佐藤可士和が語る、釣り具ブランドが「アパレル」をはじめた理由

佐藤可士和が語る、釣り具ブランドが「アパレル」をはじめた理由

2018.08.02

釣り具のDAIWAから生まれたブランド「D-VEC」

ロゴ・ブランディングを佐藤可士和氏が担当

釣り具メーカーがアパレルに進出した狙いを語る

THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)やSnow Peak(スノーピーク)など、登山向けアウトドアブランドがアパレルを展開している例はいくつかあるが、2017年に「釣り」の技術を活用した機能性アパレル製品を提供する「D-VEC」が登場した。

「D-VEC」は、釣り人たちの信頼を集める「DAIWA(ダイワ)」ブランドからはじまったファッションブランド。釣り竿に使用されているカーボンファイバーを使った超軽量折りたたみ傘など、釣り具のために生まれた技術を、街で使えるようなアイテムに付加して提供している。

超軽量傘「カーボンテクノロジー ポータブルアンブレラ」は、スマートフォンの約半分の重さを実現した

DAIWAブランドでアウトドア向けのウェアを扱ってはいるが、D-VECは、明確にファッションブランドとして展開しており、原宿にショップを出店した後、2018年7月には外苑前にショールームを設置した。

すでに釣り業界で多大な支持を得ているDAIWAブランドとはあえて別の屋号でファッションに打って出た狙いは、どこにあったのだろうか。

D-VECの立ち上げからグローブライド(旧ダイワ精工)のブランディングまで一手に引き受けた、クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏

今回は、DAIWA、D-VEC、および両ブランドが属するグローブライド(旧ダイワ精工)のブランディングに携わった佐藤可士和氏に、D-VECのロゴマークのデザインや、アパレルブランドを立ち上げた意図、そして今後の展望を聞いた。

「技術力」を感じさせるロゴデザイン

――最初に、D-VECブランドのみならずDAIWAブランドを含めたグローブライドのリブランディングに関わるようになった経緯を教えてください。

もう10年以上前になりますが、旧ダイワ精工が50周年を迎えるタイミングで、リブランディングを行いたい、とお話をいただいたのがきっかけです。まず、ダイワ精工という社名を現在のグローブライドへ変更しました。

そしてフィッシングブランドの「DAIWA」のリニューアルも併せて行いました。諸々の変更は2009年から展開しましたが、もちろんそれ以前から関わらせていただいています。

それから今に至るまで、さまざまなディレクションをさせていただきました。主にグローブライド、DAIWA、そしてアパレルブランドのD-VECですね。

D-VECブランドの製品は、アウトドア向けではなく、街中で着る製品としてデザインされている

――DAIWAのロゴマークとD-VECのロゴマークは同じパーツで作られています。新しくデザインされたロゴの解説、込められた意味について教えてください。

    D-VECのロゴマーク(左)と、DAIWAのブランドロゴ(右)

パーツを共通化したのは、D-VECブランドの初期段階として、DAIWAとのつながりをユーザーに感じていただくことが重要だと考えたためです。今や、釣りを趣味にしている方であれば、ロゴ全体でなくDの部分だけでもDAIWAと認識いただけています。

ですが、公開当初より、最終的にはD-VECのマークだけでコミュニケーションが行えるように設計しています。

――どちらのロゴも直線的なシルエットが印象的です。以前のロゴの曲線的なイメージと対称的ですが、どんな狙いがあるのでしょうか?

DAIWAには、カーボンなどの素材はじめ、ものすごい技術力があります。そういったことを感じさせるようなデザインにしよう、と考えたのが出発点です。

また、元のロゴでは使いにくいシーンがあったことも聞いていて、それを改善することも考えました。旧ロゴはトリコロールカラーだったので製品自体の色と干渉したり、またリールやロッドなど印刷面がごく小さいものに入れたりするのは難しかったそうです。特に後者について、金属製品に刻印したときの見え方も念頭に考えて、現在のものに決めました。

――D-VECのショップではハンガーの中央にロゴが配置されていますし、製品ごとにロゴの入れ方は異なります。各製品へのロゴあるいはマークの配置について、監修は行っていますか?

ショップのハンガーには白地に黒のシンプルな配色でロゴが配置されている

細かな製品監修は行っていませんが、ブランドごとに傾向はあります。

フィッシングブランドのDAIWAのウェア類では、かなりロゴを大きく入れています。それは、利用シーンが釣りに行った時なので、遠くからでも見えやすく、スポーティなグラフィックとして機能したほうが適しているため、大きく使うことが多くなっています。

DAIWAの衣類はブランドロゴを大きくあしらったものが多く、D-VECのラインナップとは雰囲気が異なる

一方で、D-VECはアパレルブランドで、街着を前提に考えています。あまりそこで大きくロゴを出してしまうのは日常のシーンにそぐわないので、DAIWAのロゴの扱いとはまったく異なっています。

――D-VECの各製品について、高い機能性とアパレル製品としての完成度が両立していると感じます。D-VECブランドではどのような理念で製品展開をされていますか?

超撥水糸を用いた防水性・防汚性に富んだアウター「ウィメンズ ミラノリブ テーラードジャケット」
 

すべての製品の大本には、DAIWAが快適なフィッシングのために作り出してきた防水・耐久テクノロジーがあります。一方、日常生活でも意外に通勤・通学でも雨風に悩まされることはあり、そうしたテクノロジーは活用できます。

ですが、D-VECで展開するのは「釣り用の服」ではないので、デザインは完全に日常のモノに思い切り振ってしまったほうが良いと思いました。なので、ほかのアウトドアブランドのファッション性の高いアイテムよりも、結構振り幅が大きいラインナップだと思います。

――ブランドの立ち上げの際から、アイテムの「振り幅の大きさ」を意識していたんですね。

はい。釣りブランドの服で、ちょっとだけファッション性がある…みたいなものを展開しても、あまり大きく広がらないと考えました。今あるものをまったく違うところまで振ったほうが、結果的にブランドで出来る部分が大きくなるのではないか、という意図があります。

――現在、D-VECブランドのキーになっているプロダクトは? 

キーとなる特定の製品がどれかというより、やはり機能が重要と考えています。単に華やかなデザインを追いかけている、ということはないです。

釣りをするような水辺でも滑らないソールを、ファッションに転用した「HYPER D ハイヒール レインブーツ」
ブランドの「D」マークを配置した、防滑性能の高い「ハイパーDソール」

レインブーツなどのフットウェアでは「ハイパーDソール」という、ロゴを模した靴底を採用しているんですが、本当に滑らないんですよ。釣り糸を極細にして繊維にした軽量布「モノフィラメント」で作ったウェアも今後展開していきます。どの製品でも、釣りの技術からはじまっていることは伝わるように作っています。

リブランディングと「大事なこと」探し

――リブランディングをする際、大きくわけて一新するポイントと保守するポイントがあると思われますが、「変える」のは難しい行為と考えます。「変える」ポイントはどのように見出していますか?

どのブランドでもそうなのですが、ものすごくわかりやすく言えば、「一番いいところは何だろう」ということを最初につかみます。

そして、すごく簡単な話なのですが、よいところは伸ばして、そうでないところはどうすれば改善できるか考える(笑) 言うと当たり前のことなんですけれど、意外にその整理が難しいというか。歴史があればあるほど、あれもこれも大事となってしまうので。

でも、本当に大事なことは、そんなにたくさんはないですよ。それがひとつでもあったら、素晴らしい企業です。企業が存続しているということは、それが必ずあるわけですから。

――「大事なこと」探しはどのように行いますか?

ヒアリングがメインです。経営層から新入社員、ユーザーの方々にも。ケースバイケースですが、ヒアリングですね。基本は。立場の違ういろんな人から聞いても、共通点があるとそれが本質です。必ず、何か出てきます。

DAIWAの場合、やはりものすごい「技術」を持っています。携わった当初びっくりしたのが鮎竿ですね。8~9mくらいの長い物なのに重さは約200gしかない、超ハイエンドな竿を30~40万円で販売している。その商品展開にまず驚きました。こういう製品を作れるのはすごいですよ。なので、「技術」がやはりこの会社の大事なところだとまずは確認しました。

逆に、もったいないところというか、やっていなかったところがあると僕はとらえました。まず、デザイン面が弱かった。もう少し大きく言えば、釣り具開発のためのテクノロジーの発展、いわば「縦」の進化はものすごいのですが、「横」の展開はあまりやっていないなと感じました。

――とことん釣り具のクオリティにこだわっていて、他の領域には手を出していなかった、ということですね。

そういうことです。テクノロジーは本当にすごいのに、釣りをやっていない人たちにそれを提供するような意識がなかった。DAIWAをはじめて知った人がいきなり鮎竿を買うことはないので、技術力を知る機会がなかったんです。「横」の展開にはアパレルが一番入りやすいものだと考えて、現在のブランド展開になっています。

D-VECブランドは、テクノロジーの「横展開」のために生まれた

先ほど「やっていなかった」と言いましたが、より正確には「視点が違った」のだと思います。以前のDAIWAブランドでは、アパレル関係のアイテムも竿や網、長靴といった製品の延長上で作っていました。

撥水・防水など衣類としての機能性はとても高かったのですが、たとえば女性が身につけたいと思うようなものは、ひとつもなかったように感じます。色展開もほぼ黒かグレーのみで…。そこで防水技術は残して、釣りをディープに楽しむ人でなくても、かっこいい・かわいいという視点から欲しくなるようなモノを作れば、お客様が広がっていく。なので、そこは変えましょう、と。

――ブランディングというのは製品開発の源流とも言える機軸を作る大きな事業です。D-VECの設立にあたって、佐藤さんが感じた「壁」は何かありましたか? また、どうやってそれを乗り越えましたか? 

まだ立ち上がって日が浅いブランドなので、具体的な製品に結びついた話だと難しいですね。何かを改善して売り上げが伸びた、というものはまだ出てきていないので。ですが、日々アップデートですよね。D-VECだけではなくて、DAIWAのほうのアパレルもずっと見ているので、そういう意味で言うと日々変化しています。

現場からうかがった話で言えば、撥水性のある傘の布地で、海の柄のはいった真っ青なコートのエピソードが「壁」というか、そういう局面に近いかも知れません。すごく舞台映えするのでタレントの方たちが大勢着用してくださったんですが、実売には結びつかなかったといいます。

なぜかと言えば、タレントの衣装に適していた一方で、一般の方の普段着にはインパクトが強すぎた面があると思います。そのあたりは難しい面があります。広告的な商品と実売は必ずしも一致しませんから。

――自動車で言えば、派手なカラーを広告に使う一方で、白、黒なども展開しているようなものでしょうか。

それと一緒ですね。広告的製品と実売に結びつく製品は両方必要で、数量のコントロールで調整していきます。先ほどの海柄のコートも、それを見てD-VECを知っていただいて、ショップに来ていただけた例もあるかもしれません。そういった反響も分析しているところです。

――最後に、D-VECブランドの今後の展開についてお聞かせください。

今回青山で展示を行ったのも実験の一環であって、釣りから自転車、ゴルフ、テニスと、グローブライドのブランドを一堂に並べたのもほとんど初めてです。

これらのブランドを横並びで置ける店もないですし。いきなりこういうコンセプトの店を作っても、売り上げを立てるのはなかなか難しい。ここはスタジオ、アトリエのような実験的ショールームだから実現できました。

インタビューを行ったのは、外苑前のItochu Garden内「ifs未来研究所」。グローブライドの各ブランドを一堂に展示するのはこれがはじめての試みで、今後も展示内容を変化させていく。”日々アップデートする”ブランドを象徴する場となりそうだ

ここでの反応を見て、たとえば自転車と釣りの組み合わせを追求するなど、別の展示も行います。ほかのイベントでの提案についても、ifs未来研究所の川島蓉子所長に考えていただいています。

繰り返しになりますが、D-VECにしろDAIWAにしろ、方針をガッチリ固めるのではなくて、日々更新をかけていくようなイメージですね。デザイン性についても、単に既存のアパレルブランドを追随しようとしているのではなく、釣り具メーカーが提案する新規性を実現するために、チャレンジを進めています。

――ありがとうございました。

「eBASEBALL」の初代覇者が決定! 定番プロリーグとして定着なるか

「eBASEBALL」の初代覇者が決定! 定番プロリーグとして定着なるか

2019.01.17

「eBASEBALL」で初代王者を決めるe日本シリーズが開催された

頂点を争ったのは、埼玉西武ライオンズと横浜DeNAベイスターズ

はたして“もう1つのプロ野球”で頂点に輝いたのは?

1月12日、東京ビッグサイトTFT HALL 500にて、「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ2018」のe日本シリーズが開催された。頂点を争ったのは、埼玉西武ライオンズと横浜DeNAベイスターズ。はたして初代王者に輝いたのは、どちらのチームか。

3カ月間の戦いの末、頂点を争う切符を勝ち取った2チーム

「eBASEBALL」とは、野球ゲーム『実況パワフルプロ野球 2018(パワプロ)』を使用した、日本野球機構(NPB)とコナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)が共同で開催するプロリーグだ。

2018年7月より行われたオンライン予選、西日本、東日本選考会を経て、9月末に実際のプロ野球球団による「eドラフト会議」を実施。ドラフトで指名された選手は、プロゲーマーとして各球団に所属する形になった。

11月からは実際のプロ野球のペナントレースのように、セ・リーグ、パ・リーグに分かれて「eペナントレース」がスタート。そして12月に行われた、eペナントレース上位チームによる「eリーグ代表決定戦」によって、パ・リーグの埼玉西武ライオンズと、セ・リーグの横浜DeNAベイスターズが、e日本シリーズへの切符を手にした。

パ・リーグ代表の埼玉西武ライオンズは、eペナントレースを13勝2敗の圧倒的な強さで勝ち抜き、eリーグ代表決定戦でも危なげなく、代表権を獲得。対するセ・リーグ代表の横浜DeNAベイスターズは、キャプテンであるじゃむ~選手のデータを活かした戦術と強力打線、そして巧みな投球術でeリーグ代表権をもぎ取った。

埼玉西武ライオンズのなたでここ選手(写真左)、BOW川選手(写真中)、ミリオン選手(写真右)
横浜DeNAベイスターズのヒデナガトモ選手(写真左)、じゃむ~選手(写真中)、AO選手(写真右)
会場は超満員。立ち見席も出るほどの人気ぶりで、まさに日本一を決定するのに相応しい舞台となった

一発勝負の決勝戦! 最後に笑うのは……?

e日本シリーズでは、各チーム3名による3イニング交代制の試合を1戦だけ行う。そこで勝利したチームがeBASEBALL パワプロ・プロリーグの初代チャンピオンになるわけだ。

『パワプロ』でお馴染みの選手の調子発表

選手の調子を見ると、埼玉西武ライオンズは、主力に不調の選手がおらず実力を存分に発揮できそうなラインアップ。横浜DeNAベイスターズは主砲筒香の好調が嬉しいものの、桑原、ソトの不調が厳しい。どちらかというと調子具合は埼玉西武ライオンズが優位に見られた。

さぁ、いよいよプレイボール。まず1人目、埼玉西武ライオンズはミリオン選手、横浜DeNAベイスターズはヒデナガトモ選手がコントローラーを握る。奇しくも、ペナントレースで最多奪三振のタイトルを獲得した2人の対戦となった。

そのため、激しい投手戦が繰り広げられたが、3回裏に均衡が破られる。豪打を誇る埼玉西武ライオンズとしては珍しいスクイズで1点を先制すると、そこから怒濤の連打で計5点をもぎ取り、序盤にして埼玉西武ライオンズが大量リードを得た。

スクイズ、スチールと小技も冴え、一気に5点を奪うミリオン選手
センターフライの捕球ミスやスクイズの打者をアウトにできなかったなど、ミスが出てしまったヒデナガトモ選手

2人目は埼玉西武ライオンズがBOW川選手、横浜DeNAベイスターズがじゃむ~選手と、キャプテン対決。じゃむ~選手が2点を返すも、BOW川選手が1点を追加し、スコア「西武 6-2 DeNA」で最終プレイヤーにバトンが渡された。

埼玉西武ライオンズのキャプテンを務めるBOW川選手
横浜DeNAベイスターズの軍師ことじゃむ~選手

最後は、ペナントレースで急成長した埼玉西武ライオンズのなたでここ選手と、横浜DeNAベイスターズ無敗のエースAO選手の対戦となった。

最優秀防御率のタイトルを獲得し、eペナントレースでの失点はわずか3点と脅威の安定感を持つAO選手は、e日本シリーズでもその実力を発揮。打撃3冠を獲得したなたでここ選手をみごとに完封した。しかしながら、3イニングでは1点を返すのがやっとで、最終スコアは「6対3」。埼玉西武ライオンズが優勝し、e日本シリーズを制した。

今回の大会で急成長したなたでここ選手
横浜DeNAベイスターズのエースとしてチームを牽引したAO選手
ペナントレースから実況を担当した清水久嗣アナはe日本シリーズの実況も担当
解説を務めた元ヤクルトスワローズ監督の真中満氏
同じく解説を務めた元中日ドラゴンズ監督の谷繁元信氏
ゲーム解説を務めるぶんた氏
パワプロ・プロリーグ初代チャンピオンの埼玉西武ライオンズ

埼玉西武ライオンズも横浜DeNAベイスターズも、打撃、特に本塁打に期待できる選手が揃っており、その打撃力で勝ち進んでいたなかで、e日本シリーズではホームランが「ゼロ」という、頂上決戦に相応しい緊迫感のある試合だったといえよう。

e日本シリーズでは博多激獅会も応援に駆けつけ、プロ野球さながらの応援が飛び交った

試合終了後は、優勝の表彰とともに、各個人タイトルの表彰も行われたので、その様子も紹介しよう。パ・リーグでは、首位打者、本塁打王、打点王、最優秀防御率の4冠を埼玉西武ライオンズのなたでここ選手が獲得。最多奪三振は埼玉西武ライオンズのミリオン選手が獲得した。

また、セ・リーグでは、首位打者と本塁打王の2冠を広島東洋カープのカイ選手、打点王と最優秀防御率の2冠を横浜DeNAベイスターズのAO選手、最多奪三振を横浜DeNAベイスターズのヒデナガトモ選手が獲得。そして、MVPには、4冠獲得のなたでここ選手が選出された。

パ・リーグの最多奪三振を獲得したミリオン選手
セ・リーグの首位打者と本塁打王を獲得したカイ選手
セ・リーグの打点王と最優秀防御率の2冠を獲得したAO選手
セ・リーグの最多奪三振を獲得したヒデナガトモ選手
パ・リーグの首位打者、打点王、本塁打王、最優秀防御率の4冠、そしてMVPを獲得したなたでここ選手
e日本シリーズでは12球団のマスコットがそろい踏み。スポンサーであるSMBCのキャラクター「ミドすけ」も登場した

eBASEBALLは試合を重ねるごとに盛り上がりを見せ、決勝の舞台でもあるe日本シリーズでは立ち見が出るほど多くのファンが駆けつけた。プロ野球ファンにとって、オフシーズン時期の楽しみの1つとして、eBASEBALLが定着しそうな気配も感じる。

最後にNPB(日本プロ野球機構)コミッショナーの斎藤惇氏による締めの挨拶にて、「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ 2019」の開催も発表された。来シーズン、さらなる飛躍と盛り上がりに期待したい。

SUVでは満足できない人へ…「パサート」試乗で再考したクロスオーバーワゴンという選択肢

SUVでは満足できない人へ…「パサート」試乗で再考したクロスオーバーワゴンという選択肢

2019.01.17

フォルクスワーゲンの「パサート オールトラック」に試乗

これは意外? クルマ好きも納得のスポーティーなクルマ

ステーションワゴンとSUVの“いいとこ取り”

昨今のSUVブームはとどまることを知らない。コンパクトからラグジュアリーまで多様性もみられ、さらに「RAV4」の日本復活など、いくつかの新型車投入のニュースも届いている。しかし、SUVが必ずしも全てのユーザーにとってベストな選択肢とはいえないはずだ。

日常の使い勝手などを考慮すると、セダンとSUVの架け橋である「クロスオーバーワゴン」こそ、真の“いいとこ取り”なのではないかと思うところもある。今回は、フォルクスワーゲンから登場した「パサート オールトラック」に試乗し、この車種の魅力について再考してみた。

フォルクスワーゲンのクロスオーバーワゴン「パサート オールトラック」に試乗した

スバルが普及させたクロスオーバーワゴンという車種

フォルクスワーゲンがミッドサイズモデル「パサート」に新グレード「パサート オールトラック」を追加した。このモデルは、パサートのステーションワゴン「パサート ヴァリアント」をベースとし、SUVのエッセンスを取り入れた「クロスオーバーワゴン」と呼ばれるジャンルのクルマだ。つまり、ステーションワゴンとSUVの中間的な存在である。特徴としては4WD、専用サスペンションで高めた最低地上高、SUVを彷彿させるラギッドなスタイルなどが挙げられる。これらにより、ステーションワゴンよりも走破性が高まっている。

「パサート オールトラック」は最低地上高の高さやSUVを髣髴させるスタイルなどを特徴とする。価格はグレード別に「Passat Alltrack TDI 4MOTION」が509万9,000円から、「Passat Alltrack TDI 4MOTION Advance」が569万9,000円からだ

少しだけクロスオーバーワゴンの歴史を振り返りたい。意外かもしれないが、こういったクルマを普及させたのは日本メーカーなのだ。

SUVのニーズが高まっていた1990年代の北米で、SUVを持たないスバルは大苦戦していた。その打開策として、2代目「レガシィ」をベースとするクロスオーバーモデル「アウトバック」(日本名:レガシィ グランドワゴン)を開発。これが大ヒットとなり、北米市場での巻き返しに成功する。

スバルが2代目レガシィをベースに開発した「アウトバック」。意外にも、歴代モデルの中にはセダン仕様が用意されていたこともある。日本では「レガシィ グランドワゴン」の名で登場。その後、「レガシィ ランカスター」と名称を変更した。先々代モデルからは日本でも輸出名を取り入れ、現在同様の「レガシィ アウトバック」となった

アウトバックがヒットした背景には、ステーションワゴンの高性能化が進み、実用車というイメージが変化して、アクティブなカーライフやスポーティな走りが楽しめる多用途なクルマとして認知されだしたことがあった。セダン譲りの使い勝手と走行性能、そこにラフロードにも対応できる走破性を組み合わせた欲張りな存在として人気を集めたのだ。事実、アウトバックの後にはボルボ「XC70」(後のV70 クロスカントリー)や「アウディ オールロード」といったクロスオーバーワゴンの名車が続々と誕生している。

今やクロスオーバーワゴンは、ステーションワゴンの定番となった。そのパサート版が「パサート オールトラック」だ。

パサート版クロスオーバーワゴンはどんなクルマなのか。試乗で確かめた

「パサート オールトラック」は日本でも使いやすい?

ラギッドなイメージを高めたエクステリアは、パサート本来の上品なデザインの中に、アグレッシブさを感じさせる。主な変更点としては、アンダーガード付きの前後バンパー、ホイールアーチのブラックモール、シルバー仕上げのサイドシルモールなどが挙げられる。サスペンションは標準車+30mmアップとし、最低地上高は160mmを確保した。

ボディサイズは全長4,780mm、全幅1,855mm、全高1,535mm。コンパクトとはいえないが、日本の道路や駐車場には適応しやすいサイズといえる。最大のポイントは、ルーフレールを装備しながらも薄型とすることで、全高を1,550mm以下としているところ。これなら、多くの立体駐車場に入れられるはずだ。

「パサート オールトラック」は日本でも使いやすいサイズ感だ

基本的にインテリアはパサートと共通だが、グレーのパネル加飾を取り入れるなど、スポーティーな装いにしてある。装備は上級モデルらしく充実していて、全車速追従機能付きのACCや車線内中央維持支援機能「レーンアシスト」、渋滞時追従支援機能「トラフィックアシスト」などの先進安全運転支援機能をはじめとし、スマートキー機能の「キーレスアクセス」やSSDナビ付きインフォテインメントシステム「ディスカバープロ」、シート&ステアリングヒーター、パワーテールゲートなど快適装備も満載だ。

車内は広々としており、前後席共に快適なスペースが確保してある。ラゲッジスペースは標準で639Lと大容量。後席を折りたためば最大1,769Lまで拡大可能だ。

インテリアはスポーティーな装い。機能はパサート ヴァリアントの上級グレードに近いもので、充実している
後席は3分割の可倒式。折りたためば最大で1,769Lまで積める

これがベストパサート? スポーティーな乗り味を体感

次にメカニズムを見ていく。エンジンは「AdBlue」(アドブルー、尿素SCRシステムの触媒として用いる尿素水のこと)を使用したクリーンディーゼルの2.0TDIエンジンを搭載。最高出力は190ps/3,500~4,000rpmで、最大トルクは400Nm/1,900~3,300rpmを発揮する。トランスミッションにはDCTタイプの6速DSGを組み合わせる。

最大のポイントは、現行型パサートで初めて4WDを採用していること。さらに、アクセルやパワステ制御などを変更できる走行モードには「オフロードモード」が追加となっている。オフロードモードでは、急な下り坂で車速を一定に保つブレーキ制御「ヒルディセントアシスト」などが作動する。

クリーンディーゼルの2.0TDIエンジンを搭載する「パサート オールトラック」

試乗したのはパサート オールトラックの最上級グレードである「アドバンス」だ。一言でいえば、かなりスポーティーなキャラクターに仕立てられている。低回転で最大トルクを発揮するディーゼルエンジンの魅力が存分に味わえて、峠道の上り坂も力強く駆け上っていく。元気さはパサートTDIを上回っている印象だ。出力は同等だが、アクセルなどのセッティングが異なるのだろう。

そこに前後のトルク配分が可変となる4WDの「4MOTION」と電子制御ディファレンシャルロック「XDS」が加わることで、コーナリングもグイグイ曲がっていく。それでいて乗り心地も良いのだ。ラフロードに適応すべく、足回りのしなやかさを重視していることが良好な乗り心地につながっているのだろう。

「パサート オールトラック」の上級グレード「アドバンス」で御殿場周辺の峠道を走った

同じパサートのスポーティグレード「2.0Rライン」は、もっとハードなセッティングで乗り心地もやや硬めとなる。一方で、パサート オールトラックのアドバンスはバランス重視のセッティングなのだが、クルマ好きをも納得させるスポーティーさを持ち合わせている。これがベストパサートだとさえ思ったほどだ。

ただ、アドバンスはオールトラックの標準車が装着する225/55R17タイヤに対し、245/45R18タイヤにサイズアップしている。さらにはXDSやアダクティブシャシーコントロール「DCC」なども追加となっているので、標準車のオールトラックと異なる部分があることは加味しなければならない。

ただ、オールトラックがスポーティなワゴンに仕立ててあることは間違いない。ファミリーカーだけどドライブを楽しみたいというユーザーには、パサートの中で最もオススメできるクルマだ。

ファミリーカーでも走りを楽しみたいという人には「パサート オールトラック」をオススメしたい。確かに509万円からという価格は安くないが、「パサート ヴァリアント TDI」のエントリーモデルのナビ付きが約470万円であることを考慮すれば、納得のプライスといえよう

走りの良さを持ち合わせたSUVも増えてはいるが…

ステーションワゴンがブームとなったきっかけは、実用性の高さに加え、ワンボックスカーやSUVなどでは得られない走りの良さを獲得できたところにあった。しかし、走りの良さを身につけた昨今のSUVは、そのニーズを奪い、ステーションワゴンの領域を食ってしまったといえる。あれほど盛況であった日本のステーションワゴンも激減し、今やスバルの一強となっている。

ただ、輸入車を見ると、ステーションワゴンの顔ぶれはなかなか充実しており、一定の販売台数を確保している。その中には、いくつかのクロスオーバーワゴンが存在する。

クロスオーバーワゴンはステーションワゴンに価値が加わったクルマなので、ベース車と比べれば、やはり値段は少々高くなる。それでも、中身に見どころはあるし、コスパで考えても納得できるものが多いと思う。日常での使い勝手を重視したい人、ワイルドさやスポーティーさを強調するSUVに子供っぽさを感じてしまう人などは、改めてクロスオーバーワゴンに注目してみてはいかがだろうか。