プロライセンスが新たに発行された「ぷよぷよカップ」8月大会レポート

プロライセンスが新たに発行された「ぷよぷよカップ」8月大会レポート

2018.08.27

対戦競技として歴史が長い『ぷよぷよ』

「ぷよぷよカップ」と「ぷよぷよチャンピオンシップ」の違い

8月大会では新しいプロライセンスが発行された

8月18日、浅草橋ヒューリックホールにて、『ぷよぷよ』のeスポーツイベント、「ぷよぷよカップ」と「ぷよぷよチャンピオンシップ」が開催された。

『ぷよぷよ』は1991年に第1作目がリリースされ、現在まで高い人気を誇る落ち物パズルゲーム。「ぷよ」と呼ばれるブロックを積み重ね、同色のぷよを4つ以上接続させると消滅する。積み方によっては消滅の連鎖が行われ、連鎖数やぷよを消滅させた数によって、相手におじゃまぷよ(透明のぷよで、隣接するぷよを消滅させることで消すことができる妨害専用のぷよ)を送り、攻撃をすることができる。ぷよが最上段まで積み上がり、これ以上ぷよを消すことができない状態になると負けというルールだ。

「ぷよぷよカップ」と「ぷよぷよチャンピオンシップ」

『ぷよぷよ』シリーズは、パズルゲームの中でも歴史が古く、対戦競技としての完成度も高いため、20年以上前から全国規模で大会が行われているタイトル。「ぷよぷよカップ」はプロアマ問わず、参加資格を満たしたプレイヤー全員が参加でき、一般参加選手がベスト4まで勝ち上がれば、日本eスポーツ連合(JeSU)公認のプロライセンスが付与されるイベントだ。また、年度ごとのランキング制度の対象大会でもあるため、プロにとっても重要な位置づけになっている。

かたや「ぷよぷよチャンピオンシップ」はJeSU公認のプロライセンスを取得したプロのみのトーナメント大会で、2カ月に1回のペースで開催されている。大会ごとに賞金が設定されているだけでなく、ぷよぷよカップと同様に年間ランキングのポイント対象となるので、年間プロツアーの順位を決定する重要な大会でもある。

新たなプロ選手が誕生

ぷよぷよカップとぷよぷよチャンピオンシップは、4月から開催されており、8月大会は今年3回目である。ぷよぷよカップでは、古くから名実ともにぷよぷよの実力者として名高いselva選手が唯一プロ以外の枠でベスト4に進出し、プロライセンスの資格を獲得。決勝戦まで進んだものの、プロ選手のマッキー選手に敗れ、惜しくも準優勝となった。

ぷよぷよカップは、プロ選手が参戦していることで、プロラインセンス取得枠であるベスト4に入るためには、プロ選手と同等の実力を持っていないと難しい。大会ごとに最大4人のプロ選手が生まれる可能性がありながらも、今後1人も増えない大会が出てくることは火を見るより明らかだ。

selva選手(写真右)は、決勝戦でプロ選手であるマッキー選手(写真左)に敗れたものの、ベスト4以上の成績を収めたことでプロライセンスの資格を取得

手に汗握る激戦が繰り広げられたぷよぷよチャンピオンシップ

ぷよぷよカップが閉幕したと同時に、ぷよぷよチャンピオンシップがスタート。プロライセンスを取得したばかりのselva選手も即参戦し、8月大会は、17人のプロ選手によるトーナメントで行われた。どの選手もプロを名乗るのにふさわしい実力をもっており、戦い方によっては誰が優勝してもおかしくない。

大会の様子は動画で配信され、兵庫県尼崎では、「MOVIXあまがさき」でパブリックビューイングも行われた。動画配信、大会進行の司会を務めるのは椿彩奈さん。実況はフリーアナウンサーの斎藤寿幸氏が担当した。ぷよぷよの実況は今回が初めてとのことだ
ゲストには元アイドリング!!!の橘ゆりかさんが登場。現在プロ選手のくまちょむ選手に手ほどきを受けており、ぷよの選手を目指して特訓中だ

ベスト4まで進出したのは、前評判が高いマッキー選手、ぷよぷよカップのでの快進撃の勢いそのままに勝ち進んだselva選手、テトリスルールでは絶対的な強さを誇り、ぷよぷよでも実力をつけてきたあめみやたいよう選手、そしてぷよぷよ歴24年とレジェンドの域に達するKamestry選手の4人だ。

Aブロックの準決勝を勝ち上がったマッキー選手(写真左)とselva選手(写真右)
Bブロックの準決勝を勝ち上がったあめみやたいよう選手(写真左)とKamestry選手(写真右)

準決勝Aブロックではマッキー選手対selva選手と、ぷよぷよカップの決勝と同じ組み合わせになったが、ぷよぷよカップの雪辱を果たす形でselva選手が勝利をもぎ取った。Bブロックでは守りが得意なKamestry選手が、あめみやたいよう選手の攻撃をしのぎきり勝利した。

決勝戦はKamestry選手の攻守バランスの取れた試合運びで一方的な展開となり、勢いにのるselva選手を下し、Kamestry選手が優勝を決めた。

なお、4月大会では、同じくベテランのくまちょむ選手が優勝し、6月大会ではぷよぷよ歴5年の若手マッキー選手が優勝。そして8月大会ではKamestry選手と、まさに新鋭、古豪が一歩も譲らぬ展開でぷよぷよチャンピオンシップは進んでいる。

8月大会を制したKamestry選手

また、ぷよぷよのプロライセンス保持者19人中、女性プロ選手は2名。8月大会ではどちらも初戦を勝ち抜いており、ぷよぷよが年齢だけでなく性別も問わず活躍できることを示しているのも興味深いところだ。

日本初の女性パズルプロゲーマーのtema選手。EVO 2018ではコテンパンに負けたlive選手を倒し、2回戦に進出した
前回大会では4位入賞を果たし、実力をしめした「女王」の異名を持つ、めいせつ選手

次回は東京ゲームショウ2018にて、優勝賞金100万円のぷよぷよチャンピオンシップの特別大会が開催する予定だ。ぷよぷよカップはこれまで通り2カ月後の10月に開催予定なので、参加希望の人は公式サイト「ぷよキャン」をチェックしておこう。

ぷよぷよeスポーツ大会 2018年度のスケジュール。来月は通常休みの奇数月ながら東京ゲームショウで特別大会が開催される

【ぷよぷよチャンピオンシップ2018年度8月大会生中継】

「選択と集中」が進みすぎた、日本の科学技術への投資

藤田朋宏の必殺仕分け人 第1回

「選択と集中」が進みすぎた、日本の科学技術への投資

2018.11.15

ちとせグループCEOの藤田朋宏氏による新連載

巷を賑わす”ヘンな出来事”の問題点を、独自の解釈で洗い出す!

第1回は、「日本の科学技術投資」について

バイオベンチャー企業群「ちとせグループ」のCEOを務める藤田朋宏氏による新連載。“手段と目的の違い”によって生じた「ヘンな出来事」の問題点を、独自の視点で語ります。第1回は、「日本の科学技術投資」について。日本の科学技術への投資の問題点とはいったい何なのでしょう?

才能と“伸びしろ”に投資する、日本サッカー協会

先日、クアラルンプールに出張したときのこと。宿泊先のホテルが偶然にもサッカーの日本代表と同じだった。「日本代表」と言っても、同じホテルに泊まっていたのは本田や長友ではなく、U-16アジア選手権に参加している若い選手たち。

そこで彼らを見ていて、ふと考えた。日本サッカー協会の「選手への投資」は、実は凄く効率がいいのではないか。どうしてそう思ったのか、順を追って説明したい。

ホテルに置いてあったU-16アジア選手権のバナー

チェックインを済ませ、「部屋の準備があるから、ちょっとだけそこで待っていて」と指示するホテルマンに従い、ひとりロビーに放置されている間、何となしに選手の情報を調べてみた。それから一時間半。23名の選手一人ひとりの顔だけでなく、利き足まで覚えるくらいの時間が経っても、僕はまだロビーで放っておかれたままだった。まぁ、東南アジアではよくあることなので、腹は立たなかった。

ところで、「過去のU-16日本代表がその後、何度も日本代表に選ばれる割合はどれほどだろうか」と疑問に感じ、調べてみたところ、各年20数名の代表選手のうち、現役で活躍している選手は約1人であることが分かった。確かに16歳の段階では身体の発達に差があるし、試合で活躍できるかは運の要素も絡む。コーチとの相性やケガの問題もあるだろう。

そうは言っても、16歳の時点で日本代表に選ばれるだけのポテンシャルを持つ選手のうち、その数%しか将来も活躍できる選手がいない、という事実には驚いた。実際、長谷部、本田、岡崎、長友……など、この10年で活躍している選手たちの多くは、16歳時点ではそこまで期待されていなかった選手ばかりだ。

ではなぜ、そういった選手が後に日の目を浴びられたかというと、それは彼らにも「チャンス」を与えられていたからだろう。日本サッカー協会は、16歳時点で選抜したトップ選手だけに集中投資するだけではなく、同年代の他の有望選手にもしっかりとチャンスを与え続けられるような仕組みをつくれたのだと思う。

際立って目立つ選手だけではなく、将来の伸びしろがありえる選手にも、最低限のチャンスは回ってくることで、未来のトップ選手の育成が図れる。そうやって日本サッカー協会はこれまで、世界に通用するような選手を輩出してきた。

「科学技術に投資せよ」ではなく、予算配分の再考を

前置きが長くなってしまったが、ここから本題に入りたい。

先日、京都大学特別教授の本庶佑先生がノーベル賞を受賞したというニュースが流れた。「自分がバイオテクノロジー業界で働く人間だから」というのは関係なく、本庶先生と周りのチームの方々の長年にわたる科学に対する貢献が認められたこと、その事実に接した関係者の気持ちを想像すると、とても嬉しい気持ちになった。

ノーベル賞メダル(レプリカ)

 

近年、日本人のノーベル賞受賞が続いている。彼らのような日本の科学業界の仕組みをよくわかった方々は、これまで数多くのご苦労をされてきたことだろう。しかし、1つ残念なこともある。能力はもちろん、人格的にも優れたそういった先生方が、ノーベル賞受賞のタイミングでマスコミに発表する一世一代のコメントが「日本国の科学技術投資、科学技術教育のあり方についての憂い」であることだ。

僭越ながら、先生たちのコメントを解釈すると、よくニュースで取り上げられるような「科学技術にもっとお金を使え」ということではなく、その先にある「国家予算の配分」についての指摘をしていると認識している。

誰がなんと言おうと、日本の科学技術投資の選択と集中は年々進んでしまっているのが現状だ。しかし、先生方のいうような「選択と集中が進みすぎている」という指摘に対して、「日本にはもうお金がないのだから科学技術にばかり投資できない」と答えがずれてしまっている。

これこそが、日本の科学技術投資における問題ではないだろうか。

日本にはびこる「選択と集中こそが正解だよ病」

随分前からずっと不思議なのだが、そもそも「選択と集中こそが正解である」なんて、誰がいい出したのだろう。「選択と集中」の戦略で物事をうまく切り抜けられるようなことは、本当に生きるか死ぬか、背水の陣を敷いている時くらいだと思うのだ。

今の日本の「選択と集中こそが正解だよ病」はなかなか根深く、そもそもの目的を実現することよりも「選択と集中」を行うことそのものが目的になっているんじゃないかと感じることが多い。

今の日本で行われている多くの意思決定の場面で、サッカーの例で例えると、U-16日本代表を選んだ人のメンツを潰さないということが、強い日本代表をつくることよりも優先されてしまっているように思う。

そのため、16歳の時点で選んだ選手だけに集中投資し、16歳の段階で選ばれなかった他の選手のポテンシャルに賭けることもしないというような「選択と集中が正解である」という間違えた進め方で意思決定が行われているようなことが多いように感じる。

サッカー選手の育成でも、科学技術の投資でも初期の段階で選抜してそこだけに集中投資するという戦略を繰り返せば繰り返すほど、全体としての力は落ちる一方になるのではないか。歴代のノーベル賞受賞者の先生方も、そういうことを言いたかったのではないかと思う。

手段であるはずの「選択と集中」が、目的となっている?

私は、「16歳の段階で、将来素晴らしいサッカー選手になる人物を見分けられる」なんて言葉は、伸びしろのある選手に対しておこがましいと感じる。これは科学技術の研究にも同じことが言える。「その研究が将来素晴らしい成果を残すかどうか見分けられる」なんて言葉は、科学者に対しておこがましい。

もっと言ってしまえば、どの研究が将来化けるかの判断は、16歳のサッカー選手の成長を言い当てることより遥かに難しいだろう。なぜならば、サッカーという競技のルール自体は変わらないが、科学と言う競技はルール自体を決めているので、科学研究の将来性をあらかじめ予測するのは16歳のサッカー選手の将来性を予測するより難しいためだ。

そんな中、日本サッカー協会が幅広い底上げに力を入れ、紆余曲折も有りながらも右肩上がりの成長を維持できているにも関わらず、日本の科学技術投資は過剰な「選択と集中」を強めるが故に、科学技術力の相対的な低下を招いているように感じる。

その差はいったい何か? これは1つの仮説でしかないが、日本サッカー協会の強さの秘訣は、会長の独断で物事を決められる側面が強い組織であるために「目的」がハッキリしている点にあるのではないだろうか。

その一方で、日本の科学技術投資のような“数多くの人の善意の組み合わせの上になり立っている意思決定機構”では「選択と集中を進めることが正解である」という、本来手段の一つである価値観が「目的」となってしまっているように感じる。

本来考えるべきは、「日本の科学技術をどうするべきか」ということであるにも関わらず、その手段と目的が逆転しまっているのではないだろうか、と思うのだ。

音楽特化の「YouTube」が日本上陸! AIでレコメンド

音楽特化の「YouTube」が日本上陸! AIでレコメンド

2018.11.14

音楽に特化した「YouTube Music」が日本でスタート

有料会員になれば、広告なし再生やオフライン再生が可能

YouTube Premiumでは、オリジナルコンテンツの配信も開始

仕事や作業をする際、周りのノイズをカットして集中するために、音楽を聴くという人は多いだろう。わかる。よくわかる。フロアが騒がしいと作業に全く集中できない。周りで仕事している人がいるということがわからないのだろうか、と疑問に思うが、まぁそれは置いておいて、パソコンで作業する場合、手軽に好きな音楽を聴けることから、YouTubeで音楽を聴くという人も多いのではないだろうか。

そんなYouTubeユーザーに朗報である。11月14日、Googleは音楽に特化したストリーミング再生サービス「YouTube Music」を日本でローンチすると発表したのだ。

好みやシーンに応じて楽曲をレコメンド

YouTube Musicは、音楽再生に特化したアプリ。YouTubeにある公式の曲やプレイリスト、歌ってみた、弾いてみたなど、さまざまな音楽動画を視聴することができる。

また、機械学習が活用されているのも特徴の1つだ。視聴履歴などからユーザーの好みを把握するだけでなく、「いつどこで何をしているのか」を類推して、シーンに合わせた楽曲をレコメンド。家でリラックスしているときにお勧めの曲や、仕事中にお勧めの曲などを、自動でピックアップしてくれるという。

さらに、あいまいなカタカナ発音で洋楽を検索したり、CMタイアップ曲などから検索したりすることも可能で、聴きたい曲をスムーズに探すことができそうだ。

サービスの発表会において、YouTube 音楽部門 プロダクトマネージメント責任者のT.ジェイ ファウラ氏は「オーディエンスに着目した結果、今出ているアプリでは満足できていない層があることがわかり、そのユーザーに音楽サービスを届けようとこのサービスをスタートしました。YouTube Musicは、ユーザーの利用シーンや好みに合わせた曲を、YouTubeにある膨大なミュージックカタログからレコメンドするユニークさを持っています」と、サービスの魅力を強調した。

YouTube 音楽部門 プロダクトマネージメント責任者のT.ジェイ ファウラ氏

無料でも利用できるが、有料のYouTube Music Premiumに登録すると、「広告なし再生」「バックグラウンド再生」「オフライン再生」などが可能になる。料金はWeb/Androidが月額980円で、iOSが月額1280円(ともに税込み)だ。

YouTube 日本音楽ビジネス開発統括担当の鬼頭武也氏は「日本ユーザーの方は通勤通学などで音楽を聴くことが多いと思います。オフライン再生機能では、前日の夜に自宅のWi-Fiで翌日聴くべき曲を自動で更新し、通信なしで聴けるようになります。データの通信量などを気にする必要もないので、非常に便利な機能だと思います」と、オフライン再生のメリットを訴求した。

なお、同サービスには著作権管理システムが働いており、YouTubeと同様に適切な権利コントロールが可能だという。

YouTube 日本音楽ビジネス開発統括担当の鬼頭武也氏

「YouTube Originals」が日本でも始動

また今回、「YouTube Premium」という新しい有料プランもスタートする。料金はWeb/Androidだと月額1180円で、iOSだと月額1550円(ともに税込み)だ。YouTube Music Premiumの機能に加えて、YouTubeでも「広告なし再生」「バックグラウンド再生」「オフライン再生」機能が使えるようになる。

さらに、YouTube Premiumの会員は、12月から日本でも配信される予定のYouTubeオリジナルコンテンツ「YouTube Originals」を視聴することも可能だ。すでに世界30カ国でコンテンツを展開しているが、このたび、日本でも制作がスタート。SEKAI NO OWARIとMARVLEがコラボしたミュージックビデオ制作の裏側に迫るドキュメンタリー「Re:IMAGINE」、YouTuberのはじめしゃちょーが主演する連続ドラマ「The Fake Show」、YouTubeで人気のクリエイターが手がけた「隙間男:Stalking Vampire」の3つだ。

「YouTube Music Premium」と「YouTube Premium」で利用可能な機能
日本で制作される「YouTube Originals」のコンテンツ

発表会には「The Fake Show」に主演する、YouTuberのはじめしゃちょーが駆けつけた。

はじめしゃちょー

「今回僕が出演するのは、今までなかったYouTuberをテーマにしたドラマ。アカウント乗っ取りや炎上など、問題に直面しながらも夢に向かって進んでいく姿が描かれているので、僕の動画を見たことない人にも見てほしいですね」と動画の紹介をするとともに、YouTube Musicについて「普段、広く浅く、さまざまな音楽を聴くので、非常に楽しみなサービスです。ぜひ使ってみたいと思います」と期待を述べた。

なお、YouTube Musicは「Google Home」「Google Home Mini」にも対応予定。そのほか、現在「Google Play Music」を利用しているユーザーは、追加料金なしで移行することができるという。