バイラル拡散や高いエンゲージメントに期待できる「eスポーツスポンサー」

バイラル拡散や高いエンゲージメントに期待できる「eスポーツスポンサー」

2018.09.04

eスポーツは動画配信やWebと好相性なためバイラル的拡散に期待できる

チームや選手のファンはエンゲージメントが高いという結果も

スポンサーを考える企業はタイトルごとで異なるユーザー層に注意

8月23日、横浜市パシフィコ横浜で開催された「CEDEC 2018」にて、ゲーム/eスポーツ業界のアナリストである但木一真氏によるセッション「eスポーツ産業におけるスポンサーシップ」が行われた。

ゲーム/eスポーツアナリスト但木一真氏。総務省によるeスポーツ市場に関するレポート「eスポーツ産業に関する調査研究(平成30年3月)」を執筆した

グローバルブランドTOP20のうち、半数以上がeスポーツにスポンサード

今回、但木氏は、まだまだ黎明期のeスポーツ市場における、スポンサーシップのあり方について講演した。現在、eスポーツ市場は右肩上がりで成長しており、高額の賞金なども発生している。協賛する企業としては注目の市場ではあるが、実際、どれくらいの企業が現在スポンサードしているのだろうか。

Interbrand社が発表しているBest Global Brandsの2017年ランキングによると、上位20社のうち、eスポーツのスポンサーシップに取り組んでいる企業は55%と半数を超えた。代表的な企業として、Googleやマイクロソフト、amazon、コカ・コーラなどが名を連ねている。もはやゲーム業界内だけの話ではなく、一般的なスポンサー対象としてeスポーツがみられていることがよく分かる。

では、それらの企業はどういった形でeスポーツ産業にスポンサードしているのだろうか。1つはメディアへのスポンサーシップ、次に大会へのスポンサーシップ、最後にチーム・選手へのスポンサーシップだ。スポンサーシップをすることで、認知から販促へ繋げ、ブランド価値の向上を目指していく。

Best Global Brands上位20社の半数以上は、eスポーツのスポンサーシップに取り組んでいる
スポンサーシップ領域は大きくわけて、「メディア」「大会」「チーム・選手」に分けられる
eスポーツのスポンサーシップの効果は、認知と販促の2つに分けられる

タイトルやジャンルによって異なるユーザー層

まず、認知をしてもらううえで重要なのが、eスポーツに対する向き合い方やゲームタイトルによるユーザー層の違いを明確にすることだ。

eスポーツを視聴するオーディエンス層は約250万人存在し、圧倒的に20・30代が多く、男性比率は70%を超える。プレイヤーは約69万人存在し、これも20・30代が中心だが、男女比が男性58%とオーディエンスよりも女性の割合が高い。

タイトルをみると『オーバーウォッチ』の場合、プレイヤーは20代中心で約90%が男性だ。『ストリートファイターV』では、年齢層が上がり30代が中心で約86%が男性。そして『シャドウバース』の場合は、10代が中心で女性が約25%と、これまでの2タイトルと比べ、かなり高くなっている。

タイトルによって、オーディエンスやプレイヤーの年齢層、男女比が大きく変わるので、企業はeスポーツという大きな括りではなく、訴求したいユーザーに合わせて、スポンサーシップのタイトルを選ぶ必要があるのだ。

また、ユーザーの中にも分類があり、ライトユーザーやハードコアゲーマーなど、ゲームに対するスタンスの違いで、訴求するポイントも変わってくるだろう。

eスポーツの中心はやはり20代と30代。オーディエンスよりもプレイヤーのほうが、女性比率は高い
FPSや対戦格闘、MOBA、カードなど、ゲームジャンルによって中心となる年齢層も男女比も変わってくる
さらにゲームプレイヤーと言っても、一緒くたにできず、ライトからハードまでおり、こちらも訴求ポイントが変わってくる

グローバルかつバイラル的な拡散が期待できる

次に、eスポーツコンテンツの「バイラル的拡散」が議題となった。リアルスポーツと比べ、eスポーツ大会は動画配信サービスとの親和性が高い。配信した動画コンテンツをWebメディアが取り上げたり、SNSによって通知されたりすることで、コンテンツの視聴がより活性化する。Webメディアの記事を見た読者がさらにSNSで拡散し、SNSでバズった投稿を見たWebメディアがさらにそのことを記事にする、というコンテンツのバイラル的拡散が発生するのだ。

動画配信については、リアルタイムで配信する生放送やストリーミング、生放送終了後に配信、または撮影後に配信するアーカイブ、ゲームを中心にプレイヤーやタレントがコメントするWeb番組(ゲーム)、いわゆるテレビ番組的なゲーム以外のコンテンツをメインにしたWeb番組(情報・バラエティ)などがある。eスポーツのプロ選手が情報・バラエティにまで進出できるほど知名度が上がれば、さらにeスポーツ自体の知名度も上がり、スポンサーシップとしての価値も高まっていくだろう。

また、スポンサーシップをするうえで重要なのが、どれだけ多くの人に見てもらえるかだ。eスポーツは世界規模の大会もあり、タイトルによっては世界中で遊ばれている。8月にアメリカ、ラスベガスで開催された対戦格闘ゲームイベント「EVO 2018」では、日本企業であるCygamesがスポンサーとなった。日本でも「EVO 2018」の動画配信を視聴したオーディエンスは多く、大会スポンサーとなることで、グローバルな展開にも期待できるはずだ。

動画配信サービスを中心とした大会コンテンツ配信が主流のため、SNSと相性が良く、メディアによる相乗効果で、バイラル的に拡散される
eスポーツ大会は、パブリッシャー主催、コミュニティ主催、協会主催とさまざまな形式があるが、いずれも動画配信サービスを使っており、全世界で同時に観られる

eスポーツはタレントよりもエンゲージメントが高い

以上が認知に関する項目。次は販促の面が議題になった。eスポーツの選手やチームのファンはロイヤルティが高く、多くのプロモーションの機会を獲得できるという。また、eスポーツのファンと一括りにしても、実際はチーム・選手のファン、タイトルのファン、ゲーム全般のファンとこれまた細部化されているのも特徴だ。

さらにおもしろいのが、eスポーツのチームや選手のファンはエンゲージメントが高いということ。実際、Twitterのフォロワー数が16万人近い司会のタレントと、Twitterのフォロワー数が2万人ほどのプロ選手を比較すると、プロ選手のコメント言及回数のほうが多いという結果が出た。人気の割には効果の薄いタレントよりも、プロ選手の方がエンゲージメントの高さでスポンサー効果も高いと言えるだろう。

また但木氏は、ゲーミングという独自価値についても言及した。ゲーミングと冠し、製品と結びつけることで、ブランドに新たなイメージを付加することができるのだという。仮に製品自体は既存のものを使用していても、低コストで新たな市場開拓を行えると言うことだ。

eスポーツはデジタルコンテンツであるがゆえ、ほかのデジタルテクノロジーとの相性も良く、適用範囲が広いのも特徴だ。すでにVR対応のeスポーツは始まっているし、ブロックチェーン技術を採用した仮想通貨で選手に寄付するという試みも行われている。また、AIによる対戦、ビッグデータによるeスポーツの試合やトレーニングデータの解析なども考えられるだろう。

フォロワー数とエンゲージメントは必ずしも一致しない。プロゲーマーはエンゲージメントが高く、単純なフォロワー数だけでは影響力を推し量れないのだ
ゲーミング○○と冠することで、手間もお金もかけず、ブランドに新イメージを付加できる
デジタルコンテンツであるeスポーツはデジタルの新テクノロジーと親和性が高く、取り入れやすい

認知、販促の面からeスポーツのスポンサーシップは、大いなる可能性を秘めている。マスへの広告を投下し、一定割合の人間を対象にする従来のスポンサーシップに比べ、訴求力の高さが魅力と言えるのではないだろうか。ピンポイントに絞りながらもグローバル展開が見込めるので、世界規模で見れば、訴求できる人数は決して少なくない。

音楽特化の「YouTube」が日本上陸! AIでレコメンド

音楽特化の「YouTube」が日本上陸! AIでレコメンド

2018.11.14

音楽に特化した「YouTube Music」が日本でスタート

有料会員になれば、広告なし再生やオフライン再生が可能

YouTube Premiumでは、オリジナルコンテンツの配信も開始

仕事や作業をする際、周りのノイズをカットして集中するために、音楽を聴くという人は多いだろう。わかる。よくわかる。フロアが騒がしいと作業に全く集中できない。周りで仕事している人がいるということがわからないのだろうか、と疑問に思うが、まぁそれは置いておいて、パソコンで作業する場合、手軽に好きな音楽を聴けることから、YouTubeで音楽を聴くという人も多いのではないだろうか。

そんなYouTubeユーザーに朗報である。11月14日、Googleは音楽に特化したストリーミング再生サービス「YouTube Music」を日本でローンチすると発表したのだ。

好みやシーンに応じて楽曲をレコメンド

YouTube Musicは、音楽再生に特化したアプリ。YouTubeにある公式の曲やプレイリスト、歌ってみた、弾いてみたなど、さまざまな音楽動画を視聴することができる。

また、機械学習が活用されているのも特徴の1つだ。視聴履歴などからユーザーの好みを把握するだけでなく、「いつどこで何をしているのか」を類推して、シーンに合わせた楽曲をレコメンド。家でリラックスしているときにお勧めの曲や、仕事中にお勧めの曲などを、自動でピックアップしてくれるという。

さらに、あいまいなカタカナ発音で洋楽を検索したり、CMタイアップ曲などから検索したりすることも可能で、聴きたい曲をスムーズに探すことができそうだ。

サービスの発表会において、YouTube 音楽部門 プロダクトマネージメント責任者のT.ジェイ ファウラ氏は「オーディエンスに着目した結果、今出ているアプリでは満足できていない層があることがわかり、そのユーザーに音楽サービスを届けようとこのサービスをスタートしました。YouTube Musicは、ユーザーの利用シーンや好みに合わせた曲を、YouTubeにある膨大なミュージックカタログからレコメンドするユニークさを持っています」と、サービスの魅力を強調した。

YouTube 音楽部門 プロダクトマネージメント責任者のT.ジェイ ファウラ氏

無料でも利用できるが、有料のYouTube Music Premiumに登録すると、「広告なし再生」「バックグラウンド再生」「オフライン再生」などが可能になる。料金はWeb/Androidが月額980円で、iOSが月額1280円(ともに税込み)だ。

YouTube 日本音楽ビジネス開発統括担当の鬼頭武也氏は「日本ユーザーの方は通勤通学などで音楽を聴くことが多いと思います。オフライン再生機能では、前日の夜に自宅のWi-Fiで翌日聴くべき曲を自動で更新し、通信なしで聴けるようになります。データの通信量などを気にする必要もないので、非常に便利な機能だと思います」と、オフライン再生のメリットを訴求した。

なお、同サービスには著作権管理システムが働いており、YouTubeと同様に適切な権利コントロールが可能だという。

YouTube 日本音楽ビジネス開発統括担当の鬼頭武也氏

「YouTube Originals」が日本でも始動

また今回、「YouTube Premium」という新しい有料プランもスタートする。料金はWeb/Androidだと月額1180円で、iOSだと月額1550円(ともに税込み)だ。YouTube Music Premiumの機能に加えて、YouTubeでも「広告なし再生」「バックグラウンド再生」「オフライン再生」機能が使えるようになる。

さらに、YouTube Premiumの会員は、12月から日本でも配信される予定のYouTubeオリジナルコンテンツ「YouTube Originals」を視聴することも可能だ。すでに世界30カ国でコンテンツを展開しているが、このたび、日本でも制作がスタート。SEKAI NO OWARIとMARVLEがコラボしたミュージックビデオ制作の裏側に迫るドキュメンタリー「Re:IMAGINE」、YouTuberのはじめしゃちょーが主演する連続ドラマ「The Fake Show」、YouTubeで人気のクリエイターが手がけた「隙間男:Stalking Vampire」の3つだ。

「YouTube Music Premium」と「YouTube Premium」で利用可能な機能
日本で制作される「YouTube Originals」のコンテンツ

発表会には「The Fake Show」に主演する、YouTuberのはじめしゃちょーが駆けつけた。

はじめしゃちょー

「今回僕が出演するのは、今までなかったYouTuberをテーマにしたドラマ。アカウント乗っ取りや炎上など、問題に直面しながらも夢に向かって進んでいく姿が描かれているので、僕の動画を見たことない人にも見てほしいですね」と動画の紹介をするとともに、YouTube Musicについて「普段、広く浅く、さまざまな音楽を聴くので、非常に楽しみなサービスです。ぜひ使ってみたいと思います」と期待を述べた。

なお、YouTube Musicは「Google Home」「Google Home Mini」にも対応予定。そのほか、現在「Google Play Music」を利用しているユーザーは、追加料金なしで移行することができるという。

新型VAIOの攻め手は十分か? 日の丸パソコン再起の展望

新型VAIOの攻め手は十分か? 日の丸パソコン再起の展望

2018.11.14

VAIOが独自機構の新型モバイルPC「A12」を発表

パソコン事業の成長は数年続き、海外展開も拡充

パソコンのVAIOから、ITブランドのVAIOを目指す

VAIOが業績が好調だ。2017年度は売上、利益ともに2ケタ成長となる増収増益を達成した。PC事業が順調なことに加え、EMS事業も進展したことが奏功したという。11月22日にはオールラウンダーPCというコンセプトを打ち出した新型モバイルパソコン「VAIO A12」を発売する。国内PC事業は合従連衡や海外への売却が続くが、数少ない「純国産」のPCメーカーであるVAIOの今後の戦略とは。

VAIO A12

働き方改革を追い風に地固め、今後は拡大を目指す

VAIOは、ソニーから独立後、法人向けビジネスを中心に据えたことで、早くから黒字化を実現しており、今期も順調な決算となった。売上高は前年同期比10.8%増となる214億8,800万円、営業利益は同13.9%増となる6億4,800万円で、過去最高益を達成した。

PCの法人需要が旺盛で好調な決算となった

法人向けモバイルPCの伸びが前年比30%増と順調だった点が特徴で、その背景にあるのが昨今のトレンドとなっている「働き方改革」だ。テレワークやフリーアドレスなど、それまでの決まったデスクに座ってデスクトップPCを操作するという環境から、ノートPCを持ち歩いて仕事をするという環境に移っていくなかで、VAIOの製品構成がこれに上手くはまった。

VAIO株式会社 代表取締役 吉田秀俊氏

VAIOでは、2017年から11~15インチのモバイルPCでラインアップを構築しており、今年はその後継機種を投入していた。パフォーマンスに特化したVAIO True PerformanceやVAIO Premium Editionといったバリエーションモデルも提供してはいるが、一方でVAIO ZやVAIO Z Canvasといった過去のハイエンドモデルに相当する製品はなく、あくまで「メインターゲットは法人ユーザー」を想定していることが伺える。

同社の吉田秀俊代表取締役は、今後も数年はPC事業が伸長を続けると想定している。働き方改革の拡大を受けて法人需要がさらに伸びることに備え、ラインアップをさらに拡充することで売り上げを伸ばしたい考えだ。

構想3年、開発2年の「VAIO A12」

これを目指して今月発売する新ラインアップが、12.5インチサイズのデタッチャブルWindows PC「VAIO A12」だ。市場にある課題とその解決を徹底的に図ったという製品で、求められているPCはクラムシェルか2in1か、タブレットタイプかコンバーチブルかデタッチャブルか、そういったゼロからの検討を行った結果、「構想3年、開発2年」を費やして仕上げたモバイルPCだという。

VAIO A12は、既存のカテゴライズでは、タブレットとキーボードの着脱機構を備えたいわゆる2in1モバイルPCだ
「膝上で使える」問題の解決や、まともなキーボードの搭載など、クラムシェルPCの使い勝手を求めた

前提とした課題がすべて解決しない限り製品化を見送るという強い意識で開発されたのがA12であり、それには新たな技術的ブレークスルーが必要となった。それが「Stabilizer Flap」と呼ばれる新たなデタッチャブルの機構だ。

「Stabilizer Flap」と呼ばれる独特のデタッチャブル機構が最大の特徴

きっかけは書籍の背の動きだったそうだが、軽量なPCを実現しながら、クラムシェル型と同等の使い勝手を実現した。キーボード部にはVGAやLAN端子を含む多くの端子類を装備して、周辺機器との接続性を求める日本の法人ユーザーのニーズに対応させた。実際、すでにA12導入に向けて動いている法人の中には、「VGAがあるのが選択の決め手」というところもあるそうだ。

機能はとにかくニーズの実現を徹底し、端子が豊富という今では貴重な仕様。手持ちのモバイルバッテリで本体を充電できる5V充電機能もいざというときに役立つ

コンシューマ向けで考えると、端子を減らしてスッキリとしてさらに薄型化、軽量化、低価格化も期待したいところだが、豊富な端子に対する法人ニーズは根強く、その点はVAIOとして譲れない線ということだろう。ただ、薄型軽量であることにはこだわり、タブレットとしては重さ607グラムで薄さ7.4ミリ、キーボードユニットを装着しても重さは1,099グラムまで抑え込んだ。

ソニー時代から同社が得意とする高密度実装技術を活かし、薄型軽量化にもこだわった

海外市場に再挑戦、PCラインアップも早々に増やす

PC事業では、一度は撤退した海外市場に向けて再挑戦にも乗り出している。販売エリアを順次拡大しており、今年は12カ国まで拡大した。今後は北米、中国、欧州での展開を計画している。特に欧州へは「検討中というわけではなく、決めている。来年早々にも展開する」(吉田氏)という。

PC事業の勝算はあるのか。吉田氏は、会社としてのVAIOが240人体制になり、「(ソニー時代に比べ)限られたリソースの中でどう成長戦略を描けるか」が課題であったと振り返る。この1年は「足りているもの、足りていないものを見極める」ことに集中し、独立後1~3年という「短期決戦を乗り切った」と話す。

引き続き、「VAIOはPC事業だけで将来生き残れるのか、という(市場の)問いに答えなければならない」としており、その答えとしては、「ビジネスユーザーにPCは必要なので、PCが大きな核としてVAIOを支えるのは間違いない」とするが、それだけではPC事業としての生き残りには不十分というのが吉田氏の認識だ。

そのため、技術革新や世の中の進化に伴って、ユーザーの生産性をいかに高められるかという観点で新しいPCを打ち出し、生き残りを図っていく考え。その一つの回答が「VAIO A12」となるが、来年以降の新製品でもそうした点を踏まえた新製品を投入していく。「来年度はもう少し違った形で生産性を高める製品を提供していく」という意向を示しており、年明け早々には今までとは異なるタイプの製品を企図しているようだ。

現行のラインアップ。最上部にあるのがVAIO A12で、来年さらなる新ラインアップを展開する

PCはVAIOのコアだが、VAIOはPCブランド脱却目指す

吉田氏は「貪欲な姿をもちながら、VAIOのブランドを伸ばす」と話すが、ここで大きな戦略の柱となるのは、「PCブランド」としての「VAIO」ブランドからの脱却だという。PC事業は順調とは言え、ライバルも多い。MicrosoftのSurfaceだけでなく、レノボとその傘下のNEC、富士通、鴻海傘下のシャープ、東芝、そしてデル、HPといった米国勢もあり、働き方改革の影響で伸びた市場をどこまで獲得できるかは未知数だ。

吉田氏は「次世代ITブランドとしてのVAIOを目指す」としており、単にPC単体を売るのではなく、セキュリティやキッティングといった付加価値サービスも盛り込むことで、トータルソリューションとしてのPC事業を展開する。

これに、EMS事業でのシナジーも追加していきたい考えだ。あわせてPCの周辺機器などを扱うことで、PC事業の強化にも繋げていき、市場全体の活性化も狙える。ハード、ソフトの両面から事業領域を拡大していく。

PC事業は、周辺機器やセキュリティソリューションなどでさらなる拡大を目指す

EMSやパートナーの強化、IoTなどの新規事業など、ビジネス領域の拡大で企業としてのVAIO自体の強化を目指すが、今後も屋台骨となるPC事業で好調を維持できるか。ここまでの短期決戦を乗り切り、ここから一過性の盛り上がりではなく継続した強い事業構造への転換を図る、吉田氏が「フェーズ2」と呼ぶVAIOの新たな成長戦略がはじまったばかりだ。