なぜキャリアはテザリングの利用にオプション料金を取るのか

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第16回

なぜキャリアはテザリングの利用にオプション料金を取るのか

2018.03.15

スマートフォンを介して他の機器をインターネットに接続する「テザリング」。auが「auピタットプラン」「auフラットプラン」などの料金プランで、そのテザリングを利用するためのオプションを有料化するとしたことが話題となっているようだ。スマートフォン単体で通信しても、テザリングで他の機器から通信しても消費するデータ通信量は同じなのに、なぜキャリアはテザリングを使わせるのに、別途料金を取るのだろうか。

キャリアにとってテザリングは“厄介者”

去る3月2日、KDDI(au)が「auピタットプラン」「auフラットプラン」、そして旧料金プランのうち、「スーパーデジラ」と呼ばれる「データ定額20」「データ定額30」において、これまでキャンペーン施策で無料となっていたテザリングオプション利用料を、4月より月額500円の有料とすることを明らかにした。この措置に対して、批判的な声が多く集まっているようだ。

テザリングとは、要するにスマートフォンなどを用いて、他の機器をインターネットに接続する機能のことで、パソコンやゲーム機などをWi-Fi経由で接続する「Wi-Fiテザリング」が良く知られている。そして当然のことながら、テザリング機能を使っても、スマートフォン上から通信をしても、消費する通信量が変わることはない。

iPhoneでは「インターネット共有」の名称で提供されているテザリング機能。スマートフォンを経由してパソコンなど他の機器をインターネットに接続する機能だ

しかも現在、各社のデータ定額サービスは、毎月支払う金額に応じて3GB、5GB、20GBといった通信量が割り当てられ、その容量を消費してデータ通信する仕組みが主流。にもかかわらず、なぜテザリングを使用するのにオプション料金を追加で支払う必要があるのか?ということに疑問を抱く人が多いことから、auの対応に批判の声が集まったといえる。

では一体なぜ、KDDIはテザリングの無料キャンペーンを終了し、有料化という措置に至ったのだろうか。それはテザリングが、キャリアにとって“非常に厄介”な存在であるためだ。

キャリアはテザリングによって意図しない機器、特にパソコンからのデータ通信が増えることを以前より強く警戒している。なぜパソコンが警戒されるのかというと、スマートフォンより利用できるアプリやサービスの自由度が高いのに加え、動画サービスの利用だけでなく、クラウドストレージを経由して大容量ファイルのやり取りをするなど、ビジネス・ホビー用途を問わず大容量データ通信をすることが多いためだ。

しかも無線のネットワークは、広域で複数のユーザーが電波を共有して通信する仕組みなので、特定のユーザーが大容量通信をすると、他のユーザーに悪影響を及ぼす可能性が高まる。テザリングによる予期しない大容量データ通信が頻発し、ネットワーク品質が大幅に落ちる、最悪の場合ネットワークがダウンしてしまうことを、キャリアは非常に恐れているわけだ。

なのであれば、「Pocket Wi-Fi」などのモバイルWi-Fiルーターも同じではないか?という疑問を抱く人もいるかもしれない。だがWi-Fiルーターは最初からパソコンなどで利用されることを前提にサービスを提供しているため、事前の備えができているだろうし、その利用者もスマートフォンほど多いわけではない。それよりも契約数がはるかに多いスマートフォンの回線を使い、パソコンで頻繁に通信することをキャリアは想定していないことから、強い警戒心を抱いているのである。

モバイル回線を用いたWi-Fiルータータイプの端末も存在するが、こちらは元々パソコンでの利用が前提となっているのに加え、スマートフォンほど契約者も多くない

大容量プランの登場が有料化に拍車をかけた

実はテザリングのサービス提供開始当初は、利用するため有料のオプションを契約する必要があった。当時はLTEのサービスが開始したばかりで、3Gによる通信が主流であり、大容量通信に耐えるインフラが整っていなかった。そうしたことから大容量通信をする可能性があるテザリング利用者から追加料金を取ることで、ユーザー間の公平性をある程度保っていたといえる。

auは2012年、 LTEによる通信サービスを開始したのを機としてテザリングオプションの提供を開始。当時は税抜きで月額500円の料金を取っていた

それゆえLTE、そしてLTE-Advancedがネットワークの主流となって以降は、テザリングオプションが実質的に無料という状況が続いていた。それをauが再び有料としたのには、最近増えている20GB、30GBといった大容量を安価に利用できるプランの存在が影響したと考えられる。

auも2016年に「スーパーデジラ」の提供を開始して以降、20GBを超える大容量のデータ定額サービスの提供に力を入れている

かつて主流だった5GB程度のプランであれば、テザリングを使用してパソコンから通信したとしても、容量をすぐ使い切ってしまうためネットワークにかかる負荷を強く意識する必要はなかった。だがそれが20GB、30GBもの容量となると、ユーザーからしてみれば完全定額制に近い環境となるため、パソコンから大容量通信する人が増えてネットワークへの負荷が増える可能性が高まる。

そこでauは、無料キャンペーン期間中に大容量プランのトラフィックの推移を見た後、最終的にテザリングの有料化という措置に踏み切ったといえそうだ。実際auがテザリングオプションを有料化したのは、20GB以上の大容量プランと、上限が20GBに設定されているauピタットプランのみ。それ以外のプランのテザリングに関して、料金は無料のままとなっている。

しかしキャリアの事情がどうあれ、同じ通信量を消費しているのに、テザリング利用のため追加料金を取られることに納得がいかない人が多いのは事実だ。そうしたユーザーの不満をすくい取り、あえてテザリングを解禁し、料金を無料にすることで顧客獲得につなげる戦略を取る事業者もある。かつてのイー・アクセス(イー・モバイル)やウィルコム、最近であれば多くのMVNOが、そうした存在といえるだろう。

特にパソコンなどを外出先に持ち運んで利用することが多い人などにとって、テザリングはとても便利で重要なサービスである。それだけに「テザリングに優しい」ことを基準にするというのも、これからのキャリア選びの1つのあり方になるといえるかもしれない。

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Googleマップが壊れた? 3月21日以降、表示がおかしい

地図のダウンロード機能でゼンリンと決裂したか?

新しい地図は機械学習で地図データ生成という指摘も

Googleマップの表示がおかしい。3月21日頃から、Googleマップの不具合を訴える声が各所で相次いでいる。道路の表示や建物の位置が正確でなかったり、地形すら間違っている場所もある。Googleマップにいったい何が起こったのか。

地図データの提供元がゼンリンではない?

Googleマップの日本地図データはこれまで、地図データで国内大手のゼンリンから提供を受けていた。両社の契約状況は公開されていないが、少なくとも不具合が発生している現在のGoogleマップ上からは、以前までは記載されていたゼンリン社の権利表記が消え、「地図データ (C)2019 Google」へと変更されている。

Googleマップからゼンリン社の権利表記が消えた

Google社は今月のはじめ、今後「数週間以内」に、日本のGoogleマップをアップデートすると予告していた。このアップデートでは、特にダウンロード可能なオフラインマップを追加することに注目が集まっていた。オフライン環境でもダウンロード済みの地図を利用できる便利な機能だが、地図データの契約上の課題があり、日本のGoogleマップでは制限されていた機能だからだ。結局、両社は契約の課題を解決できず、ゼンリンが地図データ提供から降りてしまったことが、今回の不具合の原因と見られる。

新しい地図は使い物になるのか?

現在のGoogleマップは、Googleが新規開発した自社製の地図データを利用しているようだが、いまだに不具合が報告され続けている状態状態であり、混乱が収束する目途は見えていない。

なお、この新しい地図は、航空写真で山脈の陰部分が湖になっていたり、並木の多い道路が公園になっていたりする間違いや、ほかにも交差点に面したコンビニエンスストアの駐車場が道路と語認識されていたりすることから、航空写真をもとにした機械学習や、スマホ位置情報の移動軌跡から地図データを生成しているのではないかと指摘されている。

航空写真では山の陰になっている部分が、川と湖になってしまっている
地図では鎌倉街道から大栗橋公園を抜ける道があるが、実態はただの公園広場だ。スマホ位置情報の移動実績をもとに道と認識したか?

新しい地図の仕組みや改善の見込みについては、Google側のアナウンスを待つほかないわけだが、GoogleマップはAndroidの標準地図として利用されており、影響を受けるユーザーがあまりにも多い。他の地図サービスを駆逐して大きな影響力を持っているのだから、責任も伴うはずだ。

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ペットボトルコーヒーに対抗? キリンが目指す「午後の紅茶」"仕事のお供"戦略

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「午後の紅茶」に微糖のミルクティーが登場

新CMでは無糖・微糖を中心に新しい飲用シーンを訴求

ペットボトルコーヒーに対抗? 今後の戦略は

昨年まで、ビジネスマンの仕事のお供として「ペットボトルコーヒー」に注目が集まっていたが、今年は「紅茶」が主戦場になるかもしれない。

3月26日より発売されるキリンの「キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズミルクティー」は、これまでの“ペットボトルのミルクティーは甘い”というイメージに反して、缶コーヒーでいちカテゴリを築いている「微糖」が特徴。また、同社が長らくカテゴリ内最大シェアを誇る「午後の紅茶 おいしい無糖」についても、あらたな消費イメージを打ち出す方針だ。

今春から「午後の紅茶」新CMに出演する新木優子さん、深田恭子さん、リリー・フランキーさん

ペットボトル紅茶飲料のトップブランドと言える「午後の紅茶」。この春から公開する新CMには、既存の紅茶飲料のイメージを覆す狙いが透けて見えた。

2つの軸で「紅茶」のイメージを変える

紅茶飲料のイメージと言えば、「午後の紅茶」の名前の由来となっている「アフタヌーンティー」(英国発祥の喫茶習慣)に象徴されるように、「女性の飲み物」であり、「時間的・金銭的余裕がある人の趣味」というところだろうか。それも紅茶という商品のひとつの側面だが、近年の消費者層のメインストリームではなくなっている。

今回、キリンが「午後の紅茶」新CMで打ち出したのは、大きく分けてふたつの飲用イメージだ。深田恭子さんが仕事で車を走らせ、駐車して一服するのに選んだのは微糖のミルクティー。一方、アーティスト然としたリリー・フランキーさんが飲んでいるのは無糖の紅茶。2本ともに「仕事のお供」としての訴求が挙げられる。

車を止め、「キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズミルクティー」をひとくち飲む
絵を描く合間にのどを潤すのは「午後の紅茶 おいしい無糖」

もうひとつは、おなじくリリー・フランキーさんがカレーと紅茶飲料を一緒に味わうというCM。過去には同社の無糖紅茶が「おにぎりに合う」と訴求したこともあるが、あらためて食事中の飲料として「フードペアリング」を提案する。

カレーのような香りの強い食べ物とも合わせられる点を訴求
最年少の新木優子さんは、無糖紅茶を飲むようになった自分を「大人になった」と評するCMに出演。若者への無糖紅茶訴求を担う

紅茶を、コーヒーや緑茶と並ぶカテゴリに

カフェなどでは食後の飲み物をコーヒーか紅茶から選ぶのが定番だが、ペットボトル飲料市場では状況が異なる。コーヒーに次ぐ大規模市場は緑茶飲料で、紅茶はそこから比べるとかなり小規模だ。日本全体の清涼飲料市場で見れば、そのシェアは5%以下。仕事中の飲料としてメジャーなコーヒーが14.5%、緑茶飲料が13.3%という数字を見ると、半分以下という状況となっている。

清涼飲料市場において、紅茶はコーヒー、緑茶と比べて市場が小さい

こうした市場背景を確認した上で、今後「紅茶を、コーヒーや緑茶などの無糖茶と並ぶカテゴリに成長させたい」と意欲を示したのは、午後の紅茶を担当するキリンビバレッジ マーケティング部 商品担当 部長代理の加藤麻里子氏。世界での紅茶飲料と茶葉生産量の伸び、国内紅茶市場の回復傾向を論拠に、RTD紅茶のトップブランドとして、新しい紅茶文化を創っていきたいと語った。

「午後の紅茶」ブランド全体としては、既存の定番3種は甘さを求める若年層に対して継続投資を実施。甘さから離れる20代~30代の働く女性に向け、紅茶飲料としては珍しい「微糖」の新製品「キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズミルクティー」を投入する。

午後の紅茶ブランドにおける年代別の主要商品マッピング

また、30代後半意以降の年代を健康意識や嗜好の変化から「糖離れ・無糖飲用層」と位置づけ、すでに市場で受け入れられている「午後の紅茶 おいしい無糖」の訴求強化を行っていく。

狙うはペットボトルコーヒーへの「対抗」ではなく…?

「2年前までコーヒーのCMをやっていたのにどのツラ下げて…というのはありますが」と茶化しながらも、自分のような「おじさん」にこそ紅茶は飲みやすいとコメントしたリリー・フランキーさん

製品ごとに異なる年齢層を狙って投入される新CM。「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖」「キリン 午後の紅茶 ザ・マイスターズミルクティー」のCMでは、商品をことさらには誇張しない画面作りやキャスティング、出演者の自然体な演技とは裏腹に、「コーヒーから寝返っちゃおうかな」(リリー・フランキー出演「寝返り」編)、「ラテよりこっちかな」(深田恭子出演・「裏切られた」編)など、“コーヒー飲料からの転向”を示唆するようなセリフが目立つ。

働く大人がコーヒーから紅茶に「乗り換え」することを示唆するCMは、ここ2年でワーカー向けのペットボトル飲料の拡大を牽引し、ちょうど先日同ブランドから紅茶飲料を発売したサントリーの「クラフトボス」をはじめ、昨今増えているワーカー向けのコーヒーペット飲料に対する宣戦布告にも読める。だが、加藤氏にペットボトルコーヒー飲料のヒットに紅茶で対抗する構えかどうか尋ねると、決してそうではないという。

「今やひとつのカテゴリとなっているペットボトルコーヒー飲料も、複数社から新商品を展開し、協力して棚の広さを獲得した経緯があります。現状、紅茶飲料の棚は一段程度ですが、これを各社協力して2段へと増やしていきたいです」 

オフィス需要に対して、企業とコラボレーションし飲用機会を設ける試みも

また、「仕事のお供」需要を喚起する施策として、三菱地所に対して仕事中の飲料として「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖」を提供。働き方改革推進企業とコラボレーションし、オフィスでの休息機会に手に取る飲料として配布する。今後、他の企業からオファーがあればそちらにも対応するとのこと。想定シーンに対して直接サンプリングすることで、需要の広がりを見込んでいる。

「午後の紅茶」は、日本国内の紅茶飲料としてはNo.1ブランドの地位を獲得しているだけに、紅茶飲用の文化を牽引して、先述の通りコーヒー・緑茶に並ぶ市場規模への拡大を狙っている。

昨今はスターバックスの「TEAVANA」、タリーズコーヒーの紅茶業態などが定着しており、タピオカミルクティーブームも依然続くなど、カフェ業界でも紅茶に追い風が吹いている。今後、午後の紅茶が「コーヒー党」や「緑茶党」をどれだけ引き込めるか、注目したい。

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