リアル店舗増加へ、テスラのセールスディレクターに聞く日本市場

リアル店舗増加へ、テスラのセールスディレクターに聞く日本市場

2018.05.02

「テスラ」という会社を知っている人は多そうだが、「テスラ車」はまだ、見かければラッキーといった感じのクルマだ。マスク氏がどんな人物かも気になるが、どんなクルマを作っているのかにも興味がある人は、リアル店舗に足を運びたいところだろう。しかし、日本にある常設店舗は東京・青山、大阪・心斎橋、愛知・名古屋の3カ所だけというのが現状だ。

そんな状況の中、テスラは横浜・みなとみらいにある商業施設「MARK IS」(マークイズ)に2018年6月10日までの期間限定ストアをオープンした。

「テスラデザインスタジオ横浜」は6月10日までの期間限定ストア。営業時間は月曜~木曜が10時~20時、金曜~日曜および祝日、祝前日が10時~21時だ。「モデルS」と「モデルX」が展示してあり、試乗も注文もできる

なぜ、みなとみらいだったのか。カントリーセールスディレクターの吉田篤司氏は「単純に、日本で2番目の都市に拠点を設けるべきと考えて」と説明したが、同社広報の話によれば、横浜で暮らす人というのは、あまり生活圏の横浜から出ないで過ごしているとの見立てもあるそう。東京で待っていても来てくれないならば、こちらから出向こうというのも出店理由の1つらしい。ちなみに、人通りの多いところにリアル店舗を出店するのはテスラが世界共通で進める戦略だそうで、商業施設への出店もグローバルで見ると特に珍しいことではないという。

話せば分かる? 日本市場の特徴とは

吉田氏は自動車メーカーや高級ファッションブランドで経験を積み、現職には2018年1月に就任したそうだが、日本におけるテスラの可能性をどう見ているのだろうか。まず市場については「例えば中国と違うのは、マーケット自体が広がっているわけではないので、シェアの奪い合いというのが特徴の1つだ。そこは戦い方次第だと思う。コンサバティブと表現されることも多いように、(日本の消費者は)ある程度は証明されていて、面倒くさくないものを選ぶ傾向にある。これはファッション業界にいたときにも思っていたことで、あらゆる消費財にもいえる」(以下、発言は吉田氏)との見方を示した。

奥のスペースではシートやルーフライニングの実物を見ることができる。ディスプレイではクルマのカラーなどを確認可能。手前に展示されているセダンが「モデルS」だ。このクルマについてテスラは、100kWhのバッテリーを積めば1回の充電で600キロ以上を走行可能とする

では、そういう日本市場でテスラ車をどうやって売るのか。

「電気自動車(EV)のあるライフスタイルというものが想像のついていない人には、選択肢にならないという側面は事実としてある。そこをきちっと伝えていけば、オーナーはどんどん増えると思う」

「謙虚に、EVのあるライフスタイルというものを、出向いていって説明して、試乗してもらう。これを繰り返すのが大事。今回の出店も『出向くこと』の一環で、こういうやり方は今後も続けていく。(日本には)冒険する消費者も一定の割合でいるが、そこはすぐに一巡してしまうので、EVが普通のクルマであり、当たり前の“クルマ生活”が送れるということを理解してくれる人を増やすのが使命」

左がSUV「モデルX」。内覧会ではこのクルマに乗っているという現役オーナーの方にも話を聞くことができた。東京は西麻布でパーソナルトレーニングジムを運営しているという同オーナーによると、「モデルX」はセルフブランディングに役立つ「ある種の仕事道具」だそう。湘南・茅ヶ崎から西麻布への通勤にクルマを使うヘビーユーザーながら、あえて挙げれば不満は「ナビの精度」くらいで、早めの充電さえ心掛ければ使用上の不便はないそうだ

ただ、日本でEVを売ることにはジレンマも感じるという。

「テスラが目指す究極の姿は持続可能なエネルギー(で成り立つ社会)だが、日本の場合は90%が化石燃料なので、そういったエネルギーをクルマに入れても、汚れたエネルギーで走ることになってしまう」

ただし、「日本の自動車保有台数は約7,000万台といわれ、これを全てEVに変えるのには長い時間を要するが、日本の大型の発電所が、火力から水力などの持続可能エネルギーに入れ替わるのは、クルマ(の入れ替わり)より早いかもしれない。そのとき(日本で持続可能エネルギーの使用が十分に普及したとき)、テスラとしても、きちっとマーケットシェアを取っておかないと、持続可能エネルギーによるクルマ生活というものに貢献できなくなってしまう」ので、ジレンマはあるものの、EV普及に取り組みたいというのが吉田氏の考えだ。

テスラは日本でシェア拡大を目指す

テスラモーターズジャパンでは今後もリアル店舗を拡充していく方針だが、「ただ増やすために増やす」のではなく、「正しい場所に正しいタイミングで」出店するのが基本だそうだ。

あなたが頼んだからやったんですよ!

企業戦士に贈る「こむぎのことば」 第3回

あなたが頼んだからやったんですよ!

2019.05.22

「こむぎこをこねたもの」が企業戦士にエールを送る連載

頼まれた仕事をやったのに怒られるという理不尽に遭遇したら……

上司から頼まれた仕事をやって、翌日持って行ったら「何でそんなことをやっているんだ」と怒られた……。まさに「これぞ理不尽」という出来事です。

自分の言ったことを忘れてしまっている人、いますよね。

仕事をやらなくて怒られるのは仕方がないですが、頼まれたことをしっかりやったのに怒られるなんて、たまったものではありません。

口頭での指示ではなく、メールやチャットなどの履歴に残るやり取りであれば、このようなストレスも軽減できるかもしれませんが、徹底するのはなかなか難しいものです。

「今日のあの人」は「昨日のあの人」と同じ人ではないかもしれない。今日頼まれたことを、明日の相手が覚えているとは限らない。諸行無常の世の中です。

どうにかして理不尽な仕打ちをしないよう変わってほしいものですが、他人をコントロールしたり、変えることができないのもまた事実。自分の言ったことを忘れて信頼関係を崩すのも、自分の発言に責任を持とうと心がけるのも、その人自身の問題です。

あなたがまずできるのは、その上司と同じことをしないように、自身の行動を正すことでしょう。

また、相手もたくさんの仕事を抱えていて、たまたま頼んだことを忘れてしまっていただけかもしれません(だからといって怒るのはやりすぎですが……)。人間、何もかも完璧にこなすことはできませんから、あなたに頼まれた仕事ですよと伝えたうえで、たまたまのミスには寛容でありたいものです。

しかし、そうは言っても「仏の顔も三度まで」。あまりに同じことが重なるようなら強く指摘したほうがいいかもしれません。

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「就活ルール廃止」で就活はどう変わる?

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2021年、「就活ルール」が廃止されます。

これにより、現行の「3月に採用広報を解禁」「6月に選考解禁」「10月に内定交付」といった取り決めがなくなり、通年採用が実施されるようになります。

――しかし、この件について「就活に混乱をもたらす」といった報道もしばしばなされています。実際、就活を控える学生からは「具体的に何が変わるのかイメージが湧かないので、どう動けばいいのかわからない」といった不安の声も聞こえてきました。

「就活ルールの廃止」は、これからの就活をどう変えるのでしょう。そして、就活を控えた学生は今、何をすべきなのでしょうか。

1万人を超える若者の転職・就職を支援してきた20代向けの転職支援サービス「20代の転職相談所」などを運営するブラッシュアップ・ジャパン 代表取締役の秋庭洋さんに、「就活ルール廃止で変化すること」について聞くと、話は「20代のキャリア論」にまで及びました。

ブラッシュアップジャパン 代表取締役の秋庭洋さん。1967年大阪生まれ。リクルート勤務、人事コンサルティング企業の役員を経て2001年9月にブラッシュアップジャパンを設立。就職・転職支援サービス「いい就職ドットコム」「20代の転職相談所」を運営しているほか、関西学院大学、武蔵野大学でキャリア開発科目の講師を務めるなど、若年層の雇用のミスマッチ解消に取り組んでいる

「就活」を取り巻く環境が急変している

――本日は「就活ルールの廃止」が、就活生にとってどのような影響をもたらすのか、ということを聞きたくて伺いました

秋庭:なかなか壮大なテーマですよね。3日間くらいかけて話してもいいですか? (笑)

――そこをなんとか1時間ほどでお願いします! 

秋庭:話せるかなぁ (笑)。

まぁ結論から先に申し上げますと、「『就活ルールの廃止』によってこれまでの就活が大きく変わるわけではない」というのが、私の考えですね。

そもそも、これまでの就活ルールを定めてきた一番の理由は、選考のスケジュールを定めることによって「採用活動の足並みを揃えること」でした。でも、実際にはその決まりを全社が必ずしも順守しているわけではなく、それはあくまで強制力のない「紳士協定」に過ぎなかったわけです。

2020年卒の就活スケジュール早見表 (出典:マイナビ2020)

――たしかにそれは、私が就活する際にも経験しました(筆者は2016年に就活を経験)。3月よりも早い段階で、大々的に「選考」とは言わずに「面談」という形で振るいに掛ける企業があったり

秋庭:正直、そういう企業は多いですよね。経団連に加盟する企業の中でもフライングするところがあり、これまでのルールはあまり意味をなしていなかったとも言えます。

そもそも、経団連に加盟している企業は1400社ほど(経団連加盟企業は2018年5月31日時点で1376社)で、日本の全企業数のほんの数パーセントにすぎないということも知っておきべきことです。

――何故今になって就活ルールが廃止されるのでしょう?

秋庭:現在の就活状況において、そのルールがあるために「不利な立場に追いやられていた企業」が多くあったことが大きな要因の1つです。

就活を取り巻く環境は、ここ数年で大きく変化しました。少子化が進み、人材の確保が難しくなっていくことに加え、人材採用のグローバル化が進んでいます。多くの企業で人手が不足し、明らかに今、就活生は「売り手市場」にいます。

そうした状況で、 “そもそも経団連に加盟していない”新興のIT企業や、外資系企業などは、ルールに縛られることなく、早期から採用活動を行うことができていたんです。いわゆる「青田買い」ですね。

一方で、経団連に加盟する企業は「ルールを順守している」フリをしなければならず、大っぴらに学生とは接触することができません。つまり、優秀な人材獲得の競争で遅れをとることになります。そこで、仕方なく「採用を前提としないインターンシップ」という建前のもと、就活前の大学生と接触せざるを得ないという、おかしな状況に陥っていたわけです。

「就活ルール廃止」の影響を受けるのは、一部の人だけ?

――具体的に、2021年からの就活はどのように変化するのでしょうか?

秋庭:そうですね。これからの新卒採用のスタイルは、スポーツにたとえるならば「プロ野球型」から「Jリーグ型」に近いものになると思います。これまで経団連が定めていたルールは、「フライングはダメ」「抜け駆けもダメ」というプロ野球のドラフト会議のソレに近いものでしたが、外資系企業の手法はJリーグのソレに近いものでした。

前者は採用対象者に接触する時期や選考の方法など、最低限のルールが存在しますが、後者はまったくの自由競争。極端なことを言えば、「学生という身分で働いてもらっても構わない」とすら考えている企業もあります。

これまでの日本における就活の現場は、両者が混在していた状態でした。それが就活ルールの撤廃で、前者のルールがなくなる、と捉えるとよいでしょう。

ただ、ここで考えるべきは、一口に「学生」「企業」と言っても、本当はもっと細分化して見ていく必要がある、ということです。あくまで今お話ししたのは、就活生全体の1~2割にあたる極めて優秀な「トップリーグ」にいる学生を取り巻く話です。またはそういう学生を是非とも採用したい、と考えている企業の話だけといえます。

実際には、残り7~8割の一般学生や一般企業においては、「就職戦線が早期にスタートして長期化する」ということ以外、さほど大きな影響はないと思います。

ただ、多くの学生が入社を希望する「人気企業」の採用活動がひと段落しないことには、就職戦線はいつまでたっても終息しません。そういう意味においては、トップリーグの採用戦線が「いつ始まるか」よりも「いつ終息するか」の方が重要なポイントだとも言えるでしょう。

しかし、たとえスタート時期が早くなっても、終息する時期はおそらくこれまでとあまり変わらないと思います。いくら通年採用といっても、卒業の直前まで人気企業が採用数を確保できずに採用活動を継続している、なんてことはまずあり得ないでしょうから。

就活は「プロ野球型」から「Jリーグ型」へ

20代をすべて「就職活動期間」にあててもいい

――ルールが廃止される2021年以降に就活を始める学生は、どういう考えを持って就活に向かうべきなのでしょう?

秋庭:まず伝えたいのは、「就活の長期化」をネガティブに捉える必要はないということです。むしろもっと「就活がもっと面白くなる」とポジティブに捉えてほしいと思っています。

当たり前のことですが、時間が増えれば、できることが増えます。現行の就活ルールでは、限られた時間の中で就職先を決める必要がありました。就活が長期化することで、例えば、インターンシップに使える時間が増えます。実際に興味がある会社で働いてみることで、そこにどういう社員がいて、どういう社風なのかを実際に自分の肌で感じることもできるでしょう。その情報を得た上で、入社するか否かを判断できるわけです。

就活の長期化は、企業と就活生のミスマッチの減少にもつながりそうです

――それでは最後に、就活を控えた学生にアドバイスをお願いします

秋庭:これは就活生に関わらず、すでに就活を終えた学生や、社会人になったばかりの方々にも共通することですが、「20代でイキナリ自分に合った仕事や職場など見つからない」という考えを持ってほしいと思います。20代全部を使って就職活動をする、そんな気持ちで行動すれば良い、というのが私の考えです。

たとえ正社員として企業に勤務していても、それは「長いインターンシップにすぎない」といった感覚で、いろんな業界・仕事・人・価値観に触れてください。

そこで感じたことを踏まえて、いよいよ30歳で社会人デビューする。その考えを持っていれば、多少の失敗があっても、「いい勉強になった」程度に捉えられます。そして、30代で軸足を確かにできる場所を見つけて、迷いなくスタートダッシュを切れたら大成功、くらいに考えるといいのではないでしょうか。

「一度入った会社でなんとか成功しないといけない」と考えると、窮屈でしょう。転職をけしかけるつもりは毛頭ありませんが、「転職は大変」「せっかく入った会社を辞めていいのか」という考えに固執しすぎる必要もありません。

「人生100年時代」という言葉もあります。たった数年でも、世の中の「働く」を取り巻く環境は大きく変わります。働き始めれば、自身の考え方も変わることでしょう。ガチガチにならず、気楽な気持ちで、「20代の就職活動」に向かって行ってもらえれば、と思います。

――ありがとうございました

「20代でイキナリ自分に合った仕事や職場など見つからない。社会人デビューは30歳からでいい」
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