に新型V60に乗ってみると、前型より車幅を1.5センチメートル縮めたという車体寸法は運転中に車幅感覚をつかみやすく、ガソリンターボエンジンは走り出しから十分な力で滑らかに動き出し、室内は静粛、後席の乗り心地もよいなど、いいことづくめであった。標準寸法の18インチ径タイヤも、ちょうどよい適合を見せる。そして、ことにドイツ車ではあまり見られない明るい色の内装も、開放的でおしゃれな雰囲気を室内にもたらす。

今回は、前輪駆動で2リッターガソリンターボエンジンを搭載する「V60 T5 INSCRIPTION」のみの試乗だった。この内装は競合ドイツ車に対する1つの特色になるだろう

競合に負けない走行性能と、競合にはない魅力を持ち合わせている新型V60。試乗してみて思ったのは、爽快な気持ちにさせるステーションワゴンであるということだ。

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先鋭ベンチャー LOCK ON! 第8回

訪日外国人と“飲みニケーション”できるマッチングサイトが見いだす価値とは?

日本の若者が敬遠し始めている“飲みニケーション”

訪日外国人をターゲットとした“異文化飲みニケーション”サービスが誕生

居酒屋がビジネスのヒントを得られる貴重な場になる可能性も

ここ最近、若者に嫌われがちな慣習に「飲みニケーション」がある。

これはいうまでもなく、仕事を終えた後、同僚たちと居酒屋などに集結し、アルコールの力を借りて互いの胸襟を開き、親睦を深めるコミュニケーション手法のこと。しかし、終身雇用や年功序列が崩壊した今や「会社の人とプライベートの時間まで削って仲良くなろう」というモチベーションは薄れた。「“飲みニケーション”って、いらなくね?」というムードが蔓延。令和時代に廃れてしまいそうな慣習ともいえる。

会社に勤める日本人の若者には、風当たりの強い飲みニケーション。それを新たなカタチとしてビジネスにつなげているのが、アシノオトの木村壮介さんだ。では、どんなビジネスなのか、木村さんに聞いた。

アシノオト代表の木村壮介さん。高校卒業後、兄が起こしたグループウェアメーカーにジョインして、エンジニアとして活躍。ウェブマーケティングの会社へ転職し、ウェブコミュニティの開発運営などを経て独立。訪日外国人とローカル日本人をつなぐQ&Aサイト「Hub Japan」を起ち上げ。2017年、同サイト内で「MEET&EAT」をスタートさせた

サービス名はHub Japan「MEET&EAT」。ネット上のプラットフォームを介して知らない者同士がマッチングし、文字どおり、食べて、飲む。”飲みニケーション”で親睦を深める、というわけだ。

もっとも「MEET&EAT」がマッチングするのは上司と部下でも、出会い系的な若い男女でもない。木村さんが飲みニケーションのターゲットにしているのが訪日外国人と日本人。日本を訪れた海外からの旅行者と、日本にいる人たちを居酒屋でつなぎ、親睦を深めさせる。いわば“異文化飲みニケーション”を提供しているのだ。

旅行者の「美味しい」は、アテにならない

きっかけになったのは、木村さんの経験だった。

「新婚旅行のときに覚えた違和感。そこからはじまったんです」(木村さん)

木村さんがイタリアへ行ったのは2015年。奥さんと2人で楽しみにしていたのが本場のイタリア料理だった。旅行に関する大手口コミサイトでみつけた店を、まず巡った。待ちに待った本場の味。それが実にいまいちだった。

「『こんなものかな…』とも思ったけれど、2日目に偶然仲良くなった地元のおばちゃんが『昨日はどこで食べた? 駅前の店? ダメダメ。行くならあっちの店よ』と教えてくれたんです。すると今度はめちゃくちゃ美味しかった。それが衝撃でした」(木村さん)

美味しさに対する衝撃だけじゃない。圧倒的な集合知を誇るネットの口コミサイトが、地元のおばちゃんのアナログな知見に勝てないことにこそ、木村さんは感銘を受けた。

「考えてみたら当たり前なんですけどね(笑)。世界中の質の高いユーザーが口コミを書き込めたとしても、書き手が旅行者である以上、底はしれている。地域にずっといる人の知識には敵いませんから」(木村さん)

そこに着想の芽があった。

ならば「地元の人と海外からの旅行者をQ&Aでつなぐローカルコミュニティサイトがあったら喜ばれるのでは?」と考えた。ヤフー知恵袋のような巨大なQ&Aサイトや、SNSで直接つながったコミュニティサイトはあるが、越境してローカルの人と旅行者をつなぐQ&Aサイトは意外と見つからない。

それまでグループウェアの制作運営や、企業向けのコミュニティサイトの開発運営を手がけるITエンジニア・ディレクターだったが、独立起業の潮目を感じた。個人的に「社会課題の解決につながるような事業で独立したい」と考えていたことも後押しになったという。

「どんな課題か? “グローバリゼーション”とそれに伴う文化の均質化“への危惧ですね。なんていうと大げさですけど、目立たないけれど素敵なスポットや、小さくても美味しいお店が、情報の均質化で目立たず消えていく。盛りあげないともったいないなって、感じていたのです」(木村さん)

そして2016年に独立。自らプログラムを書けること、奥さんもWebデザイナーだったこともあいまって、すぐさまシンプルなQ&Aサイトを立ち上げた。名前は「Hub Japan(ハブ・ジャパン)」。訪日予定、あるいは訪日中の外国人ユーザーが英語でクエスチョンを書き込むと、日本のローカルユーザーがアンサーを書き込んでくれるシンプルな仕組みだ。

たとえば「東京でオススメの穴場の寿司屋は?」「サクラを見に大阪へ行くが、気温は? 上着は持参したほうがいいか?」といった具合に欧米を中心に訪日予定の人たちから英語で書き込む。すると、サイトに埋め込んだGoogle翻訳エンジンが日本語に変換してくれるので、日本人も気兼ねなく「現地の声」を書き込める。その日本語は、書き込んだユーザーが読めるように、英語に変換されるわけだ。

「ただオンラインだけだとつまらないのでリアルでも何かやりたいと考えた。そこで『体験の仲介サービス』をやろうとしたんです。訪日外国人が興味のありそうな、着物の着付けとか、お茶の体験とか、いろいろ試しにやってみたら……」(木村さん)

そうしたなか、圧倒的に参加者の好評を得た体験イベントがあった。「居酒屋探訪」ツアーがそれだ。

日本人には当たり前の居酒屋に価値があった

赤提灯や縄のれんが目印の大衆居酒屋から、高級割烹ぜんとした高級店まで、バラエティに富む居酒屋レストランは、日本全国に23万店以上あるといわれる。日本独自の酒とつまみが効率よく味わえるうえ、日本の生活文化や日本人とふれあう機会もあるため、今や訪日外国人にも人気のスポットだ。

ただ興味はあれど、観光客が海外の夜の街に繰り出して、初めての居酒屋に入るのはハードルが高い。ボッタクリ店などにあたるリスクもある。しかし、勝手知ったるローカルの日本人が薦める店に、しかも一緒に入って楽しめるとあれば、安心感が高まる。

「一方で居酒屋などの飲食店も、訪日外国人のお客様を呼び込みたいけれど、お店を知ってもらえていないというのが、多少の機会損失になっていた。なので、飲食店の販促の仕組みとして活用してもらえると考えたんです」(木村さん)

試しに「ハブ・ジャパン」をとおして「日本の居酒屋で日本人と語り合おう」というツアーを告知すると、すぐに外国人観光客から応募があった。木村さんが試験的にアテンドをする。奥さんや友達とともに外国人複数×日本人複数で、オススメの居酒屋にむかい「カンパイ!」からはじめると、異様な盛り上がりをみせた。

英語もできず、そもそもコミュニケーションも苦手だった木村さんだが、酒が入り、気持ちが大きくなると「身振り手振りで必死に会話をしている自分」に気づいた。飲みニケーションあなどれじ、だ。

「また、もちろん海外の方々に『日本に来た目的は?』『何を楽しんだ?』などと聞くことも楽しいのですが、実のところ彼らから日本について意表をつく質問をされることにこそおもしろさ、価値を感じました」(木村さん)

「日本で最もポピュラーな宗教は?」とか、「無宗教? ではなぜあれほど神社があり、誰しもお参りしているんだ?」とか、「あなたにとって蕎麦とはなんですか?」とか――。

「蕎麦については、おもしろかった。自分にとって蕎麦とは何か、なんて考えたことなくて(笑)。日本人同士だったら絶対に聞いてこないような質問をどんどん向けられる。結果、むしろ日本のこと、日本文化のことを深掘りせざるを得なくなったんです。また海外の人たちが、日本の何に興味があるのかも肌感覚でわかる。これって観光施策や訪日外国人向けビジネスのヒントが得られる貴重な場になるなって」(木村さん)

だから、日本文化を深掘りしたい「訪日外国人」、質の高いインバウンド客を集客したい「居酒屋」、そして外国人とフランクに交流することで刺激やアイデアを得たい「ローカルの日本人」。この三者を“三方良し”でつなぐプラットフォームとして、2017年末に作った。

仕組みはやはりシンプルだ。ローカルの日本人ならFacebook認証をとおして「ハブ・ジャパン」にまず登録。そこから「MEET&EAT」のサイトに行く。同じようにログインして日本滞在中の「居酒屋で交流したい」と書き込んでいる訪日予定の外国人アカウントをチェック。都合のいい場所や日時、気の合いそうなプロフィールの団体がいたら「マッチング希望」をクリック。返信を待つ。マッチングとなれば、メールでのやりとりができるようになり、「MEET&EAT」内で指定する居酒屋店をチェックして予約。当日、最寄りの駅前で待ち合わせて、予約時間に店にいき「カンパイ!」となるわけだ。

外国Hub Japanの利用者たち。未成年かどうかの判断はFacebook認証で行われる。トラブルが起きないように、基本2~3人ずつしかマッチング登録できない

今はサイト経由で飲食店への予約が発生したときに、紹介料を得る仕組みで運営中。都内数十店舗の居酒屋と契約を結び、月30人程度の訪日外国人からのリクエストに応えている。

「ビジネスの規模はもう本当に小さい。受託の仕事を続けながら、まだまだ手探りの段階です。ただ小さいながら手応えも感じています」(木村さん)

「またぜひ居酒屋で飲みたい」と訪日外国人のリピーターが増えている。「生きた英語を学びたい」「楽しい飲み会を開きたい」というローカル日本人も増加中だ。とくに「企業のインバウンド担当をしているが、本当のニーズがつかめない。ヒントを得たい」「飲食店を経営しているが外国人向けにメニューやサービスを充実させたい。直接リサーチできるのでは」とマーケティング・リサーチの場として価値を見出している人も現れ始めているという。

飲みニケーション、やはりあなどれじなのだ。

「まあ、まだまだ小さい事業で、どこまでできるかわからないけど(笑)」(木村さん)と、取材終盤、木村さんは繰り返した。ただ、目立たないけど素敵なビジネス。盛り上げないともったいない、と……。

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2019.05.21

2018年度のM&A件数は830件、取引総額は12兆7,069億円

「武田薬品のシャイアー買収」は日本企業最高金額に

日本企業が積極的に海外での地盤固めに動いた様子が見られた

平成最後の年度となる2018年度(2018年4月-2019年3月)は、日本の上場企業によるM&A(企業の合併・買収)が活発だった。

国内の高齢化が進み、中小企業の後継者不在の問題はますます深刻になっている。大手企業でも国際競争が激しくなる中で、規模を拡大したり、「選択と集中」で経営を効率化したりする動きが活発だ。こうした経済環境の中で、多くの企業はM&Aに注目し、自社の成長の手段の1つとして積極的に活用し始めている。

M&A仲介サービス大手のストライクが東京証券取引所の適時開示情報を基に構築したデータベースによると、2018年度のM&A件数は830件、金額(株式取得費用と一部アドバイザリー費用を合わせた取引総額)は計12兆7,069億円となり、いずれも2009年度以降の10年間で最高に達した。

2009年度から2018年度にかけてのM&A件数の推移。ストライクが東京証券取引所の適時開示情報を基に構築したデータベースで集計したもの。※経営権が移動するものを対象とし、グループ内再編は対象に含まない。金額などの情報はいずれも発表時点の情報
2009年度から2018年度にかけてのM&A金額の推移。 ※同上

日本企業最高金額となった「武田薬品のシャイアー買収」

2018年度に注目されたのが取引金額の拡大だ。

武田薬品工業がアイルランドの製薬会社シャイアーの買収に投じた6兆7,900億円は、日本企業が実施したM&Aとしては過去最高額となった。さらに同年は、1,000億円を超える案件がこの10年で最高であった2017年度と並ぶ18件に達するなど、国際競争が激しくなる中で、日本企業がクロスボーダー(国際間案件)のM&Aを活発化させた様子が見てとれる。

武田薬品のシャイアー買収は2018年5月8日に発表され、2019年1月8日に成立した。巨額の買収金額が経営に与える影響を懸念して、創業家一族ら一部の株主が買収に反対したことも話題になったが、臨時株主総会での武田薬品株主の賛成率は9割近くに達した。

武田薬品に次ぐ大型の案件は、ルネサスエレクトロニクスによる米半導体メーカー・インテグレーテッド・デバイス・テクノロジー(IDT)の買収であった。買収金額は日本の半導体メーカーとして過去最高となる7,330億円に達した。自動運転やEV(電気自動車)などの進化に伴い、車載向け半導体の需要拡大が見込まれており、ルネサスエレクトロニクスはIDTの買収によってこの分野の開発力強化や製品の相互補完を目指す考えだ。

それに次ぐ大型の案件は、日立製作所によるスイスABBの送配電事業の買収であり、その金額は7,140億円に達する。日立製作所はABBから2020年前半をめどに分社される送配電事業会社の株式の約8割を取得して子会社化したあと、4年目以降に100%を取得し、完全子会社化する予定だ。再生可能エネルギー市場の拡大や新興国での電力網の整備に伴い、送配電設備に対する需要は一層高まると予想されており、日立製作所は買収により送配電事業で世界首位を目指す。

2018年度(2018年4月1日-2019年3月31日)の取引総額上位10ケース。※金額は株式取得費用と一部アドバイザリー費用を合わせた取引総額 (ストライク調べ)

2019年度も活況続くか

先述したように、金額が1,000億円を超える大型のM&Aは18件あり、武田薬品など金額上位3社のほかに、大陽日酸、三菱UFJ信託銀行、大正製薬ホールディングス、東京海上ホールディングス、JTといった大企業が名を連ねた。

これら18件中17件はクロスボーダーであり、かつ2018年度のM&A件数中、こうしたクロスボーダーは185件(構成比22.3%)に達しており、日本企業が積極的に海外での地盤固めに動いた様子が浮かび上がった。

かつて、日本で企業の投資といえば、研究開発や設備投資が大半を占めていた。しかし、最近の状況を受けて、ストライクの荒井邦彦社長は「全体の成長率が低迷する中で、こうした投資の効果は思うように高まらず、事業戦略としてのM&Aが日本企業でも定着してきている」と分析する。

なお同氏は、2019年度のM&A市場の動向についても「日銀による金融緩和が企業の資金調達環境を改善させており、活況が続きそうだ」と予測している。

出展:M&A online データベース

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