FFでも侮れない実力派! 日本導入が決まったレクサス「ES」に試乗

FFでも侮れない実力派! 日本導入が決まったレクサス「ES」に試乗

2018.06.28

レクサスは今秋から「ES」を日本に導入する。「LS」「GS」「IS」とレクサスのセダンはそろっているが、そこに「ES」が入り込む余地はあるのか。プレミアム・セダンでは珍しいFFを採用するクルマの出来栄えは。ナッシュビルで試乗して確かめてきた。

レクサスが2018年4~5月の北京モーターショーで世界初公開した新型「ES」。ナッシュビルで試乗した

プレミアム・セダンの主流はFRだが……

そもそもレクサス・ブランドは1989年に米国で創設され、最初のモデルはフラッグシップの「LS」と「ES」だった。プレミアム・セダンの多くがFR(フロントエンジン・リアドライブ)であり、レクサスでも「LS」「GS」「IS」はそうだが、「ES」はFF(フロントエンジン・フロントドライブ)だ。

FRは前後重量配分が50:50、もしくはそれに近く、運動性能の資質に優れるため、走りや乗り心地をハイレベルに仕上げやすい。また、前輪は駆動せず操舵だけなので、ステアリングを操作したときのフィーリングが良好な点なども高級車向きなのだ。ただし、エンジンが縦置きになること、エンジンの力を後輪へ伝えるためのドライブシャフトが必要なことなどで、室内空間が多少犠牲になる。

ハイレベルな走りを実現するため、プレミアム・セダンではFRを採用することが多い(画像は「LS」)

かつてはレクサスの“ドル箱”だった「ES」

一方のFFは、効率的に広い室内が確保され、世の中の乗用車の大半を占めるゆえ量販効果が高くてリーズナブル。「ES」は走りの質感や楽しさなどでFR系に一歩譲るかもしれないが、特に後席の広さは圧倒的で、なおかつ割安感があるなど米国で一気に人気者になった。今までの累計販売台数は218万台でレクサス内トップ。最近は人気がセダンからSUVに移っているので「RX」の方が売れているが、レクサスの“ドル箱”として長く君臨してきたのだった。

そんな「ES」が日本および欧州へ初めて導入されることになった理由は、セダン人気の陰りを懸念してデザインや走りをアグレッシブに攻めた結果、これなら日欧でも勝負になると踏んだからだという。噂では「GS」が現行世代限りで消滅するため、後継的な意味での導入ではないかとも囁かれているが、レクサスに聞くと「GSもちゃんと販売していきますよ」とのことだった。

日欧でも勝負できるレベルに仕上がったという新型「ES」

なぜナッシュビルで試乗会なのか

とにもかくにも、新型「ES」の開発には気合が入っている。最初の試乗会の地に米国はナッシュビルを選んだのも、全米で最も変革している街だからだという。

カントリーミュージックの中心地として知られるナッシュビルだが、それにとどまらず、様々なジャンルの音楽やエンターテインメントの発信地として近年、求心力を高めている。また、移民に対してウェルカムな政策がとられており、その多様性が活気につながっているようだ。

変革の街、ナッシュビルを試乗会の地に選んだレクサス

たまに米国を訪れるが、そのほとんどはロサンゼルスやサンフランシスコといった西海岸かニューヨーク近辺。そういった地域とは全く違った古き良き米国といった雰囲気をナッシュビルは持っていた。“洗練されてはいるが田舎っぽい!?”と評したら失礼だろうか。日本にいると、トランプ大統領が当選し、今でも高い支持率を保っていることをちょっと不思議に思ったりもするが、米国は広く、真の姿はなかなか見えにくい。ちなみに、トランプ大統領が尊敬してやまないアンドリュー・ジャクソン第7代大統領の地元はナッシュビルだという。

流行の先端をゆくクーペルック

「GA-K」と呼ぶ新しいプラットフォーム(車台)を導入したことにより、レクサスでは新型「ES」のデザインと走りを大幅に進化させることが可能になった。低重心化が1つのテーマでもあるGA-Kは、パワートレーンなどのユニットをなるべく低くレイアウトしているのでボンネット高も下げられる。ワイド&ローなプロポーションを造りやすいのだ。

実際に目のあたりにした新型「ES」は、想像よりも立派な体躯であり、駆動方式がFFかFRかをあまり意識させないスタイリッシュなエクステリアだった。一般的にFFは、フロントアクスル(前車軸)がFRよりも後ろ寄りになる。ロングホイールベース・ショートオーバーハング(前後輪の間は広く、車軸より外側の部分は短い形)はクルマのカッコよさの基本であり、その点ではFRの方が有利なのだが、「ES」は全長4,975mmに対してホイールベース2,870mmとまずまず。ちなみに、FRの「GS」は全長4,880mm、ホイールベース2,850mmだ。

新型「ES」は駆動方式をあまり意識させない外観だった

だが、フロントドア前方の切り欠きとフロントホイールアーチの距離はFRよりもちょっと短くて、やはりFFなんだなとうかがい知れる。もう1つ、ロングノーズ・ショートキャビン(先端が長く、人が乗る部分は短い形)もクルマの普遍的なカッコよさだが、「ES」はフロントピラー(フロントガラス横の柱)を後方寄りにすることで、ノーズを長く見せている。

加えて、リアピラーをなだらかに傾斜させ、サイドウインドーを天地が狭く横方向に伸びやかかつシャープにしてあるので、キャビンが小さく見える。一昔前まで、セダンと言えば箱を3つ合わせたような「3BOX」スタイルが主流だったが、最近のプレミアム・ブランドではクーペルックがトレンド。レクサスも昨年発売の「LS」、そしてこの「ES」が先端を走っている。レクサスにとってフロントマスクのアイデンティティとなっているスピンドルグリルは、縦フィン形状としているのがESの特徴。「Fスポーツ」というグレードでは、グリルメッシュとして差別化を図っている。

レクサスといえばスピンドルグリルだが、「ES」では縦フィン(画像)とメッシュの2種類を用意した

「ラバーバンドフィール」を覚悟していたが……

GA-Kも含め、ハードウエアはトヨタ自動車「カムリ」と共通する部分も多いが、ボディサイズは一回り大きく、ホイールベースも長い。パワートレーンは2種類で、2.5LエンジンのハイブリッドとV6 3.5Lのガソリン車。基本的には「カムリ」同様となる(日本仕様の「カムリ」はハイブリッドのみ)。

レクサスおよびトヨタのハイブリッドシステムは、20年前に市販化されてから基本的な構造に変わりないが、今でも燃費効率では他の追従を許さないぐらいに優秀。だが、運転の楽しさという点ではいまひとつだった。無段変速の電気式CVTは、アクセルをベタッと踏み込んでから然るべき加速体制に移るまでのタイムラグがあり、エンジン回転数が先に上がってあとから速度がついてくる、いわゆる「ラバーバンドフィール」がダイレクト感を削いでいたからだ。

新型「ES」のアクセルを踏み込んでみると……

一頭地を抜く「ダイナミックフォース」の完成度

ところが、「ES」のハイブリッドが搭載する2.5Lエンジンは「ダイナミックフォース」と呼ばれる新世代のもので、熱効率41%と世界トップレベルを達成するとともに、全域での高トルク化やハイレスポンス化が果たされている。

数々の新技術が盛り込まれているが、吸気ポートを真っすぐにすることで、いかにもエンジン燃焼室内に多くの混合気が、理想的なタンブル(縦渦)とともに送り込まれる形状をしているのが見どころの1つ。これは、以前からレーシングカー用などの一品モノでは採用されてきたが、量産化したことはライバルメーカーもビックリという、地味に凄い技術なのだ。

レスポンスの良いハイブリッドエンジンは新型「ES」の見どころだ

だから、従来のレクサス/トヨタのハイブリッドに比べると夢のようにレスポンスがいい。アクセルペダルをスッと踏み込めば間髪入れずに加速が始まり、背中がシートに押しつけられる感覚がある。

アクセルをいっぱいに踏み込むとエンジン回転数が高まるが、ラバーバンドフィールにならないように、4,000rpm(回転数)で時速40~50キロ、5,000rpmで80キロ 、5,500rpmで110キロと段階的に伸びていく。最近のCVTで見られる、有段ギアのようなステップギア制御的なものはないが、ハイブリッドとしては間延びがなく、伸びやかな加速感は気持ち良い。

伸びやかな加速感が気持ち良かった

とはいえ、加速の気持ち良さでは3.5L V6の8AT(8速オートマチックトランスミッション)が圧倒する。さすがは本当の有段ギアといったところで、ダイレクト感にあふれ、最高出力300PSオーバーのエンジンは、回転が高まるほどに咆哮が鋭くなる刺激的なフィーリング。V6としては世界トップクラスの官能性の持ち主だ。

上質な快適性が開発テーマ、高い自在感を実現

パワートレーンが気持ちいいので、ワインディングロードを結構なペースで駆け抜けてみたが、低重心に設計され、ボディ剛性の高さが自慢のGA-Kプラットフォームがもたらす運動性能の高さは本物だった。試しに従来型とも乗り比べたが、進化の幅は大きい。新型はステアリングを通じてタイヤの接地感がクリアに伝わってくるとともに、操作に対してクルマが素直かつ確実に動いてくれる感覚が強くて一体になれる。自在感が高いから、例えゆっくり走らせていても楽しい気分になれるのだ。

それよりも「ES」のキャラクターに合っていると思ったのが、あらゆる動きがスムーズで乗り心地がいいことだ。上質な快適性が開発のテーマだったというが、それもうなずける。静粛性の高さもさすがはレクサス。最近は欧州車も静粛性に力を入れてきているが、アドバンテージはまだある。

レクサスの静粛性は欧州勢に対するアドバンテージだ

「LS」「GS」「IS」ほどには走りにこだわるキャラクターではない「ES」だが、一世代前のFR系よりはしっかりとしていて素直に走り、何より極上の快適性がある。意外と日本でも人気が出そうなモデルだ。

「音声」巡り覇権争うアマゾンとグーグル、立ち止まるアップル

「音声」巡り覇権争うアマゾンとグーグル、立ち止まるアップル

2019.01.21

CESで存在感を放つアマゾンとグーグル、各社の最新動向は?

レノボはGoogleアシスタント、Alexaに対応した新製品を発表

アップルは各社にプライバシー問題を警告、独自路線を貫くか

米ラスベガスで開催された世界最大級の家電見本市「CES 2019」で、別格の存在感を放っていたのがアマゾンやグーグルだ。2018年はグーグルがCESに初めて本格出展したことで話題となったが、2019年も大がかりなブースを設置して来場者の注目を浴びた。

ラスベガスのCES会場前に設置されたグーグルのブース

アマゾンやグーグルは音声アシスタントで競争しており、家電製品への組み込みを進めている。2019年のCESではどうだったのか、両社の最新動向をレポートする。

グーグル対アマゾンの音声争いが加速

グーグルは今年もCES会場に「Googleアシスタント」を目玉にした大型ブースを設置。巨大な壁面広告やモノレールのラッピング広告で存在を示し、家電メーカーのブースには白い帽子のスタッフを派遣するなど、CESを乗っ取る勢いだった。

「Googleアシスタント」に対応した家電製品が並ぶグーグルブース

一方、Alexaで先行するアマゾンも展示エリアを拡大。業界やメーカーの枠を越えた「Alexa対応製品」を一挙展示することで、エコシステムの強大さを示した。家庭向けのスマートホーム用途だけでなく、オフィスで使う事例も示すなど、応用範囲を広げている。

アマゾンは「Amazon Alexa」対応製品をブースに集めた

具体的な対応製品として、音声で操作できるスマートスピーカーやスマート電球はもちろんだが、これまでにないジャンルの製品も増えている。たとえばレノボは「目覚まし時計」と「タブレット」の2機種を発表した。

レノボの目覚まし時計「Smart Clock」(左)とタブレット「Smart Tab」(右)

Googleアシスタントに対応した「Smart Clock」は、目覚まし時計の置き換えを狙った製品だ。音声だけでなく画面のタッチ操作にも対応しており、カレンダーの予定や寝覚めのいい音楽、室内の照明と連動した目覚まし機能を提供する。

一方、Amazon Alexaに対応した「Smart Tab」は、一般的なAndroidタブレットとして使えるほか、ドックに置くと音声とタッチで操作するスマートディスプレイに早変わりする。自宅でも外出先でも1台2役で使えるお得さが特徴だ。

アップルが投げかける「プライバシー」問題

CESに両社が注力する背景には、音声アシスタント市場におけるシェア争いがある。「Amazon Echo」や「Google Home」といったスマートスピーカーの売上ではグーグルがアマゾンを猛追しており、2018年第1四半期には逆転劇を果たした(英Canalys調べ)。しかし第3四半期にはアマゾンが再び首位に立つなど、接戦が続いている。

その勢力はスマートスピーカーを越えて、家電全体に広がりつつある。家電の操作といえばスイッチやリモコン、タッチ操作が一般的だが、音声に対応する製品は増えている。これまで独自の音声アシスタント「Bixby」を展開してきたサムスンも2019年にはグーグルとアマゾンとの連携を発表した。

サムスンはスマートTVでグーグル、アマゾンと連携

このまま音声が普及していけば、世界中の人々がインターネットのサービスやコンテンツにアクセスする手段になる可能性がある。音声アシスタントのシェア争いは、スマホOSのシェア争いと同じくらい重要というわけだ。

ただ、音声操作はプライバシーに関する懸念もある。音声操作を受け付けるには、マイクが常時オンになっている必要があるからだ。マイクをオフにする機能はあるとはいえ、家庭内のプライベートな会話を常にマイクに拾われるのは心地よいものではない。

この問題に一石を投じたのがアップルだ。CES会場からよく見えるホテルの壁に意見広告を掲載。ラスベガスの有名なコピーをもじって「iPhoneで起きることはiPhoneの中にとどまる」と訴え、サードパーティと広く連携するアマゾンやグーグルを牽制した。

アップルはCESでプライバシー重視をアピール。元々の言葉は、「What happens in Vegas stays in Vegas.(ラスベガスで起きたことはラスベガスに残る)」というもの

アップルも独自の「Siri」をiPhoneに搭載し、スマートスピーカー「HomePod」も販売している。だがサードパーティとは積極的に連携していないため、音声のシェア争いでは不利な立場に追い込まれている。アップルがこのまま「プライバシー重視」路線を貫くかどうかも、音声アシスタント市場の行方を左右しそうだ。

一度は姿を消したワイヤレス充電が再びメジャーになった理由

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第30回

一度は姿を消したワイヤレス充電が再びメジャーになった理由

2019.01.21

いまや当たり前の「ワイヤレス充電」スマホ

開発も販売も、実は日本が世界初だった

過去にナゼ廃れたのか、今はナゼ流行っているのか

最近、ケーブルに接続する必要なく充電ができる、ワイヤレス充電に対応したスマートフォンが増えてきている。一時は姿を消していたワイヤレス充電が、ここにきて再び脚光を浴びるようになったのはなぜだろうか。

世界初のワイヤレス充電対応スマホは日本製

スマートフォンを充電する際、多くの人は充電用の電源ケーブルに接続して充電していることだろう。だがここ最近、スマートフォンをケーブルに接続することなく、専用の充電台に置くだけで充電ができる「ワイヤレス充電」に対応したスマートフォンが増えているのだ。

例えばアップルのiPhoneシリーズであれば、2017年発売の「iPhone 8」シリーズ以降からワイヤレス充電に対応している。他にもグーグルの「Pixel 3」やサムスン電子の「Galaxy Note 9」、そしてファーウェイの「HUAWEI Mate20 Pro」など、海外製のハイエンドスマートフォンを中心として、ワイヤレス充電に対応したスマートフォンは着実に増えている。対応スマートフォンの広まりとともに、ワイヤレス充電をするための充電器も数が増え、家電量販店などで目にする機会も増えている。

ワイヤレス充電対応機種は急増しており、「iPhone XS」など最新のiPhoneもワイヤレス充電に対応している

充電をするためにケーブルに接続するというのは手間がかかるし、何よりケーブルは絡まりやすく取り回しが面倒なもの。それだけに、スマートフォンを置くだけで充電できるワイヤレス充電は消費者にとって非常に便利だ。したがってスマートフォンに搭載するという動きも比較的古くから進められていたのだが、現在のように広く普及するまでにはかなりの時間を要している。

実は、スマートフォン単体でワイヤレス充電ができる機種が最初に投入されたのは日本で、開発したのも日本企業である。2011年にNTTドコモから発売された、シャープ製の「AQUOS PHONE f SH-13C」がそれに当たり、Wireless Power Consortium(WCP)が策定したワイヤレス給電規格の1つ「Qi」に対応。Qi対応の充電器に置くだけで、スマートフォンを充電できる仕組みを備えていたのである。

世界初のワイヤレス充電対応スマートフォン「AQUOS PHONE f SH-13C」は、2011年にNTTドコモが提供。専用の充電器も提供していた

しかも当時、NTTドコモはQi対応のワイヤレス充電ができるスマートフォンの開発に力を入れており、「おくだけ充電」という名称まで付けて積極的なアピールを進めていた。さらにシャープだけでなく、NTTドコモと関係の深い他の国内スマートフォンメーカーともQi対応のスマートフォン開発を進め、市場に多くのワイヤレス充電対応スマートフォンが存在した時期があったのだ。

規格や充電性能の問題が解決し採用機種が増加

だが2013年を境に、NTTドコモのラインアップからワイヤレス充電対応のスマートフォンが一時期姿を消し、ワイヤレス充電は急速に存在感を失うこととなる。当時ワイヤレス充電に力を入れていたパナソニックモバイルコミュニケーションズやNECカシオモバイルコミュニケーションズなどが、iPhoneなどに押されてスマートフォン市場から撤退した影響も大きいが、より本質的な要因は2つあると考えられる。

1つは、急速充電に対する消費者のニーズが高まっていたためだ。当時はバッテリーの性能が現在より低かったため、スマートフォンを使っているとあっという間にバッテリーを消費してしまい、不満の声が多かったため、何よりも素早く充電できることが強く求められていたのだ。しかしながら当時のQiは電力の出力が弱く、充電速度が遅かったことから、消費者のニーズとマッチせず姿を消してしまったのである。

そしてもう1つの理由は、ワイヤレス給電規格が複数存在し、業界全体で、どの方式を採用するか方向性が定まっていなかったため、後続するスマートフォンがなかなか出てこなかったことだ。実際、2015年に日本でも発売されたサムスン電子の「Galaxy S6」「Galaxy S6 edge」はQi規格だけでなく、Power Matters Alliance(PMA、現在はAirFuel Alliance)が策定したワイヤレス給電規格も採用することで、ワイヤレス充電に対応させている。

2015年発売の「Galaxy S6 edge」は、当時まだ事実上の標準規格が定まっていなかったこともあり、複数のワイヤレス給電規格に対応していた

そして最近になってワイヤレス充電が再び日の目を見ることができたのは、それらの課題が解決したことが大きく影響している。急速充電に関しては、当初Qiのモバイル機器に向けた「Volume I」という規格では、送信できる電力が5W以下とされていたため充電速度が遅かったのだが、その後10W、15Wといったより大容量の送信ができる規格の策定が進んだことで、より速く充電できるようになったのである。

また規格の統一に関しては、アップルなど影響力の大きな主要スマートフォンメーカーがQiの採用に傾いたことで、Qiがスマートフォン向けの事実上標準規格となった。そのため多くのスマートフォンメーカーがQiを採用しやすくなり、急速に数が増えたといえる。

さらにもう1つ、高いデザイン性や防水性能など、スマートフォンに求められる要素が年々増えていることも、ワイヤレス充電が復活した大きな要因として挙げられるだろう。一方で、かつて必要だったPCへの接続など、スマートフォンに何らかのケーブルを接続する必要性は年々薄くなっている。将来的にはスマートフォンのワイヤレス充電対応が当たり前となり、充電用のUSB端子やLightning端子がなくなることも十分あり得るだろう。