本業回帰へのノロシ! ワタミが新メニュー4品を公開した理由

本業回帰へのノロシ! ワタミが新メニュー4品を公開した理由

2016.06.08

有機ロメインレタスとケイジャンチキンのごちそうシーザーサラダ。7月20日までの限定メニューだ

皿の上にたっぷりと敷き詰められた「ロメインレタス」に、ムラなくシーザードレッシングがかけられ、まんべんなくクルトンが撒かれていた。そのうえにスパイシーなケイジャンチキンが置かれ、さらにそのうえに半熟タマゴが乗る。黄身を崩してチキンにまぶすことで、スパイシーなチキンがまろやかに味わえる。シーザードレッシングのたっぷりかかったレタスを口にすると、シャキシャキのレタスの食感にクルトンのサクサク感が加わり、なんとも味わい深い。

これは、ワタミが6月7日にプレス向け試食会で公開した新メニュー「有機ロメインレタスとケイジャンチキンのごちそうシーザーサラダ」を食した筆者の感想だ。正直、チェーンの居酒屋に“味”を求めることはあまりなかったが、このレベルの料理が出てくるのなら「悪くないな」と感じた。

2期連続赤字で苦戦のワタミ

さて、そのワタミだが苦戦が続いている。平成28年3月期の売上高は約1,280億円で、営業利益は約3億円の赤字。前期は売上高約1,550億円、約20億円の赤字だった。業績不振にともない不採算店を中心に72店舗を閉鎖し、新規出店は11店舗にとどめた。そして、ワタミを支える国内外食事業、宅食事業、介護事業の“主力3事業”のうち、収益の柱だった介護事業を2015年12月に損保ジャパン日本興亜に譲渡した。

だが、この介護事業の譲渡は、本業ともいえる国内外食産業へ注力するための体制づくりだといえる。

居酒屋として苦戦するワタミだが、外食産業そのものが衰退しているわけではない。日本フードサービス協会によると、2015年の外食需要は、異物混入によるファーストフード店のつまずきはあったものの、ファミリーレストランの売り上げが堅調で年間の売り上げは100.1%と、わずかながら上回った。また、焼き肉が好調で108.7%の伸びと外食産業を引っ張る。

この焼き肉のように料理に特化した業態は比較的好調だ。昨期、過去最高の売り上げとなったスシローや、焼き鳥を得意とする鳥貴族などが好調。特に鳥貴族は前事業年度比33.9%増の約113億円の売上高となった。前出の日本フードサービス協会の数字によると、居酒屋は店舗数93%、売上高92.7%と、目立って元気がないのがわかる。

2002年より有機農業に取り組む

ワタミファーム東御農場で栽培される有機ロメインレタス(ワタミプレスリリースより)

そんなワタミにとって突破口となりそうなのが“有機野菜”だ。

実はワタミは2002年より有機農業に取り組んできた実績がある。同年にワタミファームを設立し、年々農地を増やし、現在では全国11カ所に632haの農場・牧場を運営する。ワタミファームや契約農家で栽培された野菜を積極的に採り入れ、メニューに活用。冒頭で紹介したシーザーサラダのレタスもそうした素材だ。

プレス向け試食会を開催し、新メニューを紹介できるのは素材や料理に自信を持っている表れともいえる。実際、ワタミ広報担当者は「こうした取り組みは初のことです」と強調し、ぜひとも新メニューの“デキ”を賞味してくださいと話す。

また「これまで有機野菜にこだわってきましたが、これが我々の大切な財産のひとつだと思っています。今後はこの財産を前面に押し出し、お客様にわかっていただけるようにアピールしていきたいです」(ワタミ 営業推進部 販促企画・インバウンドチーム 部長代理 渡邉真氏)とした。

野菜へのこだわりは「MOTTO VEGEプロジェクト」のアンバサダーに就任したことでもうかがえる。同プロジェクトはキユーピーとぐるなびが「外食✕野菜」というテーマで外食産業を活性化させようというもの。この理念に賛同する企業をアンバサダーに迎え、業界を挙げて盛り上げようという試みだ。ワタミのようなナショナルチェーンのほか街の個人店など、業態規模にかかわらず、現在2400以上のアンバサダーが登録されている。

さて、せっかくなのでシーザーサラダ以外のメニューについてもザッと点描してしまおう。ワタミでは鳥の唐揚げが定番の人気メニューだということだが、これを「旨チキ」というメニュー名でリニューアルする。鶏肉にニンニク、ハーブ、スパイスで下味をつけ、衣にスパイスがまぶしてある。旨チキの基本メニューには、マヨネーズが添えられるが、これはキユーピー製でワタミでは初だそうだ。

左から旨チキ、本マグロの天盛り、酪農ピザ

居酒屋のおつまみの定番といえばマグロだが「本マグロの天盛り」もブラッシュアップ。地中海産、アドリア海産で大ぶりのマグロを選ぶことにより、赤身ながら中トロのような脂ののりを感じられるそうだ。

そして「酪農ピザ」について。ワタミファームでは酪農も手がけており、北海道で搾乳された牛乳を花畑牧場でチーズに加工。さらに店舗でピザとして調理する。つまり、酪農という1次産業、チーズ加工という2次産業、調理という3次産業を通貫した“6次産業”モデルとなっている。有機農業にこだわるワタミの象徴的メニューといえるだろう。

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

2018.11.16

シャープが新スマホ「AQUOS R2 compact」を発表

大画面化の波に逆らい、「片手ポケット族」が増加傾向に

iPhone不在の「小型スマホ」市場を狙う

11月15日、シャープがAndroidスマートフォンの新製品「AQUOS R2 compact」を発表した。名前に「compact」と付いている通り、最近のスマホ市場では選択肢が減っている小型モデルであることが特徴だ。

小型スマホの需要を取り込む「AQUOS R2 compact」

コンパクトな見た目とは裏腹に、中身にはハイエンドである「AQUOS R」シリーズのスペックを詰め込んでいる。世界的にスマホの大画面化がトレンドとなっている中で、あえて時代に逆行するシャープの狙いはどこにあるのだろうか。

スマホを片手で持ち、ポケットに入れて使う人が増加

世界のスマホ市場では、6.5インチの「iPhone XS Max」に代表される大画面モデルが人気を博している。だが、日本では通勤電車などの利用シーンにおいて、片手で使う人が多いといわれている。シャープによれば、スマホを片手で持つ人は64% 、服のポケットに入れて持ち運ぶ人は49% に達しており、その割合は上昇傾向にあるという。

片手で持ち、ポケットに入れて持ち歩く「片手ポケット族」が多いという

その背景として、シャープはスマホの「インフラ化」を指摘する。SNSやコンテンツを楽しむだけでなく、サービスの利用やモバイル決済にスマホは欠かせない存在になっており、日常生活でスマホを取り出す場面が増えている。

AQUOS R2 compactは、日本人の手のサイズを念頭に置いた「横幅64mm」のボディに、できるだけ高性能な部品を詰め込んだハイエンドコンパクト機になっている。プロセッサは最新のSnapdragon 845、メモリは4GBを搭載しているが、これは大画面モデルのAQUOS R2と同等だ。

ポケットに入れやすいサイズに高性能を詰め込んだ

スマホ本体を小型化する一方、画面は前モデルの「AQUOS R compact」より大型化した。このためにシャープは画面の上下に切り欠き(ノッチ)を持つIGZOディスプレイを開発。インカメラと指紋センサを搭載しつつ、表示領域を上下に広げてきた。

前モデル(左)と比べて新モデル(右)は表示領域が広がった

「iPhone不在」の小型スマホ市場を直撃

シャープによれば、小型スマホを求める人は全体の3割程度という。スマホ市場では残りの7割に向けた大画面モデルが幅を利かせており、最新のiPhoneでは6.5インチのXS Maxに加え、一般向けモデルの「iPhone XR」も6.1インチとなっている。

一方、小型モデルとして根強い人気のあった「iPhone SE」は、後継モデルが出ないまま販売が終了。中古市場では価格が上昇する騒ぎもあった。

日本で最大シェアを誇るiPhoneだが、小型スマホ市場では存在感が薄れつつある。ソニーモバイルはXperiaシリーズのコンパクト機を投入しているが、2018年夏モデルの「Xperia XZ2 Compact」と比較して、シャープ機は画面の大きさ、薄さ、軽さの面で圧倒している。

中国メーカーとして日本でも勢いを伸ばすファーウェイ、OPPOも世界市場において大画面化競争を繰り広げており、小型モデルに積極的な動きは見せていない。この点もシャープにとって有利に働いている状況だ。

また、AQUOS R2 compactは顔認証と指紋認証の両方に対応しているのも特徴。これは、iPhoneにもXperiaにもない機能だ。スマホをポケットから取り出し、顔の前に持ち上げるだけでロックを解除できる顔認証だが、卓上に置いている場合は使いにくい。だが指紋センサがあれば、指を置くだけで済む。

顔認証に加えて指紋認証にも対応

スマホの端末メーカーの多くはグローバル市場に目を向け、大画面化のトレンドを追いがちだ。だが、シャープは国内の需要をしっかりとらえた上で、日本のユーザーに刺さる製品作りを続けている。

依然としてiPhone人気が続いている中で、限られた市場であっても「不在」のチャンスをタイムリーに活かし、ユーザーを奪還する。国内に目配りできるシャープならではの戦い方に注目したい。

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第23回

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

2018.11.16

海外メーカーの台頭で日本にも大画面化の波が到来

大画面化と使いやすさの両立、各社の工夫の歴史

縦長スマホにとって代わるのは「折り畳み」スマホか

スマートフォンのディスプレイは年々大型化が進んでおり、かつては「大きすぎる」と言われた5インチディスプレイが、今や小さい部類に入ってしまうほどだ。一方で使いやすさを維持しながらディスプレイの大画面化を実現するため、メーカー各社はさまざまな工夫を重ねている。スマートフォンのディスプレイサイズはなぜ大きくなり、今後はどのように変化していくのだろうか。

海外メーカーの台頭で日本でも大画面化に拍車

スマートフォンにとってディスプレイは、単に情報を表示するだけでなく、タッチして操作するインタフェースも兼ねている非常に重要な存在だ。そのスマートフォンのディスプレイが、ここ10年ほどで最も大きく変化した要素が「サイズ」である。

どれくらい大きくなったのかというのは、新旧のスマートフォンのディスプレイサイズを比べてみれば一目瞭然だ。日本で最初に発売されたiPhoneである「iPhone 3G」のディスプレイサイズは3.5インチだった。一方、「iPhone X」や「iPhone XS」、「iPhone XR」といった最近のiPhoneのディスプレイサイズは6インチ級があたりまえ。1.7倍に以上に拡大しているのだ。

今やスマートフォンのディスプレイサイズは5インチ以上が一般的で、6インチも珍しくなくなった。画像の「iPhone X」のディスプレイサイズは5.85インチだ

さらに「iPhone XS Max」は6.5インチもあるし、他の大手メーカーでもサムスン電子の「Galaxy S9+」やファーウェイの「HUAWEI P20 Pro」のように、6インチを超えるディスプレイを採用した機種は増えている。なぜ、これほどまでにディスプレイサイズが大きくなったのかというと、それは大画面が欲しいというユーザーが多いため。スマートフォンの性能向上によって動画やコミック、ゲームなどのコンテンツを楽しむ人が増えていることから、ユーザーのニーズに応えるかたちで、大画面が求められるようになったといえよう。

だが日本国内の事情に目を向けてみると、公共交通機関での通勤・通学が多いのに加え、片手で文字入力ができる「フリック入力」が広く普及したこともあり、片手でスマートフォンを操作する傾向が強く、実は大画面に対するニーズはそこまで大きい訳ではない。実際日本では、4インチディスプレイの「iPhone SE」が人気を保っていたし、シャープの「AQUOS R Compact」やソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia XZ2 Compact」などのように、4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトなスマートフォンも投入されている。

2018年の夏モデルとして販売されている「Xperia XZ2 Compact」は4.9インチと、最近では珍しくなった4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトモデルだ

にもかかわらず、日本でも大画面のスマートフォンが増えているのはなぜか。まずは国内のスマートフォンメーカーが減少したことで、市場に海外メーカー製のスマートフォンが増えているためだ。海外では移動手段の違いに加え、文字入力システムの違いからスマートフォンを両手で持って操作する機会も多く、片手操作に対するこだわりが弱いのだ。

新興国などでも、ディスプレイサイズが大きいほど人気が出る傾向が目立ち、大画面に対するニーズが強いのである。海外製スマートフォンが日本市場に入り込みやすくなったことが、日本国内においてもスマートフォンの大画面化を進めたといえる。

縦長スマホの元祖はアップルだった?

とはいえ、スマートフォンが大画面化するに従って、本体の横幅がひろがり、さすがに海外のユーザーからも「持ちづらい」という声が増えてきたようだ。そこで近年急速に増えているのが、従来の16:9比率ではなく、18:9や19:9といった縦長比率のディスプレイの採用である。

持ちづらさに影響する横幅をこれ以上広げることなく、ディスプレイを縦に伸ばすことで大画面化しようとしたのだ。この流れをけん引したのは韓国メーカーで、2017年にはLGエレクトロニクスが「LG G6」(日本未発売)、サムスン電子が「Galaxy S8/S8+」といったように、縦長比率のディスプレイを採用した機種を積極的に投入した。

2017年発売の「Galaxy S8」「Galaxy S8+」は、18.9:9と縦長比率の有機ELディスプレイ「インフィニティディスプレイ」を採用したことで大きな話題となった

この韓国の両メーカーとも、グループ内にディスプレイデバイスを開発する企業を持っている。それゆえ縦長比率のディスプレイが生み出されたのには、実は大画面化だけが目的ではない。自社のスマートフォンに新しいディスプレイをいち早く搭載し、トレンドを作り上げることで、グループ企業のディスプレイデバイス販売拡大につなげる狙いもあったといえる。

だが、縦長ディスプレイで大画面化するというアイデアを真っ先に実践したのは、実はアップルである。アップルはかつてディスプレイの大画面化に消極的で、2011年発売の「iPhone 4s」までは3.5インチのサイズにこだわっていた。だが大画面化を求めるユーザーの声を受け、2012年発売の「iPhone 5」でディスプレイサイズを4インチに拡大した際に、ディスプレイの横幅はそのままに、縦に長くするという手法をとったのである。ある意味、アップルは5年前に現在のトレンドを先取りしていた、といえるかもしれない。

スマートフォンのディスプレイを縦に伸ばして大画面化するというアイデアをいち早く実践したのは、アップルの「iPhone 5」だった

しかしながら、ディスプレイを縦に伸ばして画面サイズを大きくする工夫にも、いずれ物理的な限界が来ることは目に見えている。そこで、さらなる大画面化の追求で、いま注目されているのが折り畳み式ディスプレイだ。このアイデア自体は、NTTドコモが2013年の「MEDIAS W」(NECカシオ モバイルコミュニケーションズ製)、2018年の「M」(ZTE製)で既に実現しているものだが、いずれも2枚のディスプレイを用いていたため、どうしても画面の折り目に継ぎ目が発生してしまう弱みを抱えている。

折り畳みスマートフォンとして注目されたNTTドコモの「M」は、2枚のディスプレイを用いるスタイルであるため折り畳み部分に継ぎ目が発生してしまう

だが有機ELを用いれば、ディスプレイを折り曲げられる“真の”折り畳みスマートフォンが開発できると言われており、大手スマートフォンメーカーがその開発を進めているとの観測報道も幾度となくなされている。

これは折り畳みできるという意味の「フォルダブル」スマホなどと呼ばれ、先ごろはサムスン電子が、来年発表するというフォルダブルスマホ「Galaxy F」のプロトタイプを開発者向けに見せはじめたりしている。2019年は各社から製品が登場するのではないか? との声もあるようだが、いま確実に言えることは、真の折り畳みスマートフォンがいつ、どのメーカーが、どのような形で投入するのかが、大いに注目されているということだけである。