クリーンエネルギーの代表格「水力発電」の現場を見学

クリーンエネルギーの代表格「水力発電」の現場を見学

2018.07.21

EV「BMW i3」で丸沼ダムを目指す

尾瀬探索に隠されていた東京電力のねらい

尾瀬人気の低迷も大きな課題

MINIのショールームが併設されたBMW GROUP Tokyo Bay

7月中旬。東京・お台場にある「BMW GROUP Tokyo Bay」に数人のメディア、BMWジャパンのスタッフ、東京電力の職員らが集まった。総勢10名強。なぜBMWと東京電力の組み合わせなのか不思議に感じる方もいらっしゃるだろうが、両社はある取り組みにおいて同じベクトルを向いている。

ちなみに、BMW GROUP Tokyo Bayは、BMWグループのフラッグシップ・ショールーム。BMWはもちろんのこと、同グループのカーブランドMINIのクルマも展示されている。付近にはトヨタの多目的型ショールーム「MEGA WEB」もあり、クルマ好きにはたまらない地区だ。

さて、なぜBMWと東京電力が同じベクトルを向いているのか。まず、東京電力だが、知ってのとおり福島原発において大きな事故が起こった。以前から再生可能エネルギーの活用を模索していた同社だが、この事故以降、その姿勢は一層加速した。一方、BMWは電気自動車(EV)の普及に積極的だ。つまり、水力発電によるクリーンな再生可能エネルギーと、クリーンなEVの組み合わせを意識づけるために、今回メディアが招待されたのだ。

そして、この招待のもうひとつの理由が「アクアエナジー100」という電気料金プランをローンチしたこと。これは、水力発電100%のプランで、自宅のクルマがEVならば、このプランによりCO2排出が限りなくゼロに近くなる。料金は通常プランよりも約2割増しになるが、その分、環境保全に生かされる。今回は、そのプランのプロモーションも兼ねたメディアツアーでもある。

目的地は丸沼ダム

目指す場所は群馬県・丸沼発電所(以下、丸沼ダム)、そして移動手段は「BMW i3」。当日は数台のi3が用意され、メディアやBMWスタッフ、東京電力職員が分乗し、関越自動車道を北上した。

コンパクトな「BMW i3」。テールの形状がカワイイ

実は筆者は、EVに乗るのは初めてだった。そのためEVに対して誤った固定観念を持っていた。「高速道路を走行する性能はないのではないか」「山道を登坂するパワーはないのではないか」「航続距離が短く実用的ではないのでは」といったことだ。だが、この日、i3に乗ってみて、そのすべてが間違いだったことを思い知った。高速道路では、追い越し時にグイグイ加速するし、登坂時もスムーズ。むしろガソリン車よりも速いのではないかと感じるほどだ。給電も往路で1回のみ。サービスエリアで30分の急速充電が可能なので、昼食を食べているあいだに完了する。

SAの急速充電器。プラグを差し込んで充電する

EVの実用性は十分だし、そしてクリーンなことを考えれば、もっと日本で普及してもよいのではないかと思った。ただ、今回乗せていただいたi3は、諸経費を含めると600万円ほど。国から補助金が出るとはいえ、やはり価格で躊躇している方も多いのだろう。ただ、ガソリンが高騰している折、ランニングコストを考えれば、もとは取れそうな気もするのだが……。

丸沼ダム見学に戻ろう。今回は一泊二日の旅程だったが、ダム見学は2日目で、まずは宿泊宿のある尾瀬ヶ原に向かう。尾瀬にはクルマが乗り入れられないので、途中の駐車場にi3を駐車。あとは乗り合いバス(ワンボックスの乗り合いタクシー)で、尾瀬入り口まで進んだ。

そこから約1時間ほど、ブナ林の中に設けられた遊歩道を歩く。基本的には緩やかな下りなのであまり苦ではなかったが、帰りに今度は登りになることが頭をよぎった。だが、ブナ林ならではの木漏れ日や吹き抜ける風、そして東京では味わえないさわやかな気温が、そんなことを忘れさせてくれた。

そして到着した宿は「尾瀬ロッジ」。いかにも山間の宿といった風情の外観だが、内装は清潔で旅館などと遜色はない。食事も品数豊富で満腹感が得られる。ちなみに夕食のメインディッシュはお肉の陶板焼きで、ビールやワインも飲むことができた。クルマが通行できないところで、お肉やお酒が楽しめるのは「ボッカさん」と呼ばれる運搬係の貢献があるからだ。食事のハナシのあとで申し訳ないが、トイレの一部がオシリ洗浄機能付きだったのを付け加えておく。

いかにもな雰囲気の尾瀬ロッジ。食事は陶板焼きがメインで、ポン酢を付けて食べる

何もみえない漆黒の闇

さて、ロッジでの印象的な体験を2つ。ひとつは、夜間外に出てみると、まったくもって漆黒の闇だったこと。視界は皆無といってよい。星空が見えればよかったのだが、どうやら空は雲で覆われているらしい。何十年も生きてきたが、これほどの闇は初めての経験で逆に新鮮だった。できれば、その闇をお目にかけたいのだが、カメラで撮っても仕方がない。フラッシュをたいてしまうと、そもそも闇ではなくなる。

そしてもうひとつがロッジの水。ミネラルウォーターを買うためにフロントに行ったのだが、置いてないという。「洗面台の水を飲んでください」といわれ、そのとおりにしたのだが、冷たくてウマイ! こんな水が蛇口から飲めるのならば、ペットボトルの水など確かに不要だろう。

そして20:30ぐらいに消灯。やはり山の夜は早い。

翌朝、朝食のあと、尾瀬探索に向かった。メディアはもちろん、BMWスタッフ、東京電力職員も一緒だ。

今回は丸沼ダム見学が主目的だったが、東京電力のねらいが尾瀬探索に隠されていた。実は尾瀬の約4割が東京電力の土地。もともと水力発電のために用地を取得したのだが、観光客の増加、住民の反対(最初は一人だけが反対運動)などがあり、計画を断念した。以降、保全という立場に回り、尾瀬の土地を守っている。ある意味、CSRといえるだろう。さらに国立公園特別保護地区にも指定され、開発は不可能になっている。

そして今回、尾瀬探索にメディアを招待したのは、尾瀬人気の復活のため。最盛期には約70万人が訪れていたが、現在は30万人ほどまで減ってしまったそうだ。これには、ある仮説がある。尾瀬人気が高かったころ、「夏の思い出」という歌がヒットし、小学校や中学校の合唱では、定番の曲となっていた。

尾瀬人気が低下している理由は?

ところがだ。現在はこの曲を歌う学校が激減しているという。それにともない、尾瀬の知名度が低下した。実際、筆者がよく行く居酒屋のアルバイトに「明日から尾瀬に行く」と伝えたところ、「それどこですか?」という返事が返ってきた。

さて、尾瀬ヶ原はまさに写真などでみる景観と一緒だった。広大な湿原の中に木道が延び、燧ケ岳(ひうちがだけ)や至仏山(しぶつさん)がみえ、白樺も点在している。実はこの木道、東京電力や群馬県、福島県、新潟県などによって設置されたものだ。もし、尾瀬を訪れることがあれば、木道の板を確認してほしい。設置した企業や自治体、いつ造られたのかといった刻印が押されている。

左上:木道がどこまでも延びる、尾瀬おなじみの光景。右上:沼に燧岳が映る「逆さ燧」。残念ながら山頂部は雲に覆われていたが、これはこれで風情がある。左下:白樺林が点在し、高原の雰囲気を演出。右下:木道に刻まれた、TEPCOのマークと設置時期

ただ、それは気づいたときでいい。やはりみるべきは広大な湿原と点在する沼、そして豊かな植生だ。残念ながら尾瀬のシンボルともいえる水芭蕉のシーズンは終わっていたが、「ニッコウキスゲ」や「ヒオウギアヤメ」など、数々の花が咲いていた。本来、取材できたのだが、花の図鑑でも作るのかというくらい、さまざまな花を夢中で撮った。

尾瀬の花々。左上:ニッコウキスゲ、右上:ヒオウギアヤメ、左下:オゼヌマアザミ、右下:コオニユリ

尾瀬探索のあと、本来の目的である丸沼ダムを目指す。ブナ林の復路で駐車場に向かった際「オヤッ!?」と思ったのは、国際色が豊かだったこと。ハイキングではすれ違うハイカーに挨拶するのが基本だが、私の「おはようございます」の言葉に、「ニーハオ!」「グッドモーニング」という言葉が返ってきた。尾瀬人気は低下しているが、インバウンドの知名度は高いのかもしれない。

さて、いよいよ丸沼ダムだ。このダムは昭和3年から建設され昭和6年に完成。コンクリートが少なくて済む「パットレスダム」となっている。当時、マンパワーはあったが、コンクリートが高価だったのでこの方式が採られたという。日本には8カ所しかなく(うち2カ所は廃止・現在6カ所)、貴重な存在なのだそうだ。

その証拠に、「ぐんまの土木遺産」、そして国の重要文化財に指定されている。そのダムの上を歩かせていただいた。普段は関係者しか通れないので、柵は低めだが、景観がすばらしかった。丸沼を東西に分けるように堰堤が延び、ダムの上流と下流でかなりの高低差がある。

重要文化財を示す石碑と重要文化財指定書。下段は堰堤の上から上流側と下流側を撮った写真。同じところから撮ったが、上流(左)と下流の水面の高さがかなり異なる

美しい景観の丸沼ダム

ただ、丸沼は美しく、エメラルドグリーンの水が印象的だった。多くのダムは川をせき止めるため、大雨が降ると土砂が流入しやすい。ところが、丸沼には小川しか注いでなく、大雨が降っても濁りにくいのだそうだ。上流にも下流にもボートが浮かび、フライフィッシングなどを楽しむ釣り客も多かった。水面をみると、40cmぐらいのニジマス? が悠々と泳いでいるのが確認でき、しかも人の目の前でライズ(水面の虫を補食すること)を繰り返していた。あまりの警戒心のなさに、少し驚いた。

そしていよいよダムの中へ。70段以上の階段を降りると、堰堤の最下部に出る。ここからダムの全景が見わたせる。高さ約32m、長さ約88mの堰堤は圧巻だ。ただ、瀑布のように水を流し発電タービンを回すのではない。沼上流から水を取り込み、それを下流の沼底から排水する仕組みだ。なので、ボート客に与える恐怖は少ない。

ダムの最下部に向かうには、秘密基地のような階段を降りていく。丸沼ダムの全景。この堰堤の向こう側が上流側

こうして、丸沼ダム見学は終了した。BMW i3に分乗し、復路を走った。残念だったのは、あのロッジの水をもう一度飲みたかったこと。ところが、片品村で訪れた建設中の道の駅「尾瀬かたしな」で、尾瀬の水を引いた水くみ場があった。飲むのは自己責任とのことだが、躊躇なく飲んだ。もちろん、おいしかった。

クルマ新時代の駐車場は何を目指す? 「CASE」で見えてきた未来像

クルマ新時代の駐車場は何を目指す? 「CASE」で見えてきた未来像

2018.11.14

日本自動車研究所が「自動バレーパーキング」の実証実験

駐車をシステム任せにできる仕組みとは?

未来の駐車場はクルマの“ハブ”になる

自動運転、電動化、カーシェアリングなど、新たな技術・サービスの登場により変革期を迎える自動車業界。クルマの乗り方、使い方を根本的に変えるかもしれないこれらの要素をまとめて「CASE」というが、この文字を目にする機会も増えてきた。クルマが変わればクルマに関連するモノや場所も変わりそうだが、例えば駐車場は、どのような姿になっていくのだろうか。日本自動車研究所(JARI)の実証実験で、その一端を垣間見た。

「CASE」の進展で駐車場の姿も一変する?

「バレーパーキング」を自動化

「CASE」とは「Connected」(コネクティッドカー)、「Autonomous」(自動運転)、「Shared & Service」(カーシェアリングなど)、「Electric Drive」(クルマの電動化)という4つの言葉の頭文字をとってダイムラーが使い始めた概念のこと。そのうち、コネクトと自動化の2つを使って、JARIが実用化の道を探っているのが「自動バレーパーキング」というシステムだ。

JARIは経済産業省および国土交通省の委託を受け、2016年度から「一般車両による自動バレーパーキングシステムの社会実装に向けた実証」というプロジェクトを進めている。「バレーパーキング」とは、例えばホテルやショッピングセンターなどにクルマで乗りつけたとき、キーを従業員に預けて、代わりにクルマを駐車しておいてもらうサービスのこと。その自動化に向けて、JARIはシステム、制度、事業性などを検証してきた。

JARIは今回、自動バレーパーキングシステムの機能的な確認を行うためとして、東京都港区にある「デックス東京ビーチ」の駐車場で実証実験を実施。その模様を報道陣に公開した。そこではクルマが勝手に動き、定められた駐車スペースに止まり、再び動き出す様子を見ることができたし、自動バレーパーキングを含めた駐車場の未来像に関する話も聞くことができた。

JARIはデックス東京ビーチ駐車場の2階で実証実験を実施した

自動バレーパーキングとはどんなシステムなのか

自動バレーパーキングをドライバー目線で説明するのは簡単だ。例えばショッピングセンターのエントランスにクルマで乗りつけたならば、降車してスマートフォンのアプリで「入庫」を指示し、そのまま買い物にでも食事にでも向かえばいい。用事が済んだ頃に「出庫」ボタンを押して出口に向かえば、クルマ寄せには愛車が迎えに来ている。

自動バレーパーキングの指示はスマホで行う

では、そのシステムはどのようなものなのか。自動バレーパーキングは「クルマ」「管制センター」「駐車場」の3者による協調で機能する。駐車場の構造を把握している「管制センター」は、ドライバーから入庫の要請を受けると、安全性や効率を考慮して駐車場所とそこへ向かう経路を決め、「クルマ」に無線で指示する。「クルマ」は「駐車場」にあるランドマーク(目印)をカメラやセンサーなどで読み取り、「管制センター」が持つ駐車場の構造情報(地図)と擦りあわせて自らの位置と経路を確認し、指示された駐車スペースに向かう。そんな流れだ。

自動バレーパーキングの様子。運転席に人は乗っているが、ハンドルからは手を離している

同システムが実用化となれば、駐車場の「利用者」は手間を省けるし、「事業者」は駐車効率の向上を図れる。無人で自動運転を行うクルマであれば、ドアの開閉スペースは不要だし、ぶつけたりこすったりする心配もないはずなので、クルマをギュウギュウに詰め込めるからだ。JARIによれば、駐車効率は従来比で20%向上する可能性があるという。また、自動車事故の3割は駐車場で発生しているので、自動化は事故削減にもつながる。

ただ、実用化には当然ながら、いろんなハードルがある。自動バレーパーキングの実用化に向けて動いているのは日本だけではないが、JARIとしてはまず、同システムの国際標準化に向けた手続きを進めたい考え。2021年のISO国際標準化に向け、各国と協議を重ねているところだ。

また、システムが実用化となったとしても、最初から全てのクルマが自動バレーパーキングを利用できるわけではない。まず、通信機能が備わっていないクルマはアウトだし、通信できたとしても、管制センターの指示通りに自動運転をこなせるクルマでなければ、やはり同システムの恩恵は受けられない。

JARIの考えでは、まずは同システムが求める要件を満たすクルマだけが使える専用の駐車場を実用化し、段階的に「混在型」を目指すのが現実的だそう。ただし、混在型を実現するためには、人が運転するクルマと自動運転のクルマを駐車場内でうまく交通整理する工夫が必要になるだろう。

未来の駐車場はクルマの「ハブ」になる?

自動バレーパーキングの実用化には時間が掛かりそうな雰囲気だが、その先の駐車場の在り方についてもJARIは考えをめぐらせている。JARIのITS研究部に所属する深澤竜三さんによると、未来の駐車場が目指すのはクルマのハブ、つまり、クルマにまつわるさまざまなサービスの結節点だ。

JARIが描く未来の駐車場の姿

ハブ駐車場とはどのような施設なのか。深沢さんの描写はこんな具合だ。

「自動バレーパーキングで、勝手に駐車しておいてくれるのはもちろんですが、そこが自動車整備の拠点としての役目を果たしたり、電気自動車(EV)であれば、勝手に充電しておいてくれるとか。買い物が終わる頃には充電が済んでいるというのが理想ですね。あとは、観光地であれば情報配信拠点としての機能も想定できます」

「ほかのアイデアとしては、クルマを駐車しておいたら、宅配便がトランクに届いている、といったような使い方も考えられます。その場合は、トランクを開けられるような仕組みが必要にはなりますが、届け先を1件ずつ回る必要がなくなるので、配送業者の方も楽ですよね」

未来の駐車場は、クルマにまつわるいろんな機能を提供する拠点になるかもしれない

深澤さんの話を聞いていると、おそらくハブ駐車場はホテルに1つ、ショッピングセンターに1つという具合にではなく、地域に1つ、しかも大型の施設として存在するもののように想像できた。用事で近くまで来た人も使えば近隣の住人も使うし、カーシェアやレンタカーなどのクルマも混在している大きな駐車場。そんなイメージだ。

こういう駐車場が必要かどうかについては、地域によって状況が違うだろう。コンビニエンスストアですら広大な駐車場を備える地域がある一方で、例えば銀座のように、数台しか止められないけれど、短時間で驚くべき値段になるコインパーキングが稼動している場所もある。おそらく、ハブ駐車場が必要になるのは後者の方だ。

銀座に大きなハブ駐車場を作る余地があるかどうかは別としても、クルマの駐車以外には使いみちがないという点で「デッドスペース」化している駐車場に、さまざまな機能を持たせるというJARIの構想には可能性を感じた。一般道の自動運転も実用化となれば、例えば東京オリンピックの後、有明かどこかに残された広いスペース(会場の跡地)に大きなハブ駐車場を作り、そこと銀座などの繁華街を結ぶということも、夢のようではあるが不可能ではないはずだ。

AIを活用したVTuberアプリ「GooMe」デビュー! スマホ1台で配信可能に

AIを活用したVTuberアプリ「GooMe」デビュー! スマホ1台で配信可能に

2018.11.14

バーチャルタレントのライブ配信アプリ「GooMe」

先行体験版の募集を11月13日に開始した

独自のAIによって、スマホ1台でモーションキャプチャーが可能に

最近、バーチャルYouTuber(VTuber)の動画を目にする機会が増えた。毎日とまではいかないにしても、かなりの高頻度で更新している人もいる。現実的に考えると、モーションキャプチャーセンサーやVRデバイスなどで動きをつける必要があるので、1本の動画を制作するにしても、そこそこの作業負担が発生しそうだ。

え、VTuberはあくまでVTuberであって、“中の人”なんて存在しない?

もちろんそうだ。

だが、その話はいったん置いておいて、今や一般ユーザーがバーチャルタレントとして動画を投稿できる時代。センサーなどが必要だと、個人はなかなか手を出せなくなってしまう。

そんななか、スマートフォンアプリなどの開発を手掛けるトライフォートは、11月13日、バーチャルタレントライブ配信アプリ「GooMe」の先行体験版募集を開始すると発表した。本稿では、GooMeの概要を説明するとともに、記者発表会の様子をお伝えする。

センサーなしでバーチャルアバターを思いのままに操作

GooMeは、バーチャルキャラクターの動画配信と視聴を1つのアプリで楽しめるというサービス。モーションキャプチャーのセンサーやVRデバイスといった大がかりな設備がなくても、「スマホのインカメラで撮った映像をAIがリアルタイムに解析する技術」によって、バーチャルキャラクターの表情や体の動きをiPhone1台で操作することができる。

具体的には、アプリを起動させたスマホの前でポーズを取れば、AIが画像解析を行い、自動でそのポーズのモーションデータを作成してくれるというわけだ。

視聴者は、配信動画を観て楽しむだけでなく、配信者に対してギフティングやコメントをすることができる。サービスのローンチ初期は、スタンプを送るといった簡単なギフトを想定しているが、将来的にはアバターが触れられるようにギフトを3D化する予定。例えば「ボールをバーチャルの空間内で投げ合う」といった新しい体験を提供できるようにするという。なお、ギフティング収益の一部は配信者に還元される。 

GooMeのサービスイメージ

アバターのカスタマイズでは、顔、髪型、コスチュームそれぞれ5種類のなかから選ぶことができるが、今回の先行体験版ではランダムにアバターが生成される。

トライフォート 取締役 スマートフォンアプリ事業本部 本部長の安川昌平氏は「VRMという、ドワンゴさんが提唱している統一フォーマットに対応することで、他社サービスのアバターも使えるようにするつもりです。さらに、我々は凸機能と呼んでいるのですが、同じバーチャル空間にほかの配信者が参加できるような機能も検討しています」と、今後実装予定の機能を紹介した。

トライフォート 取締役 スマートフォンアプリ事業本部 本部長の安川昌平氏

先行体験版アプリは、同社のHPで申し込み可能。配信はまだできないが、AIを活用したリアルタイムのモーションキャプチャーを体感することができる。先行体験版アプリを利用できるのは、iPhone X、iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR(iOS 11.2以上)だ。

11月下旬にリリース予定のβ版では、iOS 11.2以上のiPhone X、iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XRで配信機能を利用でき、iOS11以上のiPhone6、iPhone6plus、iPhone6S、iPhone6S plus、iPhone7、iPhone7plus、iPhone8、iPhone8plus、iPhone X、iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR、iPad Air2、iPad mini3、iPad mini4、iPad pro、iPad(5th)で視聴機能を利用できる。

安川氏は「現状はiPhoneのフェイストラッキング機能で表情をとらえているため、配信機能の対応端末はiPhone X以降です。ただし、できるだけ早くそれ以外の端末にも対応できるようにしたいと考えています」と、配信機能がiPhone X以降のみに対応している理由を説明した。

先行体験版でモーションキャプチャーを体験

発表会では、先行体験版に触れられるデモ機が用意されていた。実際にカメラの前に立ってポーズを取ったり、ウィンクしてみたりすると、スマホのなかのキャラクターはその通りに動いてくれた。しかも、目の開き具合までしっかりと再現。幅広い表現ができそうだ。

若干動きがカクカクしているように感じたが、安川氏は「現状、キャラクターの動作は30FPS(フレームレート。1秒あたりの表示静止画枚数のこと)ほどですね。ただ、正式版のリリースまでにさらなる性能向上を目指します。また、ネットワークを介さず、スマホのGPUで解析しているので、端末の性能にも大きく依存します」と、説明した。

公式バーチャルタレント「慧桜ココロ」もVTuberデビュー

今回の発表会では、GooMe公式バーチャルタレントに慧桜ココロ(あすかココロ)さんが就任することも発表された。

発表会であいさつしてくれた慧桜ココロさん

「GooMeでは、皆さんと仲良くなれるように、歌ったり踊ったりする、ライブ配信をしていきたいと考えています。また、YouTubeでは自分のことを知ってもらえるような動画を投稿していきたいですね。実はちょうどいま、YouTubeに1回目の動画をアップするところなんです。自己紹介や大好きなゲームをプレイしているのでぜひ観てください」(ココロさん)

慧桜ココロさんのデビュー動画。「よいしょー」が定番のあいさつなのだろうか

「動画をアップしてみたいものの、自分の顔を公開することに抵抗感がある……」という人も、まだまだ多いのではないだろうか。そんな人こそ、スマホだけでバーチャルキャラクターを操作して動画を配信できるGooMeで、一度バーチャルタレント体験をしてみてはいかがだろうか。