抹茶が「MATCHA」に。スーパーフードの外食産業での可能性

抹茶が「MATCHA」に。スーパーフードの外食産業での可能性

2016.06.13

健康をどうやって維持するか。飲み会が多い日本のビジネスパーソンにとって痛い課題だ。そんな中セレブを中心に栄養価が高いと注目が高まるスーパーフード。アサイーボウルがカフェのメニューとして定番になって久しいが、そのほかのスーパーフードはまだまだ食べ方が定着していない。だがここに来て、外食分野での提供が広がっている。

抹茶がMATCHAに。ニューヨークから日本に再上陸

5月、東京・渋谷区のカフェ「ORGANIC TABLE BY LAPAZ」の前には、平日にも関わらず、多くの人が行列を作っていた。お目当ては、NYで人気の抹茶専門カフェ「MATCHA BAR」で提供されているドリンク。3日間の期間限定で日本に来ていたのだ。

開店後も途切れない列 東京・渋谷

朝食としての利用がスタンダード

抹茶を使ったドリンクといえば、スターバックスが出している抹茶のフラペチーノなどカフェメニューとしておなじみだが、「MAtCHA BAR」のドリンクは砂糖が使用されておらず、朝のブラックコーヒーのような感覚でNYでは習慣的に利用されているという。さらに斬新なフレーバーになっているのが特徴的だ。たとえば、桃やスイカと抹茶を混ぜたものや、ジャスミンティーとの融合もある。店主のグラハム氏によると「朝にふさわしいようにさわやかなテイストを考えた」という。実際に筆者が飲んだ「アイス抹茶チャイラテ」などは、チャイの持つスパイシーさと抹茶の風味が喧嘩せず、かつ渋い後味も残らずさわやかな飲み応えになっていた。

当日出されたMATCHA NENU(手前のドリンク左から)アイス抹茶ラテ、アイス抹茶チャイラテ、桃とクリーム抹茶、アイス抹茶スイカ、アイスジャスミン抹茶。すべて500円(税込)。奥には同店で使用されている抹茶。粉で買うことも可(大)5000円、(小)2500円。愛知県西尾市産

この「MATCHA BAR」はおととし、マックスとグラハムの兄弟がNYにオープンさせた店で、昨年には2号店をオープンし、考案した抹茶ドリンクがスーパーなど300店舗で発売されるなど今勢いがある。

兄弟で店を運営している。(左)兄のマックス氏、(右)弟のグラハム氏

兄弟がなぜ抹茶に目をつけたのか。学生時代にコーヒーやエナジードリンクを日常的に利用していたが、抹茶の健康効果が高いことに気づき、「朝のブラックコーヒーに変わるスダンダードになるのではないか」と思い店を始めたという。店では兄弟がインターネットで調べ、いろんな産地の抹茶をテイスティングして選ばれた愛知県西尾市産の抹茶だけが使用されている。「巷で流通しているものとは味が全然違う」とのこだわりだ。

専用の機械で抹茶ドリンクを作っている

今年中にアメリカの西海岸に進出する計画となっている。今回のイベントでは3日間で2000杯売れたそうだが、当然日本進出も視野にいれており、来年にオープンさせるべく動いているという。

日本古来からあるこの抹茶が実はNYではスーパーフードとして認識され、健康志向の高い人の食生活にはすでに溶け込んでいる存在なのだ。たてて飲むものだった抹茶は、NYから逆輸入され「MATCHA」として定着するだろうか。

スーパーフード「抹茶」の力

「抹茶は抗効酸化成分やカテキンが入っていてスーパーフードとして優秀」こう話すのは日本スーパーフード協会スーパーフードアカデミー校長の森弘子氏だ。スーパーフード発祥の地であるアメリカではすでに当たり前の存在になっていて、癖の強い食べ物の味の調整にも有効であると同時に、鮮やかな緑色が色素としてもいいので、パウダーを料理に混ぜて利用されることが多いという。日本だと抹茶はたてるものというイメージがあるが、「レシピの提案があれば広がるのではないか」と新しい抹茶の可能性について言及した。

日本スーパーフード協会スーパーフードアカデミー校長の森弘子氏

スーパーフードとは

1980年代頃のアメリカやカナダで、食事療法を研究する医師などの間で広まった、有効成分を突出して多く含む食品に対し、スーパーフードという言葉が使われはじめた。現在のスーパーフードブームは2000年代にハリウッドセレブの間で使われたことなどをきっかけで、日本に上陸して現在につながっているという。森氏によると、2014年が「認知の年」、15年が「『スーパーフード』という言葉が一人歩きし始めた年」で、今年に入って実際に手に取る人が増えたという。

スーパーフードといえば、代名詞と言われる「チアシード」のほか、定着しつつある「アサイー」「ココナッツ」のほかに「スピルリナ」や「マカ」「カムカム」「カカオ」といった名は知られているが、今までスーパーフードとして認識されていなかったものまで入る。

実は日本の食卓にもあるスーパーフード

森氏によると、スーパーフードという言葉は非常にあいまいな概念。「栄養バランスに優れ、一般的な食品より栄養価が高い食品であること。あるいは、ある一部の栄養・健康成分が突出して多く含まれる食品であること。一般的な食品とサプリメントの中間にくるような存在で、料理の食材としての用途と健康食品としての用途をあわせもつ」と協会では独自に定めている。「栄養価がこれくらいとか数値的な基準はない。一方で、食歴が長くあるものかどうかを重視している」という。何百年単位、何千年単位でずっと食べ続けられているものは安全の証であり、パワーが多くの人に認められているであろうという考えからだそうだ。そういったものは日本にもあり、日本スーパーフード協会では独自に「ジャパニーズ・スーパーフード」を提唱している。その中には大豆や穀類なども含まれている。

ホテルや専門店も。広がる外食シーンでの利用

「昨年の後半から外食の相談が増えたという印象がある」と振り返る森氏。アサイー単独では、カフェメニューとしてすでに定着しているが、ここのところ複数のスーパーフードを扱う専門店がオープンし、ホテルのレストランメニューへの導入などが相次いでいる。

ホテルニューオータニのレストラン「SATSUKI」の朝食ビュッフェのヨーグルトバー

渋谷駅の近くでスーパーフードを組み合わせたサンドウィッチ専門店ができたほか、ホテルニューオータニのレストラン「SATSUKI」では、4月にリニューアルした朝食ビュッフェ「新・最強の朝食」でスーパーフードをカスタマイズできるヨーグルトバーを始めた。健康志向の強い方や外国人客を中心に好評だという。

ビュッフェレストラン「三尺三寸箸」「上海柿安」の初夏の期間限定メニュー(左)アマニ油、ココナッツ油などを使ったドレッシングが選べる「自家製柔らかサラダチキン~爽やかレモン風味~」(右)「チアシード入りカラフルコールスローサラダ」

またビュッフェレストラン「三尺三寸箸」「上海柿安」では初夏の期間限定メニューとして(6月20日まで)チアシードやココナッツ油などを使ったサラダやメイン料理を提供している。「スーパーフード」と銘打った期間限定メニューは今年の春ごろから始めて今回が2回目。広報担当者によると「スーパーフードは、価格が高く気軽に試しづらい食品だが、ビュッフェだとお金を気にしなくて済むお得感が売り」だという。30代から50代の女性、家族連れなどの利用が多いが夜の時間帯はアルコールの提供もあることから仕事終わりで利用する客も多いという。

ハードルは値段。利用拡大すれば健康維持に寄与

スーパーフードというと、何かと値段が張り、どのように調理したらいいか分からないのが難点で、スーパーで購入して日常的に利用するまでのハードルは高い。だが、外で食事をとる際に、選択肢の一つとして試せるチャンスがあれば、より身近な存在になるだろう。これから専門店はさらに増加する一方で、チェーン店などでのメニューも出てくることが予想でき、健康維持がより手軽にできるようになっていくことが期待される。

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

2019.03.22

ネットの学校「N高」の卒業式に潜入

開校時に入学したN高1期生が卒業した

世間の注目を浴び続けた生徒は、何を想う?

3月、角川ドワンゴ学園「N高等学校」の卒業式が東京・お台場にて開催された。

「ネットの高校」として、3年前に設立したN高。この日、2016年の開校時に入学した第1期生と、途中転入・編入した生徒をあわせ、計1593名が卒業した。3年前、『VR入学式』で世間を賑わせたこの学校を巣立つ卒業生たちは、N高での日々をどう捉え、今後はどのようなキャリアを描いていくのだろうか。

卒業式は2019年3月20日、お台場にて行われた

卒業式を彩る最新テクノロジー

N高は、ドワンゴとKADOKAWAの経営統合で誕生したカドカワが設立母体となり、2016年4月に開校された通信制高校だ。同校は開校後、2年次編入なども受け入れてきたため、これまでも卒業生を排出してきてはいたが、「1年生~3年生をN高で過ごした生徒」が卒業するのは、初めてのことだ。

卒業式には多くの報道陣も参加した。生徒にとって、「卒業式に記者がいる」「自分たちが卒業する様子がテレビやWebで取り上げられる」というのは不思議な感覚だろう。とはいえ、もう「VR入学式」に「ニコニコ超会議」へのブース出展(N高ではそれを「文化祭」と表現)などの経験を経て、メディアへの露出には慣れてしまっているのかもしれない。

そして、今回の卒業式も例によって独特だった。

卒業式は任意参加で、会場には袴や制服に身を包んだ生徒が集まる一方、その様子をライブ配信することで、会場に来られない生徒生徒も参加できる仕組みになっていた。会場のスクリーン上にはニコニコ生放送さながら、リアルタイムでコメントが表示されており、こうした演出は「N高らしい」といった印象を受けた。

卒業式の様子。オンライン参加者のコメントがスクリーンを流れる

中でも印象深かったのは、当日来られなかった生徒を代表して、米シリコンバレーに留学中の佐々木雅斗さんが「ロボット」に自分の顔を映して卒業証書を受け取ったシーンだ。

使用したのは、ANAが“未来の移動手段”として開発する、視覚・聴覚・触覚などを備えた、ユーザーの分身となるロボット「ANA AVATAR」。同校ではこのロボットを試験的に授業にも導入しているそうで、こういった最新のテクノロジーを使うあたりもN高らしい。

遠隔操作ロボット「ANA AVATAR(Beam Pro)」を用いて卒業証書を受け取った佐々木さん

と、テクノロジーにばかり目が行きがちではあるが、そもそも「高校生がシリコンバレーに留学している」という事実も驚くべき点だ。高校に通いながらも、シリコンバレーでビジネスを学ぶ――、というキャリアを選べるのは、学校という場所の制約を受けない、ネットの高校のメリットと言えるだろう。

卒業式にはほかにも「異色のキャリア」を持つ生徒たちが集まり、特に活躍した卒業生に対する特別表彰も行われた。

表彰を受けたのは、東京から鹿児島県に移住し、農業や水産業を手伝い地域活性化に貢献する白鳥優季さん、第18回アジア競技大会ジャカルタ・パレンバン「ウイニングイレブン 2018」eスポーツ 金メダリストの相原翼さん、N高のプログラムを最大限に活用し、スタンフォード大学やオックスフォード大学のサマープログラムに参加した冨樫真凜さんなど。その活躍の幅は広い。

さまざまな分野で活躍したN高生に対しては、特別表彰が行われ、記念品としてクリスタルトロフィーが贈呈された

メディア露出が多いがゆえに高まる期待値

N高を卒業した個性豊かな面々は、今後は大学進学、就職とさまざまなキャリアを歩む。

日本初で唯一N高にのみ実在するという「起業部」に所属し、かつ起業第一号として「Easy Go」という会社を創業している、鈴木颯人さんと山田陽大さんから「N高で過ごした時間」についてコメントをもらった。

「元々は地元の進学校に通っていたのですが、『自分が好きなことをしたい』『起業したい』という想いがあり、N高に入学しました。年齢や場所に縛られず、多くの人とコミュニケーションを取れ、充実した3年を過ごせました」(鈴木さん)

「以前通っていた学校が自分と合わず、ネットで見つけたN高で『ここだったら新しいことができるかも』と入学を決意しました。今振り返ってみて、やはり『この学校に来てよかった』と思います」(山田さん)

Easy Go代表取締役の鈴木颯人さん(左)と取締役の山田陽大さん(右)

2人に限らず、卒業生のコメントを聞いていくと「この場所で挑戦してみたい」という想いの元、N高を選んでいる生徒が多い印象だ。

普通の高校とは違い、メディアに露出する機会の多いN高での生活は、良くも悪くも、世間からの注目を浴びる。まだ高校生の彼らにとっては、その視線が時に辛く感じることもあっただろう。ただ、その一方で鈴木さんは「初めて会う方とお話しする際、『N高出身です』と言うだけで、会話が広がることがよくあります」とその知名度を好意的に捉えている。

若くして、覚悟を持ってN高という環境に飛び込んだ生徒たちは、周囲の視線を浴びつつ、たくましく成長してきたことだろう。「N高出身」というキャリアは、彼らにとって1つの大きな武器になりそうだ。

カドカワは新たに2019年4月から、「N中等部」も開校する予定だ。「ネットの学校」という、世間の注目が集まる新しいコンセプトの学校だからこそ、在校生・卒業生の動向は、今後もしばらくは注目され続けそうだ。

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2019.03.22

中国スマホメーカーのOPPOが独自のカメラ技術を説明

開発競争が続くスマホカメラ、トレンドは「望遠」へ

高倍率ズームスマホの登場で、デジカメの優位性に危機?

中国のスマホメーカーとしてシェアを急拡大するOPPOが独自に新開発したカメラ技術、「10倍ハイブリッドズーム」が面白い。実際に2019年の新機種からスマホへの搭載を進め、日本市場へも製品を投入するという。

OPPOが「10倍ハイブリッドズーム」技術を紹介

メーカー間の開発競争が続くスマホカメラだが、「望遠」が次のトレンドになりつつある。デジタルカメラに匹敵する10倍もの高倍率ズームを、OPPOはどのように実現したのだろうか。

1年で7機種を投入、気付いた「日本市場の難しさ」

OPPOは世界のスマホ市場で熾烈な4位争いを繰り広げている。サムスン、アップル、ファーウェイのトップ3社に続く集団の中で、2018年は中国Xiaomiに僅差で迫る5位になった(IDC調べ)。

OPPOは2018年、日本市場で7機種のスマホを発売した。OPPO日本法人の鄧宇辰社長は、これまでに国内販売チャネルを12に拡大し、あわせて認定修理店を全国に展開したことを挙げ、「日本のSIMフリー市場でいち早く成長するブランドになった」と振り返る。

オッポジャパン 代表取締役社長の鄧宇辰氏
2018年の1年間にスマホを7機種投入

2019年は国内展開をさらに加速する。日本の消費者に向けたコミットメントとして、件の「10倍ハイブリッドズーム」機能を備えたスマホや、FeliCa・防水対応のスマホ、新たに立ち上げたブランド「Reno」シリーズの市場投入を約束する。

また、話題の「5Gスマホ」の市場投入も急ぐ。日本では5Gの周波数がまだキャリアに割り当てられていないものの、ドコモ、KDDI、ソフトバンクを含む世界の事業者と標準化に向けて連携しており、準備を整えていることを強調する。

MWC19のQualcommブースではOPPOが5Gスマホを実演

一方で鄧社長は、日本市場の難しさについて、「1年の経験を通して、日本市場は他の国と違うことに気付いた。消費の習慣や求めるレベルも高い。グローバルのやり方を日本に持ってきても通用しない」とも述べている。日本市場における品質やサービスの要求水準の高さは、多くのメーカーが直面してきた課題だが、OPPOも同じ壁にぶつかったといえそうだ。

スマホカメラ、次のトレンドは「望遠」に

そのOPPOが市場攻略にあたり、特に注力をしはじめたのが「カメラ」だ。その中でも、業界では次の進化ポイントとして「望遠」技術に注目が集まっている。

そもそもスマホはデジカメと違い本体が薄いため、搭載できるレンズに物理的な制約がある。このレンズの制約から、スマホのカメラはどうしても焦点距離の狭さが弱点になってしまっていた。そこで最近はスマホに複数のカメラを内蔵し、それぞれで広角や望遠を使い分けることで、この弱点を克服しようと進化している。

OPPOの「10倍ハイブリッドズーム」技術は、この弱点に対し異なるアプローチで挑む。プリズムを使って光を屈曲させるペリスコープ(屈曲光学)構造をカメラモジュールに採用することで、レンズを従来の垂直方向ではなく水平に配置できるようにした。これにより、薄型のスマホであっても、光学レンズでは従来不可能だった高倍率ズームが搭載できる。

光を曲げるペリスコープ構造を採用

ただ、35mm換算での焦点距離は16~160mmの10倍となっており、一般的なコンデジの感覚では5倍ズーム程度の性能だ。8.1倍以上はデジタル処理を組み合わせた「ハイブリッドズーム」としているなど、いくつか注意点はある。とは言え、これまでにない望遠レンズをスマホで扱えるのは面白い。

10倍ハイブリッドズームによる画角の違い

OPPOは既に報道陣に向けて、この10倍ハイブリッドズーム技術を搭載するスマホの開発デモ機を公開している。2019年の第2四半期には製品化する計画で、日本市場へも2019年中に投入する見込みだ。

10倍ハイブリッドズームのデモ機。5Gにも対応できるという

特にカジュアルなカメラ需要の受け皿としてスマホに押されがちなデジタルカメラだが、高倍率ズームはスマホには無い、デジカメに残された得意分野のひとつだった。だが望遠もスマホで十分撮れるとなれば、いよいよその優位性も危うくなる。今回のズーム技術は、デジカメ市場をもう一段縮小させてしまう可能性を秘めているのだ。

最大のライバルであるファーウェイも「HUAWEI P30」シリーズで望遠カメラを搭載するとみられており、今後は各メーカーが高倍率ズームで競い合うことは間違いなさそうだ。

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