正直者がバカを見る「就活ルール」は必要か

正直者がバカを見る「就活ルール」は必要か

2018.09.25

経団連会長の「就活ルール廃止」発言に対して大学教授が言及

これまでのルールは、従ったものが損をする仕組みになっていた

就活支援サービス、大学のキャリア教育に変革が求められている

9月のはじめ、経団連会長の中西宏明氏が「2020年度以降に就活ルールを廃止する」とコメントしたことが話題となった。この発言が社会にどのような影響をもたらすこととなるのか。大学にてキャリア教育および支援を担当する教員として、今回の出来事に関しての見解を述べたい。

ルールを守ると「優秀な人材」を採れない実情

そもそも、同氏がこのような発言をした背景には、「就活のルールを守った企業が損をする」という現状への危機感、および、経団連に所属している企業であっても「こっそりと就活ルールを破っていた」現状への罪悪感があったと考える。

もっとも、我々大学サイドとしても、これだけインターンシップ採用やリクルーター採用、つまり「リファラル採用」が一般化しているのに、○月より情報解禁、△月より試験・面接開始……といった就活ルールに基づき、学生の就職支援をするのは実情に合っていない、ということは身をもって感じている。

ではなぜ、現行の就活ルールのままではいけないのか? その理由の1つとして、就活ルールが、「優秀な人材」の輩出を阻害している点が挙げられる。

新卒の人材について、ここでは「優秀な人材」と「普通の人材」という2つのパターンに分けて考えたい。優秀、普通の定義については、仮に前者を"イノベーションを起こせるような人材"、後者を"従来の仕事(イノベーションというよりは、これまで多くの企業がやってきたような仕事)ができる人材"としよう。

一方、採用をする側をおおまかに「人気ベンチャー」「大企業」「中小企業」と分類し、それぞれの関係性をざっくりと図式化すると、以下のようになる。

イノベーションを起こせるような優秀な人材は、現行の就活ルールではなくリファラルで採用されることが多い。現行の就活ルールに則って採用活動をした企業は、スタートが遅れ、そういった企業に優秀な学生をとられてしまっているのが現状だ

この図で示す通り、就職活動(採用活動)には大雑把に2つの道があって、志望する企業によって就活は変わるし、採用する企業によって採用活動も変わる。それにも関わらず、かたくなに1つのルールのみで縛っていこうとすると、就活生、採用活動を行う企業のどちらにも不利益が生まれることは明らかだ。

変化が求められるナビサイト

今回の発言を受けて気になるのは、リクルートやマイナビ、キャリタスなどの就職情報サイトが、いつ会社説明会情報を解禁にするのか、ということだ。もし同社らがビジネスモデルを堅持するようであれば、ざっくりと「3年生の授業が終わる時期に合説がスタートし、4年生の春から面接・内々定」の流れは数年続くかもしれない。

しかしながら、それは会社の事情であって、学生には関係の無い話だ。例えばインターンシップを1・2年生でも体験できるのであれば、就職情報サイトを年度別に設計するのはすでに実情に合っていない。それぞれのサイトに一度登録すれば、4年間、キャリアに関する情報を収集できるようにするべきだろう。ひいては中途採用の就職情報サイトと統合すべきだ。

世界に遅れる日本、キャリア教育のアップデートを

こういう話をすると「インターンシップなどのキャリア形成のための活動が学業に影響を与えるのはおかしい」という議論があるが、それは間違っているように思う。

仮に欧米の大学生のように、長期休暇などに興味がある企業でインターンシップで働いて、納得できる採用先を早期に確保した方が、かえって卒論などに影響を与えない可能性があるためだ。

もちろん、欧米の場合、専門職採用が主体で学びと就職が一貫していること、長期休暇が取りやすいカリキュラムになっていて、有償のインターンシップを紹介してもらえるなど、日本とは状況が違うので、すぐには無理だろう。しかし、日本だけ異質なままではグローバルな視点からは取り残されてしまうこととなる。

今、大学側に求められるのは、年次に縛られず、自ら行動し、試行錯誤しながら、自らのキャリアを紡ぎだせる学生を育てることだろう。

中西氏の発言が今後、企業の採用活動、および学生の就活にどのような影響をもたらすかは断言できない。しかしこの出来事は、就職活動に歪みが出てきていることを示す顕著な例であることは確かだ。大学側には、これまで提供してきたキャリア教育の見直しの時期が強く求められている。

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

打倒iQOSに挑むプルーム・テックの戦い、世界市場も見据えたJTの新製品

2019.01.22

低温加熱式のJTがライバルと直接競合する高温加熱式に参入

専用リフィルも異なる3種類の製品で広範に網を張るプルーム・テック

海外市場でも兆し見えた加熱式たばこ、日本での成功がより重要に

日本たばこ産業(JT)が加熱式たばこの新製品、「プルーム・テック・プラス (Ploom TECH+)」「プルーム・エス (Ploom S)」の2製品を発表した。シェアトップのiQOSを追撃したいJTだが、ライバルに先行を許している今、どのような戦略を描いているのか。

JTが発表した加熱式たばこの新製品、プルーム・テック・プラス(左)とプルーム・エス

新たに高温加熱式に参入、ライバルと直接競合へ

新製品は、従来のプルーム・テックを改良したプルーム・テック・プラスと、シェアを争う「iQOS」(フィリップ・モリス)や「glo」(BAT)と同様の加熱方式を採用したプルーム・エスの2つ。iQOSとgloが高温加熱式であるのに対し、もともとプルーム・テックは低温加熱式と呼ばれる方式をとっていた。30度という低温で発生させた蒸気をたばこカプセルを通して吸うため、においが少ない一方、吸いごたえに乏しいともいわれていた。

低温加熱式で吸いごたえを追加したプルーム・テック・プラスと、高温加熱式のシェア奪取を狙ったプルーム・エスを投入

そこで、たばこ葉を増やすなどして吸いごたえを高めたのがプルーム・テック・プラスだ。その結果、本体が太く大きくなり、加熱温度も40度と少しだけ高くなったが、においの少なさはそのままに、吸いごたえをアップさせたことをアピールする。

プルーム・エスは高温加熱式を採用し、iQOSやgloと同様の吸いごたえを目指した。こうした高温加熱式は、たばこ葉を高温で蒸すことで蒸気を発生させるため、従来のたばことも異なる独特のにおいを発生させる。

JT副社長・たばこ事業本部長の岩井睦雄氏は、この独特の「におい」のせいでたばこの味わいに違和感を覚える喫煙者が多かったと話す。そのため、「満足度を高めるのは味わい」として、このにおいの低減に取り組んだという。

プルーム・エスでは、たばこ葉を熱する温度を200度に抑えた。これはiQOSの300度、gloの240度に比べて低く、これによって特有のにおいを抑えたという。

吸いごたえや加熱方式が異なる3製品をそろえる意味

JTは新製品投入後も既存製品の取り扱いを継続する。つまり、プルーム・テックのラインアップは3種類となる。iQOSも複数の製品があるが、こちらは機能の違いによって3種類に分けられており、プルーム・テックはそれに対して、吸いごたえや加熱方式によって異なる製品を用意したかっこうだ。

3つの製品を投入することで、選択肢を提供する

岩井副社長は「温度で選ぶ時代」と表現し、低温のプルーム・テック/プルーム・テック・プラスと、高温のプルーム・エスという選択肢によって「好みや生活環境、ライフステージの変化に合わせて、いつでも最適な選択ができる」ことを狙ったとしている。

たばこ事業本部長の岩井睦雄副社長

たばこ部分に互換性がないという問題はありそうだが、現在でも、においの少なさを重視して自宅ではプルーム・テックを吸いつつ、味わいを求めて喫煙所では高温加熱式の加熱式たばこ、と双方を使い分けている人が少なくない。そうしたユーザーに対して、「それぞれで求められるニーズを高いレベルで満たし、両方を提供するのが顧客満足度の最大化に繋がる」(岩井副社長)と判断し、製品開発に取り組んだ。

加熱式たばこ最大市場の日本から、海外市場を見据える

岩井副社長は新製品でiQOSからシェアを奪取し、「中長期的にはRRPカテゴリでもシェアナンバーワンを目指す」と意気込みを語る。

「RRP」とは「リスク低減製品」のこと。「喫煙にともなう健康へのリスクを低減させる可能性がある」と位置づけられる製品だ。

日本では法律上、液体にニコチンを含ませて販売することはできない。電子たばこは、このニコチンを含む液体を蒸気化させるため日本で販売できず、結果、加熱式たばこが普及したという背景もある。加熱式たばこの市場規模では日本が世界最大だが、iQOSが韓国や欧州の一部で販売を強化しており、グローバルでの市場拡大を狙っている。

JTは海外ではlogicブランドで電子たばこを販売している。海外での電子たばこ事業はありつつも、まずは製品の国内ラインナップを拡大して加熱式たばこのシェア拡大を図るとともに、紙巻きたばこを含むすべての製品の価値を向上させることで、市場の拡大に繋げたい考えだ。「日本での成功がグローバルでの成功につながる」と岩井副社長は強調する。

紙巻きたばことRRP製品の双方を拡充する
日本では加熱式、海外では電子たばこを提供中

紙巻きからの移行、数年以内に大きな山場

2018年は加熱式たばこが踊り場を迎えたと言われた。日本ではここ数年で急激に加熱式たばこの普及が進んだが、市場シェアが20%を越えたところでユーザー需要は一巡したとみられる。

ただ、プルーム・テックの全国販売の開始や、他社では直近のiQOSの新モデル投入などを経て、その動向から、需要の伸びは「足踏みしていたが、止まったわけではない」(岩井副社長)との認識にあるという。加えて、紙巻きたばこによる健康懸念の高まりや、オリンピックによる喫煙場所の規制といった外的要因もあり、「必ずシガレット(紙巻きたばこ)からRRPに移ってくる」(同)という見通しだ。

課題は、紙巻きたばことは異なり、デバイスを購入しなければならないというハードルの高さだ。一度購入した後、他社のデバイスへ移行しづらいという難題につながる。

他社の後追いとなった高温加熱式では、「差別化のポイントをしっかりと伝えていく」ことで買い替えを促進する。JTが主導する低温加熱式では、「若干下方修正したが、手応えも感じている」と岩井副社長は説明する。今後は製品の良さをアピールするために、喫煙者に直接説明をする営業スタイルを重視していく方針をとるそうだ。

JTは日本市場で紙巻き、加熱式のいずれでもシェアトップを目指す

JTは1社で複数の選択肢の製品を用意することで、消費者のニーズの受け皿を最大化しようと目論んでいる。この先にグローバルで展開する上で、ユーザーからどのような示唆が得られるのかを検証していき、海外での加熱式たばこの市場拡大にも乗り出していきたいと考えているようだ。

加熱式たばこは間もなく、国内市場シェアだけでなく、海外市場の争奪戦の行方も左右する正念場を迎える。

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

大手コンビニ3社、成人誌の販売中止を相次ぎ決定

2019.01.22

セブン、ローソンに続きファミマも成人誌を販売中止

インバウンドの増加、オリンピックの開催も影響か

コンビニ最大手のセブン-イレブンと業界3位のローソンが成人向け雑誌の販売中止を発表したのに続き、業界2位のファミリーマートも同様の方針を打ち出した。大手3社の足並みがそろい、日本国内のほとんどのコンビニ店頭から成人誌が消える。

国内のセブン-イレブン店舗数は2万店を超え、ローソンとファミマが1万5,000店前後でこれに続く。それぞれ今年の8月末までに取り扱いを原則中止するという。これまで一部店舗で成人誌の販売を中止していた例はあったが、今回は各社全店舗で取り扱いを中止する。業界では昨年1月から、ミニストップが他社に先駆けて全店で取り扱いを中止していた。

もともと諸外国にくらべ、女性や子どもの目につきやすいコンビニ店頭などに成人誌が置かれている日本のゾーニングの現状は特殊であるとの批判があった。また、インバウンドで訪日外国人が増え、この論調に拍車がかかっていたほか、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、イメージ低下を防ぐ要請が強まっていたという背景がある。

コンビニでの成人誌の購買層は近年、高齢男性に偏るとともに売り上げの減少も顕著であったといい、ゾーニングの問題が取り扱い中止の大義名分になったという見方もある。ある出版関係者は、「一部では電子版などネット展開を強化している流れはあるが、今でもコンビニは重要な販路なので、相当な混乱があるだろう」と話す。どちらにせよ、日本の成人誌は岐路に立たされることになる。