天井から音が降り注ぐ、照明とスピーカーの融合 - パナソニック「AIR PANEL LED THE SOUND」

モノのデザイン 第36回

天井から音が降り注ぐ、照明とスピーカーの融合 - パナソニック「AIR PANEL LED THE SOUND」

2018.03.13

パナソニックから2月21日に発売された「AIR PANEL LED THE SOUND」。LEDシーリングライトとスピーカーが合体したユニークな製品だ。

LEDシーリングとして調色や調光ができるのはもちろん、Bluetooth経由でスマートフォンと連携することで、スマートフォン内の音楽を再生できる。また、ワイヤレス送信機同梱タイプは、ワイヤレス送信機と通信することでテレビの音を流すこともできる。

2月21日発売のパナソニックの「AIR PANEL LED THE SOUND」。LEDシーリングライトとスピーカーを合体化させた画期的な商品。天井に取り付けて空間をスタイリッシュに見せる

光とともに天井から音が降り注ぐように流れるというのは、これまでにはない感覚の体験だ。そこで今回は、同製品の開発やデザインに携わった2人の担当者に、製品のコンセプトをはじめ、開発プロセス、デザイン上のこだわりについて話を伺った。

LED部門の企画・開発担当者を務めた、パナソニック エコソリューションズ社ライティング事業部コンシューマ商品企画課の居相徹氏(左)とデザイン担当の同社デザインセンターの速水拓氏(右)

同製品の開発は、およそ2年前の2016年に遡る。2016年10月に、パナソニックは「AIR PANEL」シリーズと呼ばれるLED シーリングライトを発売。AIR PANEL LED THE SOUNDは同シリーズの角型タイプ(2017年9月発売)をベースに、同社のBluetoothスピーカーを搭載したものだ。

しかし、この製品は、シーリングとスピーカーのどちらを出発点として生まれたものではないという。「生活シーンからの発想で、どちら側が先というわけではない。パナソニックとして、事業を横串に新しい住空間の価値を提供できないか? と考えた際に辿り着いたのが、あかりと音の融合でした」と語るのは、主にLEDシーリング側の企画・開発部分の担当者を務めた、パナソニック エコソリューションズ社ライティング事業部コンシューマ商品企画課の居相徹氏だ。

製品開発の初期の段階での課題は「組み合わせをどうするか? 」。最初の時点では、すでにあるものを合体させただけのものだったそうだが、真っ先に問題となったのはやはりスピーカーの音質。というのも、スピーカーの音質を直接的に左右する要素は"容量"になるが、天井に取り付けるシーリングとしての機能を満たすために大きくはできないからだ。主にLEDシーリング部分のデザインを担当した、パナソニックエコソリューションズ社 デザインセンターの速水拓氏は次のように苦悩を明かした。

「音をよくするために、スピーカーの担当側は当然容量が必要だと主張します。そこで、なるべく小型軽量で音のいいスピーカーにしようとプロトタイプを作っては実験を繰り返しましたが、何個作っても納得のいく音にできませんでした。またシーリングライトとしても十分な機能を満たす必要があります。理論上はうまくいきそうだと思っても、光の漏れ方やスピーカーとのバランスは実際試作品を作って見てみないことには結果はわからないという状態で、それぞれ単体の製品を作るのに比べるとはるかに手間がかかりました」

スピーカーとLEDシーリングライトを合体させることにより、単体での製品では検討する必要のない要素も克服しなければならなかったという。特に、LEDシーリングライトは天井の照明用配線器具にワンタッチでの取り付けが必至となる。配線器具の耐荷重は5キロまでのため、重量を抑えつつもスピーカーを装備しなければならない点が特に難しかったと話す。

AIR PANEL LED THE SOUNDには、最終的にLEDシーリングライトの両サイドに2つのスピーカーが搭載された。3×9センチのコーン型ユニットで、新たに設計されたバスレフポート(低音域の増幅器)を内部に備え、コンパクトでありながらも低域を増強することでバランスのよい音質を実現。また、ネオジウムマグネットと呼ばれる素材を採用することでグラム単位の軽量化と磁気回路の増強を図り、クリアで広がりのある音響効果を達成したとのことだ。

AIR PANEL LED THE SOUNDのスピーカー部分。小型軽量のために新たに開発されたスピーカーユニットとパスレフポート孔から主に構成されている

AIR PANEL LED THE SOUNDは、単なるLEDシーリング一体型スピーカーではない。サウンドが天井から降り注ぐように広がるという、これまでにないユーザー体験を提供しているのも特長だ。

というのも、通常の置き型スピーカーの場合は、正面に向かい合った場合を想定して再生される音の設計がなされる。そのため、一般的にスピーカーの中心から左右にずれたり、離れるほどに音圧が弱まる傾向にある。

これに対し、AIR PANEL LED THE SOUNDは天井から音が降り注ぎ、部屋全体へと広がるように設計されている。部屋のどの位置に居ても、聞こえ方に違いが少ないのだ。簡単に言うと、"指向性スピーカー"の逆のようなもので、スタジオにいるかのように、どの位置からでも同じように聞こえるという特異なスピーカーだ。

スピーカーユニットには、ネオジウムマグネットと呼ばれる素材を採用。グラム単位の軽量化を目指すとともに、磁気回路の増強が図ら、重量の問題と音質を両立させることに

居相氏によると、AIR PANEL LED THE SOUNDでは、平均的な大人がソファに座った際の耳の高さとなる1.2メートルに近いほど、音が広がる設計がされているそうだ。さまざまな検証の結果、スピーカーの取り付け角度は12.5°で、厚さ99ミリというのが、極力薄く小型軽量でありながらも最も部屋全体に音が広がる条件となったといい、それに合わせてスピーカーの設計がなされたのだという。また、天井に取り付ける製品である限り、集合住宅などの場合には、上階に音を響かせてはいけない。「音が響かないかということも含めてしっかり検証しました」と振り返る。

AIR PANEL LED THE SOUNDは、360°に広がる音の体験と3方向の照らし分けによる、空間演出の新たなユーザー体験を提供することをプロジェクトの軸として開発が進められた

AIR PANEL LED THE SOUNDで再生した音や音楽を実際に体験してみると、スピーカーは左右2チャンネルだが、それぞれの音がオーバーラップするように聞こえるのも特長だ。モノラルでもサラウンドシステムでもない、かつて経験したことのない音の聞こえ方だ。

「天井から聴こえるという360°スピーカーなので、そもそも左右のチャンネルという概念がありません。しかし、音のソース自体は左右に分かれています。この部分はスピーカーの担当チームがとても苦労した部分で、デジタル的な信号処理によりミキシングをうまく行い、最適化が図られました」と居相氏。速水氏も「オーディオ製品も手がけているメーカーとして、"パナソニック"のオーディオとして恥ずかしくないものを出さなければならないという意気込みがありました」と付け加えた。

一方、外観上のデザインについては、部屋のインテリアの一部を成すLEDシーリングライトとして洗練されたものでなければならない。AIR PANEL LED THE SOUNDの原型となった「パネルシリーズ」には、丸形や三つ葉のクローバーのような3枚パネルのタイプなどもラインナップするが、速水氏によると、角型タイプが採用されたのは実空間への"なじみやすさ"を最優先させたためだという。

2枚のパネルとセンター光で3方向に照らし分けが行えるAIR PANEL LED THE SOUND。色味や明るさと方向の組み合わせで、1つの部屋に居ながら照明により気分や目的に合わせて、生活空間の雰囲気やムードを変えられる

「他のタイプもそれぞれに人気があるのですが、どんな部屋やインテリアにも溶け込むスタイリッシュさという点では、スクウェアフォルムが最適だということで選ばれました。同じように、スピーカー部分に関してもある程度"アイキャッチ"でありながらも、目立ちすぎず、違和感なくすっきりとなじませるかでいくつものパターンを作って試行錯誤を繰り返しました」

AIR PANEL LED THE SOUNDは、生活シーンに対して「新たな空間価値を創造する」というのが製品開発の原点にある。スピーカーから流れる音とともに、照明器具としては、2枚のパネルとセンター光で3方向に照らし分けることができるなど、シーンに合わせた空間演出やパーソナライゼーション機能を提供する製品でもある。

そういう意味では、これからの日常生活の在り方を変える発明品とも言える。また、白物家電の1つである照明器具と、黒物家電の1つであるオーディオ機器を単に利便性のためだけに一体化させたのに留まらず、それぞれの潜在的な魅力を新たに掘り起こすことを成功させた。総合電機メーカーとして長年の実績を持つパナソニックだからこそ具現化できた製品とも言える。

CESで大注目の「折り曲げられるスマホ」、普及の見込みは?

CESで大注目の「折り曲げられるスマホ」、普及の見込みは?

2019.01.18

中国メーカーが自在に折り曲げられるスマホを実現

「大画面×コンパクト」を両立する夢のデバイス、実用性は?

端末の魅力を引き出すアプリ登場が普及のカギか

米ラスベガスで開催された世界最大級の家電見本市「CES 2019」では、2019年のトレンドを先取りする新ガジェットが一堂に会した。その中でも一際大きな注目を浴びたのが「折り曲げられるスマホ」だ。商品化にこぎ着けたのは世界初という。

折り曲げられるスマホ「FlexPai」

スマホの画面サイズが大型化を続ける中、iPhone SEのような小型スマホを求める声は依然として多い。そこで登場した折り曲げられるスマホは、「大画面」と「コンパクト」を両立する夢のデバイスに見える。果たして普及の可能性はあるだろうか。

自在に折り曲げられるスマホ、中国メーカーが実現

折りたためる2画面のスマホというアイデア自体は、実はそれほど目新しいものではない。NTTドコモとZTEが共同開発した「M Z-01K」などは、現行モデルとして国内で販売中だ。

だが、従来の2画面スマホはヒンジを用いて2つの画面をつなげたものに過ぎなかった。その後、液晶とは異なる特性を持つ有機ELが登場したことで、ディスプレイを紙のように自在に折り曲げられることも夢ではなくなった。

有機ELの「曲げに強い」という特性は、多くのスマホに活用されている。サムスン電子のGalaxyシリーズが画面端を曲面にしたスマホを発売後、ソニーモバイルシャープもこの形状を採用している。

これを推し進め、開くとタブレットのような大画面、2つに折り曲げるとスマホサイズという端末の可能性が見えてきた。そして2018年10月、中国のRoyoleが、世界で初めての折り曲げられるスマホ「FlexPai」を商品化したのだ。

中国Royoleのブース。フレキシブルディスプレイを使った様々な製品が並んだ

CES 2019では韓国のLG電子が巻き取り式のテレビを発表するなど、「曲がるディスプレイ」が会場全体で話題になっていた。そうした下地もあって、Royoleの出展ブースには来場者の行列が絶えず、展示機がバッテリー切れを起こすほどの盛況となっていた。

実用性はさておき、スマホの進化の可能性を示した

FlexPaiの特徴は、開いた状態ではタブレットに近い形状になり、そこから自由に折り曲げできる点にある。従来の2画面スマホとは異なり、広げた状態でも画面の境目がないため、タブレットと同じ感覚で利用できる。

広げた状態ではタブレットのように使える

メーカーが挙げるメリットは、複数のニーズごとの端末を1台に集約できることだ。大画面が欲しい人の中には、スマホとタブレットを両方持ち歩いている人もいるだろう。だがFlexPaiなら持ち歩くのは1台で済むというわけだ。

折り曲げた状態では一般的なスマホと同じように使える

折り曲げというギミックから、耐久性に不安を覚えるものの、20万回程度の折り曲げに耐えられるという。ただ、折り曲げると厚みが出るため、スマホのようにコンパクトに持ち歩くことはまだ難しい。

アプリの対応も課題だ。FlexPaiを折り曲げた状態では「表面」と「裏面」に加え、折れ曲がった「エッジ」の3画面を利用できる。FlexPaiの魅力を引き出すには、これら3画面を活用するようなアプリの登場が待ち望まれる。

そこでRoyoleは、FlexPaiをアプリ開発者向けに1,318ドルの価格で先行販売している。まずは開発者にデバイスを手に取ってもらい、どのような活用方法が考えられるか、アイデアを募っていく段階といえる。

会場で実機を試した印象だが、現段階での折り曲げスマホは実用的とまではいえないと思えた。しかしRoyoleという会社の名前を世界に知らしめ、フレキシブルディスプレイの技術を示したという意味では、この発表は大成功を収めたといえるのだろう。

また、サムスン電子など大手スマホメーカーも折りたたみや折り曲げ端末の開発を進めており、グーグルはAndroid OSとして公式サポートを表明している。スマホの次なる進化の可能性を真っ先に示したFlexPaiを、この場の実用性で語るのはお門違いなのかもしれない。

日本車のインテリアには独創的な未来がある? 「1kg展」で感じた可能性

森口将之のカーデザイン解体新書 第12回

日本車のインテリアには独創的な未来がある? 「1kg展」で感じた可能性

2019.01.18

国内主要メーカーの内装デザイナーが集まり展示会を開催

テーマは“1kgの価値”をどこまで高められるか

実車に応用できる? 独創的な作品の数々

国内主要自動車メーカー8社のインテリア・カラーデザイナーが参加する団体「JAID」が初の作品展を開催中だ。“1kg”という重さにこだわり、最新の3Dプリンターを駆使して各社のデザイナーが生み出した作品は独創的で、会場の「GOOD DESIGN Marunouchi」(東京・丸の内)は小さな現代美術館のような雰囲気になっている。

ダイハツ工業のデザイナーが出品した「受け継がれる樹脂」という作品

雑誌の対談が契機となり生まれた「JAID」

「JAID」という名前を初めて目にした人も多いだろう。「ジャパン・オートモーティブ・インテリア・デザイナーズ」の略で、「ジャイド」と読むそうだ。

創立のきっかけとなったのが、自動車雑誌「NAVI CARS」(ナビカーズ)での対談だったと聞いて、「あの号だ!」と即座に思い浮かんだ。クルマのインテリアを特集したナビカーズの2015年7月号で、筆者も別の対談に参加させていただいていたのだ。その号に国内メーカーのインテリアデザイナーが語り合うページがあったことは記憶の片隅に残っていた。

雑誌の売れ行きが落ちているといわれて久しい。それだけに、1つの雑誌の企画からJAIDのようなコミュニティが生まれたことは、モータージャーナリズムに身を置く者として嬉しい気持ちになる。

日産自動車のデザイナーが出品した「∞ Fluff」

価値ある1kgの創造に挑んだデザイナーたち

そのJAIDが企画したのが「1kg展」だ。なぜ“1kg”にこだわるかといえば、クルマの開発に携わる人たちにとって切実な「kg単価」という指標に理由がある。

「kg単価」とは、クルマの開発で使われる値段の単位だ。インテリアデザイナーとしてはkg単価が高い、いわゆる良い素材を使いたいという気持ちは大きいだろう。快適性や安全性の追求、さらには電動化への対応、重量の削減といった視点も持ちながら素材を選んでいるはずだ。

しかし、贅を尽くしてばかりでは車両価格の上昇を招くので、妥協が必要になる。おそらくインテリアデザイナーは、このような状況で悩みながら、新しい素材や仕立て、色などを取り入れるべく、奮闘の毎日を過ごしているのだろうと想像している。

では、そういった制約がなくなったとき、デザイナーたちはこのkg単価をどこまで価値あるものに仕上げられるのだろうか。これが、今回の展示会のテーマだ。最新の3Dプリンターを駆使し、時間や空間、物質としての限界などを飛び越えた作品を独自の着眼点で製作すると同時に、広くカーインテリアデザインの魅力を伝えたい。そんなメッセージのこもった展示会なのである。

ホンダのデザイナーが出品した「風速1kg」

素材と色のコーディネートが味わえる「ハンバーガー」

会場のGOOD DESIGN Marunouchiは、2013年度から通算5回、今年度も含めてグッドデザイン賞の審査員を担当している筆者にとってはなじみ深い場所だ。ところが、「1kg展」の内覧会を訪問した時には、状況がまるで違っていた。いつもは展示物をゆったりと眺めることができる空間なのに、この日はラッシュ時の駅のようにごった返していたのだ。それだけ、インテリアデザイナーの斬新な発想に期待する人が多かったということだろう。

日産のデザイナーが出品した「4D flower」。「1kg展」に作品を持ち寄ったのは、国内大手自動車メーカー7社(ダイハツ工業、ホンダ、三菱自動車、日産自動車、スバル、スズキ、トヨタ自動車)だ

作品の中には、クルマのインテリアデザインとは関係なく、最新の3Dプリンターならではの表現能力の高さをアピールするような作品も見られた。それらを業界の枠を飛び越えた独創的な作品と捉える人もいたようだが、クルマが好きで今の仕事に携わっている(はず)の方々だからこそ、もっとインテリアにこだわって欲しかった。

ただ、クルマのインテリアとの関連性が高い作品が大半を占めていることは確かで、中には独創的な発想や興味深いアイデアも見られた。本稿では独断と偏見で、そのうちの3つを紹介していこう。

まずは、会場の入り口近くに置かれていた「CMFバーガー」だ。「CMF」とはカラー、マテリアル、フィニッシュの頭文字で、ナビカーズでの対談が行われた頃から、自動車に限らずデザイン分野でひんぱんに使われるようになってきた言葉だ。造形だけでなく色や素材、仕立てにも気を配ることで、より完成度の高いデザインが生まれるというような意味が含まれている。

「CMFバーガー」はトヨタのデザイナーが出品

この作品は、CMFのコーディネートを1kgのハンバーガーに見立てて表現したもの。レザーのバンズ、クリアレンズのトマト、加飾素材のチーズやパティ、シート素材のレタスがさまざまな色で用意してあり、好みのバーガーを作り出せる。

3つの作例では、CMFの違いでかなり雰囲気の異なるバーガーを作れることが分かった。バンズを肉抜きタイプにすると総重量が1kgを切るなど、計量化を実感できる仕掛けも盛り込んである。ディーラーが車種別にCMFハンバーガーを用意すれば、顧客は楽しみながらカラーコーディネートを試すことができるかもしれない。

ディーラーに「CMFバーガー」が置いてあったら面白いかも

インテリアをボールにした斬新な作品も

続いて紹介するのは「トランスフォームステアリング」。自動運転が実用化された未来を想定した変形機構を持つステアリングで、手動モードでは伸びて操舵できる状態となり、自動モードでは縮めて格納しておける。全てがマットブラック仕上げだが、グリップ部分、変形部分、外枠部分を別のメーカーのプリンターで製作することで、素材の違いを表現している。

トヨタのデザイナーが出品した「トランスフォームステアリング」

製作したデザイナーはステアリング機能だけを想定していたようだが、左右のグリップをねじることでアクセルやブレーキの操作ができれば、この部分だけで基本的な運転操作ができる合理性の高いインターフェイスになると思った。ペダルがなくなれば、室内レイアウトの自由度も高まりそうだ。

伸ばせば手動運転に使えるし、自動運転中は縮んだ状態で格納しておける

最後は「インテリアボール」だ。写真を見てお分かりのとおり、クルマのインテリアを構成するパーツをボール状のアートとして表現したもので、多くのパーツをまとめ上げ、世の中というフィールドにデザインを“投げ”かけているインテリアデザイナーの仕事をボールの形に込めたのだという。

「インテリアボール」はホンダのデザイナーが手掛けた

展示してあるのは1個だけだが、スポーツの世界では競技によってサイズの違うボールを使うことにも製作者は着目している。使用する材料や加工方法を変えることで、同じ1kgでもサイズや見え方の違った表現ができるそうだ。

しかしながら筆者には、これがボールではなく卵に見えた。卵から生まれる前のクルマ、そのインテリアデザインは、こうなっているのではないかと想像したのだ。同じクルマのエクステリアデザインを卵の殻で表現することで、多くの車種を球形にできれば、一風変わったミニチュアになるのではないだろうか。

JAIDが企画した1kg展の作品群は、それ自体が柔軟かつ斬新な発想から生まれているだけでなく、見ているこちらも創造力が掻き立てられるものだった。この展示会を訪れて、日本の自動車メーカーにインテリアデザインの実力者が多いことに感心するとともに、メーカーには、この実力を引き出して製品に結び付ける能力が求められていることを教えられた。

1kg展の会期は1月25日まで。入場は無料だ。時間に余裕のある方は、一度訪れてみてはいかがだろうか。