携帯ショップ、キャリア直営店が

知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第3回

携帯ショップ、キャリア直営店が"ほぼない"のは本当か

2017.08.24

全国津々浦々に存在する、NTTドコモの「ドコモショップ」。だが実は、NTTドコモが直接運営しているドコモショップは存在しないことをご存じだろうか。一部直営店を持つKDDI(au)やソフトバンクも、大半の店舗は自社では運営していない。キャリア自身がショップを運営していないのであれば、一体誰がショップを運営しているのだろうか。

キャリアショップの大半は"代理店"

携帯電話の大手キャリアは、全国に自社独自のショップを構えて、販売やサポートをしていることで知られている。最大手のNTTドコモは2000以上のショップを全国に構えており、携帯電話を買う時だけでなく、契約を変えたい時や端末の修理、さらには携帯電話料金の支払いなど、さまざまな対応をしてくれる。キャリアショップはユーザーにとっていざという時の頼みの綱となる、頼もしい存在なのだ。

だが実は、キャリアショップのほとんどは、キャリア自身が運営しているわけではないということはご存じだろうか。特に象徴的なのがNTTドコモで、実はNTTドコモが直接運営しているドコモショップは、1つも存在しないのである。NTTドコモが旗艦店として位置付けている「ドコモショップ丸の内店」や、関西での旗艦店となっている「ドコモショップグランフロント大阪店」も、NTTドコモが直接運営しているわけではない。

6月30日にリニューアルしたNTTドコモの旗艦店「ドコモショップ丸の内店」。だが運営しているのはNTTドコモではない

au、ソフトバンクも、直営店舗こそ持っているもののNTTドコモと傾向は同じ。auは東京・新宿にある「au SHINJUKU」などの大規模店のほか、札幌の「au SAPPORO」など中規模の直営店を合わせて8つの直営店を持つが(KDDI傘下の沖縄セルラー運営の1店舗を含む)、それ以外のauショップは直営ではない。ソフトバンクも「ソフトバンク銀座」「ソフトバンク表参道」などいくつかの直営店を持つものの、大半のソフトバンクショップはやはり直営ではない。

「ソフトバンク銀座」はソフトバンクの旗艦店の1つとして2012年にオープンした直営店だ

キャリアがショップを運営していなければ、一体誰が運営しているのか? というと、それは代理店である。キャリアと代理店契約を結んだ企業がキャリアのショップを運営しており、先のNTTドコモの店舗の場合、ドコモショップ丸の内店はNTTドコモの子会社「ドコモCS」が、ドコモショップグランフロント大阪店は「コネクシオ」という会社が、代理店として運営しているのだ。

販売代理店は元々、商社や端末メーカーの系列企業が多く展開してきたが、市場の飽和とともに商社系を中心としたM&Aによる統合を繰り返している。現在その大手となっているのは伊藤忠系のコネクシオのほか、住友商事系のティーガイア、丸紅系のMXモバイリング、そして家電量販店ノジマ系列のITXや、独立系の光通信などが挙げられる。

だがキャリアの販売代理店となっているのはこうした大手企業だけではない。地方では地場系企業が独自に代理店契約を結んで展開しているキャリアショップも多く見られ、その幅は以外と広いのだ。

代理店だけでなく直営店が必要になってきた理由

なぜ直営ではなく代理店を活用するのかといえば、やはりリスクやコストを抑えつつ、全国に販売・サポートの拠点を設ける上では、代理店に任せるスタイルを採った方が効率が良いからであろう。だからといって、キャリアは代理店に販売やサポートを任せきりにしているわけではない。

代理店が運営しているとはいえ、顧客に直接接するショップとスタッフはキャリアの“顔”でもある。スタッフの対応が悪ければ、それがそのままキャリアの評価へとつながってしまうだけに、キャリアは独自のショップスタッフ教育プログラムを用意し、さらにショップ店員の接客対応コンテストを実施するなどしてスキル向上を図るなど、ショップの運営改善には力を入れているのだ。

NTTドコモは全国の各地域を代表するショップスタッフを集め、顧客対応のスキルを競うショップスタッフの応対コンテストを毎年実施している

だが一方で、最近では代理店ではなく、キャリアの直営、あるいはキャリアの子会社が運営する「旗艦店」も多く見られるようになった。先に挙げた「ドコモショップ丸の内店」や「au SHINJUKU」、「ソフトバンク表参道」などは、そうした旗艦店の1つである。

なぜキャリアが直営、あるいはそれに近しい形で旗艦店を展開するようになったのかというと、そこには携帯電話市場自体の飽和が大きく影響している。キャリアショップにはこれまで、いかに新規顧客を獲得するか、MNPでユーザーを乗り換えさせるかが求められてきた。

だが市場環境の変化や少子高齢化によって新規加入者を大幅に増やすことが難しくなってきたことを受け、キャリアもショップのあり方を大きく変えようとしているのだ。

そうしたキャリアショップの新しいモデルケースを作るため、キャリア自身、あるいはそれに近い形でショップを運営することで、代理店の形態では取り組みにくい新たな取り組みを実施。そこで得られた成果を各代理店のショップにも反映させることによって、キャリアショップのビジネスを変えていこうとしているわけだ。

例えばauは、ショップでの待ち時間にタブレットで商品を購入できる「au WALLET Market」を展開しているが、旗艦店ではそれを一歩進めて、店頭でau WALLET Marketの商品の一部を購入できるようにするなどの取り組みを実施している。キャリアと代理店は立場こそ違えど双方がなければ成り立たない存在だけに、市場変化に応じてさまざまな形での協力関係を模索しているわけだ。

auの直営店の1つ「au SAPPORO」では、スマートフォンの購入などができるだけでなく、au WALLET Market内の商品を直接購入できるスペースも用意
プレミアム商品で「ポテチ飽き」を打開? 湖池屋が高級路線をとる理由

プレミアム商品で「ポテチ飽き」を打開? 湖池屋が高級路線をとる理由

2017.08.24

ここ数年、「プレミアム」の名称を冠した高付加価値商品が好調だ。スナックの市場でも、ポテトチップスの湖池屋が“高付加価値商品”を取り入れるべく、本格的に動き始めた。2017年9月4日にコンビニ、同18日にスーパーなどの一般チャネルで発売となる新商品に大きな期待をかけている。

湖池屋の商品群

出荷額24億円超の大ヒットシリーズに新商品

新たに発売されるのは、2017年2月に立ち上げた「KOIKEYA PRIDE POTATO」シリーズに連なる商品。「手揚食感 長崎平釜の塩」と「手揚食感 柚子香るぶどう山椒」の2種類だ。

同シリーズのコンセプトは、素材にこだわるほか、下ごしらえを含めた調理などをより丁寧に行い、理想のおいしさを追求するというもの。価格も150円前後(参考価格)と、既存の「ポテトチップス」シリーズより30円程度高い。しかし「高付加価値スナック」という狙いが当たり、インパクトのあるCMとあいまって、一時は供給が追いつかず、販売が休止となるほどの売れ行きを見せた。5月末までの5カ月間で出荷額は年間目標の20億円に達し、8月時点では24~25億円にのぼるという。

「KOIKEYA PRIDE POTATO」シリーズ。上段左が「長崎平釜の塩」、上段中央が「柚子香るぶどう山椒」だ

なお、供給不足については、販売が予測を大幅に上回ったことだけでなく、昨年8月、北海道を襲った台風の影響による、じゃがいもの大不作も背景にあった。とはいえ、そうした逆境にありながらも、高付加価値スナックに対する潜在ニーズはしっかりと確かめられたわけだ。今回は作付けを増やすなど供給体制を見直し、満を持して新商品を発売することになる。

湖池屋の佐藤章代表取締役社長は、「昨年の台風によるショックから、ポテトチップスの業界全体が、店頭の品揃えその他を見ても戻っていない。大きな課題を抱えながらも、スナック業界ではチャレンジャーである当社が、スナックの価値向上を目指す。市場を元に戻すだけでなく、高単価、本物志向という新しいニーズを狙っていく」と話す。

高付加価値化戦略の説明会に登壇した湖池屋の佐藤章代表取締役社長(左)と小池孝代表取締役会長

プレミアム商品登場の背景は

高付加価値商品を売り出す市場背景としては、ポテトチップスの平均売価が下落するとともに、売り上げも減少してきているというデータがあるという。つまり「安いだけでは売れない→ポテトチップスに飽きている消費者が少なからず存在する」とみることができる。一方、社会的には少子高齢化や所得の二極化、世帯あたり人数の減少、女性の社会進出による外食、中食市場の高まりといった変化がある。

これらを併せて考えると、食のプレミアム化、高価格化は必然だったと言える。現にチョコレートやアイスクリームなど、他のカテゴリではこうした改革が先行している。湖池屋としては、スナック業界のなかでいち早くプレミアム化を図り、中食やおつまみの市場へと参入する狙いもある。

じっくり時間をかけて揚げる「手揚食感」

プライドポテトについては、シリーズ1作目よりもさらにこだわりを強め、「手揚食感」というコンセプトを付け加えた。手作業でじっくりと丁寧に揚げられていた、創業当時のポテトチップスのような食感を目指したという。

マーケティング本部の柴田部長

湖池屋マーケティング本部の柴田大祐部長は、「普通のポテトチップスでは、揚げる前にでんぷんを落とすためにお湯で洗います。これに対してプライドポテトは、軽くサッと洗って高温で揚げる。そして今回の『手揚食感』は、洗わずに高温→低温→中温と火加減を変えながら、じっくり時間をかけて揚げます」と製造工程の違いを説明する。

実際に味わってみたところ、パリッとしていながらもっちりとした歯ごたえもあり、かむごとにじゃがいもそのものの味が感じられた。味つけも、素材をいかすため薄味に仕上げてある。ポテトチップスシリーズと食べ比べてみると、「手揚食感」のほうは、より大人のテイストといったところだろうか。

日本産100%をより強く訴求

そのほか、創業55周年を機に、ポテトチップスシリーズもリニューアルした。「日本産100%」を訴求するパッケージデザインに変えたほか、「うま塩」「サラダ」の2フレーバーをシリーズに加えている。

ポテトチップスシリーズもリニューアル

このことからもわかるように、ポテトチップス市場で湖池屋が強みとしているのが、創業以来の「日本産じゃがいも100%」へのこだわりだ。基本となるじゃがいもという素材を大切にしているからこそ、調理法やフレーバーへのこだわりもいきてくると言える。

同社の調査によると、消費者の88%が国産食材へのニーズを抱いており、さらに3分の2は、割高であっても国産を選ぶという。同社では今後、この88%にターゲットを絞り、「じゃがいも本来の素材の味を引き立てる」と「料理のようなおいしさの追求」を2本柱に、新商品を投入していく予定だ。

プライドポテトシリーズでは、11月に「インペリアルコンソメ」を発売予定。和牛、伊勢海老、国産帆立といった高級食材や香味野菜、白ワインでスープをとるなど、「ホテルのレストランのコンソメ」の味を目指すという。また他のシリーズについても、「スコーン」の高級ラインである「スゴーン」が好調。さらに、9月25日には「カラムーチョ」「すっぱムーチョ」の高級版として「カラムー超 濃厚ビーフ煮込みXO醤仕立て」「すっぱムー超 トリュフ香る帆立のカルパッチョ」を発売予定だ。

間近に迫るポテトチップス戦線の本格始動

そして、こうしたプレミアム商品のなかでも最高峰と言えるのが、10月に発売を予定している「KOIKEYA PRIDE POTATO 今金男しゃく 幻の芋とオホーツクの塩」である。全国の生産量の0.3%しか生産されず、市場では最高ランク価格で取引されているという希少なじゃがいもを使ったもので、価格は298円。150万袋の数量限定で全国販売される。

ブランドフルーツなどを取り入れたスイーツや飲料は、ここ数年、プレミアムブームとともに市場が拡大している。とはいえ、ブランド作物は生産量が限られ、供給体制を確保するのも難しい。

スナックというカテゴリで加工用の仕入れが可能となった背景には、産地との長年の交渉が垣間見える。「昨年の不作を受け、湖池屋はこれからも日本産100%を貫くという宣言を持って、産地を回った」(小池孝代表取締役会長)という。また、産地にある工場では、収穫期に工場の職員も共同で作業を行うことで、人手不足を補っているそうだ。

湖池屋では、プライドポテトシリーズで短期的に50億円、長期的には100億円の収益を目指しているという。じゃがいもの収穫が始まるこの秋からが、ポテトチップス戦線の本格始動となる。湖池屋では仕込みは万全といったところだが、今後続々と投入されるプレミアム商品の価値を、消費者に感じてもらえるかが勝負の鍵を握る。

IDC調査結果でSIMフリースマホが成長鈍化、その理由は?

IDC調査結果でSIMフリースマホが成長鈍化、その理由は?

2017.08.23

IDC Japanは23日、2017年第2四半期における国内携帯電話およびスマートフォンの出荷台数を発表した。全出荷台数は711万台で前年同期比0.3%減だった。トータルでは、ほぼ前年並みと穏やかなものだが、細かく見ると印象が少し変わる。

IDC Japan調べによると、国内携帯電話市場(従来型携帯電話とスマートフォン)において、シェアトップとなったのは265万台を出荷したアップル。ただし、前年同期比13.4%減となり、かつてのように出荷台数を増やし続け、無敵とも呼べるような状況とは変わりつつあるようだ。次点はXperia XZsほか従来モデルが好調だったソニーで138万台を出荷、3位が富士通で97万台だった。

左:2017年第2四半期 国内携帯電話出荷台数 ベンダー別シェア、右:2017年第2四半期 国内スマートフォン出荷台数 ベンダー別シェア(出典:IDC Japanプレスリリースより)

今回、最も注目すべきはSIMフリースマートフォンの数値。多数がMVNO向けとなるSIMフリーモデルは53.4万台と前年同期比16%増だった。一見好調に見えるが、構成比はスマホ市場全体の7.8%と2017年第1四半期の9%からやや後退しており、高成長が続いたこれまでと比べ成長が鈍化しつつあるとIDC Japanは指摘する。

その要因について、IDC Japanアナリスト菅原啓氏は「今までSIMフリーモデルを中心に展開していた外資系端末ベンダーにも、国内大手キャリアとの協力に基づきSIMロックありのモデルを供給する動きが見られることが理由のひとつだと思われる。また、MVNO事業者への転入者の新規端末購入率が端末ベンダーの期待を下回る状況が続いたことも、出荷の伸びが鈍化した要因と考えられる」としている。

今後もしばらくは、MVNOへ流れるユーザーが増加していくことは間違いないが、今回の調査結果を見る限り、ユーザーの動きに合わせてSIMフリースマホの出荷量が劇的に増加していくことをイメージし続けるのは、これから先に起こりうることを見誤りかねないことになる。SIMフリースマホの成長鈍化が一時的なのか、これからも続くのか。それによって、業界の動きにも変化を及ぼすだけに、次回以降の調査結果にも注目したい。