スバルが新型「フォレスター」に盛り込んだ業界初のシステムとは

スバルが新型「フォレスター」に盛り込んだ業界初のシステムとは

2018.06.20

SUBARU(スバル)が近く発売する新型「フォレスター」に業界初の新技術を搭載する。車内に設置した専用カメラでドライバーの顔を認識する「ドライバーモニタリングシステム」だ。この手のシステムはレクサスにも付いていたのでは、とも思ったのだが、スバルのシステムは単純に顔の表情を読み取るだけでなく、「それが誰か」まで認識するところが新しい。

スバルの新型「フォレスター」

スバルの最量販車「フォレスター」が新型に

誕生から20年目となるフォレスターは、世界で最も多く売れるスバル車だ。2017年(暦年)にはグローバルで約28万台を販売。このクルマはスバルにとってグローバル戦略車という位置づけとなる。

5代目となる新型だが、日本では7月19日に発売する。価格はグレードによるが税込み280万8,000円~309万9,600円から。月間販売計画2,500台に対し、先行予約台数は5月18日から6月18日までで4,119台に達しているという。新車発表会に登場したスバルの中村知美専務執行役員(次期社長に内定)は、「デザイン、パッケージング、ユーティリティー、スバルが得意とする安全性能、動的質感、パワートレインに至るまで、最新技術を惜しみなく投入した」と出来栄えに自信を示した。

スバルの中村専務(左)とフォレスターの開発を担当した布目智之プロジェクトゼネラルマネージャー

確かに新型フォレスターに乗れば、スバルの技術が現状でどの程度まで進んでいるのかを感じられるだろう。パワートレインには、スバルが「e-ボクサー」(e-BOXER)と名づけた新たなハイブリッド技術を導入。これは、スバルの代名詞ともなっている水平対向エンジン(ボクサーエンジン)にモーターを併設し、走りの力強さを高める電動化技術だ。

運転支援システムは、2017年に登場した最新バージョン「アイサイト・ツーリングアシスト」を搭載。もちろん、「ドライバーモニタリングシステム」も最新技術の1つだ。ちなみに、e-ボクサーとドライバーモニタリングシステムを搭載する「Advance」というグレードだけ発売が9月14日となる。

顔を覚えて「おもてなし」するクルマ

「ドライバーモニタリングシステム」はマルチファンクションディスプレイのバイザー部に取り付けた専用カメラを通して、ドライバーの顔の向きやまぶたの状況をモニタリングし、居眠りや脇見を検知した場合には警告して注意を促す技術だ。ここまでの機能であればレクサスなど他のクルマにも付いているのだが、スバルのシステムは、ドライバーが「誰か」まで認識できる。この技術をスバルは「SUBARU初」と表現しているが、同技術の説明員などの話では、ここまで踏み込んでいる自動車メーカーは現時点でスバルしかない様子だ。

車内の専用カメラで運転しているのが誰かをクルマが認識する(画像提供:スバル)

運転手が誰だか分かると、クルマは何ができるのか。フォレスターではドライバーに合わせてシートポジションやドアミラー角度をアジャストしたり、エアコンの温度を調整したりするなどの「おもてなし機能」を提供する。ある家族では例えば、フォレスターに平日は母親が乗り、休日には父親が乗り、時々は息子が運転する、というケースも大いにありうる。そんな場合、乗った瞬間にクルマが自分のことを思い出してくれて、自分好みのアレンジにシートなどを調整してくれれば嬉しいだろう。このシステムには顔の情報を5人分まで登録しておけるとのことだ。

ただ、同技術にとって「おもてなし機能」は序の口という感じもする。ドライバーが誰かを特定できれば、その人に合わせたサービスをもっと幅広く提供できそうだからだ。コネクティッド機能と組み合わせれば、その可能性は更に広がりそうな気もする。

顔を認識できれば個人が特定できるし、個人が特定できればドライバーの嗜好まで把握することも可能かもしれない。乗っている人がアウトドア好きであれば、それに合わせた情報提供を行うなど、いろんな可能性が広がりそうだ

今後のアイデアは「いっぱいある」

同システムの説明員は、ドライバー認識技術を活用した今後のアイデアについて「今は言えないが、いっぱいある」と含みを持たせた。ただし、ドライバーが誰かを特定してサービス・機能を提供するには高いハードルもあるようだ。

運転手を認識できるとすれば、例えば特定の人にしかエンジンを始動させられないような仕組みを導入して、盗難防止に活用することも可能だ。しかし、「それは失敗できない領域で、まだそこまでは至っていない」とスバルの説明員は釘を刺す。顔情報を登録済みのドライバーの双子の弟が、本来であればエンジンスタートの権利がないにも関わらずフォレスターを動かせてしまっては、取り返しがつかないからだ。こういうケースが「1,000回に1回でも」(スバル説明員)起こるとすれば、同システムを次のステップに進ませることはできないというのがスバルの考えのようだ。

いずれにせよ、この機能は人とクルマの新しい関係を提示してくれるかもしれない

とはいえ、スバルが顔認識という領域に初めて踏み込んだことは注目すべきだろう。カメラの精度が上がって、ドライバーが誰かを百発百中で認識できるようになったとき、スバルが何を仕掛けてくるのかが今から楽しみだ。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

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掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

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○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
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○カレー沢薫の時流漂流
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最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu