“大人”が18歳から始まる「成人年齢の引き下げ」

カレー沢薫の時流漂流 第4回

“大人”が18歳から始まる「成人年齢の引き下げ」

2018.08.27

漫画家・コラムニスト カレー沢薫さんの社会派連載!

第4回は、「成人年齢の引き下げ」について

2022年4月から成人年齢が引き下げられ、18歳から「成人」になることが決定した。

もう、18歳から成人になってなかったか?と思ったが、アレは選挙権の話だった。いかにこのニュースへの関心が薄いかがわかる。

だが何せ、当方2022年にはすでに「20回目の18歳の誕生日」を迎えた後である。深い関心を示せと言う方が無理だ。どちらかと言えば成人年齢を50まで引き上げて欲しい。そうすれば、あと10年は「40歳児」として大目に見てもらえる。

では、当事者である2022年以降18歳になる少年少女らがこのトピックに大きな関心を寄せているか、といえば「そうでもない」という印象だ。何故なら「飲酒、喫煙、馬券などの購入」に関しては二十歳解禁が据え置きなのである。この時点で、意識が標準以下のティーンは「意味ねえじゃん」と解散してしまいそうだ。

酒、タバコ、ギャンブルがやれない時点で何もできないのと同じな気がするが、じゃあ一体何ができるんだよ、というと「携帯電話や車の購入契約ができる」「ローンを組める」「民事裁判が起こせる」「性別変更申し立てができる」などが挙げられる。もちろん先だって法改正された選挙権もある。

それなりに、18歳で出来ることは増えるのだ。

成人繰り上げ、何のため?

これに関しては、海原雄山が「馬鹿どもに車をあたえるな!」とブチ切れたのと同じノリで反対した人もいた。18歳などという、まだ判断力に欠ける子供にそれらの権利を与えたら、悪党の餌食になるだけである、という懸念である。

年齢による判断力の有無を争点にしてしまったら、「古希を超えたあたりから徐々に権利を奪う」ことも同時に検討しなければいけない気がするが、18歳にこれまで以上の権利を与えたことで、起こる問題も当然あるだろう。

もちろん、老獪な18歳もいれば、天真爛漫な48歳もいるので、必ずしも判断力が年齢に比例するとは限らず、騙される奴はいくつになっても永遠に騙される。だが、逆に言うと、そういう騙されやすい奴が2年も早く騙されてしまうと言うことだ。

つまり18歳を成人と見なすことにより「騙され人口が増える」、簡単に言えば「犯罪被害が拡大する」ことが懸念されているのだ。そのため、消費者契約法も一緒に改正して、「言い寄ってきた異性にツボを買わされる」などの不当な契約を取り消せるようにするという。

とはいえ、当然だが、携帯や車、ローンの契約が親の許可なくできる、ということは、その契約に対する責任は18歳であっても本人にあるのだ。つまり18歳の権利が増えた、というよりは「責任が重くなった」と言った方が良いだろう。

「どこから」が大人か

そもそも、政府が18歳を成人にしようとした目的は「若年者の社会参加を早めるため」つまり「早いところ社会人としての責任を感じてもらうため」である。

日本人の寿命が40年ぐらいしかなかった頃は、ボヤボヤしてたらすぐ死ぬので、早めに大人として扱う必要があったと思うが、無駄に100年とか生きる今になって、何故大人認定を早めたかというと、ご存じ少子高齢化問題である。

近い将来、深刻な労働力不足になるのはわかっているので「とっとと社会的戦力になってもらわないと困る」のだ。先の戦争を越えて、15歳で元服だった江戸時代にまで戻りそうな勢いだが、そのぐらい今の日本はひっ迫しているということだろう。

だが、有能な人材を作り出すためには、長い時間がかかる教育も必要なので、「一秒でも早よ社会へ」という動きは国をさらに衰退させる気がしないでもない。また、年金納付義務は今後も二十歳からで据え置きだが、近い将来に18歳からも徴収するため、今回成人年齢を引き下げたのでは、という見方もある。

しかし、現在でも信用ゼロの年金氏である。数年したら「年金がもらえるとか都市伝説」というレベルになっている可能性は十分ある。よって、年金を18歳から払わせることにしたとしても、未納者、免除者が増えるだけか、免除制度を知らないその親が無駄に払うだけ、とも言われている。

その他の改正点としては、今まで婚姻は男子18歳、女子16歳で可能だったが、男女ともに18歳で可能となる、つまり両者とも「成人後、婚姻可能になる」ということだ。これに関しては「少子化改善のため、早く子供を産んでもらうよう、女は14歳から可能にしよう」とならなくて、心から良かったと思う。

また、従来では、18歳が罪を犯しても未成年者として実名報道されることはなかったが、法改正後は「本名顔出しNG」とはいかない。バッチリ世間に罪と顔と名前が公表されることとなる。よって今回の改正は「少年犯罪抑止」にもなる、と言われている。

しかし、ニュースをつけると、二十歳以上の御仁が、ガンガンに法を犯して顔と実名を曝すという雄姿を連日見ることができる。おそらく彼らは、自分たちが捕まったらこういうことになる、と知らなかったわけではないだろう。知らなかったとしたら、早く社会に出すことより「もっと教育期間を延ばす」方を考えた方が良い。

このように、未成年でも、やらかさない奴はやらかさないが、「やらかす奴はいくつになっても一生やらかす」。「どこからが大人か」という論争は、そういう永遠の3歳児がいるかぎり、結論が出ない気がする。

■本連載は毎週月曜更新です。

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「選択と集中」が進みすぎた、日本の科学技術への投資

藤田朋宏の必殺仕分け人 第1回

「選択と集中」が進みすぎた、日本の科学技術への投資

2018.11.15

ちとせグループCEOの藤田朋宏氏による新連載

巷を賑わす”ヘンな出来事”の問題点を、独自の解釈で洗い出す!

第1回は、「日本の科学技術投資」について

バイオベンチャー企業群「ちとせグループ」のCEOを務める藤田朋宏氏による新連載。“手段と目的の違い”によって生じた「ヘンな出来事」の問題点を、独自の視点で語ります。第1回は、「日本の科学技術投資」について。日本の科学技術への投資の問題点とはいったい何なのでしょう?

才能と“伸びしろ”に投資する、日本サッカー協会

先日、クアラルンプールに出張したときのこと。宿泊先のホテルが偶然にもサッカーの日本代表と同じだった。「日本代表」と言っても、同じホテルに泊まっていたのは本田や長友ではなく、U-16アジア選手権に参加している若い選手たち。

そこで彼らを見ていて、ふと考えた。日本サッカー協会の「選手への投資」は、実は凄く効率がいいのではないか。どうしてそう思ったのか、順を追って説明したい。

ホテルに置いてあったU-16アジア選手権のバナー

チェックインを済ませ、「部屋の準備があるから、ちょっとだけそこで待っていて」と指示するホテルマンに従い、ひとりロビーに放置されている間、何となしに選手の情報を調べてみた。それから一時間半。23名の選手一人ひとりの顔だけでなく、利き足まで覚えるくらいの時間が経っても、僕はまだロビーで放っておかれたままだった。まぁ、東南アジアではよくあることなので、腹は立たなかった。

ところで、「過去のU-16日本代表がその後、何度も日本代表に選ばれる割合はどれほどだろうか」と疑問に感じ、調べてみたところ、各年20数名の代表選手のうち、現役で活躍している選手は約1人であることが分かった。確かに16歳の段階では身体の発達に差があるし、試合で活躍できるかは運の要素も絡む。コーチとの相性やケガの問題もあるだろう。

そうは言っても、16歳の時点で日本代表に選ばれるだけのポテンシャルを持つ選手のうち、その数%しか将来も活躍できる選手がいない、という事実には驚いた。実際、長谷部、本田、岡崎、長友……など、この10年で活躍している選手たちの多くは、16歳時点ではそこまで期待されていなかった選手ばかりだ。

ではなぜ、そういった選手が後に日の目を浴びられたかというと、それは彼らにも「チャンス」を与えられていたからだろう。日本サッカー協会は、16歳時点で選抜したトップ選手だけに集中投資するだけではなく、同年代の他の有望選手にもしっかりとチャンスを与え続けられるような仕組みをつくれたのだと思う。

際立って目立つ選手だけではなく、将来の伸びしろがありえる選手にも、最低限のチャンスは回ってくることで、未来のトップ選手の育成が図れる。そうやって日本サッカー協会はこれまで、世界に通用するような選手を輩出してきた。

「科学技術に投資せよ」ではなく、予算配分の再考を

前置きが長くなってしまったが、ここから本題に入りたい。

先日、京都大学特別教授の本庶佑先生がノーベル賞を受賞したというニュースが流れた。「自分がバイオテクノロジー業界で働く人間だから」というのは関係なく、本庶先生と周りのチームの方々の長年にわたる科学に対する貢献が認められたこと、その事実に接した関係者の気持ちを想像すると、とても嬉しい気持ちになった。

ノーベル賞メダル(レプリカ)

 

近年、日本人のノーベル賞受賞が続いている。彼らのような日本の科学業界の仕組みをよくわかった方々は、これまで数多くのご苦労をされてきたことだろう。しかし、1つ残念なこともある。能力はもちろん、人格的にも優れたそういった先生方が、ノーベル賞受賞のタイミングでマスコミに発表する一世一代のコメントが「日本国の科学技術投資、科学技術教育のあり方についての憂い」であることだ。

僭越ながら、先生たちのコメントを解釈すると、よくニュースで取り上げられるような「科学技術にもっとお金を使え」ということではなく、その先にある「国家予算の配分」についての指摘をしていると認識している。

誰がなんと言おうと、日本の科学技術投資の選択と集中は年々進んでしまっているのが現状だ。しかし、先生方のいうような「選択と集中が進みすぎている」という指摘に対して、「日本にはもうお金がないのだから科学技術にばかり投資できない」と答えがずれてしまっている。

これこそが、日本の科学技術投資における問題ではないだろうか。

日本にはびこる「選択と集中こそが正解だよ病」

随分前からずっと不思議なのだが、そもそも「選択と集中こそが正解である」なんて、誰がいい出したのだろう。「選択と集中」の戦略で物事をうまく切り抜けられるようなことは、本当に生きるか死ぬか、背水の陣を敷いている時くらいだと思うのだ。

今の日本の「選択と集中こそが正解だよ病」はなかなか根深く、そもそもの目的を実現することよりも「選択と集中」を行うことそのものが目的になっているんじゃないかと感じることが多い。

今の日本で行われている多くの意思決定の場面で、サッカーの例で例えると、U-16日本代表を選んだ人のメンツを潰さないということが、強い日本代表をつくることよりも優先されてしまっているように思う。

そのため、16歳の時点で選んだ選手だけに集中投資し、16歳の段階で選ばれなかった他の選手のポテンシャルに賭けることもしないというような「選択と集中が正解である」という間違えた進め方で意思決定が行われているようなことが多いように感じる。

サッカー選手の育成でも、科学技術の投資でも初期の段階で選抜してそこだけに集中投資するという戦略を繰り返せば繰り返すほど、全体としての力は落ちる一方になるのではないか。歴代のノーベル賞受賞者の先生方も、そういうことを言いたかったのではないかと思う。

手段であるはずの「選択と集中」が、目的となっている?

私は、「16歳の段階で、将来素晴らしいサッカー選手になる人物を見分けられる」なんて言葉は、伸びしろのある選手に対しておこがましいと感じる。これは科学技術の研究にも同じことが言える。「その研究が将来素晴らしい成果を残すかどうか見分けられる」なんて言葉は、科学者に対しておこがましい。

もっと言ってしまえば、どの研究が将来化けるかの判断は、16歳のサッカー選手の成長を言い当てることより遥かに難しいだろう。なぜならば、サッカーという競技のルール自体は変わらないが、科学と言う競技はルール自体を決めているので、科学研究の将来性をあらかじめ予測するのは16歳のサッカー選手の将来性を予測するより難しいためだ。

そんな中、日本サッカー協会が幅広い底上げに力を入れ、紆余曲折も有りながらも右肩上がりの成長を維持できているにも関わらず、日本の科学技術投資は過剰な「選択と集中」を強めるが故に、科学技術力の相対的な低下を招いているように感じる。

その差はいったい何か? これは1つの仮説でしかないが、日本サッカー協会の強さの秘訣は、会長の独断で物事を決められる側面が強い組織であるために「目的」がハッキリしている点にあるのではないだろうか。

その一方で、日本の科学技術投資のような“数多くの人の善意の組み合わせの上になり立っている意思決定機構”では「選択と集中を進めることが正解である」という、本来手段の一つである価値観が「目的」となってしまっているように感じる。

本来考えるべきは、「日本の科学技術をどうするべきか」ということであるにも関わらず、その手段と目的が逆転しまっているのではないだろうか、と思うのだ。

音楽特化の「YouTube」が日本上陸! AIでレコメンド

音楽特化の「YouTube」が日本上陸! AIでレコメンド

2018.11.14

音楽に特化した「YouTube Music」が日本でスタート

有料会員になれば、広告なし再生やオフライン再生が可能

YouTube Premiumでは、オリジナルコンテンツの配信も開始

仕事や作業をする際、周りのノイズをカットして集中するために、音楽を聴くという人は多いだろう。わかる。よくわかる。フロアが騒がしいと作業に全く集中できない。周りで仕事している人がいるということがわからないのだろうか、と疑問に思うが、まぁそれは置いておいて、パソコンで作業する場合、手軽に好きな音楽を聴けることから、YouTubeで音楽を聴くという人も多いのではないだろうか。

そんなYouTubeユーザーに朗報である。11月14日、Googleは音楽に特化したストリーミング再生サービス「YouTube Music」を日本でローンチすると発表したのだ。

好みやシーンに応じて楽曲をレコメンド

YouTube Musicは、音楽再生に特化したアプリ。YouTubeにある公式の曲やプレイリスト、歌ってみた、弾いてみたなど、さまざまな音楽動画を視聴することができる。

また、機械学習が活用されているのも特徴の1つだ。視聴履歴などからユーザーの好みを把握するだけでなく、「いつどこで何をしているのか」を類推して、シーンに合わせた楽曲をレコメンド。家でリラックスしているときにお勧めの曲や、仕事中にお勧めの曲などを、自動でピックアップしてくれるという。

さらに、あいまいなカタカナ発音で洋楽を検索したり、CMタイアップ曲などから検索したりすることも可能で、聴きたい曲をスムーズに探すことができそうだ。

サービスの発表会において、YouTube 音楽部門 プロダクトマネージメント責任者のT.ジェイ ファウラ氏は「オーディエンスに着目した結果、今出ているアプリでは満足できていない層があることがわかり、そのユーザーに音楽サービスを届けようとこのサービスをスタートしました。YouTube Musicは、ユーザーの利用シーンや好みに合わせた曲を、YouTubeにある膨大なミュージックカタログからレコメンドするユニークさを持っています」と、サービスの魅力を強調した。

YouTube 音楽部門 プロダクトマネージメント責任者のT.ジェイ ファウラ氏

無料でも利用できるが、有料のYouTube Music Premiumに登録すると、「広告なし再生」「バックグラウンド再生」「オフライン再生」などが可能になる。料金はWeb/Androidが月額980円で、iOSが月額1280円(ともに税込み)だ。

YouTube 日本音楽ビジネス開発統括担当の鬼頭武也氏は「日本ユーザーの方は通勤通学などで音楽を聴くことが多いと思います。オフライン再生機能では、前日の夜に自宅のWi-Fiで翌日聴くべき曲を自動で更新し、通信なしで聴けるようになります。データの通信量などを気にする必要もないので、非常に便利な機能だと思います」と、オフライン再生のメリットを訴求した。

なお、同サービスには著作権管理システムが働いており、YouTubeと同様に適切な権利コントロールが可能だという。

YouTube 日本音楽ビジネス開発統括担当の鬼頭武也氏

「YouTube Originals」が日本でも始動

また今回、「YouTube Premium」という新しい有料プランもスタートする。料金はWeb/Androidだと月額1180円で、iOSだと月額1550円(ともに税込み)だ。YouTube Music Premiumの機能に加えて、YouTubeでも「広告なし再生」「バックグラウンド再生」「オフライン再生」機能が使えるようになる。

さらに、YouTube Premiumの会員は、12月から日本でも配信される予定のYouTubeオリジナルコンテンツ「YouTube Originals」を視聴することも可能だ。すでに世界30カ国でコンテンツを展開しているが、このたび、日本でも制作がスタート。SEKAI NO OWARIとMARVLEがコラボしたミュージックビデオ制作の裏側に迫るドキュメンタリー「Re:IMAGINE」、YouTuberのはじめしゃちょーが主演する連続ドラマ「The Fake Show」、YouTubeで人気のクリエイターが手がけた「隙間男:Stalking Vampire」の3つだ。

「YouTube Music Premium」と「YouTube Premium」で利用可能な機能
日本で制作される「YouTube Originals」のコンテンツ

発表会には「The Fake Show」に主演する、YouTuberのはじめしゃちょーが駆けつけた。

はじめしゃちょー

「今回僕が出演するのは、今までなかったYouTuberをテーマにしたドラマ。アカウント乗っ取りや炎上など、問題に直面しながらも夢に向かって進んでいく姿が描かれているので、僕の動画を見たことない人にも見てほしいですね」と動画の紹介をするとともに、YouTube Musicについて「普段、広く浅く、さまざまな音楽を聴くので、非常に楽しみなサービスです。ぜひ使ってみたいと思います」と期待を述べた。

なお、YouTube Musicは「Google Home」「Google Home Mini」にも対応予定。そのほか、現在「Google Play Music」を利用しているユーザーは、追加料金なしで移行することができるという。