機能と審美性を追求した

モノのデザイン 第34回

機能と審美性を追求した"デザインエアコン" - ダイキン「risora」(後編)

2018.02.20

インテリア性を重視したエアコンの"日本発"の家庭用ルームエアコンとして3月下旬に発売される、ダイキン工業の「risora」。デザイン担当チームの1人である、同社テクノロジー・イノベーションセンター先端デザイングループの中森大樹氏に製品開発に際して克服すべき課題やそれを実現した苦労話を伺った前編に続く後編では、7種類のバリエーションの採用理由や視覚効果のために創意工夫したこだわりなど外観的な面についての話を紹介したい。

3月下旬発売のダイキンのルームエアコン「risora」シリーズ。"理想の空間へ"をキャッチフレーズに、理想の"ri"と空調、空間を表わす"sora"の文字を掛けあわせて命名された

「risora」が目指したのは「あくまでも部屋のインテリアの一部として成り立つこと。今回、本体の構造や機構設計にまで大きなメスが入れられたが、「本体を薄くすること自体が目的ではありません」と中森氏は強調する。物理的に薄くするだけでなく、外観のデザインによる視覚的効果によって"軽やかさ"をいかにして打ち出すかも考えられた。

「risora」の形状は、デザインエアコンの第1弾として発売されたUXシリーズの個性的なデザインと比べると、地味な印象がある。直線的な箱型のボディの角を取って少し丸みを帯びたデザインで、一見平凡でもある。デザインのセオリーから言えば、部屋という箱状の空間になじみやすいのはよりストレートに直線的な形状のほうが最適なようにも思えるが、中森氏はこうしたデザインを"未完のデザイン"と表現し、採用した理由を次のように説明した。

「曲面的なデザインや角ばったデザインというのは、インテリアとしてそれだけで完結してしまうんです。しかし『risora』では、部屋にあってしっくりくるデザインを目指しています。ゆえに他の家具と並べ揃えた時に初めて全体のデザインとして完成するように、直線的でありながらも丸みを持たせることでどんな空間でもハマりやすいようにしました」

「risra」のデザインを担当した、ダイキン工業 テクノロジー・イノベーションセンター先端デザイングループの中森大樹氏
全体的には直方体でフラットな形状の「risora」だが、軽やかな印象と空間になじみやすいように角の部分には丸みが持たせられている

形状に関しては、あえて個性を廃したデザインが用いられたとも言える「risora」だが、パネル部分で個性を持たせる方法が採られているのが特徴的だ。室内機のボディに色や素材感の異なるパネルを組み合わせることで用意されたバリエーションはなんと7種類。カラーで言うと、ホワイト、ブラック、ブラウン、ゴールド、水色、グリーンの6色だが、ホワイトには質感の異なる2タイプを揃えるなど、それぞれ素材感を違えた加飾を施し、さまざまな空間デザインの要望に応える7種類をそろえた。中森氏によると、7つのバリエーションは単にカラーバリエーションを揃えたというのではないという。

色だけでなくテクスチャの違いを持たせた7種類のパネルを用意
木目調など質感を出すために「インモールドデコレーション」と呼ばれる5層を重ね合わせた特殊塗装が用いられている

「"どんな空間にするか?"、"いかに暮らすか?"を考えた結果、行き着いたのが7つのバリエーションです。それぞれに意図があり、例えば、ブラックウッドは落ち着いた印象を与えて集中するため。ラインホワイトは空間をピリッと引き締め爽やかな空間を演出。ファブリックホワイトは空間に優しく佇んでリラックスさせる。ソライロは子どもが遊ぶ楽しい空間のイメージといった具合です。」

ラインホワイト
ファブリックホワイト
ブラックウッド
グレイッシュブラウンメタリック
ツイルゴールド
ソライロ
フォレストグリーン

UXシリーズと同様に、「risora」でも動作の美しさにもこだわられている。特に、空間に違和感なく調和させるために機械的な要素を極力排除するよう配慮がなされた。

「エアコンがインテリアの一要素になると考えると、メカメカしい部分はできるだけ抑えていくよう努力しました。特にセンサーに関しては誇張し過ぎないように、前面パネルではなく下部に収めました。また、フレーム部分にラインをデザインすることによってセンサーを溶け込ませると同時に、内側から柔らかく優しい風が吹いてきそうな雰囲気も持たせているんです。パネル部分が開閉する際には、壁に対して常に平行になるスムーズな動きにして違和感のないようにしました」

外観を損ねないために、センサーはパネル前面でなく、目立たないように本体下部に収められた
稼動時にパネルが開いた際にも美しく見えるように壁に対して平行に動作する
パネル下の受信部の周囲にラインを施し浮かないようにしたり、フラップから中が見えないようにするなど運転時も機械的要素をできるだけ排除するようデザインの工夫がなされている

空調専業メーカーであるダイキンが手掛けたインテリア性を重視したルームエアコン。第1弾として発売されたUXシリーズに比べると、「risora」は無難なデザインでインパクトが弱い印象を持っていたが、話を伺うと同社の哲学が色濃く反映されたものだと納得できるものばかりだ。中森氏によると、今後もエアコンの性能や機能と並行して、デザインも含めた"エアコンのあるべき姿"を追求し、あらゆる可能性を挑戦的に模索していくとの意向で、"型"に捉われない、イノベーティブな新たな製品の誕生を楽しみにしたい。

プラズマ乳酸菌で労働生産性が向上!? ヤフーとキリンが共同発表

プラズマ乳酸菌で労働生産性が向上!? ヤフーとキリンが共同発表

2018.11.16

キリンとヤフーが共同で健康経営に関する研究を実施

プラズマ乳酸菌の摂取が免疫細胞の司令塔を活性化させることを確認

免疫力アップが労働生産性の向上につながることも導き出した

キリンとヤフーは11月15日に、キリングループの研究している「Lactococcus lactis strain Plasma(プラズマ乳酸菌)」について、共同で実施した研究結果を発表した。

研究結果は、「プラズマ乳酸菌を摂取すると、労働パフォーマンスの指標が向上する」というものだ。いったいどういうことなのだろう。

プラズマ乳酸菌が活性化させるのは免疫細胞の司令塔

そもそもプラズマ乳酸菌とは何か。乳酸菌はヨーグルトなどに入っているイメージだが、プラズマとは違う物質なのだろうか。キリン社によると、プラズマ乳酸菌とは免疫細胞の司令塔を活性化する唯一の乳酸菌だという。

どうやら免疫細胞には命令系統のようなものが存在し、司令塔を活性化させることに成功すれば、司令塔の命令を受けるすべての免疫細胞が活性化されるのだという。

ただし、一般的な乳酸菌が活性化できるのは、命令系統下位の細胞のみ。そのため効果も限られる。それに対して今回研究結果を発表した、プラズマ乳酸菌は免疫細胞の司令塔である「プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)」を活性化することができるため、免疫細胞全体を活性化することができるという。

そんなプラズマ乳酸菌が労働パフォーマンスとどう関係があるのか。次は、今回の研究で行われた試験内容を見てみよう。

一般的な乳酸菌とプラズマ乳酸菌の違い

元気な体が、低労働生産性の「プレゼンティーズム」を回避

今回の試験は、ヤフー社員226名を対象として行われた。プラズマ乳酸菌1000億個含むヨーグルトを4週間摂取し、体調、気分、労働生産性に関するアンケート評価を実施。その結果、非摂取の状態と比較すると、プラズマ乳酸菌を摂取している状態のほうが、活気があり、体調も良好だと感じている人が多かった。

また、「風邪気味で頭がボーっとする」「下痢で何度もトイレに行く」といった、出勤しているが心身の健康上の問題によって十分なパフォーマンスを発揮できていない状態を「プレゼンティーズム」と呼ぶが、今回の試験によって、このプレゼンティーズムの状態が軽減され、労働生産性が向上したことを確認できたという。

つまり、プラズマ乳酸菌を毎日摂取することで、生体内の免疫が活性化し、体調がよくなり、プレゼンティーズムを改善して労働生産性が向上することがわかったのだ。

簡単に言うと、プラズマ乳酸菌を摂取して元気な状態で仕事をすれば、高いパフォーマンスを発揮できるということである。

プラズマ乳酸菌の摂取によってプレゼンティーズムが改善するという結果が得られた

キリン 代表取締役社長の磯崎功典氏は「従業員とその家族が健康であることは、社会にとってプラスの価値を生みます。健康寿命が延びることによる労働力の確保、ひいては、経済の活性化にもつながると考えました。その結果、従業員は考える時間やチャレンジする時間を持てるようになり、仕事のパフォーマンス向上や、イノベーションの実現につながっていくでしょう」と、キリンが健康経営に力を入れる理由を説明した。

キリン 代表取締役社長の磯崎功典氏

同社が乳酸菌事業に参入してから1年。すでに、初年度の売上額は、目標の1.5倍の額にあたる55億円に達しているが、さらに拡大していき、3年後には2.7倍の150億円を目指す。

たしかに筆者自身も、プレゼンティーズム状態だと感じることはしばしばある。疲労だけでなくオフィス内の騒音なども、仕事に集中できない原因の1つだと思われるが、はたして、そのようなメンタル面のプレゼンティーズムも改善されるのだろうか。実際にプラズマ乳酸菌を飲んで、試してみたいところだ。

『パワプロ』eペナントレース開幕! 元プロ野球選手の解説も

『パワプロ』eペナントレース開幕! 元プロ野球選手の解説も

2018.11.16

『パワプロ』のeペナントレースが開幕

プロアナウンサーの実況と元プロ野球選手の解説で盛り上がりを見せた

規模の大きさにプロ選手も緊張していた様子

コナミデジタルエンタテインメントとNPB(一般社団法人日本野球機構)は、11月10日に、ベルサール渋谷ガーデンにて「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ2018」の開幕戦を開催した。

eBASEBALLは、『実況パワフルプロ野球』のeスポーツイベント。プロ野球全12球団に登録された3名ずつ、計36名のプロゲーマーによって行われる。リーグ内で各チームと3戦ずつ、全15戦行い、ペナントレースを争う。

今回、先だって行われたプロテストeドラフト会議を経て、いよいよ開幕を迎えることになった。開幕戦では、セ・パ両リーグともに試合が行われたが、基本的に土曜日にセ・リーグ、日曜日にパ・リーグの試合が開催される。

試合前にはオンライン投票での勝敗予想も行われる。チーム自体の強さもさることながら、プレイする選手の実力も加味して投票される
全チームではないが、球団マスコットも会場に駆けつけた。一緒に写真撮影したり、サインをもらったりと、ファンにとっては貴重な一日となったのではないだろうか
オープニングでは、ベリーグッドマンによるテーマソングも披露された

1節に実施される試合回数は各チーム3戦。チームの選手が1人ずつ対戦する形式だ。試合は6イニング制で、延長は9回まで。3戦連続で試合をするため、ゲーム内選手のスタミナ面などが後の試合に影響する。つまり、実際のペナントレースと同様に、投手起用などを考える必要が出てくるのだ。

また、選手の調子はランダムで決定される。主力選手の好不調に合わせて戦略を変える必要もあるだろう。エラーや悪送球なども一定確立で発生するので、eスポーツとしては珍しく運要素もある。とはいえ、実際のスポーツ、今回題材としている野球においても運要素がまったくない訳ではないので、そこは逆にリアルとも言える。

試合直前に発表される選手の調子。絶好調、好調、普通、不調、絶不調の5段階あり、絶不調の場合、選手の持つ特殊能力が発動しなくなる。選手の好不調と実力を考え、オーダーを組み直す必要もあるだろう。主力選手が絶不調だったときの絶望感は相当なものだ

開幕戦は、メインスタジアムのセンタースタジアムと、レフトスタジアム、ライトスタジアムの3カ所で実施。いずれもプロのアナウンサーによる実況と元プロ野球選手の解説が行われた。3つのスタジアムでは同時に試合が進行し、他のスタジアムの途中経過なども表示されるといった、まさにプロ野球中継さながらの臨場感を味わえるようだった。会場にいれば、好きなスタジアムでの観戦ができるのも嬉しいところだ。

左からニッポン放送アナウンサーの清水久嗣氏と元中日ドラゴンズ監督の谷繁元信氏、プレイヤーゲストのまめしば氏
左からeスポーツ専門アナウンサーの平岩康佑氏と元千葉ロッテマリーンズの黒木知宏氏、プレイヤーゲストのアールグレイ氏
左から文化放送アナウンサーの槙島範彦氏とギャオス内藤氏、プレイヤーゲストのハル氏
左から清水久嗣アナウンサーと元ソフトバンクホークスの多村仁志氏、プレイヤーゲストのまめしば氏
左からフリーアナウンサーの田中大貴氏と前ヤクルトスワローズ監督の真中満氏、プレイヤーゲストのめし原氏

開幕戦で注目カードの1つとなったのが、センタースタジアムの第2戦で行われた中日ドラゴンズ対ヤクルトスワローズの一戦。ドラゴンズ愛あふれるでらナゴ!選手とeドラフト会議で4チームから指名を受けたマエピー選手の試合だ。ある程度の打撃戦となることは予想されたが、結果は7対3ででらナゴ!選手の勝利。昨年の覇者であるマエピー選手が初戦を落とすという波乱の展開となった。

3試合通しての結果としては、唯一3連勝を飾った西武ライオンズが、頭ひとつリードと言ったところ。セ・リーグは、2勝1敗2チーム、1勝1敗1分2チーム、1勝2敗2チームと混戦状態だ。なお、試合結果と順位表は公式ページからも確認できる。

昨年までも「パワプロチャンピオンシップ」として、大会は開催されていた。しかしながら、いわゆるeスポーツのような位置づけでもなく、注目度も高くなかったこともあり、今年はプロ選手によるeBASEBALLとして大きく様変わりしている。大会出場経験のある選手たちも、規模の大きさや注目度の高さに驚いているようだった。

読売ジャイアンツ所属のティーノ選手は「人前でプレイするのは昨年もやっていましたが、規模が違いますね。打撃が得意だったので、今回の試合も10点くらい取れるかなと思っていましたが、ベルガモット選手も私も3安打とまったく打てませんでした。気がつかないうちに緊張をしていたんだと思います」と、感想を述べた。

東京ヤクルトスワローズのマエピー選手も「すごく緊張しました。キャッチャーの送球が逸れまくって、4回の盗塁のうち、本来なら2回は刺せたと思いましたし、ピッチャーの悪送球やサードのエラーなど、かなり運にも見放されていました。ただ、それを差し引いたとしても、打ち負けていたので、完敗です。来週に向けて練習してきます」と語っていた。

横浜DeNAベイスターズのAO選手は「たぶん、私は数少ない3年連続出場の選手なのですが、今年はやはり独特です。この場の雰囲気に緊張しました。ただ、勝てばヒーローになれると思っていましたし、逆転ホームランを打ったときの大歓声はすごくて、大舞台での試合を楽しめました」と、いずれにしても大会の規模と注目度には緊張をしていたということがわかった。

阪神タイガースの実力者ベルガモット選手と対戦し、1対0で勝利を収めた読売ジャイアンツ所属のティーノ選手
珍しく大敗を喫した東京ヤクルトスワローズ所属のマエピー選手
少ないチャンスをものにし勝利した横浜DeNAベイスターズ所属のAO選手

そのほか、大会の見どころとしては、元プロ野球選手の解説が間近で聞けることや、球団マスコットとふれあえることが挙げられるだろう。アメリカのいわゆるボールパーク状態で、野球や『パワプロ』に興味がない人も十分に楽しめる時間となったのは間違いない。

今後の予定は、毎週土日にeペナントレースが行われ、12月16日には、クライマックスシリーズにあたる「eリーグ代表戦」が行われる。さらに来年の1月12日には「e日本シリーズ」も開催予定だ。

開幕戦のすべての試合はYouTubeのKONAMI公式チャンネルにアーカイブされているので、興味がある人は観てほしい。プロによる実況解説、試合展開の盛り上がりなど実際のプロ野球と比べても遜色ないので、プロ野球ファンも是非。