「マイニング」の仕組みと報酬

理解を一歩深めるための仮想通貨レクチャー 第3回

「マイニング」の仕組みと報酬

2018.08.16

マイニングとは、ルールに沿った256桁のハッシュ値を求めること

得られる収益は大きく分けて2種類

マイニングをする意義とは?

「マイニング」とは?

仮想通貨に関心のある方は、一度ぐらい「マイニング」という言葉を聞いたことがあるのではないだろうか。一般的に仮想通貨におけるマイニングとは、ブロックチェーン上にまだ記録されてない取引情報を格納した最新のブロックを、ブロックチェーンに追加する作業を指す。しかし、その説明を聞いてすぐに理解できる人はそこまで多くはないはずだ。そこで、ビットコインを例に具体的な流れを紹介しよう。

1.ブロックに格納する取引情報の収集を行う

マイニングをする際、まずはブロックに格納する取引情報の収集を行う。ビットコインのアプリケーションをダウンロードした端末に存在する「自動的に通信を行うビットコイン利用者のネットワーク」から集めた情報に、ブロックにまだ取り込まれていない取引(トランザクション)、自身のマイニングによって得られる報酬獲得の取引内容を加えて、1つのブロックの中に格納する。

2.ハッシュ値と呼ばれる、データを圧縮した数値を求める

次の作業では、「ハッシュ関数」と呼ばれる数式に、ブロックに格納された情報とマイナーが任意に設定した数値を代入することで、解に相当する256桁の数値を求める。数式は仮想通貨の種類によってさまざまだが、ビットコインでは「SHA256(セキュア・ハッシュ・アルゴリズム256)」と呼ばれる関数が採用されている。SHA256そのものは、仮想通貨だけでなくデータの暗号化を行う数式として用いられる一般的な数式だ。なお、マイナーが任意に設定した値は「ナンス」、数式の計算で得られた256桁の値は「ハッシュ値」と呼ばれる。

3.繰り返しナンスにさまざまな値を当てはめて、ルールに沿ったハッシュ値を求める

ビットコインではブロックチェーンに新たなブロックを追加する際、この256桁の値が常に一定の条件を満たす必要がある。当然、ブロックに格納した取引の情報は変化しないので、ナンスにさまざまな値を当てはめることで、ルールに沿ったハッシュ値を求めていくわけだ。

効率は悪いものの、ハッシュ値を求める作業そのものは紙と鉛筆で行うことも可能だ。このとき、1秒間に何回この作業を繰り返せるかという数値を「ハッシュレート」と呼び、1秒間に1度この作業を行う場合は「1 hash / 秒」と表される。ちなみに、全世界で1秒間に約40,000,000,000,000,000,000(4,000京)回前後の計算が行われているという(記事を執筆した2018年6月時点)。

4.ルールに合うハッシュ値をネットワークで発信し、確認する

ルールに沿ったハッシュ値が得られた場合、すぐビットコインネットワークに発信する。受信したユーザーは発信されたハッシュ値が正しいことを確認したうえで、次のブロック生成を行う。

こうしてみると、マイニングによってハッシュ値を求めることは難しいように思えるかもしれない。ビットコインは世界中で知られている仮想通貨であるため、さまざまな人によってマイニングが行われているが、知名度の低い仮想通貨であれば、マイニング参加者が少ないためハッシュレートも低いことが想定される。つまり、自宅のPCでマイニングを行える仮想通貨もあるというわけだ。

最近では、仮想通貨のマイニングが可能なスマートフォンのアプリまで出てきているから驚きだ。ほかにも、PCのCPUの処理能力を販売し、マイナーに代わってハッシュ値を求める計算代行サービスや、悪用した事例では、感染すると勝手にCPUの処理能力を利用してマイニングを行うウイルスまで存在する。

「コインベース」と「トランザクション手数料」、2つのマイニング報酬

では、どのようにマイニングで収益を得ることができるのか。

個々の仮想通貨の仕組みにもよるが、マイニング報酬の内訳は大きく分けて2つ存在する。1つは「コインベース」と呼ばれるものだ。

執筆時点(2018年6月)のビットコインの場合では、1つのブロックを生成すると報酬として12.5ビットコインを獲得することができる。これは、プログラム上で定められており、4年に一度半分に減少していく。コインベースがなくなるまでには、100年以上かかると想定されている。

というのも、一定の時間をかけることで、徐々にビットコインは世の中に浸透していき、最終的に世界で活発に利用された結果、コインベースによる報酬がなくてもマイニングが成立するようになるというのが、ビットコインの設計思想であるためだ。

もう1つは、トランザクション(取引)を生成した送金者が任意に設定できる「トランザクション手数料」。多くの仮想通貨交換所のサービスでは、トランザクション手数料を固定しているため、意識する機会は少ない。

なぜ、手数料が固定なのかというと、現在のビットコインの仕組みでは、送金者が設定した任意のトランザクション手数料のうち、値の大きなトランザクションから順にブロックへ格納する仕様になっているためだ。あまりに少額の手数料を設定すると、いつまでもトランザクションがブロックに格納されず、確定しないという現象が起こり得る。交換所が手数料を固定で設定する背景には、こうした点への配慮もあると考えられる。

マイニングの意義とおもしろさ

最近、Dapps(分散処理アプリケーション)が少しずつ注目を集めている。Dappsは、利用者が端末の処理性能を少しずつ提供し、アプリケーションを稼働させるために必要な処理を実施していくというものだ。仮想通貨の世界では、こうした作業の分担による対価をどのように支払うか、そして、ネットワークがスケールしていく過程でどのようにインセンティブを設計するか、という点で興味深い仕組みと言える。

マイニングは、報酬として仮想通貨を得る機械的な作業というだけでなく、ネットワークの運営を担当すると捉えれば、ビットコインマイナーは「ビットコイン」という分散処理アプリケーションを支えていると言い換えられるだろう。

限られた資源の活用とシェアという文脈で、今後はビットコインに限らずさまざまな分散処理アプリケーションが浸透していくだろう。その際、アプリを利用するときには誰もが当たり前の様に「マイニング」を行う時代が訪れるかもしれない。

著者プロフィール

齋藤亮
SBIバーチャル・カレンシーズ代表取締役副社長

2010年、SBIホールディングス入社。SBIグループにて、主に経営企画・事業開発に従事。
2016年、SBIバーチャル・カレンシーズ株式会社 代表取締役に就任、日本初の仮想通貨交換業者として登録を果たす。
2017年より仮想通貨事業者協会(JCBA)理事。

SBIバーチャル・カレンシーズ

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NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

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○森口将之のカーデザイン解体新書
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○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
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○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
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○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
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○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
https://news.mynavi.jp/series/bungu

○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu