ブームから定着へ -

ブームから定着へ - "サプリ"なオイルを仕掛けるJ-オイルミルズの意図

2016.06.14

オリーブオイルにアマニ油(※)、ココナッツオイルなどなど、「健康に良い」とされるオイル(食用油)が空前のブームとなっている。オイルというと「太る」「不健康」として拒否反応を示されることが多かったのに、最近では逆にポジティブな印象が広まってきた。
※アマニ油:亜麻の種子から絞った油。α-リノレン酸を豊富に含む。

その火付け役ともいえるのが、必須脂肪酸(※)のひとつ「α-リノレン酸」、通称「オメガ3」(n-3系脂肪酸)だ。研究が進み、積極的に摂取したほうがよいとわかると(もちろん何事も摂り過ぎはNG)、各種メディアにさかんに取り上げられるようになった。そうして、消費者のオイルに対する印象も変化してきたというわけだ。
※必須脂肪酸:生きていくうえで欠かせない成分だが、体内では作れず、食品から摂らなくてはならない油の成分の総称。

6月22日までの期間限定でオープンする「オイル de ヘルシーカフェ」。青山を選んだのは、情報感度の高い人が多く集まるから、とのこと。フィットネスクラブがあったり、ジョギングする人が多かったり、健康に気づかっているターゲットへアプローチできるという理由(写真左)。オープニングイベントには、名誉総料理長を務めるタレントの山口もえさんも登場(写真右)

栄養素をプラスするという新機軸のオイル

オイルに注目が集まるなか、J-オイルミルズが2016年4月に発売したのが「AJINOMOTO 毎日栄養オイル」(以下、毎日栄養オイル)だ。「健康のためにオイルを摂る」というブームに乗って、脂溶性栄養素などを配合したオイルを提案する。オリーブにせよアマニにせよ、最近話題のオイルは素材で訴求するものがほとんどだが、毎日栄養オイルでは配合された栄養素を打ち出しているのが特徴。骨の形成を助ける脂溶性ビタミンを配合した「AJINOMOTO 毎日栄養オイル ビタミンK2 & ビタミンD」と、循環器系(血液や血管)や脳の健康維持に役立つと期待されている必須脂肪酸を配合した「AJINOMOTO 毎日栄養オイル DHA & EPA」の2種類を用意する。どんな効果が期待できるのか、素材推しのものに比べるとわかりやすい。

J-オイルミルズ 代表取締役社長 八馬史尚氏(右)と、J-オイルミルズ 油脂製品開発部 花澤和巳氏(左)

まずはこの新機軸のオイルを体験してもらうために、と6月9日から22日までの2週間限定で、東京・青山にある「Royal Garden Cafe 青山」とコラボレーションした「オイル de ヘルシーカフェ」をオープン。毎日栄養オイルを使った特別メニュー10品を提供する。オープニング記者発表会に登壇したJ-オイルミルズ 代表取締役社長 八馬史尚氏は「健康に気づかう人が増えてきている。不足しがちな栄養素を効率的に補える毎日栄養オイルは、いわば食にサプリメントの要素を取り入れたハイブリッドな存在。オイルを通じて新たな価値を提供していきたい」と挨拶した。

J-オイルミルズ 油脂製品開発部 花澤和巳氏によれば、新機軸を打ち出したことで取引先からの反応も上々。4月の発売からまだあまり日が経っていないため、販売数量などの詳細はまだわからないが、健康に不安を抱えた高齢の女性を中心に支持されている、と手応えはあるようだ。

2種類の毎日栄養オイル(写真左)と、オイル de ヘルシーカフェで提供されるメニューたち(写真右)

ブームから定番へ

家庭用食用油の市場は拡大傾向にある。それを牽引するのはもちろん、オリーブオイルをはじめとする健康志向のオイルだ。花澤氏は「(健康志向のオイルが流行していることについて)ブームで終わらせず、広く定着させたい」というが、これからの課題は入り口を増やすことと、リピーターを増やすことだといえる。

最近はオイルおにぎりが流行しているが、従来のような炒め用だけでなく、ソースやドレッシングとしてオイルを使うのが広く認知されてきた。これはブームが定着するにあたって重要な流れ。J-オイルミルズからも新しく、手軽な使い方を発信することで、ライフスタイルへ組み込めればリピーターが付く。

毎日栄養オイルのメインターゲットは高齢の女性だが、若い女性にも人気が出そうなメニュー。パスタやピザ、前菜、肉料理、魚料理、はてはデザートにまでオイルを使っている

実はJ-オイルミルズ、原料相場や為替など、大きな事業環境の変化に対応しきれず、2014年度から7カ年でスタートした第四期中期経営計画の見直しを発表したばかり。まずは事業基盤を整え、長期的な成長戦略に臨むとしているが、その成長戦略のひとつに「高付加価値化」が掲げられている。いわば、その期待のエースが毎日栄養オイルといえよう。今は種まきの段階で爆発的なヒット商品、とまではいえないが、骨や血管といった多くの人が抱えている不安に寄り添うことで、今後じわりじわりと伸びをみせるかもしれない。その可能性は十分に秘めた製品だと感じる。

NewsInsight 更新終了のお知らせ

NewsInsight 更新終了のお知らせ

2019.06.17

NewsInsightは、諸般の事情により記事更新を終了いたします。

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掲載中の連載記事につきましても同様に、マイナビニュースへ移管いたします。各連載記事の新しい掲載URLにつきましては、以下となります。

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○森口将之のカーデザイン解体新書
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○ゲームとともに振り返る“平成”という時代
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○岡安学の「eスポーツ観戦記」
https://news.mynavi.jp/series/e-Sports_review

○企業戦士に贈る「こむぎのことば」
https://news.mynavi.jp/series/komuginokotoba

○藤田朋宏の必殺仕分け人
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○「食べる」をつくる科学と心理
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○阿久津良和のITビジネス超前線
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○山下洋一のfilm@11
https://news.mynavi.jp/series/filmat11

○モノのデザイン
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○知って納得、ケータイ業界の"なぜ"
https://news.mynavi.jp/series/mobile_business

○文具ソムリエール・菅未里の「新しいコンパス」
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○活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く
https://news.mynavi.jp/series/font-history

○カレー沢薫の時流漂流
https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu

最後になりますが、改めて皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、マイナビニュースにてご愛顧いただけましたら幸いです。

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

カレー沢薫の時流漂流 第47回

放置されていた不寛容? 国会まで届いた「パンプス強要」騒動

2019.06.17

最近女性の間で「#MeToo」ならぬ「#KuToo」運動がにわかに盛り上がっている。

「#KuToo」とは「靴」と「苦痛」をかけており、職場や就職活動で、足を痛めるパンプスやヒール靴の強要をやめようという運動である。

そもそもそんなの誰も強要してねえよ、と思われるかもしれない。確かに規定として靴の形状やかかとの高さまで定めている会社はレアだろう。しかし、私の元いた会社でも、規則があるわけでも、誰に言われたでもなく、みな一様に黒のパンプスを履いていた。それが「暗黙のルール」であり、それ以外は「非常識」と見られる風潮は確かにあるのである。

これが就職活動になると、パンプスを履いていないだけで「こいつは常識がない」と見なされ不採用になってしまうかもしれない、ということだ。そうなると女子学生は足を負傷してでもパンプスを履かざるを得なくなってしまう。

正直、パンプスは苦痛

パンプスがそんなに苦痛か、というと、靴の中では殺傷能力が高い方である。これは他人への、という意味ではなく自分へのだ。他人を殺傷したいならカウボーイが履いている、かかとにピザカッターがついている奴を履いた方が良い。

狭いつま先に足の指が密集されるため、私もよく爪で隣の指を切って足を血だらけにしていたし、伸縮性にかける素材のため、あわないパンプスだと試着の時点で靴擦れが出来るレベルなのだ。

世の中には素肌に荒縄で亀甲縛りを施し、その上に上等なスーツを羽織って出社している人も多いと思う。とても痛いだろうが、それは強制されたわけではなく、その人が好きで楽しいからやっているのだ。

つまり、好きでもない上にとても痛いパンプスを強制で履かなければいけないというのは、上等なスーツの下が亀甲縛りなことよりも「異常」なことというわけだ。

この運動はすぐに広まり、いきなり国会でも議論されたという。これにより「厚労相がハイヒール強要を容認」という見出しのニュースまで踊り出ることになった。

完全に自由と言われても困るのでは?

「厚生省に、女がハイヒールを履かないと死ぬ病の人が!?」と驚いたが、記事をよく見ると見出しほどのことはなく、厚労相の発言は「これは社会通念に照らして業務上、必要かつ相等な範囲かと、この辺なんだろうと思います」というかなりボンヤリしたものであり、どっちでも良い事を聞かれた私のリアクションに似ている。

しかし「ハイヒールが履けない女は何やってもダメ」などと強い事を言っているわけではないが、「業務上必要ならパンプス履くべきだろ」という「容認」に聞こえなくもない。すぐさま「業務上ハイヒールが必要な仕事って何だよ」という疑問が挙がり、「SMの女王様」「(ハイヒールでキレッキレに踊る)perfume以外ありえない」などの声が相次いだ。

この社会問題がすぐ大喜利になってしまうのは良くも悪くも「ザ・ツイッター」という感じだ。

確かに「業務上必要」となると、まだかかとにピザカッターがついている靴の方が「ピザを食う時」必要な気がする。

ただ、靴や服装を完全に自由化し、何でもOKにすれば良いかというと、それはそれで問題が起きると思う。ファッションに疎くコーディネートが苦手な人間からすれば、職場に何を着ていいのか全く「指針」がないというのは迷子になるし、接する側としても、車を買いにいってディーラーが、イモ―タンジョ―の完コスで出てきたら「キャデラックしか買うことを許されないのか」と委縮してしまう。就活マナー本に「俺の考えた最強の就活ファッションで挑みましょう」とだけ書かれていても逆に困るだろう

着る側としても、それに接する側としても、社会において服装にある程度規定や模範があるというのはメリットでもあるのだ。

そもそも規定や常識というのは、秩序を作ることにより問題を減らすためにあるものなのだ。しかしそれが元で「足を負傷する」という「問題」が起こっているなら本末転倒なので、やはり解消はすべきなのだろう。

極論に流れない寛容さが足りない

おそらく「#KuToo」を提唱している人も「ドラゴン柄のコンバースで就活したい」と言っているわけではないのだ。最近は「パンプスに見えるスニーカー」なども存在するし、パンプスでなくても地味な靴はいくらでもある。そのような靴を履いていても「パンプスじゃないから非常識」と見るのをやめてほしいという話だろう。

ちなみに私が会社員時代履いていたパンプスだが、黒の革靴ではあったが、つま先は限りなく丸く、ヒールはなきに等しい、今思えばあれはパンプスだったのか、70過ぎのババアが旅行に行くときに履くヤツなんじゃないか、という代物であったが、特に何も言われなかった。

「#KuToo」が求めるのも、そのぐらいの「寛容さ」なのではないだろうか。

【お知らせ】
連載「カレー沢薫の時流漂流」の掲載場所を変更します。
→ 新しい掲載場所はこちら https://news.mynavi.jp/series/jiryu_hyoryu