多様化するリユース市場で存在感を強めるあのショップの考え方

多様化するリユース市場で存在感を強めるあのショップの考え方

2018.07.20

リユース市場が盛り上がっている。その原動力になっているのはメルカリやヤフオクだ。ただ、メルカリなどを媒介にした個人売買により、それまでリユース市場を支えてきたショップが打撃を受けているという。

ただ、これは経済の理。新しい販売チャネルが成長すると、それまでの販売スタイルが打撃を被るのはよくあるハナシだ。

ただ、ネットによる個人売買にはいくつか問題がつきまとう。まず、素人による梱包により、運搬中に商品が破損してしまうこと。そして、これがもっとも問題だが、ニセモノが送られてきたり、そもそも商品が送られなかったりする。そうした問題を回避したいのなら、やはりショップの信頼度は心強い。

リユースのメリット・デメリット

そこで、リユース製品をメインに扱うコメ兵にハナシを聞いた。コメ兵 執行役員 マーケティング統括部長 藤原義昭氏は、「リユースの販売チャネルは完全に確立しています。ほしいものが新品より安価で手に入りますが、危険がつきまとうのも確か」と、リユースのメリットとデメリットを話す。

コメ兵 執行役員 マーケティング統括部長 藤原義昭氏。査定の際は、個室で何を持ち込んだか、ほかの客にはみられない

ここでいうデメリットは、ニセモノだ。コメ兵は、腕時計やバッグ、宝石といった高価な商品を売買する。となれば、ニセモノを買い取らないよう、細心の注意を払って査定する。

ところがだ。まれにニセモノを買い取ってしまうことがあるそうだ。全国の店舗で買い取った商品は、名古屋の物流センターで真贋を鑑定される。その際に、ニセモノと判定されることがあるらしい。

ただ、徹底しているのは、買い取ったニセモノを売りに出さないこと。ニセモノの烙印が押された商品は決して店頭には並ばない。

では、買い取ってしまったニセモノはどうなるのか。実は真っ先に破棄ということではなく、研究材料として生かされるそうだ。鑑定をする店舗のスタッフは相当に知識はあるが、真贋を見誤ることがある。それを少しでもなくすために、こうしたニセモノが活用される。いいかえると、ニセモノだからまったくの無価値という考えではないのだ。

ただ、店舗の鑑定でニセモノとわかった際には買い取らない。実はここに大きな憂慮がある。悪意を持ってニセモノを持ち込む客は論外だが、多くの方が「これはホンモノ」と信じ切って売りにくる。それをにべもなく「これはニセモノです」とはハッキリとは言いづらい。「これはお引き取りできません」というニュアンスでお断りするのだそうだ。

確かな“目”で鑑定をするコメ兵 新宿店の山口秀平氏。筆者も手持ちの時計や万年筆を査定してもらった。結構マニアックなコレクションのつもりだったが、一発でメーカーや商品名を当てられ少しくやしい。まあ、当然といえば当然か……(笑)

と、このように店頭での売買は確立しているコメ兵だが、ネット通販も充実している。同社が目指しているのは、実店舗とネット通販によるオムニチャネルだ。藤原氏によると、リセール製品だからこそ、ネットでの販売が生かされるという。

どういうことかというと、持ち込まれた商品は東京、名古屋、大阪など、場所を選ばない。大阪のコメ兵に持ち込まれた商品を、東京の顧客が購入する場合、ネットでの取引が役立つ。一方、実店舗があるというのもネット販売の価値を高める。スマホやPCの画面で商品画像を確認し、実店舗で状態を確認できる。特に、高級腕時計といった場合、ネットの画面だけで購入を決断するのは不安だ。実店舗でチェックできるのに越したことはない。

さて、今後リユース市場はどうなるのか。藤原氏は、現在は鈍化し始めているが伸びていく可能性が高いと話す。それは、リユースの対象が多岐にわたり始めているからだそうだ。数十年前、リユースは土地や家、クルマといった高価値なものが主流だったが、今はどんなものにも値がつきやすい。そう考えると、リユース市場拡大の可能性は、まだまだ広がる可能性が高い。

正直者がバカを見る「就活ルール」は必要か

正直者がバカを見る「就活ルール」は必要か

2018.09.25

経団連会長の「就活ルール廃止」発言に対して大学教授が言及

これまでのルールは、従ったものが損をする仕組みになっていた

就活支援サービス、大学のキャリア教育に変革が求められている

9月のはじめ、経団連会長の中西宏明氏が「2020年度以降に就活ルールを廃止する」とコメントしたことが話題となった。この発言が社会にどのような影響をもたらすこととなるのか。大学にてキャリア教育および支援を担当する教員として、今回の出来事に関しての見解を述べたい。

ルールを守ると「優秀な人材」を採れない実情

そもそも、同氏がこのような発言をした背景には、「就活のルールを守った企業が損をする」という現状への危機感、および、経団連に所属している企業であっても「こっそりと就活ルールを破っていた」現状への罪悪感があったと考える。

もっとも、我々大学サイドとしても、これだけインターンシップ採用やリクルーター採用、つまり「リファラル採用」が一般化しているのに、○月より情報解禁、△月より試験・面接開始……といった就活ルールに基づき、学生の就職支援をするのは実情に合っていない、ということは身をもって感じている。

ではなぜ、現行の就活ルールのままではいけないのか? その理由の1つとして、就活ルールが、「優秀な人材」の排出を阻害している点が挙げられる。

新卒の人材について、ここでは「優秀な人材」と「普通の人材」という2つのパターンに分けて考えたい。優秀、普通の定義については、仮に前者を"イノベーションを起こせるような人材"、後者を"従来の仕事(イノベーションというよりは、これまで多くの企業がやってきたような仕事)ができる人材"としよう。

一方、採用をする側をおおまかに「人気ベンチャー」「大企業」「中小企業」と分類し、それぞれの関係性をざっくりと図式化すると、以下のようになる。

イノベーションを起こせるような優秀な人材は、現行の就活ルールではなくリファラルで採用されることが多い。現行の就活ルールに則って採用活動をした企業は、スタートが遅れ、そういった企業に優秀な学生をとられてしまっているのが現状だ

この図で示す通り、就職活動(採用活動)には大雑把に2つの道があって、志望する企業によって就活は変わるし、採用する企業によって採用活動も変わる。それにも関わらず、かたくなに1つのルールのみで縛っていこうとすると、就活生、採用活動を行う企業のどちらにも不利益が生まれることは明らかだ。

変化が求められるナビサイト

今回の発言を受けて気になるのは、リクルートやマイナビ、キャリタスなどの就職情報サイトが、いつ会社説明会情報を解禁にするのか、ということだ。もし同社らがビジネスモデルを堅持するようであれば、ざっくりと「3年生の授業が終わる時期に合説がスタートし、4年生の春から面接・内々定」の流れは数年続くかもしれない。

しかしながら、それは会社の事情であって、学生には関係の無い話だ。例えばインターンシップを1・2年生でも体験できるのであれば、就職情報サイトを年度別に設計するのはすでに実情に合っていない。それぞれのサイトに一度登録すれば、4年間、キャリアに関する情報を収集できるようにするべきだろう。ひいては中途採用の就職情報サイトと統合すべきだ。

世界に遅れる日本、キャリア教育のアップデートを

こういう話をすると「インターンシップなどのキャリア形成のための活動が学業に影響を与えるのはおかしい」という議論があるが、それは間違っているように思う。

仮に欧米の大学生のように、長期休暇などに興味がある企業でインターンシップで働いて、納得できる採用先を早期に確保した方が、かえって卒論などに影響を与えない可能性があるためだ。

もちろん、欧米の場合、専門職採用が主体で学びと就職が一貫していること、長期休暇が取りやすいカリキュラムになっていて、有償のインターンシップを紹介してもらえるなど、日本とは状況が違うので、すぐには無理だろう。しかし、日本だけ異質なままではグローバルな視点からは取り残されてしまうこととなる。

今、大学側に求められるのは、年次に縛られず、自ら行動し、試行錯誤しながら、自らのキャリアを紡ぎだせる学生を育てることだろう。

中西氏の発言が今後、企業の採用活動、および学生の就活にどのような影響をもたらすかは断言できない。しかしこの出来事は、就職活動に歪みが出てきていることを示す顕著な例であることは確かだ。大学側には、これまで提供してきたキャリア教育の見直しの時期が強く求められている。

ボンクラに厳しい「新卒一括採用の廃止」

カレー沢薫の時流漂流 第8回

ボンクラに厳しい「新卒一括採用の廃止」

2018.09.24

漫画家・コラムニスト カレー沢薫さんの社会派連載!

第7回は、「新卒一括採用のルール廃止」について

今回のテーマは、新卒一括採用のルール廃止についてだ。

「経団連の中西宏明会長が、2021年春以降に入社する学生への会員企業の採用活動に関し、経団連が定めている面接解禁などの統一ルールを廃止する意向を表明した」(時事通信

だ、そうだ。しかし、田舎の専門学校卒としては、ルール廃止以前にルールがあったことすら知らぬのである、金的以外なんでもありかと思っていた。

よって、まずは現在の統一ルールとやらについて知る必要がある。ただし知ったところで、廃止される予定だが。

新卒一括採用の現状

まず日本には、新卒一括採用という独自の風習がある。企業が卒業予定の学生(新卒者)を毎年一括で求人し、在学中に採用試験を行い、内定を出し、卒業後すぐに働かせるというものだ。

この新卒一括採用の際、企業側の「選考活動」の解禁が6月1日、というのが、廃止しようと言われている統一ルールだ。企業はその日まで「面接」など、採用者の選考をしてはダメということである。

だが、6月1日までに選んじゃダメなはずなのに、今年6月1日までの大学生の就職内定率は68.1%になっているそうだ。

つまり、廃止する以前に、このルール、すでにシカトされまくっている。現に、先の記事によれば、2019年春の採用に関する事前調査で、今年5月までに面接を行うと答えた企業が8割超、内定を出すと答えた企業が7割近くに達しているそうだ。

こっそり6月以前に選考しているのかと思いきや、もはや堂々たる無視っぷりであり、選考どころか、もう6月には内定しちゃっているのである。このように、すでにあってないような物なので、このたび正式に廃止しようという声が出た次第である。

就活ルールの廃止で広がる「差」

それに対し、「だからと言って、金的含め『何でもあり』になるのは困る」という声も上がっている。

形骸化しているとはいえ、まったくルールがなくなると「どれだけ早く採用者を決めてもいい」ということになってしまい、人気企業が早くに選考を始めたとしたら、優秀な人材はその企業に取られて、遅い企業が選考を始めるころには「じゃない新卒」しか残ってない、ということにもなり得る。逆に、人気企業が遅くに選考を始めると、すでに内定を決めていた新卒が人気企業のほうに行くため、結局内定を蹴られる、ということにもなる。

また学生にとっても、一応の選考活動期間の定めがないと、どんどん早くから就職活動をはじめなければいけなくなり、就職活動は長期化していく恐れがある。最悪、「大学で勉強していた時間より、就活していた時間の方が長い」という、会社で例えるなら「営業で採用されたのに、社内でコピー機の修理をしていた時間の方が長い」という本末転倒が起こりかねない。

そもそも有能な人材というのは教育から生まれるのに、「就職活動が、優秀な人材になり得たかもしれない学生から学習の時間を奪う」のでは全く意味がない。このように、採用活動のルール廃止は、学生の大きな負担になるのではと懸念されている。

当の学生自身はといえば、「期間を決めてくれた方が準備しやすいので、きっちり決めて欲しい」という反対の意見もある一方、「就活期間が長いほど落ち着いて就活できるんじゃないっすか、知らんけど」という、賛成の意見もあると言った感じだ。

しかし、「時間さえあればやれる」と言っている奴は、与えられた時間の分だけうすらぼんやりするか、逆に「こんなに時間がある」と油断してさらにダメになるに決まっているので、このルールの廃止で、意識の高い学生と低い奴の差はさらに広がると予想される。

ルール廃止で困るのは誰?

また、この採用活動ルール廃止は「新卒一括採用」という風習自体をなくすためだ、という意見もある。

この「新卒一括採用」というのは日本にしか見られない採用形態であり、それも戦後に確立された、比較的新しいものだ。能力に拘わらず初任給からスタートし、勤続年数によって昇給していくというシステムだが、現代日本では、何年勤めていても給料が上がる保証がない。そのため、このままでは外国人材をはじめ、優秀な人材を集めるのは難しいと言われている。

だが、日本が今まで高い就職率を誇ってきたのは、他ならぬこの新卒一括採用があったからだという。何しろ、日本の新卒の就職率は90%を超えているのだ。ただしこれは「就職希望者の就職率」なので、「俺、大学卒業したら、新種の虫を探しに行くんだ」と言っているような奴は除外されている。

それでも高いし、就職氷河期と言われた時でも、これらのパーセンテージはそこまで激減したわけではない。新卒に限らず、国全体の失業率も、欧米諸国と比べて低い。

こうした数字は「ある時期が来たら周りが一斉に就職活動を始めるので、自分も何となくはじめ、何となく一斉に採用されている」という新卒一括採用制度があったからこそらしい。つまり、そんなに主体性のない学生でも、周りの流れに乗って就職していけたのである。

これが期間の定めなしになり、各々フリースタイルでやれ、と言うことになったら、流れに乗っていた勢が一斉に迷子になる恐れがある。

なんにせよ、「ますますボンクラに厳しい世の中になる」のは確かなようだ。