6年で500店舗の“ミラクル”! 「りらく」がリラクゼーション業界で急拡大した理由

6年で500店舗の“ミラクル”! 「りらく」がリラクゼーション業界で急拡大した理由

2016.06.13

2000年代前半から目立ち始めた“手もみ”などを用いて体の緊張をほぐすリラクゼーション店。矢野経済研究所の「ボディケア・リフレクソロジー市場規模推移」によれば、2011年に約990億円規模だった市場は微増を続け、2015年には約1,077億円(予測)規模になるとしている。こうした中、スタートからわずか6年で全国に500店舗超を展開するまでになった企業がある。株式会社りらくだ。

ロードサイドを中心に出店拡大

りらく 執行役員 事業戦略本部長 兼 経営戦略部 部長 情報システム部 部長 マーケティング・コミュニケーション部 小河博嗣氏

もともと同社は大阪を基盤とする美容室だった。それがわずかの期間で、運営する「りらくる」を500店舗以上、売上高200億を超す業界の“リーディングカンパニー”ともいえる存在になった。この急成長のカギは、その戦略にある。

同社の執行役員 小河博嗣氏は「ロードサイド中心に店舗展開することで、急成長を果たしました」と、出店先のターゲットを定めたことが急成長の理由だと話した。さらに、撤退したコンビニ店舗などの居抜き物件を活用することで初期投資を抑制。また、居抜き物件であることから内装を整えるだけでよく、出店までのリードタイムを縮めることができ、1週間に2店舗オープンのハイペースで拡大していった。

確かにリラクゼーション店というと駅前などの繁華街に出店されているイメージが強い。見逃していただけかもしれないが、郊外のロードサイドでこうした店はあまり見かけない。しかもコンビニの居抜き物件に着目した点も“目利きだった”といえる。コンビニはもはや飽和状態で、競争力のない店の撤退は珍しいことではない。さらにロードサイドの“元コンビニ”なら駐車場が併設されていることがほとんどで、客はクルマでリラクゼーションの施術を受けに来られる、というワケだ。

りらくる 池上店。国道1号沿いと、まさにロードサイド。以前はコンビニだったそうだ

小河氏によると「500店は通過点。1,000店舗オープンを目指しています」と意気込む。

施術を行うセラピスト。彼らは個人事業主だという

ロードサイドをねらったことだけがこの急成長の理由ではない。客に施術を行う「セラピスト」と同社の関係性も急成長を後押ししたといえそうだ。全国500店舗で9,000人以上のセラピストが働いているが、全員が“個人事業主”だという。つまり社員ではなく“フリー”だ。

同社は店舗や施設というリラクゼーション環境を整え、そこで個人事業主が客に施術し料金をもらう。小河氏は割合については明かさなかったが、その売り上げをセラピストと同社で分け合うのだという。つまり“大家と店子”、いや“劇場と興行主”の関係といったら近しいか……。

研修センターを充実させセラピストを育成

個人事業主であるセラピスト側にもメリットがある。育児などで時間の融通が利かないセラピストはフルタイムで働かなくてもよいし、ほかの仕事と兼業する“ダブルワーク”も可能だ。ただ、小河氏によると、セラピスト1本で収入を得ている人の割合が高いという。 同社ではこのセラピストの育成に重点を置いている。小河氏は「リラクゼーション事業をスタートさせてからこのかた、ほぼ広告宣伝にお金はかけませんでした。しかも店舗も居抜きです(笑)」と笑みをこぼしながら、「そのぶん、研修センターへの投資に重点を置きました」と話す。同社には現在、全国に22カ所の研修センターがあり、今後も増やす予定だ。

また、2017年1月から「報酬ランクアップ制度」を導入するという。これは全国で一律だったセラピストへの報酬を作業時間や指名回数に応じて上積みする報酬体系。さらに毎月1回だった報酬支払いを月3回に増やし、セラピストにできるだけ早く支払えるようにする。 なお、指名料金については100%セラピストの収入になるそうだ。つまり施術がうまくなって客に“贔屓”にされれば、そのぶん収入も上がっていくわけだ。

同社は4月1日に店舗名をそれまでの「りらく」から「りらくる」に変更した。これは、それまでの「りらく」に“急成長を遂げたミラクル”をかけたものだそうだ。

なぜ、このタイミングで屋号を変更したのか。それは500店舗到達を機に“リブランド”することで、1,000店達成に向け勢いづかせたかったからだ。ストレッチをメインにした「Re.Ra.Ku」という他社チェーンと紛らわしかったという理由もある。なお、店名変更を機に全店舗にタブレットを導入。客一人ひとりの施術についてタブレットから本部に送り、それを分析してサービス向上に役立てるという。ちなみにタブレットは2,200台に上った。

店名変更にともないカンバンなどを急ピッチで取り替えている
店舗に導入されたタブレット。待ち時間用にコミックも用意されている

競合する他社との差別化について小河氏は「駅前型のチェーンは10~30分の“クイック”な施術がメインです。ですが我々は『60分、2980円』がコンセプト。60~90分間、お客様にリラックスしていただきたいです。むしろ120分の“映画”を意識しています」と語った。

実店舗を見学させていただいた際、こんなシーンに出くわした。飛び込み客が「60分コース」を頼んだところ、予約をしていなかったため「45分待ちになります」と告げられていた。それに対してその客は「では待ちます」と答えた。筆者なら45分待ちなんてことになったら諦めて帰るが、この客は施術の時間も含め“105分”を費やしてでも、サービスを受けたいということか。「映画の120分と比べてほしい」という言葉は、「あながち的外れではないなぁ」と感じた。

公認大会の総賞金は1億円越え! 日本eスポーツ連合の「今年」と「未来」

公認大会の総賞金は1億円越え! 日本eスポーツ連合の「今年」と「未来」

2018.12.14

JeSUが発足初年度の活動総括と来年以降の取り組みについて発表

年間の公認大会は34大会、賞金総額は1億円を超えた

今回ビックカメラが新たなスポンサーに加わることが決定

2019年以降も国際的なeスポーツの取り組みに力を入れるという

12月13日、一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)は、今年1年の実績と来年に向けた活動について発表する記者説明会を開催。まずは、今年の実績について、岡村秀樹会長から説明が行われた。

JeSU会長 岡村秀樹氏

設立初年度でJeSU公認大会の賞金総額は1億円オーバー

JeSUは今年1月22日に発足し、2月1日から活動を開始。日本におけるeスポーツの振興を目的に活動を進めており、2月に開催した「闘会議2018」では、JeSU認定タイトルの制定とプロライセンスの発行を行った。

岡村氏は「ライセンスの発行によって、賞金付きeスポーツ大会の開催を実施しやすくなりました。設立初年度に行われた公認大会34大会の賞金総額が1億2977万円を記録し、JeSUの活動として、これは成功したと言えるでしょう」と胸を張った。

今年1月に発足し、2月より活動を開始したJeSU
2月に開催した闘会議では16人にプロライセンスを発行。同イベントでは賞金総額2815万円のeスポーツ大会も実施された
JeSUのライセンス認定タイトルは11タイトルまで増えた。公認大会は合計で34大会。賞金総額は1億円を超えた

6月には「アジア競技大会」の国内予選を行い、ジャカルタ パレンバンに3名の選手を派遣。『ウイニングイレブン』部門では、見事、初の金メダリストが誕生した。

9月の「東京ゲームショウ2018」では「e-Sports X」ブースを設置し、フェイエノールトと浦和レッズの『FIFA 18』国際親善マッチをはじめ、さまざまなeスポーツイベントをサポート。そして、11月に台湾で開催された「第10回 eスポーツ ワールドチャンピオンシップ」では、『鉄拳7』の破壊王選手が銀メダルに輝き、デモンストレーション競技として急遽採用となった『モンスターストライク スタジアム』の日本チームは、金・銀メダルを独占する快挙を成し遂げた。

また、上記のような大会開催や国際大会への選手派遣だけでなく、JeSUは国際eスポーツ連盟(IESF)の正規会員登録という実績も残している。

これらJeSUの貢献もあってか、eスポーツという言葉自体の認知度も格段に上がり、「新語・流行語大賞のトップテン入り」や「ヒット商品番付の小結」にも選ばれた。

台湾で行われた「第10回 eスポーツ ワールドチャンピオンシップ」では、『鉄拳7』で破壊王選手が銀メダルを獲得。『モンスト』もデモンストレーション競技に採用された
IESFの正会員加盟も決定。「準加盟で実績を積んでから正会員へ昇格する」というのが一般的なケースであるが、今回日本は異例のスピード加盟を実現した
話題の言葉として「eスポーツ」が認知されつつある
eスポーツは来年の国体の文化プログラムとしても採用された

なお、今回の説明会では、新たにビックカメラが公式スポンサーの仲間入りを果たしたことも発表された。

これまでのスポンサー6社にビックカメラが加わった

闘会議とJAEPOでは日本代表vsアジア代表の国際戦を実施

次に来年、「闘会議2019」と「ジャパン アミューズメント エキスポ(JAEPO)2019」と同時に開催される「eSPORTS国際チャレンジカップ~日本代表vsアジア選抜」について、JeSU副会長の浜村弘一氏から発表があった。

この選抜大会は、JeSUとアジアeスポーツ連盟(AESF)による共同開催で、2団体が承認する4タイトルで対戦する。競技タイトルに選ばれたのは、『ウイニングイレブン 2019』『Counter-Strike:Global Offensive』『ストリートファイターV アーケードエディション』『鉄拳7』。選抜選手や競技方法などは、近日中に発表する予定だ。

JeSU副会長 浜村弘一氏
闘会議2019、JAEPO2019と同時に開催される「eSPORTS国際チャレンジカップ~日本代表VSアジア選抜」。賞金総額は4タイトル合計で1500万円

最後に、地方のeスポーツプレイヤーの育成や支援、イベントの開催などを後押しするための、JeSU地方支部開設について発表された。

まずは、JeSUの前身である日本eスポーツ協会時代の地方支部として機能していた11団体を、JeSUの地方支部として認定。今後も地方支部の数は増やしていく予定だが、早急に事を進めることはせず、実績を積んだ団体に対してじっくりと審査を行い、認定していくとのことだ。

1月21日より活動が開始されるJeSUの地方支部。地方のeスポーツ活性化を後押しする。開設されるのは、北海道eスポーツ連合(金子淳)、山形県eスポーツ連合(成澤五一)、富山県eスポーツ連合(堺谷陽平)、石川県eスポーツ連合(島倉福男)、東京都eスポーツ連合(筧誠一郎)、静岡県eスポーツ連合(山崎智也)、愛知県eスポーツ連合(片桐正大)、大阪府eスポーツ連合(管野辰彦)、兵庫県eスポーツ連合(五島大亮)、岡山県eスポーツ連合(本村哲治)、大分県eスポーツ連合(西村善治)の11支部(1月21日より)。()内は会長名

課題ややるべきことが山積しているJeSUにとっては、まだまだ通過点ですらない状態ではあるが、それでも1年目として十分な成果を上げたのではないだろうか。浜村氏は説明会で「IPホルダーができないことをやっていく」と述べたが、来年以降も国と国の折衝や国への働きかけ、国際大会への進出などに期待したいところだ。

サブスクリプション導入の日本語入力システム「ATOK」、次の展開は?

サブスクリプション導入の日本語入力システム「ATOK」、次の展開は?

2018.12.14

ジャストシステムが「ATOK」「一太郎2019」を発表

スマイルゼミが成長を牽引し、上場以来の最高益を達成

枚方(ひらかた)を「まいかた」から変換できる新機能も

ジャストシステムが日本語入力システム「ATOK」の最新版や、校正機能などを強化した日本語ワープロソフトの最新版「一太郎2019」を発表した。

クラウド型通信教育「スマイルゼミ」が好調のジャストシステムだが、PCユーザーにとっては長らく看板製品となってきた一太郎やATOKのほうが馴染み深い人も多いはずだ。その最新版からジャストシステムの狙いを読み解いていく。

ジャストシステムが最新の「ATOK」や「一太郎2019」を発表

好調な業績を背景にサブスクリプションに移行

2009年にキーエンス傘下となったジャストシステムは、2010年から業績を安定して伸ばしている。2018年度上期の営業利益と経常利益はともに約47億円強で、株式上場以来の最高益を達成するなど好調が続いている。

その好調を支えるのがタブレット端末を利用したスマイルゼミだ。従来の小学生コース、中学生コースに加え、12月1日には小学校入学までの学習需要をターゲットにした「幼児コース」を追加するなど、対象年齢を拡大している。

その好業績を背景に、2017年12月にはATOKのビジネスモデルを大きく刷新した。それが「パッケージからサブスクリプションへの移行」だ。店頭やダウンロードで販売してきたパッケージ版を廃止し、月額制のサブスクリプション「ATOK Passport」に一本化。「ATOK 2017」を最後に、製品名から「2017」などの発売年によるナンバリングがなくなった。

こうしたパッケージからサブスクリプションへの移行は、米Adobeなど大手ソフトウェア企業が採用したことで世界的なトレンドになっている。以前は毎年のバージョンアップで機能を追加し、乗り換えを促してきたのに対し、月額制ではより細かいサイクルで改善していくことが可能になり、安定した収益を確保できるなどメリットは大きいとされる。

グーグルやマイクロソフトは無料で日本語入力ソフトを提供していることもあり、毎月料金を取られることを不満に思う人もいるだろう。だがATOKはクラウドを利用した学習データの同期や、辞書にない流行語を追加するなど、サービスも充実している。日本語の変換効率の高さを重視する人なら、サブスクリプションは納得感のある内容と言えそうだ。

変換に機械学習を取り入れ 課題はiOS

毎年の大きなバージョンアップはなくなったATOKだが、近年は日本語入力の効率を大きく向上させる可能性のある技術が出てきた。それがディープラーニングなどの人工知能分野の技術だ。

日本語は同音異義語が多く、ひらがなを漢字に変換する場合、入力者が思い浮かべた単語をいかにして予測するかが効率を左右する。ATOKは前後の文脈を考慮したルールに基づいて変換してきたが、ディープラーニングによりルールにない日本語の特徴をとらえることができるという。

その「ディープコアエンジン」をATOKは2017年に搭載。さらに今回はサブスクリプションの上位版で利用できるAndroidアプリ版にも搭載し、モバイルの入力効率を改善してきた。画面の大きさに限りがあるスマホでは、文字入力や変換候補の選択がよりシビアになるだけに、確実な効率アップにつながりそうだ。

Android版にもディープコアエンジンを搭載

Windows版の新機能としては「地名入力支援」機能を搭載。「枚方」(ひらかた)を「まいかた」でも変換できるようになった。こうした誤った読みに対応することで混乱を助長する恐れはあるものの、変換できなければグーグル検索で調べることもできないのが現実だ。そこでジャストシステムは漢字には変換しつつ、本来の読みも表示するという方法で要望に応えた形だ。

「枚方」(ひらかた)を「まいかた」でも変換できる

iOS機器での使い勝手向上に期待

一方、大きな課題として残っているのがiOS対応だ。ATOKは最新のiOSでも利用できるものの機能制限は多く、App Storeの評価は5段階中2.8と低迷している。世界でも類を見ないほどiPhoneのシェアが高い日本で、なぜiOS向けに注力しないのか疑問の声は多い。

背景には、iOSがセキュリティ上の理由からサードパーティの日本語入力ソフトの振る舞いを制限している事情がある。スマホの文字入力は個人情報やパスワードを扱うことから最もセキュリティレベルが高い機能と位置付けられており、ジャストシステムとしても手を出せないという。

特に、仕事用タブレットとして大きく進化したiPad ProにおいてATOKの使い勝手の向上を望む声は大きい。ビジネスの現場における生産性向上に期待したいところだが、その実現はもう少し先になりそうだ。