コーヒーメーカーに表れた「デザイン哲学」とは? - デロンギ「プリマドンナ」「エレッタ」

モノのデザイン 第27回

コーヒーメーカーに表れた「デザイン哲学」とは? - デロンギ「プリマドンナ」「エレッタ」

2017.10.31

インテリアにこだわりがある人を中心に人気・支持を集めるデロンギ

同社のプロダクトデザインにおける哲学や神髄とは?

斬新に見えるデザインは、意外にも"伝統"を重んじたものだった

イタリア発の家電メーカーであり、日本においてはデザイン性の高い家電製品のラインナップから、インテリアにこだわりがある人を中心に人気・支持を集めるデロンギ社。我々日本人にとっては、外国車に抱く印象と同じように、ヨーロッパの家電メーカーという文化や感性の違いから来る目新しさも手伝い、製品のデザインが魅力的に映る面もあるだろう。

しかし、同社の製品を並べて眺めた時、決して形状や色遣いそのものに統一されたフォーマットやアイコニックな意匠のようなものがあるわけではない。スポーツカーのようなクールで先進的なデザインの製品もあれば、フォルクスワーゲンのビートルのような愛らしく親しみやすいデザインの製品もある。それほど印象に差異があるにもかかわらず、人々を惹きつけるものがあるのはどうしてなのだろうか。

デロンギの家電にはいくつかカテゴリがあるが、今回はコーヒーメーカーに着目する

そこで今回は、同社の代表的な製品群の1つとも言える、コーヒーマシンに注目し、同社のプロダクトデザインにおける哲学や神髄について迫った。

デロンギ マーケティング部の古家健氏

イタリアと言えば、エスプレッソをはじめカフェ文化の中心地。そんなイタリアから生まれたメーカーであるデロンギは、古くから業務用を含めた多くのコーヒーメーカーを手掛けている。その中でも豆をセットするだけで計量から豆挽き、タンピング、加圧、抽出、洗浄までのすべての工程をボタン1つで実行してくれる全自動コーヒーマシンとして、日本でも展開されているのが「プリマドンナ」と「エレッタ」と呼ばれる2製品だ。

プリマドンナ
エレッタ

"最高峰の美味しいコーヒーを家庭で"というコンセプトのもと、コーヒーにまつわる機能を1台にすべて詰め込んだ製品だ。もとは業務用の製品で、2メートル近い大きさのある機械を家庭向けに大幅に小型化したという意味で、同社としては非常に画期的な製品だったという。デロンギ・ジャパンでコーヒーマシンを担当する、同社マーケティング部の古家健氏は2製品の特徴について次のように説明する。

「もともと業務用として使われていたものを家庭用にするにあたっては、設置性が重要になってきます。プリマドンナもエレッタも当社としてはどちらもフルスペックのモデルですが、"スリムさ"を重視して設計されたのがプリマドンナです。ただし、スリムにするために給水用のタンクが後部に配置されています。一方、エレッタのほうはプリマドンナよりも横幅はあるものの、給水用のタンクを前面に引き出せるなどすべて前面操作を基本にした操作性を重視し、容量も大きくなっています」

両製品ともに、本体の外観はシルバーを基調としたメタリックな質感をまとった上に、ブラックのアクセントが利いたデザインだ。いかにもマシンらしいデザインとも言えるが、そこにはデロンギ社の製品全般に共通するデザインの思想が反映されているのだという。国内の家電メーカーで製品開発に従事してきた経緯も持つ古家氏は次のように解説した。

「手前味噌にはなりますが、本当にどの製品をとってもデザインがカッコイイんです。その違いはなんだろう? と考えた時、日本の家電デザインとの根本的な違いがあることに気付きました。日本のメーカーはどちらかと言うと機能を前面に出していく方向でデザインされる場合が多いと思うのですが、デロンギの場合は充実した機能というのを、デザイン面においては逆に絞っていくという真逆の志向なんです。本当はハイテクな技術を見た目の上ではコンパクトでわかりやすくしていく。それは使いやすさや使う人のことを優先しているからだと本社のデザイナーから聞き、目から鱗でした」

プリマドンナの操作部
エレッタの操作部

デロンギのそうしたデザイン思想が表れている代表的な部分が操作部だ。古家氏によると、デロンギの全自動コーヒーメーカーはフロントオペレーションを基本に設計されているという。その理由はもちろん操作性のためではあるが、古家氏はこう語る。

「"全自動"=便利な物のはずなのに、操作が複雑でわかりにくかったり、扱いづらかったりすれば、その時点で全自動という本質からかけ離れてしまいます。たとえ操作する人が違っても、どの国、どの世代、誰にでもわかりやすく、かつある一定の動きで操作できるように動線も含めて考えて設計、すべての要素が選ばれています。例えば、2製品の操作部の液晶ディスプレーのバックライトはブルーが採用されていますが、それはデザイン性と視認性を兼ねた上で選ばれたものです」

デロンギの全自動コーヒーメーカーは、各パーツの傾斜にも意味があると古家氏は話す。具体的には、例えばエレッタの本体を横から見た場合に、操作部から下側のパネルが徐々に内側に傾斜している。真っ直ぐ下にストンと落ちた箱型のデザインというのはよくある形状だが、ここに傾斜が設けられているのは、単に見た目の美しさだけのためではないのだという。

エレッタのフロントパネルの傾斜は、使いやすさと審美性を兼ねた意匠だという

「実はこの部分はカップを下にセットする際の置きやすさが考慮されているんです。この部分に傾斜があることで、大きなカップでも小さなカップでも置きやすく、かつ抽出されたコーヒーが飛び跳ねにくく周辺を汚さないような角度が計算されているんです」(古家氏)

プリマドンナとエレッタは、コーヒーメーカーとしては小型とは言い難い。だが、空間に設置した際は不思議なほどにマッチして違和感がなく溶け込む。古家氏はその秘密について次のような分析を語ってくれた。

「デロンギの製品のデザインは、製品のカテゴリーごとではなくて、それぞれの製品がどこで使われるかという"シーン"を想定して、それぞれの場所で追及しているのが特徴です。それゆえにそこに置かれている家具などとともにインテリアとしていかにマッチするかが重要だと捉えています。例えばコーヒーメーカーを例に取ると、大型の全自動マシンは主張が強くなってしまうので周囲の壁となるべく溶け込ませられるよう四角いユニット的なデザインが基本であるのに対して、小型のエスプレッソマシンやカプチーノメーカーは、カラフルでデザインも象徴的で逆にインテリアのアクセントになるようなものを多くラインナップしているのがお分かりいただけると思います」

プリマドンナの設置イメージ。キッチンに置いたときの調和も考えてデザインされている

最後に古家氏が明かした、デロンギ社がデザインで大切にしていることは、"変わらない良さ"だという。

「普遍性があって、飽きのこないデザインとも言うことができますが、操作性も含めてどの年代でも受け入れられるようなものを目指している、と本社の担当者からは聞いています。デロンギの製品にはシックでクールなものから愛らしく親しみやすいデザインのものなどさまざまなものがラインナップしていますが、彼らに『ブランドに共通するデザイン哲学は何か? 』と訊ねると、"イタリアニティー"だと返ってきました。日本語にすると"イタリアらしさ"と言い表すことができますが、昔から存在する文化であったり歴史的背景であったり、イタリアに古くから根付いたものと同居するものを目指しているということだと思います」(古家氏)

コーヒーメーカーのラインナップ(一部)。形状やカラーバリエーションなど、機能によってさまざまに取りそろえられている

我々がなんとなく感じていたイタリアンブランド・デロンギ製品のデザインの魅力。我々日本人にとっては斬新に見えるそのデザインは、実は本国においてはどちらかというと"伝統"を重んじたものであることを知り、意外だった。それは来日する外国人が新しいものよりも日本の伝統工芸品や文化を魅力的に思う感覚とも共通しているのかもしれない。

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マーケティングと恋愛が似てるってどういうコト?Facebookで聞いてきた

恋するSNSマーケティング講座 第1回

マーケティングと恋愛が似てるってどういうコト?Facebookで聞いてきた

2018.11.14

Facebook社員に「マーケティングのイロハ」を聞く新連載!

第1回は、講師の紹介と「マーケティングと恋愛」の関係性について

フェイスブック ジャパンのSNS運用コンサルタントに「SNSマーケティング」について聞く短期連載。初心者~中級者に知ってほしい「マーケティングの考え方」について、全5回にわたって説明します。

キーワードは「恋愛」。とっつきづらいマーケティングも、恋愛に喩えて考えてみると、意外とわかりやすいようです。

「恋愛とマーケティングは似ていると思うんです」

FacebookやInstagram、TwitterなどのSNSを活用したマーケティングは今や企業にとって欠かせないものになっている。

一方で、「どこから始めればいいのかわからない」「そもそもSNSマーケティングって?」といった疑問もまだまだあるだろう。そこで今回は、フェイスブック ジャパンのクライアントソリューションズマネージャ リードを務める丸山祐子さんを講師に迎え、SNSマーケティングを“恋愛”に喩えてわかりやすく解説してもらうことにした。

フェイスブック ジャパンのクライアントソリューションズマネージャ リード 丸山祐子さん

なぜ“恋愛”なのか。それは「日々のお客様とのやりとりの中で、恋愛とマーケティングは似ていると感じることが多かったから」と丸山さんは言う。

丸山さん自身も現在婚活中の身。これまで仕事最優先で生きてきたが、最近になってパートナーを探すべく婚活を開始したという。その過程で感じたのが、前述の恋愛とマーケティングの共通点だったというわけだ。

「流行」は人の手でつくられるモノ

今回は連載初回ということもあるので、まずは講師である丸山さんの経歴から紹介しよう。

東京で生まれ育った丸山さんは、中高大一貫校に通っていた。小学生時代から「自分の知らない世界に行ってみたかった」という丸山さんは、高校時代に初海外となるカナダを訪れる。

「知らない言語で話しかけられたり、東京では見られない地平線や水平線を見たりして、私の知っている世界はなんて狭いんだろうと思いました」(丸山)

海外に魅了された丸山さんは、一念発起してカリフォルニアの大学に進学。そのころ、「ファッションの流行は自然に生まれるのではなく、必ず裏には仕掛人がいる」ということを実感したのがキッカケとなり、「自分も人の心を動かす仕事がしたい」と考えるようになった。

大学卒業後は日本に戻り、人材業界で働くことに。長くアメリカで過ごしていたこともあり、日本の業界事情がつかめない中、「まずはいろいろな業界を知りたい」と考えたためだ。

その後、「リーマンショック」が起こり人材業界の業績が悪化したこともあり、業務を通して興味を持つようになったデジタル業界への転職を決意。転職先は、IT業界を中心にメディアプランニングなどを行う電通の子会社。メディア担当として、デジタル広告のイロハを学んだ。

そこで担当していたクライアントが、当時日本に上陸したばかりのFacebookだった。その後、それまで培ったデジタル広告のノウハウをより活かすべく、フェイスブック ジャパンへ転職し、現在に至る。

広告はラブレター「相手に届かないと意味がないんです」

丸山さんは現在、FacebookやInstagramの広告メニューについて、運用コンサルやメディアプランニングなどを行っている。また、Instagramをより企業に活用してもらうためのプロジェクトメンバーとしても活動しているそうだ。

さて、そんな丸山さんがFacebookのコンサル業務を通して常々感じていたのが「恋愛とマーケティングの共通点」である。

どんな業界でもそうだが、良い製品だからといって何もせずに売れるわけではない。“届けたいメッセージを届けたい相手にちゃんと伝える”必要がある。これがマーケティングの目的だ。

「広告はよくラブレターに例えられます。いくらラブレターを書いても、それがちゃんと届けたい人に、その人の心に響くかたちで届かないと意味がありませんよね。ラブレターを届けるために恋愛にもマーケティングが必要なんです」(丸山)

婚活において“ラブレターを届けるべき相手”とは、まだ見ぬ将来のパートナーだ。その相手はどこかに存在しているはずだが、まだ出会ってはいない状態である。運命の相手と出会うために重要なことの1つは「とにかく出会いの数を増やすこと」だという。

「1人と会ってみて、その人が運命の相手ならラッキーですし、そういうケースもあるでしょう。でも、そうでない場合には、たとえば運命の相手と出会える確率が1/100だとして、10人と会うのと100人と会うのではどちらの方が出会える確率が高いか、言うまでもありません」(丸山)

これはそのままマーケティングに置き換えても同じことが言える。自社の製品を購入してくれる潜在的な顧客の態度変容効果が一緒であるなら、できるだけ多くの人数に広告を届けた方が売上は伸びるはずだ。

「そう考えると、婚活でもせっかくの週末に部屋にこもっているのはもったいないなと思いますよね。積極的に行動をおこして、多くの人に出会う機会を増やすことが大事なんです」(丸山)

一方で、重要なのは数だけではないと丸山さんは言う。多くの人にリーチすることは大前提として、そこからさらに“出会いの効率”を上げていく必要があるのだ。

では「数」に続いて大事なこととは? 次回は効率を上げるために必要な「ターゲティング」について、これまた恋愛と絡めて聞いていく。

第2回「恋するSNS講座」は11月20日に掲載予定です。

クルマ新時代の駐車場は何を目指す? 「CASE」で見えてきた未来像

クルマ新時代の駐車場は何を目指す? 「CASE」で見えてきた未来像

2018.11.14

日本自動車研究所が「自動バレーパーキング」の実証実験

駐車をシステム任せにできる仕組みとは?

未来の駐車場はクルマの“ハブ”になる

自動運転、電動化、カーシェアリングなど、新たな技術・サービスの登場により変革期を迎える自動車業界。クルマの乗り方、使い方を根本的に変えるかもしれないこれらの要素をまとめて「CASE」というが、この文字を目にする機会も増えてきた。クルマが変わればクルマに関連するモノや場所も変わりそうだが、例えば駐車場は、どのような姿になっていくのだろうか。日本自動車研究所(JARI)の実証実験で、その一端を垣間見た。

「CASE」の進展で駐車場の姿も一変する?

「バレーパーキング」を自動化

「CASE」とは「Connected」(コネクティッドカー)、「Autonomous」(自動運転)、「Shared & Service」(カーシェアリングなど)、「Electric Drive」(クルマの電動化)という4つの言葉の頭文字をとってダイムラーが使い始めた概念のこと。そのうち、コネクトと自動化の2つを使って、JARIが実用化の道を探っているのが「自動バレーパーキング」というシステムだ。

JARIは経済産業省および国土交通省の委託を受け、2016年度から「一般車両による自動バレーパーキングシステムの社会実装に向けた実証」というプロジェクトを進めている。「バレーパーキング」とは、例えばホテルやショッピングセンターなどにクルマで乗りつけたとき、キーを従業員に預けて、代わりにクルマを駐車しておいてもらうサービスのこと。その自動化に向けて、JARIはシステム、制度、事業性などを検証してきた。

JARIは今回、自動バレーパーキングシステムの機能的な確認を行うためとして、東京都港区にある「デックス東京ビーチ」の駐車場で実証実験を実施。その模様を報道陣に公開した。そこではクルマが勝手に動き、定められた駐車スペースに止まり、再び動き出す様子を見ることができたし、自動バレーパーキングを含めた駐車場の未来像に関する話も聞くことができた。

JARIはデックス東京ビーチ駐車場の2階で実証実験を実施した

自動バレーパーキングとはどんなシステムなのか

自動バレーパーキングをドライバー目線で説明するのは簡単だ。例えばショッピングセンターのエントランスにクルマで乗りつけたならば、降車してスマートフォンのアプリで「入庫」を指示し、そのまま買い物にでも食事にでも向かえばいい。用事が済んだ頃に「出庫」ボタンを押して出口に向かえば、クルマ寄せには愛車が迎えに来ている。

自動バレーパーキングの指示はスマホで行う

では、そのシステムはどのようなものなのか。自動バレーパーキングは「クルマ」「管制センター」「駐車場」の3者による協調で機能する。駐車場の構造を把握している「管制センター」は、ドライバーから入庫の要請を受けると、安全性や効率を考慮して駐車場所とそこへ向かう経路を決め、「クルマ」に無線で指示する。「クルマ」は「駐車場」にあるランドマーク(目印)をカメラやセンサーなどで読み取り、「管制センター」が持つ駐車場の構造情報(地図)と擦りあわせて自らの位置と経路を確認し、指示された駐車スペースに向かう。そんな流れだ。

自動バレーパーキングの様子。運転席に人は乗っているが、ハンドルからは手を離している

同システムが実用化となれば、駐車場の「利用者」は手間を省けるし、「事業者」は駐車効率の向上を図れる。無人で自動運転を行うクルマであれば、ドアの開閉スペースは不要だし、ぶつけたりこすったりする心配もないはずなので、クルマをギュウギュウに詰め込めるからだ。JARIによれば、駐車効率は従来比で20%向上する可能性があるという。また、自動車事故の3割は駐車場で発生しているので、自動化は事故削減にもつながる。

ただ、実用化には当然ながら、いろんなハードルがある。自動バレーパーキングの実用化に向けて動いているのは日本だけではないが、JARIとしてはまず、同システムの国際標準化に向けた手続きを進めたい考え。2021年のISO国際標準化に向け、各国と協議を重ねているところだ。

また、システムが実用化となったとしても、最初から全てのクルマが自動バレーパーキングを利用できるわけではない。まず、通信機能が備わっていないクルマはアウトだし、通信できたとしても、管制センターの指示通りに自動運転をこなせるクルマでなければ、やはり同システムの恩恵は受けられない。

JARIの考えでは、まずは同システムが求める要件を満たすクルマだけが使える専用の駐車場を実用化し、段階的に「混在型」を目指すのが現実的だそう。ただし、混在型を実現するためには、人が運転するクルマと自動運転のクルマを駐車場内でうまく交通整理する工夫が必要になるだろう。

未来の駐車場はクルマの「ハブ」になる?

自動バレーパーキングの実用化には時間が掛かりそうな雰囲気だが、その先の駐車場の在り方についてもJARIは考えをめぐらせている。JARIのITS研究部に所属する深澤竜三さんによると、未来の駐車場が目指すのはクルマのハブ、つまり、クルマにまつわるさまざまなサービスの結節点だ。

JARIが描く未来の駐車場の姿

ハブ駐車場とはどのような施設なのか。深沢さんの描写はこんな具合だ。

「自動バレーパーキングで、勝手に駐車しておいてくれるのはもちろんですが、そこが自動車整備の拠点としての役目を果たしたり、電気自動車(EV)であれば、勝手に充電しておいてくれるとか。買い物が終わる頃には充電が済んでいるというのが理想ですね。あとは、観光地であれば情報配信拠点としての機能も想定できます」

「ほかのアイデアとしては、クルマを駐車しておいたら、宅配便がトランクに届いている、といったような使い方も考えられます。その場合は、トランクを開けられるような仕組みが必要にはなりますが、届け先を1件ずつ回る必要がなくなるので、配送業者の方も楽ですよね」

未来の駐車場は、クルマにまつわるいろんな機能を提供する拠点になるかもしれない

深澤さんの話を聞いていると、おそらくハブ駐車場はホテルに1つ、ショッピングセンターに1つという具合にではなく、地域に1つ、しかも大型の施設として存在するもののように想像できた。用事で近くまで来た人も使えば近隣の住人も使うし、カーシェアやレンタカーなどのクルマも混在している大きな駐車場。そんなイメージだ。

こういう駐車場が必要かどうかについては、地域によって状況が違うだろう。コンビニエンスストアですら広大な駐車場を備える地域がある一方で、例えば銀座のように、数台しか止められないけれど、短時間で驚くべき値段になるコインパーキングが稼動している場所もある。おそらく、ハブ駐車場が必要になるのは後者の方だ。

銀座に大きなハブ駐車場を作る余地があるかどうかは別としても、クルマの駐車以外には使いみちがないという点で「デッドスペース」化している駐車場に、さまざまな機能を持たせるというJARIの構想には可能性を感じた。一般道の自動運転も実用化となれば、例えば東京オリンピックの後、有明かどこかに残された広いスペース(会場の跡地)に大きなハブ駐車場を作り、そこと銀座などの繁華街を結ぶということも、夢のようではあるが不可能ではないはずだ。