アウディ新型「A8」が日本上陸! 世界初の自動運転機能は使える?

アウディ新型「A8」が日本上陸! 世界初の自動運転機能は使える?

2018.09.06

「技術による先進」を掲げるアウディの旗艦車種

量産車で世界初のレーザースキャナーを搭載

世界初の自動運転レベル3、実現に2つの課題

アウディはフラッグシップセダン「A8」の新型モデルを日本で発表した。「Vorsprung durch Technik」(技術による先進)をモットーとするアウディの旗艦車種だけに、新型A8には世界最先端の機能が備わっている。それは、市販モデルへの搭載が世界初となる“レベル3”の自動運転システムだ。しかし、その機能は現状、日本でも本国のドイツでも使用できない状態だという。

アウディ ジャパンは9月5日、「A8」(画像)と「A7 スポーツバック」の新型車を同時に発表した。日本での発売は「A7」が9月6日、「A8」が10月15日。今回は「A8」に注目してみたい

世界初のレーザースキャナーを含む23個のセンサーを搭載

A8はアウディのフラッグシップであり、技術的ショーケースとしての役割を担うクルマでもある。フルモデルチェンジを経た新型A8は4世代目だ。今回の新型は、量産車として世界初採用となる「レーザースキャナー」1個を含む計23個のセンサーを搭載する。周辺の状況を認識する高い能力を活用した機能としては例えば、クルマの両サイドに塀が立っているような見通しの悪い交差点に進入する際、死角から近づいてくる物体を検知し、自動でブレーキをかけるなどの制御を行う「プレセンス360」がある。

「A8」は全てのグレードに燃費改善効果を見込めるマイルドハイブリッドシステムを搭載する。価格は3.0リッターV6直噴ターボエンジンを積む「Audi A8 55 TFSI quattro」が税込み1,140万円から、4.0リッターV8直噴ツインターボエンジンの「Audi A8 60 TFSI quattro」が同1,510万円から。4.0リッター搭載モデルのホイールベース(前輪と後輪の間)を長くしたタイプは1,640万円からだ

数多くのセンサーを搭載し、そこから集まる情報を処理して周辺環境を認識できるのがA8の特徴。このクルマでアウディは、世界に先駆けて“レベル3”の自動運転に挑戦する。

自動運転レベル3を実装できる国は?

自動運転のレベリングについては以前、モータージャーナリストの清水和夫さんに解説して頂いたことがあるので、詳しくはこちらの記事をご覧いただきたいが、簡単にいうとレベル3とは、基本的にクルマのシステムが運転を担当し、システムでは対応しきれないような何らかの状況が出来した時に人間(ドライバー)が運転を代わるという高度な自動運転だ。

※関連記事
「自動運転の捉え方は各人各様、アウディ「A8」登場で世界が変わる?」
「議論白熱の自動運転レベル3、積極的なアウディと慎重なメルセデス」


ただ、この機能についてアウディ ジャパンのフィリップ・ノアック社長は、「認証がおりていないので、本国ドイツでも実装していない。法律などの状況が整った時に導入できるよう、アウディではアウトバーンなどでテストを行い、準備を進めているところだ」と話す。日本も含め、レベル3の自動運転が導入可能な国は、現時点で存在しないそうだ。

2018年9月1日にアウディ・ジャパンの社長に就任したノアック社長。アウディには2004年の入社で、日本を含むアジア・太平洋地域を長く担当してきた

自動運転レベル3の実現を遅らせる2つの問題

なぜ、同機能を実装できないのか。アウディ ジャパン広報部の丸田靖生部長は「問題は2つある」とする。そのうちの1つは「国際的な技術認証」だ。

「自動でステアリングを操作してOKなのかどうかは、『欧州経済委員会』という国連のワーキンググループで議論されているところ。今の認証だと、時速10キロ以上で自動操舵はできない。その議論に時間が掛かっている」(丸田部長)

レベル3の自動運転ではクルマが状況を判断し、場合によってはレーンチェンジなどの動きを行うようになる。技術的にというよりも規制の問題として、自動操舵を是とするかどうかというのは、確かに重要な問題だ。

自動運転レベル3の実装にあたり、「A8」は2つの課題に直面している

丸田部長が挙げたもう1つの問題は、より根本的なものだ。「クルマというのは運転者がいて、その人が運行するものと『ジュネーブ条約』や『ウィーン条約』では定義している。システムが運転するとなると、そこの根本を変えなければならない」(丸田部長)。つまり、クルマの定義そのものが、自動運転の登場で揺らいでいるのだ。クルマの新しい定義づけと、それを踏まえた各国での法整備が進まない限り、公道でレベル3の自動運転を行う市販車は登場しないだろう。

さらにいえば、法整備が進んだとしても、クルマには自動運転のためのハードウェアを追加する必要がある。例えば、ドライバーが寝ていないかどうかを監視する車内カメラであったり、自動運転中、ブレーキやステアリングが不具合を起こした場合に、それらをバックアップする二重の回路などだ。今回のA8に、そういった装置は付いていない。つまり、法整備が完了した時、スマートフォンのようにソフトウェアをアップデートすれば、ただちにレベル3の自動運転が可能になるというものでもないのだ。

ソフトウェアをアップデートすれば、このクルマがただちに自動運転レベル3の機能を獲得するというわけでもない

技術認証、クルマの再定義、ハードウェアの追加など、本来の能力を発揮するにはまだまだハードルの多いA8。丸田部長は「レベル3までには、すごく距離があるということはご理解願いたい」と話していた。

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

2019.03.22

ネットの学校「N高」の卒業式に潜入

開校時に入学したN高1期生が卒業した

世間の注目を浴び続けた生徒は、何を想う?

3月、角川ドワンゴ学園「N高等学校」の卒業式が東京・お台場にて開催された。

「ネットの高校」として、3年前に設立したN高。この日、2016年の開校時に入学した第1期生と、途中転入・編入した生徒をあわせ、計1593名が卒業した。3年前、『VR入学式』で世間を賑わせたこの学校を巣立つ卒業生たちは、N高での日々をどう捉え、今後はどのようなキャリアを描いていくのだろうか。

卒業式は2019年3月20日、お台場にて行われた

卒業式を彩る最新テクノロジー

N高は、ドワンゴとKADOKAWAの経営統合で誕生したカドカワが設立母体となり、2016年4月に開校された通信制高校だ。同校は開校後、2年次編入なども受け入れてきたため、これまでも卒業生を排出してきてはいたが、「1年生~3年生をN高で過ごした生徒」が卒業するのは、初めてのことだ。

卒業式には多くの報道陣も参加した。生徒にとって、「卒業式に記者がいる」「自分たちが卒業する様子がテレビやWebで取り上げられる」というのは不思議な感覚だろう。とはいえ、もう「VR入学式」に「ニコニコ超会議」へのブース出展(N高ではそれを「文化祭」と表現)などの経験を経て、メディアへの露出には慣れてしまっているのかもしれない。

そして、今回の卒業式も例によって独特だった。

卒業式は任意参加で、会場には袴や制服に身を包んだ生徒が集まる一方、その様子をライブ配信することで、会場に来られない生徒生徒も参加できる仕組みになっていた。会場のスクリーン上にはニコニコ生放送さながら、リアルタイムでコメントが表示されており、こうした演出は「N高らしい」といった印象を受けた。

卒業式の様子。オンライン参加者のコメントがスクリーンを流れる

中でも印象深かったのは、当日来られなかった生徒を代表して、米シリコンバレーに留学中の佐々木雅斗さんが「ロボット」に自分の顔を映して卒業証書を受け取ったシーンだ。

使用したのは、ANAが“未来の移動手段”として開発する、視覚・聴覚・触覚などを備えた、ユーザーの分身となるロボット「ANA AVATAR」。同校ではこのロボットを試験的に授業にも導入しているそうで、こういった最新のテクノロジーを使うあたりもN高らしい。

遠隔操作ロボット「ANA AVATAR(Beam Pro)」を用いて卒業証書を受け取った佐々木さん

と、テクノロジーにばかり目が行きがちではあるが、そもそも「高校生がシリコンバレーに留学している」という事実も驚くべき点だ。高校に通いながらも、シリコンバレーでビジネスを学ぶ――、というキャリアを選べるのは、学校という場所の制約を受けない、ネットの高校のメリットと言えるだろう。

卒業式にはほかにも「異色のキャリア」を持つ生徒たちが集まり、特に活躍した卒業生に対する特別表彰も行われた。

表彰を受けたのは、東京から鹿児島県に移住し、農業や水産業を手伝い地域活性化に貢献する白鳥優季さん、第18回アジア競技大会ジャカルタ・パレンバン「ウイニングイレブン 2018」eスポーツ 金メダリストの相原翼さん、N高のプログラムを最大限に活用し、スタンフォード大学やオックスフォード大学のサマープログラムに参加した冨樫真凜さんなど。その活躍の幅は広い。

さまざまな分野で活躍したN高生に対しては、特別表彰が行われ、記念品としてクリスタルトロフィーが贈呈された

メディア露出が多いがゆえに高まる期待値

N高を卒業した個性豊かな面々は、今後は大学進学、就職とさまざまなキャリアを歩む。

日本初で唯一N高にのみ実在するという「起業部」に所属し、かつ起業第一号として「Easy Go」という会社を創業している、鈴木颯人さんと山田陽大さんから「N高で過ごした時間」についてコメントをもらった。

「元々は地元の進学校に通っていたのですが、『自分が好きなことをしたい』『起業したい』という想いがあり、N高に入学しました。年齢や場所に縛られず、多くの人とコミュニケーションを取れ、充実した3年を過ごせました」(鈴木さん)

「以前通っていた学校が自分と合わず、ネットで見つけたN高で『ここだったら新しいことができるかも』と入学を決意しました。今振り返ってみて、やはり『この学校に来てよかった』と思います」(山田さん)

Easy Go代表取締役の鈴木颯人さん(左)と取締役の山田陽大さん(右)

2人に限らず、卒業生のコメントを聞いていくと「この場所で挑戦してみたい」という想いの元、N高を選んでいる生徒が多い印象だ。

普通の高校とは違い、メディアに露出する機会の多いN高での生活は、良くも悪くも、世間からの注目を浴びる。まだ高校生の彼らにとっては、その視線が時に辛く感じることもあっただろう。ただ、その一方で鈴木さんは「初めて会う方とお話しする際、『N高出身です』と言うだけで、会話が広がることがよくあります」とその知名度を好意的に捉えている。

若くして、覚悟を持ってN高という環境に飛び込んだ生徒たちは、周囲の視線を浴びつつ、たくましく成長してきたことだろう。「N高出身」というキャリアは、彼らにとって1つの大きな武器になりそうだ。

カドカワは新たに2019年4月から、「N中等部」も開校する予定だ。「ネットの学校」という、世間の注目が集まる新しいコンセプトの学校だからこそ、在校生・卒業生の動向は、今後もしばらくは注目され続けそうだ。

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スマホは「望遠」でデジカメに追い打ち? OPPOの10倍ズーム技術が面白い

スマホは「望遠」でデジカメに追い打ち? OPPOの10倍ズーム技術が面白い

2019.03.22

中国スマホメーカーのOPPOが独自のカメラ技術を説明

開発競争が続くスマホカメラ、トレンドは「望遠」へ

高倍率ズームスマホの登場で、デジカメの優位性に危機?

中国のスマホメーカーとしてシェアを急拡大するOPPOが独自に新開発したカメラ技術、「10倍ハイブリッドズーム」が面白い。実際に2019年の新機種からスマホへの搭載を進め、日本市場へも製品を投入するという。

OPPOが「10倍ハイブリッドズーム」技術を紹介

メーカー間の開発競争が続くスマホカメラだが、「望遠」が次のトレンドになりつつある。デジタルカメラに匹敵する10倍もの高倍率ズームを、OPPOはどのように実現したのだろうか。

1年で7機種を投入、気付いた「日本市場の難しさ」

OPPOは世界のスマホ市場で熾烈な4位争いを繰り広げている。サムスン、アップル、ファーウェイのトップ3社に続く集団の中で、2018年は中国Xiaomiに僅差で迫る5位になった(IDC調べ)。

OPPOは2018年、日本市場で7機種のスマホを発売した。OPPO日本法人の鄧宇辰社長は、これまでに国内販売チャネルを12に拡大し、あわせて認定修理店を全国に展開したことを挙げ、「日本のSIMフリー市場でいち早く成長するブランドになった」と振り返る。

オッポジャパン 代表取締役社長の鄧宇辰氏
2018年の1年間にスマホを7機種投入

2019年は国内展開をさらに加速する。日本の消費者に向けたコミットメントとして、件の「10倍ハイブリッドズーム」機能を備えたスマホや、FeliCa・防水対応のスマホ、新たに立ち上げたブランド「Reno」シリーズの市場投入を約束する。

また、話題の「5Gスマホ」の市場投入も急ぐ。日本では5Gの周波数がまだキャリアに割り当てられていないものの、ドコモ、KDDI、ソフトバンクを含む世界の事業者と標準化に向けて連携しており、準備を整えていることを強調する。

MWC19のQualcommブースではOPPOが5Gスマホを実演

一方で鄧社長は、日本市場の難しさについて、「1年の経験を通して、日本市場は他の国と違うことに気付いた。消費の習慣や求めるレベルも高い。グローバルのやり方を日本に持ってきても通用しない」とも述べている。日本市場における品質やサービスの要求水準の高さは、多くのメーカーが直面してきた課題だが、OPPOも同じ壁にぶつかったといえそうだ。

スマホカメラ、次のトレンドは「望遠」に

そのOPPOが市場攻略にあたり、特に注力をしはじめたのが「カメラ」だ。その中でも、業界では次の進化ポイントとして「望遠」技術に注目が集まっている。

そもそもスマホはデジカメと違い本体が薄いため、搭載できるレンズに物理的な制約がある。このレンズの制約から、スマホのカメラはどうしても焦点距離の狭さが弱点になってしまっていた。そこで最近はスマホに複数のカメラを内蔵し、それぞれで広角や望遠を使い分けることで、この弱点を克服しようと進化している。

OPPOの「10倍ハイブリッドズーム」技術は、この弱点に対し異なるアプローチで挑む。プリズムを使って光を屈曲させるペリスコープ(屈曲光学)構造をカメラモジュールに採用することで、レンズを従来の垂直方向ではなく水平に配置できるようにした。これにより、薄型のスマホであっても、光学レンズでは従来不可能だった高倍率ズームが搭載できる。

光を曲げるペリスコープ構造を採用

ただ、35mm換算での焦点距離は16~160mmの10倍となっており、一般的なコンデジの感覚では5倍ズーム程度の性能だ。8.1倍以上はデジタル処理を組み合わせた「ハイブリッドズーム」としているなど、いくつか注意点はある。とは言え、これまでにない望遠レンズをスマホで扱えるのは面白い。

10倍ハイブリッドズームによる画角の違い

OPPOは既に報道陣に向けて、この10倍ハイブリッドズーム技術を搭載するスマホの開発デモ機を公開している。2019年の第2四半期には製品化する計画で、日本市場へも2019年中に投入する見込みだ。

10倍ハイブリッドズームのデモ機。5Gにも対応できるという

特にカジュアルなカメラ需要の受け皿としてスマホに押されがちなデジタルカメラだが、高倍率ズームはスマホには無い、デジカメに残された得意分野のひとつだった。だが望遠もスマホで十分撮れるとなれば、いよいよその優位性も危うくなる。今回のズーム技術は、デジカメ市場をもう一段縮小させてしまう可能性を秘めているのだ。

最大のライバルであるファーウェイも「HUAWEI P30」シリーズで望遠カメラを搭載するとみられており、今後は各メーカーが高倍率ズームで競い合うことは間違いなさそうだ。

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