マツダのクルマづくりが変わる? 鍵を握る“ラージ”と“スモール”

マツダのクルマづくりが変わる? 鍵を握る“ラージ”と“スモール”

2018.05.07

マツダの昨今のクルマづくりといえば、「一括企画」「コモンアーキテクチャー」「魂動デザイン」といった言葉で語られてきたが、これからは新たに「ラージ」と「スモール」という概念が追加となるようだ。今後、マツダのクルマは変わるのか。

新世代商品群で採用した高効率なクルマづくり

2017年度に販売台数165万台を達成したマツダ。決算会見に登壇した小飼雅道社長は、マツダが今後、200万台体制を目指していくとの方針を明言した。この規模拡大を実現するため、次世代商品群(2018年度中に発売)の新車開発では2つのアーキテクチャーを柱にするという。

2017年度の決算会見に登壇したマツダの小飼雅道社長は、マツダが次世代商品群を「ラージ」と「スモール」という2つのアーキテクチャーに分離することを明らかにした

2012年の「CX-5」から始まった新世代商品群でマツダは、一括企画のもと、コモンアーキテクチャー構想による効率の高い開発と商品化を行ってきた。

一括企画とは、数年先までの商品で求めるべき価値を事前に見極め、その上で新たに投入予定の機能や装備を全ての車種に展開できるよう、あらかじめ想定しながら新車開発を進める手法である。

これにより、先に売り出した車種に対しても、後に発売した車種で採用する新装備をマイナーチェンジ(マツダでは商品改良という言い方をする)の際に織り込み、マツダ車の全てで共通した商品価値を持たせられるようにした。例えば安全装備については、車種の上下を問わず、また発売時期の前後を問わず、常にマツダ車には同様の安全対策が施されているようにする、といった具合だ。

2017年12月に商品改良を受けて発売となった「デミオ」(画像)は安全装備が充実した

6年で40万台の成長を実現したマツダ

コモンアーキテクチャーとは、共通プラットフォームとは異なり、部品の共用ではなく、性能を共通にしていくという考え方だ。例えば排気量の大小を問わず、エンジンの燃焼向上を同じように実現するため、燃焼室の考え方を共通化する一方、採用する部品の取捨選択は排気量に応じ、個別に行うといったような設計戦略である。同じターボエンジンでも、排気量の大小によってターボチャージャーの仕様が異なることもあり得るということだ。

こうした考え方によりマツダは、年間販売台数を2011年度の125万台から、6年間で40万台増やすことに成功した。しかし、ここからさらに35万台増の200万台体制を実現するには、若干の軌道修正が必要になったということである。それが、「ラージ」と「スモール」の表現になっている。

巨大な市場で売れる大きなクルマ

「ラージ」と「スモール」を端的に言えば、米国・中国市場向けと、日本を含むそれ以外の市場向けということができるだろう。もちろん、「CX-5」などは重なる車種になるかもしれない。

スモール商品群は「CX-3」や「新型CX」(トヨタとの米国合弁工場で作る新しいクルマ)などを中心に120万台規模、ラージ商品群は「CX-5」を中心に「CX-8」「CX-9」を加えて80万台規模、合わせて200万台規模を目指すとマツダは説明する

世界の自動車メーカーが主力と考える米国は、極端にいえば大きなクルマしか売れない市場だ。その結果、世界の自動車メーカーから発売される新車は年々、車体寸法が大きくなっている。例えばドイツ車のアウディでは、「A4」と「A6」の見分けが単独ではつきにくいほどだ。

車体が大きくなれば取り回しが悪くなり、車庫の出し入れに手間がかかり、日本市場では使いにくくなる。一方、道幅が日本と同じくらい狭い欧州では、路上駐車が当たり前なので、車庫入れに手間取るといった不便はそこまで感じないのかもしれない。

日本で軽自動車の人気が高まり、市場の40%近くを占めるようになったのは、単に税金や高速道路料金が安いといった経済性だけが理由なのではない。現在の軽自動車規格の車体寸法が、1960年代の初代トヨタ「カローラ」や日産「サニー」に近く、国内の道路・交通事情に最適なサイズだからである。経済性重視だけが理由であるなら、200万円近い軽自動車が売れるはずもない。

米・中と国内の二正面作戦に限界か

北米を強化し、同時に中国にも力を注ぐ上で、より大柄な車種開発に力を注がなければならないと考えたとき、国内市場も視野に入れながらのコモンアーキテクチャーでは、なかなか開発が難しいだろう。それは単に、車体の大小だけの問題ではない。大型化によって生ずる重量増に対し、環境性能(燃費)と動力性能をどのように両立していくかという面でも、1つの理想的な構想から目標を達成していくことはチャレンジングであるはずだ。

コモンアーキテクチャーで大小さまざまなクルマを作り分けてきたマツダだが、200万台体制を目指すには2つのアーキテクチャーが必要と判断したのだろうか

一気にクルマの電動化を進め、例えば全車種を電気自動車(EV)にしていくなら、コモンアーキテクチャーでも対応可能かもしれない。だが、マツダは将来的な電動化を視野に入れながら、世界初のHCCI(予混合圧縮着火)技術を実用化し、今年の発売を予定する「SKYACTIV‐X」など、エンジン主体の動力を優先する。したがって、仕向け市場に応じた、すなわち車体の大小に応じた動力のすみ分けも必須となる。

スモールとラージの区別は、プラットフォームを含む車体の大小だけでなく、パワートレーン(動力)の選択においても必要になるだろう。

目指すはプレミアムブランドの仲間入り?

次に考えてみたいのは、125万台規模から165万台へと6年間で成長を遂げたマツダが、なぜ200万台を目指すのかという点だ。それはまさしく、プレミアムブランドとしての地位の確立にあるはずだ。プレミアムブランドになることは、単に高級車メーカーへと脱皮を図ることではない。質の高い個性的なメーカーとしての存在感を高め、高価格帯でのバリュー・フォー・マネーを実現することである。そこに値引きなしの販売という考えも含まれる。

東京・碑文谷にあるマツダの次世代ブランド店舗

日本では、メルセデス・ベンツやBMWなどとトヨタが同列に考えられがちだが、実は販売台数で1,000万台級のトヨタやフォルクスワーゲン(VW)、ルノー・日産・三菱連合に対し、メルセデス・ベンツもBMWも、またアウディも200万台程度の規模でしかない。なおかつ、グループとしてではなく、メルセデス・ベンツやBMWといった個別ブランドで見た場合の販売台数は180万台前後にとどまる。

200万台前後の規模の強みは、クルマづくりの方向性を明確にし、確固たるブランドの姿を強めることができるところにある。メルセデス・ベンツは「最善か無か」という哲学でクルマづくりを行い、BMWは「駆けぬける歓び」、アウディは「技術による先進」だ。また、国内でメルセデス・ベンツやBMWと比べられるスウェーデンのボルボは、わずか60万台という規模でしかない。

日本のメーカーでいえば、マツダやスバルのようなメーカーの方が、ブランドの姿を1つの方向に定めやすいといえる。

日本でいえばマツダは、ブランドとしての統一感を追い求めやすい規模のメーカーといえるだろう

マツダファン以外に高付加価値商品を訴求できるか

BMWが200万台を目指した際、彼らは「ブランドの方向性、“らしさ”を将来的に保つには、それくらいの規模が必要だ」といった。そして、MINIやロールスロイスを含むグループで200万台を達成し、2016年に100周年を迎えた。

マツダは、2020年に創業100周年を迎える。その先の2024年に200万台メーカーを目指そうとすることは、社内的にも節目として理解しやすいだろう。

だが、なぜ200万台を目指すかについて、消費者へ十分な意義が通じてこその数値ではないか。念願の北米にトヨタとともに生産工場を持つことができて、その工場に40万台の生産能力があるといっても、消費者が買ってくれなければ無意味である。

200万台規模となれば、既納客とは別の消費者にもマツダ車を買う意味を感じてもらう必要がある。ただしそれは、良品安価の方向ではない。

アウディの年次記者会見で感じたこと

プレミアムブランドの在り方を考える上で、6年前、アウディの年次記者会見に出席したときのことを振り返ってみたい。決算報告やその年の目標などを発表する場である年次会見だが、アウディは前日に最新のクルマに試乗する機会を設け、その晩には前夜祭を開催。翌日に会見を行った。

試乗会では、高速域からのフルブレーキングや、簡易スラロームコースで操縦安定性を確認する運転体験などが用意され、その場で技術者と懇談することもできた。晩餐会では、ル・マン24時間レースに出場するその年のレーシングマシンが飾られ、出場ドライバーと開発責任者が同席して記者の質問に答えた。ホテルと記者会見場の往復には広報車を借りられた。

「技術による先進」をスローガンにするアウディが、最新の市販車の性能を実体験させ、将来技術が盛り込まれたレーシングカーを記者に見せたことは、翌日の決算報告とその先へ向けた経営指針に現実味を与えた。

アウディは年次記者会見の出席者に対し、自らの商品、技術を存分に見せつけた(画像は2018年2月の日本自動車輸入組合試乗会で撮影したアウディ「R8 Spyder」)

当時、対前年比19パーセント以上の伸びを示したアウディも、当時の年間販売台数はわずか130万台であり、今日のマツダより少ない。

マツダはブランドメッセージの浸透に注力すべき

マツダが6年後の2024年に200万台を目指すということは、メルセデス・ベンツやBMW、アウディと規模で並ぶメーカーになることを意味する。だとすれば、それらと競合してなお、マツダを消費者に選んでもらえる価値、ブランド力を持っている必要があるのではないだろうか。いや、今日ですら、マツダは4~5年前のドイツプレミアムブランド各社の販売台数に達しているのである。

そのために、マツダの企業メッセージである「Zoom-Zoom」や「Be a Driver」を実感できる催しが、たとえ経済媒体に対してでも、決算発表会に合わせて行うべきだったのではないだろうか。もっといえば、それくらいの広報予算を持たなければ、ドイツ御三家と国内外で競うことは難しいだろう。実際、アウディの年次記者会見に私は日本から招待されたのである。

プレミアムブランドも味わった規模拡大の蹉跌

200万台という数字だけが先行し、それに合わせるようにクルマを投入するようになれば、それも危険だ。なぜなら、ドイツメーカーが200万台を目指すために車種を増やした際、新車の仕上がりが車種によってバラつき、ことに新登場の車種においては、完成度が未熟な面が散見されたからである。同様のことがマツダでも起こる可能性はある。

それでも、ドイツのプレミアムブランド各社が販売台数を落ち込ませずに済んだのは、確固たる企業メッセージに裏付けされたブランド力が市場に浸透していたからだ。そのために長い年月を要している。

ドイツのプレミアムブランドも数を追いつつ完成度の高いクルマを作るのにはてこずった(画像は2018年2月の日本自動車輸入組合試乗会で撮影したBMW「M760Li xDrive」)

働き方改革で、仕事の効率化が求められる昨今だが、ものづくりの領域は試行錯誤の繰り返しであり、失敗も成功のための貴重な経験の下地になる。だが、失敗の修正には時間と手間が必要で、仕事の効率化とは逆の向きにある。かといって、従業員の数を急に増やせるわけでもない。

失敗を減らし、効率よく新車開発を行うにはコンピュータシミュレーションを多用せざるを得ず、結果、性能確認のための実走行試験は開発の後ろの工程へと回される。万一そこで不具合が生じても、後戻りはできない。そして不十分な製品が新車として売り出されることが起こりかねないのである。それでは結局、ブランドの印象を悪化させかねない。

ホンダは規模を追い求めて失敗した。つまり、数を前面に打ち出すことには危険を伴うのだ。マツダが数を主張するのであれば、その反作用にも眼を向けておくべきだろう。

ブランド強化に数字がついてくる姿が理想

アウディは、2011年に「アーバン・フューチャー・イニシアティブ・サミット」を開催し、2030年のクルマの姿を模索し始めた。そして、プレミアムブランドとしてクルマを存続させる方法を今も考え続けている。そのサミットに参加した話を当時、マツダの金井誠太副社長(現会長)に伝えると、「今のマツダでは2020年を考えるのがようやっとだ」との答えであった。だが、200万台体制を目指す今であれば、もう考え始めていなければならないはずだ。

2030年を見据えた技術開発の長期ビジョンでは、内燃機関を磨きこんでいく姿勢を示しているマツダ。この方針とブランド強化がどのように結びつくのかに注目したい(画像はマツダ「CX-5」)

電動化や自動運転と、「Zoom-Zoom」や「Be a Driver」がどう結びつくのか。以前、マツダの藤原清志専務にインタビュー(電動化について自動運転について)した際にヒントが語られたが、それが消費者の腑に落ちるようにする活動が必要ではないだろうか。

2024年に200万台を目指すと表明するより先に、マツダが宣言すべきはブランドを一層強化する商品の方向性であったのかもしれない。結果として、あとから数(販売台数)がついてきたという道を同社には歩んでほしいと願う。

「選択と集中」が進みすぎた、日本の科学技術への投資

藤田朋宏の必殺仕分け人 第1回

「選択と集中」が進みすぎた、日本の科学技術への投資

2018.11.15

ちとせグループCEOの藤田朋宏氏による新連載

巷を賑わす”ヘンな出来事”の問題点を、独自の解釈で洗い出す!

第1回は、「日本の科学技術投資」について

バイオベンチャー企業群「ちとせグループ」のCEOを務める藤田朋宏氏による新連載。“手段と目的の違い”によって生じた「ヘンな出来事」の問題点を、独自の視点で語ります。第1回は、「日本の科学技術投資」について。日本の科学技術への投資の問題点とはいったい何なのでしょう?

才能と“伸びしろ”に投資する、日本サッカー協会

先日、クアラルンプールに出張したときのこと。宿泊先のホテルが偶然にもサッカーの日本代表と同じだった。「日本代表」と言っても、同じホテルに泊まっていたのは本田や長友ではなく、U-16アジア選手権に参加している若い選手たち。

そこで彼らを見ていて、ふと考えた。日本サッカー協会の「選手への投資」は、実は凄く効率がいいのではないか。どうしてそう思ったのか、順を追って説明したい。

ホテルに置いてあったU-16アジア選手権のバナー

チェックインを済ませ、「部屋の準備があるから、ちょっとだけそこで待っていて」と指示するホテルマンに従い、ひとりロビーに放置されている間、何となしに選手の情報を調べてみた。それから一時間半。23名の選手一人ひとりの顔だけでなく、利き足まで覚えるくらいの時間が経っても、僕はまだロビーで放っておかれたままだった。まぁ、東南アジアではよくあることなので、腹は立たなかった。

ところで、「過去のU-16日本代表がその後、何度も日本代表に選ばれる割合はどれほどだろうか」と疑問に感じ、調べてみたところ、各年20数名の代表選手のうち、現役で活躍している選手は約1人であることが分かった。確かに16歳の段階では身体の発達に差があるし、試合で活躍できるかは運の要素も絡む。コーチとの相性やケガの問題もあるだろう。

そうは言っても、16歳の時点で日本代表に選ばれるだけのポテンシャルを持つ選手のうち、その数%しか将来も活躍できる選手がいない、という事実には驚いた。実際、長谷部、本田、岡崎、長友……など、この10年で活躍している選手たちの多くは、16歳時点ではそこまで期待されていなかった選手ばかりだ。

ではなぜ、そういった選手が後に日の目を浴びられたかというと、それは彼らにも「チャンス」を与えられていたからだろう。日本サッカー協会は、16歳時点で選抜したトップ選手だけに集中投資するだけではなく、同年代の他の有望選手にもしっかりとチャンスを与え続けられるような仕組みをつくれたのだと思う。

際立って目立つ選手だけではなく、将来の伸びしろがありえる選手にも、最低限のチャンスは回ってくることで、未来のトップ選手の育成が図れる。そうやって日本サッカー協会はこれまで、世界に通用するような選手を輩出してきた。

「科学技術に投資せよ」ではなく、予算配分の再考を

前置きが長くなってしまったが、ここから本題に入りたい。

先日、京都大学特別教授の本庶佑先生がノーベル賞を受賞したというニュースが流れた。「自分がバイオテクノロジー業界で働く人間だから」というのは関係なく、本庶先生と周りのチームの方々の長年にわたる科学に対する貢献が認められたこと、その事実に接した関係者の気持ちを想像すると、とても嬉しい気持ちになった。

ノーベル賞メダル(レプリカ)

 

近年、日本人のノーベル賞受賞が続いている。彼らのような日本の科学業界の仕組みをよくわかった方々は、これまで数多くのご苦労をされてきたことだろう。しかし、1つ残念なこともある。能力はもちろん、人格的にも優れたそういった先生方が、ノーベル賞受賞のタイミングでマスコミに発表する一世一代のコメントが「日本国の科学技術投資、科学技術教育のあり方についての憂い」であることだ。

僭越ながら、先生たちのコメントを解釈すると、よくニュースで取り上げられるような「科学技術にもっとお金を使え」ということではなく、その先にある「国家予算の配分」についての指摘をしていると認識している。

誰がなんと言おうと、日本の科学技術投資の選択と集中は年々進んでしまっているのが現状だ。しかし、先生方のいうような「選択と集中が進みすぎている」という指摘に対して、「日本にはもうお金がないのだから科学技術にばかり投資できない」と答えがずれてしまっている。

これこそが、日本の科学技術投資における問題ではないだろうか。

日本にはびこる「選択と集中こそが正解だよ病」

随分前からずっと不思議なのだが、そもそも「選択と集中こそが正解である」なんて、誰がいい出したのだろう。「選択と集中」の戦略で物事をうまく切り抜けられるようなことは、本当に生きるか死ぬか、背水の陣を敷いている時くらいだと思うのだ。

今の日本の「選択と集中こそが正解だよ病」はなかなか根深く、そもそもの目的を実現することよりも「選択と集中」を行うことそのものが目的になっているんじゃないかと感じることが多い。

今の日本で行われている多くの意思決定の場面で、サッカーの例で例えると、U-16日本代表を選んだ人のメンツを潰さないということが、強い日本代表をつくることよりも優先されてしまっているように思う。

そのため、16歳の時点で選んだ選手だけに集中投資し、16歳の段階で選ばれなかった他の選手のポテンシャルに賭けることもしないというような「選択と集中が正解である」という間違えた進め方で意思決定が行われているようなことが多いように感じる。

サッカー選手の育成でも、科学技術の投資でも初期の段階で選抜してそこだけに集中投資するという戦略を繰り返せば繰り返すほど、全体としての力は落ちる一方になるのではないか。歴代のノーベル賞受賞者の先生方も、そういうことを言いたかったのではないかと思う。

手段であるはずの「選択と集中」が、目的となっている?

私は、「16歳の段階で、将来素晴らしいサッカー選手になる人物を見分けられる」なんて言葉は、伸びしろのある選手に対しておこがましいと感じる。これは科学技術の研究にも同じことが言える。「その研究が将来素晴らしい成果を残すかどうか見分けられる」なんて言葉は、科学者に対しておこがましい。

もっと言ってしまえば、どの研究が将来化けるかの判断は、16歳のサッカー選手の成長を言い当てることより遥かに難しいだろう。なぜならば、サッカーという競技のルール自体は変わらないが、科学と言う競技はルール自体を決めているので、科学研究の将来性をあらかじめ予測するのは16歳のサッカー選手の将来性を予測するより難しいためだ。

そんな中、日本サッカー協会が幅広い底上げに力を入れ、紆余曲折も有りながらも右肩上がりの成長を維持できているにも関わらず、日本の科学技術投資は過剰な「選択と集中」を強めるが故に、科学技術力の相対的な低下を招いているように感じる。

その差はいったい何か? これは1つの仮説でしかないが、日本サッカー協会の強さの秘訣は、会長の独断で物事を決められる側面が強い組織であるために「目的」がハッキリしている点にあるのではないだろうか。

その一方で、日本の科学技術投資のような“数多くの人の善意の組み合わせの上になり立っている意思決定機構”では「選択と集中を進めることが正解である」という、本来手段の一つである価値観が「目的」となってしまっているように感じる。

本来考えるべきは、「日本の科学技術をどうするべきか」ということであるにも関わらず、その手段と目的が逆転しまっているのではないだろうか、と思うのだ。

音楽特化の「YouTube」が日本上陸! AIでレコメンド

音楽特化の「YouTube」が日本上陸! AIでレコメンド

2018.11.14

音楽に特化した「YouTube Music」が日本でスタート

有料会員になれば、広告なし再生やオフライン再生が可能

YouTube Premiumでは、オリジナルコンテンツの配信も開始

仕事や作業をする際、周りのノイズをカットして集中するために、音楽を聴くという人は多いだろう。わかる。よくわかる。フロアが騒がしいと作業に全く集中できない。周りで仕事している人がいるということがわからないのだろうか、と疑問に思うが、まぁそれは置いておいて、パソコンで作業する場合、手軽に好きな音楽を聴けることから、YouTubeで音楽を聴くという人も多いのではないだろうか。

そんなYouTubeユーザーに朗報である。11月14日、Googleは音楽に特化したストリーミング再生サービス「YouTube Music」を日本でローンチすると発表したのだ。

好みやシーンに応じて楽曲をレコメンド

YouTube Musicは、音楽再生に特化したアプリ。YouTubeにある公式の曲やプレイリスト、歌ってみた、弾いてみたなど、さまざまな音楽動画を視聴することができる。

また、機械学習が活用されているのも特徴の1つだ。視聴履歴などからユーザーの好みを把握するだけでなく、「いつどこで何をしているのか」を類推して、シーンに合わせた楽曲をレコメンド。家でリラックスしているときにお勧めの曲や、仕事中にお勧めの曲などを、自動でピックアップしてくれるという。

さらに、あいまいなカタカナ発音で洋楽を検索したり、CMタイアップ曲などから検索したりすることも可能で、聴きたい曲をスムーズに探すことができそうだ。

サービスの発表会において、YouTube 音楽部門 プロダクトマネージメント責任者のT.ジェイ ファウラ氏は「オーディエンスに着目した結果、今出ているアプリでは満足できていない層があることがわかり、そのユーザーに音楽サービスを届けようとこのサービスをスタートしました。YouTube Musicは、ユーザーの利用シーンや好みに合わせた曲を、YouTubeにある膨大なミュージックカタログからレコメンドするユニークさを持っています」と、サービスの魅力を強調した。

YouTube 音楽部門 プロダクトマネージメント責任者のT.ジェイ ファウラ氏

無料でも利用できるが、有料のYouTube Music Premiumに登録すると、「広告なし再生」「バックグラウンド再生」「オフライン再生」などが可能になる。料金はWeb/Androidが月額980円で、iOSが月額1280円(ともに税込み)だ。

YouTube 日本音楽ビジネス開発統括担当の鬼頭武也氏は「日本ユーザーの方は通勤通学などで音楽を聴くことが多いと思います。オフライン再生機能では、前日の夜に自宅のWi-Fiで翌日聴くべき曲を自動で更新し、通信なしで聴けるようになります。データの通信量などを気にする必要もないので、非常に便利な機能だと思います」と、オフライン再生のメリットを訴求した。

なお、同サービスには著作権管理システムが働いており、YouTubeと同様に適切な権利コントロールが可能だという。

YouTube 日本音楽ビジネス開発統括担当の鬼頭武也氏

「YouTube Originals」が日本でも始動

また今回、「YouTube Premium」という新しい有料プランもスタートする。料金はWeb/Androidだと月額1180円で、iOSだと月額1550円(ともに税込み)だ。YouTube Music Premiumの機能に加えて、YouTubeでも「広告なし再生」「バックグラウンド再生」「オフライン再生」機能が使えるようになる。

さらに、YouTube Premiumの会員は、12月から日本でも配信される予定のYouTubeオリジナルコンテンツ「YouTube Originals」を視聴することも可能だ。すでに世界30カ国でコンテンツを展開しているが、このたび、日本でも制作がスタート。SEKAI NO OWARIとMARVLEがコラボしたミュージックビデオ制作の裏側に迫るドキュメンタリー「Re:IMAGINE」、YouTuberのはじめしゃちょーが主演する連続ドラマ「The Fake Show」、YouTubeで人気のクリエイターが手がけた「隙間男:Stalking Vampire」の3つだ。

「YouTube Music Premium」と「YouTube Premium」で利用可能な機能
日本で制作される「YouTube Originals」のコンテンツ

発表会には「The Fake Show」に主演する、YouTuberのはじめしゃちょーが駆けつけた。

はじめしゃちょー

「今回僕が出演するのは、今までなかったYouTuberをテーマにしたドラマ。アカウント乗っ取りや炎上など、問題に直面しながらも夢に向かって進んでいく姿が描かれているので、僕の動画を見たことない人にも見てほしいですね」と動画の紹介をするとともに、YouTube Musicについて「普段、広く浅く、さまざまな音楽を聴くので、非常に楽しみなサービスです。ぜひ使ってみたいと思います」と期待を述べた。

なお、YouTube Musicは「Google Home」「Google Home Mini」にも対応予定。そのほか、現在「Google Play Music」を利用しているユーザーは、追加料金なしで移行することができるという。