4年ぶりになる増収増益決算のパナソニック

4年ぶりになる増収増益決算のパナソニック

2018.05.14

パナソニックが発表した2017年度連結業績は、売上高は前年比8.7%増の7兆9824億円、営業利益は37.5%増の3805億円、税引前利益は37.6%増の3785億円、当期純利益は58.0%増の2360億円となった。

4年ぶりとなる増収増益を達成。為替影響を除く実質ベースでは、7年ぶりの増収増益になり、今年2月に発表した上方修正値も上回って見せた。

パナソニックの津賀一宏社長

パナソニックの津賀一宏社長は、「2010年度の増収増益は、三洋電機の子会社化などが影響したものであったが、その後、テレビ事業が赤字に転落し、減益が続いた」と前置きながら、「その後の6年間で相当大きな構造改革を行ってきた。これによって、利益の安定性が生まれ、突然大きな赤字が見えてきたということがないように見える化を図り、経営を安定化させてきた。だが、利益を生みながら増収を図る構図になるまでには、想像以上に時間がかかった。その結果が7年ぶりの実質的な増収増益につながっている」とし、「私が一番大きな成果と考えているのは、事業部制というきっちりと業績が見える形の上に、カンパニー制という産業領域の特性を捉えることができる形で、先手、先手で事業内容を変え、シフトできたこと。これが、7年ぶりの増収増益につながっていると感じている。これからも先手、先手を打っていけば、この傾向は継続できると考えている」と、社長就任以来の構造改革の成果に自信をみせた。

2017年度は、2015年度および2014年度と同じ営業利益水準にあるが、実質売上高では大幅に改善。2012年度水準にまで戻しており、体質は大幅に改善されている。同社が打ち出している「増収増益への転換」から「持続的成長」へとシフトが始まったといっていい。

パナソニック 常務執行役員の梅田博和CFOも、「ようやく増収増益へと転じ、持続的な成長に向けて、反転することができた」とする。

オートモーティブが増収に貢献

2017年度実績では、売上高で、オートモーティブやエナジーに加えて、プロセスオートメーションなどが増収に貢献。営業利益および純利益では、インダストリアルなどが堅調に推移したことに加え、 その他損益の改善によって増益になった。

パナソニックの梅田常務執行役員は、「フィコサの新規連結や、インフォテインメントが好調に推移するなど オートモーティブが大きく増収。エナジーやインダストリアル、 ゼテスの新規連結があったモバイルソリューションズや、プロセスオートメーションなどの成長が増収に貢献した。また、固定費は増加しているものの、車載などの成長分野には積極的な投資を実行し、メリハリをつけて対応した」と総括する。

セグメント別では、アプライアンスが中国を中心とした海外でのエアコンが伸長して増収。プレミアム商品が堅調に推移して増益に貢献した。また、エコソリューションズは、海外の電設資材事業などが大きく伸長して増収。コネクティッドソリューションズは、プロセスオートメーションが好調に推移したことなどにより増収。オートモーティブ&インダストリアルシステムズは、車載・産業向け事業で大幅に増収になったという。

2018年度見通しでも成長を維持している。

売上高は前年比4.0%増の8兆3000億円、営業利益は11.7%増の4250億円、税引前利益は10.9%増の4200億円、当期純利益は5.9%増の2500億円。

パナソニック 常務執行役員の梅田博和CFO

パナソニックの梅田常務執行役員は、「2017年度に続き、2018年度も、増収増益を達成する見通しであり、これまでの成長に向けた取り組みの成果により、エナジー、インダストリアルが増収増益の牽引役になる」とする。

同社では、事業ごとに、売上げと利益成長の牽引役と位置づけ、大規模投資などの経営リソースを集中させる「高成長事業」、競争力を生かして着実に利益を創出し、高成長事業への投資原資を生み出す「安定成長事業」、事業の転地や固定費削減、合理化などにより、徹底的に利益改善に取り組む「収益改善事業」の3つの経営区分で成長戦略を実行しているが、2018年度もこの姿勢は変わらない。

1兆円の戦略投資

「アプライアンス、エコソリューションズ、オートモーティブ&インダストリアルシステムズで 増収増益を達成する見通し」だという。1兆円の戦略投資についても、高成長事業領域に集中的に資金を投入しており、「2018年度は、車載電池事業を中心に高成長事業が大きく伸びる見通し」だとした。

だが、パナソニックの津賀一宏社長は、2018年度の計画として、かつて売上高10兆円を掲げていたこともあった。また、それを修正した2018年度の売上高見通しでは8兆8000億円、営業利益5000億円(のちに4500億円以上に修正)、純利益2500億円以上を目指すとしていた。今回発表した2018年度見通しでは、売上高、営業利益ではそれを下回り、最終利益は最低水準に目標を置いた。

津賀社長は、「営業利益は為替の影響によって、4250億円としたものであり、4500億円という目線は変えていない。純利益は公表通りである」と説明する。だが、実質ベースでの増収増益へと体質を転換したものの、数字の上では、描いた姿にまでは至っていないのは確かだ。

そして、懸念材料もある。最大の懸念は、テスラとの協業だ。

テスラは、米ネバダ州スパークス郊外のギガファクトリーにおいて、2017年1月から円形型リチウムイオン電池の生産を開始している。パナソニックは、この工場に投資をしており、いわば、テスラとは運命共同体だ。

懸念材料は、ギガファクトリーで生産を予定していたテスラのモデル3向けの電池生産量が予定数量に達していないことだ。これは、モデル3の生産が遅れていることが原因であり、パナソニックが担当している電池生産体制については問題がない。むしろ、モデル3の生産立ち上げを待っている段階だといえる。

量産が遅れるテスラ

「当社が生産した電池を数1000本まとめてひとつのパックに入れて、ワイヤーボンドで電極までつけてモジュール化する部分を、テスラは自動化しようと考えていたが、そこにトラブルがあって手動化していた」(パナソニック・津賀社長)のが、量産が遅れている理由のひとつだ。

モデル3は、テスラ初の普及モデルとなる戦略的商品。量産開始時期が遅れたばかりでなく、2018年6月までに週5000台の生産を目指すとしてきたが、現時点ではその半分程度に留まっている。

「ノートPCに使うリチウムイオン電池はせいぜい6本。だが、モデルXを例にしても、1台あたり7000本~1万本の電池を使用する。使用するバッテリーの量が半端ではない」(パナソニックの津賀社長)

桁が異なる生産量が見込まれている車載電池は、パナソニックにとって、まさに成長を担うドライバーであり、2018年度は、大幅な増収増益を見込んでいる。その成長戦略はテスラに左右されることになる。

津賀社長は、「テスラは量産の立ち上げには少してこずっているが、引き続き、多くの受注残を抱えている一方で、私の理解は、確実に生産台数があがってくるということである。若干の期ずれや月ずれはあるものの、あくまでもその範囲の話であり、なにかが消えるというものではない。ギガファクトリーでのモノづくりをしっかりと立ち上げて、テスラが増産を開始したときに、電池が作り負けしない状況を作るだけである」と、今後、生産が軌道に乗ることに自信をみせる。

また、津賀社長は、「テスラは、ひとことでいえば、とにかくスピード優先の会社。我々の場合は、少しマージンを見て計画を立てたり、実行が確実な計画を立てたりするが、テスラの場合は、とにかくチャレンジ、チャレンジ、チャレンジの会社である。最初から理想を追い求める会社であり、我々とは異質の会社である」と表現。「だが、そこにチャレンジし、高い目標を立てることで、やる気を出して、結果を出していくことができる。いまは、当初計画よりは少しずれてはいるが、大きな目で見ればスピード感がある立ち上げをするメーカーである。呼吸をあわせてついていくのは難しい面もあるが、だいぶ慣れてきた。一緒に頑張るパートナーである」とも述べた。

だが、振り返ってみれば、パナソニックは、2010年度の増収増益後には、総額で6000億円を投資したともいわれるプラズマディスプレイの工場を閉鎖。プラズマディスプレイ事業からの撤退を発表し、それが、その後の業績悪化の元凶となった。これが、実質的な増収増益へと転換したいま、テスラへの投資がだぶって見えるともいえる。

この点について、津賀社長は、「これまでにない電池の使用量を考えれば、電池の生産に対して、多くの生産投資することは、各社に共通して自然なことである」とながら、「液晶パネルの投資を例に挙げると、一度投資をすると、そこでパネルの性能が決まってしまうという側面がある。一方で、バッテリーは設備投資の金額が液晶パネルよりもずっと小さい。売上げに対して10%程度の減価償却で済む。また、電池の大きな要素は、電池の中身の化学的要素で差別化したり、エネルギー密度をいかにあげるかといった点であり、この部分は設備投資には寄らないものである。テスラ向けの電池でも、当初の設備を使って、どんどん容量の高い電池を生産できるようになる。つまり、設備投資をしたから競争力があがるというものではない。その点も電池事業の特徴である」とした。

創業100年のパナソニックある懸念

だが、パナソニックの成長戦略を見る上でテスラの動きは外すことができないのは明らかだ。

一方で、コネクティッドソリューションズは、機内エンターテインメント事業が、大型航空機の需要減少に伴い、アビオニクスが悪化することにより、減収減益となる見通しだ。これも懸念材料のひとつといえる。

パナソニックの津賀社長は、「コネクティッドソリューションズに占めるアビオニクスの利益部分は大きい。だが、アビオニクス事業は、需要の山と谷が激しい市場である。大型航空機のアビオニクスに関する需要は、2018年度および2019年度に谷を迎えるが、2020年以降復活することになると予想している。長期的にはビデオ・オン・デマンドの市場は成熟しているが、ネットワーク接続などのデジタルサービスが伸びしろになる。ここで、当社がどんな位置づけを取れるのかが重要であり、そこに開発リソースをシフトしている」と発言。パナソニックの梅田常務執行役員は、「中期的には、デジタルサービスやリペア、メンテナンス事業を強化し、安定成長を目指している」とする。

米国子会社であるパナソニック アビオニクスが、米国証券取引委員会および米国司法省から、連邦海外腐敗行為防止法およびその他の米国証券関連法に基づき、航空会社との特定の取引およびその取引に関連するエージェントやコンサルタントの起用に関する活動について調査を受けていたが、このほど、2億8060万ドルの制裁金を支払うことで合意した。今後2年間、第三者によるコンプライアンスに関するモニタリングを受けること、その後、1年間にわたって、コンプライアンスに関する自主報告を行うなど、体質改善に挑む必要もある。

こうしてみると、「持続的成長」へとシフトしたとするパナソニックだが、いくつかの懸念材料があるのも事実だ。今年、創業100周年を迎えたパナソニックだが、最近、津賀社長は、「100周年」という言葉を、自ら積極的には使わなくなったという。すでに、101年目以降の成長に目を向けているようだ。

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

メディア露出多数、高まる「N高出身」への期待値

2019.03.22

ネットの学校「N高」の卒業式に潜入

開校時に入学したN高1期生が卒業した

世間の注目を浴び続けた生徒は、何を想う?

3月、角川ドワンゴ学園「N高等学校」の卒業式が東京・お台場にて開催された。

「ネットの高校」として、3年前に設立したN高。この日、2016年の開校時に入学した第1期生と、途中転入・編入した生徒をあわせ、計1593名が卒業した。3年前、『VR入学式』で世間を賑わせたこの学校を巣立つ卒業生たちは、N高での日々をどう捉え、今後はどのようなキャリアを描いていくのだろうか。

卒業式は2019年3月20日、お台場にて行われた

卒業式を彩る最新テクノロジー

N高は、ドワンゴとKADOKAWAの経営統合で誕生したカドカワが設立母体となり、2016年4月に開校された通信制高校だ。同校は開校後、2年次編入なども受け入れてきたため、これまでも卒業生を排出してきてはいたが、「1年生~3年生をN高で過ごした生徒」が卒業するのは、初めてのことだ。

卒業式には多くの報道陣も参加した。生徒にとって、「卒業式に記者がいる」「自分たちが卒業する様子がテレビやWebで取り上げられる」というのは不思議な感覚だろう。とはいえ、もう「VR入学式」に「ニコニコ超会議」へのブース出展(N高ではそれを「文化祭」と表現)などの経験を経て、メディアへの露出には慣れてしまっているのかもしれない。

そして、今回の卒業式も例によって独特だった。

卒業式は任意参加で、会場には袴や制服に身を包んだ生徒が集まる一方、その様子をライブ配信することで、会場に来られない生徒生徒も参加できる仕組みになっていた。会場のスクリーン上にはニコニコ生放送さながら、リアルタイムでコメントが表示されており、こうした演出は「N高らしい」といった印象を受けた。

卒業式の様子。オンライン参加者のコメントがスクリーンを流れる

中でも印象深かったのは、当日来られなかった生徒を代表して、米シリコンバレーに留学中の佐々木雅斗さんが「ロボット」に自分の顔を映して卒業証書を受け取ったシーンだ。

使用したのは、ANAが“未来の移動手段”として開発する、視覚・聴覚・触覚などを備えた、ユーザーの分身となるロボット「ANA AVATAR」。同校ではこのロボットを試験的に授業にも導入しているそうで、こういった最新のテクノロジーを使うあたりもN高らしい。

遠隔操作ロボット「ANA AVATAR(Beam Pro)」を用いて卒業証書を受け取った佐々木さん

と、テクノロジーにばかり目が行きがちではあるが、そもそも「高校生がシリコンバレーに留学している」という事実も驚くべき点だ。高校に通いながらも、シリコンバレーでビジネスを学ぶ――、というキャリアを選べるのは、学校という場所の制約を受けない、ネットの高校のメリットと言えるだろう。

卒業式にはほかにも「異色のキャリア」を持つ生徒たちが集まり、特に活躍した卒業生に対する特別表彰も行われた。

表彰を受けたのは、東京から鹿児島県に移住し、農業や水産業を手伝い地域活性化に貢献する白鳥優季さん、第18回アジア競技大会ジャカルタ・パレンバン「ウイニングイレブン 2018」eスポーツ 金メダリストの相原翼さん、N高のプログラムを最大限に活用し、スタンフォード大学やオックスフォード大学のサマープログラムに参加した冨樫真凜さんなど。その活躍の幅は広い。

さまざまな分野で活躍したN高生に対しては、特別表彰が行われ、記念品としてクリスタルトロフィーが贈呈された

メディア露出が多いがゆえに高まる期待値

N高を卒業した個性豊かな面々は、今後は大学進学、就職とさまざまなキャリアを歩む。

日本初で唯一N高にのみ実在するという「起業部」に所属し、かつ起業第一号として「Easy Go」という会社を創業している、鈴木颯人さんと山田陽大さんから「N高で過ごした時間」についてコメントをもらった。

「元々は地元の進学校に通っていたのですが、『自分が好きなことをしたい』『起業したい』という想いがあり、N高に入学しました。年齢や場所に縛られず、多くの人とコミュニケーションを取れ、充実した3年を過ごせました」(鈴木さん)

「以前通っていた学校が自分と合わず、ネットで見つけたN高で『ここだったら新しいことができるかも』と入学を決意しました。今振り返ってみて、やはり『この学校に来てよかった』と思います」(山田さん)

Easy Go代表取締役の鈴木颯人さん(左)と取締役の山田陽大さん(右)

2人に限らず、卒業生のコメントを聞いていくと「この場所で挑戦してみたい」という想いの元、N高を選んでいる生徒が多い印象だ。

普通の高校とは違い、メディアに露出する機会の多いN高での生活は、良くも悪くも、世間からの注目を浴びる。まだ高校生の彼らにとっては、その視線が時に辛く感じることもあっただろう。ただ、その一方で鈴木さんは「初めて会う方とお話しする際、『N高出身です』と言うだけで、会話が広がることがよくあります」とその知名度を好意的に捉えている。

若くして、覚悟を持ってN高という環境に飛び込んだ生徒たちは、周囲の視線を浴びつつ、たくましく成長してきたことだろう。「N高出身」というキャリアは、彼らにとって1つの大きな武器になりそうだ。

カドカワは新たに2019年4月から、「N中等部」も開校する予定だ。「ネットの学校」という、世間の注目が集まる新しいコンセプトの学校だからこそ、在校生・卒業生の動向は、今後もしばらくは注目され続けそうだ。

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スマホは「望遠」でデジカメに追い打ち? OPPOの10倍ズーム技術が面白い

スマホは「望遠」でデジカメに追い打ち? OPPOの10倍ズーム技術が面白い

2019.03.22

中国スマホメーカーのOPPOが独自のカメラ技術を説明

開発競争が続くスマホカメラ、トレンドは「望遠」へ

高倍率ズームスマホの登場で、デジカメの優位性に危機?

中国のスマホメーカーとしてシェアを急拡大するOPPOが独自に新開発したカメラ技術、「10倍ハイブリッドズーム」が面白い。実際に2019年の新機種からスマホへの搭載を進め、日本市場へも製品を投入するという。

OPPOが「10倍ハイブリッドズーム」技術を紹介

メーカー間の開発競争が続くスマホカメラだが、「望遠」が次のトレンドになりつつある。デジタルカメラに匹敵する10倍もの高倍率ズームを、OPPOはどのように実現したのだろうか。

1年で7機種を投入、気付いた「日本市場の難しさ」

OPPOは世界のスマホ市場で熾烈な4位争いを繰り広げている。サムスン、アップル、ファーウェイのトップ3社に続く集団の中で、2018年は中国Xiaomiに僅差で迫る5位になった(IDC調べ)。

OPPOは2018年、日本市場で7機種のスマホを発売した。OPPO日本法人の鄧宇辰社長は、これまでに国内販売チャネルを12に拡大し、あわせて認定修理店を全国に展開したことを挙げ、「日本のSIMフリー市場でいち早く成長するブランドになった」と振り返る。

オッポジャパン 代表取締役社長の鄧宇辰氏
2018年の1年間にスマホを7機種投入

2019年は国内展開をさらに加速する。日本の消費者に向けたコミットメントとして、件の「10倍ハイブリッドズーム」機能を備えたスマホや、FeliCa・防水対応のスマホ、新たに立ち上げたブランド「Reno」シリーズの市場投入を約束する。

また、話題の「5Gスマホ」の市場投入も急ぐ。日本では5Gの周波数がまだキャリアに割り当てられていないものの、ドコモ、KDDI、ソフトバンクを含む世界の事業者と標準化に向けて連携しており、準備を整えていることを強調する。

MWC19のQualcommブースではOPPOが5Gスマホを実演

一方で鄧社長は、日本市場の難しさについて、「1年の経験を通して、日本市場は他の国と違うことに気付いた。消費の習慣や求めるレベルも高い。グローバルのやり方を日本に持ってきても通用しない」とも述べている。日本市場における品質やサービスの要求水準の高さは、多くのメーカーが直面してきた課題だが、OPPOも同じ壁にぶつかったといえそうだ。

スマホカメラ、次のトレンドは「望遠」に

そのOPPOが市場攻略にあたり、特に注力をしはじめたのが「カメラ」だ。その中でも、業界では次の進化ポイントとして「望遠」技術に注目が集まっている。

そもそもスマホはデジカメと違い本体が薄いため、搭載できるレンズに物理的な制約がある。このレンズの制約から、スマホのカメラはどうしても焦点距離の狭さが弱点になってしまっていた。そこで最近はスマホに複数のカメラを内蔵し、それぞれで広角や望遠を使い分けることで、この弱点を克服しようと進化している。

OPPOの「10倍ハイブリッドズーム」技術は、この弱点に対し異なるアプローチで挑む。プリズムを使って光を屈曲させるペリスコープ(屈曲光学)構造をカメラモジュールに採用することで、レンズを従来の垂直方向ではなく水平に配置できるようにした。これにより、薄型のスマホであっても、光学レンズでは従来不可能だった高倍率ズームが搭載できる。

光を曲げるペリスコープ構造を採用

ただ、35mm換算での焦点距離は16~160mmの10倍となっており、一般的なコンデジの感覚では5倍ズーム程度の性能だ。8.1倍以上はデジタル処理を組み合わせた「ハイブリッドズーム」としているなど、いくつか注意点はある。とは言え、これまでにない望遠レンズをスマホで扱えるのは面白い。

10倍ハイブリッドズームによる画角の違い

OPPOは既に報道陣に向けて、この10倍ハイブリッドズーム技術を搭載するスマホの開発デモ機を公開している。2019年の第2四半期には製品化する計画で、日本市場へも2019年中に投入する見込みだ。

10倍ハイブリッドズームのデモ機。5Gにも対応できるという

特にカジュアルなカメラ需要の受け皿としてスマホに押されがちなデジタルカメラだが、高倍率ズームはスマホには無い、デジカメに残された得意分野のひとつだった。だが望遠もスマホで十分撮れるとなれば、いよいよその優位性も危うくなる。今回のズーム技術は、デジカメ市場をもう一段縮小させてしまう可能性を秘めているのだ。

最大のライバルであるファーウェイも「HUAWEI P30」シリーズで望遠カメラを搭載するとみられており、今後は各メーカーが高倍率ズームで競い合うことは間違いなさそうだ。

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