新型「フォレスター」も発売へ! スバルに聞く得意市場・米国の今

新型「フォレスター」も発売へ! スバルに聞く得意市場・米国の今

2018.07.10

新型「フォレスター」を発表したばかりのSUBARU(スバル)は、販売台数の半分以上を米国市場で稼いでいることでも知られる。なぜスバルは、かの地で現在の地位を確立できたのか。日米のクルマ選びは何が違うのか。同社の北米営業担当に話を聞いてきた。

米国で販売台数の半分を稼ぐスバル。その地位をどのように確立したのか(画像は新型「フォレスター」)

販売台数は10年連続で前年超え

スバルが通算5代目となる新型「フォレスター」を6月20日に発表した。発売は7月19日となっているが、5月18日に始まった先行予約は6月18日までで4,119台に達しているという。販売計画台数は月販2,500台というから、この数字をクリアすれば年間3万台を売ることになる。

通算5代目となる新型「フォレスター」

しかし、スバルといえば米国を忘れてはいけない。フォレスターは昨年、モデル末期にもかかわらず17.7万台を売っているからだ。「レガシィ アウトバック」はさらに上を行っており、18.8万台を記録している。

スバルが米国に進出したのは今からちょうど50年前のこと。1968年に現地販売会社であるスバルオブアメリカ(SOA)を設立し、第1号車として日本では「てんとう虫」の愛称で親しまれた軽自動車「スバル360」を売り出した。1990年にはそのSOAを100%子会社とした。

「レガシィ アウトバック」(画像提供:スバル)

ただし、現地法人設立が上昇のきっかけだったわけではない。販売台数が急激に伸びたのは2008年からであり、それ以降は10年連続で前年超えという好成績が続いている。オフィシャルサイトのデータによると、日本での販売は2012年度も2017年度も約16万台なのに対し、米国でのそれは35万台から67万台へと倍近くに成長している。

グローバルでの販売台数も72万台から106万台に伸びているのだが、その伸び幅を見れば、原動力が米国にあることが分かるだろう。

2009年の「アウトバック」が契機に

何がここまでの伸びを生んだのか。スバルで北米の営業を担当する本間俊晴氏が挙げたキーワードは「ラブ」だ。

「2008年から始めた『ラブ』キャンペーンが大きかったと思っています。お客様からのメッセージで『ラブ』という言葉が多く使われていたので、マーケティングでも活用するようにしたのです。最初は年末のキャンペーンで『シェア・ザ・ラブ』というメッセージを掲げ、クルマ1台に対して250ドルを慈善団体に寄付しました。米国には寄付の文化があることも、こうした行動が評価される理由になったようです」

話を聞いたスバル 海外第一営業本部 北米営業部 米国営業課の本間俊晴課長

クルマづくりをプロダクトアウトからマーケットインに転換したこともジャンプアップの要因と語っていた。代表作は2009年に登場した先代「アウトバック」だ。

この世代のアウトバックは、他の「レガシィ」シリーズ同様、ボディを一気に大型化し、逞しさを強調したデザインにした。それまでは日本や欧州を意識していたが、この代は米国ユーザーの好みにフォーカスした。日本では批判的な声もあがったが、米国では大人気となり、現在まで続く好調の原動力になったという。

ボディを大型化し、逞しさを増して登場した2009年の「アウトバック」(画像提供:スバル)

米国向けスバル車の現状は

AWD(全輪駆動方式)や水平対向エンジンによる低重心など、スバルならではの技術が生み出す安全性は従来から米国で評価が高かった。特に冬季は、雪が降る北東部で根強い支持を受けていた。ラブキャンペーンでは、こうした機能そのものを訴求するのではなく、機能から生まれるクルマの価値をアピールする方向に転換した。これが成功したという。

現在、米国向け商品の主力となっているのは最初に紹介したようにアウトバックで、フォレスターがそれに続く。フォレスターは今後、米国でも新型が発売されるので、今年は順位が入れ替わるかもしれない。最近伸びているのは「XV」(現地名:クロストレック)で、昨年は11万台を記録し、今年も伸びているという。

「クロストレック」も販売が伸びている(画像提供:スバル)

「XVは30~40歳代という若いお客様が多くなっています。スバルの中ではデザインも高く評価されています。『インプレッサ』はさらに若い方と子離れ層に二極化しています。アウトバックは50代を超えていて、フォレスターは幅広い層からまんべんなく支持をいただいています」

7人乗りSUV「アセント」が家族向けスバル車に

最近発売した北米専用車種、7人乗り大型SUV「アセント」の評判も上々だという。こちらも、スバルには家族向けの車種がないというユーザーの声から生まれたクルマだった。スバルの強みを考えてSUVとして送り出したところ、「クール」という評価をもらっているそうだ。家族向けといえばミニバンを求める日本のユーザーとは、少し違う選択眼を米国ユーザーは持っているらしい。

「アセント」が家族向けスバル車という需要に応えている(画像提供:スバル)

昔はセダンも強かったが、ここ数年でSUVへのシフトが明確になってきたというのが本間課長の実感だ。クルマの使い方としては、休日にアウトドアを楽しむ人が多く、販売店でもそういうスタイルを提案しているという。「WRX STI」などのスポーツモデルも売ってはいるが、これらも日常使いの中で楽しむ人が多いそうだ。

これ以外にユーザーの特徴としては、日本よりも安全性を重視する姿勢があるという。この分野は、ほとんどの車種がクラストップであり、安全でスバルを選ぶ人が多いことが伸びにつながったとも見ている。「アイサイト」(ステレオカメラを用いた安全運転支援システム)は2013年に導入し、2年後から本格的に訴求を始めた。インプレッサから導入した新開発プラットフォームも安全性を引き上げており、アピール材料になると考えている。

安全性がスバル車を選ぶ理由になる。本間課長が米国の家族を例に挙げて説明したところによると、大きなピックアップトラックに乗っている父親が、「安全だから」という理由で母親に「フォレスター」を勧めるようなケースもあるそうだ(画像は新型フォレスター)

合理的な考えも米国ユーザーの特性だ。日本ではハイブリッド車というだけでクルマを選ぶ人もいるが、現地ではハイブリッドの価値をしっかりと聞き、自分の用途に合った場合にだけ選ぶ人が多いという。もちろん、使い勝手も重視する。耐久性もポイントのひとつで、1台を長く乗り続ける人が多いそうだ。

“タマ不足”は解消へ?

これだけ急激に台数が伸びたので、現地ではスバルのクルマが足りないという状況が続いてきた。増産したものの需要に追いつかず、「もっと送ってくれ」という声も多かったという。ただしスバルは米国にも工場を持っており、以前から担当していたトヨタ自動車「カムリ」の委託生産が終了した分をスバル車の増産に回したことで、現在はバランスのいい状態に落ち着きつつあるという。

もっとも、米国市場偏重の現状を危惧する声も多い。特に現大統領は、最近も輸入車に25%もの高い関税を掛けると豪語しており、もしこれが実現すると、スバルも大きな打撃を受ける可能性がある。これについて本間氏は次のように語っていた。

「確かに米国市場の存在感は高くなっています。会社全体が強くなるには他の地域の成長も必要で、グローバルでのバランスが大事だと思っていますが、米国での勢いは続けたいという気持ちもあります。今年は5%成長を目標に掲げています。ハードルは高いですが、達成できるのではないかと思っています」

米国では今年、5%の成長が達成できると本間課長は見る

確かに現地では、アセントに続き、このあと新型フォレスターが発売されるので、新車効果が台数を押し上げるだろう。米国でのスバル快進撃は今年も続きそうだ。

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

新AQUOSは“片手ポケット族”狙う iPhone不在の「小型スマホ」市場に勝機

2018.11.16

シャープが新スマホ「AQUOS R2 compact」を発表

大画面化の波に逆らい、「片手ポケット族」が増加傾向に

iPhone不在の「小型スマホ」市場を狙う

11月15日、シャープがAndroidスマートフォンの新製品「AQUOS R2 compact」を発表した。名前に「compact」と付いている通り、最近のスマホ市場では選択肢が減っている小型モデルであることが特徴だ。

小型スマホの需要を取り込む「AQUOS R2 compact」

コンパクトな見た目とは裏腹に、中身にはハイエンドである「AQUOS R」シリーズのスペックを詰め込んでいる。世界的にスマホの大画面化がトレンドとなっている中で、あえて時代に逆行するシャープの狙いはどこにあるのだろうか。

スマホを片手で持ち、ポケットに入れて使う人が増加

世界のスマホ市場では、6.5インチの「iPhone XS Max」に代表される大画面モデルが人気を博している。だが、日本では通勤電車などの利用シーンにおいて、片手で使う人が多いといわれている。シャープによれば、スマホを片手で持つ人は64% 、服のポケットに入れて持ち運ぶ人は49% に達しており、その割合は上昇傾向にあるという。

片手で持ち、ポケットに入れて持ち歩く「片手ポケット族」が多いという

その背景として、シャープはスマホの「インフラ化」を指摘する。SNSやコンテンツを楽しむだけでなく、サービスの利用やモバイル決済にスマホは欠かせない存在になっており、日常生活でスマホを取り出す場面が増えている。

AQUOS R2 compactは、日本人の手のサイズを念頭に置いた「横幅64mm」のボディに、できるだけ高性能な部品を詰め込んだハイエンドコンパクト機になっている。プロセッサは最新のSnapdragon 845、メモリは4GBを搭載しているが、これは大画面モデルのAQUOS R2と同等だ。

ポケットに入れやすいサイズに高性能を詰め込んだ

スマホ本体を小型化する一方、画面は前モデルの「AQUOS R compact」より大型化した。このためにシャープは画面の上下に切り欠き(ノッチ)を持つIGZOディスプレイを開発。インカメラと指紋センサを搭載しつつ、表示領域を上下に広げてきた。

前モデル(左)と比べて新モデル(右)は表示領域が広がった

「iPhone不在」の小型スマホ市場を直撃

シャープによれば、小型スマホを求める人は全体の3割程度という。スマホ市場では残りの7割に向けた大画面モデルが幅を利かせており、最新のiPhoneでは6.5インチのXS Maxに加え、一般向けモデルの「iPhone XR」も6.1インチとなっている。

一方、小型モデルとして根強い人気のあった「iPhone SE」は、後継モデルが出ないまま販売が終了。中古市場では価格が上昇する騒ぎもあった。

日本で最大シェアを誇るiPhoneだが、小型スマホ市場では存在感が薄れつつある。ソニーモバイルはXperiaシリーズのコンパクト機を投入しているが、2018年夏モデルの「Xperia XZ2 Compact」と比較して、シャープ機は画面の大きさ、薄さ、軽さの面で圧倒している。

中国メーカーとして日本でも勢いを伸ばすファーウェイ、OPPOも世界市場において大画面化競争を繰り広げており、小型モデルに積極的な動きは見せていない。この点もシャープにとって有利に働いている状況だ。

また、AQUOS R2 compactは顔認証と指紋認証の両方に対応しているのも特徴。これは、iPhoneにもXperiaにもない機能だ。スマホをポケットから取り出し、顔の前に持ち上げるだけでロックを解除できる顔認証だが、卓上に置いている場合は使いにくい。だが指紋センサがあれば、指を置くだけで済む。

顔認証に加えて指紋認証にも対応

スマホの端末メーカーの多くはグローバル市場に目を向け、大画面化のトレンドを追いがちだ。だが、シャープは国内の需要をしっかりとらえた上で、日本のユーザーに刺さる製品作りを続けている。

依然としてiPhone人気が続いている中で、限られた市場であっても「不在」のチャンスをタイムリーに活かし、ユーザーを奪還する。国内に目配りできるシャープならではの戦い方に注目したい。

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第23回

大画面化するスマートフォン 使いやすさの試行錯誤は縦長から折り畳みへ

2018.11.16

海外メーカーの台頭で日本にも大画面化の波が到来

大画面化と使いやすさの両立、各社の工夫の歴史

縦長スマホにとって代わるのは「折り畳み」スマホか

スマートフォンのディスプレイは年々大型化が進んでおり、かつては「大きすぎる」と言われた5インチディスプレイが、今や小さい部類に入ってしまうほどだ。一方で使いやすさを維持しながらディスプレイの大画面化を実現するため、メーカー各社はさまざまな工夫を重ねている。スマートフォンのディスプレイサイズはなぜ大きくなり、今後はどのように変化していくのだろうか。

海外メーカーの台頭で日本でも大画面化に拍車

スマートフォンにとってディスプレイは、単に情報を表示するだけでなく、タッチして操作するインタフェースも兼ねている非常に重要な存在だ。そのスマートフォンのディスプレイが、ここ10年ほどで最も大きく変化した要素が「サイズ」である。

どれくらい大きくなったのかというのは、新旧のスマートフォンのディスプレイサイズを比べてみれば一目瞭然だ。日本で最初に発売されたiPhoneである「iPhone 3G」のディスプレイサイズは3.5インチだった。一方、「iPhone X」や「iPhone XS」、「iPhone XR」といった最近のiPhoneのディスプレイサイズは6インチ級があたりまえ。1.7倍に以上に拡大しているのだ。

今やスマートフォンのディスプレイサイズは5インチ以上が一般的で、6インチも珍しくなくなった。画像の「iPhone X」のディスプレイサイズは5.85インチだ

さらに「iPhone XS Max」は6.5インチもあるし、他の大手メーカーでもサムスン電子の「Galaxy S9+」やファーウェイの「HUAWEI P20 Pro」のように、6インチを超えるディスプレイを採用した機種は増えている。なぜ、これほどまでにディスプレイサイズが大きくなったのかというと、それは大画面が欲しいというユーザーが多いため。スマートフォンの性能向上によって動画やコミック、ゲームなどのコンテンツを楽しむ人が増えていることから、ユーザーのニーズに応えるかたちで、大画面が求められるようになったといえよう。

だが日本国内の事情に目を向けてみると、公共交通機関での通勤・通学が多いのに加え、片手で文字入力ができる「フリック入力」が広く普及したこともあり、片手でスマートフォンを操作する傾向が強く、実は大画面に対するニーズはそこまで大きい訳ではない。実際日本では、4インチディスプレイの「iPhone SE」が人気を保っていたし、シャープの「AQUOS R Compact」やソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia XZ2 Compact」などのように、4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトなスマートフォンも投入されている。

2018年の夏モデルとして販売されている「Xperia XZ2 Compact」は4.9インチと、最近では珍しくなった4インチ台のディスプレイを採用したコンパクトモデルだ

にもかかわらず、日本でも大画面のスマートフォンが増えているのはなぜか。まずは国内のスマートフォンメーカーが減少したことで、市場に海外メーカー製のスマートフォンが増えているためだ。海外では移動手段の違いに加え、文字入力システムの違いからスマートフォンを両手で持って操作する機会も多く、片手操作に対するこだわりが弱いのだ。

新興国などでも、ディスプレイサイズが大きいほど人気が出る傾向が目立ち、大画面に対するニーズが強いのである。海外製スマートフォンが日本市場に入り込みやすくなったことが、日本国内においてもスマートフォンの大画面化を進めたといえる。

縦長スマホの元祖はアップルだった?

とはいえ、スマートフォンが大画面化するに従って、本体の横幅がひろがり、さすがに海外のユーザーからも「持ちづらい」という声が増えてきたようだ。そこで近年急速に増えているのが、従来の16:9比率ではなく、18:9や19:9といった縦長比率のディスプレイの採用である。

持ちづらさに影響する横幅をこれ以上広げることなく、ディスプレイを縦に伸ばすことで大画面化しようとしたのだ。この流れをけん引したのは韓国メーカーで、2017年にはLGエレクトロニクスが「LG G6」(日本未発売)、サムスン電子が「Galaxy S8/S8+」といったように、縦長比率のディスプレイを採用した機種を積極的に投入した。

2017年発売の「Galaxy S8」「Galaxy S8+」は、18.9:9と縦長比率の有機ELディスプレイ「インフィニティディスプレイ」を採用したことで大きな話題となった

この韓国の両メーカーとも、グループ内にディスプレイデバイスを開発する企業を持っている。それゆえ縦長比率のディスプレイが生み出されたのには、実は大画面化だけが目的ではない。自社のスマートフォンに新しいディスプレイをいち早く搭載し、トレンドを作り上げることで、グループ企業のディスプレイデバイス販売拡大につなげる狙いもあったといえる。

だが、縦長ディスプレイで大画面化するというアイデアを真っ先に実践したのは、実はアップルである。アップルはかつてディスプレイの大画面化に消極的で、2011年発売の「iPhone 4s」までは3.5インチのサイズにこだわっていた。だが大画面化を求めるユーザーの声を受け、2012年発売の「iPhone 5」でディスプレイサイズを4インチに拡大した際に、ディスプレイの横幅はそのままに、縦に長くするという手法をとったのである。ある意味、アップルは5年前に現在のトレンドを先取りしていた、といえるかもしれない。

スマートフォンのディスプレイを縦に伸ばして大画面化するというアイデアをいち早く実践したのは、アップルの「iPhone 5」だった

しかしながら、ディスプレイを縦に伸ばして画面サイズを大きくする工夫にも、いずれ物理的な限界が来ることは目に見えている。そこで、さらなる大画面化の追求で、いま注目されているのが折り畳み式ディスプレイだ。このアイデア自体は、NTTドコモが2013年の「MEDIAS W」(NECカシオ モバイルコミュニケーションズ製)、2018年の「M」(ZTE製)で既に実現しているものだが、いずれも2枚のディスプレイを用いていたため、どうしても画面の折り目に継ぎ目が発生してしまう弱みを抱えている。

折り畳みスマートフォンとして注目されたNTTドコモの「M」は、2枚のディスプレイを用いるスタイルであるため折り畳み部分に継ぎ目が発生してしまう

だが有機ELを用いれば、ディスプレイを折り曲げられる“真の”折り畳みスマートフォンが開発できると言われており、大手スマートフォンメーカーがその開発を進めているとの観測報道も幾度となくなされている。

これは折り畳みできるという意味の「フォルダブル」スマホなどと呼ばれ、先ごろはサムスン電子が、来年発表するというフォルダブルスマホ「Galaxy F」のプロトタイプを開発者向けに見せはじめたりしている。2019年は各社から製品が登場するのではないか? との声もあるようだが、いま確実に言えることは、真の折り畳みスマートフォンがいつ、どのメーカーが、どのような形で投入するのかが、大いに注目されているということだけである。