働き方改革は「昭和型オフィス」の見直しから? 家具のオカムラに聞く

働き方改革は「昭和型オフィス」の見直しから? 家具のオカムラに聞く

2018.09.19

働き方改革は、働く人の拠点「オフィス空間」に影響している?

フリーアドレスや立つデスクワーク、定着している?

オフィス家具のオカムラから見た「変化」を聞いた。

2018年7月、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が成立した。そんな働き方改革に数年前から熱心に取り組んでいるのが、オフィス家具でその名が知られるオカムラだ。

同社は、社内のメンバーを中心に多様な視点と専門性を持つメンバーが集結した働き方改革プロジェクト「WORK MILL」(ワークミル)を立ち上げ、新しい仕事場をデザインし、よりよい働き方を引き出すさまざまな活動を行っている。

今回は、WORK MILLの中心メンバーである、同社マーケティング本部 フューチャーワークスタイル戦略部 はたらくの未来研究所 所長・エバンジェリストの遅野井宏氏に、日本のオフィス空間と働き方にまつわる潮流について、お話を伺った。

「WORK MILL」に携わる遅野井宏氏(右)と、社会においてワークインライフをどのように実現していくかを探り、情報発信する「Work in Life Labo.(ワークインライフラボ)」の研究所長・薄良子氏(左)

──オカムラと言えば「オフィス家具を中心に展開されている企業」というイメージですが、働き方全体を扱うプロジェクト「WORK MILL」を立ち上げたいきさつを教えて下さい。

こうした取り組みを始めるまでは、弊社では会社の総務部門の方々に対し、新しい家具の入れ替え提案などをするのが主な業務でした。変化のきっかけは、東日本大震災をきっかけに「働き方」への意識が世間で高まったことです。

例えば、営業担当者がお客様から「働き方に対する提案」を求められるなど、ビジネス上、働き方に関する情報を発信していく必要が出てきました。そこでスタートさせたのが、WORK MILLというプロジェクトです。

WORK MILLの「MILL」にはふたつの意味があります。ひとつ目は働き方を多面的に見てみようという意味を込めて日本語の"見る"。そして本質的な価値を引き出していこうという意味での英語の「MILL」で、期待を込めてWORK MILLという名前になりました。

オカムラ マーケティング本部 フューチャーワークスタイル戦略部 はたらく未来の研究所 所長・エバンジェリストの遅野井宏氏

2015年12月にWebメディアを開設。書籍は2回の創刊準備号を経て2017年9月に初刊を出しました。空間を生業とする会社として、実際に場を持ってセミナーイベントを開催し、特定のテーマに対しての働き方を議論しています。

Webと書籍の両メディアでは取材ベースで働き方を議論するのに対し、「共創空間」と呼んでいる実際の場では対話をベースに特定のテーマで働き方を議論するといったことを、数多く手がけるようになっています。2015年に開始した当初、メンバーは10人ぐらいでしたが、年を追うごとにどんどん増えていきました。

──開始からわずか3年で、プロジェクトとして大きくなっているのですね。

そうですね。「社内の働き方改革」についてもこの3年間、WORK MILLのチームが直接関与したりアドバイザーという形で関与したりしながら、積極的に推進してきました。

ラボオフィス「CO-Do LABO」の一角にある「共創空間"Sea"」では、これからの「はたらく」のヒントがある場として、働き方に関するさまざまなセミナーやワークショップを開催している

──政府が大号令をかけて「働き方改革」を推進している中で、オカムラのビジネスに変化は何かありましたか?

我々のショールームやセミナーにお越しいただくお客様の傾向を見ると、今までは総務や施設に携わる方、すなわち「家具や空間を買っていただける方」が多かったのですが、色々な情報発信をしていく中で、総務以外の方々が我々と接点を持つ機会を増やしていただけるようになりました。

例えばIT関連の方々、情報システム系、人事関連、あるいは現場で改革を牽引していく方々からの問い合わせをたくさん受けるようになりました。我々は家具の会社なのに、ITの使いこなしについての相談まで受けることもあります。

──顧客からみて、オカムラのイメージが変わってきているのですね。

そうですね。そのように仰っていただけることが増えてきました。

──逆に、御社が長年取り扱ってこられたオフィス家具に関して、ここ数年の傾向はいかがですか?

我々が展開していく家具のバリエーションもだんだんカジュアルになってきていますし、オフィス空間での対話を重視するモノが増えてきています。家具に対する関心は高まっていると感じています。

これまでの傾向として、「いかに効率よく、多くの人数をワンフロアに詰め込むか」という方針のもと、家具を選ばれるお客様が多かったです。今は「1人で集中する場所」や「チームで効果的に対話する場所」など、多様な場所に対する関心が高まってきています。

──ということは、レイアウトに関しても変化があったのでしょうか。

はい、あります。「高密度で効率だけを考えて入れる」というのが今までの主流だとするならば、そこに対して何らかの「遊び」を設けて、縦横単純なレイアウトだけでなく、いかに従業員の対話を増やすか、偶然の出会いを増やすかといったことを想定して、動線を豊かに設計しています。

オカムラのラボオフィス。中央に円形のワークスペースを置き、導線に変化を持たせている。

また、「窓際」が上級管理職の人たちの場ではなくなってきたというのも傾向のひとつかもしれません。現在、窓際はコミュニケーションの場、あるいは集中の場など従業員に開放するケースが増えてきています。

フリーアドレスの成否をわけるポイントは

──少し前に、主にIT企業の間で「フリーアドレス」の導入がトレンドになりました。導入の成否をわける傾向などあれば教えてください。

まず、「よそでやっているから…」というような動機で始まった「目的のないフリーアドレス」は、基本的に失敗しています。

コストダウンだけを目的としたフリーアドレスは失敗するケースが多いですし、チームメンバーと適切なタイミングでコミュニケーションが取れる仕組みがなければ同じく失敗しますね。

逆に、何のためのフリーアドレスなのか、目的をしっかり設定している組織は成功しています。複数のプロジェクトを掛け持ちしてチームを渡り歩く働き方が主流となっている一方で、オフィスは固定席に縛られるというケースが増えていますが、こうしたプロジェクト型の仕事にシフトするとか、業務の内容を見直しながらフリーアドレスを導入するのであれば、成功に近づくのではないかと考えています。これには、ITがコミュニケーションを支えているかどうかも重要になっています。

ここでもうひとつ問題なのは、中間管理職の意識です。「自分の目の前に部下がいないと不安」「部下がどこで何をしているのか気になる」という意識がある場合、うまくいきません。フリーアドレスを成功させるには、中間管理職の意識が変わることが大きな要素となります。すなわち、総務、IT、人事制度という3つがしっかりと連携していなければ、フリーアドレスは成功しないと思っています。

──なるほど、抜本的に改革しないと頓挫するということですね。フリーアドレスの相談というのはここ数年でどれ位ありましたか?

我々は直接プロジェクトに関わる立場ではありませんので、はっきりとした件数はわかりませんが、基本的にフリーアドレスを想定した上でオフィス作りをするケースが多いです。ただし、仕事上どうしても固定席が必要だったとしても、固定席を持ちながらも多用の場をオフィスに作るということが行われています。

また、いまはフリーアドレスよりも「ABW」を導入することも多いです。ABWとは「アクティビティ・ベースド・ワーキング」の略称で、仕事内容やその日のコンディションに応じて働く場所や時間を自由に選択して、主体的、自立的に働く方法のことです。

会議スペースのほか、集中して作業するためのブースや、「スノーピーク」のキャンピング用品を置いたアウトドア感あるスペースなど、多様な場が用意されている

例えば「今は集中してこの資料を2時間で作りたい」という時には個人の集中ブースに入ったり、「チームメンバーとカジュアルに進捗を共有するためにブリーフィングをしたい」といった場合は立ち会議のような場所で30分程度、手早く打ち合わせをして終わらせるというように、仕事の内容に応じて場所を選び、適切に時間を使って仕事を終わらせるということの方が主流になってきています。したがって、多様な場所が存在しているというのが今のオフィスのトレンドとなっています。

「立って行うデスクワーク」の広がり

──2016年~2017年頃にオカムラをはじめオフィス家具メーカーが昇降型デスクを提案され、大手では楽天が一斉導入してスタンディングワークを提唱するという流れがありました。現在、昇降型デスクやスタンディングワークは定着した感はありますか?

完全に市民権は得たと感じています。認知率は非常に上がっていて、まさに楽天のケースは非常にセンセーショナルでしたし、それ以降も大きなオフィスで数千台単位で導入するケースもあります。

お客様から強い関心をいただくことから、我々も上下昇降デスクのバリエーションをどんどん増やしています。個人用のデスクもさまざまなタイプが出てきましたし、チームで打ち合わせするような場所にも上下昇降タイプが使われています。オフィスだけではなく、学校や実験室など業界や業種を問わず上下昇降による姿勢の変化が色々なところでもたらされるようになってきました。

──御社はオフィスチェアに定評がありますが、昇降型デスクの流行を後押しする情報として、「座りすぎが病気のリスクが増大する」といった海外研究が広がりつつあります。

「椅子の会社」である我々は、椅子に座ることのメリットもリスクも研究した上で商品を展開していますし、「正しく座ることの大切さ」をお伝えするようにしています。浅く座ったり、猫背で座ったりすると、椅子の機能がいくら高くてもサポート力が得られません。結果的に身体に負担が掛かり、生産性を下げる要因になりかねませんし、ヘルニアになるなどの健康面でもリスクを抱えます。そのため、正しい座り方が重要になってくるのです。

一方で、我々は昇降型デスクなどを用いて、立って仕事をするメリットも訴求しています。どの姿勢が「正しい」かではなく、どんなシーンに適しているかという視点が大切です。

以前、メガネ型デバイス「JINS MEME」を使って、仕事中の集中力を計測する検証を行いましたが、私は立って仕事をしたときのほうが瞬発力の高い集中力を発揮できることがわかりました。逆に、座って仕事をしたすると一定の集中力が長く保たれたのです。そのため、じっくり資料を作りたいときは私は座って作業します。

これは私個人の体験ですが、皆さんがそれぞれ、立ったときと座ったときの集中力が把握できれば、仕事内容に応じて姿勢を変えていくということが前向きにできるのではないでしょうか。

働く場所にもバリエーションを

──話は変わりますが、同じ備品がずらっと並ぶ典型的な日本のオフィスと、御社が今提案しているようなオフィスとでは、インテリアの雰囲気がまったく違います。働く人に与える心理的な効果などがあればお教えください。

ラボオフィス「CO-Do LABO」エントランスの「WORK MILL」ブースは、いわゆる昭和型の無機質なオフィスとは正反対の、カラフルでありながらもどこか温もりのある色使いが印象的

典型的な、いわゆる昭和型のオフィスというのは、グレーの壁に濃いグレーのカーペットが敷いてあり、明るめの色の天板の机と、青いオフィスチェアが置かれているというスタイルですよね。ちなみに、オフィスに導入されているチェアの色で一番多いのが「青」なんですよ。

こうしたオフィスでは、使われている色のカラーパレットを作ると片手で終わることが多いです。それって、無機質な空間ですよね。

そんな場所に人を閉じ込めておきながら、創造性高く働かせるというのは無理があるように思いませんか? 五感に何も刺激が無い状態でクリエイティビティを発揮しろというのは無理な注文だと思います。

大量生産や効率が重視された時代のオフィスでは、均一に同じものを管理しやすい形で並べるということが重要だったのです。現在のように労働人口が少なくなっている中では、個々の生産性を高めることが急務です。

いかに人間らしく、心身ともに健康で働けるかを考えた場合には、やはり自然光がたくさん入ったり、木目調など素材感のあるものを配置したり、カラフルな空間にしたりとか、言ってしまえば当たり前の空間ですが、そういった形にオフィスが変わってきているというのがひとつの大きな傾向だと思います。

──カラーパレットが片手で足りてしまうというのは、非常にわかりやすい例えですね。

それと、日本のオフィスは自席と会議室しか居場所がないところが多いんです。働く場所がそのふたつしか選択肢がないんですよね。

パーティションも取り外されていることが多く、確かにチームのコミュニケーションには良い状態だとは思うのですが、自分の仕事に集中したいときには周りがうるさかったり、視線が気になったり、さらには電話が鳴ったら取らなければいけないなど、仕事のリズムを邪魔するものが多く出てきます。

もちろん、そんな環境でも高い集中力を持って働ける人も中にはいますが、全員がそうではありません。そうなると会議室しか逃げ場がなくなりますが、会議室の予約は引っ張りだこなことが多く、ひとりで使うことはなかなか難しい。

結局、働く内容についてはバリエーションに富んできたにも関わらず、働く場所の選択肢がふたつしかないということに、もともと無理があった、不自然だったと思うのです。総務からすれば「同じような部屋を、たくさん」用意したほうが管理しやすいのですが、それが従業員の生産性を大きく損ねているのです。

そういった事実を我々が提案するときは意識して伝えるようにしていますし、お客様からも気づいていただけるようになりました。そういった所が大きく変化した部分だと思います。

過ごしやすいオフィスは「コストでなく投資」

──これからいわゆる昭和型のオフィスから現代向けのオフィスに移行したいと考えたとき、実現のために必要なことは?

これはなかなか難しい話ですが、ワークプレイスというのは「コストではなく投資」だということへ意識を変えていくことが非常に大きいと思います。コストだけを追求する意識から抜け出して、いかに従業員の状態が良くなるか、という点に目を向けることが一番のポイントではないでしょうか。

また、これは働き方改革の成否に大きく関わるのですが、せっかく新しいオフィスを作ったとしても、うまく活用しないと元の木阿弥なんです。上司が「目の前にいろ」と指示する、上級管理職がフリーアドレスやABWの働き方を実践しない、あるいはそういった考え方で働かない人が評価され昇進したりすると、現場のモチベーションは一気に下がってしまいます。

まずはオフィスを投資と捉えることと、その中で新しい行動を取ったり新しい価値を創出しようとしたりする人たちが正当に評価されることが、その新しいオフィスの成否を分ける大きなポイントになるのではないかと思います。

ただ、オフィスが変わることで、行動が変わり、その結果、意識が変わってくることもあります。ですので、投資という形で思い切ってオフィスを変えて、新しい行動が生まれてくれば、現場の意識は相当変わってくるという実感があります。

──なるほど。とてもわかりやすくお答えいただき、ありがとうございました。

ここまでは、オカムラから見た多くの日本企業に関するエピソードを聞いてきた。続いて公開する後編では、オカムラ社内での「働き方改革」とその結果について聞いていく。

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

2019.03.22

ネットの学校「N高」の卒業式に潜入

開校時に入学したN高1期生が卒業した

世間の注目を浴び続けた生徒は、何を想う?

3月、角川ドワンゴ学園「N高等学校」の卒業式が東京・お台場にて開催された。

「ネットの高校」として、3年前に設立したN高。この日、2016年の開校時に入学した第1期生と、途中転入・編入した生徒をあわせ、計1593名が卒業した。3年前、『VR入学式』で世間を賑わせたこの学校を巣立つ卒業生たちは、N高での日々をどう捉え、今後はどのようなキャリアを描いていくのだろうか。

卒業式は2019年3月20日、お台場にて行われた

卒業式を彩る最新テクノロジー

N高は、ドワンゴとKADOKAWAの経営統合で誕生したカドカワが設立母体となり、2016年4月に開校された通信制高校だ。同校は開校後、2年次編入なども受け入れてきたため、これまでも卒業生を排出してきてはいたが、「1年生~3年生をN高で過ごした生徒」が卒業するのは、初めてのことだ。

卒業式には多くの報道陣も参加した。生徒にとって、「卒業式に記者がいる」「自分たちが卒業する様子がテレビやWebで取り上げられる」というのは不思議な感覚だろう。とはいえ、もう「VR入学式」に「ニコニコ超会議」へのブース出展(N高ではそれを「文化祭」と表現)などの経験を経て、メディアへの露出には慣れてしまっているのかもしれない。

そして、今回の卒業式も例によって独特だった。

卒業式は任意参加で、会場には袴や制服に身を包んだ生徒が集まる一方、その様子をライブ配信することで、会場に来られない生徒生徒も参加できる仕組みになっていた。会場のスクリーン上にはニコニコ生放送さながら、リアルタイムでコメントが表示されており、こうした演出は「N高らしい」といった印象を受けた。

卒業式の様子。オンライン参加者のコメントがスクリーンを流れる

中でも印象深かったのは、当日来られなかった生徒を代表して、米シリコンバレーに留学中の佐々木雅斗さんが「ロボット」に自分の顔を映して卒業証書を受け取ったシーンだ。

使用したのは、ANAが“未来の移動手段”として開発する、視覚・聴覚・触覚などを備えた、ユーザーの分身となるロボット「ANA AVATAR」。同校ではこのロボットを試験的に授業にも導入しているそうで、こういった最新のテクノロジーを使うあたりもN高らしい。

遠隔操作ロボット「ANA AVATAR(Beam Pro)」を用いて卒業証書を受け取った佐々木さん

と、テクノロジーにばかり目が行きがちではあるが、そもそも「高校生がシリコンバレーに留学している」という事実も驚くべき点だ。高校に通いながらも、シリコンバレーでビジネスを学ぶ――、というキャリアを選べるのは、学校という場所の制約を受けない、ネットの高校のメリットと言えるだろう。

卒業式にはほかにも「異色のキャリア」を持つ生徒たちが集まり、特に活躍した卒業生に対する特別表彰も行われた。

表彰を受けたのは、東京から鹿児島県に移住し、農業や水産業を手伝い地域活性化に貢献する白鳥優季さん、第18回アジア競技大会ジャカルタ・パレンバン「ウイニングイレブン 2018」eスポーツ 金メダリストの相原翼さん、N高のプログラムを最大限に活用し、スタンフォード大学やオックスフォード大学のサマープログラムに参加した冨樫真凜さんなど。その活躍の幅は広い。

さまざまな分野で活躍したN高生に対しては、特別表彰が行われ、記念品としてクリスタルトロフィーが贈呈された

メディア露出が多いがゆえに高まる期待値

N高を卒業した個性豊かな面々は、今後は大学進学、就職とさまざまなキャリアを歩む。

日本初で唯一N高にのみ実在するという「起業部」に所属し、かつ起業第一号として「Easy Go」という会社を創業している、鈴木颯人さんと山田陽大さんから「N高で過ごした時間」についてコメントをもらった。

「元々は地元の進学校に通っていたのですが、『自分が好きなことをしたい』『起業したい』という想いがあり、N高に入学しました。年齢や場所に縛られず、多くの人とコミュニケーションを取れ、充実した3年を過ごせました」(鈴木さん)

「以前通っていた学校が自分と合わず、ネットで見つけたN高で『ここだったら新しいことができるかも』と入学を決意しました。今振り返ってみて、やはり『この学校に来てよかった』と思います」(山田さん)

Easy Go代表取締役の鈴木颯人さん(左)と取締役の山田陽大さん(右)

2人に限らず、卒業生のコメントを聞いていくと「この場所で挑戦してみたい」という想いの元、N高を選んでいる生徒が多い印象だ。

普通の高校とは違い、メディアに露出する機会の多いN高での生活は、良くも悪くも、世間からの注目を浴びる。まだ高校生の彼らにとっては、その視線が時に辛く感じることもあっただろう。ただ、その一方で鈴木さんは「初めて会う方とお話しする際、『N高出身です』と言うだけで、会話が広がることがよくあります」とその知名度を好意的に捉えている。

若くして、覚悟を持ってN高という環境に飛び込んだ生徒たちは、周囲の視線を浴びつつ、たくましく成長してきたことだろう。「N高出身」というキャリアは、彼らにとって1つの大きな武器になりそうだ。

カドカワは新たに2019年4月から、「N中等部」も開校する予定だ。「ネットの学校」という、世間の注目が集まる新しいコンセプトの学校だからこそ、在校生・卒業生の動向は、今後もしばらくは注目され続けそうだ。

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スマホは「望遠」でデジカメに追い打ち? OPPOの10倍ズーム技術が面白い

スマホは「望遠」でデジカメに追い打ち? OPPOの10倍ズーム技術が面白い

2019.03.22

中国スマホメーカーのOPPOが独自のカメラ技術を説明

開発競争が続くスマホカメラ、トレンドは「望遠」へ

高倍率ズームスマホの登場で、デジカメの優位性に危機?

中国のスマホメーカーとしてシェアを急拡大するOPPOが独自に新開発したカメラ技術、「10倍ハイブリッドズーム」が面白い。実際に2019年の新機種からスマホへの搭載を進め、日本市場へも製品を投入するという。

OPPOが「10倍ハイブリッドズーム」技術を紹介

メーカー間の開発競争が続くスマホカメラだが、「望遠」が次のトレンドになりつつある。デジタルカメラに匹敵する10倍もの高倍率ズームを、OPPOはどのように実現したのだろうか。

1年で7機種を投入、気付いた「日本市場の難しさ」

OPPOは世界のスマホ市場で熾烈な4位争いを繰り広げている。サムスン、アップル、ファーウェイのトップ3社に続く集団の中で、2018年は中国Xiaomiに僅差で迫る5位になった(IDC調べ)。

OPPOは2018年、日本市場で7機種のスマホを発売した。OPPO日本法人の鄧宇辰社長は、これまでに国内販売チャネルを12に拡大し、あわせて認定修理店を全国に展開したことを挙げ、「日本のSIMフリー市場でいち早く成長するブランドになった」と振り返る。

オッポジャパン 代表取締役社長の鄧宇辰氏
2018年の1年間にスマホを7機種投入

2019年は国内展開をさらに加速する。日本の消費者に向けたコミットメントとして、件の「10倍ハイブリッドズーム」機能を備えたスマホや、FeliCa・防水対応のスマホ、新たに立ち上げたブランド「Reno」シリーズの市場投入を約束する。

また、話題の「5Gスマホ」の市場投入も急ぐ。日本では5Gの周波数がまだキャリアに割り当てられていないものの、ドコモ、KDDI、ソフトバンクを含む世界の事業者と標準化に向けて連携しており、準備を整えていることを強調する。

MWC19のQualcommブースではOPPOが5Gスマホを実演

一方で鄧社長は、日本市場の難しさについて、「1年の経験を通して、日本市場は他の国と違うことに気付いた。消費の習慣や求めるレベルも高い。グローバルのやり方を日本に持ってきても通用しない」とも述べている。日本市場における品質やサービスの要求水準の高さは、多くのメーカーが直面してきた課題だが、OPPOも同じ壁にぶつかったといえそうだ。

スマホカメラ、次のトレンドは「望遠」に

そのOPPOが市場攻略にあたり、特に注力をしはじめたのが「カメラ」だ。その中でも、業界では次の進化ポイントとして「望遠」技術に注目が集まっている。

そもそもスマホはデジカメと違い本体が薄いため、搭載できるレンズに物理的な制約がある。このレンズの制約から、スマホのカメラはどうしても焦点距離の狭さが弱点になってしまっていた。そこで最近はスマホに複数のカメラを内蔵し、それぞれで広角や望遠を使い分けることで、この弱点を克服しようと進化している。

OPPOの「10倍ハイブリッドズーム」技術は、この弱点に対し異なるアプローチで挑む。プリズムを使って光を屈曲させるペリスコープ(屈曲光学)構造をカメラモジュールに採用することで、レンズを従来の垂直方向ではなく水平に配置できるようにした。これにより、薄型のスマホであっても、光学レンズでは従来不可能だった高倍率ズームが搭載できる。

光を曲げるペリスコープ構造を採用

ただ、35mm換算での焦点距離は16~160mmの10倍となっており、一般的なコンデジの感覚では5倍ズーム程度の性能だ。8.1倍以上はデジタル処理を組み合わせた「ハイブリッドズーム」としているなど、いくつか注意点はある。とは言え、これまでにない望遠レンズをスマホで扱えるのは面白い。

10倍ハイブリッドズームによる画角の違い

OPPOは既に報道陣に向けて、この10倍ハイブリッドズーム技術を搭載するスマホの開発デモ機を公開している。2019年の第2四半期には製品化する計画で、日本市場へも2019年中に投入する見込みだ。

10倍ハイブリッドズームのデモ機。5Gにも対応できるという

特にカジュアルなカメラ需要の受け皿としてスマホに押されがちなデジタルカメラだが、高倍率ズームはスマホには無い、デジカメに残された得意分野のひとつだった。だが望遠もスマホで十分撮れるとなれば、いよいよその優位性も危うくなる。今回のズーム技術は、デジカメ市場をもう一段縮小させてしまう可能性を秘めているのだ。

最大のライバルであるファーウェイも「HUAWEI P30」シリーズで望遠カメラを搭載するとみられており、今後は各メーカーが高倍率ズームで競い合うことは間違いなさそうだ。

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