JAXAお墨付きの基板屋に見る、ニッポン宇宙産業の未来

JAXAお墨付きの基板屋に見る、ニッポン宇宙産業の未来

2018.09.27

宇宙ビジネスが活況。宇宙開発技術は日に日に進化している

プリント基板製造のOKIサーキットテクノロジーが航空宇宙分野で好調

今後の宇宙市場拡大の鍵を握るのは、JAXAと民間企業の歩み寄り

いま世界中で、宇宙を舞台にしたビジネスが活況だ。

はやぶさ2の小惑星到着、ホリエモン率いるIST(インターステラテクノロジズ)によるMOMO2号機の打ち上げ(現在は3号機に向けたクラウドファンディングに挑戦中)、ZOZO前澤友作氏がSpaceXのロケットで月周回軌道に乗るプロジェクトを発表するなど、日本だけに目を向けても話題に事欠かない。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は「2030年以降、有人での月面探査ミッションを目指す」ともしており、宇宙開発に必要な技術は日進月歩で進化している。

そうした航空宇宙産業の盛り上がりを支えている1つの企業が、ハイエンド基板の設計・製造に強みを持つOKIサーキットテクノロジー(OTC)だ。同社が製造するプリント基板は、JAXAの「お墨付き」を受けており、人工衛星やロケット開発・製造プロジェクトの多くで採用されている。同社の考える今後の事業戦略を聞くと、日本の今後の宇宙市場の姿が見えてきた。

宇宙事業に力を入れる、基板屋「OKIサーキットテクノロジー」山形県・鶴岡工場

「鶴岡から宇宙へ」庄内平野から宇宙を見つめるOTC

OTCは、山形県は鶴岡市・庄内平野の南部に位置する企業。2016年7月、NECのグループ会社である日本アビオニクスのプリント基板事業の譲渡を受けて以来、急激に航空宇宙分野での売り上げを成長させている。

OTC 代表取締役社長 西村浩氏

OTCの代表取締役社長を務める西村浩氏は、「今後は宇宙事業を収益の柱の1つに」と語る。

同社はもともとハイエンドなプリント基板、特に情報通信機器や制御装置、半導体製造装置といった分野に強みを持っていた。そこに日本アビオニクスの強みであった航空宇宙向けのプリント基板技術が加わったことで、航空宇宙事業が強化。2015年に4億円程であった航空宇宙分野での売り上げは、2019年には18億円、売上比率でいうと、全体の7% から23% にまで増加する見通しであるという。

「宇宙は、人工衛星の需要が増してきていること、民間での宇宙進出企業が勃興していることから、まだまだ成長の余地がある市場。当社の持つ技術を活かし、さらなる成長につなげていきたい」(西村氏)

プリント基板製造工程

技術はJAXAお墨付き「日本で唯一」全認定を取得

航空宇宙分野で同社の最大のクライアントとなるのが、JAXAだ。そこに部品を提供するためには、同機構の定める認定を取得する必要がある。プリント基板に関しては7種類あり、OTCは日本アビオニクスの事業継承後、急ピッチですべての認定取得を目指した。

「ロケットや衛星など、不具合の発生が膨大な損害を生み出す宇宙事業においては失敗が許されない。そのため、認定を得るためには高度な技術が求められ、苦労した」(西村氏)

通常、1つの認定を取得するためには早くて7~8カ月かかるそうだが、同社は2016年の事業取得後、2年ほどで5つの認証を取得。すでに持っていた2つの認定と合わせて、日本で唯一、すべての認定を持つ企業となった。まさに「JAXAお墨付き」というわけだ。短期間での認定取得を実現したことから、同社の技術力の高さがうかがえるエピソードである。

航空宇宙の分野における特徴として、求められる要求が高いこと、大型の設備を必要とするために多くの設備投資費用がかかることが挙げられる。そのため、同分野における企業の新規参入障壁は非常に高く、ライバルが少ない。結果、JAXAが搭載しているプリント基板のほとんどはOTCが提供するまでになった。

OTC工場内の浄水場。プリント基板を製造するためには巨額な設備投資が必要なことも、企業の新規参入を妨げる要因となっている

市場拡大のカギは民間の宇宙企業

しかし、ハイエンドな製品ばかりを提供していては、航空宇宙分野における市場の大幅な成長は期待できない。OTCの主要クライアントであるJAXAは年ごとに定められる国家予算によってある程度の支出額が決まってしまい、そもそもの市場規模が制限されているためだ。今後同社が航空宇宙事業をより大きくしていくためには、ISTのような新規の宇宙企業をクライアントとしていく必要がある。

そうはいっても、ISTは民生品を活用することで安価に宇宙を活用することを目指している企業。ハイエンドな部品は「欲しくても手が届かない」といったところだろう。そうした企業を相手に市場を広げていくとなれば、価格帯を下げて製品を提供する必要がある。

「航空宇宙事業の成長を目指すためには、民間企業との連携が必要となってくる。とはいえ、彼らのニーズとこちらが提供できる技術が異なる以上、双方のメリットがある関係性を築くことは難しいのが現状」(西村氏)

たとえ高価格であっても、高機能・高付加価値・高信頼性を求めるJAXAと、安価なものを求めるISTでは、ニーズが180度異なる。この異なる2つのニーズがどう交差し、新たな市場が生まれていくかが、OTCの航空宇宙事業、ひいては日本の宇宙開発市場を成長させる1つの鍵と言えるだろう。

現状、JAXAに提供する製品は、信頼性に重きを置くあまりに”高価格”となっていることは確かだそう。そう考えると、今後求められる要求が低くなれば、今よりも価格を抑えた生産も可能となることが期待できる。

「JAXAやISTなどの、対局にある2つの市場が歩み寄ることで、新たな市場が生まれることとなれば、当社のもつハイエンドな基板をつくれる技術は、今まで以上に活躍の場が広がることだろう。ここ数年で民間企業の宇宙進出が進んでいることから、そういった市場が生まれる可能性は高いと考えている」(西村氏)

少量多品種生産を求められる同社工場では、1日300ロット、合計4000枚程のプリント基板を製造している。ロット数が多いために、多くの作業は手作業で行われているのが特徴だ

活況な宇宙ビジネスは新たなチャンスを生み出すか

日本における民間企業の宇宙進出と言えばISTのほかにも、産業革新機構やANA、東京放送らから国内のシリーズAとしては過去最高規模となる103.5億円の資金を調達したことで話題になったispaceなどもある。

しかしグローバルを見てみると、火星移住を目指すイーロンマスクのSpaceXや、Amazon創業者のジェフ・ベゾス率いるブルーオリジンなどが先行する。そうした企業と、日本のスタートアップたちの差は果てしなく大きい。

その差を埋めるためには、より多くのチャレンジャーが民間から登場するのと同時に、OTCのような企業が、性能と利益にある程度の折り合いを付けたコンポーネントを提供し、市場を育てていくことが求められる。将来的な市場の拡大を見越し、先行投資のフェーズととらえる時期が必要ではないだろうか。

SNSでバズを起こせ! メルカリ流 “違和感”マーケティング

SNSでバズを起こせ! メルカリ流 “違和感”マーケティング

2019.01.24

フリマアプリを運営するメルカリが新聞折り込みチラシを配布

なぜリアル店舗のようなチラシ広告を出したのか

理由を聞いていくなかで同社のマーケティング戦略が見えてきた

問:次のアイテムのなかから、フリマアプリ「メルカリ」で販売されたことのあるものを選びなさい。

・ダウンジャケット
・ヒト型ロボット
・トイレットペーパーの芯
・クルマ
・イヤホンの左側

おわかりいただけただろうか。答えは「すべて」である。現時点では売り切れかもしれないが、上記はすべてメルカリで販売された実績のあるアイテムだ。

さまざまな商品が売買されているメルカリとはいえ、まさか「トイレットペーパーの芯」が売られているとは、よほどのヘビーユーザーでなければ知らないのではないだろうか。

もちろん筆者も知らなかったが、2018年12月12日に配布された1枚の新聞折り込みチラシが、その事実を教えてくれた。それは、メルカリが北海道と愛知県で計192万部配布した広告チラシだ。

紙面上では、トイレットペーパーの芯やクルマがメルカリで売られていたことを紹介していたのだが、東京在住の筆者は配られたチラシを直接見たわけではない。「メルカリが新聞折り込みチラシを配布している」という意外性がSNSで話題を呼び、仕事中Twitterをいじくりまわして遊んでいた筆者の元にも情報が届いたのである。

はたして、アプリ上でサービスを展開するメルカリが、なぜリアル店舗のような折り込みチラシを配布したのだろうか。

メルカリが配布した新聞折り込みチラシの例。まるでアパレル広告のようだ
裏面には、初心者でも使えるようにアプリのマニュアルが紹介されている

「スタンダードからいかに離れるか」が、おもしろさを生む

「端的に言えば“お茶の間の会話”を増やしたいと考えたためですね」

株式会社メルカリ 執行役員 CMOの村田雅行氏は、新聞折り込みチラシを配布した理由について、そう話す。

株式会社メルカリ 執行役員 CMOの村田雅行氏

2013年7月にサービスを開始したメルカリのアプリダウンロード数は、世界合計で1億超。また、累計流通額は1兆円を超えており、全国レベルでその名を轟かせている。

「ただ、月間のユニークユーザー数は1100万程度。ダウンロード数を考えるとまだまだ伸びしろがあるはずなのです。そのため、まだ取り切れていない、シニアを中心とするユーザーを取り込むためのアプローチを実施することに決めました」

アプリの存在は知っているが、普段からメルカリを使っているわけではない。そんな、シニアをはじめとする“お茶の間ユーザー”を取り込むべく企画されたのが「新聞折り込みチラシ」だった。さまざまなマーケティングを行っている同社ではあるが、新聞折り込みチラシの配布は今回が初めて。そのため、まずはテストマーケティングとして、限られたエリアでの配布が行われた。

だが、シニアへのアプローチは何も折り込みチラシに限らない。テレビCMはもちろん、街頭配布やポスティングなど、ほかにも宣伝手法はあったはずだ。なぜ折り込みチラシにこだわったのだろうか。

「1つのコンテンツとして完結しているところがポイントでした。新聞は、自ら購読して情報を取得する非常にポジティブな媒体。毎日目にするそのコンテンツにメルカリの折り込みチラシを入れることで、“違和感”を生み出したかったのです」

また村田氏は、チラシだからこそ違和感を生み出せたのだと話す。

「今の時代、いかにSNSで話題にしてもらえるかが大事です。そのためには普通とは違うことをやらなければなりません。違和感は、多くの人が認識する“スタンダード”がなければ作れないと考えています。いかに基準から大きな振れ幅があるか。それが驚きやおもしろさにつながるのではないでしょうか。そういう意味で、折り込みチラシには基準があります。『医薬品系だったらこんなチラシ』『スーパーのチラシはこんなもの』というイメージが、多くの人のなかで醸成されているからこそ、イメージからかけ離れたクリエイティブは一層際立つはずだと、新聞の折り込みチラシを実施したのです」

例えば街頭配布であれば、コスプレをしたり、奇抜な宣伝車で商品サンプルを配ったり、アメニティを同封したりと、工夫されているものが多く、普遍的な基準のようなものが思い浮かびにくい。あえて一般的な街頭配布の例を挙げるとすれば、ポケットティッシュと答える人が多いだろうか。だが、ポケットティッシュ以外のものを配っていたら、それだけで大きな話題を呼ぶかと言えば、おそらく難しいはずだ。

つまり、スタンダードがあるからこそ、違和感を与えて記憶に残るような手法を実施できると、数あるアプローチのなかから村田氏は折り込みチラシを選んだというわけだ。

そもそも、実店舗を持たないメルカリが折り込みチラシを配布するというだけで、1つの違和感を与えられるだろう。そして「徒歩0分! スマホの中でオープン!」といった目を引く謳い文句が、違和感をますます際立たせる。

「違和感を与えるために、コピーや商品ラインアップは工夫しましたね。今回、3タイプのチラシを作成したのですが、“メルカリだからこそできるラインアップ”をあえて出すようにしました。例えば、意外性のあるものでは、トイレットペーパーの芯やクルマ。実際にメルカリで売られていたことがあるんです」

今回作成されたチラシは「ファッション」「家電」「スーパー」の3タイプ。意外性のある商品ラインアップに加えて、北海道では日本ハムファイターズのユニフォーム、愛知県では中日ドラゴンズのユニフォームなど、地域に根付いた商品も掲載しており、そのような遊び心も、SNSで話題になるために必要なのかもしれない。

家電パターンのチラシ。「徒歩0分! ~」のコピーが目立つ
「トイレットペーパーの芯」を掲載したパターンのチラシ。2つのチラシをよく見比べると、ユニフォームで使われている写真が違う。なお、北海道と愛知県を選んだ理由は、「地場新聞の影響力が強いエリア」だからだという

結果として、違和感を覚えた消費者は、Twitterにチラシの画像を投稿。狙い通り、SNSでバズらせることに成功した。

しかし、SNSで話題になっても、ターゲットにしているシニア層にはあまり関係がないのではないだろうか。

「シニアや中高年の方々でSNSをやっている人は意外と多いんですよ。積極的に発信をしている人はあまり多くないですが、情報収集として活用している人は少なくないですね」

ちなみに、肝心の折り込みチラシの効果は、「すべての数字の集計が終わっているわけではありませんが、チラシを投下したエリアでは、いい成果が出ています」とのこと。データとしても、チラシの影響を確認できたという様子だった。

攻める姿勢が生み出したもう1つの広告

今回のようなアプローチは、SNSが普及した今だからこそ可能な新しいマーケティングだ。そして、メルカリではSNSでのバズを狙った取り組みがもう1つ。2019年1月1日からスタートした『#はじメル』だ。

はじメルは、「三日坊主でもいいから、とにかく新しいことをはじめる人を応援する」というコンセプトで展開しているキャンペーン。特設サイトを開設し、1月3日には新聞の一面広告を、1月5日からはテレビCMを放送開始した。

そのなかで、一体なにがSNSで話題になったのかというと、これまたアナログな「新聞広告」である。

「一般的に1つのクリエイティブで進める新聞広告を、あえて3タイプ制作し、首都圏・東日本・西日本で分けて配布しました。3枚の新聞広告をつなげるとメルカリの『m』が浮かび上がるというデザインなのですが、1枚だけ見ても、“つなげたら何か起きそう”なデザインにすることで、それを発見した人がTwitterに思わず投稿したくなるような仕組みを作っています」

新聞広告を3枚並べると「m」の文字が浮かび上がる

思わせぶりなデザインにするという“ヒント”を提供しておき、あとは何も言わずにユーザーの反応を待つ。離れたエリアの新聞を手に入れるのは難しいので、ほかのデザインが気になった場合は、自然とオンライン上での情報収集が開始されるだろう。そうして、SNSで活発なやり取りが発生するというわけだ。

「最初はもっと控えめのデザインだったのですが、それじゃダメだと言いましたね」

穏やかな口調ではあったが、村田氏の言葉からはクリエイティブに対してのこだわりを強く感じた。

「折り込みチラシのときもそうですが、守りに入ったら企業は終わると考えているので、常に攻め続けたいと考えています」

クリエイティブに対して攻めの姿勢を崩さない村田氏。それを象徴するエピソードとして、折り込みチラシのプロジェクトのキックオフ時には、「私をクビにする覚悟で仕事をしてほしい」とメンバーに伝えたのだという。

「もちろん、ほんとうにヤバいときは止めますよ。ただ、メンバーがリスクを考えてしまうと、どうしても“置きにいく”ようなアイデアになりがちです。責任なら私が取るので、どんどん攻めてほしいというメッセージですね」

置きにいくクリエイティブでは、SNSでバズらない。メンバーが自由にアイデアを出せる環境整備こそ、尖ったクリエイティブを生み出すのに必要なことなのだろう。

2019年はメルカリの内面を伝える年に

今回、折り込みチラシと新聞一面広告で、SNSでバズらせるマーケティングを実施したメルカリ。折り込みチラシに関していえば、まだテストマーケティングが終わった段階である。今後は全国的に折り込みチラシの配布を行うのだろうか。

「明確な方針はまだ決まっていませんが、折り込みチラシについては、読み物としてお客さまから期待されるコンテンツにしていきたいと考えています」

ただし、「今日は○○が特売」「○○が新発売」といったように、新聞チラシは日々情報が更新されるから読み物として成立する。タイムリーな情報をチラシで打ち出せないメルカリは、どのようなコンテンツにしていくのだろうか。

「今回折り込みチラシで意識したことの1つに、商品をたくさん入れるという点がありました。実際にメルカリで何が売られているかまでは知らない人が意外と多いんですね。そのような人からすると、トイレットペーパーの芯が売れることは1つの発見になるでしょうし、自分の家にある家電がいくらで売れるかということも新しい発見です。そのように、ほかにも、まだまだ知られていない情報があるので、継続的にチラシをやると決まったら、もっとメルカリの内側を知ってもらう情報を提供していきたいですね」

メルカリの内側を知ってほしいと話す村田氏。実は、はじメルにも同様の意図があったという。

「メルカリを使えば『新しい趣味を始める』ことへのハードルを下げられると伝えたかったのです。例えば、ゴルフを始めようと考えたら、ゴルフクラブのセットを購入する必要がありますよね。それが仮に10万円であれば、『ちょっとやってみようかな』程度に思っている人からすると、やはりハードルは高い。しかし、メルカリを使うことで、まずゴルフクラブを5万円で買える可能性があるのです。そのうえ、5万円で売られているのであれば、それに近い金額で売却できることも意味します」

5万円でゴルフクラブを買ってみたはいいものの「あまりおもしろくないな」と感じた場合、4万5000円で売却できれば、5000円の出費でゴルフを体験できるわけだ。

「また、メルカリにはバーコード出品と呼ばれる機能があって、バーコードを読み取るだけで商品情報を自動入力してくれるんです。値段も提案してくれるので出品が楽なのですが、最近では本を買うときにまずはバーコード出品を行う人が多いようですね。ちょうど読み終わったくらいに売却できて便利なんです。期限を決めることで、読まないといけないというプレッシャーにもなりますし、2000円の本を1500円で売却できれば、500円で本が読めるわけです」

何か買うときに、メルカリでまずいくらで売れるかをチェックする。そして、使わなかったり、一度使って満足したりすると、メルカリで売却するという消費行動が増えているのだ。その結果、購入のハードルが下がるので、二次流通が一時消費を活性化させる可能性もあるだろう。

「このような使い方の訴求は、継続してやっていきたいなと。そしてゆくゆくは、メルカリをライフインフラのようにしたいですね」

村田氏は展望を語る。

「認知はすでに獲得しました。次はメルカリの内面をもっと外に出していくフェーズです」

2018年には株式を上場し、気流に乗るメルカリ。決して“置きにいかない”同社のマーケティング戦略から、次はどんなアイデアが飛び出すのだろうか。2019年も同社の尖った広告が、SNSを騒がせるかもしれない。

上場後振るわぬソフトバンク、次は「行政指導」

上場後振るわぬソフトバンク、次は「行政指導」

2019.01.24

ソフトバンクの通信障害、総務省が行政指導へ

再発防止のためのさまざまな対策立案を支持

上場前後で「運がない」ソフトバンクに求められるもの

総務省は1月23日、昨年12月に大規模な通信障害を起こしたソフトバンクに対して行政指導を行った。

通信障害は、ソフトバンクのLTEに関する交換機の不具合が原因で起こったもの。それによって同社の4G LTE網に障害が発生し、音声・データ通信ともに圏外になる、もしくはつながりにくい状態が長時間続き、大きな話題になっていた。

通信障害は12月6日の13時39分頃発生し、その後同日18時4分頃まで、4時間25分に及び、約3060万人の利用者に影響を及ぼした (ソフトバンク ニュースリリース)

総務省は今回、同社の代表取締役取締役社長執行役員兼CEOの宮内謙氏宛に「電気通信事故に関する適切な対応及び報告について」と題した文書を提出。

ソフトバンクの宮内謙代表

文書では、ソフトバンクが2018年中に同件を含めて3回の重大事故を発生させていることを挙げ、「このような事故の発生は利用者の利益を大きく阻害するもの」とし、社内外の連携体制の改善や利用者への周知内容・周知方法の改善、通信業界内での教訓の共有等の実施を勧告。さらに、それぞれの具体的措置の内容を2月末までにまとめ、報告するよう義務付けた。

携帯電話は、通話やメッセージのやり取りはもちろん、決済サービスや災害時の情報収集ツールとして、今や国民のライフラインになっている。

総務省は同文書で「事故における教訓を業界全体で共有することが重要である」ともしており、今後の再発防止策等の詳細について、ほかの携帯電話事業者に説明し、情報共有する機会を設けることも求めた。

昨年末に鳴り物入りで上場したが、なかなか株価が振るわないソフトバンク。その背景には、通信障害や「PayPay」のクレジットカードの不正利用、さらには同社が通信設備を使用している中国・ファーウェイの米中対立やCFOの逮捕などの問題などが影響していることだろう。

ソフトバンクグループは昨年11月に行われた2018年度第2四半期決算説明会で、「RPA(Robotic Process Automation)の導入により通信事業の人員を削減し、新規事業に力を入れていく」としていたが、新規事業の前に、まずは逆風吹く通信事業の早急な立て直しが求められている。