「登録小売電気事業者」199社の経営調査

「登録小売電気事業者」199社の経営調査

2016.06.12

「登録小売電気事業者」199社の経営調査

 2016年4月1日、電力の小売自由化が全面スタートする。これまで地域の電力会社10社が独占供給してきた一般家庭向け電力販売が一般企業にも解禁され、利用者はライフスタイルや価値観、価格に合わせ自由に販売会社や利用プランを選択できるようになる。

 経済産業省の電力取引監視等委員会の審査を経て、4月以降に一般家庭への電力販売が可能となる「登録小売電気事業者」(以下、登録事業者)は2月23日現在、199社にのぼる。東京商工リサーチでは登録事業者199社の経営調査、分析を行った。

 新設企業などを除き、直近決算が判明した登録事業者141社のうち、売上高100億円以上は66社(構成比46.8%)にのぼった。このうち、単体ベースの売上高1兆円超の大企業は12社(同8.5%)あった。また、上場企業は199社中24社(同12.0%)で、新たな有望市場へのビジネスチャンスとして電力の小売自由化に対する関心の高さを改めてうかがわせた。

 登録事業者の本業では、電気業は63社(構成比31.6%)と3割にとどまり、異業種からの参入が7割を占めた。異業種参入組では放送業29社(同14.5%)、ガス業17社(同8.5%)など、地域に知名度が浸透している企業が目立った。この背景には、新規事業で既存の事業基盤を活かして有利に顧客囲い込みを図る狙いがあると思われる。

 ※経済産業省・資源エネルギー庁が開示した「登録小売電気事業者」(2月23日時点)について、東京商工リサーチの企業データベースをもとに経営調査・分析を行った。

売上高別 売上100億円以上が約半数

 登録事業者199社のうち、直近決算が判明したのは141社だった。141社の売上規模をみると、売上高100億円以上が66社(構成比46.8%)で全体の半数近くを占めた。

 次いで、10~50億円未満が40社(同28.3%)、50~100億円未満が16社(同11.3%)と続き、1億円未満は9社(同6.3%)にとどまった。

 売上高10億円未満は19社(同13.4%)と約1割に過ぎず、新規参入組は中堅以上が目立った。特に、売上高50億円以上の中堅規模以上が82社(同58.1%)と半数を超えている。高い知名度や豊富な事業基盤を背景に、新規市場を有利に展開したい意図がうかがえる。

 なお、売上高が判明しない企業(58社)の大半は、電力小売事業のために新設された法人で、事業化に伴い本格的な営業活動を始めるとみられる。

売上高ランキング 1兆円超えが12社

 直近決算が判明した登録事業者141社の売上高ランキングでは、トップが石油元売最大手のJXエネルギーの8兆1,565億3,200万円だった。ガソリンスタンド「ENEOS」を絡めた割引サービスなどを打ち出している。

 以下、丸紅、伊藤忠商事、三井物産の総合商社が続き、上位12社までが売上高1兆円以上だった。ランキング上位には入らないが総合商社の三菱商事は、コンビニ大手のローソンと提携して設立した共同事業会社、MCリテールエナジー(TSR企業コード:015740552、東京都港区)を通じて参入。また、住友商事も100%出資子会社のサミットエナジー(TSR企業コード:296054275、東京都中央区)がケーブルテレビ最大手のジェイコムグループと提携した。

 大々的な広告宣伝で通信料とのセット割を打ち出すソフトバンクグループは、東京電力と業務提携して販売活動を展開する。

 また、上場企業は199社中24社(構成比12.0%)で、このうち東証1部上場が21社を占めた。

資本金別 1億円以上が5割超

 登録事業者199社の資本金別では資本金1億円以上が113社(構成比56.7%)で、全体の半数以上を占めた。以下、1~5千万円未満が48社(同24.1%)、5千万円~1億円未満が26社(同13.0%)と続く。資本金別でみても豊富な資本背景を有する大企業中心の構図が裏付けられ、最も資本金が大きい登録事業者は総合商社の三井物産で、資本金額は3,414億8,164万円だった。

産業・業種分類別 7割が異業種からの参入

 登録事業者199社の本業の産業別内訳は、サービス業他が107社(構成比53.7%)で約半数にのぼった。サービス業他は、電気業(63社、構成比31.6%)とガス業(17社、同8.5%)が含まれ、この2業種の合計だけで107社中、80社を占めた。以下、情報通信業35社(同17.5%)、卸売業25社(同12.5%)、製造業13社(同6.5%)、小売業12社(同6.0%)と続き、農・林・漁・鉱業と金融・保険業からの参入はゼロだった。

 業種別上位では、電気業が63社(構成比31.6%)と最多だったが、全体の3割にとどまっており、全体の7割は異業種から電力小売事業に新規参入している。
 
 電気業の内訳をみると、これまで大口需要家向けに販売してきた「特定規模電気事業者(新電力)」や電力小売の全面自由化に備えて新設された企業が中心。また、放送業29社のうち、25社がケーブルテレビ最大手のジェイコムグループの地域会社が占める。このほか、エネルギー供給という面でノウハウを有し、従来業務とのセット契約の販売も見込めるガス会社など、消費者向けビジネスモデルに長けた業種からの参入が多いのが特徴となっている。

業歴別 2015年に設立された登録事業者が28社

 登録事業者199社のうち、業歴別で最も多かったのは業歴10~50年未満の83社(構成比41.7%)だった。次いで、5年未満の55社(同27.6%)、50~100年未満の35社(同17.5%)と続く。最も業歴が古かった登録事業者はガス大手の東京瓦斯(1885年設立)で、業歴130年を超える。

 また、業歴5年未満の登録事業者55社のうち、2015年に設立された登録事業者は28社(同14.0%)にのぼった。電力小売の全面自由化に合わせて新設された企業が中心で、今後の営業展開が注目される。

 ※法人設立日から現在までを業歴と定義した。

地区・都道府県別 本社所在地は東京に集中

 登録事業者199社の本社所在地を地区別でみると、関東が125社(構成比62.8%)と約6割を占め、以下、近畿26社(同13.0%)、九州19社(同9.5%)と続く。関東では東京都が90社にのぼり、199社の半数近く(同45.2%)を占めた。

 一方、北陸はゼロ、東北は2社(同1.0%)、四国は3社(同1.5%)と登録事業者が極端に少なく、地域差が大きかった。

 都道府県別の社数では、東京都が90社(同45.2%)でダントツのトップ。2位は大阪府16社(同8.0%)、埼玉県11社(同5.5%)、千葉県と福岡県が各9社(同4.5%)と大都市圏が上位に並ぶ。

 資源エネルギー庁の公開資料によると199社のうち、少なくとも10社以上は電力供給予定地を全国及び沖縄県を除く全国としているため、地区内に登録事業者がなくてもサービスを受けられる可能性はある。電力小売の全面自由化の特徴は、地域の電力会社以外(管轄外)からの電力購入や、逆に住んでいる自治体などが運営する登録事業者から購入する電力の「地産地消」も可能になる。ただ、現状では人口が集中する都市圏の選択肢が豊富なだけに、都市圏と地方との地域格差を抱えてスタートすることになりそうだ。

 経済産業省の認可団体「電力広域的運営推進機関」の集計によると、4月1日以降、電力の購入先の変更を申請した件数は全国で約23万4,000件にのぼる。このうち、東京電力管轄が16万4,000件、関西電力管轄は6万件と全体の95.7%を占める。今後、サービス地域が拡大し、地方への波及が進めばさらに申請件数は伸びる見込みだ。

 巨大な新規市場として有望視される電力の小売自由化だけに、大手企業を中心に異業種からの参入が相次ぎ、自社サービスとのセット割引やポイント付与などのメニューで顧客獲得競争が激化している。

 だが、50kw以上の大口需要家への電力販売が可能な「特定規模電気事業者(新電力、PPS)」5位の日本ロジテック協同組合(TSR企業コード:298943107、東京都中央区)が2月25日、登録を取り下げて電力小売事業から撤退した。自前の発電施設をもたず、電力の仕入価格に左右されることから利幅が薄く、急成長が慢性的な資金不足を招いた。

 一般家庭向けの電力小売事業も構造は同じだ。いかに安く電力を仕入れ、より多くの供給先に販売し、利益を確保できるかがポイントとなる。同時に、本格スタートで急増する売上高で膨らむ資金需要にどう対応するか、資金力も求められる。このため、スケールメリットを活かし、資金力や販売チャネルが豊富な大手企業に顧客が集中する可能性も高い。

 電力小売事業は参入バブルの様相もみせるが、新規市場の競争は厳しい。独自色を打ち出せず差別化できない登録事業者や、資本背景に乏しい中堅以下の登録事業者は過当競争に巻き込まれかねない。鳴り物入りでスタートする電力小売の全面自由化だが、競争原理が働くだけに、登録事業者の早々の撤退や廃業、倒産などを想定した対応も問われている。

2016年3月4日東京商工リサーチ「データを読む」より

東京商工リサーチについて 世界最大2億件を超える国内・海外の企業情報を提供し、与信管理を支援する東京商工 リサーチ(TSR)。長年の蓄積した企業情報データベースを活用し与信管理、 マーケティング、調達先管理、海外企業情報に同社の情報を活用する企業は多い。

東京商工リサーチ:http://www.tsr-net.co.jp/

ポルシェの次に買うクルマ? 安東弘樹、ルノー「メガーヌ R.S.」に乗る!

安東弘樹のクルマ向上委員会! 第18回

ポルシェの次に買うクルマ? 安東弘樹、ルノー「メガーヌ R.S.」に乗る!

2019.03.27

ルノーの5ドアハッチバック「メガーヌ R.S.」に試乗

やっぱりMT車が好き! 高性能モデルの登場に高まる期待

もしも(好きなように)クルマが買えたなら…安東さんの人生設計

安東弘樹さんに同行した日本自動車輸入組合(JAIA)試乗会も、いよいよ最後の1台となった。残すはルノーの「メガーヌ R.S.」だ。愛車のポルシェ「911 カレラ 4S」から乗り換える候補の1台として、「ある程度は本気で」購入を検討しているというこのクルマを、安東さんはどう評価するのか。

MT車の日本導入を待って購入を検討?

「メガーヌ R.S.」は5ドアハッチバック「メガーヌ」の高性能モデル。「R.S.」はルノーのモータースポーツ活動を担う「ルノー・スポール」の頭文字だ。このクルマについては以前、モータージャーナリストの塩見智さんに試乗してもらったので、詳しくはこちらの記事をご覧いただきたい。

「メガーヌ R.S.」に乗り込んだ安東さん

安東さん(以下、安):(乗り込んですぐ)ドアヒンジは多くの日本車と同じでプレスですね、開ける時に軽い感じがします()。(しばらく走って、高速道路に入りつつ)さすがはFF(前輪駆動車)、急加速すると暴れますね(笑)。

【編集部注】ドアヒンジとはドアとクルマをくっつけている部品のこと。ここの作りによってドア開閉時の重厚感、ひいてはクルマの上質感に差が出ると安東さんは語る。細かいポイントのようだが、ドアヒンジについてはマツダミニの取材でも話題になった。

編集部(以下、編):今回、メガーヌ R.S.に試乗してみたいと思ったのはなぜですか?

:すごく気になっていたクルマなのですが、まだ乗ったことがなかったので、どうしても今回、運転してみたかったんです。今回のクルマはDCT(デュアルクラッチトランスミッション)ですが、MT(マニュアルトランスミッション)車を今、待っている状態です。ただ、急加速した時の“暴れん坊感”を体験してみて、いくら電子的に制御しても、FFには限界があるなとも感じました。じゃじゃ馬を乗りこなす、というところにカタルシスを感じる人もいるとは思いますけど。

「メガーヌ R.S.」のボディサイズは全長4,410mm、全幅1,875mm、全高1,435mm。価格は440万円だ

:MTだったら欲しいクルマですか?

:はい。もうすぐ、MTが日本に導入されるらしいのですが、欲をいえば、「メガーヌ R.S. トロフィー」というグレードを待ちたいです。R.S.は279馬力ですが、トロフィーは300馬力なんで。

:「待ちたい」っていうのは、真剣に購入を検討していて、待ち構えているという感じですか?

:うーん、ある程度は本気で考えているっていう感じでしょうか(笑)。次もポルシェ「911 カレラ 4S」に乗るのが理想ではあるんですけど、それこそ、私の稼ぎ次第というか、買えない可能性もあるので……。今の911は、乗り始めてから10年になりますし、乗り換えたいタイミングではあります。

:その乗り換え候補の1つが、「メガーヌ R.S. トロフィー」だというわけですね。ただ、素人なので分からないんですけど、最近の安東さんの露出ぶりを見ている限り、次もポルシェで大丈夫なんじゃないですか?

:どうでしょうねー、想像もできません(笑)。今回の確定申告で、どのくらいの税金を払わなきゃいけないのかにもよりますし。フリーになって初めての確定申告なので、正直、怖いです。

:この間の「バラいろダンディ」(TOKYO MXで放送中のテレビ番組、安東さんは火曜レギュラー)で、「これから、税理士さんと話をする」っておっしゃってましたもんね(笑)

:いくらくらいの税金になるのか、それによっても変わってきます。ただ、フリーランスになってもうすぐ1年経ちますが、この収入では、新しい911には手が届きません(笑)

:本当ですか?

:今の911と同じように長期ローンを組めば、あるいは……。とは思いたいですが、新しい「911 カレラ 4S」を自分が乗りたい仕様で買うと、税金なども含めた乗り出し価格が2,200万円弱になってしまいます。日々忙しいのですが、薄利多売でやっているので、くどいようですが、本当に現状、購入は難しいです(苦笑)

1台はスポーツカーを所有しておきたいという安東さんだが、次に何を買うのかは将来の収入次第だそう。「メガーヌ R.S.」もMT車が気に入れば候補に入るようだ

:(メガーヌの走行モードを変更して)「レースモード」に設定すると、ESC(横滑り防止装置)がカットになるんだ……。自動ブレーキもオフになりますが、それは当然ですよね。サーキットを走っていて、前走車に近付くたびにブレーキが掛かったら、たまったものではないですから(笑)。このモードに入れても、そんなに乗り心地が硬くならないというか、不快感はないです。

法定速度で走っている限り、レースモードにする意味はあまりないでしょうけど、腕と環境が許せば、滑らせながら走ってみたいですね! MTだったら楽しいだろうなー。あと、パドルシフトは下まで伸びていて欲しいです。乗り始めてから、5~6回は空振りしてますから。

パドルシフトとは、指による操作でクルマのギアを上げ下げできる装置のこと。画像では分かりにくいかもしれないが、ステアリングの後ろに付いている
一般的にパドルシフトの操作部分は縦に長いが、「メガーヌ R.S.」のパドル(赤い十字マークが付いているところ)は上方向に長く、下方向に短い造形になっている。そのため、パドルの下の方を指で操作しようとして、何度か空振りしてしまったと安東さんは話しているのだ

:パドルシフトがステアリング連動式なので、コーナーを曲がっているときの操作も、少しやりにくいですね()。

【編集部注】パドルシフトには、ステアリングに連動して動くものと、ステアリングコラムに固定されているものがある。

:ステアリングと一緒にパドルシフトが動くのと、固定してあるのだと、どちらがいいんですか?

:メルセデスもそうですけど、ドイツ車はステアリングに連動して動く方が主流ですよね。ただ、ステアリングを切って(左右が)逆さまになっている時、パドルシフトの位置も逆になるので、どちらがプラス(ギアを上げる方)だか分からなくなることがあるんですよ。そこが難しいところで、だから「GT-R」(日産自動車)とかも固定式ですし、基本的にラリー用のクルマもコラム固定式ですね。

:ステアリングを切りまくるからですか?

:そうです。だけど、F1などのフォーミュラカーだと、ステアリングにシフトパドルが付いていて連動しますね。なぜなら、ステアリングを切っても最大で半回転ですから、左右の手を持ち替えないので、当然、その方が好都合です。

だから、このクルマ(試乗中のメガーヌ)は、ステアリングを大きく切っている時でも、シフト操作に迷わない事を優先させたんでしょうね。

:山道でヘアピンを抜ける時とかですか?

:そうですね。これ、好みは分かれると思います。

「メガーヌ R.S.」は1.8L直列4気筒16バルブ直噴ターボエンジンに電子制御6速ATのトランスミッションを組み合わせる

:このクルマ、小さいように見えて、幅が1,875mmもあるんですね。

:そう、結構あるんですよ。「Eクラス」(メルセデス・ベンツ)より幅が広い。

:メガーヌって、前のモデルまで3ドア(ハッチバック)が中心だったみたいですね。5ドアになって、見た目とかどうでしょう?

:このデザイン、僕は好きですね。先代よりも好きです。絶妙な“カタマリ感”があって、色もいい。シンプルなのに存在感があるという嬉しいデザインです。

:歴代のメガーヌ R.S.は、ニュルブルクリンクで素晴らしいタイムをたたき出してきたそうですが、そのあたりには惹かれますか?

:そこは、そんなに重視しません。ただ、メーカー同士が競い合ってくれる分にはいいんですけどね。ましてやFFですし、ちゃんと手なずけて走って、技術の革新というか、そういうところでメーカー同士が競い合ってくれているのは悪いことではないと思います。

:ただ、安東さんとしては、走りについては自分で確かめたい?

:そうですね。だから、こっちの方が数字が上だから買う、という感覚はありません。

:安東さんの頭の中にはクルマのスペックがたくさん入っていますけど、数字で比べて買おうというのではなく、ただ、好きだから頭に入っているだけなんですか?

:覚えようとしているんじゃなくて、スペック(諸元)表を見てると、自然に覚えちゃうんですよ。これ(試乗中のメガーヌ)だと、最大出力が279馬力ですよね?

:合ってます。

:それで、205kWじゃなかったでしたっけ?

:ごめんなさい、手元の資料にキロワットまでは書いてきてないです。

:206kWだと、280馬力になるんですけどね。

:……。

「メガーヌ R.S.」の最大出力は279ps(205kW)、最大トルクは390Nmだ。車両重量は1,480キロ

:数字的には見劣りしても、自分がいいと思えば買うというのが、安東さんのクルマ選びということですね。もし、次の911が何らかの理由で買えなかった場合は、メガーヌもアリだと思いましたか?

:MT車に乗ってみないと、何とも言えませんねー。急加速した時の暴れぶりを体験して、FFの限界は感じましたけど、MTなら、もう少し自分で制御できるかもしません。ただ、やっぱり楽しいクルマだなとは思いましたね!

:今回、たくさんの輸入車に乗っていただきましたけど、総評として、心に残ったのは?

:やっぱり、あの加速感も含め、テスラですね。何でも電気で動くので、後席のファルコンドアなんかが壊れたら目も当てられないとは思うんですけど、ただ、インパクトとしては「モデルX」になりますね。

もしも収入が激増したらどんなクルマに乗りたい?

購入を決めたメルセデス・ベンツ「E220d 4MATIC オールテレイン」には、何年乗る予定ですか?

:今の「F-PACE」よりも早いペースで走行距離が伸びる可能性があるので、2年で7万キロあたりが見えてくると、乗り換えを考えるかもしれません(※)。まあ、2年後に私の収入がどのくらいになっているかにもよりますけど……。

【編集部注】ジャガーのSUV「F-PACE」とポルシェ「911 カレラ 4S」の2台を所有している安東さんだが、通勤に使っているF-PACEは走行距離が伸びてきている上、大柄なサイズの問題で駐車場を見つけるのが大変なので、これをメルセデス・ベンツ「E220d 4MATIC オールテレイン」に乗り換える。サイズ的に駐車場が見つけやすい分、オールテレインの稼働率はF-PACEよりも高くなることが予想されるので、代替サイクルは早まるかもしれない。オールテレインが納車されるのは2019年5月の予定。その時点で、F-PACEには2年8カ月乗ったことになる。

:もし、収入がものすごく増えたら、所有するクルマの構成はどうしたいんですか?

:やっぱり「911」と、あとは「ヴェラール」(レンジローバー)のディーゼルエンジン車を買って、もう1台は小さいディーゼルエンジンのクルマで、それは「デミオ」(マツダ)なのか「ミニ」なのか分からないんですけど、そんな感じですかね。それか、プジョーの「308 アリュール」か……。

「308 アリュール」って、今までは税制的に中途半端な1.6リッターのディーゼルエンジンを搭載してたんですけど、それが1.5リッターになって、しかも、パワーアップしたんですよ。それに、何が嬉しいって、パドルシフトが付いたんですよ! 今までは上級グレードにしか付いてなかったんですけど。

プジョー「308 Allure」(アリュール)

:なるほど、収入が大幅に増えたら、クルマを2台にしておく必要もないですもんね。駐車場を借りて、3台持ってもいいわけで……。

:駐車場を借りるというか、3台のクルマを入れられる車庫が付いた家に建て替えるのが夢ですね。

:その可能性も、フリーになった今だと、高まってますよね。会社員でいるより、大きく稼げるチャンスがあるわけですから。

:そうですね、可能性は“ゼロ”ではないですね(笑)

:これも「バラいろダンディ」で聞いたような気がするんですけど、ある程度の金額を稼いだら、お仕事はやめるっておっしゃってましたよね? 好きなクルマに乗り続けられて、ご家族も安泰というような金額が貯まったとしたら。

:そうですね(笑)。3億円ほど貯まったら、やめると思います。家族を養えて、子供たちを学校に行かせられて、あとはクルマも、「ヴェイロン」とか「シロン」()が欲しいとは思わないので……。ポルシェのMTと、ヴェラールと、ミニか何かを所有して、スポーツ走行する時はポルシェ。長距離移動の時はヴェラール。そして、都内での仕事や移動の時は、コンパクトなディーゼルモデルか、電気自動車(EV)でもいいかもしれません。

【編集部注】どちらもブガッティのクルマ。1台で何億円もする。

:私の人生として、あと20年は責任があると思うんですよね。ただ、テレビ関係の仕事が続けられるとは思っていません。やっぱり、テレビの仕事って緊張するし、疲れますから(笑)。何より、ずっと私への需要があるとは思えません。

立て続けにクルマに乗った今回の取材も、かなりお疲れになったはずだと思っていたのだが……

他媒体が用意したクルマも含め、計11台の輸入車に立て続けに乗り、JAIA試乗会の取材を終えた安東さん。「仕事は疲れる」と言いつつも、メガーヌから降りるとすぐ、「ばらいろダンディ」の生放送に出演するため、試乗会の拠点となった大磯プリンスホテル(神奈川県)を愛車「F-PACE」で飛び出していった。

安東さんのコラムによれば、今回の取材はさすがにくたびれたものの、愛車を運転して帰ったおかげ(?)で、半蔵門(正確には東京都千代田区麹町)にあるTOKYO MXに到着する頃には、すっかり疲労感がなくなっていたというから驚きだ。

とにかく、多くのクルマに限られた時間で乗ってもらったので、時間配分がうまくいかず、弊紙では紹介しきれなかったクルマもある。具体的にはポルシェ「パナメーラ 4 E ハイブリッド」とBMW「X3 M40d」の2台なのだが、これらも安東さんが試乗を希望したクルマだったことに変わりはない。特に「X3 M40d」については、短時間の試乗ではあったものの、「もっと乗ってみたくなるいいクルマだった」とのコメントがあったことは、ここでお伝えしておきたい。

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メルセデス・ベンツ初の市販電気自動車(EV)「EQC」が今年、いよいよ登場する。2019年半ば頃の日本導入が噂されているが、一体、どんなクルマに仕上がっているのか。モータージャーナリストの清水和夫さんは以下のように解説する。

メルセデス・ベンツのEV「EQC」

メルセデスの電動化を包括する「EQ」ブランド

メルセデス・ベンツは2018年9月、スウェーデンのストックホルムにおいて、バッテリーだけで走る電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)「EQC」を正式に発表した。それまでも、各国の国際的なイベントでは、同社の電動モビリティを包括する「EQ」(イーキュー)というサブ・ブランドを発信してはいたが、いよいよ、本格的なメルセデスの電動車両がEQCから始まるのだ。

ここでは混乱を避けるため、電動車両の定義とメルセデスが採用する「EQ」というサブ・ブランドについて説明しておく。

「EQ」とは「電動化」にフォーカスしたメルセデスのサブ・ブランドであり、バッテリーだけで走るBEVを「EQ」、バッテリーとエンジンを組み合わせるプラグイン・ハイブリッドを「EQ Power」、48Vのサブ電源を使うシステムを「EQ Boost」と呼ぶ。

このように、電動車両といっても、バッテリーとモーターだけで走るBEV、エンジン/バッテリー/モーターを組み合わせるプラグイン・ハイブリッド(PHVあるいはPHEVと略す)、あるいは、48Vを使う車両に見られるマイルド・ハイブリッドなど、クルマの在り方は多様化している。「〇〇社は20XX年までに全てのクルマを電動化する」というヘッドラインのニュースが世界中を駆け巡っているが、電動化の中身をきちっと理解する必要があるだろう。メルセデスの場合は「EQ」「EQ Power」「EQ Boost」の名前で整理している。

「EQ」ブランドのクルマたち

EQCは「GLC」相当のSUVをベースとするクルマだ。「Aクラス」相当のセグメントでBEVが登場すれば、「EQA」と呼ぶことになるだろう。

内燃機関はベンツの代名詞、EVはどう作る?

EQCの日本初公開となったイベントは、桜が咲く前の3月初め、メルセデス・ベンツのブランド発信拠点「Mercedes me」(東京・六本木)にて開催された。注目すべきは、メルセデス・ベンツ日本(MBJ)がEQCと家の電気をつなげる「EQハウス」という斬新なコンセプトで同車を発表したこと。EQCは自宅でも充電できるので、家との相性がよい。そこでMBJは、竹中工務店と組んで「EQハウス」という新しいアイディアを提案したのだ。クルマと家が電気でつながることを「V2H」(Vehicle to Home)と呼ぶ。日本では以前から取り組んできたシステムだ。

MBJと竹中工務店は、モビリティとリビングの未来の姿を具現化すべく、六本木の「Mercedes me」に体験施設「EQハウス」を設置した。ちなみに、「EQC」の展示はすでに終了している

ところで、EQCのカットモデルを見た時、面白いことに気がついた。EQCは「Cクラス」ベースのSUV「GLC」をベースとするが、BEVなのでエンジンとギアボックスが存在しない。そのスペースには、パイプ製のケージが設置されているのだ。パイプの内側にはフロントモーターとデフ(デファレンシャルギア)が置かれ、上部にはインバーターが配置されている。リアも同様にモーターとデフでリアアクスルが構成される。

エンジンがなくなる代わりに、「EQC」にはモーターとデフを納めたパイプ製のケージが入っている

バッテリーは床下のフロア内に格納することで重心を低く設定できる。と、ここまでは常識的なパッケージなのだが、衝突安全の剛体として、このパイプ製ケージにはエンジンと同じ強度を持たせてある。つまり、エンジン車と同じく、モジュールでデザインできるモデルベース開発(MBD)を取り入れているのだ。自動車業界で流行の手法は、EQCにも採用されていた。

EQCのボディサイズは全長4,761mm、全幅1,884mm、全高1,624mm、ホイールベース2,873mmとGLCに近いから、シミュレーションしやすい。性能を見ると、前後2つのモーターは合計で最大出力408PS、最大トルク765Nmを発生する。加速性能はV8ターボのエンジン車並みで、停止状態から時速100キロまでの加速は5.1秒と俊足だ。リチウムイオン・バッテリーの容量は80kWh。気になる航続距離は450キロとのアナウンスがあった。

「EQC」のボディサイズは「GLC」に近い。加速はV8ターボエンジン並みだ

EQCの試乗会は2019年5月に開催されるので、それまでは詳細なインプレッションをお届けできないが、スポーツカー並みの加速性能を誇るEQCは単なるBEVではなさそうだ。何か、もっとすごい仕掛けがありそうに思える。試乗会が楽しみになってきた。

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