マツダのクルマづくりが変わる? 鍵を握る“ラージ”と“スモール”

マツダのクルマづくりが変わる? 鍵を握る“ラージ”と“スモール”

2018.05.07

マツダの昨今のクルマづくりといえば、「一括企画」「コモンアーキテクチャー」「魂動デザイン」といった言葉で語られてきたが、これからは新たに「ラージ」と「スモール」という概念が追加となるようだ。今後、マツダのクルマは変わるのか。

新世代商品群で採用した高効率なクルマづくり

2017年度に販売台数165万台を達成したマツダ。決算会見に登壇した小飼雅道社長は、マツダが今後、200万台体制を目指していくとの方針を明言した。この規模拡大を実現するため、次世代商品群(2018年度中に発売)の新車開発では2つのアーキテクチャーを柱にするという。

2017年度の決算会見に登壇したマツダの小飼雅道社長は、マツダが次世代商品群を「ラージ」と「スモール」という2つのアーキテクチャーに分離することを明らかにした

2012年の「CX-5」から始まった新世代商品群でマツダは、一括企画のもと、コモンアーキテクチャー構想による効率の高い開発と商品化を行ってきた。

一括企画とは、数年先までの商品で求めるべき価値を事前に見極め、その上で新たに投入予定の機能や装備を全ての車種に展開できるよう、あらかじめ想定しながら新車開発を進める手法である。

これにより、先に売り出した車種に対しても、後に発売した車種で採用する新装備をマイナーチェンジ(マツダでは商品改良という言い方をする)の際に織り込み、マツダ車の全てで共通した商品価値を持たせられるようにした。例えば安全装備については、車種の上下を問わず、また発売時期の前後を問わず、常にマツダ車には同様の安全対策が施されているようにする、といった具合だ。

2017年12月に商品改良を受けて発売となった「デミオ」(画像)は安全装備が充実した

6年で40万台の成長を実現したマツダ

コモンアーキテクチャーとは、共通プラットフォームとは異なり、部品の共用ではなく、性能を共通にしていくという考え方だ。例えば排気量の大小を問わず、エンジンの燃焼向上を同じように実現するため、燃焼室の考え方を共通化する一方、採用する部品の取捨選択は排気量に応じ、個別に行うといったような設計戦略である。同じターボエンジンでも、排気量の大小によってターボチャージャーの仕様が異なることもあり得るということだ。

こうした考え方によりマツダは、年間販売台数を2011年度の125万台から、6年間で40万台増やすことに成功した。しかし、ここからさらに35万台増の200万台体制を実現するには、若干の軌道修正が必要になったということである。それが、「ラージ」と「スモール」の表現になっている。

巨大な市場で売れる大きなクルマ

「ラージ」と「スモール」を端的に言えば、米国・中国市場向けと、日本を含むそれ以外の市場向けということができるだろう。もちろん、「CX-5」などは重なる車種になるかもしれない。

スモール商品群は「CX-3」や「新型CX」(トヨタとの米国合弁工場で作る新しいクルマ)などを中心に120万台規模、ラージ商品群は「CX-5」を中心に「CX-8」「CX-9」を加えて80万台規模、合わせて200万台規模を目指すとマツダは説明する

世界の自動車メーカーが主力と考える米国は、極端にいえば大きなクルマしか売れない市場だ。その結果、世界の自動車メーカーから発売される新車は年々、車体寸法が大きくなっている。例えばドイツ車のアウディでは、「A4」と「A6」の見分けが単独ではつきにくいほどだ。

車体が大きくなれば取り回しが悪くなり、車庫の出し入れに手間がかかり、日本市場では使いにくくなる。一方、道幅が日本と同じくらい狭い欧州では、路上駐車が当たり前なので、車庫入れに手間取るといった不便はそこまで感じないのかもしれない。

日本で軽自動車の人気が高まり、市場の40%近くを占めるようになったのは、単に税金や高速道路料金が安いといった経済性だけが理由なのではない。現在の軽自動車規格の車体寸法が、1960年代の初代トヨタ「カローラ」や日産「サニー」に近く、国内の道路・交通事情に最適なサイズだからである。経済性重視だけが理由であるなら、200万円近い軽自動車が売れるはずもない。

米・中と国内の二正面作戦に限界か

北米を強化し、同時に中国にも力を注ぐ上で、より大柄な車種開発に力を注がなければならないと考えたとき、国内市場も視野に入れながらのコモンアーキテクチャーでは、なかなか開発が難しいだろう。それは単に、車体の大小だけの問題ではない。大型化によって生ずる重量増に対し、環境性能(燃費)と動力性能をどのように両立していくかという面でも、1つの理想的な構想から目標を達成していくことはチャレンジングであるはずだ。

コモンアーキテクチャーで大小さまざまなクルマを作り分けてきたマツダだが、200万台体制を目指すには2つのアーキテクチャーが必要と判断したのだろうか

一気にクルマの電動化を進め、例えば全車種を電気自動車(EV)にしていくなら、コモンアーキテクチャーでも対応可能かもしれない。だが、マツダは将来的な電動化を視野に入れながら、世界初のHCCI(予混合圧縮着火)技術を実用化し、今年の発売を予定する「SKYACTIV‐X」など、エンジン主体の動力を優先する。したがって、仕向け市場に応じた、すなわち車体の大小に応じた動力のすみ分けも必須となる。

スモールとラージの区別は、プラットフォームを含む車体の大小だけでなく、パワートレーン(動力)の選択においても必要になるだろう。

目指すはプレミアムブランドの仲間入り?

次に考えてみたいのは、125万台規模から165万台へと6年間で成長を遂げたマツダが、なぜ200万台を目指すのかという点だ。それはまさしく、プレミアムブランドとしての地位の確立にあるはずだ。プレミアムブランドになることは、単に高級車メーカーへと脱皮を図ることではない。質の高い個性的なメーカーとしての存在感を高め、高価格帯でのバリュー・フォー・マネーを実現することである。そこに値引きなしの販売という考えも含まれる。

東京・碑文谷にあるマツダの次世代ブランド店舗

日本では、メルセデス・ベンツやBMWなどとトヨタが同列に考えられがちだが、実は販売台数で1,000万台級のトヨタやフォルクスワーゲン(VW)、ルノー・日産・三菱連合に対し、メルセデス・ベンツもBMWも、またアウディも200万台程度の規模でしかない。なおかつ、グループとしてではなく、メルセデス・ベンツやBMWといった個別ブランドで見た場合の販売台数は180万台前後にとどまる。

200万台前後の規模の強みは、クルマづくりの方向性を明確にし、確固たるブランドの姿を強めることができるところにある。メルセデス・ベンツは「最善か無か」という哲学でクルマづくりを行い、BMWは「駆けぬける歓び」、アウディは「技術による先進」だ。また、国内でメルセデス・ベンツやBMWと比べられるスウェーデンのボルボは、わずか60万台という規模でしかない。

日本のメーカーでいえば、マツダやスバルのようなメーカーの方が、ブランドの姿を1つの方向に定めやすいといえる。

日本でいえばマツダは、ブランドとしての統一感を追い求めやすい規模のメーカーといえるだろう

マツダファン以外に高付加価値商品を訴求できるか

BMWが200万台を目指した際、彼らは「ブランドの方向性、“らしさ”を将来的に保つには、それくらいの規模が必要だ」といった。そして、MINIやロールスロイスを含むグループで200万台を達成し、2016年に100周年を迎えた。

マツダは、2020年に創業100周年を迎える。その先の2024年に200万台メーカーを目指そうとすることは、社内的にも節目として理解しやすいだろう。

だが、なぜ200万台を目指すかについて、消費者へ十分な意義が通じてこその数値ではないか。念願の北米にトヨタとともに生産工場を持つことができて、その工場に40万台の生産能力があるといっても、消費者が買ってくれなければ無意味である。

200万台規模となれば、既納客とは別の消費者にもマツダ車を買う意味を感じてもらう必要がある。ただしそれは、良品安価の方向ではない。

アウディの年次記者会見で感じたこと

プレミアムブランドの在り方を考える上で、6年前、アウディの年次記者会見に出席したときのことを振り返ってみたい。決算報告やその年の目標などを発表する場である年次会見だが、アウディは前日に最新のクルマに試乗する機会を設け、その晩には前夜祭を開催。翌日に会見を行った。

試乗会では、高速域からのフルブレーキングや、簡易スラロームコースで操縦安定性を確認する運転体験などが用意され、その場で技術者と懇談することもできた。晩餐会では、ル・マン24時間レースに出場するその年のレーシングマシンが飾られ、出場ドライバーと開発責任者が同席して記者の質問に答えた。ホテルと記者会見場の往復には広報車を借りられた。

「技術による先進」をスローガンにするアウディが、最新の市販車の性能を実体験させ、将来技術が盛り込まれたレーシングカーを記者に見せたことは、翌日の決算報告とその先へ向けた経営指針に現実味を与えた。

アウディは年次記者会見の出席者に対し、自らの商品、技術を存分に見せつけた(画像は2018年2月の日本自動車輸入組合試乗会で撮影したアウディ「R8 Spyder」)

当時、対前年比19パーセント以上の伸びを示したアウディも、当時の年間販売台数はわずか130万台であり、今日のマツダより少ない。

マツダはブランドメッセージの浸透に注力すべき

マツダが6年後の2024年に200万台を目指すということは、メルセデス・ベンツやBMW、アウディと規模で並ぶメーカーになることを意味する。だとすれば、それらと競合してなお、マツダを消費者に選んでもらえる価値、ブランド力を持っている必要があるのではないだろうか。いや、今日ですら、マツダは4~5年前のドイツプレミアムブランド各社の販売台数に達しているのである。

そのために、マツダの企業メッセージである「Zoom-Zoom」や「Be a Driver」を実感できる催しが、たとえ経済媒体に対してでも、決算発表会に合わせて行うべきだったのではないだろうか。もっといえば、それくらいの広報予算を持たなければ、ドイツ御三家と国内外で競うことは難しいだろう。実際、アウディの年次記者会見に私は日本から招待されたのである。

プレミアムブランドも味わった規模拡大の蹉跌

200万台という数字だけが先行し、それに合わせるようにクルマを投入するようになれば、それも危険だ。なぜなら、ドイツメーカーが200万台を目指すために車種を増やした際、新車の仕上がりが車種によってバラつき、ことに新登場の車種においては、完成度が未熟な面が散見されたからである。同様のことがマツダでも起こる可能性はある。

それでも、ドイツのプレミアムブランド各社が販売台数を落ち込ませずに済んだのは、確固たる企業メッセージに裏付けされたブランド力が市場に浸透していたからだ。そのために長い年月を要している。

ドイツのプレミアムブランドも数を追いつつ完成度の高いクルマを作るのにはてこずった(画像は2018年2月の日本自動車輸入組合試乗会で撮影したBMW「M760Li xDrive」)

働き方改革で、仕事の効率化が求められる昨今だが、ものづくりの領域は試行錯誤の繰り返しであり、失敗も成功のための貴重な経験の下地になる。だが、失敗の修正には時間と手間が必要で、仕事の効率化とは逆の向きにある。かといって、従業員の数を急に増やせるわけでもない。

失敗を減らし、効率よく新車開発を行うにはコンピュータシミュレーションを多用せざるを得ず、結果、性能確認のための実走行試験は開発の後ろの工程へと回される。万一そこで不具合が生じても、後戻りはできない。そして不十分な製品が新車として売り出されることが起こりかねないのである。それでは結局、ブランドの印象を悪化させかねない。

ホンダは規模を追い求めて失敗した。つまり、数を前面に打ち出すことには危険を伴うのだ。マツダが数を主張するのであれば、その反作用にも眼を向けておくべきだろう。

ブランド強化に数字がついてくる姿が理想

アウディは、2011年に「アーバン・フューチャー・イニシアティブ・サミット」を開催し、2030年のクルマの姿を模索し始めた。そして、プレミアムブランドとしてクルマを存続させる方法を今も考え続けている。そのサミットに参加した話を当時、マツダの金井誠太副社長(現会長)に伝えると、「今のマツダでは2020年を考えるのがようやっとだ」との答えであった。だが、200万台体制を目指す今であれば、もう考え始めていなければならないはずだ。

2030年を見据えた技術開発の長期ビジョンでは、内燃機関を磨きこんでいく姿勢を示しているマツダ。この方針とブランド強化がどのように結びつくのかに注目したい(画像はマツダ「CX-5」)

電動化や自動運転と、「Zoom-Zoom」や「Be a Driver」がどう結びつくのか。以前、マツダの藤原清志専務にインタビュー(電動化について自動運転について)した際にヒントが語られたが、それが消費者の腑に落ちるようにする活動が必要ではないだろうか。

2024年に200万台を目指すと表明するより先に、マツダが宣言すべきはブランドを一層強化する商品の方向性であったのかもしれない。結果として、あとから数(販売台数)がついてきたという道を同社には歩んでほしいと願う。

あらゆる面で様変わり!  新型「デリカ D:5」試乗で感じた格段の進歩

あらゆる面で様変わり! 新型「デリカ D:5」試乗で感じた格段の進歩

2019.03.26

三菱自動車の新型「デリカD:5」に試乗

顔つきの変化に目を奪われがちだが中身もすごかった

本質を追求する三菱自動車の着実な技術開発が奏功

三菱自動車工業が2019年2月に発売した新型「デリカD:5」は、印象をガラッと変えたフロントマスク(顔)に注目が集まりがちだが、注目すべきはその中身だ。三菱自動車らしく本質を追求した改良により、クルマの性能は先代に比べ格段に進歩している。その出来栄えを試乗で確かめてきた。

三菱自動車の新型「デリカD:5」

12回目の改良で大幅に進化した「デリカD:5」

三菱自動車工業の「デリカ」が誕生したのは1968年のこと。その車名は「デリバリーカー」に由来しており、目的地まで人や物を運ぶクルマとして当初は商用を主体としていたが、翌1969年には9人乗りの「デリカコーチ」という乗用の車種が登場した。そして一昨年、デリカは誕生から50周年を迎えた。

左が初代「デリカ」、右は改良前の「デリカD:5」

現在の「デリカD:5」はデリカの5代目ということで、この名が付いた。50年を超える歴史の中では、1982年の2代目で早くも4輪駆動車を設定し、ディーゼルエンジンを搭載した。この2つは、今日もD:5を特徴づける要素となっている。

3代目までは「キャブオーバー」といって、エンジンを運転席下に搭載するワンボックス車の形態だったが、4代目からは客室の前にエンジンを搭載するミニバンとなった。そしてデリカD:5は、2007年のモデルチェンジによって登場し、すでに12年の歳月を経ようとしている。この間、三菱自動車は11回も一部改良を実施していて、今回が12回目となる。歴代デリカは1つの車型を長く継承する傾向にあったが、ことに今回の改良では、大きな進化を遂げたと感じる。

2019年2月に発売となった最新のデリカD:5は、外観の輪郭は従来のままだが、ことに顔つきが大きく変わり、押し出しの強い造形となった。その効果は、例えば今回の試乗で、大型トラックがやや無理な車線変更をしようとした際、ミラーに映るデリカD:5の顔を認識し、一瞬、動きを躊躇した様子にも見てとれた。この造形は、三菱が2015年の「アウトランダー」以降、フロントの共通性として各車で採用している「ダイナミックシールド」の概念に基づいた変更である。

改良を経て大幅に変わった「デリカD:5」の顔つき

またフロントの造形は、主に市街地などでの利用が多い顧客向けに新しく車種設定した「アーバンギア」と、標準仕様といえる「D:5」とで異なる意匠を採用している。

こちらが「デリカD:5 URBAN GEAR(アーバンギア)」。「D:5」には4つ、「アーバンギア」には2つのグレードがあり、価格は384万2,640円~421万6,320円となっている

いずれにしても、この大胆な顔つきの変更が注目されがちだが、それ以上に今回の改良は、走行性能や上質さといった面での進化が大きく、格段の進歩と驚かされるほどであった。なかでも、ディーゼルターボエンジンの改良と、変速段数を6速から8速へと増やしたオートマチックトランスミッション(8速AT)の効果は絶大だ。

SUV顔負けの悪路走破性に上質な乗り心地をプラス

エンジンの基本は変わらないが、新たに「尿素SCR」と呼ばれる排ガス浄化装置が取り付けられ、その精度が高まった。走行のための燃料である軽油のほかに、排ガス浄化用の尿素水溶液を補給する手間は増えるが、いまやディーゼルの排ガス浄化は尿素SCRなしでは語れない時代となっている。

その上で、エンジン内部の摩擦損失を減らしたり、燃焼室の改良や新型燃料噴射装置を採用したりするなどの改良により、最大トルクを増大し、アイドリングストップ後の再始動性を改善している。

2.2Lコモンレール式DI-D(ダイレクト・インジェクション・ディーゼル)クリーンディーゼルターボエンジンを搭載

8速ATは発進で使う1速のギア比を大きくして力強さを上げ、それ以後のギア比は従来の6速に比べ小さくすることで、滑らかかつ燃費に効果的な変速を可能にしている。

車体は、もともとデリカD:5の特徴であった「リブボーンフレーム」と呼ばれる骨格構造に加え、車体前部の剛性を上げる改良が施された。4輪駆動による悪路走破で、SUVの「アウトランダー」や「パジェロ」などに引けを取らない性能を発揮するデリカD:5は、強靭な骨格構造により、大きな凹凸のこぶ路面で、前後のタイヤが対角線上で持ち上げられ、車体にねじれが加わった状態でも、後ろのスライドドアを開閉できる車体剛性を持つ。それが他では真似できない特徴の1つだった。そこに車体前部の剛性の強化が加わり、舗装路での走りの上質さが改善されたのである。

試乗をしてみると、それらの改善が、D:5の走りを格段に進歩させていた。

新型「デリカD:5」および「アーバンギア」のボディサイズは、全長4,800mm、全幅1,795mm、全高1,875mm、ホイールベース2,850mm、最低地上高185mm。車両重量はグレードによって違うが1,930キロ~1,960キロだ

試乗で実感、性能は「様変わり」

ディーゼルターボエンジンは、始動後にディーゼルらしい音を発生させるが、軽やかに聞こえるので嫌な気分にならない。1,900キロを超える重い車体であるにもかかわらず、4輪駆動車であることから、発進時の動き出しは軽やかだ。その際もエンジンはうなることなく、ほぼアイドリング回転に近いところで走り出した。

エンジン内部の摩擦損失が軽減されたこと、同時にトルクが増大されたこと、さらには8速ATの1速ギア比が大きくなり、ギア比の力でエンジンを助ける効果などにより、このスムーズな発進が実現できたのであろう。

また今回、パワーステアリングが電動化されたので、発進してすぐに曲がる場面でも、クルマは軽やかに進路を変えた。

パワーステアリングは油圧式から電動に変わった

この走り出しの時点で、すでにデリカD:5の大きな進化を実感した。さらに、アクセルペダルを踏み込んで加速させていくと、わずかなペダルの踏み込みで速度を増していく。しかも、速度が上がるに従って、ディーゼル音は気にならなくなるほど静かになり、快適だった。8速ATの効果でエンジン回転を上げ過ぎないこともあるし、防音や吸音を増した車体の効果も静粛性に効いている。

高速道路に入っても、エンジンやトランスミッションの効果、また快適な室内の様子は変わらない。時速100キロで走行中のエンジン回転数は、アイドリングから少し上の毎分1,500回転ほどでしかない。従来のディーゼルエンジン車では、この速度で巡行するには騒音が大きく、音に疲れる印象があったが、様変わりである。

走り出しでも高速道路でも改良の効果が感じられた新型「デリカD:5」

乗り心地も、車体前部が強化されたことにより、路面の凹凸を乗り越えた際の衝撃が緩和され、改善されたことを実感した。走行感覚も乗り心地も、明らかに上質なミニバンとなった。この快適性であれば、D:5でもっと遠出をしたい気持ちにさせられるはずだ。

「様変わりした」というのが、まさしく適切な評価だろう。そこには、モデルチェンジによらず、実績を踏まえて一歩ずつ改良を加えていく三菱自動車のよさが現れている。

先進的だが着実、三菱自動車の技術開発

三菱自動車は2000年のリコール問題や2016年の燃費不正などを経験し、今日に至る。社内の隠蔽や規律違反などを抱えながら、一方で、技術開発においては先進的な取り組みを続けてきた側面がある。

1996年の直噴ガソリンエンジンの量産化や、同年の電子制御を活用した4輪駆動力制御などで、三菱自動車は先駆的な技術開発力を発揮してきた。同時に、1970年代からのラリー競技への出場や、1980年代からの「ダカールラリー」(パリダカ)出場などにより、悪路走破性のみならず、舗装路での俊足の走りを追求してきた歴史がある。

今日、三菱自動車は電動化とSUVに的を絞った商品展開で、存在感を発揮しようとしている。その両方の技術を合わせた象徴的な商品が「アウトランダーPHEV」だ。同車は世界で最も売れているプラグインハイブリッド車である。

電動化とSUVにフォーカスする三菱自動車の象徴的な商品が「アウトランダーPHEV」だ

三菱自動車が力を注いできた4輪駆動についてはデリカの歴史の中で触れたが、電動化に関しても同社は、1966年に電気自動車(EV)の開発を開始し、2009年には世界初の量産EV「i-MiEV」の市販にこぎつけるなど、先駆的な歩みを進めてきた。

いずれの技術も世界の主要自動車メーカーが開発に取り組んでいるものだが、それを量産化し、一般へ市販して世に問うことを、三菱自動車は長年にわたり粘り強く続けている。さらに、その技術を一時的な流行で終わらせることなく、磨き続けるのが同社の特徴にもなっている。それを可能としているのは、そもそも同社が、本質的な原理原則を追求した技術開発にこだわってきたからなのであろう。

世界初の量産EVとなった「i-MiEV」の現行モデル

デリカD:5においても、例えば「車体剛性」のような、一見しただけでは消費者には分かりづらい部分において、「リブボーンフレーム」という本質的な剛性構造を採用することで、ミニバンとしては悪路走破性で抜きん出た性能に仕上げている。そこが土台となり、乗り心地が格段に改善しているのだ。

技術革新といっても、目新しさをやみくもに追うのではなく、本質的な課題解決の道を探ることが、長年にわたり技術を進化させ、磨き続けることを可能にする。今度のデリカD:5においても、まさにそうした三菱自動車の開発姿勢が発揮されたと実感した。すでにD:5を所有している人でも、今回の改善には驚き、食指が動くことだろう。

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LINEアカウントを引き継ぐ方法

LINEアカウントを引き継ぐ方法

2019.03.26

絶対に失敗したくない人のための「引き継ぎ」方法

トーク履歴の引き継ぎだけは別の作業が必要

機種変更時に電話番号が変わるか否かで作業が違う

スマートフォンの機種変更をする時には、LINEの引き継ぎ処理をしよう。これをきちんとやっておけば、新しい端末でも従来どおりにLINEを使い続けられる。ただし、一部の作業では注意が必要だ。

ただし、トーク履歴の引き継ぎは別作業

LINEでは、友だちリストやスタンプといった大半のデータの引継ぎが可能だ。友だちリストは引き継いだ時点で表示されるし、スタンプは新端末で同じスタンプを利用しようとすれば、簡単に取得できる。

しかしトークの引き継ぎには別途作業が必要となる。その作業方法は改めて解説するが、Android同士、iPhone同士でしか引き継げないことに注意しよう。また、LINEコインの残高等は、OSが変わると引き継げない。もし履歴等を重視するなら、新機種選びの段階で意識しておきたいところだ。

機種変更前に確認しておきたい引き継ぎの準備

機種変更時に、LINEのトーク履歴の引継ぎに失敗したという話をよく聞く。電話番号が変わらない機種変更での失敗は少ないようだが、特に電話番号の変更を伴う機種変更の場合は、少し注意する必要がある。

まず、電話番号がLINEで使えるかを確認しよう。「050」で始まるIP電話番号や、データ専用プランで発行される電話番号では、LINEを利用できないからだ。もしそういう形で乗り換える場合には、固定電話や通話用の別端末などの電話番号を利用するといいだろう。

電話番号が変わった場合には、「旧電話番号」もしくは「メールアドレス+パスワード」がログインに必要だ。事前に自分の電話番号やメールアドレス等を再確認しておこう。注意したいのは、メールアドレスが旧端末のキャリアメールのため既に利用できなくなっている場合や、パスワードがうろ覚えの場合だ。旧端末のLINEを操作してそれぞれ確認しておこう。

LINEの設定で「アカウント」を選択
「メールアドレス」をタップしてメールアドレスを確認。し継続利用できないキャリアメールだった場合には、Gmail等に変更しておくといいだろう
「パスワード」をタップした画面でできるのは再設定だけだ。2度同じ文字列を入力すれば新パスワードとして設定される

電話番号が変わる機種変更で最初にやるのは旧端末の操作

電話番号が変わる機種変更の場合は、旧端末での操作も必要だ。旧端末側で「アカウント引き継ぎ」を選択し、ここで「アカウントを引き継ぐ」のスイッチをオンにしよう。スイッチの有効期限は36時間で、間に合わなくてもLINEが使えなくなってしまうわけではない。ただしセキュリティ面での問題が出てくるので、できるだけ引き継ぎ作業をする瞬間にスイッチを入れるくらいのつもりでいよう。

設定で「アカウント引き継ぎ」を選択し、スイッチをオンにする
警告画面の内容を読んだら「OK」を押す
スイッチがオンになると有効期限のカウントダウンがはじまる

電話番号変更時はメールアドレス+パスワードで引き継ぎ

電話番号が変わる機種変更の場合は、旧端末の操作ができてから新端末を操作しよう。引き継ぎには、新端末側で新番号を使って初期登録作業を進める中で出てくる、「アカウントを引き継ぐ」というボタンを利用する。次の画面では「以前の電話番号でログイン」または「メールアドレスでログイン」のどちらかを選んで、入力しよう。

「アカウントを引き継ぎますか?」の画面で「アカウントを引き継ぐ」を選択
以前の「電話番号」もしくは「メールアドレス+パスワード」のどちらかでログインしよう

滅多にないことではあるが、もし初期登録作業中、新しい電話番号を入力しているのに「おかえりなさい、●●!」と知らない名前が出てきたら「いいえ、違います」を選ばないといけない。電話番号は一定の休眠期間をおいてリサイクルされるのだが、以前の利用者が適切なアカウント引き継ぎや削除作業をせず放置していた場合に出てくる画面だ。必ず「いいえ」を選択しよう。

電話番号が変わらない機種変更でのアカウント引き継ぎ方法

電話番号が変わらない機種変更の場合は超簡単だ。以前の電話番号を新端末でも使い続けられるなら、新端末側で普通にLINEアプリの初期登録作業をすれば問題ない。電話番号を入力し、SMSや音声通話で認証ができれば「おかえりなさい、●●!」と名前が表示されるはずだ。表示された電話番号と名前が自分のものなら「はい、私のアカウントです」ボタンをタップすれば完了となる。

電話番号が変わらない場合は、初期登録作業だけで引き継ぎが完了する

「LINE(ライン)基本の使い方ガイド」バックナンバーはこちら
https://biz.news.mynavi.jp/category/line

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