働き方改革は「昭和型オフィス」の見直しから? 家具のオカムラに聞く

働き方改革は「昭和型オフィス」の見直しから? 家具のオカムラに聞く

2018.09.19

働き方改革は、働く人の拠点「オフィス空間」に影響している?

フリーアドレスや立つデスクワーク、定着している?

オフィス家具のオカムラから見た「変化」を聞いた。

2018年7月、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が成立した。そんな働き方改革に数年前から熱心に取り組んでいるのが、オフィス家具でその名が知られるオカムラだ。

同社は、社内のメンバーを中心に多様な視点と専門性を持つメンバーが集結した働き方改革プロジェクト「WORK MILL」(ワークミル)を立ち上げ、新しい仕事場をデザインし、よりよい働き方を引き出すさまざまな活動を行っている。

今回は、WORK MILLの中心メンバーである、同社マーケティング本部 フューチャーワークスタイル戦略部 はたらくの未来研究所 所長・エバンジェリストの遅野井宏氏に、日本のオフィス空間と働き方にまつわる潮流について、お話を伺った。

「WORK MILL」に携わる遅野井宏氏(右)と、社会においてワークインライフをどのように実現していくかを探り、情報発信する「Work in Life Labo.(ワークインライフラボ)」の研究所長・薄良子氏(左)

──オカムラと言えば「オフィス家具を中心に展開されている企業」というイメージですが、働き方全体を扱うプロジェクト「WORK MILL」を立ち上げたいきさつを教えて下さい。

こうした取り組みを始めるまでは、弊社では会社の総務部門の方々に対し、新しい家具の入れ替え提案などをするのが主な業務でした。変化のきっかけは、東日本大震災をきっかけに「働き方」への意識が世間で高まったことです。

例えば、営業担当者がお客様から「働き方に対する提案」を求められるなど、ビジネス上、働き方に関する情報を発信していく必要が出てきました。そこでスタートさせたのが、WORK MILLというプロジェクトです。

WORK MILLの「MILL」にはふたつの意味があります。ひとつ目は働き方を多面的に見てみようという意味を込めて日本語の"見る"。そして本質的な価値を引き出していこうという意味での英語の「MILL」で、期待を込めてWORK MILLという名前になりました。

オカムラ マーケティング本部 フューチャーワークスタイル戦略部 はたらく未来の研究所 所長・エバンジェリストの遅野井宏氏

2015年12月にWebメディアを開設。書籍は2回の創刊準備号を経て2017年9月に初刊を出しました。空間を生業とする会社として、実際に場を持ってセミナーイベントを開催し、特定のテーマに対しての働き方を議論しています。

Webと書籍の両メディアでは取材ベースで働き方を議論するのに対し、「共創空間」と呼んでいる実際の場では対話をベースに特定のテーマで働き方を議論するといったことを、数多く手がけるようになっています。2015年に開始した当初、メンバーは10人ぐらいでしたが、年を追うごとにどんどん増えていきました。

──開始からわずか3年で、プロジェクトとして大きくなっているのですね。

そうですね。「社内の働き方改革」についてもこの3年間、WORK MILLのチームが直接関与したりアドバイザーという形で関与したりしながら、積極的に推進してきました。

ラボオフィス「CO-Do LABO」の一角にある「共創空間"Sea"」では、これからの「はたらく」のヒントがある場として、働き方に関するさまざまなセミナーやワークショップを開催している

──政府が大号令をかけて「働き方改革」を推進している中で、オカムラのビジネスに変化は何かありましたか?

我々のショールームやセミナーにお越しいただくお客様の傾向を見ると、今までは総務や施設に携わる方、すなわち「家具や空間を買っていただける方」が多かったのですが、色々な情報発信をしていく中で、総務以外の方々が我々と接点を持つ機会を増やしていただけるようになりました。

例えばIT関連の方々、情報システム系、人事関連、あるいは現場で改革を牽引していく方々からの問い合わせをたくさん受けるようになりました。我々は家具の会社なのに、ITの使いこなしについての相談まで受けることもあります。

──顧客からみて、オカムラのイメージが変わってきているのですね。

そうですね。そのように仰っていただけることが増えてきました。

──逆に、御社が長年取り扱ってこられたオフィス家具に関して、ここ数年の傾向はいかがですか?

我々が展開していく家具のバリエーションもだんだんカジュアルになってきていますし、オフィス空間での対話を重視するモノが増えてきています。家具に対する関心は高まっていると感じています。

これまでの傾向として、「いかに効率よく、多くの人数をワンフロアに詰め込むか」という方針のもと、家具を選ばれるお客様が多かったです。今は「1人で集中する場所」や「チームで効果的に対話する場所」など、多様な場所に対する関心が高まってきています。

──ということは、レイアウトに関しても変化があったのでしょうか。

はい、あります。「高密度で効率だけを考えて入れる」というのが今までの主流だとするならば、そこに対して何らかの「遊び」を設けて、縦横単純なレイアウトだけでなく、いかに従業員の対話を増やすか、偶然の出会いを増やすかといったことを想定して、動線を豊かに設計しています。

オカムラのラボオフィス。中央に円形のワークスペースを置き、導線に変化を持たせている。

また、「窓際」が上級管理職の人たちの場ではなくなってきたというのも傾向のひとつかもしれません。現在、窓際はコミュニケーションの場、あるいは集中の場など従業員に開放するケースが増えてきています。

フリーアドレスの成否をわけるポイントは

──少し前に、主にIT企業の間で「フリーアドレス」の導入がトレンドになりました。導入の成否をわける傾向などあれば教えてください。

まず、「よそでやっているから…」というような動機で始まった「目的のないフリーアドレス」は、基本的に失敗しています。

コストダウンだけを目的としたフリーアドレスは失敗するケースが多いですし、チームメンバーと適切なタイミングでコミュニケーションが取れる仕組みがなければ同じく失敗しますね。

逆に、何のためのフリーアドレスなのか、目的をしっかり設定している組織は成功しています。複数のプロジェクトを掛け持ちしてチームを渡り歩く働き方が主流となっている一方で、オフィスは固定席に縛られるというケースが増えていますが、こうしたプロジェクト型の仕事にシフトするとか、業務の内容を見直しながらフリーアドレスを導入するのであれば、成功に近づくのではないかと考えています。これには、ITがコミュニケーションを支えているかどうかも重要になっています。

ここでもうひとつ問題なのは、中間管理職の意識です。「自分の目の前に部下がいないと不安」「部下がどこで何をしているのか気になる」という意識がある場合、うまくいきません。フリーアドレスを成功させるには、中間管理職の意識が変わることが大きな要素となります。すなわち、総務、IT、人事制度という3つがしっかりと連携していなければ、フリーアドレスは成功しないと思っています。

──なるほど、抜本的に改革しないと頓挫するということですね。フリーアドレスの相談というのはここ数年でどれ位ありましたか?

我々は直接プロジェクトに関わる立場ではありませんので、はっきりとした件数はわかりませんが、基本的にフリーアドレスを想定した上でオフィス作りをするケースが多いです。ただし、仕事上どうしても固定席が必要だったとしても、固定席を持ちながらも多用の場をオフィスに作るということが行われています。

また、いまはフリーアドレスよりも「ABW」を導入することも多いです。ABWとは「アクティビティ・ベースド・ワーキング」の略称で、仕事内容やその日のコンディションに応じて働く場所や時間を自由に選択して、主体的、自立的に働く方法のことです。

会議スペースのほか、集中して作業するためのブースや、「スノーピーク」のキャンピング用品を置いたアウトドア感あるスペースなど、多様な場が用意されている

例えば「今は集中してこの資料を2時間で作りたい」という時には個人の集中ブースに入ったり、「チームメンバーとカジュアルに進捗を共有するためにブリーフィングをしたい」といった場合は立ち会議のような場所で30分程度、手早く打ち合わせをして終わらせるというように、仕事の内容に応じて場所を選び、適切に時間を使って仕事を終わらせるということの方が主流になってきています。したがって、多様な場所が存在しているというのが今のオフィスのトレンドとなっています。

「立って行うデスクワーク」の広がり

──2016年~2017年頃にオカムラをはじめオフィス家具メーカーが昇降型デスクを提案され、大手では楽天が一斉導入してスタンディングワークを提唱するという流れがありました。現在、昇降型デスクやスタンディングワークは定着した感はありますか?

完全に市民権は得たと感じています。認知率は非常に上がっていて、まさに楽天のケースは非常にセンセーショナルでしたし、それ以降も大きなオフィスで数千台単位で導入するケースもあります。

お客様から強い関心をいただくことから、我々も上下昇降デスクのバリエーションをどんどん増やしています。個人用のデスクもさまざまなタイプが出てきましたし、チームで打ち合わせするような場所にも上下昇降タイプが使われています。オフィスだけではなく、学校や実験室など業界や業種を問わず上下昇降による姿勢の変化が色々なところでもたらされるようになってきました。

──御社はオフィスチェアに定評がありますが、昇降型デスクの流行を後押しする情報として、「座りすぎが病気のリスクが増大する」といった海外研究が広がりつつあります。

「椅子の会社」である我々は、椅子に座ることのメリットもリスクも研究した上で商品を展開していますし、「正しく座ることの大切さ」をお伝えするようにしています。浅く座ったり、猫背で座ったりすると、椅子の機能がいくら高くてもサポート力が得られません。結果的に身体に負担が掛かり、生産性を下げる要因になりかねませんし、ヘルニアになるなどの健康面でもリスクを抱えます。そのため、正しい座り方が重要になってくるのです。

一方で、我々は昇降型デスクなどを用いて、立って仕事をするメリットも訴求しています。どの姿勢が「正しい」かではなく、どんなシーンに適しているかという視点が大切です。

以前、メガネ型デバイス「JINS MEME」を使って、仕事中の集中力を計測する検証を行いましたが、私は立って仕事をしたときのほうが瞬発力の高い集中力を発揮できることがわかりました。逆に、座って仕事をしたすると一定の集中力が長く保たれたのです。そのため、じっくり資料を作りたいときは私は座って作業します。

これは私個人の体験ですが、皆さんがそれぞれ、立ったときと座ったときの集中力が把握できれば、仕事内容に応じて姿勢を変えていくということが前向きにできるのではないでしょうか。

働く場所にもバリエーションを

──話は変わりますが、同じ備品がずらっと並ぶ典型的な日本のオフィスと、御社が今提案しているようなオフィスとでは、インテリアの雰囲気がまったく違います。働く人に与える心理的な効果などがあればお教えください。

ラボオフィス「CO-Do LABO」エントランスの「WORK MILL」ブースは、いわゆる昭和型の無機質なオフィスとは正反対の、カラフルでありながらもどこか温もりのある色使いが印象的

典型的な、いわゆる昭和型のオフィスというのは、グレーの壁に濃いグレーのカーペットが敷いてあり、明るめの色の天板の机と、青いオフィスチェアが置かれているというスタイルですよね。ちなみに、オフィスに導入されているチェアの色で一番多いのが「青」なんですよ。

こうしたオフィスでは、使われている色のカラーパレットを作ると片手で終わることが多いです。それって、無機質な空間ですよね。

そんな場所に人を閉じ込めておきながら、創造性高く働かせるというのは無理があるように思いませんか? 五感に何も刺激が無い状態でクリエイティビティを発揮しろというのは無理な注文だと思います。

大量生産や効率が重視された時代のオフィスでは、均一に同じものを管理しやすい形で並べるということが重要だったのです。現在のように労働人口が少なくなっている中では、個々の生産性を高めることが急務です。

いかに人間らしく、心身ともに健康で働けるかを考えた場合には、やはり自然光がたくさん入ったり、木目調など素材感のあるものを配置したり、カラフルな空間にしたりとか、言ってしまえば当たり前の空間ですが、そういった形にオフィスが変わってきているというのがひとつの大きな傾向だと思います。

──カラーパレットが片手で足りてしまうというのは、非常にわかりやすい例えですね。

それと、日本のオフィスは自席と会議室しか居場所がないところが多いんです。働く場所がそのふたつしか選択肢がないんですよね。

パーティションも取り外されていることが多く、確かにチームのコミュニケーションには良い状態だとは思うのですが、自分の仕事に集中したいときには周りがうるさかったり、視線が気になったり、さらには電話が鳴ったら取らなければいけないなど、仕事のリズムを邪魔するものが多く出てきます。

もちろん、そんな環境でも高い集中力を持って働ける人も中にはいますが、全員がそうではありません。そうなると会議室しか逃げ場がなくなりますが、会議室の予約は引っ張りだこなことが多く、ひとりで使うことはなかなか難しい。

結局、働く内容についてはバリエーションに富んできたにも関わらず、働く場所の選択肢がふたつしかないということに、もともと無理があった、不自然だったと思うのです。総務からすれば「同じような部屋を、たくさん」用意したほうが管理しやすいのですが、それが従業員の生産性を大きく損ねているのです。

そういった事実を我々が提案するときは意識して伝えるようにしていますし、お客様からも気づいていただけるようになりました。そういった所が大きく変化した部分だと思います。

過ごしやすいオフィスは「コストでなく投資」

──これからいわゆる昭和型のオフィスから現代向けのオフィスに移行したいと考えたとき、実現のために必要なことは?

これはなかなか難しい話ですが、ワークプレイスというのは「コストではなく投資」だということへ意識を変えていくことが非常に大きいと思います。コストだけを追求する意識から抜け出して、いかに従業員の状態が良くなるか、という点に目を向けることが一番のポイントではないでしょうか。

また、これは働き方改革の成否に大きく関わるのですが、せっかく新しいオフィスを作ったとしても、うまく活用しないと元の木阿弥なんです。上司が「目の前にいろ」と指示する、上級管理職がフリーアドレスやABWの働き方を実践しない、あるいはそういった考え方で働かない人が評価され昇進したりすると、現場のモチベーションは一気に下がってしまいます。

まずはオフィスを投資と捉えることと、その中で新しい行動を取ったり新しい価値を創出しようとしたりする人たちが正当に評価されることが、その新しいオフィスの成否を分ける大きなポイントになるのではないかと思います。

ただ、オフィスが変わることで、行動が変わり、その結果、意識が変わってくることもあります。ですので、投資という形で思い切ってオフィスを変えて、新しい行動が生まれてくれば、現場の意識は相当変わってくるという実感があります。

──なるほど。とてもわかりやすくお答えいただき、ありがとうございました。

ここまでは、オカムラから見た多くの日本企業に関するエピソードを聞いてきた。続いて公開する後編では、オカムラ社内での「働き方改革」とその結果について聞いていく。

「eBASEBALL」の初代覇者が決定! 定番プロリーグとして定着なるか

「eBASEBALL」の初代覇者が決定! 定番プロリーグとして定着なるか

2019.01.17

「eBASEBALL」で初代王者を決めるe日本シリーズが開催された

頂点を争ったのは、埼玉西武ライオンズと横浜DeNAベイスターズ

はたして“もう1つのプロ野球”で頂点に輝いたのは?

1月12日、東京ビッグサイトTFT HALL 500にて、「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ2018」のe日本シリーズが開催された。頂点を争ったのは、埼玉西武ライオンズと横浜DeNAベイスターズ。はたして初代王者に輝いたのは、どちらのチームか。

3カ月間の戦いの末、頂点を争う切符を勝ち取った2チーム

「eBASEBALL」とは、野球ゲーム『実況パワフルプロ野球 2018(パワプロ)』を使用した、日本野球機構(NPB)とコナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)が共同で開催するプロリーグだ。

2018年7月より行われたオンライン予選、西日本、東日本選考会を経て、9月末に実際のプロ野球球団による「eドラフト会議」を実施。ドラフトで指名された選手は、プロゲーマーとして各球団に所属する形になった。

11月からは実際のプロ野球のペナントレースのように、セ・リーグ、パ・リーグに分かれて「eペナントレース」がスタート。そして12月に行われた、eペナントレース上位チームによる「eリーグ代表決定戦」によって、パ・リーグの埼玉西武ライオンズと、セ・リーグの横浜DeNAベイスターズが、e日本シリーズへの切符を手にした。

パ・リーグ代表の埼玉西武ライオンズは、eペナントレースを13勝2敗の圧倒的な強さで勝ち抜き、eリーグ代表決定戦でも危なげなく、代表権を獲得。対するセ・リーグ代表の横浜DeNAベイスターズは、キャプテンであるじゃむ~選手のデータを活かした戦術と強力打線、そして巧みな投球術でeリーグ代表権をもぎ取った。

埼玉西武ライオンズのなたでここ選手(写真左)、BOW川選手(写真中)、ミリオン選手(写真右)
横浜DeNAベイスターズのヒデナガトモ選手(写真左)、じゃむ~選手(写真中)、AO選手(写真右)
会場は超満員。立ち見席も出るほどの人気ぶりで、まさに日本一を決定するのに相応しい舞台となった

一発勝負の決勝戦! 最後に笑うのは……?

e日本シリーズでは、各チーム3名による3イニング交代制の試合を1戦だけ行う。そこで勝利したチームがeBASEBALL パワプロ・プロリーグの初代チャンピオンになるわけだ。

『パワプロ』でお馴染みの選手の調子発表

選手の調子を見ると、埼玉西武ライオンズは、主力に不調の選手がおらず実力を存分に発揮できそうなラインアップ。横浜DeNAベイスターズは主砲筒香の好調が嬉しいものの、桑原、ソトの不調が厳しい。どちらかというと調子具合は埼玉西武ライオンズが優位に見られた。

さぁ、いよいよプレイボール。まず1人目、埼玉西武ライオンズはミリオン選手、横浜DeNAベイスターズはヒデナガトモ選手がコントローラーを握る。奇しくも、ペナントレースで最多奪三振のタイトルを獲得した2人の対戦となった。

そのため、激しい投手戦が繰り広げられたが、3回裏に均衡が破られる。豪打を誇る埼玉西武ライオンズとしては珍しいスクイズで1点を先制すると、そこから怒濤の連打で計5点をもぎ取り、序盤にして埼玉西武ライオンズが大量リードを得た。

スクイズ、スチールと小技も冴え、一気に5点を奪うミリオン選手
センターフライの捕球ミスやスクイズの打者をアウトにできなかったなど、ミスが出てしまったヒデナガトモ選手

2人目は埼玉西武ライオンズがBOW川選手、横浜DeNAベイスターズがじゃむ~選手と、キャプテン対決。じゃむ~選手が2点を返すも、BOW川選手が1点を追加し、スコア「西武 6-2 DeNA」で最終プレイヤーにバトンが渡された。

埼玉西武ライオンズのキャプテンを務めるBOW川選手
横浜DeNAベイスターズの軍師ことじゃむ~選手

最後は、ペナントレースで急成長した埼玉西武ライオンズのなたでここ選手と、横浜DeNAベイスターズ無敗のエースAO選手の対戦となった。

最優秀防御率のタイトルを獲得し、eペナントレースでの失点はわずか3点と脅威の安定感を持つAO選手は、e日本シリーズでもその実力を発揮。打撃3冠を獲得したなたでここ選手をみごとに完封した。しかしながら、3イニングでは1点を返すのがやっとで、最終スコアは「6対3」。埼玉西武ライオンズが優勝し、e日本シリーズを制した。

今回の大会で急成長したなたでここ選手
横浜DeNAベイスターズのエースとしてチームを牽引したAO選手
ペナントレースから実況を担当した清水久嗣アナはe日本シリーズの実況も担当
解説を務めた元ヤクルトスワローズ監督の真中満氏
同じく解説を務めた元中日ドラゴンズ監督の谷繁元信氏
ゲーム解説を務めるぶんた氏
パワプロ・プロリーグ初代チャンピオンの埼玉西武ライオンズ

埼玉西武ライオンズも横浜DeNAベイスターズも、打撃、特に本塁打に期待できる選手が揃っており、その打撃力で勝ち進んでいたなかで、e日本シリーズではホームランが「ゼロ」という、頂上決戦に相応しい緊迫感のある試合だったといえよう。

e日本シリーズでは博多激獅会も応援に駆けつけ、プロ野球さながらの応援が飛び交った

試合終了後は、優勝の表彰とともに、各個人タイトルの表彰も行われたので、その様子も紹介しよう。パ・リーグでは、首位打者、本塁打王、打点王、最優秀防御率の4冠を埼玉西武ライオンズのなたでここ選手が獲得。最多奪三振は埼玉西武ライオンズのミリオン選手が獲得した。

また、セ・リーグでは、首位打者と本塁打王の2冠を広島東洋カープのカイ選手、打点王と最優秀防御率の2冠を横浜DeNAベイスターズのAO選手、最多奪三振を横浜DeNAベイスターズのヒデナガトモ選手が獲得。そして、MVPには、4冠獲得のなたでここ選手が選出された。

パ・リーグの最多奪三振を獲得したミリオン選手
セ・リーグの首位打者と本塁打王を獲得したカイ選手
セ・リーグの打点王と最優秀防御率の2冠を獲得したAO選手
セ・リーグの最多奪三振を獲得したヒデナガトモ選手
パ・リーグの首位打者、打点王、本塁打王、最優秀防御率の4冠、そしてMVPを獲得したなたでここ選手
e日本シリーズでは12球団のマスコットがそろい踏み。スポンサーであるSMBCのキャラクター「ミドすけ」も登場した

eBASEBALLは試合を重ねるごとに盛り上がりを見せ、決勝の舞台でもあるe日本シリーズでは立ち見が出るほど多くのファンが駆けつけた。プロ野球ファンにとって、オフシーズン時期の楽しみの1つとして、eBASEBALLが定着しそうな気配も感じる。

最後にNPB(日本プロ野球機構)コミッショナーの斎藤惇氏による締めの挨拶にて、「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ 2019」の開催も発表された。来シーズン、さらなる飛躍と盛り上がりに期待したい。

SUVでは満足できない人へ…「パサート」試乗で再考したクロスオーバーワゴンという選択肢

SUVでは満足できない人へ…「パサート」試乗で再考したクロスオーバーワゴンという選択肢

2019.01.17

フォルクスワーゲンの「パサート オールトラック」に試乗

これは意外? クルマ好きも納得のスポーティーなクルマ

ステーションワゴンとSUVの“いいとこ取り”

昨今のSUVブームはとどまることを知らない。コンパクトからラグジュアリーまで多様性もみられ、さらに「RAV4」の日本復活など、いくつかの新型車投入のニュースも届いている。しかし、SUVが必ずしも全てのユーザーにとってベストな選択肢とはいえないはずだ。

日常の使い勝手などを考慮すると、セダンとSUVの架け橋である「クロスオーバーワゴン」こそ、真の“いいとこ取り”なのではないかと思うところもある。今回は、フォルクスワーゲンから登場した「パサート オールトラック」に試乗し、この車種の魅力について再考してみた。

フォルクスワーゲンのクロスオーバーワゴン「パサート オールトラック」に試乗した

スバルが普及させたクロスオーバーワゴンという車種

フォルクスワーゲンがミッドサイズモデル「パサート」に新グレード「パサート オールトラック」を追加した。このモデルは、パサートのステーションワゴン「パサート ヴァリアント」をベースとし、SUVのエッセンスを取り入れた「クロスオーバーワゴン」と呼ばれるジャンルのクルマだ。つまり、ステーションワゴンとSUVの中間的な存在である。特徴としては4WD、専用サスペンションで高めた最低地上高、SUVを彷彿させるラギッドなスタイルなどが挙げられる。これらにより、ステーションワゴンよりも走破性が高まっている。

「パサート オールトラック」は最低地上高の高さやSUVを髣髴させるスタイルなどを特徴とする。価格はグレード別に「Passat Alltrack TDI 4MOTION」が509万9,000円から、「Passat Alltrack TDI 4MOTION Advance」が569万9,000円からだ

少しだけクロスオーバーワゴンの歴史を振り返りたい。意外かもしれないが、こういったクルマを普及させたのは日本メーカーなのだ。

SUVのニーズが高まっていた1990年代の北米で、SUVを持たないスバルは大苦戦していた。その打開策として、2代目「レガシィ」をベースとするクロスオーバーモデル「アウトバック」(日本名:レガシィ グランドワゴン)を開発。これが大ヒットとなり、北米市場での巻き返しに成功する。

スバルが2代目レガシィをベースに開発した「アウトバック」。意外にも、歴代モデルの中にはセダン仕様が用意されていたこともある。日本では「レガシィ グランドワゴン」の名で登場。その後、「レガシィ ランカスター」と名称を変更した。先々代モデルからは日本でも輸出名を取り入れ、現在同様の「レガシィ アウトバック」となった

アウトバックがヒットした背景には、ステーションワゴンの高性能化が進み、実用車というイメージが変化して、アクティブなカーライフやスポーティな走りが楽しめる多用途なクルマとして認知されだしたことがあった。セダン譲りの使い勝手と走行性能、そこにラフロードにも対応できる走破性を組み合わせた欲張りな存在として人気を集めたのだ。事実、アウトバックの後にはボルボ「XC70」(後のV70 クロスカントリー)や「アウディ オールロード」といったクロスオーバーワゴンの名車が続々と誕生している。

今やクロスオーバーワゴンは、ステーションワゴンの定番となった。そのパサート版が「パサート オールトラック」だ。

パサート版クロスオーバーワゴンはどんなクルマなのか。試乗で確かめた

「パサート オールトラック」は日本でも使いやすい?

ラギッドなイメージを高めたエクステリアは、パサート本来の上品なデザインの中に、アグレッシブさを感じさせる。主な変更点としては、アンダーガード付きの前後バンパー、ホイールアーチのブラックモール、シルバー仕上げのサイドシルモールなどが挙げられる。サスペンションは標準車+30mmアップとし、最低地上高は160mmを確保した。

ボディサイズは全長4,780mm、全幅1,855mm、全高1,535mm。コンパクトとはいえないが、日本の道路や駐車場には適応しやすいサイズといえる。最大のポイントは、ルーフレールを装備しながらも薄型とすることで、全高を1,550mm以下としているところ。これなら、多くの立体駐車場に入れられるはずだ。

「パサート オールトラック」は日本でも使いやすいサイズ感だ

基本的にインテリアはパサートと共通だが、グレーのパネル加飾を取り入れるなど、スポーティーな装いにしてある。装備は上級モデルらしく充実していて、全車速追従機能付きのACCや車線内中央維持支援機能「レーンアシスト」、渋滞時追従支援機能「トラフィックアシスト」などの先進安全運転支援機能をはじめとし、スマートキー機能の「キーレスアクセス」やSSDナビ付きインフォテインメントシステム「ディスカバープロ」、シート&ステアリングヒーター、パワーテールゲートなど快適装備も満載だ。

車内は広々としており、前後席共に快適なスペースが確保してある。ラゲッジスペースは標準で639Lと大容量。後席を折りたためば最大1,769Lまで拡大可能だ。

インテリアはスポーティーな装い。機能はパサート ヴァリアントの上級グレードに近いもので、充実している
後席は3分割の可倒式。折りたためば最大で1,769Lまで積める

これがベストパサート? スポーティーな乗り味を体感

次にメカニズムを見ていく。エンジンは「AdBlue」(アドブルー、尿素SCRシステムの触媒として用いる尿素水のこと)を使用したクリーンディーゼルの2.0TDIエンジンを搭載。最高出力は190ps/3,500~4,000rpmで、最大トルクは400Nm/1,900~3,300rpmを発揮する。トランスミッションにはDCTタイプの6速DSGを組み合わせる。

最大のポイントは、現行型パサートで初めて4WDを採用していること。さらに、アクセルやパワステ制御などを変更できる走行モードには「オフロードモード」が追加となっている。オフロードモードでは、急な下り坂で車速を一定に保つブレーキ制御「ヒルディセントアシスト」などが作動する。

クリーンディーゼルの2.0TDIエンジンを搭載する「パサート オールトラック」

試乗したのはパサート オールトラックの最上級グレードである「アドバンス」だ。一言でいえば、かなりスポーティーなキャラクターに仕立てられている。低回転で最大トルクを発揮するディーゼルエンジンの魅力が存分に味わえて、峠道の上り坂も力強く駆け上っていく。元気さはパサートTDIを上回っている印象だ。出力は同等だが、アクセルなどのセッティングが異なるのだろう。

そこに前後のトルク配分が可変となる4WDの「4MOTION」と電子制御ディファレンシャルロック「XDS」が加わることで、コーナリングもグイグイ曲がっていく。それでいて乗り心地も良いのだ。ラフロードに適応すべく、足回りのしなやかさを重視していることが良好な乗り心地につながっているのだろう。

「パサート オールトラック」の上級グレード「アドバンス」で御殿場周辺の峠道を走った

同じパサートのスポーティグレード「2.0Rライン」は、もっとハードなセッティングで乗り心地もやや硬めとなる。一方で、パサート オールトラックのアドバンスはバランス重視のセッティングなのだが、クルマ好きをも納得させるスポーティーさを持ち合わせている。これがベストパサートだとさえ思ったほどだ。

ただ、アドバンスはオールトラックの標準車が装着する225/55R17タイヤに対し、245/45R18タイヤにサイズアップしている。さらにはXDSやアダクティブシャシーコントロール「DCC」なども追加となっているので、標準車のオールトラックと異なる部分があることは加味しなければならない。

ただ、オールトラックがスポーティなワゴンに仕立ててあることは間違いない。ファミリーカーだけどドライブを楽しみたいというユーザーには、パサートの中で最もオススメできるクルマだ。

ファミリーカーでも走りを楽しみたいという人には「パサート オールトラック」をオススメしたい。確かに509万円からという価格は安くないが、「パサート ヴァリアント TDI」のエントリーモデルのナビ付きが約470万円であることを考慮すれば、納得のプライスといえよう

走りの良さを持ち合わせたSUVも増えてはいるが…

ステーションワゴンがブームとなったきっかけは、実用性の高さに加え、ワンボックスカーやSUVなどでは得られない走りの良さを獲得できたところにあった。しかし、走りの良さを身につけた昨今のSUVは、そのニーズを奪い、ステーションワゴンの領域を食ってしまったといえる。あれほど盛況であった日本のステーションワゴンも激減し、今やスバルの一強となっている。

ただ、輸入車を見ると、ステーションワゴンの顔ぶれはなかなか充実しており、一定の販売台数を確保している。その中には、いくつかのクロスオーバーワゴンが存在する。

クロスオーバーワゴンはステーションワゴンに価値が加わったクルマなので、ベース車と比べれば、やはり値段は少々高くなる。それでも、中身に見どころはあるし、コスパで考えても納得できるものが多いと思う。日常での使い勝手を重視したい人、ワイルドさやスポーティーさを強調するSUVに子供っぽさを感じてしまう人などは、改めてクロスオーバーワゴンに注目してみてはいかがだろうか。